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【発明の名称】 鉄道車両用ブレーキ制御装置
【発明者】 【氏名】前田 渉

【要約】 【課題】ある車両の電気ブレーキに故障が発生した場合でも、その時点で保有する他の車両の電気ブレーキ力を有効に活用する鉄道車両用ブレーキ制御装置を提供する。

【解決手段】一の動力車の電気ブレーキに故障が発生したとき、この動力車を付随車とみなし、他の健全な動力車の電気ブレーキを優先してブレーキ制御を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも2両の動力車を含む単位組成に対するブレーキ制御を行う鉄道車両用ブレーキ制御装置において、一の動力車の電気ブレーキに故障が発生したとき、この動力車を付随車とみなし、他の健全な動力車の電気ブレーキを優先したブレーキ制御を行う制御部を備えたことを特徴とする鉄道車両用ブレーキ制御装置。
【請求項2】前記制御部は、動力車より付随車を優先した空気ブレーキの遅れ込め制御を行う請求項1記載の鉄道車両用ブレーキ制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両用ブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、特公昭58−2521号公報に記載された従来の鉄道車両用ブレーキ制御装置によれば、2両の動力車を含む単位組成ごとにブレーキシステムが構成されており、通常は、電気ブレーキと空気ブレーキとを併用して列車全体で必要なブレーキ力がまかなわれる。ある動力車の電気ブレーキが故障した場合には、その電気ブレーキが負担するはずであったブレーキ力を、各車両の空気ブレーキ装置が均等に分担する。また、特開昭60−98801号公報に記載された従来の鉄道車両用ブレーキ制御装置によれば、通常は、2両の動力車の電気ブレーキにより、付随車の必要ブレーキ力もまかなわれる。そして、ある動力車の電気ブレーキが故障した場合には、その電気ブレーキが負担するはずであったブレーキ力を、当該動力車の空気ブレーキ装置及びその付随車の空気ブレーキ装置が、それぞれ応分に負担する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の鉄道車両用ブレーキ制御装置では、ある動力車の電気ブレーキに故障が発生すると、空気ブレーキが即座にこれを補うように動作するため、他の健全な動力車の電気ブレーキ力に余裕があっても、これを活用することができなかった。
【0004】上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、ある車両の電気ブレーキに故障が発生した場合でも、その時点で保有する他の車両の電気ブレーキ力を有効に活用する鉄道車両用ブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも2両の動力車を含む単位組成に対するブレーキ制御を行う鉄道車両用ブレーキ制御装置において、一の動力車の電気ブレーキに故障が発生したとき、この動力車を付随車とみなし、他の健全な動力車の電気ブレーキを優先したブレーキ制御を行う制御部を備えたことを特徴とする(請求項1)。上記のように構成された鉄道車両用ブレーキ制御装置において、制御部は、一の動力車の電気ブレーキに故障が発生したとき、この動力車を付随車とみなし、他の健全な動力車の電気ブレーキを優先したブレーキ制御を行う。従って、故障が発生した動力車が最初から付随車であった単位組成の場合と同様なブレーキ制御が行われ、健全な動力車の電気ブレーキが活用される。
