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【発明の名称】 無段変速機付きハイブリッド車両
【発明者】 【氏名】牟田 浩一郎

【氏名】半田 和功

【要約】 【課題】無段変速機付きハイブリッド車両において、その走行システムに対して最適な運転条件を設定するための制御ロジックを確立する。

【解決手段】アクセル開度(APS信号)と車輪回転速度Nwを入力条件としてパワーユニットの目標軸出力Ppを導き出すとともに、バッテリ充電率を目標値の状態とするための充放電出力Pbにより目標軸出力Ppを補正する。この補正した目標軸出力Ppaに基づいて目標プライマリ回転速度Npをマップ検索し(マップ56)、無段変速機の作動に伴いエンジン回転速度Neが変化するので、更にその回転速度Neから目標エンジン出力Peをマップ検索する(マップ58)。この目標エンジン出力Peに基づいてエンジンの出力制御を行い、その目標軸出力Ppに対する過不足分(偏差Ep)を電動機の出力制御に用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関および電動機を有するパワーユニットと、前記電動機に給電して動力を発生させる一方、前記電動機が発電機として働くことにより充電可能なバッテリと、前記パワーユニットから出力される回転をプライマリ軸とセカンダリ軸との間で無段階に変速して伝達可能な無段変速機とを備えた無段変速機付きハイブリッド車両において、車両の運転状態に基づき前記パワーユニットの目標出力を導き出す目標パワーユニット出力導出手段と、前記電動機の働きにより、前記バッテリの充電率を所定の目標充電率とするのに必要な電力に相当する充放電出力を導き出す充放電出力導出手段と、前記パワーユニットの目標出力を前記充放電出力にて補正した補正目標出力に対応する前記内燃機関の目標回転速度を求め、この目標回転速度に基づいて前記無段変速機の前記プライマリ軸に対する目標プライマリ回転速度を導き出す目標プライマリ回転速度導出手段と、前記プライマリ軸の回転速度を前記目標プライマリ回転速度に合致させるべく前記無段変速機の変速比を制御する変速比制御手段と、前記変速比制御手段の作動により変化する前記内燃機関の回転速度に応じて前記内燃機関の目標出力を導き出す目標内燃機関出力導出手段と、前記内燃機関の出力をその目標出力に基づいて制御するとともに、前記パワーユニットの目標出力と前記内燃機関の目標出力との間の偏差に基づいて前記電動機の出力を制御するパワーユニット制御手段とを具備したことを特徴とする無段変速機付きハイブリッド車両。
【請求項2】 前記目標内燃機関出力導出手段は、前記内燃機関の回転速度に対応して最良の燃料消費率を与える最良燃費出力を前記目標出力として導き出し、前記パワーユニット制御手段は前記電動機を作動させるとき、その作動を制限するとともに前記内燃機関を前記最良燃費出力から外れた出力にて運転させることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機付きハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関および電動機をパワーユニットとして使用するハイブリッド車両に係り、特に、その動力伝達系に無段変速機を有した無段変速機付きハイブリッド車両に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のハイブリッド車両における走行システムの構成は、そのパワーユニットに内燃機関および電動機を含み、これらの出力軸はパラレル式に駆動系に接続されている。また、駆動系には無段変速機が装備されており、無段変速機はプライマリ軸に対する入力回転をセカンダリ軸との間で無段階に変速して駆動系に伝達することができる。電動機はバッテリから給電されて出力を発揮する一方、発電機として働くときはその電力をバッテリに充電することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したハイブリッド車両の走行システムにあっては、その入力条件に対して制御するべき対象が多様であり、それ故、より好適な条件でシステムを可制御とするための制御ロジックの確立が難しい。例えば、運転者の要求する出力に対して内燃機関の出力と電動機の出力との配分を最適に規定したり、また、パワーユニットの出力回転速度に対して最も効率的な変速比を規定するための具体的な制御手法は未だ確立が困難とされている。
【0004】そこで、本発明は無段変速機付きハイブリッド車両の走行システムにおける総合的な制御手法の確立を目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の無段変速機付きハイブリッド車両(請求項1)は、その走行システムを以下の手法により制御するものとしている。すなわち、ハイブリッド車両では通常、電動機は車両加速時等に内燃機関の出力の不足分を補償し、一方、減速時に発電機として働いて車両の運動エネルギを回生しているが、運転者が将来的に加速または減速の何れを要求するかは予測が不可能である。このため、本発明では加速および減速要求の何れにも対応するため、バッテリの目標充電率を設定しておき、その目標充電率を維持するための充電制御を走行システムの制御手法に適用するものとした。
