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【発明の名称】 自動列車制御装置、及びその方法
【発明者】 【氏名】池田 圭吾

【氏名】本多 節

【氏名】池谷 崇

【氏名】石川 了

【要約】 【課題】本発明の課題は、地上装置から軌道回路に伝送される許容速度情報と許容区間長情報とを列車の車上装置で受信して、列車の走行状態を制御することである。

【解決手段】自動列車制御システム100において、地上装置13は、先行列車12’の軌道回路14上の走行位置に基づいて、続行列車12の許容速度情報とこの許容速度での許容区間長情報とを軌道回路上に伝送する。続行列車12の車上装置11は、許容速度情報と許容区間長情報とを受信し、実際の走行速度と許容速度と、実際の走行距離と許容区間長とを、それぞれ比較して、走行速度が許容速度を超過している場合、あるいは、走行距離が許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過している場合、走行速度を許容速度以下に抑えるように制御を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】地上装置と車上装置とを備える自動列車制御装置において、前記地上装置は、列車が走行する軌道回路に設置されており、前記軌道回路上を走行する列車の走行位置を検知する走行位置検知手段と、前記走行位置検知手段により検知された列車の走行位置に基づいて、許容速度情報と許容区間長情報とを生成して前記軌道回路に伝送する制御情報伝送手段と、を備え、前記車上装置は、前記軌道回路上を走行する列車に搭載されており、前記制御情報伝送手段により前記軌道回路に伝送された許容速度情報と許容区間長情報とを受信する制御情報受信手段と、前記軌道回路上を走行する列車の実際の走行速度と走行距離とを検知する走行状態検知手段と、前記制御情報受信手段により受信された許容速度情報と許容区間長情報と、前記走行状態検知手段により検知された実際の走行速度と走行距離とに基づいて、許容速度と実際の走行速度と、許容区間長と実際の走行距離とを、それぞれ比較する走行状態比較手段と、前記走行状態比較手段による比較結果に従って前記列車の走行状態を制御する走行状態制御手段と、を備えることを特徴とする自動列車制御装置。
【請求項2】前記走行状態制御手段は、前記走行状態比較手段により、前記実際の走行速度が前記許容速度を超過していると判別された場合、あるいは、前記実際の走行距離が前記許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過していると判別された場合、走行速度を減速することを特徴とする請求項1記載の自動列車制御装置。
【請求項3】地上装置と車上装置とを備える自動列車制御装置を制御するための自動列車制御方法において、列車が走行する軌道回路に設置されている前記地上装置は、前記軌道回路上を走行する列車の走行位置を検知する走行位置検知工程と、前記走行位置検知工程で検知された列車の走行位置に基づいて、許容速度情報と許容区間長情報とを生成して前記軌道回路に伝送する制御情報伝送工程と、を含み、前記軌道回路上を走行する列車に搭載されている前記車上装置は、前記制御情報伝送工程で前記軌道回路に伝送された許容速度情報と許容区間長情報とを受信する制御情報受信工程と、前記軌道回路上を走行する列車の実際の走行速度と走行距離とを検知する走行状態検知工程と、前記制御情報受信工程で受信された許容速度情報と許容区間長情報と、前記走行状態検知工程で検知された実際の走行速度と走行距離とに基づいて、許容速度と実際の走行速度と、許容区間長と実際の走行距離とを、それぞれ比較する走行状態比較工程と、前記走行状態比較工程での比較結果に従って前記列車の走行状態を制御する走行状態制御工程と、を含むことを特徴とする自動列車制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地上装置から軌道回路に伝送される列車制御情報を列車の車上装置で受信して、列車の走行状態を制御する自動列車制御装置、及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の自動列車制御装置は、レール間に設置されている地上装置と、列車に搭載されている車上装置とを備えている。