【0006】また、上記鉄道車両用ブレーキ制御装置において、制御部は、動力車より付随車を優先した空気ブレーキの遅れ込め制御を行うものであってもよい(請求項2)。この場合、健全な動力車においては、必要なブレーキ力に対して電気ブレーキでは足りない状態に至るまで、空気ブレーキが作用しない。これにより、低レベルの空制補足(空気ブレーキによる制動補足)段階では動力車において電気ブレーキと空気ブレーキとの併用が防止される。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施形態による鉄道車両用ブレーキ制御装置の構成を、列車の構成と共に示すブロック図である。図において、この列車は2両の動力車M1,M2と、2両の付随車T1,T2とにより編成されているものとする。また、これらの4両は、共通のブレーキ指令に基づいてブレーキ制御装置BCにより制御されるブレーキ制御上の1単位組成を成しているものとする。
【0008】先頭の付随車T1には、運転士のブレーキ操作に基づいてブレーキ指令を出力するブレーキ指令器1、車両の総重量(車体及び乗客の重量の総和)に応じた応荷重信号を出力する応荷重装置4、及び、空気圧で制輪子を動作させる空気ブレーキ装置9が搭載されている。2両目の動力車M1には、図示しない電動機の他、電動機に回生制動を行わせるための電気ブレーキ制御装置であるVVVF(可変電圧可変周波数)装置2、応荷重装置5、ブレーキ制御装置BCの中枢を成す制御部としてのブレーキ受量器8及び空気ブレーキ装置10が搭載されている。3両目の動力車M2には、図示しない電動機の他、VVVF装置3、応荷重装置6及び空気ブレーキ装置11が搭載されている。また、4両目の付随車T2には、応荷重装置7及び空気ブレーキ装置12が搭載されている。
【0009】上記ブレーキ受量器8には、ブレーキ指令器1からのブレーキ指令Br、及び、応荷重装置4,5,6,7からそれぞれ応荷重信号WT1,WM1,WM2,WT2が入力される。また、ブレーキ受量器8には、相互に接続されたVVVF装置2及び3から、回生ブレーキ力に相当する回生等価信号S1、VVVF装置2が故障の場合に出力される故障信号S2、VVVF装置3が故障の場合に出力される故障信号S3がそれぞれ入力される。また、ブレーキ受量器8からVVVF装置2及び3に、電気(回生)ブレーキの指令である電制指令信号Seが出力される。空気ブレーキ装置9〜12は、ブレーキ受量器8から空気ブレーキの指令である空制指令信号を受けて動作する。
【0010】次に、上記ブレーキ制御装置BCにおけるブレーキ受量器8の動作について図2のフローチャートを参照して説明する。ブレーキ指令器1からブレーキ指令Brが入力されると、ブレーキ受量器8は図2に示す動作を開始する。まず、ステップ101において、ブレーキ受量器8は、必要とするブレーキ力を演算する。ここで、各車M1,M2,T1,T2の必要ブレーキ力をそれぞれm1,m2,t1,t2とすると、m1=Br×WM1m2=Br×WM2t1=Br×WT1t2=Br×WT2である。これらの値に基づいてブレーキ受量器8は、列車全体の必要ブレーキ力(m1+m2+t1+t2)を演算する。
【0011】続いてブレーキ受量器8は、ステップ102において、動力車M1のVVVF装置2が故障しているか否かを故障信号S2の有無により判断する。判断結果がノーの場合、ブレーキ受量器8はステップ103に進み、動力車M2のVVVF装置3が故障しているか否かを故障信号S3の有無により判断する。ここで、判断結果がノーであれば、VVVF装置2及び3は共に正常である。このとき、ブレーキ受量器8はステップ104に進み、2M2T制御(詳細後述)を実行する。その後、ブレーキ受量器8はステップ105において、VVVF装置2及び3に対する電制指令Se及び所定の空制補足指令を出力し、当該フローチャートの動作を終える。
【0012】上記ステップ103において、判断結果がイエスであれば、VVVF装置2が正常で、VVVF装置3が故障である。このとき、ブレーキ受量器8はステップ106に進み、動力車M2を付随車(T車)とみなした1M3T制御(詳細後述)を実行する。その後、ブレーキ受量器8はステップ107において、VVVF装置2に対する電制指令Se及び所定の空制補足指令を出力し、当該フローチャートの動作を終える。
