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【発明の名称】 分割型バンパーレインフォース
【発明者】 【氏名】井坂 守

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バンパーの補強メンバーを構成し、樹脂製外皮部材で被覆される部材であって、上下一対のチャンネル部材を略垂直のプレート部材で連結一体化して構成されることを特徴とする分割型バンパーレインフォース。
【請求項2】 前記上下一対のチャンネル部材をこれらの各幅方向両端に形成されたフランジ部が対向するように向かい合わせ、両チャンネル部材の同側のフランジ部同士を前記プレート部材で連結することによって断面C型に成形されることを特徴とする請求項1記載の分割型バンパーレインフォース。
【請求項3】 前記上下一対のチャンネル部材とプレート部材とを溶接にて接合一体化したことを特徴とする請求項1又は2記載の分割型バンパーレインフォース。
【請求項4】 前記上下一対のチャンネル部材を高張力鋼板のプレス成形品とし、前記プレート部材を軟鋼板で構成するとともに、該プレート部材の厚さを前記チャンネル部材のそれよりも薄く設定したこと特徴とする請求項1,2又は3記載の分割型バンパーレインフォース。
【請求項5】 材質と寸法及び形状が同一である1種類の部材で前記上下一対のチャンネル部材を構成したことを特徴とする請求項1〜3又は4記載の分割型バンパーレインフォース。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用バンパーの補強メンバーを構成する分割型バンパーレインフォースに関する。
【0002】
【従来の技術】車両の前後に設けられる保護部材及び意匠部材としてのバンパーは、その機能を果たすべくフレーム等の強度部材に取り付けられるが、一般には補強メンバーとしてのレインフォースとクッション材とを樹脂製の表皮部材で覆って構成されている。
【0003】ところで、バンパーの補強メンバーを構成する前記レインフォースは図11〜図13に示すように構成されていた。尚、図11〜図13は従来のレインフォースの横断面図である。
【0004】即ち、図11に示すレインフォース11は、両端にフランジ部11a,11a’、11b,11b’を有する2つのハット型プレス成形品11A,11Bをフランジ部11a,11a’、11b,11b’で接合することによって構成され、図12に示すレインフォース21は一体プレス成形によって断面C型に成形され、又、図13に示すレインフォース31はロール成形によって四角形閉断面形状に成形されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図11に示したレインフォース11は、製品強度向上に寄与しない部分にフランジ部11a,11a’、11b,11b’を有するため、そのフランジ部11a,11a’、11b,11b’の分だけ断面形状が大きくなって高重量化するとともに、レイアウト性が悪く、金型費も高くなるという問題があった。
【0006】又、図12に示すレインフォース21は一体プレス成形によって得られるため、プレス成形工程が多くなって金型費が高くなるばかりか、特に材質として高張力綱板を使用する場合には、材料の伸びが小さいために破断したり、シワが発生したりし易く、バンパー形状に沿ったキャンバー形状に成形することが難しいために形状自由度が低いという問題があった。
【0007】更に、図13に示すレインフォース31はロール成形によるために一定の断面形状しか得られず、製品の長手方向で最適断面に形状変化させることができないために形状自由度が低く、又、重量も重くなるという問題があった。
【0008】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、必要強度を確保した上で小型・軽量化とコストダウン及び形状自由度の向上を図ることができる分割型バンパーレインフォースを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、バンパーの補強メンバーを構成し、樹脂製外皮部材で被覆される分割型バンパーレインフォースを、上下一対のチャンネル部材を略垂直のプレート部材で連結一体化して構成したことを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記上下一対のチャンネル部材をこれらの各幅方向両端に形成されたフランジ部が対向するように向かい合わせ、両チャンネル部材の同側のフランジ部同士を前記プレート部材で連結することによって当該分割型バンパーレインフォースを断面C型に成形したことを特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記上下一対のチャンネル部材とプレート部材とを溶接にて接合一体化したことを特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明において、前記上下一対のチャンネル部材を高張力鋼板のプレス成形品とし、前記プレート部材を軟鋼板で構成するとともに、該プレート部材の厚さを前記チャンネル部材のそれよりも薄く設定したこと特徴とする。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項1〜3又は4記載の発明において、材質と寸法及び形状が同一である1種類の部材で前記上下一対のチャンネル部材を構成したことを特徴とする。
