| 【発明の名称】 |
フライホイール・電池・エネルギー蓄積駆動方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮尾 隆之
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 巻線(4A)側のローターと回転子(4B)側のローターのうち、いずれか一方のローターはフライホイール(3)に連動し且つクラッチ(1B,3b)を介してエンジン1に連動し、いずれか他方のローターは出力軸(2a)に連動している差動発電・電動機(4)と、その差動発電・電動機の発電した電力を充電する電池(6)と、その電力によって作動する発電・電動機(5)を前記出力軸に連動している駆動装置の駆動において、制御装置(6A)には、前記エンジンが負荷を駆動する場合について、そのエンジンへの任意の一定の燃料供給量(θ)ごとにそのエンジンの燃費率が最良となるそのエンジンにおける特定した回転速度(ns)を求めたデータを記憶させておき、前記フライホイールの回転速度が所定の下限の回転速度以下にあって、前記フライホイールを増速させる場合は、前記クラッチを係合し、前記エンジンへの前記燃料供給量を増大させることによって前記エンジンの回転速度を増大させながら、前記エンジンが前記クラッチを介して前記フライホイールの回転速度を増大させてゆき、前記制御装置がその燃料供給量を増大させてゆく速度は、その燃料供給量の増大につれてそのエンジンの回転速度が、その燃料供給量ごとの前記特定の回転速度に一致してゆく速度をもってその燃料供給量を増大させてゆき、前記エンジンの駆動によって前記フライホイールの回転速度が所定の上限の回転速度に達したとき、前記クラッチを切り離してそのフライホイールを増速させる制御が停止し、そのフライホイールに蓄積した回転エネルギーによって前記出力軸を駆動するときは、前記差動発電・電動機の発電作用によって前記一方のローターが前記他方のローターに駆動トルクを生じさせ、その駆動トルクが前記出力軸を駆動し、前記発電・電動機の出力は、アクセル・ペダルから指示する動力レベルに相当したレベルに前記出力軸の動力レベルを制御するフライホイール・電池・エネルギー蓄積駆動方法。 【請求項2】 巻線(4A)側のローターと回転子(4B)側のローターのうち、いずれか一方のローターはフライホイール(3)に連動し、いずれか他方のローターは、第1のクラッチ(4c)を介してエンジン(1)、あるいは第2のクラッチ(4b)を介して出力軸(2a)のいずれかに択一的に係合する差動発電・電動機(4)と、その差動発電・電動機の発電した電力を充電する電池(6)と、その電力によって作動する電動機(5)を前記出力軸に連動している駆動装置の駆動において、制御装置(6A)には、前記エンジンが負荷を駆動する場合について、そのエンジンへの任意の一定の燃料供給量(θ)ごとにそのエンジンの燃費率が最良となるそのエンジンにおける特定した回転速度を求めたデータを記憶させておき、前記フライホイールの回転速度が所定の下限の回転速度以下にあって、前記エンジンがそのフライホイールを増速する場合は、前記第1のクラッチを係合し且つ前記差動発電・電動機に発電作用をさせながら、前記エンジンにおける燃料供給量を増大させることによってそのエンジンの回転速度を増大させてゆき、その燃料供給量の増大とそのエンジンへ負荷をかけてゆく前記発電作用との関係の制御は、その燃料供給量の増大につれてそのエンジンの回転速度が、その燃料供給量ごとの前記特定の回転速度に一致してゆく関係にその燃料供給量の増大とその発電作用の発電レベルの制御を行い、そのエンジンの増速によって前記フライホイールの回転速度が所定の上限の回転速度に達したとき、そのフライホイールの増速を停止し、そのエンジンの増速を停止している間は、前記第2のクラッチを係合し、その増速によってそのフライホイールに蓄積した回転エネルギーによって前記差動発電・電動機に発電作用をさせ、その発電作用によって前記一方のローターが前記他方のローターに駆動トルクを生じさせ、その駆動トルクがその第2のクラッチを介して前記出力軸を駆動し、前記発電・電動機の出力は、アクセル・ペダルから指示する動力レベルに相当したレベルに前記出力軸の動力レベルを制御するフライホイール・電池・エネルギー蓄積駆動方法。 【請求項3】 巻線(51A)側のローターと回転子(51B)側のローターのうち、いずれか一方のローターはフライホイール(51C)に連動し、いずれか他方のローターは変速機(2A)を介して出力軸(2a)に連動し、前記一方のローターの回転を選択的に拘束するブレーキ(B3)を設けた差動発電・電動機(51)の駆動において、電池(6)の電力によって前記出力軸を駆動する場合は、前記ブレーキによって前記一方のローターの回転を拘束し且つ前記差動発電・電動機に前記電力によるモーター作用をさせて前記他方のローターに駆動トルクを発生させ、その駆動トルクが前記変速機を介して前記出力軸を駆動し、前記出力軸に制動を加えるときは、前記ブレーキを開放して前記フライホイールおよび前記一方のローターの回転を可能に設定し、前記差動発電・電動機に発電作用をさせながら、前記出力軸の回転を前期変速機において増速した状態において前記他方のローターを回転させ、その発電作用によって前記他方のローターに生ずる負荷トルクが前記一方のローターを介して前記フライホイールを駆動し、そのことによって前期出力軸の走行エネルギーをそのフライホイールの回転エネルギーに変換して蓄積し、再度、アクセルペダルの踏み込みによって前記出力軸を駆動する態勢において、 その回転エネルギーを使用してその出力軸を駆動するフライホイール・電池・エネルギー蓄積駆動方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、駆動輪が消費している現時点の動力レベルより高いレベルのエンジン出力、あるいは駆動輪の制動動力を、一旦、差動回転によって発電作用をする差動発電・電動機に連動させたフライホイールへ蓄積させ、再度、それら蓄積エネルギーを使用して走行する車両のフライホイール・電池・エネルギー蓄積駆動方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ガソリン・エンジン等のエンジンは、一般的に図8のような性質がある。図8は、縦軸Tがエンジンの出力トルクを示し、横軸nがエンジンの回転速度を示している。 【0003】図8における記号は下記のとおりである。 θ: エンジンにおけるスロットル開度一定あるいはエンジンへの燃料供給量一定のトルク特性を示し、θmは燃料供給量最大時のトルク特性を示し、燃料供給量θ一定の値が小さくなるにつれて、そのトルク特性はθa,θbのような特性になる。 【0004】λ: 単位時間ごとにおける出力動力当たりの燃料消費率(以後、単に燃費率と呼ぶ)を示し、λaは最小燃費率を示し、点線図示の燃費率一定の曲線がλbのようにλaの曲線から遠ざかるにしたがって燃費率は低下してゆく。 【0005】P: 動力一定の特性を示し、P1,P2,P3の順に動力が小さくなる。 E: エンジンにおけるそれぞれの出力動力一定時(例えばP1,P2あるいはP3ごと)においてエンジンの燃費率が最小となる経済燃費特性を示している。 【0006】図8の上記符号説明から理解できるように、それら動力Pごとの最小燃費率を得るためには、エンジンに下記の作用をさせればよい。 【0007】エンジンの出力動力をP(例えばP1、P2、P3)の大きさに設定するため、先ず運転者は燃料供給量θを設定(例えばθa、θb)する。 【0008】次に、それら燃料供給量θの設定ごとに、変速機の変速比操作等によってエンジンの負荷トルクを制御する。その制御は、それら設定した燃料供給量θと経済燃費特性Eと交叉するに相当した回転速度nになるように、エンジンの負荷トルクを制御すればよい。 【0009】特に、エンジンを最小燃費率λaとなるように作動させるためには、燃料供給量をθa一定に設定しておき、エンジンへの負荷トルクをTaに相当する値に調節して、エンジンの回転速度がnaとなるように作動させればよい。 【0010】そのようなことより、従来の電池自動車において、その電池自動車における電池への電力補充用として、エンジン直結の発電機をその車両に搭載しておく方式がある。その場合、その発電機が発電する発電レベルは、エンジンにおける作動が上記の燃費率最小の作動点λaにおいて常に作動するように、設定するものである。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】上記従来における電気自動車の機構は、エンジンからの出力動力を全て電気的エネルギーに一旦、置換し、その電力を電動機によって再び、機械的動力に変換して駆動輪を駆動している。 【0012】このエンジンの出力動力を電力に変換し、その電力を電池に蓄積し、更に、その電力を機械的動力に変換する動力形態の変換には、その変換ごとに動力損失を伴う。その場合、その動力形態の変換は、エンジンから出力した動力の全てについて行っている。したがって、上記従来の方式は、エンジン自体の作動は燃費率を最良にしても、その動力伝達の効率が良くない。 