| 【発明の名称】 |
電源設備および電気車 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡邉 秀夫
【氏名】平原 一樹
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| 【要約】 |
【課題】在来線用電気車ではデッドセクションを通過するときにノッチ操作を必要とする。新幹線用電源設備では大掛かりな切替設備を必要とする。
【解決手段】電気車は、トロリー線からパンタグラフ11等を通して主変圧器14の一次側に電源引き込みを行う。コンバータ151、171と駆動用インバータ152、172により誘導電動機16、18を駆動する。駆動用の各車両には、直流電源とする電気二重層キャパシタと、その充放電を制御できる電流制御回路をもつエネルギー蓄積装置20、21を搭載する。このエネルギー蓄積装置は、電気車の通常運転時にはパンタグラフを通した受電電力で充電し、電気車がデッドセクションを通過する間はインバータの直流回路への放電で電気車に必要な電力を供給する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 デッドセクションによって異電源を分離したトロリー線から受電する在来線用電気車であって、電気車は、トロリー線からの受電で走行用電動機等に電力を供給する電源回路と、この電源回路との間で直流電力の充放電ができるエネルギー蓄積装置とを搭載し、前記エネルギー蓄積装置は、電気車の通常運転時にはパンタグラフを通した受電電力で充電し、電気車がデッドセクションを通過する間は、前記電源回路への放電で電気車に必要な電力を供給することを特徴とする在来線用電気車。 【請求項2】 デッドセクションによって異電源を分離したトロリー線から受電する新幹線用電気車であって、電気車は、トロリー線からの受電で走行用電動機等に電力を供給する電源回路と、この電源回路との間で直流電力の充放電ができるエネルギー蓄積装置とを搭載し、前記エネルギー蓄積装置は、電気車の通常運転時にはパンタグラフを通した受電電力で充電し、電気車が一対のデッドセクション間に設けた無加圧の中セクションを通過する間は、前記電源回路への放電で電気車に必要な電力を供給することを特徴とする新幹線用電気車。 【請求項3】 デッドセクションによって異電源を分離したトロリー線から電気車に給電する在来線用電源設備であって、前記デッドセクションは、1箇所のデッドセクションによって構成し、前記デッドセクション以外の範囲を走行する電気車にはトロリー線から給電し、前記デッドセクションを走行する電気車には、該電気車に搭載するエネルギー蓄積装置から電気車に必要な電力を供給することを特徴とする在来線用電源設備。 【請求項4】 デッドセクションによって異電源を分離したトロリー線から電気車に給電する新幹線用電源設備であって、前記デッドセクションは、一対のデッドセクションと、この一対のデッドセクション間で無加圧にした中セクションとによって構成し、前記デッドセクション以外の範囲を走行する電気車にはトロリー線から給電し、前記中セクションを走行する電気車には、該電気車に搭載するエネルギー蓄積装置から電気車に必要な電力を供給することを特徴とする新幹線用電源設備。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、在来線や新幹線などの電鉄用の電源設備および電気車に係り、特に電気車が異電源を分離するデッドセクションを通過するときに電源を確保するための電源設備および電気車に関する。 【0002】 【従来の技術】図3に電鉄用電源設備とセクション構成の例を示す。電源設備は、同図の(a)に示すように、異電源になる変電所11、12からき電用しゃ断器21、22やき電線、区分開閉器を介してデッドセクションで分離されたトロリー線3を加圧する。複数台車両で一編成とする電気車4は、トロリー線から1つまたは複数のパンタグラフを通して受電し、電気車内の電源回路から走行用電動機・照明・空調機器等に電力供給を行う。 【0003】このような電鉄用電源設備において、デッドセクションは異電源区間を分離するものであり、在来線では異電源の突き合わせ箇所にFRPまたはウッド(木)のデッドセクション(絶縁セクション)を8mの距離で設備されている。この方式では、図3の(b)に示すように、運転者は電気車がデッドセクションの手前に設けられるノッチオフ標識に達したときにノッチオフしてトロリー線からの受電を遮断して惰行運転し、デッドセクションを通過してノッチオン標識位置に達したときにノッチオンして受電を再開して走行を行う。 【0004】一方、新幹線では、図3の(c)に示すように、異電源の突き合わせ箇所に切替セクションを設備している。新幹線では先頭側車両と後尾側車両のパンタグラフ間をブス引き通し(ケーブル)で接続しており、切替セクションは、車両の最大パンタグラフ間隔以上になる距離(一般に1000m)で設けられるエアセクションD1,D2間を中セクションとし、エアセクションD1,D2の両端と中セクション間に開閉制御される開閉器SW1,SW2を設けた構成とする。 【0005】この構成により、全車両が中セクション範囲内に到達するまでは、開閉器SW1を閉、開閉器SW2を開としておくことで開閉器SW1側の電源から電力を供給し続け、全車両が中セクションを走行中に開閉器SW1を開、開閉器SW2を閉と切り替えることで開閉器SW2側の電源から電力の供給を開始する。これにより、開閉器の切換時に瞬時停電はあるが連続した電力供給がなされ、新幹線の運転者は、異電源区間の通過を意識することなく、ノッチオン状態のままエアセクションの走行運転ができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従来の在来線用電源設備では、デッドセクションを構成するためのノッチ標識を設備する必要がある。