トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般

【発明の名称】 車両用警報装置
【発明者】 【氏名】山口 宏紀

【要約】 【課題】車両用警報装置内で行う演算量の軽減、それに伴う警報処理の単純化により、システム構成を簡略化する。

【解決手段】複数のスピーカ11a,11bから発する音響信号によって、警報すべき対象物の方向をドライバDに知らせる車両用警報装置1であって、警報音の音像を複数の位置に定位させる複数の警報音データを記憶しておき、この警報音データの中から、前記対象物の方向に対応した警報音データを選択して出力することを特徴とする車両用警報装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数のスピーカから発する音響信号によって、警報すべき対象物の方向をドライバに知らせる車両用警報装置であって、警報音の音像を複数の位置に定位させる複数の警報音データを記憶しておき、この警報音データの中から、前記対象物の方向に対応した警報音データを選択して出力することを特徴とする車両用警報装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、警報すべき対象物の方向を報知する車両用警報装置に係り、特に、複数のスピーカから発する警報音の音像を、前記対象物に対応した位置に定位させて前記対象物の方向をドライバに認識させる車両用警報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、自車に対して衝突や接触する可能性のある他車、歩行者や障害物等の対象物の接近を報知する四輪車用の警報装置が知られている。このような警報装置として、例えば、対象物検知手段によって前記対象物の方向を検知し、車内の四隅に設けられたスピーカのうち、前記対象物の方向に近い位置にあるスピーカから、警報音を出力して対象物の方向(位置)をドライバに知らせるもの(以下、第1従来装置という)がある。
【0003】また、本願出願人の特許第2785234号に係る発明として、自車内に設けたスピーカから所定の警報音を発し、その音像を、対象物の方向に定位させて当該対象物の方向をドライバに知らせる警報装置(以下、第2従来装置という)がある。この第2従来装置について詳述する。
【0004】第2従来装置では、まず、障害物検知手段が、対象物の位置を検知する。障害物検知手段によって検知された対象物の位置は、位置情報信号として音響制御手段に送られる。すると、音響制御手段が、前記位置情報信号に基づき、警報音の音像を所定の位置、つまり、対象物の位置に対応する位置に定位させるべく、音響信号に関する演算処理を行う。この演算処理に基づいた制御信号が、音響信号処理手段における中央制御回路に送られる。すると、音響信号処理手段が、前記制御信号に基づいてスピーカから発生する音響信号を制御し、警報音の音像を前記所定の位置に定位させる。その結果、対象物の方向には、スピーカが存在しないにも拘わらず、ドライバは、定位された音像を頼りに対象物の方向を認識することが可能となる。
【0005】この第2従来装置によれば、前記第1従来装置に比べて、スピーカの数が少なくて済み、車両のレイアウト状も都合が良い。また、音像定位の精度を高めることにより、対象物の方向をドライバに正確に認識させることができて安全上、好適であるといえる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第2従来装置の場合、対象物の方向を検知する度ごとに、警報音の音像を所定の位置に定位させるための演算処理が必要であった。そのため、演算処理を行うための前記音響制御手段は必要不可欠な要素であり、さらに、この演算処理によってもたらされる警報処理の複雑化が、処理速度の遅延等生じさせるおそれがあった。また、複雑な警報処理の必要から、装置が高価なものとなり易く、コスト面からの不都合もあった。本発明は、以上の問題を解決することを目的としており、演算量の軽減、それに伴う警報処理の単純化により、システム構成を簡略化した車両用警報装置の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するため、本発明は、複数のスピーカから発する音響信号によって、警報すべき対象物の方向をドライバに知らせる車両用警報装置であって、警報音の音像を複数の位置に定位させる複数の警報音データを記憶しておき、この警報音データの中から、前記対象物の方向に対応した警報音データを選択して出力することを特徴とする車両用警報装置とした。