| 【発明の名称】 |
ハイブリッド型車両の制御装置及び制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 幸蔵
【氏名】後藤 健次
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| 【要約】 |
【課題】エンジンを停止させた状態で目標出力トルクを容易に発生させることができ、出力トルクに損失が発生するのを防止することができるようにする。
【解決手段】エンジン11と、第1、第2のモータ16、25と、出力軸14と、各歯車要素とエンジン11、第1、第2のモータ16、25及び出力軸14とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段91と、目標出力トルクに基づいて制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段92と、制御トルクに従ってトルク制御を行うトルク制御処理手段93とを有する。制御トルク算出処理手段92は、エンジン11を停止させた状態で、エンジン11を非回転状態に置くエンジン非回転状態形成処理手段94を備える。モータトルクをそれぞれ独立させて制御することができるので、目標出力トルクを容易に発生させることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有するとともに、前記制御トルク算出処理手段は、エンジンを停止させた状態で、エンジンを非回転状態に置くエンジン非回転状態形成処理手段を備えることを特徴とするハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項2】 前記エンジン非回転状態形成処理手段は、前記エンジンの出力部材に作用するトルクを零にする請求項1に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項3】 前記エンジン非回転状態形成処理手段は、前記エンジンの出力部材を回転方向における正方向に付勢するためのトルクを発生させ、該トルクはエンジンの摺動起動抵抗トルクより小さくされる請求項1に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項4】 エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記エンジンの出力部材に作用するトルクを設定する作用トルク設定処理手段と、前記目標出力トルク及び前記エンジンの出力部材に作用するトルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有することを特徴とするハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項5】 前記作用トルク設定処理手段は、前記エンジンの出力部材に作用するトルクを零にする請求項4に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項6】 前記作用トルク設定処理手段は、前記エンジンの出力部材を回転方向における正方向に付勢するためのトルクを発生させ、該トルクはエンジンの摺動起動抵抗トルクより小さくされる請求項4に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項7】 前記制御トルクは目標モータトルクTM1* 、TM2* であり、目標出力トルクをTO* としたとき、前記目標モータトルクTM1* 、TM2* は、TM1* =K1・TO*TM2* =K2・TO* (K1、K2:定数) にされる請求項2又は5に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項8】 前記制御トルクは目標モータトルクTM1* 、TM2* であり、目標出力トルクをTO* とし、前記エンジンの出力部材に作用するトルクをTEとしたとき、前記目標モータトルクTM1* 、TM2* は、TM1* =K1・TO* +K3・TETM2* =K2・TO* +K4・TE (K1〜K4:定数) にされる請求項3又は6に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項9】 エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、エンジンの出力部材と固定部材との間に配設され、エンジンが逆方向に回転するのを阻止し、正方向に回転するのを許容するワンウェイクラッチと、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有するとともに、前記制御トルク算出処理手段は、エンジンを停止させた状態で、エンジンを非回転状態に置くエンジン非回転状態形成処理手段を備え、該エンジン非回転状態形成処理手段は、前記ワンウェイクラッチに作用させる所定のワンウェイクラッチトルクを発生させることを特徴とするハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項10】 エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、エンジンの出力部材と固定部材との間に配設され、エンジンが逆方向に回転するのを阻止し、正方向に回転するのを許容するワンウェイクラッチと、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記ワンウェイクラッチに作用させる所定のワンウェイククラッチトルクを設定する作用トルク設定処理手段と、前記目標出力トルク及び前記ワンウェイククラッチトルクに作用させるトルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有することを特徴とするハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項11】 前記ワンウェイクラッチトルクは、ワンウェイクラッチをロックする方向に発生させられる請求項9又は10に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項12】 前記ワンウェイクラッチトルクは、目標出力トルクに対応させて設定される請求項10又は11に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項13】 前進時において、目標出力トルクが大きくなるほど前記ワンウェイクラッチトルクは大きくされる請求項10又は12に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項14】 後進時において、目標出力トルクが後進方向における所定の値より大きい場合、前記ワンウェイクラッチトルクは零にされる請求項10又は12に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項15】 前記制御トルクは目標モータトルクTM1* 、TM2* であり、目標出力トルクをTO* とし、前記ワンウェイクラッチトルクをTOWCとしたとき、前記目標モータトルクTM1* 、TM2* は、TM1* =K1・TO* +K5・TOWCTM2* =K2・TO* +K6・TOWC (K1、K2、K5、K6:定数) にされる請求項9〜14のいずれか1項に記載のハイブリッド型車両の制御装置。 【請求項16】 エンジン、第1、第2のモータ、駆動輪に連結された出力軸、並びに少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置を有するハイブリッド型車両の制御方法において、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定し、該目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出し、該制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うとともに、前記エンジンを停止させた状態で、エンジンを非回転状態に置くことを特徴とするハイブリッド型車両の制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド型車両の制御装置及び制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、エンジン、二つのモータ、及び差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニットを備え、プラネタリギヤユニットの三つの歯車要素とエンジン、一方のモータ及び出力軸とをそれぞれ連結するとともに、他方のモータと前記出力軸とを連結するようにしたスプリット型のハイブリッド型車両が提供されている。 