【0006】具体的には、車両の運転状態を表すアクセル開度および車速の検出値を入力条件としてパワーユニットの目標出力を導き出すとともに、更に検出したバッテリの充電率を所定の目標充電率とするのに必要な電力に相当する電動機の充放電出力を導き出し、この充放電出力にてパワーユニットの目標出力を補正する。そして、補正した目標出力に対応する内燃機関の目標回転速度を求め、その目標回転速度に基づいて無段変速機の目標プライマリ回転速度を導き出す。この目標プライマリ回転速度に基づいて無段変速機の変速比を制御すると、その変速比に従って内燃機関の回転速度が変化するので、その変化する回転速度に応じて更に内燃機関の目標出力を導き出す。最終的なパワーユニットの出力制御では、内燃機関の出力はその目標出力に基づいて制御するものとし、一方、電動機の出力はパワーユニットの目標出力と内燃機関の目標出力との間の偏差に基づいて制御するものとする。
【0007】上述した制御手法によれば、補正された後のパワーユニットの目標出力(補正目標出力)には、運転者がパワーユニットに対して実際に要求する出力と、走行システムがバッテリを充電または放電するために必要とする充放電出力とを含む。走行システムはその構造上、内燃機関の回転速度と変速機のプライマリ回転速度とが相互に対応しているため、補正目標出力に対応する内燃機関の目標回転速度に基づいて無段変速機の変速比を制御すると、その変速操作に伴い内燃機関の回転速度が変化する。この変化する回転速度に応じて内燃機関の目標出力を導き出し、その目標出力に従って内燃機関を制御すると、上述の補正目標出力に合致した出力が得られることになる。このとき電動機の出力は、パワーユニットの目標出力に対する内燃機関の目標出力の過不足分として制御されるので、その出力はバッテリの充電または放電に必要な充放電出力に合致する。
【0008】例えば、バッテリの充電率を引き上げる必要がある場合、その充電に必要となる出力がパワーユニットの目標出力に加算して補正される。内燃機関は、その補正目標出力に合致した出力を発揮するので、補正により加算された出力がパワーユニットの目標出力に対して余剰となる。この余剰出力は電動機による発電に消費されてバッテリを充電するので、実際にハイブリッド車両の駆動に発揮される出力は、運転者の要求する出力に合致したものとなる。これとは逆に、バッテリの充電率を引き下げる必要がある場合は、その放電により消費するべき出力がパワーユニットの目標出力から差し引いて補正される。この場合、内燃機関の発揮する出力がパワーユニットの目標出力に対して不足するので、その不足分の出力が電動機により補償(モータアシスト)される。従って、この場合もハイブリッド車両の駆動に発揮される出力は、運転者の要求する出力に合致している。
【0009】また、本発明のハイブリッド車両(請求項2)では内燃機関に対し、その回転速度に対応して最良の燃料消費率を与える出力を発揮させるものとしているが、例えば加速走行等で電動機を作動させる必要があるときは、その作動を制限するとともに内燃機関を最良燃費出力から外れた出力にて運転させるものとする。すなわち、実際にバッテリと電動機との間で生じるエネルギ損失を考慮すれば、加速走行の非定常時には電動機の出力によりパワーユニットの目標出力を全部補償するよりも、最良燃費出力を外れたとしても内燃機関の出力によりパワーユニットの目標出力を補償した方が総合的な燃費は向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態としては、例えば図1に示される走行システムの構成を備えた無段変速機付きハイブリッド車両を挙げることができる。図1のハイブリッド車両はパワーユニットとしてエンジン1および電動機2を搭載しており、電動機2には二次電池からなるバッテリ4が接続されている。このバッテリ4は電動機2に給電して駆動力を発生させる一方、電動機2が発電機として働くときはその発電した電力を充電することができる。またハイブリッド車両は、その動力伝達系に例えばベルト式の無段変速機(以下、CVTと称する。)6を装備しており、このCVT6はパワーユニットから出力される回転を無段階に変速して車輪Wに伝達する。ただし、無段変速機はベルト式に限られず、その他の型式であってもよい。
【0011】また、このハイブリッド車両はパラレル式のパワーユニットを採用しており、それ故、エンジン1のクランク軸8と電動機4の出力軸10がともにCVT6のプライマリ軸12に接続されて一体的に回転できる構造を有している。なお、クランク軸8とプライマリ軸12との間にはクラッチ14が介挿されており、このクラッチ14の切断によりエンジン1のアイドル運転が可能である。