本発明によれば、演算量の軽減、それに伴う警報処理の単純化によるシステム構成の簡略化、さらに処理速度の向上を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明を、実施の形態に基づき、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は車両用警報装置の構成図、図2は車両用警報装置を搭載した自車、および、自車と並んで走る二輪車との位置関係を示す模式的な平面図、図3は、交差点において、車両用警報装置を搭載した自車、および複数の他の自動車が存在する場合の位置関係を示す模式的な平面図である。本実施の形態に係る車両用警報装置1(以下、警報装置1という)は、自動車に搭載されている。ちなみに、以下の説明では、この警報装置1が搭載された自動車を、他の自動車や二輪車等と区別するために自車と記載する。
【0009】警報装置1は、図1の如く、自車V1の周囲の情報を収集し、警報すべき対象物を検知する対象物検知手段5を備える。この対象物検知手段5にて得られた情報から、CPU7が、警報すべき対象物の方向(位置)を特定する。すると、このCPU7が、ROM8から必要な警報音データを読み出す。CPU7によって読み出された警報音データは、音響信号として自車V1内に備え付けられた左右のスピーカ11から出力される。すると、警報音の音像が、前記対象物の方向に対応する位置に定位され、対象物の方向がドライバによって認識される。
【0010】警報装置1について、さらに詳述する。警報装置1は、主に、対象物を検知する対象物検知手段5、自車位置検知手段であるGPS受信機6、CPU(中央処理装置)7、ROM(読み出し専用メモリ)8、D/A(ディジタル−アナログ変換器)9、AMP(増幅器)10およびスピーカ11からなる。また、本実施の形態に係る警報装置1では、対象物検知手段5として、障害物検知手段2、歩行者検知手段3、車車間通信装置4を備える。まず、この対象物検知手段5について説明する。
【0011】図1および図2を参照して障害物検知手段2について詳述する。障害物検知手段2が検知する障害物には、衝突や接触によって自車V1に危険等を及ぼす可能性があるもの、あるいは、自車V1が接触等を避ける必要のあるもの等が含まれる。したがって、例えば、他の自動車や二輪車、路上の電柱やガードレール、道路に沿って建つ壁や家、その他、歩行者、自転車、車椅子等が含まれる。
【0012】障害物検知手段2は、超音波を発し、障害物に反射して戻って来る超音波を受け取る。つまり、超音波を発してから受け取るまでの到達時間を計測することにより、障害物までの距離を算出する。また、障害物検知手段2は、自車V1周りの数カ所に設置されている。そして、これら各障害物検知手段2,2,・・は、それぞれ独立して到達時間を計測し、距離情報や障害物の方向に関する情報等を、CPU7に送信する。なお、前記障害物検知手段2は、超音波を利用するものに限定されず、ドップラーレーダーや電波等を利用するものであっても良い。
【0013】続いて、歩行者検知手段3について説明する。歩行者検知手段3は、警報装置1を搭載する自車V1の周囲に存在する人(歩行者)や動物、さらには、自転車、車椅子等を主に検知する。この歩行者検知手段3は、赤外線による画像認識によって、歩行中の人等を検知し、当該人等の位置(あるいは自車V1からの方向)や進行方向等を算出し、その情報をCPU7に送信する。この歩行者検知手段3は、発せられる赤外線の角度範囲等を考慮して、自車V1の数カ所に設置される(図2参照)。この歩行者検知手段3は、検知するための手段として赤外線を利用しており、夜間等に特に有効である。
【0014】次に、図1、図3を参照して車車間通信装置4を詳述する。なお、説明の便宜上、図3で示す他の自動車V2,V3にも、自車V1と同様の車車間通信装置4が搭載されているものとする。また、現在位置および進行方向等を検知するためのGPS受信機単体またはナビゲーション装置も、他の自動車V2,V3に搭載されているものとする。