また、電気車はノッチオフ標識位置からノッチオン標識位置までの長い距離を惰行運転しており、デッドセクション領域での高速走行の妨げになる。また、運転者はデッドセクション通過標識を常に意識した運転を強いられ、一定レベルのスキルが必要となる。また、デッドセクション標識を見落とした場合、パンタグラフの引くアークにより、デッドセクションに損傷を与えるほか、異電源間の短絡故障の恐れがある。さらに、デッドセクション通過時には、必ず瞬時停電が生じるため、空調機器の瞬断や照明のちらつきなど、乗客サービスの低下になる。 【0007】一方、新幹線用電源設備は、変電所およびき電区分所に切替設備を設ける必要があり、設備費がかさむ。また、車両の走行に合わせて、電源の切替えを行うため、中セクションの長さは1000m以上必要となり、切替設備費がかさむ。また、車両の走行速度を向上させる場合、中セクションの距離を変更するなど対策が必要となる。また、中セクションの電源切替えは、250ms〜350msの瞬時停電が発生するし、開閉器が自動的にオン・オフ繰り返されており、、設備の寿命に影響する。また、切替設備は、車両の通過の度に入り・切りが繰り返され、多頻度開閉が行われるため、設備を定期的に保守する必要があり、ランニングコストが大きくなる。また、切替設備は、多頻度開閉設備であるため、故障も多く、車両の運行計画の支障原因となる場合が多い。 【0008】本発明の目的は、上記の各課題などを解決した在来線用または新幹線用の電源設備および電気車を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を解決するため、電気車には電気二重層キャパシタ等の急速充放電可能なエネルギー蓄積装置を搭載し、電気車がデッドセクション(在来線)や中セクション(新幹線)を通過するときにはエネルギー蓄積装置から電気車の走行等に必要な電力を供給できるようにすることで、電鉄用電源設備としてはノッチ標識(在来線用)によるノッチ操作を不要にしたり、切替設備(新幹線用)を簡略化できるようにしたもので、以下の構成を特徴とする。 【0010】デッドセクションによって異電源を分離したトロリー線から受電する在来線用電気車であって、電気車は、トロリー線からの受電で走行用電動機等に電力を供給する電源回路と、この電源回路との間で直流電力の充放電ができるエネルギー蓄積装置とを搭載し、前記エネルギー蓄積装置は、電気車の通常運転時にはパンタグラフを通した受電電力で充電し、電気車がデッドセクションを通過する間は、前記電源回路への放電で電気車に必要な電力を供給することを特徴とする。 【0011】デッドセクションによって異電源を分離したトロリー線から受電する新幹線用電気車であって、電気車は、トロリー線からの受電で走行用電動機等に電力を供給する電源回路と、この電源回路との間で直流電力の充放電ができるエネルギー蓄積装置とを搭載し、前記エネルギー蓄積装置は、電気車の通常運転時にはパンタグラフを通した受電電力で充電し、電気車が一対のデッドセクション間に設けた無加圧の中セクションを通過する間は、前記電源回路への放電で電気車に必要な電力を供給することを特徴とする。 【0012】デッドセクションによって異電源を分離したトロリー線から電気車に給電する在来線用電源設備であって、前記デッドセクションは、1箇所のデッドセクションによって構成し、前記デッドセクション以外の範囲を走行する電気車にはトロリー線から給電し、前記デッドセクションを走行する電気車には、該電気車に搭載するエネルギー蓄積装置から電気車に必要な電力を供給することを特徴とする。 【0013】デッドセクションによって異電源を分離したトロリー線から電気車に給電する新幹線用電源設備であって、前記デッドセクションは、一対のデッドセクションと、この一対のデッドセクション間で無加圧にした中セクションとによって構成し、前記デッドセクション以外の範囲を走行する電気車にはトロリー線から給電し、前記中セクションを走行する電気車には、該電気車に搭載するエネルギー蓄積装置から電気車に必要な電力を供給することを特徴とする。 【0014】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態を示す交流電鉄用電気車の電源回路構成図である。トロリー線からパンタグラフ11を通して真空しゃ断器12や避雷器13を介して主変圧器14の一次側に電源引き込みを行う。 【0015】主変圧器14の二次側には、コンバータ151と駆動用インバータ152および回生用インバータ153からなる主変換装置が設けられ、インバータ152から誘導電動機16に周波数制御した駆動電流を供給、および回生電力を主変圧器14側に回生する。主変圧器14の二次側には、しゃ断器を介して隣接車両の主変換装置171〜173に接続され、その誘導電動機18の駆動及び回生制動を行う。19は、照明機器や空調機器や機械ブレーキ用コンプレッサなどの電源を得るための補助回路である。 【0016】ここで、本実施形態では、駆動用の各車両には、直流電源とする電気二重層キャパシタと、その充放電を制御できる電流制御回路をもつエネルギー蓄積装置20、21を搭載する。このエネルギー蓄積装置20、21は、主変換装置の直流回路、すなわちコンバータ151、171とインバータ152、172の接続点に並列に設け、電気車の電源回路との間で直流電力の充放電ができるようにする。 【0017】エネルギー蓄積装置20、21の電気二重層キャパシタは、急速充放電が可能で、しかも充放電の繰り返し可能回数が一般の蓄電池設備に比して格段に高いものである。