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【発明の名称】 産業車両の走行制御装置
【発明者】 【氏名】石川 和男

【要約】 【課題】産業車両の旋回時に車両の加速度を小さく抑え、車両旋回時に運転者が横方向に受ける力を緩和する。

【解決手段】コントローラ50内のマイコン60は、操舵角センサ59の検出信号を基に駆動操舵輪12の操舵角θを検出する。アクセルレバー24の操作量を検出するアクセルセンサ51からの検出信号を基に把握するアクセル開度Accと、回転数センサ57からの検出信号を基に把握するモータ回転数Nとを2つのパラメータとし、マイコン60はマップを参照して目標トルク(モータトルク)を求める。操舵角θがトルク制限角度領域(右操舵θ≧60゜または左操舵θ≧80゜)内にあるときは、走行用モータ21を制御する際の目標トルクおよびトルク上昇速度を制限する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 産業車両の駆動輪を駆動する駆動手段を操作手段の操作に基づいて制御する産業車両の走行制御装置において、車両の旋回を予測または検出するための検出値を得るための検出手段と、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときには、車両旋回時の車両の加速度を制限すべく前記駆動輪の最大駆動力を制限するよう前記駆動手段を制御する制御手段とを備えた産業車両の走行制御装置。
【請求項2】 前記制御手段は、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときには、前記駆動手段の最大出力トルクが、直進走行時に比べ小さく制限されるように前記駆動手段を制御する請求項1に記載の産業車両の走行制御装置。
【請求項3】 前記制御手段は、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときには、前記駆動手段のトルク上昇速度が、直進走行時に比べ小さく制限されるように前記駆動手段を制御する請求項1に記載の産業車両の走行制御装置。
【請求項4】 前記制御手段は、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときには、前記駆動手段の最大出力トルクとトルク上昇速度の両方が、直進走行時に比べ小さく制限されるように前記駆動手段を制御する請求項1に記載の産業車両の走行制御装置。
【請求項5】 前記検出手段は、産業車両の操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段であって、前記制御手段は、前記操舵角検出手段により検出された操舵角を基に車両の旋回を予測する請求項1〜4のいずれか一項に記載の産業車両の走行制御装置。
【請求項6】 前記制御手段は、前記操作手段の操作量に応じて決まる前記駆動手段の出力値を小さく制限するように前記駆動手段を制御する請求項1〜5のいずれか一項に記載の産業車両の走行制御装置。
【請求項7】 産業車両の駆動輪を駆動する電動モータを操作手段の操作に基づいて制御する産業車両の走行制御装置において、産業車両の操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記操舵角検出手段により検出された操舵角を基に車両旋回時の車両の加速度を制限すべく前記駆動輪の最大駆動力を制限するよう前記電動モータを制御する制御手段とを備えた産業車両の走行制御装置。
【請求項8】 産業車両は前輪と後輪のうち一方が駆動操舵輪であり、前輪と後輪のうち前記駆動操舵輪寄りに配置された運転席が立席式である請求項1〜7のいずれか一項に記載の産業車両の走行制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リーチ型フォークリフトトラック等の産業車両において、急加速や急発進を防ぐ走行制御を行う産業車両の走行制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばリーチ型フォークリフトトラック(以下、リーチ型フォークリフトという)は、車体の前方に延出する左右一対のリーチレグを有し、フォークを備えるマスト装置は一対のリーチレグに沿って前後移動可能に装備されている。左右の前輪(従動輪)はリーチレグの先端部に支持されており、後輪は駆動操舵輪となっている。車体後部に設けられた運転席は立席タイプで、オペレータは運転席に立った状態で乗車する。
【0003】フォークリフトが旋回するときは駆動操舵輪があるタイヤ角に切られ、この状態で駆動操舵輪が駆動されることにより、車両は車体後部を斜め前方へ大きく振るように旋回する。フォークリフトは小回り性能が要求されるため、駆動操舵輪は比較的大きな操舵角(例えば約80゜以上)まで切れるようになっている。旋回時は、車体後部に位置する運転席が比較的大きく動くので、車両旋回時に運転者の身体が横に振られ易かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、リーチ型フォークリフトを発進させるとき、アクセルレバーの操作量が同じでも、駆動操舵輪が切られて操舵角が大きいときは直進時に比べ急発進し易い。これは、駆動操舵輪の操舵角が大きくなるにつれて、旋回する際における前輪(従動輪)の走行距離が駆動操舵輪(後輪)の走行距離に比べ小さくなり、前輪の走行距離が小さくなるに従って車両の発進抵抗が小さくなるからである。車体を加速する力は駆動操舵輪の駆動力から発進抵抗を差し引いたものであるから、アクセルレバーの操作量が同じでも操舵角が大きいときほど車体加速度が大きくなる。
