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【発明の名称】 ハイブリッド車両
【発明者】 【氏名】天野 雅彦

【氏名】正木 良三

【氏名】諸岡 泰男

【要約】 【課題】予定走行経路上の混雑状況を考慮した最適なバッテリの充放電スケジュールを作成し、総合的な燃費の向上を図る。

【解決手段】充電率目標値作成手段9が、ナビゲーション装置8に設定された予定走行経路と、交通情報入力手段7が交通センタ10から入手した経路上の混雑情報とを考慮して予測走行パターンを作成し、総合的な燃料消費量を最小化するようなバッテリの充放電スケジュールを作成する。駆動力制御装置6は、充電率目標値作成手段9から出力される充電率目標値と現在の充電率との差を求め、その差が小さくなるようにエンジン1とモータ2の動力配分を決定し、エンジン1,モータ2、及び変速機3に対して指令を出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジン,モータ、及びバッテリとを備えたハイブリッド車両であって、道路の混雑状況に関する情報を入力する交通情報入力手段,ナビゲーション装置、前記エンジンと前記モータへ指令を与える駆動力制御装置、及び前記バッテリの充電率目標値を設定する充電率目標値設定手段とを備え、前記充電率目標値設定手段は、前記ナビゲーション装置に設定された予定走行経路と前記交通情報入力手段により入力された交通情報とをもとに予測走行パターンを作成し、作成した予測走行パターンに基づいて前記バッテリの充電率目標値を設定する機能を有し、前記駆動力制御装置は、前記充電率目標値設定手段が設定した充電率目標値と前記バッテリの充電率検出値に基づいて、前記エンジンへの駆動指令及び前記モータへの駆動指令または発電指令を与えるハイブリッド車両。
【請求項2】請求項1記載のハイブリッド車両において、前記道路の混雑状況に関する情報は、車両速度に関する情報を含むハイブリッド車両。
【請求項3】請求項1記載のハイブリッド車両において、前記道路の混雑状況に関する情報は、将来時点の混雑状況の予測を含むハイブリッド車両。
【請求項4】請求項1記載のハイブリッド車両において、前記充電率目標値設定手段が前記バッテリの充電率目標値を設定する際に、前記エンジン,前記モータ、及び前記バッテリのそれぞれの効率特性を考慮し、予測走行パターンに対する燃料消費量が少なくなるように前記エンジンと前記モータの動力配分を決定し、決定した動力配分に基づいて充電率目標値を作成するハイブリッド車両。
【請求項5】請求項1記載のハイブリッド車両において、前記充電率目標値設定手段が前記バッテリの充電率目標値を設定する際に、前記バッテリの充電率の変化状況を考慮するハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジンとモータとを備えたハイブリッド車両に係り、特に走行パターンの予測に基づいてバッテリの充放電スケジュールを作成し、燃費の向上を図るのに好適なハイブリッド車両に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの低燃費化を図る駆動システムとして、モータの駆動力を利用するハイブリッド車両があり、シリーズ方式,パラレル方式など各種の方式が提案されている。このうちエンジンとモータの両方で車両の駆動が可能なパラレル方式のハイブリッド車の場合、総合的な燃料消費量が少なくなるように、走行状態とエンジン効率とを考慮してエンジンとモータの駆動力配分を決定する。例えば、高速走行時や加速時などエンジン効率が良い高負荷時にはエンジンを中心に走行し、低速走行時などエンジン効率が悪い低負荷時にはモータを中心に走行する。
【0003】また、ナビゲーションシステムなどによりこれから先の走行経路があらかじめわかっている場合、予測経路に応じてバッテリの充電率を制御する方法が考えられる。例えば市街地走行のためモータでの走行が増えることが予測される場合には、市街地に入る前にあらかじめエンジン出力を増加してバッテリの充電率を高めておくことが有効である。長い下り坂が予測されるような場合には、回生電力を蓄えるためにあらかじめバッテリの充電率を低くしておくと良い。