電流制御回路は、パンタグラフからの受電電圧を検出しておき、この電圧が設定値以下に低下したときに電気二重層キャパシタからインバータ等の直流回路への放電路を形成、さらには昇圧して放電する回路(回路接続スイッチや昇降圧チョッパ回路)を設ける。 【0018】以上の構成により、パンタグラフ11を通して受電できる通常時には、エネルギー蓄積装置20、21は主変圧器14、コンバータ151、171を通した直流電力で定格電圧まで充電しておく。そして、トロリー線などの電源設備の停電やトロリー線とパンタグラフの接触が切れた(離線現象)場合、また電気車がデッドセクションを通過する走行状態になったとき、電動機16、18の駆動に必要な電源をエネルギー蓄積装置20、21を直流電源とし、インバータ152、172で交流電力に変換して電動機16、18に必要な電力を供給する。 【0019】また、エネルギー蓄積装置20、21を直流電源とし、回生用インバータ153、173で交流電力に変換して補助回路19等への給電を可能にする。 【0020】図2は、本実施形態を在来線の電気車に適用した場合のデッドセクションの通過態様を示す。同図の(a)は在来線の場合を示し、約8mのデッドセクションによって異電源を分離する電源構成としておく。この構成では、電気車のパンタグラフがデッドセクション位置になる走行時にはトロリー線からの電源遮断になる。このとき、電気車に搭載したエネルギー蓄積装置から、主変換装置等に電源を供給することができ、電気車は力行のままデッドセクションを通過することができ、従来のノッチオフ標識位置からノッチオン標識位置までの長距離惰行運転を無くして高速走行ができる。また、運転者はデッドセクション通過標識を意識した運転が不要になるし、ノッチオンのままでも異電源間が短絡故障することもない。 【0021】また、トロリー線からの電源遮断時には、駆動用電動機の電機子などのインダクタンス分に蓄積された電流は電機二重層キャパシタの充放電で吸収することができ、パンタグラフにアークが発生することがなくなるし、またデッドセクションやパンタグラフに損傷を与えることがなくなる。また、デッドセクション通過時に瞬時停電が生じることなく、空調機器の瞬断や照明のちらつきなどを起こすことがなくなる。 【0022】図2の(b)は、新幹線の場合を示し、従来の切替設備における開閉器SW1,SW2とその開閉制御装置を省き、車両の最大パンタグラフ間隔(約1000m)に一対のエアセクションのみを設けた構成とし、その間の中セクションを無加圧区間とする。この構成において、新幹線はブス引き通しで先頭側車両と後尾車両間のパンタグラフがケーブルで接続されており、一部のパンタグラフが中セクション位置になる走行状態では加圧状態になるトロリー線に接触するパンタグラフから受電して力行することができる。そして、全部のパンタグラフが中セクション内になる電源遮断状態では、車両に搭載するエネルギー蓄積装置から主変換装置等に電源を供給し、力行運転を継続することができる。 【0023】したがって、従来の方式に比べて、切替設備は開閉器とその制御装置が不要になって大幅に簡略化され、その信頼性の向上、コストダウン、保守費低減、設備寿命を延ばすことができる。また、車両の走行速度を高める場合にも、中セクションの距離を変更する必要がなくなる。 【0024】また、エネルギー蓄積装置を搭載した電気車は、電気車が力行開始や回生開始する場合にトロリー線の電圧変化をエネルギー蓄積装置で抑制することができ、トロリー線や変電所などの電源設備から見て電気車自体が負荷変動要因となることが少なくなり、該電源設備の責務を軽減してその簡略化、コストダウン等を図ることができる。 【0025】さらにまた、エネルギー蓄積装置を搭載した電気車は、夜間やトンネル、地下の走行中での変電所等の停電に際して電気車の非常用直流電源として利用することができる。 【0026】以上の実施形態は、交流電鉄用の電気車に適用した場合を示すが、直流電鉄用の電気車に適用して同等の作用効果を得ることができる。また、電気二重層キャパシタに代えて、蓄電池等を直流電源とするエネルギー蓄積装置を電気車に搭載して同等の作用効果を得ることができる。 【0027】 【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、電気車には電気二重層キャパシタ等の急速充放電可能なエネルギー蓄積装置を搭載し、電気車がデッドセクション(在来線)や中セクション(新幹線)を通過するときにはエネルギー蓄積装置から電気車の走行等に必要な電力を供給できるようにしたため、電鉄用電源設備としてはノッチ標識(在来線用)によるノッチ操作を不要にしたり、切替設備(新幹線用)を簡略化できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006105 【氏名又は名称】株式会社明電舎
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| 【出願日】 |
平成12年5月9日(2000.5.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062199 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−320804(P2001−320804A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月16日(2001.11.16) |
| 【出願番号】 |
特願2000−135321(P2000−135321) |
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