【0005】またリーチ型フォークリフトでは、ハンドル(ステアリングホイール)が2回転以上回転可能なので、ハンドルの位置を見ただけでは駆動操舵輪の操舵角が分からない。また運転席からは駆動操舵輪が見えずその操舵角を確認することができない。従って、リーチ型フォークリフトの場合、一旦停止すると駆動操舵輪の向きが分からないだけに、駆動操舵輪が切られた状態にあるにも拘わらず直進のつもりでアクセルレバーを最大まで倒すと、旋回しながら急発進し、オペレータの身体が横に振られ、危険ではないがオペレータの身体が運転席の内側壁に押しつけられたり、驚いてしまうという問題があった。また発進時だけでなく旋回走行中にアクセルレバーを加速操作したり、旋回走行中にアクセルレバーを進行方向と反対側に操作するスイッチバック操作をしたときにも、オペレータの意に反して急加速となったり急制動となって、車両が旋回しながら急な加速度の発生が起こり得た。
【0006】なお、従来技術として、駆動操舵輪のスリップを検出すると走行用モータ(電動モータ)の駆動トルクを低減する走行制御装置(特開平2−299402号公報、特開平3−27701号公報、特開平11−178120号公報等)が知られている。しかし、これらの従来技術はいずれも、駆動操舵輪のスリップ検出時に駆動トルクを低減するものの、操舵角が大きいときに走行用モータの駆動トルクが常に制限される訳ではないので、上記のような問題が同様にあった。
【0007】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両旋回時に車両の加速度を小さく抑え、車両旋回時に運転者が横方向に受ける力を緩和することができる産業車両の走行制御装置を提供することができる産業車両の走行制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、産業車両の駆動輪を駆動する駆動手段を操作手段の操作に基づいて制御する産業車両の走行制御装置において、車両の旋回を予測または検出するための検出値を得るための検出手段と、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときには、車両旋回時の車両の加速度を制限すべく前記駆動輪の最大駆動力を制限するよう前記駆動手段を制御する制御手段とを備えている。
【0009】この構成によれば、制御手段により検出手段の検出値を基に車両の旋回が予測または検出されると駆動手段が制御され、駆動輪の最大駆動力が制限される。このため、車両旋回時の加速度(減速度も含む)が小さく抑えられる。例えば操舵輪が切られた状態にあるとは知らず直進のつもりで発進時に操作手段を大きく操作しても、運転者の意に反して車両が急発進することが回避される。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときには、前記駆動手段の出力トルクが直進走行時に比べ小さく制限されるように前記駆動手段を制御することを要旨とする。
【0011】この構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、制御手段により、検出手段の検出値を基に車両の旋回が予測または検出されると駆動手段が制御され、駆動手段の出力トルクが直進走行時に比べ小さく制限される。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときには、前記駆動手段のトルク上昇速度が、直進走行時に比べ小さく制限されるように前記駆動手段を制御することを要旨とする。
【0013】この構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、制御手段により、検出手段の検出値を基に車両の旋回が予測または検出されると駆動手段が制御され、駆動手段のトルク上昇速度が直進走行時に比べ小さく制限される。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときには、前記駆動手段の最大出力トルクとトルク上昇速度の両方が、直進走行時に比べ小さく制限されるように前記駆動手段を制御することを要旨とする。
【0015】この構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、制御手段により、検出手段の検出値を基に車両の旋回が予測または検出されると駆動手段が制御され、駆動手段の最大出力トルクとトルク上昇速度の両方が直進走行時に比べ小さく制限される。このため、車両旋回時の加速度が効果的に小さく抑えられる。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記検出手段は、産業車両の操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段であって、前記制御手段は、前記操舵角検出手段により検出された操舵角を基に車両の旋回を予測することを要旨とする。
【0017】この構成によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明の作用に加え、操舵角検出手段により産業車両の操舵輪の操舵角が検出される。制御手段は、操舵角検出手段により検出された操舵角を基に車両の旋回を未然に予測する。このため、駆動輪の最大駆動力を制限する駆動手段の制御が早期に開始される。よって、車両旋回時の加速度が遅れなく小さく抑えられる。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記操作手段の操作量に応じて決まる前記駆動手段の出力値を小さく制限するように前記駆動手段を制御することを要旨とする。