【0014】本発明者の解析によれば、バンパーレインフォースに衝撃が加わる側を前面とすると、該バンパーレインフォースにおいて強度寄与率が高い部位は前面コーナー部(曲げ部分)と上下面であり、前面の強度寄与率は他の部位に比して低いことが明らかとなった。
【0015】従って、請求項1〜3記載の発明によれば、バンパーレインフォースを強度寄与率の高い上下のチャンネル部材と強度寄与率の低い略垂直のプレート部材とに3分割し、これらを接合一体化して分割型バンパーレインフォースを構成したため、必要部のみを効率良く補強する合理的な設計が可能となって必要な強度を確保しつつ小型・軽量化を実現することができる。そして、分割されたチャンネル部材とプレート部材を個別に成形することができるために各部材に高い成形性が確保されるとともに、これらをスポット溶接等によって接合一体化することによって当該分割型バンパーレインフォースが得られるため、該分割型バンパーレインフォースの形状自由度が高められ、これを長手方向で最適断面に形状変化させることも可能となる。
【0016】又、請求項4記載の発明によれば、強度寄与率に応じて材質と板厚を最適に選択することによって極限設計が可能となり、特に強度寄与率の低いプレート部材を安価な軟鋼板で構成してその厚さをチャンネル部材のそれよりも薄くすることによって当該分割型レインフォースの軽量化とコストダウンを図ることができる。
【0017】更に、請求項5記載の発明によれば、材質と寸法及び形状が同一である1種類の部材で上下一対のチャンネル部材を構成したため、部品の共通化が可能となって金型費及びプレス費が削減され、当該分割型バンパーレインフォースのコストダウンが図られる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】図6は車両用フロントバンパー10の横断面図であり、該フロントバンパー10は、本発明に係る分割型バンパーレインフォース1を補強メンバーとして備え、該分割型バンパーレインフォース1をクッション材2と共に樹脂製の外皮部材3によって覆って構成されている。そして、このフロントバンパー10は、分割型バンパーレインフォース1が車体フレーム等の強度部材に取り付けられることによって車両の前部に設けられ、車体の保護部材及び意匠部材として機能する。尚、図6においては、左方向が車体前方向である。
【0020】次に、本発明に係る前記分割型バンパーレインフォース1の詳細を図1〜図5に基づいて説明する。
【0021】尚、図1は本発明に係る分割型バンパーレインフォース1の分解斜視図、図2は同分割型バンパーレインフォース1の斜視図、図3は同分割型バンパーレインフォース1の部分正面図(図2の矢視A方向の図)、図4は図3のB−B線断面図、図5は図3のC−C線断面図である。
【0022】本発明に係る分割型バンパーレインフォース1の構成要素は、図1に示すように上下一対のチャンネル部材1A,1A’と、略垂直に配されるプレート部材1Bに3分割されており、上下一対のチャンネル部材1Aと1A’をプレート部材1Bで連結一体化することによって図2に示すような分割型バンパーレインフォース1が構成される。
【0023】ところで、上下一対のチャンネル部材1A,1A’とプレート部材1Bは図6に示す前記フロントバンパー10のキャンバー形状に沿って円弧状に成形されており、チャンネル部材1A,1A’は高張力鋼板をプレス成形することによってチャンネル状に成形され、それぞれの幅方向両端(車体の前後方向両端)にはフランジ部1a,1b、1a’,1b’がそれぞれ形成されている。
【0024】又、チャンネル部材1A,1A’の前面側(車両の前面側)フランジ部1a,1a’の各前面には剛性を高めるための複数の凸部1c,1c’が適当なピッチで一体に形成されている。尚、本実施の形態においては、チャンネル部材1Aと1A’は材質と寸法及び形状が同一である1種類の部材で構成されており、これらは同一の金型によってプレス成形され、部品の共通化が図られている。
【0025】一方、前記プレート部材1Bは通常の軟鋼板を切断及び曲げ加工して得られ、図5に示すように、該プレート部材1Bの板厚t1 はチャンネル部材1A,1A’の板厚t2 よりも薄く設定されている(t1 <t2 )。尚、本実施の形態では、プレート部材1Bの板厚t1 は0.8mm、チャンネル部材1A,1A’の板厚t2 は1.2mmに設定されている。
【0026】而して、上下一対のチャンネル部材1A,1A’をこれらの各幅方向両端に形成されたフランジ部1aと1a’及び1bと1b’が相対向するように向かい合わせて上下に配し、これらのチャンネル部材1A,1A’の前面側フランジ部1a,1a’の各内面に前記プレート部材1Bを当て、チャンネル部材1A,1A’の前面側フランジ部1a,1a’の外面から適当なピッチでスポット溶接を行う(スポット溶接位置は図2及び図3において×印にて示される)ことによって、上下一対のチャンネル部材1A,1A’が略垂直なプレート部材1Bによって連結一体化されて断面C型の分割型バンパーレインフォース1が得られる。尚、本実施の形態ではチャンネル部材1A,1A’とプレート部材1Bとをスポット溶接にて接合一体化したが、スポット溶接の他、MIG溶接やTIG溶接等の連続溶接によってチャンネル部材1A,1A’とプレート部材1Bとを接合一体化しても良い。