【0003】そして、エンジンを停止させた状態でハイブリッド型車両を走行させる場合、主として他方のモータを駆動し、他方のモータによって発生させられたモータトルクが目標となる出力トルク、すなわち、目標出力トルクに対して不足する分を、一方のモータを駆動し、一方のモータによって発生させられたモータトルクを前記プラネタリギヤユニットを介して出力軸に伝達して、補うようにしている(特開平8−295140号公報参照)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来のハイブリッド型車両においては、プラネタリギヤユニットが四つの歯車要素を備え、各歯車要素とエンジン、二つのモータ及び出力軸とをそれぞれ連結したスプリット型のハイブリッド型車両の場合、前記二つのモータが、いずれも歯車要素と連結され、出力軸と連結されていないので、他方のモータによって発生させられたモータトルクが目標出力トルクに対して不足する分を、一方のモータを駆動することによって補うことができない。したがって、目標出力トルクを発生させることが困難である。 【0005】すなわち、この種のハイブリッド型車両においては、エンジンによって発生させられたエンジントルク、各モータによって発生させられたモータトルク、及び出力軸に出力される出力トルクが、プラネタリギヤユニットを介して互いに作用し、バランスをとるようになっている。したがって、各モータによって発生させられたモータトルクをそれぞれ独立させて制御することができないので、他方のモータによって発生させられたモータトルクが目標出力トルクに対して不足する分を、一方のモータを駆動することによって補うことができない。 【0006】また、各モータを駆動するのに伴って、停止させられたエンジンが回転させられると、出力トルクに損失が発生してしまう。 【0007】本発明は、前記従来のハイブリッド型車両の問題点を解決して、差動歯車装置が四つの歯車要素を備え、各歯車要素とエンジン、二つのモータ及び出力軸とをそれぞれ連結したスプリット型のハイブリッド型車両において、エンジンを停止させた状態で目標出力トルクを容易に発生させることができ、出力トルクに損失が発生するのを防止することができるハイブリッド型車両の制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】そのために、本発明のハイブリッド型車両の制御装置においては、エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有する。 【0009】そして、前記制御トルク算出処理手段は、エンジンを停止させた状態で、エンジンを非回転状態に置くエンジン非回転状態形成処理手段を備える。 【0010】本発明の他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記エンジン非回転状態形成処理手段は、前記エンジンの出力部材に作用するトルクを零にする。 【0011】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記エンジン非回転状態形成処理手段は、前記エンジンの出力部材を回転方向における正方向に付勢するためのトルクを発生させる。そして、該トルクはエンジンの摺(しゅう)動起動抵抗トルクより小さくされる。 【0012】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記エンジンの出力部材に作用するトルクを設定する作用トルク設定処理手段と、前記目標出力トルク及び前記エンジンの出力部材に作用するトルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有する。 【0013】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記作用トルク設定処理手段は、前記エンジンの出力部材に作用するトルクを零にする。 【0014】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記作用トルク設定処理手段は、前記エンジンの出力部材を回転方向における正方向に付勢するためのトルクを発生させる。そして、該トルクはエンジンの摺動起動抵抗トルクより小さくされる。 【0015】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記制御トルクは目標モータトルクTM1* 、TM2* である。そして、目標出力トルクをTO* としたとき、前記目標モータトルクTM1* 、TM2* は、TM1* =K1・TO*TM2* =K2・TO* (K1、K2:定数) にされる。 【0016】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記制御トルクは目標モータトルクTM1* 、TM2* である。そして、目標出力トルクをTO* とし、前記エンジンの出力部材に作用するトルクをTEとしたとき、前記目標モータトルクTM1* 、TM2* は、TM1* =K1・TO* +K3・TETM2* =K2・TO* +K4・TE (K1〜K4:定数) にされる。 【0017】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、エンジンの出力部材と固定部材との間に配設され、エンジンが逆方向に回転するのを阻止し、正方向に回転するのを許容するワンウェイクラッチと、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有する。 【0018】そして、前記制御トルク算出処理手段は、エンジンを停止させた状態で、エンジンを非回転状態に置くエンジン非回転状態形成処理手段を備え、該エンジン非回転状態形成処理手段は、前記ワンウェイクラッチに作用させる所定のワンウェイクラッチトルクを発生させる。 【0019】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、エンジンの出力部材と固定部材との間に配設され、エンジンが逆方向に回転するのを阻止し、正方向に回転するのを許容するワンウェイクラッチと、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記ワンウェイクラッチに作用させる所定のワンウェイククラッチトルクを設定する作用トルク設定処理手段と、前記目標出力トルク及び前記ワンウェイククラッチトルクに作用させるトルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有する。 【0020】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記ワンウェイクラッチトルクは、ワンウェイクラッチをロックする方向に発生させられる。 【0021】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記ワンウェイクラッチトルクは、目標出力トルクに対応させて設定される。 【0022】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前進時において、目標出力トルクが大きくなるほど前記ワンウェイクラッチトルクは大きくされる。 【0023】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、後進時において、目標出力トルクが後進方向における所定の値より大きい場合、前記ワンウェイクラッチトルクは零にされる。 【0024】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記制御トルクは目標モータトルクTM1* 、TM2* である。そして、目標出力トルクをTO* とし、前記ワンウェイクラッチトルクをTOWCとしたとき、前記目標モータトルクTM1* 、TM2* は、TM1* =K1・TO* +K5・TOWCTM2* =K2・TO* +K6・TOWC (K1、K2、K5、K6:定数) にされる。 【0025】本発明のハイブリッド型車両の制御方法においては、エンジン、第1、第2のモータ、駆動輪に連結された出力軸、並びに少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置を有するハイブリッド型車両に適用される。 【0026】そして、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定し、該目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出し、該制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うとともに、前記エンジンを停止させた状態で、エンジンを非回転状態に置く。 【0027】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。 【0028】図1は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の制御装置の機能ブロック図である。 