【0012】上述したCVT6は、プライマリプーリ16とセカンダリプーリ18との間に巻き掛けた無端状の駆動ベルト20により動力を伝達し、これらプーリ16,18間の巻き掛け径比に応じてプライマリ軸12とセカンダリ軸22との間にて変速比を無段階に設定することができる。このCVT6の変速操作は、例えば油圧式の変速制御回路24により行うことができる。具体的には、各プーリ16,18は何れも駆動ベルトを挟持するためのコーン面を有した固定シーブおよび可動シーブからなり、それぞれ可動シーブは固定シーブに対して軸方向に接離自在となっている。また、各可動シーブ内には油圧室が形成されており、個々の油圧室には油圧式変速制御回路24を通じて作動油圧の給排路が接続されている。この変速制御回路24は図示しない油圧源から作動油圧の供給を受け、その圧力を調整して更に供給することができる。例えば、変速制御回路24はプライマリプーリ16側の油圧室に対する作動油圧の給排を制御してその可動シーブを軸方向に変位させる一方、セカンダリプーリ18側の油圧室に必要なライン圧を供給する。これにより、CVT6はプライマリプーリ16およびセカンダリプーリ18による駆動ベルト20の挟持力を適正に保持したまま、これらプーリ16,18間にてベルト巻き掛け径比を無段階に変更することができる。
【0013】また、図1のハイブリッド車両は、その走行システムを総合的に制御するための電子制御ユニット(ECU)26を装備しており、エンジン1および電動機2の出力やCVT6の変速操作は何れもECU26により制御することができる。具体的には、エンジン1は電動スロットルバルブ28を備え、エアフローメータ30および燃料噴射弁32を用いて空燃比A/Fの電子制御を可能とする装備を有している。ECU26は電動スロットルバルブ28の開度を調節するとともに、エアフローメータ30からのセンサ信号を受け取ってエンジン1の吸入空気量を検出し、所定の空燃比A/Fを得るように燃料噴射弁32を駆動させる。
【0014】また、ECU26はバッテリ4と電動機2との間で電力の送受方向を切り換える機能を有しており、上述のようにバッテリ4から電動機2に給電するときは電動機2の型式に合わせて供給電圧、電流、周波数等を可変して電動機2の出力を制御する。逆に、バッテリ4を充電するときは電動機2を発電機として働かせる。
【0015】また、上述した変速制御回路24はソレノイドバルブを用いて駆動されるスプールバルブを有しており、そのスプールの位置を切り換えて個々の油圧室に対する作動油圧の給排やライン圧の調整を行うことができる。ECU26は、所定の変速制御プログラムに則って変速制御回路24のソレノイドバルブを駆動させ、CVT6の変速比を制御することができる。
【0016】またECU26には、走行システムの状態を表す各種の情報が収集されるようになっており、走行システムには各種のセンサ類が組み込まれている。例えばアクセルペダル34には、その踏み込み量に応じたセンサ信号を出力するアクセルポジションセンサ(APS)36が取り付けられており、ECU26はAPS36からの信号によりアクセル開度を検出することができる(運転状態の検出)。また車輪Wには、そのアウトプット回転速度Nwに同期したパルスを出力する車速センサ38が組み込まれており、ECU26はそのパルス信号から車速Vを検出することができる(運転状態の検出)。
【0017】更に、ECU26は走行システムの状態を検出するために設けられたセンサ類から各種の情報を収集することができる。例えば、エンジン1にはクランク軸の回転に同期したパルスを出力する回転速度センサ40が設けられており、ECU26はそのクランク角パルスからエンジン1の回転速度Neを求めることができる(運転状態の検出)。また、バッテリ4には、その充電残量に応じたセンサ信号を出力する充電センサ42が取り付けられており、ECU26はそのセンサ信号からバッテリ4の充電率を求めることができる。
【0018】以上は、本発明の無段変速機付きハイブリッド車両に含まれる基本的な構成であるが、本実施形態では更に、ECU26の制御機能に関してその他の構成を具備している。
【0019】
【実施例】以下、ECU26による走行システムの制御機能について、具体的な実施例を挙げて説明する。また以下の説明により、本発明のハイブリッド車両に係るその他の構成もまた明確となる。図2は、ECU26に組み込まれている制御系(第1実施例)を具体的に示している。この制御系は、検出した値を各種の制御用マップに入力し、そのマップから取り出した値を演算処理して各種の制御信号に形成する機能を有している。
【0020】具体的には、ECU26は先ず、上述したAPS信号および車輪回転速度Nwを入力条件として制御系に取り込み、これら2つの条件を目標軸出力マップ50に入力する。なお、APS信号はアクセル開度に相当し、また、回転速度Nwは車速Vに相当する。そして、ECU26はマップ50上で入力条件に対応する変数を検索し、その値をパワーユニットの目標軸出力Ppとして導き出す(目標パワーユニット出力導出手段)。この得られた目標軸出力Ppは、運転者が実際にパワーユニットに対して要求する軸出力に相当する。