【0019】この構成によれば、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明の作用に加え、車両の旋回が予測または検出されたときは、制御手段により駆動手段が制御され、操作手段の操作量に応じて決まる駆動手段の出力値が小さく制限される。このため、車両旋回時には例えば操作手段の操作量に合った適切な加速度に小さく抑えられる。
【0020】請求項7に記載の発明は、産業車両の駆動輪を駆動する電動モータを操作手段の操作に基づいて制御する発明において、産業車両の操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記操舵角検出手段により検出された操舵角を基に車両旋回時の車両の加速度を制限すべく前記駆動輪の最大駆動力を制限するよう前記電動モータを制御する制御手段とを備えている。
【0021】この構成によれば、操舵角検出手段により産業車両の操舵輪の操舵角が検出される。操舵角検出手段により検出された操舵角を基に制御手段により電動モータが制御され、駆動輪の最大駆動力が制限される。このため、車両旋回時の車両の加速度(減速度も含む)が小さく抑えられる。例えば操舵輪が切られた状態にあるとは知らず直進のつもりで発進時に操作手段を大きく操作しても、運転者の意に反して車両が急発進することが回避される。
【0022】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明において、産業車両は前輪と後輪のうち一方が駆動操舵輪であり、前輪と後輪のうち前記駆動操舵輪寄りに配置された運転席が立席式であることを要旨とする。
【0023】この構成によれば、産業車両は旋回時は駆動操舵輪が外回りとなるような旋回をする。このため、立席式の運転席に立つ運転者は横に大きく振られ易いが、車両の旋回時には駆動輪の最大駆動力が制限され、車両旋回時の加速度が小さく抑えられるため、不安定な運転姿勢にある運転者が横方向に受ける力が小さく緩和される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明をリーチ型フォークリフトトラックの走行制御装置に具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0025】図2,3に示すように、産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラック(以下、リーチ型フォークリフトという)10は、従動輪である左右の前輪11,11と、駆動輪及び操舵輪としての駆動操舵輪(後輪)12とを備えた三輪車である。駆動操舵輪12は車幅中心よりやや左側にずれて位置し、その右隣には所定距離離れて補助輪(キャスタ輪)13が設けられている。
【0026】車体14には前方へ延出する左右一対のリーチレグ14Aが設けられている。左右の前輪11,11は各リーチレグ14Aの先端部にそれぞれ支持されている。両リーチレグ14Aの間にはマスト装置15が前後方向にリーチ動作可能な状態で装備されている。マスト装置15は、車体14の後部下側に設けられたリーチシリンダ16の駆動によってリーチ動作する。マスト装置15は、マスト17とリフトシリンダ18とフォーク19等を備え、マスト17がリフトシリンダ18の駆動によって上下方向にスライドして伸縮することによりフォーク19はこれに連動して昇降する。
【0027】車体14の後部左側には、駆動操舵輪12を駆動するためのドライブユニット20が設けられている。ドライブユニット20は駆動手段及び電動モータとしての走行用モータ21を上部に備え、走行用モータ21によりドライブユニット20の下部に支持された駆動操舵輪12が駆動される。なお、本実施形態では走行用モータ21として交流誘導モータを使用している。
【0028】また車体14の後部右側には立席式の運転席22が設けられている。運転席22の前側には操作盤23が設けられ、操作盤23には操作手段としてのアクセルレバー24及び荷役レバー25が設けられている。また運転席22の左側にはハンドル26が設けられ、ハンドル26を操作することによって駆動操舵輪12が操舵される。
【0029】図1に示すように、ドライブユニット20とキャスタ輪13は、サスペンション機構27によって互いに上下逆向きに変位可能な状態で支持されている。サスペンション機構27は、積荷の有無など荷役状態の違いにより車両後部の重量が変化しても、駆動操舵輪12に必要な輪重が確保されるように駆動操舵輪12とキャスタ輪13の輪重を配分する。
【0030】サスペンション機構27は、ドライブユニット20を上下変位可能に支持するドライブユニットサポート28と、キャスタ輪13を上下変位可能に支持するキャスタアーム29とを備えている。ドライブユニットサポート28は、車体14に対し回動可能に支持された第1回動軸30と一体回動可能に固定され、車幅方向(図1における左右方向)と直交する平面内を上下に揺動可能に支持されている。キャスタアーム29は、車体14に対し回動可能に支持された第2回動軸31と固定され、車幅方向と直交する平面内を上下に揺動可能に支持されている。第1回動軸30と第2回動軸31は、第1回動軸30に固定されたレバー(図示せず)と、キャスタアーム29に固定されたレバー(図示せず)との係合によって互いに逆向きに回動するように作動連結されている。
【0031】走行用モータ21はドライブユニットサポート28の上面に配置されるとともに、ドライブユニットサポート28の下面には、駆動操舵輪12を下部に回転可能に支持するギヤボックス32がその面内で回動可能(操舵可能)に配置されている。ギヤボックス32の上部にはステアリングギヤ32Aが一体回動可能に設けられ、ステアリングギヤ32Aはハンドル26のステアリングシャフト(図示せず)と作動連結されている。