【0029】図において、11はエンジン、16は第1のモータ、25は第2のモータ、14は駆動輪41に連結された出力軸、13は、少なくとも4個の歯車要素を構成するサンギヤS1、サンギヤS2及びキャリヤCR1、リングギヤR2、並びにキャリヤCR2及びリングギヤR1を備え、前記サンギヤS2及びキャリヤCR1、リングギヤR2、サンギヤS1、並びにキャリヤCR2及びリングギヤR1と前記エンジン11、第1、第2のモータ16、25及び出力軸14とがそれぞれ連結された差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット、91は前記出力軸14に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段、92は前記目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータ16、25の電気的な制御を行うための目標となる制御トルクとしての目標モータトルクTM1* 、TM2* を算出する制御トルク算出処理手段、93は前記目標モータトルクTM1* 、TM2* に従って第1、第2のモータ16、25のトルク制御を行うトルク制御処理手段、94はエンジン11を停止させた状態で、エンジン11を非回転状態に置くエンジン非回転状態形成処理手段である。 【0030】図2は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。 【0031】図において、11はエンジン(E/G)、13は第1、第2のプラネタリ51、52から成る差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット、14は該プラネタリギヤユニット13の出力軸、15は該出力軸14に取り付けられたカウンタドライブギヤ、16は第1のモータ(M1)、25は第2のモータ(M2)である。なお、前記出力軸14は駆動輪41に、後述されるカウンタドライブギヤ15、カウンタシャフト31、カウンタドリブンギヤ32、ピニオンドライブギヤ33、大リングギヤ35、ディファレンシャル装置36及び駆動軸57を介して連結される。 【0032】前記第1のプラネタリ51は、サンギヤS1、該サンギヤS1と噛(し)合するピニオンP1、該ピニオンP1と噛合するリングギヤR1、及び前記ピニオンP1を回転自在に支持するキャリヤCR1から成り、前記第2のプラネタリ52は、サンギヤS2、該サンギヤS2と噛合するピニオンP2、該ピニオンP2と噛合するリングギヤR2、及び前記ピニオンP2を回転自在に支持するキャリヤCR2から成る。前記プラネタリギヤユニット13内において、キャリヤCR1とサンギヤS2とが連結され、リングギヤR1とキャリヤCR2とが連結される。前記サンギヤS1、キャリヤCR1及びリングギヤR1によって3個の歯車要素が構成され、前記サンギヤS2、キャリヤCR2及びリングギヤR2によって3個の歯車要素が構成される。 【0033】そして、前記エンジン11と第1の歯車要素を構成するサンギヤS2及びキャリヤCR1とが、前記第1のモータ16と第2の歯車要素を構成するリングギヤR2とが、前記第2のモータ25と第3の歯車要素を構成するサンギヤS1とが、出力軸14と第4の歯車要素を構成するキャリヤCR2及びリングギヤR1とが連結される。 【0034】そのために、エンジン11及び第1、第2のモータ16、25に、それぞれ出力部材として出力軸12、17及び伝動軸26が配設される。そして、出力軸12とサンギヤS2とが連結され、出力軸17とリングギヤR2とが、出力軸17に取り付けられたドライブギヤ53、カウンタ軸54に対して回転自在に配設され、かつ、前記ドライブギヤ53と噛合させられるカウンタギヤ55、及び前記リングギヤR2に取り付けられたドリブンギヤ56を介して連結され、伝動軸26とサンギヤS1とが連結される。 【0035】前記第1のモータ16は、前記出力軸17に固定され、回転自在に配設されたロータ21、該ロータ21の周囲に配設されたステータ22、及び該ステータ22に巻装されたコイル23から成り、該コイル23と蓄電部材としての図示されないバッテリとが接続される。前記第1のモータ16は、バッテリから供給された電流によって駆動され、回転を発生させて出力軸17に出力する。なお、本実施の形態においては、前記蓄電部材としてバッテリを使用しているが、該バッテリに代えて、キャパシタ、フライホイール、蓄圧器等を使用することもできる。 【0036】また、前記第2のモータ25は、前記伝動軸26に固定され、回転自在に配設されたロータ37、該ロータ37の周囲に配設されたステータ38、及び該ステータ38に巻装されたコイル39から成り、該コイル39と前記バッテリとが接続される。前記第2のモータ25は、伝動軸26を介して入力される回転によって電力を発生させ、前記バッテリに電流を供給したり、前記バッテリから供給された電流によって駆動され、回転を発生させて伝動軸26に出力したりする。 【0037】前記エンジン11の回転と同じ方向に駆動輪41を回転させるために、カウンタシャフト31が配設され、該カウンタシャフト31にカウンタドリブンギヤ32及びピニオンドライブギヤ33が固定される。そして、前記カウンタドリブンギヤ32と前記カウンタドライブギヤ15とが噛合させられ、カウンタドライブギヤ15の回転が反転されてカウンタドリブンギヤ32に伝達されるようになっている。 【0038】また、ディファレンシャル装置36に大リングギヤ35が固定され、前記ピニオンドライブギヤ33と大リングギヤ35とが噛合させられる。したがって、大リングギヤ35に伝達された回転が、前記ディファレンシャル装置36によって分配され、駆動軸57を介して前記駆動輪41に伝達される。 【0039】次に、前記構成のハイブリッド型車両の動作について説明する。 【0040】図3は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の制御回路のブロック図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示すフローチャート、図5は本発明の第1の実施の形態における前進用のトルクマップを示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における後進用のトルクマップを示す図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるプラネタリギヤユニットの概念図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるトルクバランスを示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における前進時の第1のトルク線図、図10は本発明の第1の実施の形態における前進時の第1の回転速度線図、図11は本発明の第1の実施の形態における前進時の第2のトルク線図、図12は本発明の第1の実施の形態における前進時の第2の回転速度線図、図13は本発明の第1の実施の形態における後進時の第1のトルク線図、図14は本発明の第1の実施の形態における後進時の第1の回転速度線図、図15は本発明の第1の実施の形態における後進時の第2のトルク線図、図16は本発明の第1の実施の形態における後進時の第2の回転速度線図である。なお、図5及び6において、横軸に車速Vを、縦軸に駆動軸57(図2)における目標出力トルクTO* を採ってある。 【0041】図3において、U1は駆動部、U2は制御部、U3はセンサ部であり、前記駆動部U1にエンジン11、第1、第2のモータ16、25及びバッテリ43が配設され、制御部U2に、CPUから成り、ハイブリッド型車両の全体の制御を行う車両制御装置61、前記エンジン11の制御を行うエンジン制御装置46、第1のモータ16の制御を行う第1モータ制御装置47、第2のモータ25の制御を行う第2モータ制御装置49、及び記憶手段としての図示されないメモリが配設され、センサ部U3に、前記バッテリ43の蓄電残量としてのバッテリ残量SOCを検出する蓄電残量検出手段としてのバッテリセンサ44、図示されないアクセルペダルに配設され、アクセルペダルの踏込量であるアクセル開度APを検出するアクセルセンサ62、車速Vを検出する車速検出手段としての車速センサ63、図示されない選速手段としてのシフトレバーに配設され、該シフトレバーによって選択されたレンジを検出するためのレンジ検出手段としてのレンジセンサ64が配設される。本実施の形態において、前記シフトレバーを操作することによって、前進レンジ、後進レンジ、ニュートラルレンジ、パーキングレンジ等のうちのいずれかを選択することができる。そして、前記アクセル開度AP、車速V、検出されたレンジを表すレンジ信号SG及びバッテリ残量SOCは車両制御装置61に送られる。 【0042】なお、前記センサ部U3に、第2のモータ25の回転速度、すなわち、モータ回転速度NM2を検出するモータ回転速度検出手段としてのモータ回転速度センサ、エンジン11の回転速度、すなわち、エンジン回転速度NEを検出するエンジン回転速度検出手段としてのエンジン回転速度センサ等を配設することもできる。その場合、前記モータ回転速度NM2は第2モータ制御装置49に送られ、エンジン回転速度NEはエンジン制御装置46に送られる。なお、前記モータ回転速度センサは伝動軸26と対向させて、エンジン回転速度センサは出力軸12と対向させて配設される。 【0043】前記構成のハイブリッド型車両において、車両制御装置61の目標出力トルク設定処理手段91(図1)は、目標出力トルク設定処理を行い、前記出力軸14に出力される出力トルクTOに対応させて目標出力トルクTO* を設定する。