そして、地上装置は、先行列車のレール上の走行位置及びレールの開通状況から、続行列車の許容速度を許容区間毎に決定し、制御情報をレール上に伝送する。続行列車の車上装置は、前記制御情報を受信して、許容区間毎の許容速度と実際の走行速度とを比較する。そして、続行列車の車上装置は、走行速度が許容速度を超過している場合、走行速度を許容速度以下に抑えるように制御を行っている。このように、従来の自動列車制御装置は、所定区間毎の安全上の許容速度情報により、所定区間内での列車の速度を制御している。
【0003】従来の自動列車制御装置を適用した自動列車制御システム200について、図4〜図6を参照して説明する。図4は、従来の自動列車制御装置を適用した自動列車制御システム200の全体構成を示す図である。図5は、従来の自動列車制御システム200における自動列車制御車上装置21の内部構成を示すブロック図である。図6は、従来の自動列車制御システム200における軌道回路24の軌道回路分割の例を示す図である。
【0004】まず、図4を参照して、従来の自動列車制御装置を適用した自動列車制御システム200の全体構成を説明する。図4に示すように、自動列車制御システム200は、列車22に搭載されている自動列車制御車上装置21(以下、車上装置21と呼ぶ。)と、レールである軌道回路24の軌道区間毎に設置されている自動列車制御地上装置23(以下、地上装置23と呼ぶ。)とから構成されている。軌道回路24は、軌道区間24a〜24jのように、所定の軌道区間長に区切られて電気回路の一部として利用され、地上装置23から伝送された許容速度信号に応じた電流を流している。また、列車22は、先行列車22’に対して続行列車となるので、以下、続行列車22とする。
【0005】続行列車22が地上装置23の設置されている軌道回路24に進入すると、地上装置23は、先行列車22’の列車検知信号を軌道回路24から受信して、軌道回路24上の先行列車22’の走行位置を検知する。そして、地上装置23は、検知した先行列車22’の走行位置から続行列車22の許容速度を決定し、許容速度信号を軌道回路24に伝送して、この許容速度信号に応じた電流を軌道回路24上に流す。続行列車22の車上装置21は、軌道回路24から前記許容速度信号を受信して、この許容速度と実際の走行速度とを比較する。そして、車上装置21は、走行速度が許容速度を超過している場合、常用ブレーキや非常ブレーキをかけて、走行速度を許容速度以下に抑えるように制御する。
【0006】例えば、先行列車22’が軌道区間24gを走行している際、続行列車22は、軌道区間24a、24bでは許容速度75km/h以下で走行可能であるが、軌道区間24c、24d、及び24eまで先行列車22’に接近すると、常用ブレーキ信号01を受信して常用ブレーキをかける必要があり、軌道区間24fまで先行列車22’に接近すると、非常ブレーキをかけて停止しなければならない。同様に、先行列車22’が軌道区間24h、24i、若しくは24jを走行している際、続行列車22は、それぞれ、軌道区間24c、24d、及び24eまでは許容速度75km/h以下で走行可能であるが、軌道区間24f、24g、及び24hまで先行列車22’に接近すると、常用ブレーキをかける必要があり、軌道区間24g、24h、及び24iまで接近すると、非常ブレーキをかけて停止しなければならない。
【0007】次に、図5を参照して、従来の自動列車制御システム200における車上装置21の内部構成及び動作を説明する。図5に示すように、自動列車制御システム200において、車上装置21は、受信アンテナ21aと、受信器21bと、速度発電器21cと、速度照査器21dとを備えており、軌道回路24には、許容速度信号電流が流れており、列車22の車輪が当接している。受信アンテナ21aは、軌道回路24から許容速度信号を受信すると、受信した許容速度信号を受信器21bへ送信し、受信器21bは、受信した許容速度信号を速度照査器21dへ送信する。また、速度発電機21cは、列車22の車輪と接続されており、車輪から実際の走行速度信号を受信し、受信した走行速度信号を速度照査器21dと速度計へ送信する。そして、速度照査器21dは、実際の走行速度と許容速度とを比較して、実際の走行速度が許容速度を超過している場合、列車22の常用ブレーキや非常ブレーキをかける。