【0015】車車間通信装置4は、警報装置1を搭載する自車V1の周囲に存在する他の自動車V2,V3から送信される情報を受信するとともに、他の自動車V2,V3に情報を送信する装置である。ちなみに、他の自動車V2が複数台存在する場合には、時分割で順次情報を受信するものとする。車車間通信装置4は、主として、アンテナ(図示せず)と通信機(図示せず)からなる。通信機は受信機と送信機を含み、アンテナで受信した電波を増幅および復調して、CPU7に信号として送信するとともに、CPU7からの信号を変調および増幅してアンテナに送り、電波として発信する。
【0016】他の自動車V2から送信される情報は、他の自動車V2が、現在位置から移行しようとする走行状態を予測し得る情報や、他の自動車V2を識別するための情報等を広く含む。具体的には、他車の現在位置、進行方向、速度および方向指示器等の情報や、車両を識別するための識別番号等が含まれる。一方、自車V1から他の自動車V2に送信する情報も、自車V1が、現在位置から移行しようとする走行状態を予測させ得る情報や、自車V1を識別させるための情報等である。つまり、自車V1の現在位置、進行方向、速度、方向指示器や識別番号等の情報であり、特に、他の自動車V2が自車V1に対して衝突または接触するおそれがある場合、その警告情報等が送信される。
【0017】図1で示すGPS受信機6は、自車位置検知手段に相当する。このGPS受信機6は、警報装置1を搭載する自車V1の現在位置と進行方向等(自車情報)を検知する。GPS受信機6は、複数のGPS衛星から発信される各衛星の軌道情報や時刻情報等を受信し、その情報から自車V1の現在位置、進行方向等を計算する。GPS受信機6は、主として、アンテナ部(図示せず)、高周波部(図示せず)、信号復調部(図示せず)および測位計算部(図示せず)からなる。
【0018】アンテナ部は、GPS衛星から微弱な電波を受信し、増幅する。高周波部は、増幅された高周波信号を中間周波数信号に変換し、さらに増幅する。信号復調部は、信号を復調し、GPS受信機6とGPS衛星との距離を計算する。測位計算部は、GPS衛星との距離と航法メッセージに基づいて、自車V1の現在位置、速度および時刻、さらに現在位置と過去の現在位置データから自車V1の進行方向を計算する。そして、GPS受信機6は、この現在位置や進行方向の情報をCPU7に送信する。
【0019】以上、本実施の形態に係る自車位置検知手段には、GPS受信機6による電波航法を用いた。しかし、自車位置検知手段は、この形態のものに限定されるものでは無い。したがって、より精度を高めるために、距離センサと方位センサによる自立航法を付加したハイブリッド航法を用い、電子地図データを利用したマップマッチングを行って自車V1の現在位置等の検知を行ってもよい。
【0020】CPU7は、ROM8に記憶された警報処理プログラムをRAM(図示せず)にロードし、警報処理プログラムを実行し、警報装置1を統括制御する。なお、警報処理プログラムは、警報装置1の全処理を行うためのプログラムであり、主として、自車V1の周囲の情報を収集する情報収集プログラム、警報すべきか否かを判断する判断プログラム、および警報音を出力する警報音出力プログラムからなる。
【0021】ちなみに、情報収集プログラムは、障害物検知手段2や車車間通信装置4等で自車V1の周囲の情報(他車情報等)を収集するため、あるいはGPS受信機6による自車V1の情報(自車情報)を収集するためのプログラムである。判断プログラムは、前記他車情報等と自車情報から、自車V1の周囲にある対象物が自車V1と衝突または接触する可能性があるか否かを判断するプログラムである。警報音出力プログラムは、警報すべき対象物があると判断された場合に、所定の警報音データをスピーカ11から音響信号として出力するプログラムである。つまり、この警報音出力プログラムにより、警報すべき対象物があると判断された場合に、まず、自車V1と警報すべき対象物の位置関係から警報音の音像を定位させる方向(警報音定位方向)が特定される。そして、この警報音定位方向に対応する警報音データが、ROM8から選択され、かつ読み出されてスピーカ11から音響信号として出力される。
【0022】ROM8は、警報音データや警報処理プログラム等が記憶されるメモリである。なお、警報音データとは、任意の方向に警報音の音像を定位させるべく補正された警報音に関するデータの意味であり、ディジタルデータとして記憶されている。ちなみに、本実施の形態に係る警報装置1では、自車V1の正面方向F1(図2参照)を0°とし、左右10°間隔毎に分割した各方向に音像を定位させる複数の警報音データを記憶している。このように、予め複数の警報音データを作成して記憶させておくことにより、対象物となる他車等が検知される度に演算処理を行う手段が不要となる。そのため、システム構成上、警報装置1の簡素化、さらに処理速度の向上を図ることが可能になる。