【0032】ドライブユニットサポート28と車体14との間には、駆動操舵輪12を路面に押圧付勢する予荷重を付与するためのサスペンションバネ35が介装されており、サスペンションバネ35による予荷重により駆動操舵輪12にはキャスタ輪13より常に余分に輪重が付与されるようになっている。また、ドライブユニットサポート28と車体14との間にはロックシリンダ(油圧ダンパ)36が設けられている。ロックシリンダ36に取付けられた電磁弁37が電磁制御されることによりロックシリンダ36がロックされると、サスペンション機構27がロックされるようになっている。
【0033】図1に示すように荷役系油圧回路は、オイルタンク40、荷役用モータ41、油圧ポンプ(荷役用ポンプ)42、リーチ用バルブ43、リフト用バルブ44、チルト用バルブ45、前記各シリンダ16,18およびチルトシリンダ46等で構成されている。各バルブ43〜45は詳しくはオイルコントロールバルブとして一体に組み込まれている。
【0034】荷役用モータ41は油圧ポンプ42を駆動してオイルタンク40の作動油を所定の油圧で各バルブ43,44,45に供給する。各バルブ43〜45は各荷役レバー25の操作によって手動で駆動され、シリンダ16,18,46のうちその操作された荷役レバー25と対応するものの油圧経路の接続先を、荷役レバー25の操作方向に応じて油圧ポンプ42からの供給圧経路とオイルタンク40への排出経路との間で切り換える。
【0035】走行系および荷役系の電気的制御は、図1に示す制御手段としてのコントローラ50により行われる。コントローラ50の入力側には、アクセルセンサ51、進行方向検出スイッチ52,53、リーチスイッチ54、リフトスイッチ55、チルトスイッチ56、駆動輪回転数センサ57,58、操舵角検出手段としての操舵角センサ59が電気的に接続されている。またコントローラ50の出力側には、走行用モータ21、ロック用電磁弁37および荷役用モータ41が電気的に接続されている。
【0036】アクセルセンサ51は、アクセルレバー24のアクセル開度、即ち、中立位置での操作量を「0」として前進側および後進側のアクセル開度Accを検出して出力する。
【0037】進行方向検出スイッチ52,53は、アクセルレバー24が中立位置にあるときに共にオフとなる。スイッチ52はアクセルレバー24が中立位置から前進側に操作されたときにのみオフからオンとなって前進信号SF を出力し、スイッチ53は、アクセルレバー24が中立位置から後進側に操作されたときにのみオフからオンとなって後進信号SR を出力する。
【0038】各スイッチ54〜56は、それぞれ対応する荷役レバー25の操作(但しリフト下降操作は除く)を検知する。コントローラ50は、スイッチ54〜56から荷役レバー25のうちいずれかが操作されたことを検知した検知信号を入力すると、荷役用モータ41を運転する。
【0039】駆動輪回転数センサ57,58は、走行用モータ21の出力軸に固定された図示しないギヤを被検出体として検出することにより、モータ回転数(回転速度)Nに比例する周波数のパルス信号を生成して出力する。各回転数センサ57,58は、被検出体の位相で90゜ずれた位置に並設されており、それぞれからコントローラ50が入力する2つのパルス信号の位相ずれ方向が走行用モータ21の回転方向に応じて反転する。コントローラ50はパルス信号の単位時間当たりの入力パルス数を計数することによりモータ回転数Nを求めると共に、両パルス信号の位相のずれ方向をみることでモータ回転方向、つまり車両の進行方向を判断する。
【0040】操舵角センサ59は、ステアリングギヤ32Aの近傍に設けられ、直進状態を「0」として右操舵および左操舵の操舵角θを検出し、その検出信号をコントローラ50に出力する。
【0041】コントローラ50は、マイクロコンピュータ(以下、単にマイコンという)60と、三相インバータ回路等からなるモータ駆動回路61を内蔵している。マイコン60は図6に示すマップMや図7に示す制御プログラム等をメモリに記憶しており、制御プログラムを実行することによって各種制御を行う。
【0042】マイコン60は進行方向検出スイッチ52,53から入力する前進・後進信号SF ,SR を基にアクセル操作方向に応じたモータ回転方向に走行用モータ21を制御する。またマイコン60は、アクセル開度Accとモータ回転数Nとの2つのパラメータを基に図6のマップMを参照して目標トルク(モータトルク)を求め、この目標トルクと後述するトルク上昇速度とから決まるトルク指令値をモータ駆動回路61に出力することにより、走行用モータ(交流誘導モータ)21をトルク制御する。走行用モータ21はモータ駆動回路61によってトルク指令値に応じた電流・周波数に制御される。
【0043】このマップMでは、アクセル操作方向を正(プラス)方向としており、モータ回転方向がアクセル操作方向と同じ正方向であればそのときのモータ回転数を「正」の値にとり、モータ回転方向がアクセル操作方向と逆である負方向であればそのときのモータ回転数を「負」の値にとる。マップMにおいて、アクセル操作方向が進行方向と同じになってモータ回転数Nが正の値をとる領域が力行モード、アクセル操作方向が進行方向と逆になってモータ回転数Nが負の値をとる領域が回生モードとなる。スイッチバック操作中はこの回生モードとなる。
【0044】マイコン60には目標トルクに立ち上げる(又は立ち下げる)までのトルク上昇速度(又はトルク下降速度)が設定されており、制御サイクル1回毎のトルク増量値(減量値)がトルク上昇速度(又はトルク下降速度)に応じて予め設定されている。