【0021】その一方で、ECU26は制御系にバッテリ4の充電率SOCの情報を取り込むと、その値を充電率補正マップ52に入力する。この充電率補正マップ52は、バッテリ4の充電率を所定の目標充電率とするために必要な電力を求め、その電力に相当する電動機2の出力Pb、つまり、充放電出力を導き出すためのものである(充放電出力導出手段)。例えば、充電率SOCが目標充電率を下回っている場合、バッテリ4に充電して充電率SOCを回復する必要があるため、電動機2の出力Pbは発電を要求するための充電出力(正の値)となる。逆に、実際の充電率SOCが目標充電率を上回っている場合、バッテリ4を放電させて充電率SOCを引き下げる必要があるため、電動機2の出力Pbは電力を消費するための放電出力(負の値)となる。
【0022】上述した目標充電率は、充電率補正マップ52に予め設定しておくことができる。例えば、ハイブリッド車両の走行可能距離だけを考えれば、バッテリ4を常に満充電に近い状態に維持しておけばよいが、この先、運転者が加速をより多く要求するか、あるいは、減速をより多く要求するかは、車両が走行している道路の種類(高速道路、市街地路、山間路等)や、先行きの交通状況により異なる。従って、将来的に加速および減速の何れの要求をも均等に満たす必要があることを考え併せれば、目標充電率は例えば50%の近傍にあることが好ましい。ただし、特に本実施例において目標充電率に限定を設けるものではなく、ハイブリッド車両の用途や走行する道路の状況等に合わせて目標充電率の値は適宜に変更することが可能である。
【0023】次に、ECU26は充電率補正マップ52から検索した充放電出力Pbを目標軸出力Ppに加算して補正し(加算点54)、その結果を補正目標出力Ppaとする。そして、ECU26は補正目標出力Ppaを目標プライマリ回転速度マップ56に入力し、このマップ56上で対応する値を検索する。検索された値はCVT6のプライマリ軸12に与えるべき目標プライマリ回転速度Npとして導き出される。
【0024】ここで、図1の走行システムの構造上、クラッチ14を完全に係合させた状態でCVT6のプライマリ回転速度Npとエンジン回転速度Neとは相互に一致する。従って、目標プライマリ回転速度Npの具体的な値は、補正目標出力Ppに対応するエンジン1の目標回転速度Neに基づいて導き出すことができる(目標プライマリ回転速度導出手段)。なお、ハイブリッド車両の具体的な態様が図1の構造と異なる場合、例えばクランク軸8とプライマリ軸12との間に減速機構が設置されている場合は、その減速比を考慮して目標プライマリ回転速度Npを導き出せばよい。
【0025】図3は、ECU26が目標プライマリ回転速度マップ56として使用することができるチャートを示している。このチャートには、エンジン1の運転試験を通じて得られたデータに基づいて最良燃費ラインLが規定されており、この最良燃費ラインLは、エンジン1を最良の燃料消費率(最低燃費)で運転させるための回転速度Neと正味平均有効圧との関係を示している。より詳しくは、図3中にエンジン1の回転速度Neと正味平均有効圧との関係から等出力曲線をプロットすると、その等出力曲線は右下がりの曲線群で表されている。なお、図3中の曲線群は回転速度Neおよび正味平均有効圧がともに高い領域にある曲線ほど高出力であることを表している。これら等出力曲線群に対して等燃料消費率線(図示していない)を重ね合わせると、個々の等出力曲線上で最良の燃料消費率を得ることができるポイントが明らかとなる。そして、これらポイントを順次つなぎ合わせると、図示の最良燃費ラインLを得ることができる。
【0026】このような図3をマップとして目標プライマリ回転速度Npを検索する場合、ECU26は補正目標出力Ppを表示する等出力曲線と最良燃費ラインLとの交点を求め、その交点に対応するエンジン回転速度Neを目標プライマリ回転速度Npとして導き出すことになる。また、マップ検索により導き出された目標プライマリ回転速度Npは、走行システムにおいてCVT6の変速比制御信号として使用される。すなわち、ECU26は車輪回転速度Nwに対し、プライマリ軸12に目標プライマリ回転速度Npを与えるための変速比を算出し、その変速比を確立するべく変速制御回路24の作動を制御する(変速比制御手段)。これにより、プライマリ軸12の回転速度が目標プライマリ回転速度Npに合致することになる。
【0027】このようなCVT6に対する変速比制御の実行に伴い、エンジン1の回転速度Neもまた目標プライマリ回転速度Npに合致するべく変化する(Ne→Np)。ECU26は、このとき検出した回転速度Neを目標エンジン出力マップ58に入力し、このマップ58からエンジン1の出力制御に用いる目標エンジン出力Peを検索する。このとき、上述した最良燃費ラインLのチャート(図3)を目標エンジン出力マップ58としても使用することができ、ECU26は、最良燃費ラインL上で回転速度Neに対応する運転ポイントを含む等出力曲線を検索し、その曲線が表示する出力の値を目標エンジン出力Peとして導き出す(目標内燃機関出力導出手段)。なお、図3には出力の代表値を表す等出力曲線だけが示されているが、これら代表値以外の出力については適宜、図3中に等出力曲線を表示してもよいし、補間法によって求めてもよい。