【0008】そして、図6を参照して、従来の自動列車制御システム200における軌道回路24の軌道回路分割の例を説明する。図6において、水平軸が時間軸であり、垂直軸が距離軸である。また、先行列車22’の軌道回路を示す2本の実線において、上下の実線は、先行列車22’の先頭車両と後部車両の軌道回路をそれぞれ示しており、同様に、続行列車22の軌道回路を示す2本の実線において、上下の実線は、続行列車22の先頭車両と後部車両の軌道回路をそれぞれ示している。図6に示すように、先行列車22’に対する続行列車22の軌道回路24において、評価区間は、接近区間L1と、ホーム区間L2と、離脱区間L3とを合わせた区間とし、更に、軌道区間1T2〜24T2に分割される。接近区間L1は、ほぼ軌道区間1T2〜13T2に相当し、ホーム区間L2は、ほぼ軌道区間14T2〜17T2に相当し、離脱区間L3は、ほぼ軌道区間18T2〜24T2に相当する。そして、ホーム区間L2において、先行列車22aは、時間t0の間、続行列車22bは、時間t1の間、駅に停車する。
【0009】続行列車22は、軌道区間1T2〜24T2毎に、先行列車22’の走行位置に応じた許容速度信号を地上装置23から受信して、この続行列車22の車上装置21により、許容速度を超過しない速度で走行するように制御される。よって、接近区間L1のホーム区間L2付近において、続行列車22の軌道区間毎の許容速度は、先行列車22’の各軌道区間からの進出に伴って更新される必要があり、軌道区間24は、軌道区間4T2〜13T2に示すように細分化されている。また、離脱区間L3のホーム区間L2付近において、続行列車22は、高速にホーム区間L2へ進入するために先行列車22’のホーム区間L2からの離脱を速やかに検知する必要があり、軌道区間24は、軌道区間18T2〜22T2に示すように細分化されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来の自動列車制御システム200において、高密度運転を行う際、先行列車22’と続行列車22との運行間隔が狭くなるので、軌道回路24の細分化が必要となっていた。また、軌道回路24の細分化に比例して、地上装置23の設置数と現場から集中機器室まで引かれる外線ケーブル数とが増大するので、地上装置23と外線ケーブル等の設置費用やこれらの消費電力が増大して、運営費等が増加していた。更に、駅の機器設置の十分なスペースの確保が困難となり、機器の集中化が進み、機器室の間隔が広がる傾向があるので、機器室付近にケーブルが過度に集中して、ケーブル収容が困難となり、工事量も増大していた。
【0011】本発明の課題は、地上装置から軌道回路に伝送される許容速度情報と許容区間長情報とを列車の車上装置で受信して、列車の走行状態を制御することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、地上装置(例えば、図1に示す自動列車制御地上装置13)と車上装置(例えば、図1、図2に示す自動列車制御車上装置11)とを備える自動列車制御装置(例えば、図1に示す自動列車制御システム100)において、前記地上装置は、列車が走行する軌道回路(例えば、図1、図2に示す軌道回路14)に設置されており、前記軌道回路上を走行する列車の走行位置を検知する走行位置検知手段(例えば、図1に示す地上装置13)と、前記走行位置検知手段により検知された列車の走行位置に基づいて、許容速度情報と許容区間長情報とを生成して前記軌道回路に伝送する制御情報伝送手段(例えば、図1に示す地上装置13)と、を備え、前記車上装置は、前記軌道回路上を走行する列車(例えば、図1に示す続行列車12)に搭載されており、前記制御情報伝送手段により前記軌道回路に伝送された許容速度情報と許容区間長情報とを受信する制御情報受信手段(例えば、図2に示す受信アンテナ11a、受信器11b)と、前記軌道回路上を走行する列車の実際の走行速度と走行距離とを検知する走行状態検知手段(例えば、図2に示す速度発電機11c)と、前記制御情報受信手段により受信された許容速度情報と許容区間長情報と、前記走行状態検知手段により検知された実際の走行速度と走行距離とに基づいて、許容速度と実際の走行速度と、許容区間長と実際の走行距離とを、それぞれ比較する走行状態比較手段(例えば、図2に示す速度照査器11d、距離照査器11g)と、前記走行状態比較手段による比較結果に従って前記列車の走行状態を制御する走行状態制御手段(例えば、図2に示すブレーキ)と、を備えることを特徴としている。