【0013】本発明の目的は、効率良く、エンジンの出力動力あるいは制動エネルギーを間欠的にフライホイールへ蓄積しておき、その蓄積したエネルギーを出力軸へ放出するフライホイール・電池・エネルギー蓄積駆動方法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】巻線(4A)側のローターと回転子(4B)側のローターのうち、いずれか一方のローターがフライホイール(3)に連動し且つクラッチ(1B,3b)を介してエンジン1に連動している。又、その両ローターのうち、いずれか他方のローターは出力軸(2a)に連動している。 【0015】これら両ローターからなる差動発電・電動機(4)と、電動機(5)を前記出力軸に連動させている駆動装置において、下記の駆動方法を採用している。 【0016】エンジンが負荷を駆動する場合について、エンジンへの任意の一定の燃料供給量(θ)ごとにエンジンの燃費率が最良となるエンジンの特定した回転速度を求め、そのデータを制御装置に記憶させておく。 【0017】フライホイールの回転速度が所定の下限の回転速度以下にあって、エンジンがそのフライホイールを増速する場合は、クラッチを係合してエンジンにおける燃料供給量(θ)を増大させることによってエンジンの回転速度を増大させてゆく。 【0018】その燃料供給量を増大させてゆく速度は、その燃料供給量の増大につれてそのエンジンの回転速度が前記特定の回転速度に一致する速度をもってその燃料供給量を増大させてゆく。 【0019】エンジンの駆動によってフライホイールの回転速度が所定の上限の回転速度に達したとき、クラッチを切り離しそのフライホイールの増速を停止させる。その増速によってフライホイールへ蓄積した回転エネルギーによって出力軸を駆動するときは、差動発電・電動機の発電作用によって一方のローターが他方のローターに駆動トルクを生じさせ、その駆動トルクが出力軸を駆動する。 【0020】 【発明の実施の形態】 【実施例】図1は、本発明におけるフライホイール・電池・エネルギー蓄積駆動を行う駆動装置のシステム図である。図1において、エンジン1からの駆動軸1aは、プラネタリー歯車式の増速機1Aのキャリヤー1bに連動している。増速機1Aにおいて、キャリヤー1bに軸支している遊星歯車1cは、太陽歯車1eの外周に噛み合い、且つリング歯車1dの内周に噛み合い、リング歯車1dにはブレーキB1を設け、太陽歯車1eは駆動軸1fに連動している。 【0021】駆動軸1fは、一方向クラッチ1Bを介して、フライホイール3に連動している。フライホイール3にはブレーキB2を設けている。フライホイール3には、差動発電・電動機4の一方のローターとなっている巻線4Aを固着し、差動発電・電動機4における他方のローターとなっている回転子4Bが出力軸4aに連動している。差動発電・電動機4においては、巻線4Aが回転可能となっているため、巻線4Aと電力の授受を行なうスリップ・リング3aを設けている。 【0022】出力軸4aには、歯車5bおよび5aを介して発電・電動機5が連動している。制御装置6Aには、スリップ・リング3aと発電・電動機5との間に電力授受用の配線6aおよび6bを結線し、制御装置6Aと電池6との間にも電力充放電用の配線6cを設けている。又、エンジン1は、上述した図8と同様の特性を有している。 【0023】以下、図8の特性と図2および3の特性を使用しながら、図1における作用を説明する。図1における車両の発進時において、電池6に充電した電力が所定のレベル以上になっている状態においては、エンジン1の作動は停止したまま、ブレーキB1を開放し、ブレーキB2を係合して置く。すなわち、この状態において、巻線4Aの側が回転を拘束した状態になって、差動発電・電動機4は通常の電動機の態勢になっている。 【0024】その態勢において、電池6からの電力を制御装置6Aおよび配線6aを介して差動発電・電動機4に送り、差動発電・電動機4にモーター作用をさせる。その結果、回転子4Bが出力軸4aを正転あるいは逆転方向のいずれかの選択した方向に駆動して車両が走行する。 【0025】更に、この電池6の電力のみによる走行の場合であって、出力軸2に特に大きな駆動トルクを必要とする場合は、電池6からの電力を制御装置6Aおよび配線6bを介して発電・電動機5にも送り、発電・電動機5にモーター作用をさせれば、発電・電動機5が歯車5aおよび5bを介して出力軸4aに駆動力を追加する。 【0026】上記の場合において、差動発電・電動機4が、あるいは差動発電・電動機4と発電・電動機5が出力軸4aを駆動する動力のレベルは、アクセル・ペダルからの要求レベルに相応している。 【0027】次に、電池4に充電した電力が所定のレベル以下になっている状態においては、ブレーキB2を開放してフライホイール3Dを回転可能な状態に設定する。なお、この場合、最初のエンジン1の始動時においては、ブレーキB1は開放状態にしておく。 【0028】この態勢において、エンジン1を作動させると、駆動軸1aを介してキャリヤー1bを回転させる。そのことによって、遊星歯車1cがリング歯車1dを駆動するが、ブレーキB1が開放状態となっているため、リング歯車1dは空回りし、遊星歯車1cからの駆動力は、太陽歯車1eには伝達しない。 【0029】この状態から、リング歯車1dへの拘束力が高まるように、ブレーキB1を滑らかに係合してゆくと、共に、エンジン1における燃料供給量θを、図2のθoの値に増大させてゆく。 【0030】ここで、図2は、図8における経済燃費特性Eのみを拡大図示したものであって、図2におけるi点は、上記のようにエンジン1がアイドリング状態になっている作動点を示している。 【0031】このように、エンジン1のアイドリングiの状態から、ブレーキB1を滑らしながら、エンジン1への燃料供給量θを燃料供給量θoへ増大してゆくと、エンジン1の出力は、駆動軸1a,キャリヤー1b、遊星歯車1c、太陽歯車1e、駆動軸1fおよび一方向クラッチ1Bを介して、フライホイール3を回転加速させてゆく。 【0032】ここで、大切なことは、図2におけるi点からpo点に至る間の燃料供給量の増大させて行く速度が、エンジン1の作動がpo点に向けて作動する制御をすることである。 【0033】ここで、上記所定の燃料供給量θoにおける作動点poは、該θoと経済燃費特性Eとの交点dにおけるエンジン1の回転速度ndより僅かに低回転速度となるpoである。 【0034】更に、このi点からpo点に至る制御の詳細説明は、以下に説明する図2における経済燃費特性E上でのd点からb点への作動と同じ制御になるから、以下、そのd点からb点への作動説明によって代表して行なう。 【0035】駆動軸1fの回転速度は、エンジン1における駆動軸1aの回転が増速機1Aを介して増速し、その駆動軸1fに生じている駆動トルクをTfとする。駆動軸1fにおける駆動トルクTfが一方向クラッチ1Bを介してフライホイール3を加速してゆく場合、その駆動トルクTfとフライホイール3の角加速度dω/dtとの関係は、公知のように、 Tf=I×dω/dt (1) である。 【0036】なお、(1)式におけるIは、巻線4Aを含めたフライ・ホイール3の慣性モーメントであり、ωはフライホイール3の角速度である。又、上記駆動軸1fにおけるトルクTfとエンジン1の出力トルクTとの関係は、増速機1Aの増速比iの関係から Tf=T/i (2) の一定の関係にある。すなわち、エンジン1の出力トルクTがフライホイール3を加速して行く関係は、(1)式および(2)式より、 dω/dt=T/(I×i) (3) となる。 【0037】今、エンジン1が図2におけるpo点となっている微小の時間を考える。この状態において、駆動軸1fにおけるトルクは、(1)式の関係によってフライホイール3を加速してゆく。この微小の時間内において、エンジン1への燃料供給量は未だθo一定になっていると考えることができる。 【0038】したがって、この微小時間において、エンジン1は燃料供給量θo一定の特性線上を作動しながら、エンジン1は、(3)式に随ってフライホイール3を加速してゆく。その際におけるエンジン1の作動は、作動点poから図2の燃料供給量θo一定線上に沿って、経済燃費特性E上のd点を通過しようとする。そのd点を通過した直後(p1点)を検出したことによって、制御装置6Aは、エンジン1への燃料供給量を今までのθoからθ1へ増大させる。 【0039】ここで、その燃料供給量をθoからθ1へ増大させる作用は、ステップ状に増大したと仮定する。そのθoからθ1へ燃料供給量を増大させたとき、エンジン1の慣性モーメントとフライホイール3の慣性モーメントが存在するため、その瞬間において、エンジン1の回転速度nは変化しない。 【0040】そのため、θoからθ1へ燃料供給量を増大させた瞬間、エンジン1の作動点は、p1からp2へ変化する。すなわち、エンジン1の駆動トルクは、燃料供給量をθoに設定していた状態のトルクから、新たな燃料供給量θ1の増大させたトルクになる。 【0041】このことによって、エンジン1は、その増大したトルクとなった新たな燃料供給量θ1一定の特性に沿って、(3)式に随って、フライホイール3を加速してゆく。その結果、同様に、エンジン1の作動は、作動点p2から図2の燃料供給量θ1一定線上に沿って、経済燃費特性E上のc点を通過しようとする。