【0028】導出された目標エンジン出力Peは、ECU26によるエンジン1の出力制御信号として使用される。このとき、エンジン1に目標エンジン出力Peに合致した出力を発揮させるため、ECU26は図3の最良燃費ラインL上で目標エンジン出力Pe(または回転速度Ne)に対応した負荷(または正味平均有効圧)を与える出力制御を行う。このような出力制御は例えば、上述したエンジン1の空燃比制御を行うための装備(電動スロットルバルブ28、エアフローメータ30、燃料噴射弁32等)を用いて行うことができる。
【0029】一方、ECU26は最初に導き出したパワーユニットの目標軸出力Ppから目標エンジン出力Peを差し引き(減算点60)、これらの間の出力偏差Epを求める。ここまでの説明から明らかなように、この偏差Epは、エンジン1を最良燃費の条件で運転させたとき、そのエンジン出力が目標軸出力Ppに対して生じる過不足分に相当する。そこで、ECU26はこの過不足分を電動機2の出力にて補償するべく、偏差Epに基づいて電動機2の出力を制御する(パワーユニット出力制御手段)。
【0030】なお、実際の走行システムにあっては、電動機2の出力の応答性に比較してエンジン1の出力の応答性はある程度の遅れを伴うことから、本実施例の制御系では過渡的にエンジン出力の補償を行っている。具体的には、ECU28はエンジン回転速度Neや燃料消費量(噴射パルス信号)等の情報に基づいて実際のエンジン出力Perを求めると、この実エンジン出力Perを目標エンジン出力Peから差し引き(減算点62)、その残りを偏差Epに加算して(加算点64)電動機2の目標出力Pmを求めている。そしてECU26は、最終的に求めた目標出力Pmに基づいて電動機2の出力を制御する。
【0031】以下、図2の制御系を用いた走行システムの制御手法について具体例を挙げて説明する。例えば、パワーユニットの目標軸出力Pp1が導き出されたとき、バッテリ4の充電率SOCが目標充電率に対して不足する場合、上述のように充電率補正マップ52から必要な充電出力Pb1(正の値)が導き出される。このとき、図3をマップ56として使用すると、その等出力曲線でみて、例えば目標軸出力Pp1に対し、それよりも高出力となる補正目標出力Ppa1(=Pp1+Pb1)に基づいて目標プライマリ回転速度Np1が導き出される。
【0032】一方、エンジン1の出力制御では、CVT6の作動により変化するエンジン回転速度Ne1に基づいて目標エンジン出力Pe1(=Ppa1)が導き出される。従って、目標エンジン出力Pe1は目標軸出力Pp1に対して余剰出力を含むことになり、この余剰出力分は偏差Ep1(=Pp1−Pe1)として電動機2の目標出力Pm1に反映される。この場合、目標出力Pm1は負の値となるので、ECU26は電動機2を発電機として働かせる。なお、このとき発電される電力はマップ52により導き出された充電出力Pb1に合致しており、その電力をバッテリ4に充電することで、充電率SOCを目標充電率まで回復させることができる。
【0033】このように、バッテリ充電率SOCが不足する場合、エンジン1を最良燃費の条件で運転しながら余剰出力を発生させるとともに、その余剰出力を発電に消費させる結果、パワーユニットの出力は運転者の要求出力に合致したものとなる。逆に、バッテリ充電率SOCが目標充電率を上回る場合は、その充電率SOCを目標充電率まで引き下げるための電力に相当する放電出力Pb2(負の値)が導き出される。この場合、目標軸出力Pp1よりも放電出力Pb2だけ低出力となる補正目標出力Ppa2(=Pp1+Pb2)に基づいて目標プライマリ回転速度Np2が導き出され、また、そのエンジン回転速度Ne2に対応して最良燃費となる目標エンジン出力Pe2が導き出される。
【0034】従って、目標エンジン出力Pe2は目標軸出力Pp1に対して不足することになり、その出力偏差Ep2(=Pp1−Pe2)に基づく目標出力Pm2は正の値となる。この場合、ECU26はエンジン1の出力に加えて電動機2の出力により車両を力行させ、エンジン1の出力不足分をアシストする。また、このとき電動機2により消費される電力は、マップ52により導き出された放電出力Pb2に合致しており、充電率SOCが目標充電率に低下するまでバッテリ4の電力が消費される。
【0035】このように、バッテリ充電率SOCが余剰である場合、エンジン1を最良燃費の条件で運転するとともに、パワーユニットの要求出力に対する不足分を電動機2により補償する結果、パワーユニットの出力は運転者の要求出力に合致したものとなる。以上は、ECU26の有する制御系の基本型(図2)に基づく第1実施例であるが、本発明においては更に、その制御系を変形した第2および第3の実施例が用意されている。