そのために、前記目標出力トルク設定処理手段91は、アクセル開度AP、車速V及びレンジ信号SGを読み込み、前進レンジが選択されているかどうかを判断し、前進レンジが選択されている場合、前記メモリ内の、図5に示される前進用のトルクマップを参照し、アクセル開度AP及び車速Vに対応する目標出力トルクTO* を設定する。また、後進レンジが選択されている場合、前記メモリ内の、図6に示される後進用のトルクマップを参照し、アクセル開度AP及び車速Vに対応する目標出力トルクTO* を設定する。 【0044】続いて、前記車両制御装置61の図示されないエンジン駆動要否判断処理手段MS2は、エンジン駆動要否判断処理を行い、エンジン11を駆動するかどうかを判断する。そのために、前記エンジン駆動要否判断処理手段MS2は、前記バッテリ残量SOCを読み込み、バッテリ残量SOCがバッテリ残量閾(しきい)値SOCTHより小さいかどうかを判断する。バッテリ残量SOCがバッテリ残量閾値SOCTHより小さい場合、バッテリ43を充電するためにエンジン11を駆動し、バッテリ残量SOCがバッテリ残量閾値SOCTH以上である場合、エンジン11を停止させたままにする。また、前記車両制御装置61は、目標出力トルクTO* が目標出力トルク閾値TO* THより大きいかどうかを判断し、目標出力トルクTO* が目標出力トルク閾値TO* THより大きい場合、エンジントルクTEを利用するためにエンジン11を駆動し、目標出力トルクTO* が目標出力トルク閾値TO* TH以下である場合、エンジン11を停止させたままにする。 【0045】前記エンジン11を駆動する場合、車両制御装置61は、エンジン制御処理を行ってエンジン11を駆動するとともに、第1のモータ制御処理を行って第1、第2のモータ16、25を駆動する。 【0046】そのために、前記車両制御装置61は、前記目標出力トルクTO* 及び車速Vに基づいて、駆動軸57に目標出力トルクTO* を出力するために必要な動力(パワー)、すなわち、必要動力POを次の式に基づいて算出し、エンジン目標運転状態を設定する。 【0047】PO=TO* ・V次に、前記車両制御装置61は、バッテリ残量SOCを読み込み、該バッテリ残量SOCに対応させて前記必要動力POに補正動力Phを加算して、必要動力POを補正する。補正後の必要動力PO′は、PO′=PO+Phになる。なお、バッテリ残量SOCが少ない場合、第2のモータ25によって電力を発生させ、前記バッテリ43に電流を供給して充電するために、必要動力POが大きく(Ph>0)され、バッテリ残量SOCが多い場合、前記バッテリ43から第2のモータ25に電流を供給し、電力を消費するために、必要動力POが小さく(Ph<0)される。 【0048】続いて、前記車両制御装置61は、前記メモリ内のエンジン目標運転状態マップを参照し、前記必要動力PO′がエンジン11から出力されるように、すなわち、エンジントルクTEとエンジン回転速度NEとを乗算することによって算出された動力が、前記必要動力PO′になるように、目標エンジン回転速度NE*及び目標エンジントルクTE* を算出する。 【0049】次に、車両制御装置61は、目標エンジントルクTE* が出力されるように、前記メモリ内のトルク・燃料噴射量マップ、トルク・スロットル開度マップ等を参照し、前記目標エンジントルクTE* に対応する燃料噴射量、スロットル開度等を読み出し、燃料噴射量、スロットル開度等をエンジン制御装置46に送る。該エンジン制御装置46は、前記燃料噴射量、スロットル開度等を受けると、燃料噴射量、スロットル開度等を制御する。 【0050】続いて、前記車両制御装置61は、車速V、及び前記目標エンジン回転速度NE* に基づいて、第2のモータ25の目標となるモータ回転速度NM2、すなわち、目標モータ回転速度NM2* を算出し、該目標モータ回転速度NM2* を第2モータ制御装置49に送る。 【0051】そして、該第2モータ制御装置49は、モータ回転速度センサによって検出されたモータ回転速度NM2が目標モータ回転速度NM2* になるように、第2のモータ25の電気的な制御としての回転速度制御を行う。すなわち、モータ回転速度NM2と目標モータ回転速度NM2* との偏差ΔNM2が零になるように、第2のモータ25に供給される電流がフィードバック制御される。 【0052】次に、前記車両制御装置61は、モータトルクTM1を制御する。この場合、前記第1のモータ16のモータ回転速度NM1の変化に伴って、ロータ21からリングギヤR2までの各回転要素、すなわち、ロータ21、出力軸17、ドライブギヤ53、カウンタ軸54、カウンタギヤ55、ドリブンギヤ56及びリングギヤR2の慣性モーメントによって第1の慣性トルクIM1が発生し、前記モータ回転速度NM2の変化に伴って、ロータ37からサンギヤS1までの各回転要素、すなわち、ロータ37、伝動軸26及びサンギヤS1の慣性モーメントによって第2の慣性トルクIM2が発生する。そこで、車両制御装置61は、目標モータトルクtM1* を第1、第2の慣性トルクIM1、IM2の分だけ補正し、第1モータ制御装置47に送るようにしている。該第1モータ制御装置47は、目標モータトルクtM1* を受けると、目標モータトルクtM1* が出力されるように第1のモータ16のトルク制御を行う。そのために、車両制御装置61は、前記メモリ内の第1のトルク・電流値マップを参照し、前記目標モータトルクtM1* に対応する電流値を読み出し、該電流値の電流を第1のモータ16に供給する。 【0053】一方、前記エンジン11を駆動しない場合、車両制御装置61の図示されないモータ制御処理手段MS3は、第2のモータ制御処理を行って、エンジンを停止させた状態で第1、第2のモータ16、25を駆動する。 【0054】ところで、図7に示されるように、前記第1のプラネタリ51におけるサンギヤS1の歯数をZS1とし、リングギヤR1の歯数をZR1としたとき、歯数ZR1に対する歯数ZS1の比λ1は、λ1=ZS1/ZR1になる。また、前記第2のプラネタリ52におけるサンギヤS2の歯数をZS2とし、リングギヤR2の歯数をZR2としたとき、歯数ZR2に対する歯数ZS2の比λ2は、λ2=ZS2/ZR2になる。 【0055】そして、リングギヤR2の回転速度に対するリングギヤR1及びキャリヤCR2の回転速度の比Aを、A=1とすると、リングギヤR1及びキャリヤCR2の回転速度に対するキャリヤCR1及びサンギヤS2の回転速度の比B、並びにキャリヤCR1及びサンギヤS2の回転速度に対するサンギヤS1の回転速度の比Cは、B=λ1C=λ1・λ2になる。 【0056】そこで、図8に示されるトルク線図に基づいて、前記プラネタリギヤユニット13におけるトルクのバランス式を考えると、第1のモータ16によって発生させられ、リングギヤR2を介してプラネタリギヤユニット13に入力されるモータトルクTM1、及び第2のモータ25によって発生させられ、サンギヤS1を介してプラネタリギヤユニット13に入力されるモータトルクTM2は、キャリヤCR2を介してプラネタリギヤユニット13から出力軸14に出力される出力トルクをTOとすると、TM1=−((B+C)/(A+B+C))TO−(C/(A+B+C))TETM2=−(A/(A+B+C))TO−((A+B)/(A+B+C))TEになる。そして、プラネタリギヤユニット13から駆動軸57までのギヤ比をGOとし、第1のモータ16からプラネタリギヤユニット13までのギヤ比をGM1とすると、出力軸17及び伝動軸26における各目標のモータトルク、すなわち、目標モータトルクTM1* 、TM2* は、 TM1* =−((B+C)/((A+B+C)GO・GM1))TO* −(C/((A+B+C)GM1))TE……(1) TM2* =−(A/((A+B+C)GO))TO* −((A+B)/(A+B+C))TE……(2) になる。この場合、前記目標モータトルクTM1* 、TM2* は、第1、第2のモータ16、25の電気的な制御としてのトルク制御を行うための目標となる制御トルクを構成する。なお、各モータトルクTM1、TM2は、エンジン11を駆動したときのエンジントルクTEと同じ方向に発生する場合に正の値を採る。また、前記出力トルクTOは、第1、第2のモータ16、25による車両駆動時(車両が加速されるとき)に負の値を採る。 【0057】なお、エンジン11が駆動されず停止している状態、すなわち、燃料の燃焼が行われておらず、エンジントルクTEが発生させられていない状態においては、上記式(1)、(2)のエンジントルクTEは、第1、第2のモータトルクTM1、TM2と出力トルクTOとのトルクのバランス式を考えると、エンジン11の外部から出力軸12に作用するトルクを表す。 【0058】ところで、この場合、前記エンジン11は駆動されず、停止させられるとともに、エンジン11の非回転状態が形成される。したがって、前記式(1)、(2)において、エンジントルクTEは零にされ、目標モータトルクTM1* 、TM2* は、 TM1* =−((B+C)/((A+B+C)GO・ GM1))TO* ……(3) =K1・TO* ……(4) TM2* =−(A/((A+B+C)GO))TO* ……(5) =K2・TO* ……(6) にされる。ただし、K1、K2は定数であり、該定数K1、K2はK1=−((B+C)/((A+B+C)GO・GM1)) K2=−(A/((A+B+C)GO)) である。 