【0045】マイコン60は、図7に示すトルク制限制御プログラムを実行する。トルク制限制御プログラムでは、マイコン60は、操舵角センサ59からの入力信号を基に検出される操舵角θを基に走行用モータ21をトルク制御する際の制御内容の見直しをする。すなわち図6のマップMを参照して目標トルクが決まると、マイコン60は操舵角θを基に車両がある一定以下の小さな旋回半径で旋回する状態になるかどうかを予測し、発進時に車両の旋回が予測される場合は、目標トルクとトルク上昇速度を制限する指令値の見直し処理をする。
【0046】車両の旋回を予測する方法について以下に説明する。図4に示すようにリーチ型フォークリフト10では、駆動操舵輪12が右操舵するときは操舵角θ=80゜まで操舵可能で、左操舵するときは操舵角θ=100゜まで操舵可能となっている。ハンドル26を一杯に切った最大操舵角(右操舵θ=80゜または左操舵θ=100゜)では、左右の前輪11,11間の中心Oを旋回中心とするその場旋回が可能となっている。
【0047】図5は操舵角θと発進抵抗との関係を示すグラフである。このグラフで横軸は操舵角θ、縦軸は発進抵抗である。発進抵抗は、前輪11,11と駆動操舵輪12の走行ころがり抵抗と重量との積で表される。発進抵抗は、操舵角θ=0゜の直進時に最大値fo をとり、操舵角θが大きくなるにつれて値が徐々に小さくなる。
【0048】例えば発進時(モータ回転数N=0)では、アクセルレバー24の操作量から決まる目標トルクに応じた駆動操舵輪12の駆動力から、発進抵抗を差し引くことで発進時に車両を加速させるための力が決まるため、操舵角θが大きいほど発進加速度が大きくなる。このため、運転席22に乗車している運転者が許容を超える力を受けて横方向(左右方向)に振られ難くするように、発進抵抗がfs 以下となる操舵角領域では目標トルクを制限するようにしている。具体的には、右操舵では操舵角θが60゜以上、左操舵では操舵角θが80゜以上の操舵角領域をトルク制限角度領域に設定している。
【0049】そして、トルク制限制御プログラムにおいて、駆動操舵輪12の操舵角θが図4にハッチングで示すトルク制限角度領域にあるときは、目標トルクとトルク上昇速度を制限する設定としている。なお、図5のグラフはマスト装置15をリーチアウトした条件下における発進抵抗を示すもので、リーチインした条件下では発進抵抗が大きくなる側にシフトする。よって、車両旋回時に大きな加速度が発生するより過酷なリーチアウト条件下の発進抵抗に合わせてトルク制限角度領域を設定している。もちろん、マスト装置15のリーチ量を検出するリーチセンサを設け、リーチセンサの検出値に応じてトルク制限角度領域を変更する方法を採用することもできる。
【0050】目標トルクを制限する方法は次のようである。操舵角θが予め設定された閾値を超えてトルク制限角度領域にあるときは、図6の通常運転用のマップMから得られた目標トルクに係数B(例えば0.5 <B<0.9 )を乗じて、目標トルクを通常の値に対し所定割合だけ小さく制限し、走行用モータ21の駆動トルクを制限する。なお、マップから得られた目標トルクを計算処理により制限する方法に代え、予め操舵角θがトルク制限角度領域にあるときに通常運転用のマップに代えてトルク制限用マップを使用することもできる。
【0051】車両運転中はマイコン60は各センサ51,57,58からの入力信号を基にモータ回転数Nとアクセル開度Accを得て、これらのパラメータN,Accを基に図6のマップMを参照して目標トルクを求める。目標トルクが決まると、力行モードにおいて車速Vが急加速の起こり得る設定車速Vs 以下にあるときと、回生モードでは、マイコン60は図7のトルク制限制御プログラムを実行する。以下、トルク制限制御プログラムについて説明する。
【0052】ステップ(以下単に「S」と記す)10においては、操舵角θを検出する。S20においては、操舵角θがトルク制限角度領域内、すなわち右旋回60゜以上または左旋回80゜以上であるか否かを判断する。操舵角θがトルク制限角度領域内であればS30に進み、トルク制限角度領域内になければこのサブルーチンを終了する。
【0053】S30においては、目標トルクを低下する。すなわち図6のマップMを参照して得られた目標トルクに補正係数Bを乗じ、予め設定された割合だけ低減した小さな値に目標トルクを変更する。
【0054】次のS40においては、トルク上昇速度を低下する。すなわち制御サイクル毎に目標トルクを上昇させる増分であるトルク増量値を低下させる。次に、このリーチ型フォークリフトの作用について説明する。
【0055】車両運転(キーオン)状態にあるときは、各種センサ51,52,53,57,58,59等からの検出信号がコントローラ50に入力される。例えばハンドル26が直進付近に操作されたり、駆動操舵輪12の操舵角がトルク制限角度領域外にあるときは、操舵角センサ59からの検出信号を基に操舵角θがトルク制限角度領域外(右操舵θ<60゜または左操舵θ<80゜)にあるとマイコン60は判断する。またハンドル26が一杯近くに切られ、駆動操舵輪12の操舵角がトルク制限角度領域内にあるときは、操舵角センサ59からの検出信号を基に操舵角θがトルク制限角度領域(右操舵θ≧60゜または左操舵θ≧80゜)内にあるとマイコン60は判断する。
【0056】また車両停止状態では、モータ回転数N=0(rpm)かつアクセル開度Acc=0なので、マップMを参照して目標トルク「0」が得られ、走行用モータ21は駆動されず、車両は停止状態に保たれる。
【0057】この状態から運転者がリーチ型フォークリフト10を発進させるため、アクセルレバー24を中立位置から前進側へ一杯近くまで急操作すると、そのときのアクセル開度Accおよびモータ回転数N(=0)を基にマップMを参照して目標トルクが決まるとともに制御サイクル毎のトルク増量値が決まる。