【0013】請求項1記載の発明の地上装置と車上装置とを備える自動列車制御装置によれば、前記地上装置は、列車が走行する軌道回路に設置されており、走行位置検知手段により、前記軌道回路上を走行する列車の走行位置を検知し、制御情報伝送手段により、前記走行位置検知手段により検知された列車の走行位置に基づいて、許容速度情報と許容区間長情報とを生成して前記軌道回路に伝送し、前記車上装置は、前記軌道回路上を走行する列車に搭載されており、制御情報受信手段により、前記制御情報伝送手段により前記軌道回路に伝送された許容速度情報と許容区間長情報とを受信し、走行状態検知手段により、前記軌道回路上を走行する列車の実際の走行速度と走行距離とを検知し、走行状態比較手段により、前記制御情報受信手段により受信された許容速度情報と許容区間長情報と、前記走行状態検知手段により検知された実際の走行速度と走行距離とに基づいて、許容速度と実際の走行速度と、許容区間長と実際の走行距離とを、それぞれ比較し、走行状態制御手段により、前記走行状態比較手段による比較結果に従って前記列車の走行状態を制御する。
【0014】請求項3記載の発明は、地上装置(例えば、図1に示す自動列車制御地上装置13)と車上装置(例えば、図1、図2に示す自動列車制御車上装置11)とを備える自動列車制御装置(例えば、図1に示す自動列車制御システム100)を制御するための自動列車制御方法において、列車が走行する軌道回路(例えば、図1、図2に示す軌道回路14)に設置されている前記地上装置は、前記軌道回路上を走行する列車の走行位置を検知する走行位置検知工程と、前記走行位置検知工程で検知された列車の走行位置に基づいて、許容速度情報と許容区間長情報とを生成して前記軌道回路に伝送する制御情報伝送工程と、を含み、前記軌道回路上を走行する列車(例えば、図1に示す続行列車12)に搭載されている前記車上装置は、前記制御情報伝送工程で前記軌道回路に伝送された許容速度情報と許容区間長情報とを受信する制御情報受信工程(例えば、図2に示す受信アンテナ11a、受信器11b)と、前記軌道回路上を走行する列車の実際の走行速度と走行距離とを検知する走行状態検知工程(例えば、図2に示す速度発電機11c)と、前記制御情報受信工程で受信された許容速度情報と許容区間長情報と、前記走行状態検知工程で検知された実際の走行速度と走行距離とに基づいて、許容速度と実際の走行速度と、許容区間長と実際の走行距離とを、それぞれ比較する走行状態比較工程(例えば、図2に示す速度照査器11d、距離照査器11g)と、前記走行状態比較工程での比較結果に従って前記列車の走行状態を制御する走行状態制御工程(例えば、図2に示すブレーキ)と、を含むことを特徴としている。
【0015】請求項3記載の発明の地上装置と車上装置とを備える自動列車制御装置を制御するための自動列車制御方法によれば、列車が走行する軌道回路に設置されている前記地上装置は走行位置検知工程で、前記軌道回路上を走行する列車の走行位置を検知し、制御情報伝送工程で、前記走行位置検知工程で検知された列車の走行位置に基づいて、許容速度情報と許容区間長情報とを生成して前記軌道回路に伝送し、前記軌道回路上を走行する列車に搭載されている前記車上装置は、制御情報受信工程で、前記制御情報伝送工程で前記軌道回路に伝送された許容速度情報と許容区間長情報とを受信し、走行状態検知工程で、前記軌道回路上を走行する列車の実際の走行速度と走行距離とを検知し、走行状態比較工程で、前記制御情報受信工程で受信された許容速度情報と許容区間長情報と、前記走行状態検知工程で検知された実際の走行速度と走行距離とに基づいて、許容速度と実際の走行速度と、許容区間長と実際の走行距離とを、それぞれ比較し、走行状態制御工程で、前記走行状態比較工程での比較結果に従って前記列車の走行状態を制御する。