制御装置6Aは、そのc点を通過した直後(p3点)を検出することによって、エンジン1への燃料供給量を今までのθ1からθ2へ増大させる。 【0042】同様に、そのθ1からθ2へ燃料供給量を増大させたとき、エンジン1の慣性モーメントとフライホイール3の慣性モーメントが存在していることによって、その瞬間も、エンジン1の回転速度nは変化せず、そのθ1からθ2へ燃料供給量を増大させた瞬間、エンジン1の作動点は、p3からp4へ変化する。 【0043】このようにpo,p1,p2,p3,p4,p5…と制御してゆき、且つθo,θ1,θ2…と燃料供給量θの増加を微小に増大させてゆけば、エンジン1は、経済燃費特性Eに沿って変化しながらフライホイール3を加速してゆく。このように、図2におけるi点からpo点に至るエンジン1の作動も同様に行えばよい。 【0044】この経済燃費特性Eに沿ってエンジン1を増速させてゆく制御において、その制御の応答性が粗雑になると、下記の問題がある。燃料供給量θを、例えば、図2におけるθoからθ1に増大させる場合、その増大量が大き過ぎると、その瞬間におけるp2点とc点との偏差が大きくなり過ぎ、エンジン1の作動が経済燃費特性Eとかけ離れている時間帯が長くなる。 【0045】又、その燃料供給量θ1上において、エンジン1の作動がc点を通過したことを検出したことによって、続いて燃料供給量をθ2に増大させることが遅くなると、c点とp3点との偏差が大きくなり過ぎ、エンジン1の作動が経済燃費特性Eとかけ離れている時間帯を長くしてしまう。 【0046】このことは、制御装置6Aが下記の制御を行えばよいことになる。制御装置がエンジン1への燃料供給量θを増大させてゆく速度は、その燃料供給量θの増大につれてエンジン1の回転速度nが、その燃料供給量θごとの「特定の回転速度」に一致してゆく速度をもってその燃料供給量θを増大させてゆけば良いことになる。 【0047】上記の場合における「特定の回転速度」は、図8において、燃料供給量θごとにエンジン1の作動が経済燃費特性Eと交叉する回転速度nに相当している。これを更に具体的に説明すると、燃料供給量θを増大させてゆく過程における現時点の燃料供給量がθ1であるとすると、上記「特定の回転速度」は、経済燃費特性Eとその燃料供給量θ1との交点cとなるエンジン1の回転速度ncに相当している。 【0048】以上のように、フライホイール3の加速において、上記のようにエンジン1が経済燃費特性Eに沿ってその回転速度を上昇させてゆく限度は、図8におけるa点乃至は、その経済燃費特性E上であって、図8のa点における回転速度naより高い所定の上限の回転速度までとする。ここで、その所定の上限の回転速度におけるエンジン1の作動点は、エンジン燃費率が所定の良好な範囲内にあるものとする。 【0049】又、この場合において、上記所定の上限の回転速度は、現在走行中の車速に比例して高くなるものであってもよい。要は、上記所定の上限の回転速度を、駆動輪の走行に必要な現在の動力レベルより高い動力レベルに設定することである。例えば、車両が現在走行している動力レベルが図8におけるP3の動力レベルであったとすると、上記所定の上限の回転速度は、図8における動力レベルP3よりも高い動力レベルP2あるいはP1のレベルに設定すればよい。 【0050】このことは下記のことを意味している。従来におけるエンジン1の使用方法は、エンジン1の出力動力レベルと車両の走行に必要な動力レベルが、平衡して等しい値であった。このことに対して、上記のように経済燃費特性E上において、車両の現在の走行に必要な動力レベルより高い動力レベルにエンジン1を作動させることは、図8において説明したように、更にエンジン1の燃費率の良い作動域を利用して車両を走行できることになる。 【0051】このように、フライホイール3を所定の上限の回転速度まで増速させた時点において、制御装置6Aは、エンジン1の作動を停止させ、あるいはアイドリング状態に設定する。その結果、一方向クラッチ1Bの存在によって、駆動軸1fとフライホイール3との駆動関係は切れる。 【0052】この場合において、上記エンジン1の作動を停止あるいはアイドリング状態にした場合、ブレーキB1を開放にしておけばエンジン1とフライホイール3との駆動関係は切れるから、一方向クラッチ1Bは割愛して、駆動軸1fとフライホイール3とは常時連動している機構としてもよい。しかし、一方向クラッチ1Bが存在する場合、エンジン1の作動停止等によって、駆動軸1fの回転速度がフライホイール3の回転速度より低下すれば、フライホイール3の回転が駆動軸1f,太陽歯車1e,遊星歯車1cおよびリング歯車1dから切り離され、太陽歯車1e等を無駄に空回りさせる動力損失を生じさせないものとなる。 【0053】なお、上記ブレーキB1と一方向クラッチ1Bとの組み合わせは、ブレーキB1を割愛し、リング歯車1dを常に固定させ、且つフリーホイール1Bを仮想線図示のクラッチCに代えてもよい。それは、上記の説明から理解できるように、エンジン1が、停止状態のフライホイール3を駆動開始する場合、クラッチCを切り離した状態でエンジン1を始動し、且つそのアイドリング状態から、クラッチCを滑らしながら図2におけるpo点まで、フライホイール3を加速してゆけばよい。又、フライホイール3を所定の上限の回転速度まで増速させた時点で、クラッチCの係合を切り離しておけばよい。 【0054】又、上記エンジン1の制御において、各燃料供給量θごとに、エンジン1の回転速度がその燃料供給量θと経済燃費特性Eとの交点となる回転速度を通過した(あるいは達した)ことの検出は、図3のデータを使用して行えばよい。 【0055】すなわち、図3のように、エンジン1の回転速度nとエンジン1への燃料供給量θとの関係曲線を図2から求め、これを制御装置6A内にデータとして記録しておき、各燃料供給量θごとに、エンジン1における実の回転速度とそのデータにおけるエンジン1の上記特定の回転速度nsとを比較すればよい。 【0056】このようにフライホイール3を加速させて行く間、制御装置6Aは、運転者がアクセル・ペダルを操作する信号とは無関係にエンジン1を制御する。そのことに対して、運転者がアクセル・ペダルの操作による信号は、同じく制御装置6Aにおいて下記のように行う。 【0057】アクセル・ペダルからの信号は、出力軸4aに出力するトルクあるいは出力軸4aの回転速度の指示となっている。この場合において、アクセル・ペダルが出力軸4aの駆動トルクを増減する指示は、出力軸4aの駆動動力レベルを現在の走行状態から増減させることであり、又、アクセル・ペダルが出力軸4aの回転速度を増減する指示も、出力軸4aの駆動動力レベルを現在の走行状態から増減させることである。したがって、以降の説明においては、アクセル・ペダルが出力軸4aに、駆動トルクを増減させる指示の場合と、回転速度を増減させる指示の場合の両者を含め、これをアクセル・ペダルが出力軸4aへ動力レベルの増減をさせる指示する表現によって代表させる。 【0058】上記図1の作動において、フライホイール3の加速中であるかエンジン1の作動をアイドリングあるいは停止させているかに関係無く、制御装置6Aは、電池6における充電量が所定のレベル以下である状態において、フライホイール3の回転エネルギーを優先して使用する。又、逆に、電池6における充電量が所定のレベル以上である状態において、出力軸4aの駆動は、発電・電動機5のモーター作用による駆動を優先する。 【0059】それは、アクセル・ペダルからの出力軸4aへの要求動力レベルが、現在のフライホイール3の出力軸4aを駆動しうる動力レベル以内であった場合は、その要求動力レベルとなるに相当して、差動発電・電動機4に発電作用をさせる。その結果、その発電作用によって巻線4Aと回転子4Bとの間に生ずるトルクが出力軸4aを駆動する。 【0060】その場合において、エンジン1がフライホイール3を駆動している間に、差動発電・電動機4に発電作用をさせる場合は、上記(3)式におけるエンジン1のトルクTには、差動発電・電動機4がその発電をしていることによって、巻線4Aが回転子4Bを駆動するトルク成分が付加する。 【0061】又、上記差動発電・電動機4の上記発電作用によって発電した電力は、制御装置6Aを介して電池6に充電するか、あるいはその時点において、発電・電動機5がモーター作用をしている場合は、その発電した電力のうち、必要な分を発電・電動機5に供給する。 【0062】上記差動発電・電動機4のみによる出力軸4aの駆動力が限界の値に達し、アクセル・ペダルからの出力軸4aへの要求動力レベルを満たしきれず、出力軸4aを駆動するトルク成分にdToの不足が生じている場合、制御装置6Aは発電・電動機5にモーター作用をさせる。そのモーター作用によって、発電・電動機5は、歯車5aおよび5bを介して出力軸4aを駆動し、出力軸4aに不足トルクdToを追加する。 【0063】上記のフライホイール3および電池6へ蓄積させたエネルギーによって、車両を走行させてゆくと、それらエネルギーは消耗してゆく。その消耗によってフライホイール3の回転速度が回転子4Bの回転速度より所定の幾分高い回転速度、すなわち所定の下限の回転速度まで低下すると、制御装置6Aは、下記のようにエンジン1を制御する。 