【0023】D/A9は、CPU7で選択され、かつ読み出された警報音データ(ROM8に記憶されている警報音データ)をアナログデータに変換する。つまり、CPU7によってROM8から読み出された警報音データは、D/A9に送信されると、D/A9によってアナログ変換される。そして、このアナログ変換された警報音データが、AMP10に送信される。
【0024】AMP10は、アナログ変換された警報音データを増幅し、スピーカ11に各々送信する。スピーカ11は、例えば、自車V1の車内前部に設けられており、警報音データを音響信号として左右の方向からドライバDに出力する。なお、本実施の形態に係るスピーカ11は、自車V1の車内前部における左右のスピーカ11a,11bからなる。スピーカ11a,11bは、アナログ変換された警報音データを電気信号から音響信号に変換して、空間に放射する。警報装置1は、この左右のスピーカ11a,11bから発する音響信号を操作し、ドライバDの左右の耳に達する音響信号に、時間差や強度差を生じさせ、所定の方向に音像を定位させてドライバDに危険認識を促すものである。この音像の定位について簡単に説明する。
【0025】人間は、音を聞く場合、左右の耳に到達する音響信号の時間差と強度差から音源の方向を認識している。そのため、左右の耳に到達する音響信号に、時間差と強度差を生じさせ、かつ、この時間差と強度差を変えることによって音像を任意の位置に変えることができる。これを音像の定位という。
【0026】また、音は広い周波数成分を含んでおり、頭部伝達関数によって、前記した音響信号の時間差と強度差を生じさせる周波数特性を持った警報音の音響信号を求めることができる。本実施の形態に係る警報装置1は、複数の方向に音像を定位させる複数の警報音データを頭部伝達関数の利用によって求め、かかる警報音データをディジタルデータとしてROM8に記憶している。つまり、これら各警報音データを音響信号として適宜出力すると、ドライバDの左右の耳に対し、それぞれ異なった形で音響信号の時間差と強度差を生じさせる。その結果、このドライバDは、各警報音データに対応する各方向に警報音の音像があるものと認識する。
【0027】ここで、図4を参照して、警報装置1に用いる頭部伝達関数について説明する。図4は警報装置1に適用した頭部伝達関数の一つのモデルを示す模式図である。具体的には、ドライバDが仮想音源12の位置に音像があるように認識するモデルである。ちなみに、この仮想音源12の方向(位置)が、本実施の形態に係る警報すべき対象物の方向(位置)に相当する。
【0028】図4中のG1L(jw),G1R(jw)は、左側のスピーカ11bから左右の耳DL,DRの鼓膜直近までの音響伝達特性を周波数特性として表した伝達関数である。また、G2L(jw),G2R(jw)は、右側のスピーカ11aから左右の耳DL,DRの鼓膜直近までの音響伝達特性を周波数特性として表した伝達関数である。これらの各伝達関数G1L(jw),G1R(jw),G2L(jw),G2R(jw)は、スピーカ11a,11bの性能や配置位置等から決まる。図4の如く、各伝達関数G1L(jw),G1R(jw),G2L(jw),G2R(jw)を仮定し、所定の周波数特性を持った音響信号S1(jw),S2(jw)を、左右の各スピーカ11a,11bから出力する。すると、音像が任意の位置に定位される。前記所定の周波数特性を持った各音響信号S1(jw),S2(jw)の算出式を数1で示す。
【0029】
【数1】

【0030】頭部伝達関数HL(jw),HR(jw)は、仮想音源12からドライバDの左右の耳DL,DRまでの音響伝達特性を周波数特性として表したものであり、仮想音源12の方向(位置)によって変化する。仮想音源12の方向(位置)を規定すると、この仮想音源12の方向に対応した頭部伝達関数HR(jw),HL(jw)が決まる。左右の耳DL,DRに対する頭部伝達関数HR(jw),HL(jw)の差は、左右の耳DL,DRに入る音響信号の時間差と強度差を生じさせ、音像が所定の方向に定位する要因となる。したがって、頭部伝達関数HR(jw),HL(jw)に対応した各音響信号S1(jw),S2(jw)を数1によって算出し、かつ出力することにより、仮想音源12の方向(位置)に音像を定位させることが可能となる。