【0059】そのために、前記モータ制御処理手段MS3の制御トルク算出処理手段92は、目標出力トルクTO* が発生させられるように、前記式(3)〜(6)に基づいて目標モータトルクTM1* 、TM2* を算出し、該目標モータトルクTM1* を第1モータ制御装置47に、目標モータトルクTM2* を第2モータ制御装置49に送る。また、本実施の形態において、前記制御トルク算出処理手段92のエンジン非回転状態形成処理手段94及び図示されない作用トルク設定処理手段は、エンジン11の非回転状態を形成するために、出力軸12に作用するトルク、すなわち、前記エンジントルクTEを零にする。なお、式(3)〜(6)における目標出力トルクTO* は、トルクのバランス式の関係上、第1、第2のモータ16、25による車両駆動時には負の値を採ることを前提としているので、目標出力トルク設定処理手段91によって設定された目標出力トルクTO* の正負を反転させた後に、式(3)〜(6)に代入する必要がある。そして、前記第1モータ制御装置47の図示されないトルク制御処理手段MS4は、目標モータトルクTM1* を受けると、目標モータトルクTM1* が出力されるように第1のモータ16のトルク制御を行う。そのために、前記トルク制御処理手段MS4は、前記メモリ内の第2のトルク・電流値マップを参照し、前記目標モータトルクTM1* に対応する電流値を読み出し、該電流値の電流を第1のモータ16に供給する。また、前記第2モータ制御装置49の図示されないトルク制御処理手段MS5は、目標モータトルクTM2* を受けると、目標モータトルクTM2*が出力されるように第2のモータ25のトルク制御を行う。そのために、前記トルク制御処理手段MS5は、前記メモリ内の第3のトルク・電流値マップを参照し、前記目標モータトルクTM2* に対応する電流値を読み出し、該電流値の電流を第2のモータ25に供給する。なお、前記トルク制御処理手段MS4、MS5によってトルク制御処理手段93が構成される。 【0060】したがって、ハイブリッド型車両を車両駆動状態(車両が加速される状態)で前進させる場合、エンジントルクTEが零になるように、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図9に示されるような第1のトルク線図、及び図10に示されるような第1の回転速度線図を得ることができる。 【0061】なお、モータトルクTM1、TM2が発生させられる方向と第1、第2のモータ16、25の回転方向とが同じ場合には、第1、第2のモータ16、25はモータ駆動状態に置かれ、モータトルクTM1、TM2が発生させられる方向と第1、第2のモータ16、25の回転方向とが逆である場合には、第1、第2のモータ16、25はモータ非駆動状態に置かれ、回生電流が発生させられる。 【0062】したがって、図9及び10に示される状態においては、第1のモータ16はモータ駆動状態に、第2のモータ25はモータ非駆動状態に置かれる。また、NOは出力軸14の回転速度、すなわち、出力回転速度である。 【0063】そして、ハイブリッド型車両を車両非駆動状態(コースト状態)で前進させる場合、エンジントルクTEが零になるように、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図11に示されるような第2のトルク線図、及び図12に示されるような第2の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ非駆動状態に、第2のモータ25はモータ駆動状態に置かれる。 【0064】そして、ハイブリッド型車両を車両駆動状態で後進させる場合、エンジントルクTEが零になるように、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図13に示されるような第1のトルク線図、及び図14に示されるような第1の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ駆動状態に、第2のモータ25はモータ非駆動状態に置かれる。また、ハイブリッド型車両を車両非駆動状態で後進させる場合、エンジントルクTEが零になるように、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図15に示されるような第2のトルク線図、及び図16に示されるような第2の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ非駆動状態、第2のモータ25はモータ駆動状態に置かれる。前記モータトルクTM1、TM2は、エンジン11を駆動したときのエンジントルクTEと同じ方向に発生させられるときに、正の値を採る。 【0065】このように、エンジン11を停止させた状態で、エンジントルクTEを零にするとともに、目標出力トルクTO* に基づいて目標モータトルクTM1* 、TM2* を設定することによって、モータトルクTM1、TM2をそれぞれ独立させて制御することができる。したがって、目標出力トルクTO* を容易に発生させることができる。 【0066】また、エンジントルクTEを零にして目標モータトルクTM1* 、TM2* を設定するようになっているので、第1、第2のモータ16、25を駆動するのに伴って、停止させられたエンジン11が回転させられることがない。したがって、出力トルクTOに損失が発生するのを防止することができる。 【0067】なお、本実施の形態において、エンジン11は停止させられ、エンジン回転速度NEは零にされるので、モータ回転速度NM1、NM2は、車速Vの変化に対応して変化する。この場合、車速Vの変化は極めて遅いので、モータ回転速度NM1、NM2の変化も極めて遅い。したがって、慣性トルクに基づいて目標モータトルクTM1* 、TM2* を補正することは、必ずしも必要ではない。 【0068】次に、図4のフローチャートについて説明する。 ステップS1 前進レンジが選択されているかどうかを判断する。前進レンジが選択されている場合はステップS3に、選択されていない場合はステップS2に進む。 ステップS2 後進レンジが選択されているかどうかを判断する。後進レンジが選択されている場合はステップS4に進み、選択されていない場合は処理を終了する。 ステップS3 前進用のトルクマップを参照して目標出力トルクTO* を設定する。 ステップS4 後進用のトルクマップを参照して目標出力トルクTO* を設定する。 ステップS5 エンジン11を駆動するかどうかを判断する。エンジン11を駆動する場合はステップS6に、駆動しない場合はステップS8に進む。 ステップS6 エンジン制御処理を行う。 ステップS7 第1のモータ制御処理を行い、処理を終了する。 ステップS8 第2のモータ制御処理を行い、処理を終了する。 【0069】ところで、本実施の形態においては、エンジントルクTEを零にして目標モータトルクTM1* 、TM2* を設定するようになっているので、第1、第2のモータ16、25の制御を行うのに伴って、エンジン11が回転させられることはない。ところが、仮に、モータトルクTM1、TM2の制御に誤差が生じると、エンジン11には、エンジン11を正方向に回転させるようなトルク、又は逆方向に回転させるようなトルクが発生する。そして、ハイブリッド型車両の種類によっては、停止させられたエンジン11が逆方向に回転させられると、エンジン11の機能に影響を与えてしまう場合がある。 【0070】そこで、エンジン11の機能に影響を与えることがないようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。 【0071】図17は本発明の第2の実施の形態における前進時の第1のトルク線図、図18は本発明の第2の実施の形態における前進時の第1の回転速度線図、図19は本発明の第2の実施の形態における前進時の第2のトルク線図、図20は本発明の第2の実施の形態における前進時の第2の回転速度線図、図21は本発明の第2の実施の形態における後進時の第1のトルク線図、図22は本発明の第2の実施の形態における後進時の第1の回転速度線図、図23は本発明の第2の実施の形態における後進時の第2のトルク線図、図24は本発明の第2の実施の形態における後進時の第2の回転速度線図である。 【0072】この場合、車両制御装置61(図3)の図示されないエンジン駆動要否判断処理手段MS2は、エンジン駆動要否判断処理を行い、エンジン11を駆動するかどうかを判断する。そして、エンジン11を駆動する場合、車両制御装置61は、エンジン制御処理を行ってエンジン11を駆動するとともに、第1のモータ制御処理を行って第1、第2のモータ16、25を駆動する。また、前記エンジン11を駆動しない場合、車両制御装置61の図示されないモータ制御処理手段MS3は、第2のモータ制御処理を行って第1、第2のモータ16、25を駆動する。 【0073】このとき、前記モータ制御処理手段MS3のエンジン非回転状態形成処理手段94(図1)及び作用トルク設定処理手段は、エンジン11を非回転状態に置く。そのために、前記エンジン非回転状態形成処理手段94及び作用トルク設定処理手段は、所定のエンジントルクTEを発生させ、常に、エンジン11及び出力軸12を回転方向における正方向に付勢する。