【0016】したがって、請求項1あるいは3記載のいずれかの発明によって、列車の車上装置が、軌道回路から許容速度情報と許容区間長情報を受信し、列車の走行状態を制御することができるので、高密度運転を行って列車同士の運行間隔が狭くなる際等、従来までのように軌道回路を細分化する必要がなくなる。よって、この軌道回路の細分化に比例して増大する、地上装置の設置数と現場から集中機器室まで引かれる外線ケーブル数とを削減できるので、地上装置と外線ケーブル等の設置費用やこれらの消費電力を減らして、運営費等を削減することが可能となる。更に、駅の機器設置スペースの確保が容易になり、機器の集中化を抑え、機器室の間隔を縮小することができるので、機器室付近のケーブルの過度集中を防ぎ、ケーブル収容を容易にすると共に工事量を削減することが可能となる。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記走行状態制御手段は、前記走行状態比較手段により、前記実際の走行速度が前記許容速度を超過していると判別された場合、あるいは、前記実際の走行距離が前記許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過していると判別された場合、走行速度を減速することを特徴としている。
【0018】請求項2記載の発明によれば、前記走行状態制御手段は、前記走行状態比較手段により、前記実際の走行速度が前記許容速度を超過していると判別された場合、あるいは、前記実際の走行距離が前記許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過していると判別された場合、走行速度を減速する。
【0019】したがって、請求項2記載の発明によって、列車の実際の走行速度が許容速度を超過している場合、あるいは、実際の走行距離が許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過している場合、ブレーキ等により、走行速度が許容速度以下に抑えられる。よって、列車間隔をより安全に詰めることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図3を参照して、本発明の自動列車制御装置を適用した実施の形態における、自動列車制御システム100について説明する。本発明の自動列車制御装置を適用した自動列車制御システム100は、レール間に設置されている地上装置と、列車に搭載されている車上装置とを備えている。そして、地上装置は、先行列車のレール上の走行位置に基づいて、続行列車の許容速度とこの許容速度での許容区間長とからなる制御情報を軌道回路上に伝送する。続行列車の車上装置は、この制御情報を受信して、実際の走行速度と許容速度と、実際の走行距離と許容区間長とを、それぞれ比較する。そして、続行列車の車上装置は、走行速度が許容速度を超過している場合、あるいは、走行距離が許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過している場合、走行速度を許容速度以下に抑えるように制御を行う。このように、本発明の自動列車制御装置を適用した自動列車制御システム100は、地上装置から軌道回路に伝送される許容速度情報と許容区間長情報とを列車の車上装置で受信して、列車の走行状態を制御する。
【0021】図1は、本発明の自動列車制御装置を適用した実施の形態における自動列車制御システム100の全体構成を示す図である。図2は、自動列車制御システム100における自動列車制御車上装置11の内部構成を示すブロック図である。図3は、自動列車制御システム100における軌道回路14の軌道回路分割の例を示す図である。
【0022】まず、図1を参照して、本発明を適用した実施の形態における自動列車制御システム100の全体構成を説明する。図1に示すように、自動列車制御システム100は、列車12に搭載されている自動列車制御車上装置11(以下、車上装置11と呼ぶ。)と、レールである軌道回路14の軌道区間毎に設置されている自動列車制御地上装置13(以下、地上装置13と呼ぶ。)とから構成されている。軌道回路14は、軌道区間14a〜14gのように、所定の軌道区間長に区切られて電気回路の一部として利用され、地上装置13から伝送された許容速度信号に応じた電流と許容区間長信号に応じた電流とを流している。また、列車12は、先行列車12’に対して続行列車となるので、以下、続行列車12とする。