【0004】このように予定走行経路に基づいて走行パターンを予測してバッテリの充電率目標値をスケジューリングし、設定した目標値になるようにエンジンやモータを制御する方法が、いくつか提案されている。特開平8−126116号公報には、予定走行経路の標高情報や減速地点情報を用いてバッテリ充電率の目標値を定める方法が記載されている。特開平9−164506号公報には、走行経路から走行パターンを設定し、経路上の各地点におけるバッテリ残量の中間値を設定する方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにナビゲーションに設定された走行経路情報を用いれば、地図情報と組み合わせて標高や交差点などの情報を得ることができる。しかし、実際の道路の混雑状況については、ナビゲーションだけでは知ることができない。例えば市街地といっても渋滞の程度によってモータ走行に必要なエネルギー量が変わるため、混雑状況がわからないと最適なバッテリのスケジューリングはできない。また、経路上の各地点での車速に関する情報がないと、精度の高い走行パターンを作成することができない。したがって、ナビゲーションの走行経路情報だけでは最適なスケジューリングが行えず、燃費向上の効果を十分に上げることができないという問題がある。
【0006】本発明の目的は、予定走行経路上の混雑状況や車速情報も考慮した最適なバッテリの充放電制御を行うことにより燃費の向上を図ることができるハイブリッド車両を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、エンジン,モータ,バッテリを備えたハイブリッド車両であって、道路の混雑状況に関する情報を入力する交通情報入力手段,ナビゲーション装置,エンジンとモータへ指令を与える駆動力制御装置、及びバッテリの充電率目標値を設定する充電率目標値設定手段とを備え、充電率目標値設定手段は、ナビゲーション装置に設定された予定走行経路と交通情報入力手段により入力された交通情報とをもとに予測走行パターンを作成し、作成した予測走行パターンに基づいてバッテリの充電率目標値を設定し、駆動力制御装置は、設定された充電率目標値とバッテリの充電率検出値に基づいて、エンジンへの駆動指令及びモータへの発電または駆動指令を与えるハイブリット車両である。
【0008】本発明の好ましくは、道路の混雑状況に関する情報に車両速度の情報を含むようにすることである。また、現在の情報だけでなく将来時点の混雑状況の予測も含むようにすることである。
【0009】また本発明の好ましくは、バッテリの充電率目標値を設定する際に、エンジン,モータ,バッテリの効率特性を考慮し、予測走行パターンに対する燃料消費量が少なくなるようにエンジンとモータの動力配分を決定し、決定した動力配分に基づいて充電率目標値を作成することである。また、バッテリ充電率の変化状況も考慮することである。
【0010】上記により、予定走行経路上の道路の混雑状況や車速の情報から精度の高い予測走行パターンが作成され、予測走行パターンに対して種々の効率を考慮した最適なバッテリ充放電スケジュールが作成できるため、ハイブリッド車両の総合的な燃費を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】図1は本発明を適用したハイブリッド車両とその制御装置の構成図を示したものである。
【0013】車両の駆動源としてエンジン1とモータ2を備えており、それぞれ変速機3に接続されている。変速機3としては、マニュアル変速機やオートマティック変速機,機械式無段変速機(CVT)、あるいはハイブリッド車特有の電気式無段変速機などいろいろな方式があるが、エンジン1とモータ2の両方で駆動が可能なパラレル方式のハイブリッド車であれば、どのような変速方式であっても本発明は適用可能である。モータ2はインバータ4を介してバッテリ5に接続されており、インバータ4のスイッチング制御によってモータ2の駆動力あるいは発電電力が制御される。モータ2が駆動の場合にはバッテリ5は放電、発電の場合には充電となる。
【0014】駆動力制御装置6は、アクセル,ブレーキ,シフト位置など運転者の意図と車速の情報に基づいて必要な駆動力を算出し、エンジン1の効率特性やバッテリ5の充電率を考慮しながら運転モードを決定して、エンジン1,モータ2,変速機3に対して指令を与える。運転モードとしては、エンジン走行,モータ走行,アシスト走行(エンジン+モータ),充電走行(エンジン走行+発電),回生制動などがある。エンジン1に対しては、スロットル開度を指令してエンジン出力を制御する。変速機3に対しては、エンジンの動作点(回転数,トルク)が最良になるように変速比指令を出す。モータ2に対しては駆動力または発電電力の指令を与える。その際、充電率目標値作成手段9から出力された充電率目標値と現在の充電率検出値との差を求め、その差が小さくなるようにエンジンとモータの出力を決定する。
【0015】充電率目標値作成手段9は、交通情報入力手段7により入力された交通情報、及びナビゲーション装置8に設定された走行経路情報をもとに充放電スケジュールを作成し、作成したスケジュールに基づいて充電率目標値を駆動力制御装置6に出力する。