【0064】上記のように、フライホイール3の回転速度がその所定の下限の回転速度まで低下したとき、その状態において駆動軸1fがフライホイール3に直結して回転していると仮定した場合に、その状態におけるエンジン1の回転速度が図2におけるncであるとする。 【0065】制御装置6Aは、その回転速度ncの値と経済燃費特性Eとの交点を通る燃料供給量の値θ1を図2のデータから求めておく。この状態において、ブレーキB1は係合状態に設定し且つブレーキB2を開放にしたまま、エンジン1を始動する。 【0066】そのようにエンジン1を始動すると、その始動時のエンジン1のアイドリング回転速度は、上述のように、上記回転速度ncより低い回転速度の図2におけるi点の作動になっている。これに対して、フライホイール3の回転速度は、上述のように駆動軸1aにおける回転速度に換算して上記i点の回転速度より早いncの回転速度になっている。したがって、エンジン1がアイドリング状態において、駆動軸1fの回転速度はフライホイール3の回転速度より遅い回転速度となっている。したがって、一方向クラッチ1Bの存在によって、駆動軸1fとフライホイール3とは、未だ、切り離された状態となって、エンジン1はアイドリングを維持する。 【0067】この状態から、上述の図2においてi点からpo点への矢印に沿ってエンジン1の回転速度を増速させていった場合と同じに、図2のi点からncの回転速度に向けてエンジン1を増速させてゆく。この間、エンジン1は無負荷である。エンジン1の回転速度がncに達した状態において、上記の説明から理解できるように、駆動軸1fとフライホイール3の回転速度が一致する。 【0068】この駆動軸1fとフライホイール3の回転速度が一致する直前におけるエンジン1の燃料供給量θは、未だフライホイール3を駆動する状態に至っておらず、未だθ<θ1の状態にある。エンジン1の回転速度がncとなる直前の、このθ<θ1となっている燃料供給量の状態から、エンジン1の回転速度nがn=ncとなるまで、緩やかに燃料供給量を増大させてゆく。そのように、緩やかに燃料供給量を増大することは、駆動軸1fの回転速度が一方向クラッチ1Bを介して緩やかにフライホイール3の回転速度に到達することを意味している。 【0069】その駆動軸1fの回転速度がフライホイール3の回転速度に到達した瞬間から、制御装置6Aは、図2において上述のpo,p1,p2…と、経済燃費特性Eに沿わせた制御と同じ制御によって、エンジン1の回転速度を上昇させながら、フライホイール3の回転速度を上述と同様に、所定の上限の回転速度に向けて上昇させる。エンジン1の作動は、その所定の上限の回転速度まで上昇させる作動が完了した時点で、エンジン1をアイドリング状態あるいは停止させる。 【0070】このよに、エンジン1は、車両がその走行時に必要としている動力レベル以上の動力出力をすることによって、フライホイール3と電池6にエネルギーを間欠的に蓄積し、エンジン1が作動していない間、その蓄積エネルギーによって車両を駆動する。 【0071】上記図1の機構は、エンジン1の出力軸1aとフライホイール3との間に増速機1Aを設けている。これはエンジン1の回転を増速し、その増速した回転速度をもってフライホイール3を回転させれば、フライホイール3に蓄積させるエネルギー量が多くできるからである。 【0072】しかし、図1におけるエネルギー蓄積駆動の本質としては、増速機1Aを割愛し、エンジン1の出力軸1aが直接一方向クラッチ1Bを介してフライホイール3を駆動する機構であってもよい。その場合、ブレーキB1に代わって、エンジン1の出力軸1aに従来のクラッチを設ければ、そのクラッチ操作によってエンジン・アイドリングもクラッチの緩やかな係合も可能になる。 【0073】又、図1における出力軸4aには、仮想線図示のように、駆動輪との間に変速機7を設けてもよい。あるいは発電・電動機5と出力軸4aとの間に変速機を設けてもよい。 【0074】又、図1における差動発電・電動機4は、巻線4Aの側がフライホイール3と一体になって、回転子4Bの側が出力軸4aに連動しているが、これは、回転子4Bの側がフライホイール3と一体になり、巻線4Aの側が出力軸4aに連動するものであってもよい。但し、その場合は、その巻線と制御装置6Aとの電力授受のためのスリップ・リング3aを出力軸4aの側に設ける必要がある。 【0075】又、図1における巻線4Aはフライホイール3と一体になっているが、フライホイール3と巻線4Aとの間は減速機あるいは増速機等を介した連動関係にあってもよい。要は、フライホイール3に蓄積した回転慣性が機械的な連動を介して巻線4Aを駆動できる機構になっていれば、上記作用は可能になる。 【0076】又、上記図1の実施例において、発電・電動機5は出力軸4aを介して駆動輪を駆動しているものであるから、出力軸4aがその車両の前輪(あるいは後輪)に連動している場合、発電・電動機5は後輪(あるいは前輪)に連動していても同じである。このようにした場合は、前輪と後輪を共に駆動できることになるから、4輪駆動を可能にする。 【0077】以上の説明において、図1における差動発電・電動機4は、駆動軸1fを入力軸とし、その入力軸と出力軸4aとの相対回転によって、発電と電動を可能にしている。図4は、図1に対する本発明の他の実施例であって、図4における差動発電・電動機4は、差動歯車2の差動回転によって発電と電動を可能にする実施例である。 【0078】図4において、エンジン1からの駆動軸1aは差動歯車2におけるキャリヤー2nに連動し、キャリヤー2nに軸支の遊星歯車2bは、太陽歯車2dの外周とリング歯車2cの内周へ、それぞれ噛み合っている。 【0079】太陽歯車2dは、第1のクラッチ4cを介して回転子4Bへ、あるいはクラッチ3bを介してフライホイール3へ択一的に係合離脱を可能にしている。又、差動発電・電動機4における巻線4Aは、図1におけると同じにフライホイール3と一体になっている。又、スリップ・リング3a、ブレーキB2、電池6、制御装置6Aおよび発電・電動機5は、図1におけるものと同じである。 【0080】リング歯車2cは、出力軸2aに連動し且つ第2のクラッチ4bを介して選択的に回転子4Bに係合離脱を可能にしている。発電・電動機5の出力は、歯車5aと、リング歯車2cのハウジング2eに固設の歯車2fと歯車係合している。 【0081】以下、図4の作用を説明する。図1における場合と同様、電池6が所定の値以上の蓄電状態にある場合であって、車両が発進する場合は電池6の電力によって下記のように車両を走行させる。 【0082】電力のみによる走行をする場合、ブレーキB2を係合してフライホイール3の回転を拘束しておく。又、クラッチ4bを係合し、他のクラッチ3bおよび4cを開放状態に設定しておき、エンジン1の作動は停止させておく。 【0083】この状態において、アクセル・ペダルからの出力軸2aへの要求動力レベルが低い状態にあっては、電池6の電力によって、差動発電・電動機4あるいは発電・電動機5のいずれか一方にモーター作用をさせる。 【0084】その場合、その一方として差動発電・電動機4を使用するものとして説明する。この場合、巻線4Aの側が固定しているから、差動発電・電動機4は通常の電動機としての作用と同じになる。すなわち、スリップ・リング3aを介し、制御装置6Aが、電池6の電力を巻線4Aに供給して、差動発電・電動機4にモーター作用をさせ、そのことによって回転子4Bに生じた駆動力は、クラッチ4bおよびハウジング2eを介して出力軸2aに伝達する。 【0085】この場合、制御装置6Aが巻線4Bに供給する電力は、アクセル・ペダルから出力軸2aへ要求している動力レベルに相当している。この要求動力レベルが、差動発電・電動機4の有する最大駆動動力レベルを越えている場合、制御装置6Aは、そのレベルを越えた不足分の動力を発電・電動機5に出力させる。その発電・電動機5の出力は、歯車5aおよび2fを介して出力軸2aを駆動する。 【0086】上記走行に対して、電池6における蓄電量が所定の量以下に近づいた状態においては、下記のように、エンジン1の出力動力による走行を行うと共に、エンジン1から余剰の動力を出力して、これをフライホイール3と電池6へエネルギー蓄積する。 【0087】このエンジン1の動力による走行の場合、ブレーキB2を開放にしてフライホイール3が回転可能な状態に設定する。又、フライホイール3が上記のように未だ停止状態からエンジン1を始動する場合、全てのクラッチ3b、4bおよび4cを開放状態にしておく。 【0088】この状態においてエンジン1を始動すると、エンジン1は駆動軸1aを介してキャリヤー2nを駆動するが、この場合、差動歯車2において、無負荷状態にある太陽歯車2dが空回りする。その結果、エンジン1はアイドリング状態を維持し、且つウオーミング・アップが可能になる。なお、この間、未だ、発電・電動機5および/あるいは差動発電・電動機4による出力軸2aの上記駆動は必要に応じたレベルにおいて行っている。 【0089】エンジン1の上記ウオーミング・アップが終了すると、制御装置6Aは、先ず差動発電・電動機4を無負荷にした状態において、クラッチ4cのみを係合して、太陽歯車2dを回転子4Bに係合させる。 