【0013】また、上記ステップ102において、判断結果がイエスである場合には、ブレーキ受量器8はステップ108の進み、動力車M2のVVVF装置3が故障しているか否かを故障信号S3の有無により判断する。判断結果がノーであれば、VVVF装置2が故障で、VVVF装置3が正常である。このとき、ブレーキ受量器8はステップ109に進み、動力車M1を付随車(T車)とみなした1M3T制御(詳細後述)を実行する。その後、ブレーキ受量器8はステップ110において、VVVF装置3に対する電制指令Se及び所定の空制補足指令を出力し、当該フローチャートの動作を終える。
【0014】また、上記ステップ108において、判断結果がイエスであれば、VVVF装置2も3も故障である。このとき、ブレーキ受量器8はステップ111に進み、回生解放すなわち、回生制動を解放する制御(詳細後述)を実行する。その後、ブレーキ受量器8はステップ112において所定の空制指令を出力し(電制指令Seは出力しない。)、当該フローチャートの動作を終える。
【0015】上記2M2T制御とは、動力車(M車)2両及び、付随車(T車)2両による単位組成に対する制御を意味する。具体的には、回生等価信号S1に相当する回生ブレーキ力をF、動力車M1,M2,付随車T1,T2のそれぞれにおける空気ブレーキによる制動補足量(以下、空制補足量という。)をFM1,FM2,FT1,FT2とすると、F≧(m1+m2+t1+t2)のとき、M1=FM2=FT1=FT2=0 ...(1)
である。すなわち、列車全体の必要ブレーキ力(m1+m2+t1+t2)を回生ブレーキ力Fのみでまかなえるときは、空気ブレーキが使用されない。
【0016】次に、(m1+m2+t1+t2)>F≧m1+m2のとき、M1=FM2=0 ...(2)
T1=〔(t1+t2)−{F−(m1+m2)}〕×t1/(t1+t2)
...(3)
T2=〔(t1+t2)−{F−(m1+m2)}〕×t2/(t1+t2)
...(4)
である。すなわち、列車全体の必要ブレーキ力(m1+m2+t1+t2)に対して回生ブレーキ力Fのみでは不足するが、M車に関しては回生ブレーキ力Fのみで足りるという状態である場合、M車の空気ブレーキは使用されず、T車の空気ブレーキが、不足ブレーキ力に応じて優先的に使用される。なお、この場合の空制補足量の合計は、M1+FM2+FT1+FT2=m1+m2+t1+t2−F ...
(5)
であり、これは、列車全体の必要ブレーキ力から回生ブレーキ力Fを引いたものである。
【0017】一方、F<m1+m2のとき、M1={(m1+m2)−F}×m1/(m1+m2) ...(6)
M2={(m1+m2)−F}×m2/(m1+m2) ...(7)
T1=t1 ...(8)
T2=t2 ...(9)
となる。すなわち、回生ブレーキ力Fが(m1+m2)の値に対しても不足すると、その不足ブレーキ力に応じてM車の空気ブレーキが使用される。また、T車の空制補足量は一定値となる。なお、この場合の空制補足量の合計を表す式は、上記(5)式と同じである。
【0018】上記(1)〜(4)式及び(6)〜(9)式に基づいて空制補足量が演算されることにより、不足ブレーキ力に対する空制補足量は、図3のグラフに示すようになる。すなわち、低レベルの空制補足段階ではT車の空制補足量が優先的に立ち上がり、F=m1+m2となるときからM車の空制補足量が立ち上がるとともにT車の空制補足量は一定値となる。これは、いわゆるT車優先遅れ込め制御(M車よりT車を優先した空気ブレーキの遅れ込め制御)である。これにより、合計の空制補足量は、図の一点鎖線で示すように不足ブレーキ量に応じて直線的に増加する。
【0019】次に、上記1M3T制御について説明する。1M3T制御とは、M車1両及びT車3両による単位組成に対する制御を意味する。実際には、前述のようにM車2両とT車2両とが接続されているが、ステップ106において、故障が発生した動力車M2はT車であるとみなされ、以下の制御が行われる。まず、F≧(m1+m2+t1+t2)のとき、M1=FM2=FT1=FT2=0 ...(10)
である。すなわち、列車全体の必要ブレーキ力(m1+m2+t1+t2)を、健全な動力車M1の回生ブレーキ力Fのみでまかなえるときは、空気ブレーキが使用されない。
【0020】次に、(m1+m2+t1+t2)>F≧m1のとき、M1=0 ...(11)
M2={(m2+t1+t2)−(F−m1)}×m2/(m2+t1+t2) ...(12)