【0023】続行列車12が地上装置13の設置されている軌道回路14に進入すると、地上装置13は、先行列車12’の列車検知信号を軌道回路14から受信して、軌道回路14上の先行列車12’の走行位置を検知する。そして、地上装置13は、検知した先行列車12’の走行位置から続行列車12の許容速度と許容区間長とを決定し、許容速度信号と許容区間長信号とを軌道回路14に伝送して、この許容速度信号と許容区間長信号とにそれぞれ応じた各電流を軌道回路14上に流す。続行列車12の車上装置11は、軌道回路14から前記許容速度信号と前記許容区間長信号とを受信して、実際の走行速度を許容速度と、実際の走行距離を許容区間長と、それぞれ比較する。そして、車上装置11は、走行速度が許容速度を超過している場合、または、走行距離が許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過している場合、常用ブレーキや非常ブレーキをかけて、走行速度を許容速度以下に抑える制御を行う。
【0024】例えば、図1(a)に示すように、先行列車12’が軌道区間14dを走行している際、続行列車12が軌道区間14aを75km/h以下で走行し、軌道区間14aから14bへ進入すると、この続行列車12は、軌道回路14bから許容速度信号として常用ブレーキ信号01を受信し、更に、許容区間長信号としてx1まで75km/hを受信する。よって、続行列車12は、軌道区間14bに進入後、x1mまで速度75km/h以下で走行可能である。更に、続行列車12は、許容区間長x1を超過して先行列車12’に接近すると、常用ブレーキをかける必要があり、軌道区間14cまで先行列車12’に接近すると、非常ブレーキをかけて停止しなければならない。
【0025】また、図1(b)に示すように、先行列車12’が軌道区間14eを走行している際、続行列車12が軌道区間14aから14bへ、若しくは許容区間長x1を超過して進入すると、この続行列車12は、軌道回路14bから、許容速度信号として常用ブレーキ信号01を受信し、更に、許容区間長信号としてx1+x2まで75km/hを受信する。よって、続行列車12は、軌道区間14b、若しくは許容区間長x1を超過して進入後、x1+x2mまで速度75km/h以下で走行可能である。更に、続行列車12は、許容区間長x1+x2を超過するか、軌道区間14cまで先行列車12’に接近すると、常用ブレーキをかける必要があり、軌道区間14dまで先行列車12’に接近すると、非常ブレーキをかけて停止しなければならない。
【0026】また、図1(c)に示すように、先行列車12’が軌道区間14fを走行している際、続行列車12が軌道区間14aから14bへ、若しくは許容区間長x1あるいは許容区間長x1+x2を超過して進入すると、この続行列車12は、軌道回路14bから、許容速度信号として常用ブレーキ信号01を受信し、更に、許容区間長信号としてx1+x2+x3まで75km/hを受信する。よって、続行列車12は、軌道区間14b、若しくは許容区間長x1あるいは許容区間長x1+x2を超過して進入後、x1+x2+x3mまで速度75km/h以下で走行可能である。更に、続行列車12は、許容区間長x1+x2+x3を超過するか、軌道区間14c、14dまで先行列車12’に接近すると、常用ブレーキをかける必要があり、軌道区間14eまで先行列車12’に接近すると、非常ブレーキをかけて停止しなければならない。
【0027】また、図1(d)に示すように、先行列車12’が軌道区間14gを走行している際、続行列車12が軌道区間14aから14bへ進入するか、若しくは軌道区間14bを走行中であると、この続行列車12は、軌道回路14bから、軌道区間許容速度信号として75km/hを受信する。よって、続行列車12は、軌道回路14cへ進入するまで、速度75km/h以下で走行可能である。更に、続行列車12は、軌道区間14c、14d、14eまで先行列車12’に接近すると、常用ブレーキをかける必要があり、軌道区間14fまで先行列車12’に接近すると、非常ブレーキをかけて停止しなければならない。