【0090】この状態から、エンジン1への燃料供給量を緩やかに増大させてゆくことによって、エンジン1の回転速度を高めながら差動発電・電動機4に発電作用をさせてゆく。その際、差動発電・電動機4の発電のレベルは、上記エンジン1への燃料供給量θの増大に合わせて、エンジン1の作動が、図2における上述のi点からpo点に至るまでの矢印に沿う制御となる。 【0091】このことによって、エンジン1からの動力は、駆動軸1aからキャリヤー2nを介して遊星歯車2bに伝達し、遊星歯車2bは、一方において太陽歯車2dおよびクラッチ4cを介して回転子4Bを駆動し、他方において、遊星歯車2bはリング歯車2cおよびハウジング2eを介して出力軸2aを駆動する。 【0092】このようにエンジン1は、差動歯車2を介して機械的な動力を出力軸2aに伝達すると共に、回転子4Bを駆動する。この状態において差動発電・電動機4は発電作用状態になっているので、その回転子4Bの駆動によって巻線4Aに電力を生じ、その電力は、スリップ・リング3aから制御装置6Aを介して電池6に充電する。 【0093】又、同時に、差動発電・電動機4の発電作用によって、回転子4Bと巻線4Aとの間には、作用反作用のトルクが生じているから、太陽歯車2dあるいは回転子4Bに生じているトルクと同じトルクが巻線4Aおよびフライホイール3に発生する。 【0094】このフライホイール3に生じているトルクをTfとすると、(1)式の関係にしたがって、フライホイール3は加速してゆく。すなわち、その差動発電・電動機4の発電作用は、エンジン1の回転速度を上昇し始める最初の作動が、図2のi点からpo点までエンジン1の回転速度を滑らかに増速させてゆくと共に、その際、回転子4Bと巻線4Aとの間の回転スリップ量に比例して発生した電力を電池6へ充電してゆくことになる。 【0095】このように、エンジン1の作動が、図2におけるpo点に達したとき、クラッチ4cを開放し、且つ現時点におけるフライホイール3の回転速度と太陽歯車2dの回転速度が一致する状態にエンジン1の回転速度を微調整しながら、クラッチ3bを係合して、太陽歯車2dとフライホイール3を連動状態にする。なお、この状態においてクラッチ4bは開放のままである。 【0096】この状態からの制御は、図1において既述したpo,p1,p2…の経済燃費特性Eに沿ってエンジン1を増速させてフライホイール3を加速してゆく作用と同じに、燃料供給量θを増大させながらフライホイール3を所定の上限の回転速度まで増速させ、フライホイール3が所定の上限の回転速度に達したとき、エンジン1をアイドリング状態あるいは停止させる。 【0097】図2におけるpo,p1,p2…の作動経路のように、経済燃費特性Eに沿ってエンジン1を増速させて行く際の出力軸2aへの動力伝達も、下記のようになる。エンジン1を増速させて行く際、エンジン1の出力動力は、駆動軸1aおよびキャリヤー2nを介して、遊星歯車2bへ入力し、遊星歯車2bの動力は、一方において太陽歯車2dへ入力し、他方においてリング歯車2cへ入力する。 【0098】この太陽歯車2dへ入力した一方の側の動力は、このエンジン1を駆動している間、クラッチ3bを介してフライホイール3に入力し、太陽歯車2dに負荷が生じている。 【0099】その結果、リング歯車2cに、その太陽歯車2dに生じている負荷に相応した反力トルクが生じ、その反力トルクがハウジング2eを介して出力軸2aに伝達して駆動輪を駆動する機械的駆動成分になる。 【0100】制御装置6Aは、この機械的駆動成分の動力レベルPmとアクセル・ペダルから出力軸2aに要求する動力レベルPaを比較する。この場合において、Pm>Paの状態においては発電・電動機5に発電作用をさせる。その際の作動は、出力軸2a、歯車2fおよび5aを介して発電・電動機5がPm−Paの余剰動力を吸収発電し、その発電した電力は制御装置6Aを介して電池6に充電する。 【0101】又、その場合において、Pm<Paの状態においては発電・電動機5にモーター作用をさせる。その際の作用は、発電・電動機5がPa―Pm=dPの不足動力に相当する動力を出力し、その動力dPを歯車5aおよび2fを介して出力軸2aに追加する。 【0102】このように、制御装置6Aは、エンジン1の作動中、一方において、アクセル・ペダルからの要求とは無関係に、差動歯車2を介してエンジン1の動力の一部を機械的に出力軸2aへ出力しながら、エンジン1の残部の動力をフライホイール3および電池6へ蓄積し、他方において、アクセル・ペダルからの要求は、発電・電動機5の発電あるいは電動の作用によって満足させている。 【0103】上記作用において、エンジン1が図2の経済燃費特性Eに沿って所定の上限の回転速度まで増速した時点、すなわちフライホイール3の回転速度が出力軸2aの回転速度より高い所定の上限の回転速度に増速した時点で、エンジン1を停止あるいはアイドリング状態に設定し、その時点以降の作用は下記のようになる。 【0104】この状態になった時点で、クラッチ4bを係合し、他のクラッチ3bおよび4cは開放する。その状態において、図1における場合と同じに、電池6における蓄電量が所定の値以下である場合、差動発電・電動機4の発電作用を優先して出力軸2aを駆動する。又、電池6の蓄電量がそれ以上充電すると、その充電効率が劣化する状態の所定の蓄電量に達している場合、発電・電動機5のモーター作用を優先して出力軸2aの駆動を行う。 【0105】今、差動発電・電動機4の発電作用を優先して出力軸2aを駆動する場合を例に説明する。上記蓄積エネルギーを使用開始する最初において、フライホイール3の回転速度は回転子4Bの回転速度より早く回転している。 【0106】したがって、この状態において差動発電・電動機4を発電状態に設定すると、フライホイール3の回転慣性力が回転子4Bに対して発電作用をする。その発電作用の発電レベルに応じて、フライホイール3と回転子4Bとの間には、作用反作用の関係のトルクが生じ、そのトルクが、回転子4B、クラッチ4bおよびハウジング2eを介して出力軸2aを駆動する。 【0107】この場合、差動発電・電動機4の発電レベルは、その発電によって回転子4Bに生ずる駆動力がアクセル・ペダルから出力軸2aへ要求する駆動力あるいは回転速度を満たすに相当するレベルに制御している。上記差動発電・電動機4による出力軸2aの駆動のみでは、アクセル・ペダルからの要求を満たしていない場合は、その不足分について、発電・電動機5がモーター作用によって歯車5aおよび2fを介して出力軸2aを駆動する。 【0108】又、上記差動発電・電動機4の発電作用により生じた電力は、発電・電動機5のモーター作用に使用し、あるいは電池6に充電する。 【0109】このよにフライホイール3に蓄積した回転エネルギーを使用して出力軸2aを駆動すると、そのエネルギー消費によってフライホイール3の回転速度が低下してゆき、やがてフライホイール3の回転速度が出力軸2aの回転速度より少し高い所定の下限の回転速度に低下してゆく。 【0110】フライホイール3の回転速度が、その所定の下限の回転速度に低下した時点において、クラッチ3bおよび4cを開放したまま、エンジン1を始動し且つエンジン1の回転速度を増速してゆく。その増速によって、太陽歯車2dの回転速度がフライホイール3の回転速度と一致する回転速度に設定する。その状態において、クラッチ3bを係合し、クラッチ4bおよび4cを開放する。 【0111】その状態から、図1における場合と同じに、エンジン1の燃料供給量θを図2の経済燃費特性Eに沿って増大させてゆく。その際のエンジン1における回転速度の増大は、上述の図1における場合のように、フライホイール3の回転速度が所定の上限の回転速度まで増速した時点において、エンジン1を停止あるいはアイドリング状態にする。 【0112】又、上記エンジン1の駆動中における出力軸2aの駆動は上記最初のエンジン1の駆動時と同じである。このように、エンジン1の駆動によってフライホイール3と電池6へエネルギーを蓄積する作用と、その蓄積したエネルギーによって出力軸2aを駆動する作用を交互に行なう。 【0113】上記説明において、エンジン1を所定の上限の回転速度まで増速してゆく際の、その所定の上限の回転速度は、フライホイール3の回転速度が、その時点における出力軸2aの回転速度より所定の高い回転速度に達する値としている。その所定の高い回転速度の値は、損失を無視すれば、出来る限りエンジン1の燃費率の良い図8のa点あるいはその近傍の高い回転速度であることが望ましい。 【0114】しかし、フライホイール3の回転には、軸受損失あるいはまわりに存在する空気との回転摩擦による損失等が存在し、特に、その空気とのいわゆる円板摩擦による動力損失は回転速度の3乗に比例する。したがって、上記円板摩擦損失のみを考えると、上記所定の上限の回転速度は低い程よいことになる。それは、例えば、その所定の上限の回転速度が2倍になれば、その場合の円板摩擦損失は、2の3乗=8倍になるからである。 【0115】上記問題に対して、エンジン1によって上記のようにフライホイール3へ回転エネルギーを蓄積する場合、図8の燃費率を考慮すると、エンジン1の回転速度は、出来得る限り図8におけるa点近傍の高い回転速度を使用することが望ましい。それは、上述のように、a点近傍が燃費率最良となっているからである。 