T1={(m2+t1+t2)−(F−m1)}×t1/(m2+t1+t2) ...(13)
T2={(m2+t1+t2)−(F−m1)}×t2/(m2+t1+t2) ...(14)
である。すなわち、列車全体の必要ブレーキ力(m1+m2+t1+t2)に対して回生ブレーキ力Fのみでは不足するが、動力車M1に関しては回生ブレーキ力Fのみで足りるという状態である場合、回生ブレーキ力Fが優先して使用され、動力車M1の空気ブレーキは使用されない。また、T車及びT車とみなされた動力車M2の空気ブレーキが、不足ブレーキ力に応じて優先的に使用される。なお、この場合の空制補足量の合計を表す式は、上記(5)式と同じである。
【0021】一方、F<m1のとき、FM1=m1−F ...(15)
M2=m2 ...(16)
T1=t1 ...(17)
T2=t2 ...(18)
となる。すなわち、回生ブレーキ力Fがm1の値に対しても不足すると、その不足ブレーキ力に応じて動力車M1の空気ブレーキが使用される。また、T車及びT車とみなされた動力車M2の空制補足量は一定値となる。なお、この場合の空制補足量の合計を表す式は、上記(5)式と同じである。
【0022】このようにして、あたかも最初から1M3Tの単位組成であったかのように、上記(10)〜(18)式に基づいて空制補足量が演算されることにより、2M2T制御の場合と同様に、T車優先遅れ込め制御が行われる。従って、健全な動力車M1の回生ブレーキ力Fは、動力車M2の故障発生後も有効に活用される。また、遅れ込め制御により、健全な動力車M1の空気ブレーキは、m1の値が回生ブレーキ力Fより大きくなるまで作用しない。これにより、低レベルの空制補足段階では、動力車M1において電気ブレーキと空気ブレーキとの併用が防止される。従って、ブレーキを併用することにより過大なブレーキ力が生じて車輪が滑走する、という事態を抑止することができる。
【0023】一方、ステップ109の1M3T制御においては、故障が発生した動力車M1がT車であるとみなされ、以下の制御が行われる。まず、F≧(m1+m2+t1+t2)のとき、M1=FM2=FT1=FT2=0 ...(19)
である。すなわち、列車全体の必要ブレーキ力(m1+m2+t1+t2)を、健全な動力車M2の回生ブレーキ力Fのみでまかなえるときは、空気ブレーキが使用されない。
【0024】次に、(m1+m2+t1+t2)>F≧m2のとき、M2=0 ...(20)
M1={(m1+t1+t2)−(F−m2)}×m1/(m1+t1+t2) ...(21)
T1={(m1+t1+t2)−(F−m2)}×t1/(m1+t1+t2) ...(22)
T2={(m1+t1+t2)−(F−m2)}×t2/(m1+t1+t2) ...(23)
である。すなわち、列車全体の必要ブレーキ力(m1+m2+t1+t2)に対して回生ブレーキ力Fのみでは不足するが、動力車M2に関しては回生ブレーキ力Fのみで足りるという状態である場合、回生ブレーキ力Fが優先して使用され、動力車M2の空気ブレーキは使用されない。また、T車及びT車とみなされた動力車M1の空気ブレーキが、不足ブレーキ力に応じて優先的に使用される。なお、この場合の空制補足量の合計を表す式は、上記(5)式と同じである。
【0025】一方、F<m2のとき、FM2=m2−F ...(24)
M1=m1 ...(25)
T1=t1 ...(26)
T2=t2 ...(27)
となる。すなわち、回生ブレーキ力Fがm2の値に対しても不足すると、その不足ブレーキ力に応じて動力車M2の空気ブレーキが使用される。また、T車及びT車とみなされた動力車M1の空制補足量は一定値となる。なお、この場合の空制補足量の合計を表す式は、上記(5)式と同じである。
【0026】このようにして、ステップ106における1M3T制御と同様に、上記(19)〜(27)式に基づいて空制補足量が演算されることにより、T車優先遅れ込め制御が行われる。従って、健全な動力車M2の回生ブレーキ力Fは、動力車M1の故障発生後も有効に活用される。また、遅れ込め制御により、健全な動力車M2の空気ブレーキは、m2の値が回生ブレーキ力Fより大きくなるまで作用しない。これにより、低レベルの空制補足段階では動力車M2において電気ブレーキと空気ブレーキとの併用が防止される。従って、車輪の滑走を抑止することができる。