【0016】以下、充電率目標値の作成方法を図2に示す概略フローに従って説明する。
【0017】まず初めに車速パターンを作成する(ステップ101)。車速パターンとは、図4(a)に示すように横軸に今後の予定走行経路上の距離、縦軸にその地点での予測車速を示すグラフである。ナビゲーション装置8に予定走行経路が設定されているとすれば、現在位置を距離ゼロとして今後何km先にどの地点を通るかがわかる。そのときの走行車速が予測できれば、車速パターンが作成できる。
【0018】最も簡単な方法としては、道路の種別(高速道路,幹線国道,県道,市街地など)に応じてあらかじめ平均車速を決めておくという方法がある。しかしそれでは道路の混雑状況が反映できず、必ずしも実態と合わない。そこで、交通情報入力手段7が交通センタ10と通信を行って必要な情報を入手し、その情報を用いて車速の予測精度を向上させる。たとえば交通情報として渋滞情報が入手できるとすれば、どの地点で何kmの渋滞が発生しているかがわかるので、その区間の車速を例えば15km/hというように設定する。
【0019】さらに将来的には、交通センタ10において、道路上に設置された感知器の情報や走行中の自動車から送信される情報を用いて、個々の道路区間での平均車速を算定することも可能になると考えられる。そのような予定走行経路上の個々の車速情報を、交通情報入力手段7が交通センタ10と通信して入手するようにすれば、より正確な車速パターンを作成することができる。
【0020】また、現在の各地点の車速ではなく、実際にその地点を通る将来時点での車速が予測できれば、さらに予測の精度を上げることができる。その場合、交通情報入力手段7は、どの時刻にどの地点を通るかをナビゲーション装置8の経路情報とその地点までの予測車速とをもとに算出し、交通センタ10に対してその時刻その地点での予想車速情報を要求するようにする。
【0021】以上のように、ナビゲーション装置8の走行経路情報と、交通センタ10から入手した交通情報とを加味することにより予想走行経路上の車速パターンを精度良く作成することができる。なお、車速の情報だけでなく、交差点の数や停止確率を考慮して、交差点で停止するパターンを織り込むようにすると、さらに精度の良い車速パターンが作成できる。
【0022】次に、標高パターンを作成する(ステップ102)。標高パターンとは、図4(b)に示すように、横軸を距離、縦軸を標高としたグラフである。これは、ナビゲーション装置8に設定された予定走行経路とナビゲーション装置8が持つ地図情報とを照らし合わせることにより作成可能である。
【0023】次は制駆動力パターンの作成を行う(ステップ103)。制駆動力パターンとは、図4(c)に示すように、横軸に時間、縦軸に駆動力(正)または制動力(負)を表すグラフである。以下、その作成方法を説明する。
【0024】まず、先に作成した車速パターンと標高パターンについて、横軸を距離から時間に変換する。車速パターンから距離と車速の関係がわかるので、距離を車速で割ることにより時間を求めれば、横軸を時間に変換することができる。
【0025】次に、車速と標高から走行に必要な駆動力または制動力を次式により求める。まず、車両の駆動トルクτvについて、次式が成り立つ。
【0026】
τv=τr+τg+τs …(1)
ここで、τrは平地走行トルク、τgは加速抵抗トルク、τsは路面勾配トルクである。このうち、平地走行トルクτrは次式により車速Vから計算することができる。
【0027】
τr=(μr・W+ka・V・V)・Rt …(2)
ただし、μrは転がり摩擦係数、Wは車重、kaは空気抵抗係数、Rtはタイヤの動半径である。加速抵抗トルクτgは、次式で表される。
【0028】
τg=(W・α・Rt)/g …(3)
ただし、αは車両の加速度、gは重力加速度である。加速度αは車速Vの変化率から求める。路面勾配トルクは次式となる。
【0029】
τs=W・g・sinθ・Rt …(4)
ただしθは路面の勾配であり、標高の変化率から算出することができる。
【0030】したがって、車速パターンと標高パターンがわかれば、駆動トルクτvが算出できる。駆動トルクに車軸の回転速度を乗じたものが駆動力(負ならば制動力)となる。車軸の回転速度は車速とタイヤの動半径から算出する。なお、転がり摩擦係数,車重,空気抵抗係数,タイヤの動半径の4つのパラメータについては、あらかじめ値を設定しておくものとする。このうち車重と転がり摩擦係数については状況によって値が変化する可能性があるが、もし何らかの方法で実際の駆動トルクが計測できれば、上記数式(1)から数式(4)の関係を用いてこれらのパラメータを逆算することも可能である。