【0116】すなわち、上記所定の上限の回転速度は、燃費率が良好なエンジン1の出来る限り高い回転速度までを利用する利点と、そのようにフライホイール3の回転速度を高く使用することによって、フライホイール3の円板摩擦損失が大きくなるマイナス点とを比較して、その利点とマイナス点との両者の調和点を使用することが望ましい。 【0117】又、上記図4の実施例において、エンジン1の駆動によってフライホイール3が停止状態から一定の低回転レベルに増速するまでの間のみ、クラッチ4cを係合した差動発電・電動機4の発電作用によってフライホイール3を加速している。 【0118】これに対して、上記フライホイール3への回転エネルギーの蓄積は、フライホイール3が所定の上限の回転速度まで増速する全ての間、クラッチ4cを係合したまま行う下記の方式であってもよい。 【0119】それは、フライホイール3が停止状態にある場合からのフライホイール3を増速してゆく場合と、フライホイール3へ回転エネルギー蓄積させた後、フライホイール3の回転速度が上記所定の下限の回転速度に減速した結果、再度、フライホイール3を増速させる場合との両者共に、クラッチ4cのみを係合し、他のクラッチ3bおよび4bは開放させてエンジン1を駆動する。 【0120】その際の作用であって、フライホイール3が停止状態にある場合からフライホイール3を増速してゆく初期の作用は、既に、クラッチ4cを係合した作用を説明したので、上記両者の作用は、図2におけるd点からの増速を説明する。 【0121】この場合も、図2の経済燃費特性Eに沿ってエンジン1を増速させてゆく。それは、差動発電・電動機4を発電状態に設定し、エンジン1の出力動力が、駆動軸1a、キャリヤー2n、遊星歯車2b、太陽歯車2dおよびクラッチ4cを介して回転子4Bを駆動すると、その回転子4Bの回転によって差動発電・電動機4が発電作用をする。 【0122】その発電作用において駆動軸1aに生ずる負荷トルクをTとすると、上述の(3)式の関係に随ってフライホイール3が加速してゆく。その場合、エンジン1の増速は、上述と同様に、エンジン1への燃料供給量θを増大させてゆく。 【0123】その際、経済燃費特性Eに沿わせてエンジン1を増速させてゆく制御は、燃料供給量θを増大させてゆく各燃料供給量ごとに、その燃料供給量と経済燃費特性Eとの交点に相当する負荷トルクをエンジン1に生じさせる。 【0124】例えば、燃料供給量θを増大させて行く作用において、現時点の燃料供給量が図2におけるθbであったとすると、その燃料供給量θbと経済燃費特性Eとの交点bに相当するエンジン1の駆動軸1aにおける負荷トルクをTbの値になるように制御することになる。 【0125】すなわち、上記差動発電・電動機4においての発電レベルが、回転子4BへトルクTfを生じさせ、そのトルクTfが、クラッチ4c、太陽歯車2d、遊星歯車2bおよびキャリヤー2nを介して駆動軸1aにトルクTbを発生させる関係の制御になる。 【0126】しかし、実際の制御においては、トルク検出よりも回転速度の検出の方が容易であるから、上記の制御は、燃料供給量がθbであるとき、エンジン1の回転速度が図2のnbになるように、差動発電・電動機4における発電作用による負荷制御をすればよい。それは、図2から理解できるように、燃料供給量がθbであって、そのときにおけるエンジン1の回転速度がnbになっていることは、エンジン1の作動点がb点になっていることであり、そのb点におけるエンジン1の負荷トルクはTbであるからである。 【0127】上記燃料供給量θを増大させてゆく制御と差動発電・電動機4における発電のレベル制御は、上述の図3における燃料供給量θとエンジン1の特定した回転速度nsとの関係を満たす制御になる。 【0128】このように、フライホイール3を所定の上限の回転速度まで増速する際の作用は、差動発電・電動機4の発電作用のみによって行う結果、エンジン1によるフライホイール3の増速時のその発電による電力は電池6に充電し、あるいは発電・電動機5のモーター作用に供給する。 【0129】このように、エンジン1によってフライホイール3へ回転エネルギーを蓄積させる作用は、a) 太陽歯車2dが直接、機械的にフライホイール3を加速する場合と、b) 太陽歯車2dが差動発電・電動機4の発電によるクラッチ作用を介してフライホイール3を加速する場合、との2種類の方法がある。 【0130】しかし、前者のa)の場合の方が、直接、機械的にフライホイール3を駆動しているため動力損失が少ない。それに対して、後者のb)の場合は、差動発電・電動機4の発電作用を介してフライホイール3を駆動するため、その発電作用の際の効率分、動力損失を伴う。 【0131】したがって、原則的には、前者のa)方式によるのが望ましいが、発電・電動機5にモーター作用をさせるための電力が電池6に不足してきている場合は、後者のb)方式によって、発電しながらフライホイール3を駆動し、その発電した電力を発電・電動機5に供給し、あるいは電池6に充電すればよい。 【0132】又、上記実施例においては、出力軸2aが駆動輪に連動するものとしているが、図1における場合と同じに、出力軸2aと駆動輪の間には変速機7を設けてもよい。又、出力軸2aと発電・電動機5との間は、一列の歯車列5aおよび2fを介して連動しているが、その出力軸2aと発電・電動機5との間は、複数の歯車列を設け、いずれかの歯車列を択一的に使用するものであってもよい。その場合は、発電・電動機5を小型化して使用することが可能になり、且つ車両に制動をかける場合、その走行速度に応じて上記歯車列を適宜選択して発電・電動機5に発電作用をさせれば、その制動エネルギーを有効に回収できる。 【0133】又、上記図1および4の実施例において、エンジン1によってフライホイール3に回転エネルギーを蓄積させる場合、車両の走行速度が低くなるにつれ、その一度における回転エネルギーの蓄積量を小さくしていってもよい。そのようにすると、車両の走行速度が低下し且つその車両が停止したときであって、その停止状態が長時間に及ぶとき、その長時間の停車によって、フライホイール3に蓄積してある回転エネルギーが自然消滅する量を小さく抑えることができる。 【0134】又、電池6の容量が十分に大きな場合は、車両の車速が一定の車速に低下した場合、下記のように、電池6の電力のみの駆動走行に入っても良い。 【0135】この低速走行に入った状態においては、上述のエンジン1によるフライホイール3への回転エネルギー蓄積は停止させる。その回転エネルギーの蓄積を停止させた直後からの出力軸2aの駆動は、フライホイール3に蓄積している回転エネルギーを優先して使用する。この場合、クラッチ4bを係合し、他のクラッチ3bおよび4cは開放しておく。 【0136】すなわち、フライホイール3の回転速度が出力軸2aの回転速度より早い回転速度で回転している状態においては、差動発電・電動機4に発電作用をさせ、その際のその発電のレベルは、アクセル・ペダルから出力軸2aに要求している動力レベルに一致させる制御をする。なお、差動発電・電動機4の上記発電作用による上記出力軸2aの駆動では、アクセル・ペダルからの要求値を満たさない場合は、上述と同様、発電・電動機5のモーター作用によって、その不足動力を追加すればよい。 【0137】そのように、フライホイール3の有する回転エネルギーによって差動発電・電動機4に発電作用をさせながら、出力軸2aを駆動してゆくと、フライホイール3の回転エネルギーが消耗してゆき、やがてフライホイール3の回転速度が出力軸2aの回転速度と同じ、あるいはそれ以下になる。 【0138】この状態に入ると、制御装置6Aは、差動発電・電動機4にモーター作用をさせる。そのモーター作用のレベルも、上記と同様、アクセル・ペダルが出力軸2aに要求する動力レベルに相当させる。 【0139】そのモーター作用において、回転子4Bは、出力軸2aを駆動する際の反力トルクをフライホイール3に与えている。すなわち、その反力トルクは、出力軸2aが回転する方向と反対方向であって、フライホイール3を回転停止させる方向に作用する。 【0140】したがって、そのモーター作用によって、やがてフライホイール3の回転速度は零になる時点が存在する。そのフライホイール3の回転速度が零になった時点において、ブレーキB2によってフライホイール3の回転を拘束する。この状態は、巻線4Aが固定して、差動発電・電動機4が通常の電動機と同じ状態になったことになる。 【0141】この状態に至っても、車両の走行を続行する場合、差動発電・電動機4によるモーター作用、あるいは差動発電・電動機4と発電・電動機5との両モーター作用によって出力軸2aを駆動すればよい。この走行方法を採用する場合は、車両が走行中にフライホイール3へ蓄積させた回転エネルギーを有効に利用できる。 【0142】なお、上記走行において、電池6における蓄電量が不足してきた場合は、上述において、フライホイール3が停止状態からエンジン1によって増速させてゆく場合と同じ作用を行って、出力軸2aを駆動すると共に、電池6への充電を行えばよい。 【0143】以上の図4の実施例において、太陽歯車2dがクラッチ3bのみを介して、直接、機械的にのみフライホイール3を増速する場合は、出力軸2aを常時、回転子4Bに結合させた図5のようにすることが出来る。