【0036】図2の基本型となる制御系では、例えばエンジン1の出力特性やCVT6の変速可能範囲等の制約により、図3の最良燃費ラインLに完全に合致した目標プライマリ回転速度マップ56および目標エンジン出力マップ58を設定できない領域が存在する。具体的には、CVT6の変速比を最高速(フルオーバドライブ)とした状態でハイブリッド車両を定常走行させたとき、各等出力曲線上でエンジン1を有効に運転することができる回転速度域を図3中に規定すると、そのプライマリ回転速度Npの下限は、図中に破線で示される右上がりの曲線Dで表される。すなわち、エンジン1の性能に基づく理論上の等出力曲線に対して、実際の車速域とCVT6の構造的な変速可能範囲との関係から、この曲線Dよりも低回転速度側に変速比を高く設定することができず、それ故、最良燃費ラインLが曲線Dよりも低回転速度域にある部分は、実際のエンジン1の運転ポイントとして成立しない。このため、実車に用いられる制御系では、目標プライマリ回転速度マップ56および目標エンジン出力マップ58の設定に際し、その最良燃費ラインLを部分的に曲線Dに沿って屈曲させる必要がある。この場合、曲線D上ではエンジン1の運転ポイントが最良燃費ラインLから外れたものとなる。そこで、以下の第2実施例では、CVT6の変速可能範囲による制約を受ける場合であっても、エンジン1の運転ポイントを最良燃費ラインL上に移すための補正を行っている。
【0037】図4は、その第2実施例として使用される制御系を示している。この制御系は主に、バッテリ充電率SOCが目標充電率に対して不足する場合の出力制御に好適した構成を有しており、特に、充電率補正マップ66に加えてエンジン出力補正マップ68を有している。このうち、充電率補正マップ66は、入力されたバッテリ充電率SOCに基づいて必要な電動機2の充電出力Pbを設定することができ、その主な機能は上述した基本型の場合の充電率補正マップ52と同様である。
【0038】これに対し、エンジン出力補正マップ68は、上述した目標エンジン出力Peに対する補正値として、エンジン出力補正値Aeを設定することができる。このエンジン出力補正マップ68により設定されたエンジン出力補正値Aeは、制御系において目標エンジン出力Peに対して加算され(加算点70)、その補正目標エンジン出力Peaがエンジン1の出力制御に用いられる。また、充電率補正マップ66により設定された充電出力Pbは、上述したエンジン出力補正値Aeを差し引かれ(減算点72)、その残りが目標軸出力Ppに対して加算される(加算点54)構成となっている。
【0039】以下、第2実施例の制御系を用いた走行システムの制御手法について具体例を挙げて説明する。なお、第2実施例のエンジン出力補正マップ68としては図3のチャートを使用することができるが、以下の説明では第1実施例との混同を避けるため、別途用意した図5を参照するものとする。例えば、ハイブリッド車両が目標軸出力Pp2で定常走行しているとき、エンジン1は図5でみて最良燃費ラインL上の運転ポイントα0の条件(回転速度Ne0,正味平均有効圧T0)にて出力制御されている。この状態で、バッテリ4の充電率SOCが目標充電率に対して不足していると認められる場合、充電率補正マップ66から必要な充電出力Pb3(正の値)が導き出される。
【0040】一方、図5をエンジン出力補正マップ68として使用するとき、ECU26は目標軸出力Pp2に充電出力Pb3を加算した出力(Pp2+Pb3)を表示する等出力曲線をマップ68から検索し、その等出力曲線上でみて最良燃費となる運転ポイントα1を求める。このとき、マップ68上で運転ポイントα1が曲線Dよりも低回転速度側にあると認められる場合、ECU26は運転ポイントα1に対応するエンジン回転速度Ne3において曲線D上の運転ポイントα2を含む等出力曲線を検索し、その等出力曲線が表示する値を中間補正出力Pxとして設定する。そして、ECU26は目標軸出力Pp2に充電出力Pb3を加算して得られる出力(Pp2+Pb3)から中間補正出力Pxを差し引いた値(=Pp2+Pb3−Px)をエンジン出力補正値Ae1として設定し、マップ68から出力させる。
【0041】このようにしてエンジン出力補正値Ae1を設定すると、ECU26は充電出力Pb3からエンジン出力補正値Ae1を差し引いた残り(=−Pp2+Px)を目標軸出力Pp2に加算して補正し、補正目標出力Ppa3を導き出す。なお、ここまでの説明から明らかなように、補正目標出力Ppa3の具体的な値は、マップ68において設定した中間補正出力Pxに一致したものとなる(Ae1+Pp2=Px)。
【0042】この補正目標出力Ppa3は、基本型の場合と同様に目標プライマリ回転速度マップ56に入力される。このとき、マップ56では最良燃費ラインLが曲線D(太線で強調した部分)に沿って部分的に屈曲されているので、マップ検索の結果は曲線D上で補正目標出力Ppa3の等出力曲線に対応するプライマリ回転速度Np3となる。
【0043】また、ECU26が目標プライマリ回転速度Np3に従ってCVT6の変速比を制御すると、その作動に伴いエンジン回転速度Ne3が得られるので、第2実施例においても同様に目標エンジン出力マップ58の検索から目標エンジン出力が導き出される。このとき、マップ58においても最良燃費ラインLが曲線Dに沿って屈曲されているので、マップ検索の結果は曲線D上でエンジン回転速度Ne3に対応する運転ポイントα2を含む等出力曲線が表示する出力、つまり、目標エンジン出力Pe3となる。これにより、目標エンジン出力Pe3の値は、上述した中間補正出力Pxの値に合致したものとなる。