【0027】而して、以上のように構成される分割型バンパーレインフォース1は、図6に示すようにクッション材2と共に樹脂製の外皮部材3によって覆われて車両用フロントバンパー10の補強メンバーとして機能する。
【0028】ところで、本発明者の解析によれば、バンパーレインフォースに衝撃が加わる側を前面とすると、該バンパーレインフォースにおいて強度寄与率が高い部位は前面コーナー部(曲げ部分)(図5のa,a’部分)と上下面(図5のb,b’部分)であり、前面(図5のc部分)の強度寄与率は他の部位に比して低いことが明らかとなった。
【0029】本発明は上記知見を得てなされたものであって、構成要素を上下一対のチャンネル部材1A,1A’と略垂直のプレート部材1Bとに3分割し、強度寄与率の高い部位に上下一対のチャンネル部材1A,1A’を配するとともに、これらを高張力鋼板のプレス成形品とし、他方、強度寄与率の低い部位にプレート部材1Bを配してこれを通常の軟鋼板で構成するとともに、該プレート部材1Bの板厚t1 をチャンネル部材1A,1A’の板厚t2 よりも薄く設定した(t1 <t 2)。
【0030】以上のように、本実施の形態では3分割されたチャンネル部材1A,1A’とプレート部材1Bの強度寄与率に応じてそれらの材質と板厚を最適に選択するようにしたため、合理的な極限設計が可能となり、当該分割型バンパーレインフォース1に必要十分な強度を確保した上で、該分割型バンパーレインフォース1の小型・軽量化とコストダウンを図ることができる。特に、強度寄与率の低いプレート部材1Bを安価な軟鋼板で構成してその厚さt1 をチャンネル部材1A,1A’の厚さt 2よりも薄くしたため、当該分割型レインフォース1の一層の軽量化とコストダウンが図られる。尚、本実施の形態では、従来品で最も軽量とされるロール成形品(図13に示すもの)に対して30%の軽量化が実現された。
【0031】又、分割型レインフォース1の更なる軽量化を図るために図7に示すようにプレート部材1Bの不必要な箇所に孔1dを形成したり、図8及び図9に示すように断面ハット型に成形されたプレート部材1B’,1B”を用いてこれらの剛性を高めることによって該プレート部材1B’,1B”の板厚を更に薄くするようにしても良い。
【0032】ここで、図10に本実施の形態に係る分割型バンパーレインフォース1の強度特性(変位−荷重特性)を従来のバンパーレインフォース(ロール成形品)との比較において示すが、同図に示すように、本実施の形態に係る分割型バンパーレインフォース1には従来のバンパーレインフォースと同等以上の強度が確保される。
【0033】又、本実施の形態に係る分割型バンパーレインフォース1の製造に際しては、分割されたチャンネル部材1A,1A’とプレート部材1Bを個別に成形することができるため、これらのチャンネル部材1A,1A’とプレート部材1Bにそれぞれ高い成形性が確保される。そして、これらのチャンネル部材1A,1A’とプレート部材1Bをスポット溶接によって接合一体化することによって分割型バンパーレインフォース1が得られるため、該分割型バンパーレインフォース1の形状自由度が高められ、これを長手方向で最適断面に形状変化させることも可能となる。
【0034】更に、本実施の形態では、材質と寸法及び形状が同一である1種類の部材で上下一対のチャンネル部材1A,1A’を構成したため、部品の共通化が可能となって金型費及びプレス費が削減され、当該分割型バンパーレインフォース1の更なるコストダウンが図られる。
【0035】尚、以上は特に車両用フロントバンパーに設けられる分割型バンパーレインフォースについて述べたが、車両用リヤバンパーに設けられる分割型バンパーレインフォースも前記と同様に構成され、前記と同様の効果が得られることは勿論である。
【0036】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば、バンパーの補強メンバーを構成し、クッション材と共に樹脂製外皮部材で被覆されるバンパーレインフォースを、上下一対のチャンネル部材を略垂直のプレート部材で連結一体化して構成したため、該分割型バンパーレインフォースに必要強度を確保した上で、該分割型バンパーレインフォースの小型・軽量化とコストダウン及び形状自由度の向上を図ることができるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
【出願日】 平成11年6月21日(1999.6.21)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
【公開番号】 特開2001−1847(P2001−1847A)
【公開日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【出願番号】 特願平11−173563