【0058】次にマイコン60は操舵角θがトルク制限角度領域内にあるか否かを判断する。例えば駆動操舵輪12が直進方向を向いていれば、先に決まった目標トルクおよびトルク増量値が採用される。この結果、マップMから求められた通常の目標トルクが得られるように走行用モータ21がトルク制御される。このときは操舵角θがトルク制限角度領域に至っておらず発進抵抗が比較的大きいため、通常の目標トルクで走行用モータ21を制御しても、フォークリフト10は適度な加速で発進する。
【0059】一方、操舵角θがトルク制限角度領域内(θ≧右旋回60゜またはθ≧左旋回80゜)にあったときは、先に決まった目標トルクが予め設定された割合だけ小さく制限されるとともにトルク上昇速度も小さく制限される。この結果、走行用モータ21は、制限された目標トルクまで比較的緩やかな上昇速度で出力トルクが上昇するようにトルク制御される。よって、操舵角θがトルク制限角度領域内にあるときは、図5に示すように発進抵抗(走行抵抗)が値fo 以下と小さいものの、急発進することなくアクセルレバー24の操作量に見合った適切な加速度で発進する。
【0060】よって、駆動操舵輪12が大きく切れているとは知らず、直進のつもりでアクセルレバー24を一杯に急操作しても、旋回急発進することが回避され、直進時と同程度の加速度で旋回発進する。この結果、オペレータが運転席22の内側壁に押しつけられたり、驚くこともなくなる。
【0061】また、発進時に限らず車速Vが設定車速Vs 以下の間は、旋回走行中にアクセルレバー24を加速操作したときにも、操舵角θがトルク制限角度領域内にあれば、目標トルクおよびトルク上昇速度が制限される。この結果、旋回走行中に加速するときでもアクセル操作量に見合った直進時と同程度の加速度で旋回し、オペレータの意に反して急加速することが回避される。
【0062】さらに旋回走行中にアクセルレバー24をスイッチバック操作して回生モードに入ったときにも、操舵角θがトルク制限角度領域内にあれば、目標トルクおよびトルク上昇速度が制限される。この結果、車両旋回中にスイッチバック操作したときは回生制動力が緩和され、スイッチバック操作量に見合った直進時と同程度の制動力で車両が制動される。よって、オペレータの意に反して回生制動力が強く、例えばオペレータが運転席22の内側壁に押しつけられたりすることが回避される。
【0063】以上詳述した本実施形態のリーチ型フォークリフトによれば、以下の各効果を得ることができる。
(1)駆動操舵輪12が大きく切れて操舵角θがトルク制限角度領域内にあるときは、走行用モータ21の目標トルクを小さく制限する制御をするので、車両が急発進することを防止することができる。このため、駆動操舵輪12が大きく切れているとは知らず、直進のつもりでアクセルレバー24を仮に一杯まで急操作しても、旋回を伴う急発進が防止されるため、オペレータが運転席22の内側壁に押しつけられたり、驚いたりすることがなくなる。
【0064】(2)操舵角センサ59を使用したことにより操舵角θから予め発進前に旋回することを予測できるので、発進し始めの最初からトルク制限制御を実行できる。従って、トルク制限制御がアクセルレバー24の発進操作に遅れなく開始され、オペレータの意に反した旋回急発進を確実に回避することができる。
【0065】(3)発進時だけでなく走行中の加速時にも操舵角θがトルク制限角度領域内にあれば目標トルクを制限する制御がなされるので、旋回走行中にアクセルレバー24を一杯まで急操作しても、車両が意に反して急加速することが回避される。
【0066】(4)操舵角θがトルク制限角度領域内にある旋回走行中にアクセルレバー24をスイッチバック操作したときにも、トルク制限制御がなされて回生制動力が緩和されるので、オペレータの意に反した急制動によってオペレータが運転席22の内側壁に押さえつけられたり驚くことを回避できる。
【0067】(5)トルク制限制御は、目標トルクの制限とトルク上昇速度の制限との両方を採用しているので、発進時や走行加速時の旋回急加速を効果的に防ぐことができる。
【0068】(6)走行用モータ21として交流誘導モータを使用し、トルク制御を採用しているので、トルクを直接制御することで制御の精度を高めることができ、旋回急発進や旋回急加速をほぼ確実に防ぐことができる。
【0069】実施の形態は上記に限定されず、例えば次の態様で実施することもできる。
○ 前記実施形態では、操舵角θが閾値を超えたときに限り、目標トルクを制限する制御としたが、例えば全操舵角範囲において操舵角θが大きくなるほど目標トルクを制限する低減率を連続的または断続的に変化させることもできる。もちろん、操舵角θが閾値を超えた範囲において目標トルクの低減率を連続的または断続的に変化させる構成でもよい。また目標トルクの低減率を操舵角θとアクセル開度Accの2つのパラメータに応じて変化させることもできる。
【0070】○ 車両の旋回を予測する操舵角検出手段は、駆動操舵輪12の操舵角を検出する操舵角センサ59に限定されない。例えばハンドル26の操舵角を検出するハンドル角センサを使用することもできる。その他、操舵輪と連動して動きほぼ一義的な位置関係をとるその他の部品の動きを検出して操舵角を求めることもできる。
【0071】さらに操舵角センサ59は駆動操舵輪12の操舵角θを連続的に検出するセンサであったが、このような連続検出可能なセンサに限定されず、スイッチを用いることもできる。例えば駆動操舵輪12が閾値の操舵角に達したことを検知するスイッチを配置し、駆動操舵輪12の操舵と連動して動く部品に設けられた被検出部(ドグ)に当たって前記スイッチがオンしたときに駆動操舵輪12の操舵角が閾値を超えたと判定する。もちろん、スイッチとドグの取付け対象を逆にしてもよい。その他、このようなスイッチを使って操舵角が閾値を超えたことの検知を、駆動操舵輪12と連動するハンドル26などの他の部品について同様の構成を採用することもできる。