【0044】そして、ECU26は目標エンジン出力Pe3にエンジン出力補正値Ae1を加算して補正し、補正目標エンジン出力Pea1を導き出す。このとき補正値Ae1は、上述のように目標軸出力Pp2に充電出力Pb3を加算した値から中間補正出力Pxを差し引いた値(=Pp2+Pb3−Px)であり、また、中間補正出力Pxは目標エンジン出力Pe3に合致した値(Px=Pe3)であることから、補正目標エンジン出力Pea1の値は最終的に、上記の目標軸出力Pp2に充電出力Pb3を加算した値(=Pp2+Pb3)に合致したものとなる。
【0045】このような補正目標エンジン出力Pea1に基づいてエンジン1の出力制御を行う場合、ECU26は図5でみて運転ポイントα2の条件(回転速度Ne3,正味平均有効圧T1)から負荷だけを増大させて、運転ポイントα1の条件(回転速度Ne3,正味平均有効圧T2)にて出力制御を行う。このようにしてエンジン1の出力が補正目標エンジン出力Pea1に基づいて制御されると、目標軸出力Pp2との間の出力偏差Ep3(=Pp2−Pea1)に基づいて電動機2が発電機として働き、その出力偏差Ep3分が発電に消費される。このとき、補正目標エンジン出力Pea1の値は目標軸出力Pp2に充電出力Pb3を加算した値(=Pp2+Pb3)となることから、電動機2により発電される電力は充電出力Pb3に等しいものとなる。
【0046】以上のように第2実施例の制御系(図4)を用いた場合、充電率SOCの不足分を補うための充電出力Pbを、補正目標出力Ppaと補正目標エンジン出力Peaとに分けて補正することができる。このため、エンジン1の運転条件にCVT6の変速可能範囲の制約を受ける状況にあっては、単に目標軸出力Pp2に対して充電出力Pb3を加算して補正しようとすると、その運転ポイントα3が最良燃費ラインLから外れたものとなるところ、この第2実施例では目標軸出力Pp2に対する補正と目標エンジン出力Pe3に対する補正とに分けて補正を行うことにより、エンジン1の運転条件を最良燃費ラインL上の運転ポイントα1に設定することができる。従って、常に最良燃費の運転条件でバッテリ充電率SOCの補正が可能となる。
【0047】以上の第1および第2実施例は、バッテリ充電率SOCの補正に関する有効な制御手法を提供するものである。ここで、ハイブリッド車両全体でみたパワーユニットの効率化に着目すると、例えば電動機2の力行時および発電時の効率が約75〜80%であり、更にバッテリ4との間における充電および放電の効率が約90%であることから、電動機2の総合効率は例えば50〜60%程度であると認められる。このため、本発明の発明者らは、エンジン1の燃費と電動機2の総合効率とを比較考量したとき、加速走行の非定常時には電動機2の出力で補償するよりも、最良燃費ラインLを外れたとしてもエンジン1の出力のみで加速を行う方がトータルでみて燃費が向上することを実験等を通じて既に確認している。以下の第3実施例は、このような発明者らの技術的知見に基づいて提供されたものであり、特にECU26の制御機能に関して変更が加えられている。
【0048】図6は、その第3実施例として使用できる制御系の例を示しており、この制御系は例えば図4の制御系にいくつかの構成を付加して得ることができる。ただし、図3の基本型を変形したものを第3実施例として使用することも可能である。図6の制御系の特徴は主に、エンジン1の出力制御に関するストイキ領域最大出力マップ76を備えているところにある。すなわち、このストイキ領域最大出力マップ76では、同じ回転速度でエンジン1の負荷だけを増大したとき、空燃比のストイキ領域で発揮できる最大出力Psを求めることができる。
【0049】図7は、上述したストイキ領域最大出力マップ76として使用できるチャートの例を示している。この図7は、既に説明した最良燃費ラインLを表すチャート上にストイキ領域最大出力ラインSを規定したものであり、この最大出力ラインS上では、最良燃費ラインL上の運転ポイントに対してエンジン1の負荷を増大させたとしても、ストイキ領域内で極端に燃費を悪化させることがない運転条件を設定することができる。
【0050】また図6の制御系は、その信号線上に2種類の比較スイッチ回路78,80を有しており、一方の比較スイッチ回路78は入力の何れか大きい値を選択的に通過させ、また、他方の比較スイッチ回路80は入力の何れか小さい値を選択的に通過させる機能を有している。以下、第3実施例の制御手順について具体例を挙げて説明する。なお、この第3実施例では、既に第2実施例において説明したバッテリ充電率SOCの低下に基づく出力補正については省略する。従って、図6の制御系において、充電率補正マップ66およびエンジン出力補正マップ68は何れも補正値を出力しない(Ae=0,Pb=0)ものとして扱っている。
【0051】例えば、ハイブリッド車両がパワーユニットの目標軸出力Pp3にて定常走行しているとき、CVT6にはマップ56の検索(Ppa=Pp3)により目標プライマリ回転速度Np4が設定されている(図7参照)。また、エンジン1の出力制御ではマップ58の検索(Ne4=Np4)により目標エンジン出力Pe4が導き出されており、それ故、目標エンジン出力Pe4には最良燃費ラインL上の運転ポイントα4の条件(回転速度Ne4,正味平均有効厚T3)が設定されている(目標内燃機関出力導出手段)。