また、モータ制御処理手段MS3の制御トルク算出処理手段92は、目標出力トルクTO* が発生させられるように、次の式(7)、(8)に基づいて、目標モータトルクTM1* 、TM2* を算出する。 【0074】 TM1* =−((B+C)/((A+B+C)GO・GM1))TO* −(C/((A+B+C)GM1))TE =K1・TO* +K3・TE ……(7) TM2* =−(A/((A+B+C)GO))TO* −((A+B)/(A+B+C))TE =K2・TO* +K4・TE ……(8) そして、前記目標モータトルクTM1* を第1モータ制御装置47に、目標モータトルクTM2* を第2モータ制御装置49に送る。ただし、K1〜K4は定数であり、該定数K1〜K4は、K1=−((B+C)/((A+B+C)GO・GM1)) K2=−(A/((A+B+C)GO)) K3=−(C/((A+B+C)GM1)) K4=−((A+B)/(A+B+C)) である。 【0075】前記所定のエンジントルクTEは、外力を受けたときに、停止させられているエンジン11が非回転状態を保持することができるだけの抵抗、すなわち、摺動起動抵抗トルクTEFに基づいて設定され、本実施の形態においては、前記エンジントルクTEは摺動起動抵抗トルクTEFより小さい値に設定される。 【0076】なお、前記モータトルクTM1、TM2は、エンジン11を駆動したときのエンジントルクTEと同じ方向に発生させられるときに、正の値を採る。また、第1、第2のモータ16、25による車両駆動時に、出力トルクTOは負の値を採るので、目標出力トルクTO* を前記式(7)、(8)に代入する場合、目標出力トルクTO* の正負を反転させる必要がある。例えば、図示されないアクセルペダルが踏み込まれ、第1、第2のモータ16、25によりハイブリッド型車両が車両駆動状態に置かれると、制御部U2のメモリ内のトルクマップを参照することによって算出された目標出力トルクTO* は正の値を採る。ところが、出力トルクTOは反力としてプラネタリギヤユニット13に対して作用する。したがって、前記式(7)、(8)に代入する場合、前記目標出力トルクTO* は負の値にされる。 【0077】ハイブリッド型車両を車両駆動状態で前進させる場合、前記エンジントルクTEを発生させ、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図17に示されるような第1のトルク線図、及び図18に示されるような第1の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ駆動状態に、第2のモータ25はモータ非駆動状態に置かれる。 【0078】また、ハイブリッド型車両を車両非駆動状態で前進させる場合、前記エンジントルクTEを発生させ、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図19に示されるような第2のトルク線図、及び図20に示されるような第2の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ非駆動状態、第2のモータ25はモータ駆動状態に置かれる。 【0079】そして、ハイブリッド型車両を車両駆動状態で後進させる場合、前記エンジントルクTEを発生させ、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図21に示されるような第1のトルク線図、及び図22に示されるような第1の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ駆動状態、第2のモータ25はモータ非駆動状態に置かれる。また、ハイブリッド型車両を車両非駆動状態で後進させる場合、前記エンジントルクTEを発生させ、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図23に示されるような第2のトルク線図、及び図24に示されるような第2の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ非駆動状態、第2のモータ25はモータ駆動状態に置かれる。なお、第1、第2のモータ16、25は、図17〜24に示されように、出力トルクTO及びエンジントルクTEの大小が変化することによって、モータ駆動状態とモータ非駆動状態とが変わることがある。 【0080】ところで、この場合、モータトルクTM1、TM2は、エンジン11を正方向に回転させるようにプラネタリギヤユニット13に作用するが、エンジン11が停止させられるので、前記エンジントルクTEは反力としてプラネタリギヤユニット13に作用する。したがって、トルク線図上において、前記エンジントルクTEは、前記エンジン制御処理においてエンジン11を駆動することによって発生させられるエンジントルクTEと逆の方向に発生させられ、負の値を採る。なお、前記エンジントルクTEが発生させられても、該エンジントルクTEは摺動起動抵抗トルクTEFより小さいので、エンジン11が回転させられることはない。したがって、回転速度線図上におけるエンジン回転速度NEは零である。 【0081】このように、エンジントルクTEが発生させられ、エンジン11及び出力軸12が回転方向における正方向に付勢されるので、仮に、モータトルクTM1、TM2の制御に誤差が生じ、エンジン11に、エンジン11を正方向に回転させるようなトルク、又は逆方向に回転させるようなトルクが発生しても、停止させられたエンジン11が正方向に回転することはあっても、逆方向に回転させられることがなくなる。したがって、エンジン11の機能に影響を与えることがない。 【0082】なお、前記摺動起動抵抗TEFはエンジン11の温度によって変化するので、エンジントルクTEを、エンジン11の温度が高いときに小さく、エンジン11の温度が低いときに大きく設定することもできる。 【0083】次に、エンジントルクTEを発生させることなく、エンジン11が逆方向に回転させられることがないようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。 【0084】図25は本発明の第3の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図、図26は本発明の第3の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示すフローチャート、図27は本発明の第3の実施の形態における前進用のワンウェイクラッチトルクマップを示す図、図28は本発明の第3の実施の形態における後進用のワンウェイクラッチトルクマップを示す図、図29は本発明の第3の実施の形態における前進時の第1のトルク線図、図30は本発明の第3の実施の形態における前進時の第1の回転速度線図、図31は本発明の第3の実施の形態における前進時の第2のトルク線図、図32は本発明の第3の実施の形態における前進時の第2の回転速度線図、図33は本発明の第3の実施の形態における後進時の第1のトルク線図、図34は本発明の第3の実施の形態における後進時の第1の回転速度線図、図35は本発明の第3の実施の形態における後進時の第2のトルク線図、図36は本発明の第3の実施の形態における後進時の第2の回転速度線図である。なお、図27及び28において、横軸に目標出力トルクTO* を、縦軸にワンウェイクラッチトルクTOWCを採ってある。 【0085】この場合、エンジン11の出力部材としての出力軸12と、固定部材としてのケーシング80との間にワンウェイクラッチF1が配設され、出力軸12は、エンジン(E/G)11側の部分12a、及び差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット13側の部分12bに分割される。そして、前記ワンウェイクラッチF1は、外力を受けたときに、エンジン11が逆方向に回転させられるのを阻止し、正方向に回転するのを許容する。 【0086】車両制御装置61(図3)の図示されないエンジン駆動要否判断処理手段MS2は、エンジン駆動要否判断処理を行い、エンジン11を駆動するかどうかを判断する。そして、エンジン11を駆動する場合、車両制御装置61は、エンジン制御処理を行ってエンジン11を駆動するとともに、第1のモータ制御処理を行って第1、第2のモータ16、25を駆動する。また、前記エンジン11を駆動しない場合、車両制御装置61の図示されないモータ制御処理手段MS3は、第2のモータ制御処理を行って第1、第2のモータ16、25を駆動する。 【0087】このとき、前記モータ制御処理手段MS3の図示されないエンジン非回転状態形成処理手段94(図1)及び作用トルク設定処理手段は、ハイブリッド型車両の前進時において、図27の前進用のワンウェイクラッチトルクマップを参照し、ハイブリッド型車両の後進時において、図28の後進用のワンウェイクラッチトルクマップを参照してワンウェイクラッチトルクTOWCを算出する。そして、前記エンジン非回転状態形成処理手段94及び作用トルク設定処理手段は、目標出力トルクTO* に対応させて、所定のエンジントルクTEを、前記ワンウェイクラッチF1に作用するトルク、すなわち、ワンウェイクラッチトルクTOWCとして発生させる。この場合、該ワンウェイクラッチトルクTOWCは、常に、ワンウェイクラッチF1をロックする方向に発生させられ、出力軸12のプラネタリギヤユニット13側の部分12bを回転方向における逆方向に付勢するので、常に、ワンウェイクラッチF1をロックした状態に保つことができる。