【0027】次に、上記回生解放の制御について説明する。M車が2両ともにVVVF装置2,3に故障を生じた場合、もはや回生制動は行えない。従って、空制補足量は、各車の必要ブレーキ力そのものとなり、FM1=m1 ...(28)
M2=m2 ...(29)
T1=t1 ...(30)
T2=t2 ...(31)
となる。
【0028】なお、上記実施形態では、2M2Tの単位組成について説明したが、単位組成はこれに限られるものではなく、少なくとも2両のM車を含む組成において同様の制御を行い得ることはいうまでもない。例えば、2M1Tの単位組成であれば、一の動力車に故障が発生すると、1M2Tのブレーキ制御が行われる。また、2Mの単位組成であれば、一の動力車に故障が発生すると、1M1Tのブレーキ制御が行われる。また、上記実施形態における電気ブレーキは、VVVF装置2及び3により電力回生を行って回生ブレーキ力Fを得る方式であるが、発電電力を抵抗で熱に変える発電ブレーキであっても抵抗器の損傷等により電気ブレーキが故障する場合が起こり得る。この場合には、抵抗器への電流の不通等を検出した信号をブレーキ受量器8に与えることにより、上記実施形態と同様に、1M3T制御等を行うことができる。
【0029】図4は、第2の実施形態による鉄道車両用ブレーキ制御装置の構成を、列車の構成と共に示すブロック図である。図1に示した第1の実施形態の構成と異なるのは、ブレーキ受量器8T1,8M1,8M2,8T2が各車両にそれぞれ設けられている点であり、ブレーキ指令器1からのブレーキ指令Brは、各ブレーキ受量器8T1,8M1,8M2,8T2に入力され、応荷重装置4,5,6,7からの応荷重信号WT1,WM1,WM2,WT2はそれぞれ各ブレーキ受量器8T1,8M1,8M2,8T2に入力される。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0030】図4の構成においては、各車両ごとの必要ブレーキ力t1,m1,m2,t2の算出は、それぞれのブレーキ受量器8T1,8M1,8M2,8T2により行われる。算出された必要ブレーキ力t1,m1,m2,t2は、動力車M1に搭載されているブレーキ受量器8M1に集約される。ブレーキ受量器8M1は、第1の実施形態におけるブレーキ受量器8と同様に、図2のステップ102〜112の動作を行う。但し、動力車M1の空気ブレーキ装置10に対しての空制補足指令はブレーキ受量器8M1から直接出力されるが、ブレーキ受量器8M1から見て他の車両への空制補足指令はブレーキ受量器8T1,8M2,8T2を介して、それぞれ空気ブレーキ装置9,11,12に出力される。
【0031】図5及び図6は、第3の実施形態による鉄道車両用ブレーキ制御装置の構成を、列車の構成と共に示すブロック図である。これらの図は便宜上2枚に分けているが、2枚で一つの構成を表しており、図5の右端の■〜■がそれぞれ図6の左端の■〜■に接続されている。この列車は、図5に示す2両の動力車M1,M2及び2両の付随車T1,T2並びに図6に示す2両の動力車M3,M4及び2両の付随車T3,T4により8両編成されている。また、図5に示す4両がブレーキ制御上の1単位組成を成しており、図6に示す4両はブレーキ制御上の他の1単位組成を成している。これらの全車両は、共通のブレーキ指令に基づいてブレーキ制御装置BCにより制御される。
【0032】図5における先頭の付随車T1には、ブレーキ指令器1、応荷重装置4、ブレーキ制御装置BCの中枢を成す制御部としての列車情報管理装置31、電空変換弁13、及び、空気ブレーキ装置9が搭載されている。なお、列車情報管理装置31は、ドアの制御や室内空調制御等も行っている。2両目の動力車M1には、図示しない電動機の他、VVVF装置2、応荷重装置5、電空変換弁14及び空気ブレーキ装置10が搭載されている。3両目の動力車M2には、図示しない電動機の他、VVVF装置3、応荷重装置6、電空変換弁15及び空気ブレーキ装置11が搭載されている。また、4両目の付随車T2には、応荷重装置7、電空変換弁16及び空気ブレーキ装置12が搭載されている。