【0052】いま、運転者がアクセルペダル34を踏み込んで加速を要求した場合、そのAPS信号の増大に伴い、目標軸出力マップ50では加速要求にリニアに反応して新たに目標軸出力Pp4が導き出される。このとき、新たな目標軸出力Pp4に基づくマップ56の検索では、最良燃費ラインL上の運転ポイントα5に対応して目標プライマリ回転速度Np5が導き出されるが、CVT6が作動してエンジン回転速度が立ち上がるまで(Ne4→Ne5)の間は、過渡的に目標軸出力Pp4の方が目標エンジン出力(Pe4→Pe5)を上回ることになる。
【0053】従って、図6の制御系では目標エンジン出力Pe4に比較して目標軸出力Pp4が大であることから、比較スイッチ回路78は目標軸出力Pp4の方を選択的に通過させる。このとき、ECU26はストイキ領域最大出力マップ76上で例えばエンジン回転速度Ne4に対応する最大出力ラインS上の運転ポイントα6を検索し、その運転ポイントα6を含む等出力曲線が表示する値をストイキ領域最大出力Ps1として出力する。
【0054】次に、例えば図7でみて目標軸出力Pp4と最大出力Ps1とを比較したとき、未だ最大出力Ps1の方が小さいことから、比較スイッチ回路80は最大出力Ps1の方を選択的に通過させる。ECU26は比較スイッチ回路80を通過した最大出力Ps1をエンジン出力制御の目標値として使用し、運転ポイントα4(回転速度Ne4,正味平均有効圧T3)の条件に対して負荷だけを増大させる。これにより、エンジン1は図7中の運転ポイントα6の条件(回転速度Ne4,正味平均有効圧T4)にて出力制御される。また一方で、ECU26は目標軸出力Pp4に対する最大出力Ps1の不足分を補償するため、これらの間の出力偏差Ep4(=Pp4−Ps1)に基づいて電動機2の出力を制御する(パワーユニット制御手段)。
【0055】以上のように、第3実施例の制御系では、例えば加速時に電動機2を作動させてモータアシストを行うとき、目標軸出力Pp4に対する目標エンジン出力Pe4の不足分を全部補償せずに、電動機2の作動(出力)を制限するものとしている。より詳しくは、ECU26はエンジン1を最良燃費ラインL上の運転条件から外れたストイキ領域最大出力Ps1にて運転させることにより、目標軸出力Pp4に対する不足分をエンジン出力(Ps1)にて一部補償し、その分だけ電動機2の出力を制限するものである。これにより、エンジン1の燃費を多少悪化させても、エンジン1と電動機2の総合効率に基づく損失を抑えることができ、ハイブリッド車両全体としての燃費を向上することができる。
【0056】なお、上述の第3実施例においてマップ76を検索した結果、ストイキ領域最大出力Psが目標軸出力Pp以上の値となった場合、比較スイッチ回路80を通過する信号は常に目標軸出力Ppと同じ値となる。この場合、エンジン1の出力のみでパワーユニットの目標軸出力Ppを発揮させることができるので(Ep=0)、電動機2の作動は完全に制限される態様となる(パワーユニット制御手段)。ただし、この場合でも第1実施例で説明した実エンジン出力Perの補償のために電動機2を作動させることは可能である。
【0057】本発明のハイブリッド車両は、その走行システムの制御系に関して第2および第3実施例以外にも変形が可能である。また、図2の基本型となる制御系の構成は好ましい一例として示されたものであり、本発明の技術的な構成を実現するため制御系に種々の変更を加えて実施することも可能である。また、各種のマップに用いられるチャート(図3,図5,図7)は、ハイブリッド車両に搭載するべきCVT6やエンジン1の仕様、性能曲線等に応じて適宜に書き換えることが可能である。特に、上述した各実施例では、基本的に最良燃費ラインL上の運転ポイントから目標プライマリ回転速度Npおよび目標エンジン出力Peを導き出しているが、エンジン1の運転状態に応じて最良燃費ラインLを外れた運転ポイントを選択するようにしてもよい。
【0058】その他、ハイブリッド車両の走行システムは図1の構成に限られず、個々の要素を適宜に置き換え可能であることはいうまでもない。
【0059】
【発明の効果】本発明の無段変速機付きハイブリッド車両(請求項1)は、内燃機関の運転条件や電動機の出力配分を最適化し、また、そのための適切な変速比の設定を実現することで燃費を大きく向上することができる。また、本発明のハイブリッド車両(請求項2)は、内燃機関の燃費を悪化させることなく電動機のエネルギ損失を抑制することで、その総合的な燃費を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成12年5月29日(2000.5.29)
【代理人】 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
【公開番号】 特開2001−339806(P2001−339806A)
【公開日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願番号】 特願2000−158611(P2000−158611)