【0031】また、本実施の形態の如く仮想音源12の方向(位置)を複数規定した場合、各仮想音源12,・・の方向(位置)に対応した複数の頭部伝達関数HR(jw),HL(jw)が決まる。つまり、これら複数の頭部伝達関数HR(jw),HL(jw)に対応した複数の各音響信号S1(jw),S2(jw)を数1によって算出することにより、複数の仮想音源12,・・に対応し得る。ちなみに、本実施の形態では、警報音の方向(仮想音源12の方向)を自車V1の正面から左右に10°間隔毎の方向(位置)に規定しており、各頭部伝達関数HR(jw),HL(jw)も、この各角度に応じて決定されている。
【0032】ROM8には、これら各音響信号SR(jw),SL(jw)に関するディジタルデータが、警報音データとして記憶される。ただし、このROM8に記憶される警報音データは、音響信号SR(jw),SL(jw)に関するディジタルデータに限定されるものではなく、仮想音源12,・・に対応した各頭部伝達関数HR(jw),HL(jw)に関するディジタルデータを記憶してもよい。
【0033】次に、図5のフローチャートに沿って、警報装置1による警報処理について説明する。ここでは、警報すべき対象物は、二輪車Bとする。また、この二輪車Bと自車V1との位置関係については、図2を参照して説明する。自車V1に搭載する警報装置1の障害物検知手段2が、二輪車Bの存在および、ドライバDを中心とした二輪車Bの方向(対象物情報)を検知する(S10)。一方、GPS受信機6が、自車V1の現在位置等(自車情報)を検知する(S20)。すると、この自車情報、および前記対象物情報は、CPU7に送信される。
【0034】CPU7は、対象物情報と自車情報から、自車V1と二輪車Bとが、衝突または接触する可能性があるか否か(すなわち、二輪車Bが自車V1に対して危険があるか否か)を判断する(S30)。この判断において、CPU7は、二輪車Bの進行方向と自車V1の進行方向、自車V1の方向指示器の左折情報、さらに両車の車速等に基づいて総合的に判断する。例えば、自車V1が方向指示器の左折情報を出し、かつ、二輪車Bが後方から近づいて来る場合には、接触の可能性が高く、非常に危険な状態である。そのため、「衝突予想有」との判断をする。一方、二輪車Bが、自車V1を追い抜き、かつ、離れていっている場合や停止した場合等には、「衝突予想無」との判断をする。
【0035】CPU7により、「衝突予想有」との判断がなされた場合、音響信号をスピーカ11から出力し、ドライバDに二輪車Bの方向(位置)を知らせる(S40)。他方、「衝突予想無」との判断がなされた場合、処理を終了する。図7のフローチャートに沿って、図5における車両用警報装置の警報音出力処理(S40)について詳述する。なお、警報音定位方向については、図2を参照して説明する。
【0036】CPU7は、自車V1の現在位置や進行方向と二輪車B等の対象物の現在位置等から警報音定位方向を算出する(S41)。なお、警報音定位方向とは、ドライバDの現在位置に対する現在の対象物、つまり二輪車B等の存在方向であり、ドライバDの正面方向F1(進行方向)を基準とした角度差で表す(図2のα参照)。
【0037】警報音定位方向が算出されると、CPU7は、ROM8に記憶されている警報音データの中から警報音定位方向に対応する警報音データ、つまり、警報音定位方向に最も近い位置に警報音の音像を定位させる警報音データを選択する(S42)。CPU7によって選択された警報音データは、D/A9に送信されてアナログ変換され、AMP10で増幅されて、スピーカ11a,11bに送られる(図1参照)。スピーカ11a,11bでは、この警報音データを音響信号として出力する(S43)。ここで出力された音響信号は、ドライバDの右耳DRと左耳DLに音響信号の時間差と強度差を生じさせる。その結果、ドライバDは、二輪車Bの方向である警報音定位方向から警報音が聞こえてくると認識し、この方向に注意を傾ける。
【0038】次に、複数の対象物、例えば、対向車線を走る自動車V2や、自車V1の前を直進する他の自動車V3が存在する状況での警報処理について図6のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、この状況での自車V1、他の自動車V2,V3の位置関係については、図3を参照する。また、図3で示す他の自動車V2,V3は、現在位置を検知する手段(GPS受信機等)および車車間通信装置を備えているものとする。ちなみに、図3では、交差点CPにおいて、警報装置1を搭載した自車V1が直進し、対向車線を走行してきた他の自動車V2が右折する場合を示している。