【0072】○ 前記実施形態では、駆動操舵輪12の操舵角θのみを考慮してトルク制限制御をしたが、操舵角θとアクセル開度Accとの2つをパラメータとして、トルク制限するか否かを判断をしてもよい。例えば操舵角θが大きいときにはアクセル開度Accが小さくても目標トルクを制限し、操舵角θが小さくてもアクセル開度Accが大きいときには目標トルクを制限する。例えば2つのパラメータθ,Accから発進加速度がある閾値を超えると判断されるようならトルク制限をする。
【0073】○ 操舵角センサ59を用いて操舵角θから車両の旋回を予測する方法に限定されない。車両の旋回を直接検出することもできる。例えば加速度センサやヨーレートセンサを車体に取付け、車体に働く横加速度や、車体のヨーレート(旋回角速度)を基に車体の旋回を直に検出する。発進時に例えば車両の横加速度または車両のヨーレートが閾値を超えたことをもって旋回急発進となる予兆を検出し、予兆が検出されればトルク制限制御プログラムを実行する。この方法によれば、トルク制限制御の開始に多少の遅れが伴うものの、旋回急発進などのような運転者の意に反した旋回を伴う急な加速度の発生を回避することができる。
【0074】また駆動操舵輪の加速度を計測する方法を採用することもできる。例えば駆動操舵輪の加速度が直進時の最大加速度より大きいときのみ駆動トルクを制限する。この際、駆動操舵輪がスリップしていると誤検出の原因となるため、駆動操舵輪がスリップしていない状態での加速度を計測できるようにすることが好ましい。スリップをしていないことは、例えば前輪の回転数検出値から求めた従動輪換算車速Vf と、駆動操舵輪の回転数検出値から求めた駆動輪換算車速Vd とを用いて、すべり速度(=Vf −Vd )やスリップ率(=(Vf −Vd )/Vf )を計算し、その計算値を基にスリップの有無を判断する。さらに操舵角θと前輪の回転数検出値から求めた従動輪換算車速とから、運転席部分の加速度を計算により間接的に予測し、この加速度が閾値を超えないように走行用モータ21の出力を制限することもできる。
【0075】○ トルク制限制御を行う時期は、(1) 発進時のみ、(2) 発進時とスイッチバック時のみ、(3) 発進時と走行中加速時のみなど適宜選択できる。例えば発進時のみ場合は、車両が停止とみなせる停止車速Vo (例えば0≦Vo <2(km/h)にある状態からの発進時に限りトルク制限制御を実施し、車速が発進車速の閾値を超えた時点でトルク制限制御を終了する。またスイッチバック操作検知時にはトルク制限制御を実行させない。なお、トルク制限制御終了時は駆動トルクを徐々に通常の目標トルクに近づける制御をするとよい。
【0076】○ 前記実施形態では、目標トルクとトルク上昇速度の両方を制限したが、どちらか一方のみを制限する方法を採用することができる。例えば目標トルクのみを制限する。この場合、駆動操舵輪の最大駆動力が小さく制限される。また例えばトルク上昇速度のみを制限する。この場合も、発進のためアクセルレバーを一杯に操作したとき、発進過程が終了する発進終了速度に到達した後、やっと目標トルクに立ち上がるほどトルク上昇速度を遅く設定すれば、発進過程において駆動操舵輪の最大駆動力は小さく制限される。
【0077】○ フォークリフトが停止後直ちに再発進され、その停止時間が運転者の交替があったとはみなされないほど短いときは、運転者が駆動操舵輪12の操舵角θを認知しているものとみなし、旋回発進時であっても駆動トルクの制限を中止する。
【0078】○ 駆動トルクの制限の仕方は適宜設定でき、目標トルクを予め設定された上限値(制限値)を超えないように制限する方法でもよい。つまり、目標トルクが上限値(制限値)以下のうちはマップMから得られる通常の目標トルクで制御をし、目標トルクが上限値を超えるときのみ目標トルクを上限値に変更する。この場合、上限値はトルク制限角度領域において一定でもよいし、トルク制限角度領域において操舵角θが大きいほど小さな値をとるように連続的または断続的に値が変化する上限値が設定されていてもよい。
【0079】○ 旋回発進時などで制限された後のトルク値は、通常時(直進時)の値に対し制限されさえすれば適宜の値に設定できる。例えばトルク制限の結果、旋回発進時の発進加速度が、トルク制限の低減率が小さいために直進時の発進加速度より大きくても構わず、またトルク制限の低減率が大きいために直進時の発進加速度より小さくても構わない。要するに運転者の受ける横方向の力をどの程度緩和したいかによって適宜設定できる。
【0080】○ 前記実施形態では走行用モータなどの駆動手段の出力トルクを制限する方法を採ったが、エネルギー的には無駄が多いものの、操舵角θがトルク制限角度領域内にあるときなど旋回加速時にブレーキを弱くかけることで発進加速を緩和する方法を採用してもよい。
【0081】○ 駆動トルクを制限する方法は目標トルクを低減する方法に限定されない。例えば駆動トルクのオンオフを高い周波数で繰り返す制御をすることで、駆動トルクを緩和する制御方法を採用することもできる。
【0082】○ 走行用モータ21は直流モータであってもよい。この場合、操舵角θがトルク制限角度領域内にあるときは直流モータの出力を決める駆動電圧(駆動電流)を小さく制限して出力トルクを制限する。
【0083】○ 操作手段はアクセルレバーに限定されない。アクセルペダルでもよい。また加速度が予め設定された産業車両において、車両を発進させる操作をするための操作ボタン等の操作スイッチであってもよい。