また、モータ制御処理手段MS3の制御トルク算出処理手段92は、目標出力トルクTO* が発生させられるように、次の式(9)、(10)に基づいて、第1、第2のモータ16、25の電気的な制御としてのトルク制御を行うための目標となる制御トルクとしての目標モータトルクTM1* 、TM2* を算出する。 【0088】 TM1* =−((B+C)/((A+B+C)GO・GM1))TO* −(C/((A+B+C)GM1))TOWC =K1・TO* +K5・TOWC ……(9) TM2* =−(A/((A+B+C)GO))TO* −((A+B)/(A+B+C))TOWC =K2・TO* +K6・TOWC ……(10) そして、前記目標モータトルクTM1* を第1モータ制御装置47に、目標モータトルクTM2* を第2モータ制御装置49に送る。ただし、K1、K2、K5、K6は定数であり、該定数K1、K2、K5、K6は、K1=−((B+C)/((A+B+C)GO・GM1)) K2=−(A/((A+B+C)GO)) K5=−(C/((A+B+C)GM1)) K6=−((A+B)/(A+B+C)) である。 【0089】なお、前記モータトルクTM1、TM2は、エンジン11を駆動したときのエンジントルクTEと同じ方向に発生させられるときに、正の値を採る。また、第1、第2のモータ16、25による車両駆動時に、出力トルクTOは負の値を採るので、目標出力トルクTO* を前記式(9)、(10)に代入する場合、目標出力トルクTO* の正負を反転させる必要がある。 【0090】そして、前記ハイブリッド型車両を車両駆動状態で前進させる場合、ワンウェイクラッチトルクTOWCを発生させ、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図29に示されるような第1のトルク線図、及び図30に示されるような第1の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1、第2のモータ16、25はいずれもモータ駆動状態に置かれる。また、ハイブリッド型車両を車両非駆動状態で前進させる場合、前記ワンウェイクラッチトルクTOWCを発生させ、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図31に示されるような第2のトルク線図、及び図32に示されるような第2の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ非駆動状態、第2のモータ25はモータ駆動状態に置かれる。 【0091】そして、前記ハイブリッド型車両を車両駆動状態で後進させる場合、前記ワンウェイクラッチトルクTOWCを発生させ、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図33に示されるような第1のトルク線図、及び図34に示されるような第1の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1のモータ16はモータ駆動状態、第2のモータ25はモータ非駆動状態に置かれる。 【0092】また、前記ハイブリッド型車両を車両非駆動状態で後進させる場合、前記ワンウェイクラッチトルクTOWCを発生させ、かつ、出力トルクTOが目標出力トルクTO* になるように、第1、第2のモータ16、25の制御を行うことによって、図35に示されるような第2のトルク線図、及び図36に示されるような第2の回転速度線図を得ることができる。この場合、第1、第2のモータ16、25はいずれもモータ非駆動状態に置かれる。 【0093】この場合、前記出力軸12がワンウェイクラッチF1によって固定され、エンジン11が非回転状態に保持されるので、前記ワンウェイクラッチトルクTOWCは反力としてプラネタリギヤユニット13に対して作用する。したがって、トルク線図上において、前記ワンウェイクラッチトルクTOWCは、エンジン11を駆動したときのエンジントルクTEと同じ方向に発生させられ、正の値を採る。なお、第1、第2のモータ16、25は、図29〜36に示されるように、出力トルクTO及びワンウェイクラッチトルクTOWCの大小が変化することによって、モータ駆動状態とモータ非駆動状態とで変わることもある。 【0094】ところで、ハイブリッド型車両の前進時においては、ワンウェイクラッチF1をロックした状態に保つ場合、ワンウェイクラッチF1が無い場合と比べて、出力トルクTOを大きくすることができる。この場合、出力トルクTOを大きくしようとすると、出力トルクTOに対応させてワンウェイクラッチトルクTOWCを大きくする必要がある。したがって、図27においては、目標出力トルクTO* が所定の値より大きくなるほどワンウェイクラッチトルクTOWCが大きくなるように設定される。 【0095】これに対して、ハイブリッド型車両の後進時においては、ワンウェイクラッチF1をロックしない状態に保つ場合(ワンウェイクラッチトルクTOWCを零に保つ場合)、ワンウェイクラッチF1をロックした状態に保つ場合と比べて、出力トルクTOを大きくすることができる。したがって、図28においては、目標出力トルクTO* が、後進方向、すなわち、負の方向において所定の値より大きくなるほどワンウェイクラッチトルクTOWCが小さくなるように設定され、目標出力トルクTO* が負の方向において他の所定の値より大きい場合、ワンウェイクラッチトルクTOWCは零にされる。 【0096】なお、トルク線図上において、ハイブリッド型車両の前進時には、図29に示されるように、ワンウェイクラッチトルクTOWCと出力トルクTOとが互いに逆の方向に発生させられるので、出力トルクTOを大きくしようとすると、反力としてプラネタリギヤユニット13に対して作用するワンウェイクラッチトルクTOWCが大きくなる。したがって、ワンウェイクラッチF1をロックした状態に保ったまま、出力トルクTOを大きくすることができる。 【0097】これに対して、ハイブリッド型車両の後進時には、図33に示されるように、ワンウェイクラッチトルクTOWCと出力トルクTOとが同じ方向に発生させられるので、モータトルクTM1、TM2を出力トルクTOに対応させて大きくしようとすると制限があるので、反力としてプラネタリギヤユニット13に対して作用するワンウェイクラッチトルクTOWCが小さくなる。したがって、ワンウェイクラッチF1をロックした状態に保つことができなくなるので、出力トルクTOを大きくすることができない。 【0098】このように、ワンウェイクラッチトルクTOWCが発生させられ、出力軸12のプラネタリギヤユニット13側の部分12bが回転方向における正方向に付勢され、常に、ワンウェイクラッチF1がロックされた状態に保たれるので、仮に、モータトルクTM1、TM2の制御に誤差が生じ、エンジン11に、エンジン11を正方向に回転させるようなトルク、又は逆方向に回転させるようなトルクが発生しても、停止させられたエンジン11が正方向に回転することはあっても、逆方向に回転させられることがなくなる。したがって、エンジン11の機能に影響を与えることがない。 【0099】次に、図26のフローチャートについて説明する。 ステップS11 前進レンジが選択されているかどうかを判断する。前進レンジが選択されている場合はステップS13に、選択されていない場合はステップS12に進む。 ステップS12 後進レンジが選択されているかどうかを判断する。後進レンジが選択されている場合はステップS14に進み、選択されていない場合は処理を終了する。 ステップS13 前進用のトルクマップを参照して目標出力トルクTO* を設定する。 ステップS14 後進用のトルクマップを参照して目標出力トルクTO* を設定する。 ステップS15 エンジン11を駆動するかどうかを判断する。エンジン11を駆動する場合はステップS16に、駆動しない場合はステップS18に進む。 ステップS16 エンジン制御処理を行う。 ステップS17 第1のモータ制御処理を行い、処理を終了する。 ステップS18 ワンウェイクラッチトルクTOWCを算出する。 ステップS19 第2のモータ制御処理を行い、処理を終了する。 【0100】次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。 【0101】図37は本発明の第4の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。 【0102】この場合、差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット13内において、キャリヤCR1、CR2がドリブン軸71を介して連結される。そして、前記エンジン(E/G)11と第1の歯車要素を構成するキャリヤCR1、CR2とが、第1のモータ(M1)16と第2の歯車要素を構成するサンギヤS2とが、前記第2のモータ(M2)25と第3の歯車要素を構成するサンギヤS1とが、出力軸14と第4の歯車要素を構成するリングギヤR1、R2とがそれぞれ連結される。 