【0033】図6において、5両目の付随車T3には、応荷重装置19、電空変換弁27及び空気ブレーキ装置23が搭載されている。6両目の動力車M3には、図示しない電動機の他、VVVF装置17、応荷重装置20、電空変換弁28及び空気ブレーキ装置24が搭載されている。7両目の動力車M2には、図示しない電動機の他、VVVF装置18、応荷重装置21、電空変換弁29及び空気ブレーキ装置25が搭載されている。また、最後尾の付随車T4には、応荷重装置22、電空変換弁30及び空気ブレーキ装置26が搭載されている。
【0034】上記列車情報管理装置31には、ブレーキ指令器1からのブレーキ指令Br、及び、応荷重装置4,5,6,7,19,20,21,22からそれぞれ応荷重信号WT1,WM1,WM2,WT2,WT3,WM3,WM4,WT4が入力される。また、列車情報管理装置31には、相互に接続されているVVVF装置2及び3から、回生ブレーキ力に相当する回生等価信号S11、VVVF装置2が故障の場合に出力される故障信号S21、VVVF装置3が故障の場合に出力される故障信号S31がそれぞれ入力される。また、列車情報管理装置31からVVVF装置2及び3に、電制指令信号Se1が出力される。
【0035】同様に、列車情報管理装置31には、相互に接続されているVVVF装置17及び18から、回生ブレーキ力に相当する回生等価信号S12、VVVF装置17が故障の場合に出力される故障信号S22、VVVF装置18が故障の場合に出力される故障信号S32がそれぞれ入力される。また、列車情報管理装置31からVVVF装置17及び18に、電制指令信号Se2が出力される。電空変換弁13〜16及び27〜30は、列車情報管理装置31から空制指令信号を電気信号で受けて、これを空気信号に変換する。空気ブレーキ装置9〜12及び23〜26は、それぞれ、電空変換弁13〜16及び27〜30から空気信号の指令を受けて動作する。
【0036】上記第3の実施形態においては、第1,第2の実施形態におけるブレーキ受量器の機能が、列車情報管理装置31と電空変換弁13〜16及び27〜30とによって達成される。すなわち、ブレーキ指令器1からブレーキ指令Brが入力されると、列車情報管理装置31は図2に示す動作を単位組成ごとに行う。従って、VVVF装置2又は3の故障の有無に応じて1〜4両目の車両について2M2T制御、1M3T制御又は回生解放が行われるとともに、VVVF装置17又は18の故障の有無に応じて5〜8両目の車両について2M2T制御、1M3T制御又は回生解放が行われる。
【0037】
【発明の効果】以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。請求項1の鉄道車両用ブレーキ制御装置によれば、一の動力車の電気ブレーキに故障が発生したとき、この動力車は付随車とみなされ、他の健全な動力車の電気ブレーキを優先したブレーキ制御が行われるので、一の動力車に故障が発生した後も、健全な動力車の電気ブレーキが有効に活用される。
【0038】請求項2の鉄道車両用ブレーキ制御装置によれば、健全な動力車において、必要なブレーキ力に対して電気ブレーキでは足りない状態に至るまで空気ブレーキが作用しない。従って、低レベルの空制補足段階では電気ブレーキと空気ブレーキとの併用が防止され、車輪の滑走を抑止することができる。
【出願人】 【識別番号】000004019
【氏名又は名称】株式会社ナブコ
【出願日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【代理人】 【識別番号】100092705
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆文
【公開番号】 特開2001−314001(P2001−314001A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−130233(P2000−130233)