なお、図5において、出力軸2aを回転子4Bへ連結し、太陽歯車2dがクラッチ3bを介してフライホイール3のみに選択的に係合させている機構以外は、図5と図4は同じである。 【0144】又、図5のクラッチ3bの部分は図6のようにしてもよい。図6は、エンジン1の駆動軸1aに従来のエンジン出力軸に設けたクラッチ1Aを設け、図5におけるクラッチ3bに代わって一方向クラッチ3Aを設けたものである。なお、図6におけるその他の機構は、全て図5と同じである。 【0145】この図5から図6へ変更した部分は、フライホイール3を停止状態から増速させて行く場合を特に考慮した機構である。そのフライホイール3を停止状態から増速させて行く場合は、ブレーキB2を開放し且つクラッチ1Aを切り離した状態でエンジン1を始動する。その始動の後、クラッチ1Aを滑らしながら係合させてゆく。その結果、キャリヤー2nに駆動トルクが発生する。 【0146】そのキャリヤー2nのトルクは、遊星歯車2bを介して、一方においてリング歯車2cから出力軸2aへ一部動力を伝達し、他方において太陽歯車2dおよび一方向クラッチ3Aを介してフライホイール3を駆動する。そのクラッチ1Aを滑らせながらの上記駆動において、クラッチ1Aの係合が完全に係合状態に達した時点において、上述の図2におけるpo,p1,p2,p3…の作動による経済燃費特性Eに沿った燃料供給量θの増大制御を行う。 【0147】その制御によって、フライホイール3の回転速度が所定の上限の回転速度に達したとき、エンジン1を作動停止あるいはアイドリング状態に設定すれば、太陽歯車2dの回転速度に対してフライホイール3の回転速度が高い回転速度で回転する結果、一方向クラッチ3Aは空転状態になって、フライホイール3と太陽歯車2dとの連動関係が切り離し状態になる。 【0148】なお、図6の場合において、一方向クラッチ3Aを割愛し太陽歯車2dとフライホイール3を直結した機構とし、上記のようにフライホイール3の回転速度が所定の上限の回転速度に達したとき、クラッチ1Aを切り離せば、エンジン1をアイドリングあるいは作動停止とすることも出来る。 【0149】しかし、図6における一方向クラッチ3Aの存在によって、エンジン1を作動停止させた場合、フライホイール3は、差動歯車2との連動関係が完全に切り離される。すなわち、エンジン1の作動停止中、フライホイール3は完全に独立して回転できる態勢になって、太陽歯車2d等がフライホイール3と連動して回転する動力損失を排除することができる。 【0150】上記図4,5および6の実施例において、差動歯車2は、その一例を例示したものであって、公知のように差動歯車は、入力軸、出力軸および反力軸の3要素からなっている。それが図4の場合は、入力軸をキャリヤー2nとし、出力軸をリング歯車2cとし、反力軸を太陽歯車2dとしているものである。 【0151】すなわち太陽歯車、遊星歯車およびリング歯車の3種類の歯車と、入力軸1a、出力軸2aおよび反力軸2mの3種類の回転軸との組み合わせによって、基本的には6種類の組み合わせが存在する。 【0152】ここで、基本的には6種類の組み合わせが存在する、と言う上記説明の「基本的」とは、下記のことを意味している。それは、遊星歯車を軸支させる回転軸において、図4における単列の遊星歯車2bに代え、1列目と2列目と歯車径の異なる2列の遊星歯車を設け、その第1列の側の遊星歯車にリング歯車を噛み合わせ、その第2列の遊星歯車に太陽歯車を噛み合わせる等の基本から変化した組み合わせが存在するからである。 【0153】図7は、図4の発電・電動機5も差動発電・電動機4と同じにフライホイール51Cへ回転エネルギーを蓄積することができる、本発明における他の実施例をシステム図によって示したものである。 【0154】図7において、エンジン1の駆動軸1aがキャリヤー2nに連動し、差動歯車2において、リング歯車2cが出力軸2aに連動し、太陽歯車2dがクラッチ3bあるいは4cへ選択的に係合し、差動発電・電動機4、および第1のフライホイール3が選択的にクラッチ3bへ係合し、回転子4Bにクラッチ4bを有する、以上の機構およびその作用は、図4における場合と同じである。 【0155】図7の図4と異なる点は、図4における発電・電動機5に代わって、図7には差動発電・電動機51と変速装置2Aを設けている点にある。その異なっている部分は、ハウジング2eすなわち出力軸2aに変速装置2Aおよび差動発電・電動機51を介して第2のフライホイール51Cを設けているものである。 【0156】その異なっている部分において、変速装置2Aの機構は下記のようになっている。出力軸2aと一体回転するディスク2jに軸支した遊星歯車2hが太陽歯車2iの外周とリング歯車2gの内周に噛み合い、太陽歯車2iは回転子51Bに連動し、ディスク2jと太陽歯車2iとの間にはクラッチCを設け、リング歯車2gに固設のディスク2kには第3のブレーキB4を設けた機構になっている。 【0157】又、第2の差動発電・電動機51は、回転子51B、第2のフライホイール51Cと一体の巻線51Aおよび巻線51Aへ電力の授受を行う第2のスリップ・リング51aからなっており、フライホイール51Cには、選択的に回転を拘束する第2のブレーキB3を設けている。 【0158】上記図7における変速装置2Aおよび差動発電・電動機51は、ブレーキ・エネルギーを電池6とフライホイール51Cに蓄積させるために、図4の機構を改良したものである。 【0159】したがって、図7における作用説明は、下記のように上記ブレーキ・エネルギーの回収作用のみを説明する。なお、上記説明から理解出来るように、エンジン1が第1のフライホイール3へ回転エネルギーを蓄積する作用と、その際、差動歯車2を介して機械的にエンジン1からの一部動力が出力軸2aへ伝達する作用は図4における作用と同じである。 【0160】このように、図7の駆動装置を有する車両が走行している場合であって、フライホイール3に回転エネルギーが必要量蓄積している状態において、出力軸2aを駆動する場合は下記のようになる。 【0161】この場合、第1のブレーキB2が開放状態にあって第1のフライホイール3は自由回転状態にあり、第2のブレーキB3は第2のフライホイール51Cの回転を拘束し、第3のブレーキB4は開放状態にしておく。又、制御装置6Aは、クラッチ4bおよびCを係合状態に設定し、クラッチ3bおよび4cを開放状態に設定している。 【0162】この状態において、制御装置6Aは、差動発電・電動機4を発電状態に設定する。この場合、回転慣性力によって自由回転しているフライホイール3は巻線4Aと共に回転している。その結果、その発電作用によって、巻線4Aは回転子4Bに対して駆動トルクを発生させる。 【0163】この場合、変速装置2Aにおいては、クラッチCが係合状態にあるから太陽歯車2i、遊星歯車2hおよびリング歯車2gは、一体になって回転する態勢になっている。したがって、その回転子4Bに生じた駆動トルクは、クラッチ4b、回転子51Bからその一体になった太陽歯車2i、遊星歯車2hおよびリング歯車2gを介して出力軸2aに伝達する。 【0164】上記場合において、差動発電・電動機4の発電レベルは、アクセル・ペダルからの出力軸2aに要求している動力レベルに相当している。その場合にあって、アクセル・ペダルからの要求が回転子4Bの上記出力軸2aを駆動する能力を超えている場合、その要求の不足分について、差動発電・電動機51にモーター作用をさせる。 【0165】すなわち、制御装置6Aは、スリップ・リング51aを介して電池6の電力を巻線51Aに供給し、回転子51Bにモーター作用をさせ、回転子51Bに上記不足分に相当する駆動トルクを生じさせる。その回転子51Bに生じたトルクは、上記一体となった太陽歯車2i、遊星歯車2hおよびリング歯車2gを介して出力軸2aに伝達する。 【0166】上記走行状態において、運転者がブレーキ・ペダルを踏むと、制御装置6Aは下記の制御に入る。ブレーキB3およびクラッチCを開放し、ブレーキB4を係合し、差動発電・電動機51を発電状態に設定する。そのことによって、変速装置2Aは、出力軸2aの側から見て増速機になる。 【0167】その制御の結果、出力軸2aの回転がハウジング2eを介して遊星歯車2hにリング歯車2gの内周における遊星運動をさせる。この場合において、変速装置2AにおいてブレーキB4がリング歯車2gを回転拘束しているから、その遊星運動によって遊星歯車2hは、出力軸2aの回転を増速して太陽歯車2iを駆動する。 【0168】その増速によって太陽歯車2iは回転子51Bを駆動し、その回転子51Bの回転は巻線51Aに対して発電作用をする。その発電作用によって発生して電力は、スリップ・リング51aおよび制御装置6Aを介して電池6に充電する。 【0169】その際、回転子51Bを駆動するトルクは、その発電作用によってそのまま巻線51Aからフライホイール51Cに伝達する。そのときのフライホイール51Cに生ずるトルクをTfとすると、前述の(1)式の関係と同じに、フライホイール51Cが加速してゆく。 【0170】上記制動時における差動発電・電動機51の発電作用の発電レベルは、運転者がブレーキ・ペダルを踏み込んだ踏み込みレベルに応じたレベルに制御して、車両の制動をしてゆけばよい。 