【0031】次に、制駆動力パターンに対応した動力配分を作成する(ステップ104)。動力配分とは図4(d)に示すように、必要な制駆動力を満たすエンジン1とモータ2の出力配分を定めたもので、対象とする予定走行経路全体での燃料消費量が最小になるように配分を作成する。以下、配分方法の一例について、図3の概略手順に従って説明する。
【0032】まず、予定走行経路全体を細かな区間(例えば2秒間隔)に分割する(ステップ111)。計算を簡単にするため、分割した区間内では速度や制駆動力は一定と仮定する。変化している場合には、例えば区間内の中間点の値で代表させる。以下、各区間単位にエンジンとモータの動力配分を決定していく。
【0033】はじめに制動区間と停止区間を除く全ての駆動区間をエンジンのみで走行すると仮定し、駆動力と車速に対応したエンジン出力と動作点(回転数,トルク)、及び変速比を決定する(ステップ112)。
【0034】次に、制動区間についてモータによる回生制動を行う(ステップ113)。回生制動だけでは制動力が不足する場合は、機械ブレーキを併用するものとする。回生電力に対してモータの発電効率と電池の充電効率を考慮し、回生によって電池に充電される電力量を算出する。
【0035】次に、回生により充電された電力をモータ走行またはアシスト走行に割り付ける(ステップ114)。モータ走行の場合エンジン出力はゼロ、アシスト走行の場合はモータ出力の分だけエンジン出力を減少させる。その際、燃料減少率を考慮して最も燃料減少率が大きい区間から順に割り付けていく。燃料減少率とは、ある電気エネルギーを用いてモータ走行やアシスト走行を行うことによりどれだけ燃料消費が減らせるかを示す指標である。あらかじめエンジン効率やモータ効率、バッテリの放電効率を考慮して各運転点(車速,駆動力)における燃料減少率を計算し、データを格納しておくものとする。なお、モータ単独の走行ができないハイブリッド車両の場合には、アシスト走行だけを割り付けていくようにする。
【0036】回生充電電力を全てモータ走行またはアシスト走行に割り付けたら、さらにある一定電力量(たとえば50Wh)を使ってモータ走行またはアシスト走行を行うよう設定する(ステップ115)。ステップ114と同様に燃料減少率が大きいエンジン走行区間から順に割り付けていく。
【0037】次に、ステップ115のモータ走行またはアシスト走行で使用した電気エネルギーを充電走行によって充電し、電池の充電率が最終的にもとの値に戻るように設定する(ステップ116)。充電走行とは、エンジン走行中にエンジン出力を増加させてバッテリを充電する走行モードである。充電走行については燃料増加率を考慮し、燃料増加率の小さい区間から順に割り付けていく。燃料増加率とは、エンジン出力を増加させて電気エネルギーを充電するのに、どれだけの燃料を増加させる必要があるかを示す指標である。この値が小さいほど、少ない燃料増加で充電できることになる。この燃料増加率についても燃料減少率と同様に、あらかじめエンジン効率,モータ効率,バッテリの充電効率を考慮し、各運転点での値を計算して、データを格納しておく。
【0038】ここで、ステップ115における燃料減少率とステップ116における燃料増加率を比較する(ステップ117)。燃料減少率の方が燃料増加率よりも大きい場合、ステップ115とステップ116の割り付けによって燃料消費量が減少する。この場合は、再度ステップ115に進んで更にモータ走行と充電走行の割り付けを進めていく。逆に燃料減少率の方が小さい場合は、燃料消費量が増えることになるので、直前に行ったステップ115とステップ116の割り付けを元に戻し、動力配分の処理を終了する。
【0039】以上述べた手順により、総合的な燃料消費量が少なくなるようなエンジンとモータの動力配分を定めることができる。例えば、渋滞区間が予想されるような場合、渋滞での低速走行は一般にエンジン効率が悪く、モータ走行による燃料減少率が大きいため、この区間を優先的にモータ走行するような動力配分が作成される。モータ走行に要する電気エネルギーは渋滞区間前に充電走行を行うことにより充電される。このように、交通情報を活用してトータルの燃料消費量を削減するような動力配分パターンが作成できる。
【0040】また上記の方法では、燃料減少率と燃料増加率という指標を用いて配分したため、複雑な最適化アルゴリズムを用いずに動力配分を定めることができるという利点がある。
【0041】次に、動力配分結果をもとにバッテリの充放電パターンを算出する(ステップ105)。充放電パターンとは図4(e)に示すように、横軸に時間をとり、縦軸にバッテリ充電率を示したものである。現在の充電率から出発して、回生制動,モータ走行,アシスト走行、及び充電走行によってバッテリに充放電される電力量を算出し、充電率の変化を計算することにより求められる。