【0103】そのために、エンジン11及び第1、第2のモータ16、25に、それぞれ出力部材としての出力軸12、17及び伝動軸26が配設され、出力軸12とキャリヤCR1、CR2とが、出力軸12に取り付けられたドライブギヤ72、カウンタ軸73に対して回転自在に配設され、前記ドライブギヤ72と噛合させられるカウンタギヤ74、及び該カウンタギヤ74と噛合させられるドリブンギヤ75を介して連結され、出力軸17とサンギヤS2とが連結され、伝動軸26とサンギヤS1とが連結される。 【0104】また、前記エンジン11の回転と同じ方向に駆動輪41を回転させるために、前記出力軸14にカウンタドライブギヤ77、79が取り付けられる。そして、カウンタシャフト81が配設され、該カウンタシャフト81にカウンタドリブンギヤ78、82及びピニオンドライブギヤ84が固定される。また、前記カウンタドライブギヤ77、79とカウンタドリブンギヤ78、82とが噛合させられる。 【0105】さらに、ディファレンシャル装置36に大リングギヤ35が固定され、前記ピニオンドライブギヤ84と大リングギヤ35とが噛合させられる。 【0106】また、前記出力軸12には、必要に応じてワンウェイクラッチF2が配設される。そして、ワンウェイクラッチF2が配設されない場合、第1の実施の形態と同様に、エンジン11を停止させた状態で、エンジントルクTEを零にして制御トルクとしての目標モータトルクTM1* 、TM2* が設定されるか、又は、第2の実施の形態と同様に、エンジン11を停止させた状態で、エンジントルクTEを発生させて目標モータトルクTM1* 、TM2* が設定される。 【0107】また、ワンウェイクラッチF2が配設される場合、第3の実施の形態と同様に、エンジン11を停止させた状態で、ワンウェイクラッチトルクTOWCを発生させて目標モータトルクTM1* 、TM2* が設定される。 【0108】次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。 【0109】図38は本発明の第5の実施の形態におけるハイブリッド型車両の概念図である。 【0110】この場合、差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット13内において、キャリヤCR1とリングギヤR2とが連結され、リングギヤR1とキャリヤCR2とが連結される。そして、前記エンジン(E/G)11と第1の歯車要素を構成するリングギヤR1及びキャリヤCR2とが、第1のモータ(M1)16と第2の歯車要素を構成するサンギヤS2とが、第2のモータ(M2)25と第3の歯車要素を構成するサンギヤS1とが、出力軸14と第4の歯車要素を構成するキャリヤCR1及びリングギヤR2とが連結される。 【0111】そのために、エンジン11及び第1、第2のモータ16、25に、それぞれ出力部材としての出力軸12、17及び伝動軸26が配設され、出力軸12とリングギヤR1とが連結され、出力軸17とサンギヤS2とが、出力軸17に取り付けられたドライブギヤ85、及びサンギヤS2に取り付けられたドリブンギヤ86を介して連結され、伝動軸26とサンギヤS1とが、伝動軸26に取り付けられたドライブギヤ87、及びサンギヤS1に取り付けられたドリブンギヤ88を介して連結される。 【0112】また、前記ドリブンギヤ86、88はスリーブ部86a、88aを備え、前記出力軸14がスリーブ部88aによって包囲され、該スリーブ部88aがスリーブ部86aによって包囲される。 【0113】前記出力軸12には、必要に応じてワンウェイクラッチF3が配設される。そして、ワンウェイクラッチF3が配設されない場合、第1の実施の形態と同様に、エンジン11を停止させた状態で、エンジントルクTEを零にして制御トルクとしての目標モータトルクTM1* 、TM2* が設定されるか、又は、第2の実施の形態と同様に、エンジン11を停止させた状態で、エンジントルクTEを発生させて目標モータトルクTM1* 、TM2* が設定される。 【0114】また、ワンウェイクラッチF3が配設される場合、第3の実施の形態と同様に、エンジン11を停止させた状態で、ワンウェイクラッチトルクTOWCを発生させて目標モータトルクTM1* 、TM2* が設定される。 【0115】なお、前記第4、第5の実施の形態においては、プラネタリギヤユニット13の構成、並びにプラネタリギヤユニット13に対するエンジン11、第1、第2のモータ16、25及び出力軸14の連結関係が、第1の実施の形態と異なる。したがって、第1〜第3の実施の形態における制御方法を第4、第5の実施の形態に適用する場合、目標モータトルクTM1* 、TM2* を算出するための定数K1〜K6を変更し、定数K1〜K6の正負を反転させればよい。 【0116】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。 【0117】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、ハイブリッド型車両の制御装置においては、エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有する。 【0118】そして、前記制御トルク算出処理手段は、エンジンを停止させた状態で、エンジンを非回転状態に置くエンジン非回転状態形成処理手段を備える。 【0119】この場合、目標出力トルクが設定され、該目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクが算出され、該制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御が行われる。そして、エンジンを停止させた状態で、エンジンが非回転状態に置かれる。 【0120】したがって、前記第1、第2のモータのモータトルクをそれぞれ独立させて制御することができるので、目標出力トルクを容易に発生させることができる。 【0121】また、エンジンが非回転状態に置かれるので、第1、第2のモータを駆動するのに伴って、停止させられたエンジンが回転させられることがない。したがって、出力トルクに損失が発生するのを防止することができる。 【0122】本発明の他のハイブリッド型車両の制御装置においては、さらに、前記エンジン非回転状態形成処理手段は、前記エンジンの出力部材を回転方向における正方向に付勢するためのトルクを発生させる。そして、該トルクはエンジンの摺動起動抵抗トルクより小さくされる。 【0123】この場合、トルクが発生させられ、エンジンの出力部材が回転方向における正方向に付勢されるので、仮に、モータトルクの制御に誤差が生じ、エンジンに、エンジンを正方向に回転させるようなトルク、又は逆方向に回転させるようなトルクが発生しても、停止させられたエンジンが正方向に回転することはあっても、逆方向に回転させられることがなくなる。したがって、エンジンの機能に影響を与えることがない。 【0124】本発明の更に他のハイブリッド型車両の制御装置においては、エンジンと、第1、第2のモータと、駆動輪に連結された出力軸と、少なくとも4個の歯車要素を備え、各歯車要素と前記エンジン、第1、第2のモータ及び出力軸とがそれぞれ連結された差動歯車装置と、エンジンの出力部材と固定部材との間に配設され、エンジンが逆方向に回転するのを阻止し、正方向に回転するのを許容するワンウェイクラッチと、前記出力軸に出力される出力トルクに対応させて目標出力トルクを設定する目標出力トルク設定処理手段と、前記目標出力トルクに基づいて、第1、第2のモータの電気的な制御を行うための目標となる制御トルクを算出する制御トルク算出処理手段と、前記制御トルクに従って第1、第2のモータのトルク制御を行うトルク制御処理手段とを有する。 【0125】そして、前記制御トルク算出処理手段は、エンジンを停止させた状態で、エンジンを非回転状態に置くエンジン非回転状態形成処理手段を備える。また、該エンジン非回転状態形成処理手段は、前記ワンウェイクラッチに作用させる所定のワンウェイクラッチトルクを発生させる。 【0126】この場合、ワンウェイクラッチトルクが発生させられ、エンジンの出力部材が回転方向における正方向に付勢されるので、仮に、モータトルクの制御に誤差が生じ、エンジンに、エンジンを正方向に回転させるようなトルク、又は逆方向に回転させるようなトルクが発生しても、停止させられたエンジンが正方向に回転することはあっても、逆方向に回転させられることがなくなる。したがって、エンジンの機能に影響を与えることがない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000100768 【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月25日(2000.5.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096426 【弁理士】 【氏名又は名称】川合 誠 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−339805(P2001−339805A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−154864(P2000−154864) |
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