【0171】又、その制動時において、クラッチ3bおよび4cは切り離し状態にあるため、差動歯車2の側においては、太陽歯車2dが無負荷状態になって、遊星歯車2dが空回り状態になる。したがって、この制動時において、出力軸2aの回転がリング歯車2c、遊星歯車2bおよびキャリヤー2nを介してエンジン1を駆動してしまうことはない。 【0172】一般に、車両の走行中においては、繰り返し駆動輪に対して制動を行っている。そのように、次の制動時に、再び、制動エネルギーを有効にフライホイール51Cへ蓄積できるように、上記制動によって、フライホイール51Cへ蓄積させた回転エネルギーは、下記のように優先して、出力軸2aの駆動に使用する。 【0173】上記制動後に、運転者が再びアクセル・ペダルを踏み込んだ場合、制御装置6Aは、変速装置2Aについて、ブレーキB4を解除し且つクラッチCを係合させ、差動発電・電動機51を発電作用に設定する。 【0174】この態勢においては、ブレーキB4が開放し且つクラッチCが係合したことによって、回転子51Bは、太陽歯車2i、遊星歯車2h、リング歯車2gおよびキャリヤー2jと共に一体回転する。すなわち、回転子51Bと出力軸2aは直結状態になる。 【0175】この状態において、フライホイール51Cの回転慣性は、回転子51Bに対して、巻線51Aを駆動する。その差動発電・電動機51の発電レベルに応じて、その駆動は、回転子51Bにトルクを伝達する。その回転子51Bに生じたトルクは、上記直結状態の変速装置2Aおよびハウジング2eを介して出力軸2aを駆動する。 【0176】その駆動によって、フライホイール51Cは、回転エネルギーを消耗してゆき、やがて、フライホイール51Cの回転速度は回転子51Bの回転速度近くに低下してゆく。その状態に達したとき、制御装置6Aは、差動発電・電動機51をモーター作用に切り替える。 【0177】そのモーター作用によって、回転子51Bは巻線51Aにその回転を停止させる方向への反力トルクを与える。その結果、フライホイール51Cは、その反力トルクによって減速してゆき、やがて、フライホイール51Cの回転速度は零に達する。そのフライホイール51cの回転速度が零になったとき、制御装置6AはブレーキB3を係合して、フライホイール51Cの回転を拘束し、必要に応じてそのモーター作用を続行する。 【0178】その場合、差動発電・電動機51における発電あるいはモーター作用のレベルは、上述の場合と同様、アクセル・ペダルからの出力軸2aに対する要求動力レベルに相当したレベルに制御する。 【0179】又、アクセル・ペダルからの要求に対して、差動発電・電動機51のみでは、その要求を満たすことが出来ない状態においては、エンジン1による駆動を含めた上述と同じ差動発電・電動機4の発電作用による駆動に入る。 【0180】上記図7の機構において、変速装置2Aは、出力軸2aの制動時に出力軸2aの側から見て回転子51Bを増速させる機構になっている。これは、そのように増速する関係にあれば、出力軸2aの制動時において、出力軸2aの回転速度が低下しても回転子51Bが増速して回転するので、より有効に制動エネルギーをフライホイール51Cに回収できるからである。 【0181】又、上記図7の実施例において、変速装置2Aは、出力軸2aの側から見て回転子51Bを、常時、増速する関係の一定変速比の機構であってもよい。それは、そのように増速した関係のまま、差動発電・電動機51にモーター作用をさせて、フライホイール51Cに蓄積した回転エネルギーを再利用できるからである。その作用は下記のようになる。 【0182】制動エネルギーを回収したフライホイール51Cが、慣性力によって回転している状態において、差動発電・電動機51をモーター作用の状態に設定する。そのモーター作用によって、回転子51Bは、変速装置2Aが増速関係にある状態で出力軸2aを駆動する。 【0183】その結果、回転子51Cは、巻線51Aを介してフライホイール51Cに回転子51Bの回転と逆の回転方向へ反力トルクを与える。その反力トルクによって、フライホイール51Cは減速して行く。その場合、そのモーター作用が続行すると、やがて、フライホイール51Cの回転が停止する時が存在する。そのフライホイール51Cが回転停止したとき、上述のように、ブレーキB3によってフライホイール51Cの回転を拘束すればよい。 【0184】この場合にあって、フライホイール51Cが回転している状態において、回転子51Bにモーター作用をさせる電力の使用量は、回転子51Bが出力軸2aを駆動するトルクと、巻線51Aと回転子51Bとの回転速度差との積に比例している。すなわち、フライホイール51Cの回転速度が高い程、上記巻線51Aと回転子51Bとの回転速度差は小さくなり、そのモーター作用に使用する電力は小さくて済む。このことは、このモーター作用時において、フライホイール51Cが回転している分、すなわち制動時に回収したエネルギーが有効に再利用されていることになる。 【0185】唯、図7において、フライホイール51Cの回転慣性によって出力軸2aを駆動する場合に、変速装置2Aにおいてその変速比を直結状態にして回転子51Cの回転速度を低めることは、下記の理由によっている。すなわち、その直結状態設定により、フライホイール51Cの回転速度に対して、回転子51Bの回転速度がより低速になって、差動発電・電動機51が出力軸2aを駆動する際、差動発電・電動機51の発電作用可能な時間を出来る限り多く残しておけるからである。 【0186】又、その理由は、電池6の蓄電容量が少なくて上記モーター作用が出来ない場合を考慮し、その場合は上述した差動発電・電動機51に発電作用をさせて出力軸2aを駆動しながら、その発電による電力を電池6に充電できるからである。又、逆に、電池6の蓄電量が十分である場合は、上記増速、減速の変速が可能であっても、変速装置2Aを増速関係にしたまま差動発電・電動機51にモーター作用をさせればよい。 【0187】したがって、図7における変速装置2Aは、出力軸2aの側から見て、回転子51Bを増速する場合と、減速する場合とを選択できれば、より望ましいことになる。すなわち、その増速の設定は、出力軸2aの制動時と差動発電・電動機51にモーター作用をさせる場合に使用し、その減速の設定は、出力軸2aの駆動時に差動発電・電動機51に発電作用をさせる場合に使用すればよい。 【0188】なお、図7においては、その減速が直結状態なっている。しかし、上記減速は、上記説明から理解できるように、上記増速の関係に対して、出力軸2aから見て回転子51Bが減速する関係になっていればよいことを意味している。 【0189】上記図7の説明において、図1におけると同様、一方のローターとしての巻線51Aと、他方のローターとしての回転子51Bの両ローターは、いずれのローターの側がフライホイール51Cに直結あるいは機械的連動してもよい。すなわち、その両ローターのうち、いずれか一方のローターがフライホイール51Cに連動し、いずれか他方のローターが太陽歯車2iに連動する関係になっていればよい。 【0190】 【発明の効果】1) 本発明は、フライホイール3、51Cへ回転エネルギーを蓄積する際と、その回転エネルギーを出力軸4a、2aへ放出する際の動力伝達が機械的な反力トルクによっている。したがって、通常の発電機によってその機械的な動力を全て、一旦、電力として電池へ充電する等の方法に比し、動力伝達効率が良好となり、エネルギー利用効率が良い。 【0191】2) 請求項1および2の本発明は、エンジン1がフライホイール3にエネルギー蓄積してゆく過程において、エンジン1の経済燃費特性Eに沿ってエンジン1を作動させているから、そのフライホイール3へエネルギーを蓄積させてゆく際のエンジン1の燃費率が良好となる。 【0192】3) 特に、請求項1における本発明は、フライホイール3への回転エネルギーの蓄積が、エンジン1の出力を何ら他の電気的等の伝達手段を介せず、直接、機械的にフライホイール3へエネルギー伝達するため、その動力伝達効率が良い。 【0193】4) 請求項3における本発明は、制動時において、出力軸2aの側から見て差動発電・電動機51のローター51Bを増速させて、その制動エネルギーをフライホイール51Cに蓄積させるから、出力軸2aが低速回転にあっても、有効にその制動エネルギーを蓄積できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000161493 【氏名又は名称】宮尾 隆之
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| 【出願日】 |
平成12年6月9日(2000.6.9) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−352606(P2001−352606A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月21日(2001.12.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−172924(P2000−172924) |
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