【0028】次に、図2を参照して、自動列車制御システム100における車上装置11の内部構成及び動作を説明する。図2に示すように、自動列車制御システム100において、車上装置11は、受信アンテナ11aと、受信器11bと、速度発電器11cと、速度照査器11dと、データ判別器11eと、距離カウンタ11fと、距離照査器11gとを備えており、軌道回路14には、許容速度信号電流と許容区間長信号電流とが流れており、列車12の車輪が当接している。
【0029】受信アンテナ11aは、軌道回路14から許容速度信号と許容区間長信号とを受信すると、受信した許容速度信号と許容区間長信号とを受信器11bへ送信する。受信器11bは、前記許容速度信号と許容区間長信号とをデータ判別器11eへ送信する。データ判別器11eは、前記許容速度信号と許容区間長信号とを速度情報と距離情報とに判別し、許容速度情報を速度照査器11dへ、許容区間長情報を距離照査器11gへ、それぞれ送信する。速度発電機11cは、列車12の車輪と接続されており、車輪から実際の走行速度情報を受信し、受信した走行速度情報を速度照査器11d、距離カウンタ11f、そして速度計へ、それぞれ送信する。速度照査器11dは、受信した走行速度情報から走行速度を検出し、実際の走行速度と許容速度とを比較する。そして、速度照査器11dは、実際の走行速度が許容速度を超過している場合、列車12の常用ブレーキや非常ブレーキをかけ、走行速度を許容速度以下に抑えるよう制御する。距離カウンタ11fは、受信した走行速度情報から走行距離を積算し、実際の走行距離情報を距離照査器11gへ送信する。距離照査器11gは、実際の走行距離と許容区間長とを比較して、実際の走行距離が許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過している場合、列車12の常用ブレーキや非常ブレーキをかけ、走行速度を許容速度以下に抑えるよう制御する。
【0030】そして、図3を参照して、自動列車制御システム100における軌道回路14の軌道回路分割の例を説明する。図3において、水平軸が時間軸であり、垂直軸が距離軸である。また、先行列車12’の軌道回路を示す2本の実線において、上下の実線は、先行列車12’の先頭車両と後部車両の軌道回路をそれぞれ示しており、同様に、続行列車12の軌道回路を示す2本の実線において、上下の実線は、続行列車12の先頭車両と後部車両の軌道回路をそれぞれ示している。図3に示すように、従来の自動列車制御システム200の場合と同様、先行列車12’に対する続行列車12の軌道回路14において、評価区間は、接近区間L1と、ホーム区間L2と、離脱区間L3とを合わせた区間とし、更に、軌道区間1T1〜15T1に分割される。接近区間L1は、ほぼ軌道区間1T1〜6T1に相当し、ホーム区間L2は、ほぼ軌道区間7T1〜10T1に相当し、離脱区間L3は、ほぼ軌道区間11T1〜15T1に相当する。そして、ホーム区間L2において、先行列車12’は、時間t0の間、続行列車12は、時間t1の間、駅に停車する。
【0031】続行列車12は、軌道区間1T1〜15T1毎に、先行列車12’の走行位置に応じた許容速度信号と許容区間長信号とを地上装置13から受信して、許容速度を超過しない速度で走行するように、または、走行距離が許容区間長を超過した際に許容速度を超過しないで走行するように、続行列車12の車上装置11により制御される。接近区間L1のホーム区間L2付近において、続行列車12の許容速度は、先行列車12’の各軌道区間からの進出に伴って許容区間長とともに設定できるので、軌道区間14は、軌道区間4T1〜6T1に示すように、従来の自動列車制御システム200の場合の軌道区間4T2〜13T2と比較して、細分化する必要がない。また、離脱区間L3のホーム区間L2付近においても、続行列車12の許容速度は、先行列車12’のホーム区間L2からの離脱に伴って許容区間長とともに設定できるので、軌道区間14は、軌道区間11T1〜13T1に示すように、従来の自動列車制御システム200の場合の軌道区間18T2〜22T2と比較して、細分化する必要がない。このように、従来の自動列車制御システム200において、軌道区間1T2〜24T2に示すように、軌道回路24が評価区間範囲内で24Tに分割されているのに対し、本発明の自動列車制御システム100において、軌道区間1T1〜15T1に示すように、軌道回路14は評価区間範囲内で15Tに分割されており、軌道回路14の分割数は軌道回路24の分割数よりも9T減少している。