【0084】○ 産業車両は操舵輪が駆動輪であることに限定されない。例えばカウンタバランス型のフォークリフトのように後輪が操舵輪で前輪が駆動輪であるバッテリ式フォークリフトに適用してもよい。また産業車両は操舵輪が前輪である産業車両に採用することもできる。さらに産業車両は3輪または4輪駆動式であっても構わない。また駆動操舵輪が後輪である産業車両に限定されない。駆動操舵輪が前輪であって、前輪寄りに立席タイプの運転席が配置されている産業車両であってもよい。これらの構成であっても、操舵輪の操舵角などの検出値を基に車両の旋回を予測または検出したときに駆動輪の駆動トルクを制限することにより、旋回急発進を回避することはできる。
【0085】○ 電気式産業車両(バッテリ車)に限定されない。エンジン車の場合、旋回急加速が予測または検出されたときに、発進時のアクセル開度の目標値を制限したり、油圧クラッチの接続圧の制御によって、駆動輪の駆動力を弱め、旋回急発進を防止する制御とする。この場合、エンジンにより駆動手段が構成され、エンジン制御を行うコントローラにより制御手段が構成される。
【0086】前記各実施形態から把握される請求項以外の技術的思想を以下に記載する。
(1)請求項1〜6のいずれかにおいて、前記駆動手段は電動モータである。
(2)請求項5又は7において、前記操舵角検出手段により検出された操舵角が閾値を超えるほど前記操舵輪が直進から切られているときに、前記制御手段は、前記駆動輪の最大駆動力を制限するように前記駆動手段を制御する。
【0087】(3)請求項7又は前記(1)の技術的思想において、前記産業車両は前進・後進を切り替える進行方向選択操作手段(24)を備え、前記進行方向選択操作手段がスイッチバック操作されると、前記制御手段は前記駆動輪の回転方向を反転させるように前記駆動手段を制御するとともに、前記検出手段の検出値を基に車両の旋回を検出するときには、当該スイッチバック中における前記駆動輪の最大駆動力を制限するように前記駆動手段を制御する。この場合、車両旋回中のスイッチバックにおいて駆動輪の最大制動力が制限されるため、運転者が横に振られる力を小さく抑えることができる。
【0088】(4)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記検出手段は、車両に一定値以上の旋回加速度が働き得る旋回を予測または検出する。この場合、車両に一定値以上の旋回加速度が働き得る旋回が予測または検出されたときに、駆動輪の最大駆動力が制限される。なお、前記実施形態においては、一定値以上の旋回加速度が働き得る旋回とは、図5では旋回となる全操舵角範囲(θ>0)において発進抵抗が値fs 以下となるときの旋回、すなわち右操舵60゜以上または左操舵80゜以上を指す。
【0089】(5)請求項7及び前記(1),(3)の技術的思想のいずれかにおいて、前記電動モータは交流モータであって、前記制御手段は前記操作手段の操作量を1つのパラメータとして決まる目標トルクに基づき前記電動モータをトルク制御し、前記駆動輪の最大駆動力を制限する制御として前記目標トルクを制限する。
【0090】(6)前記(5)の技術的思想において、前記制御手段は前記駆動輪の最大駆動力を制限する制御として、前記目標トルクに立ち上げるまでのトルク上昇速度を制限する。
【0091】(7)請求項5又は7において、前記制御手段は、前記操舵角検出手段により検出された操舵角が大きくなるほど前記駆動輪の最大駆動力をより小さく制限するように操舵角に対して最大駆動力を連続的または断続的に制限するように前記駆動手段または前記電動モータを制御する。
【0092】(8)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記検出手段は車両の旋回を検出する旋回検出手段であって、前記制御手段は、前記旋回検出手段が車両の旋回を検出したときに、前記駆動輪の駆動力を制限するように前記駆動手段(電動モータ)を制御する。
【0093】(9)前記(8)の技術的思想において、前記旋回検出手段は、加速度センサを備える。この場合、車両旋回時の旋回加速度が加速度センサにより検出され、旋回加速度の検出値を基に車両の旋回を検出すると、駆動輪の駆動力が小さく制限される。例えば車両が旋回発進されても操作手段の操作量の割に運転者が感じる旋回加速度が小さく抑えられる。
【0094】(10)前記(8)の技術的思想において、前記旋回検出手段は、ヨーレートセンサを備える。この場合、車両旋回時の旋回角度がヨーレートセンサにより検出され、旋回角度の検出値を基に車両の旋回を検出すると、駆動輪の駆動力が小さく制限される。例えば車両が旋回発進されても操作手段の操作量の割に運転者が感じる旋回加速度が小さく抑えられる。
【0095】(11)請求項1〜7及び前記(1)〜(10)の技術的思想のうちいずれかにおいて、産業車両は立席式である。立席式であって座席に比べて運転者が不安定な姿勢であるが、旋回急発進が避けられるので、運転者が驚いたり姿勢を崩しそうになる心配がない。
【0096】(12)請求項1〜請求項8及び前記(1)〜(11)の技術的思想のうちいずれか一つに記載の産業車両の走行制御装置を備えた産業車両。
【0097】
【発明の効果】請求項1〜請求項8に記載の発明によれば、車両旋回時に車両の加速度が小さく抑えられるように駆動輪の最大駆動力を制限するので、車両旋回時に運転者が横方向に受ける力を緩和することができる。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
【出願日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2001−352612(P2001−352612A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−168788(P2000−168788)