【0039】まず、図6で示す如く、他の自動車V2,V3は、GPS受信機等を用いて現在位置および進行方向等(他車情報)を検知する。さらに、他の自動車V2,V3は、車車間通信装置を用いて他車情報を自車V1に送信する。ちなみに、他車情報は、他の自動車V2等の現在位置、進行方向、車速、方向指示器、識別番号等の情報である。
【0040】自車V1に搭載された警報装置1は、車車間通信装置4で他車情報を受信する(S50)。なお、この警報装置1は、障害物検知手段2等を備えるため、他車情報の検知を、障害物検知手段2等にて行うこともできる(S50)。警報装置1で検知された他車情報は、CPU7に送信される(図1参照)。一方、警報装置1は、GPS受信機6によって自車V1の現在位置等の情報(自車情報)を検知する(S60)。この自車情報は、CPU7(図1参照)に送信される。
【0041】CPU7は、自車V1と他の自動車V2,V3とが、衝突または接触する可能性があるか否か、すなわち、他の自動車V2,V3が、自車V1に対して危険があるか否かを判断する(S70)。なお、図3で示す状況の場合、CPU7は、他の自動車V2,V3に対して各々判断する。つまり、他の自動車V2に対しては、自車V1の進行方向と他の自動車V2の進行方向、方向指示器の右折情報および両車の車速等から、衝突する可能性があると判断する。一方、他の自動車V3に対しては、両車の現在位置が離れており、かつ、進行方向も同一のため、衝突(または接触)する可能性はないと判断する。
【0042】CPU7は、衝突(または接触)する可能性があると判断した場合、つまり、「衝突予想有」と判断した場合には、音響信号をスピーカ11から出力し、ドライバDに他の自動車V2の方向(位置)を知らせる(S80)。他方、衝突(または接触)する可能性はないと判断した場合、つまり、「衝突予想無」と判断した場合には、処理を終了する。ちなみに、図6のフローチャートに示す車両用警報装置の警報音出力処理(S80)は、図7を参照して説明した車両用警報装置の警報音出力処理(S40)の流れと実質的に同一であるため、詳細説明は省略する。
【0043】以上の警報装置1によれば、ドライバDに自車V1の周囲に存在する警報すべき対象物の方向(位置)を、警報音にて知らせることができる。そのため、ドライバDは、視覚を拘束されることなく、危険となる対象物を事前に安全な手段で知ることができ、交通事故が低減する。また、警報装置1は、左右のスピーカ11a,11bから出力する音響信号により、所定の方向に警報音の音像を定位させるものである。さらに、この警報装置1では、警報音定位方向を複数規定し、各方向に対応した複数の警報音データを予め記憶しているので、警報音を作成する手段を必要としない。そのため、警報装置1は、安価なシステム構成で警報音を出力することでき、かつ、対象物の方向を精度良く、ドライバDに認識せしめる。また、本実施の形態に係る警報装置1によれば、処理速度の向上も望める。
【0044】以上、本発明に係る警報装置を、実施の形態に基づいて具体的に説明した。しかし、本発明は、前記の実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。例えば、前記実施の形態の如く、障害物検知手段、歩行者検知手段、車車間通信装置を全て備える必要は必ずしも無く、対象物の検知を行うための手段が少なくとも一つあれば足りる。また、自車位置検知手段も、GPS受信機6に限定されるものではなく、他の手段を利用することもできる。
【0045】
【発明の効果】本発明に係る車両用警報装置によれば、予め記憶した複数の警報音データの中から、対象物の方向に合致した警報音データを選択し、かつ、この警報音データの出力により、所定の位置に警報音の音像を定位させることが可能となる。そのため、対象物を検知する度に行われていた音像定位のための演算処理が不要となり、システム構成における簡略化、処理速度の向上を図ることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年6月16日(1999.6.16)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
【公開番号】 特開2001−1851(P2001−1851A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−169848