【0032】以上のように、本発明の自動列車制御装置を適用した実施の形態における自動列車制御システム100において、地上装置13は、先行列車12’の軌道回路14上の走行位置に基づいて、続行列車12の許容速度情報とこの許容速度での許容区間長情報とを軌道回路上に伝送する。続行列車12の車上装置11は、許容速度情報と許容区間長情報とを受信し、実際の走行速度と許容速度と、実際の走行距離と許容区間長とを、それぞれ比較して、走行速度が許容速度を超過している場合、あるいは、走行距離が許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過している場合、走行速度を許容速度以下に抑えるように制御を行う。このように、車上装置11は、地上装置13から軌道回路14に伝送される許容速度情報と許容区間長情報とを受信して、続行列車12の走行状態を制御する。
【0033】したがって、続行列車12の車上装置11が、軌道回路14から許容速度情報と許容区間長情報を受信し、続行列車12の走行状態を制御することができるので、高密度運転を行って列車同士の運行間隔が狭くなる際等、従来までのように軌道回路14を細分化する必要がなくなる。よって、この軌道回路14の細分化に比例して増大する、地上装置13の設置数と現場から集中機器室まで引かれる外線ケーブル数とを削減できるので、地上装置13と外線ケーブル等の設置費用やこれらの消費電力を減らして、運営費等を削減することが可能となる。更に、駅の機器設置スペースの確保が容易になり、機器の集中化を抑え、機器室の間隔を縮小することができるので、機器室付近のケーブルの過度集中を防ぎ、ケーブル収容を容易にすると共に工事量を削減することが可能となる。
【0034】なお、本発明は、上記実施の形態の内容に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本発明の自動列車制御装置を適用した実施の形態における自動列車制御システム100において、駅付近の軌道回路14を図3に示すように分割したが、軌道回路の分割は、軌道回路の湾曲状況や通過する列車の本数等を考慮して、最適に設定されればよい。
【0035】
【発明の効果】請求項1あるいは3記載のいずれかの発明によれば、列車の車上装置が、軌道回路から許容速度情報と許容区間長情報を受信し、列車の走行状態を制御することができるので、高密度運転を行って列車同士の運行間隔が狭くなる際等、従来までのように軌道回路を細分化する必要がなくなる。よって、この軌道回路の細分化に比例して増大する、地上装置の設置数と現場から集中機器室まで引かれる外線ケーブル数とを削減できるので、地上装置と外線ケーブル等の設置費用やこれらの消費電力を減らして、運営費等を削減することが可能となる。更に、駅の機器設置スペースの確保が容易になり、機器の集中化を抑え、機器室の間隔を縮小することができるので、機器室付近のケーブルの過度集中を防ぎ、ケーブル収容を容易にすると共に工事量を削減することが可能となる。
【0036】請求項2記載の発明によれば、列車の実際の走行速度が許容速度を超過している場合、あるいは、実際の走行距離が許容区間長を超過し、この際の走行速度が許容速度を超過している場合、ブレーキ等により、走行速度が許容速度以下に抑えられる。よって、列車間隔をより安全に詰めることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
【出願日】 平成12年5月1日(2000.5.1)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司 (外1名)
【公開番号】 特開2001−314005(P2001−314005A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−132537(P2000−132537)