【0042】なお、バッテリ5にはインバータ4だけでなく、低圧バッテリに電力供給するためのDC/DCコンバータや電力負荷などが接続されている場合がある。その場合、モータ2の駆動電力が仮にゼロでもバッテリ5の充電率は低下していく。そこで、現在までのバッテリ充電率の変化状況から、インバータ以外の電力負荷の大きさを推定し、それによる今後のバッテリ充電率の変化を予測して上記の充放電パターンに修正を加えるようにする。
【0043】計算した充放電パターンに対して、ステップ106では充電率の上下限値を越えていないかどうかをチェックする。充電率の上下限値は、電池の特性や温度などに応じて例えば上限80%,下限20%というように定められている。充放電パターンの中でその値を越える区間がないかどうかを調べる。越えていなければ充放電スケジュールの作成は終了である。
【0044】上下限値を越える区間がある場合はステップ107に進み、充放電パターンを修正する。例えば上限を越える区間がある場合、その前の時点で充電を減らしておく必要がある。充電走行の区間があれば、それを通常のエンジン走行に切り替え、充電量を減らす。その際、燃料増加率の大きい区間から順にエンジン走行に切り替えるようにすると、燃料消費量がより低減できる。充電走行を全てエンジン走行に切り替えても上限を越える場合には、エンジン走行区間をモータ走行やアシスト走行に切り替えて充電率を下げるようにする。その際、燃料減少率が大きい区間から順に割り付けると有利である。逆に下限を越える区間がある場合には、モータ走行やアシスト走行の区間を通常のエンジン走行に切り替えて放電量を減らす。その場合は、燃料減少率の小さい区間から順に切り替えるようにする。全ての走行区間で充電率が上下限値内に入るまでステップ106,107の手順を繰り返す。
【0045】上記の方法により、バッテリの充電率が上下限内に収まるような充放電スケジュールが作成できる。例えば、長い下り坂があって回生充電が長く続き、充電率の上限値を越えてしまうような場合にも、事前にモータ走行などを行って充電率を下げておくようなスケジュールが作成でき、回生エネルギーを有効に利用することができる。
【0046】作成した充放電スケジュールは、横軸を時間から距離に変換して記憶しておく。変換は、ステップ103で距離を時間に変換したのと逆の手順で行えばよい。充放電スケジュールに示された各地点での充電率の値が充電率目標値となるので、ナビゲーション装置8に示される現在位置と照らし合わせ、対応する充電率目標値を駆動力制御装置6に出力していく。
【0047】駆動力制御装置6では、出力された充電率目標値と現在の充電率検出値との差を求め、差が小さくなるようにエンジンやモータの出力を決定する。たとえば、充電率目標値が現在の充電率よりも大きい場合には、充電走行を行って充電率を高める。逆に目標値の方が低い場合にはモータ走行、あるいはアシスト走行を行う。これにより、作成した充放電スケジュールに合わせてバッテリの充電率が制御され、燃料消費量の少ない走行が実現できる。
【0048】ただし、図2の手順で求めた予想走行パターンと実際に運転者から指令される走行パターンとは必ずしも一致しないことに注意を要する。車両としてはあくまでも運転者の指示通りの制駆動力を出すことが最優先であり、充放電スケジュールへの追従は制駆動力が満足できる範囲内で行うようにする。
【0049】なお、充放電スケジュールを作成する際、どの距離までを対象区間とするかについては、例えば20km先までというようにあらかじめ決めておくものとする。長い距離を対象区間とすればそれだけ先を見たスケジュールが作成できるが、遠くなると予測の精度が低下するし、また処理時間も要するので適度な距離を定めておくようにする。
【0050】また、走行が進むにつれて作成したスケジュールとのずれが生じる可能性があるので、一定時間ごとに一連の処理を繰り返してスケジュールを更新していくようにする。
【0051】以上述べたように、本発明を用いると、予定走行経路上の実際の混雑状況を考慮したバッテリの充放電スケジュールが容易に作成できるため、総合的な燃料消費量が削減でき、燃費が向上するという効果がある。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、ハイブリッド車両において予定走行経路上の混雑状況や車速情報を考慮した総合的な燃料消費量を低減するバッテリ充放電制御を行うことができ、燃費の向上が図れるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2001−314004(P2001−314004A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−134190(P2000−134190)