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【発明の名称】 ハイブリッド車両の制御装置
【発明者】 【氏名】高岡 俊文

【氏名】鈴木 直人

【要約】 【課題】排気ブレーキ機能及び回生発電機能を有するハイブリッド車両において、排気ブレーキ機能及び回生発電機能をバランスよく動作させ、排気ブレーキを適切なタイミングで動作させつつ、回生エネルギの確保を効率よく行うことのできるハイブリッド車両の制御装置を提供する。

【解決手段】HVECU32は、各種センサにより運転者が要求するHV車両10の減速要求量を認識すると共に、バッテリECU26を介してHVバッテリ22の充電可能量を認識し、充電可能な場合には、排気バルブ12bを開状態にして、車輪側からの運動エネルギを効率よくモータ14Aに供給し回生動作を行うと共に、その回生発電による制動力を得る。また、十分に充電が行われており、充電が必要ない場合には、排気バルブ12bを閉状態にして、排気ブレーキ動作による制動力を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輪側からの駆動力により回生発電を行いバッテリに充電すると共に制動力を発生する発電機と、内燃機関の排気経路を制御して制動力を得る排気ブレーキと、を有するハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両の減速要求量を認識する減速量認識手段と、前記バッテリの充電可能量を認識する充電残量認識手段と、前記減速要求量と充電可能量に基づき、前記発電機による回生動作と排気ブレーキの制動動作との動作バランス制御を行うバランス制御手段と、を含むことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】 車輪側からの駆動力により回生発電を行いバッテリに充電すると共に制動力を発生する発電機と、内燃機関の排気経路を制御して制動力を得る排気ブレーキと、を有するハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両の減速要求量を認識する減速量認識手段と、前記減速要求量に対する前記発電機の回生発電状態がバッテリ受入可能状態になったか否かを判断する状態判断手段と、前記判断結果に基づき、前記発電機の回生動作と排気ブレーキの制動動作との動作バランス制御を行うバランス制御手段と、を含むことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載に装置において、前記バランス制御手段は、所定値以上の減速加速度を要求された場合、発電機の回生動作による制動と排気ブレーキによる制動とを併用し、回生発電を行いつつ、要求された制動力を得ることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車両の制御装置、特に、排気ブレーキ機能と回生発電機能を有するハイブリッド車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関(エンジン)を搭載する車両において、制動力を増大する手段の一つに排気ブレーキを用いたものがある。この排気ブレーキは、特にディーゼルエンジン搭載車で多用されている。前記排気ブレーキは、エンジンの排気管の途中に設けられたバルブを閉じ、排気ガスの流れを阻止することにより、エンジンの内部抵抗を増大させる。その結果、エンジンフリクションが増大して、いわゆる、エンジンブレーキ効果を増大させて車両を減速させている。このような排気ブレーキを用いたシステムが、例えば、特開平2−49936号公報等に開示されている。
【0003】また、近年では、環境保護及び燃費向上の効果が大きなハイブリット(HV)システムを搭載する車両(以下、HV車両という)の開発及び実用化が進んでいる。HVシステムは、内燃機関と電気モータ(通常、モータ・ジェネレーター;MG)のように2種類の動力源を組み合わせて使用するパワートレーンであり、走行状況に応じて、内燃機関と電気モータの使い分けを行うことにより、それぞれの特長を活かしつつ、不得意な部分を補うことができるため、滑らかでレスポンスのよい動力性能を得ることができる。このようなHV車両は、MGを電気モータとして駆動するためにバッテリを搭載している。そして、このバッテリは、減速時等にMGをジェネレータとして使用して回生発電を行うことにより充電している。
【0004】このようなエネルギ効率のよいHVシステムを排気ブレーキを有する車両、例えばディーゼルエンジン搭載車両にも適用することが考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、排気ブレーキを有する車両に単純にHVシステムを適用した場合、HVシステムにおいて、効率的な回生発電が行えない。つまり、排気ブレーキは、前述したように減速時に排気管中のバルブを閉じることによりエンジン内のフリクションを増大させ、エンジンブレーキ効果を増大させる。そのため、排気ブレーキを使用してしまうと、本来、減速時等にジェネレータに供給されるはずの運動エネルギまでも消費してしまう場合がある。その結果、回生発電量が減ってしまい、排気ブレーキの利用が効率的なエネルギ利用を阻害してしまうことになる。一方、減速時に排気ブレーキを使用せずに、車輪側の有する運動エネルギを必要以上ロスすることなく、ジェネレータ側に供給し、回生発電を行いつつ、回生発電により発生する制動力を得ることもできるが、大きな制動力(減速力)が要求された場合、極端に大きな電流が回生され、その電流がバッテリに流れ込む結果になる。これはバッテリにおける適正温度以上の大きな発熱に繋がりバッテリ性能を低下させてしまう可能性がある。また、回生発電は、充電するバッテリに充電余裕がある時のみ可能であり、十分な充電が完了している場合には、回生発電による制動力を得ることができないという問題もある。また、回生発電により得ることのできる制動力には限界があるので、十分な回生発電を行いつつ、適切なタイミングでの排気ブレーキを併用し十分な制動力を得る必要がある。つまり、回生システムと排気ブレーキシステムをバランスよく制御し、両者を有効利用したいという要望がある。
【0006】本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、排気ブレーキ機能及び回生発電機能を有するハイブリッド車両において、排気ブレーキ機能及び回生発電機能をバランスよく動作させ、回生エネルギの確保を効率よく行いつつ、排気ブレーキを適切なタイミングで動作させ、当該排気ブレーキによる十分な制動力を得ることのできるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、本発明は、車輪側からの駆動力により回生発電を行いバッテリに充電すると共に制動力を発生する発電機と、内燃機関の排気経路を制御して制動力を得る排気ブレーキと、を有するハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両の減速要求量を認識する減速量認識手段と、前記バッテリの充電可能量を認識する充電残量認識手段と、前記減速要求量と充電可能量に基づき、前記発電機による回生動作と排気ブレーキの制動動作との動作バランス制御を行うバランス制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】ここで、バランス制御手段は、例えば充電可能量の認識の結果、充電可能であり、回生発電に基づく制動で所望の減速力が得られる場合には、例えば回生動作のみを行い、前記認識の結果、充電が不可能な場合、例えば排気ブレーキ動作のみを行う。また、充電が可能である場合でも、回生発電に基づく制動で所望の減速力(制動力)が得られない場合には、回生動作及び排気ブレーキ動作を行う。もちろん、この時、制動力が不足する場合には、他の制動システムを併用してもよい。
【0009】この構成によれば、減速要求量と充電可能量に基づき回生動作と排気ブレーキ動作を適切なバランスで制御し、回生動作による効率的な発電(バッテリ充電)と、排気ブレーキ動作による十分な制動力とを得ることができる。
【0010】上記のような目的を達成するために、本発明は、車輪側からの駆動力により回生発電を行いバッテリに充電すると共に制動力を発生する発電機と、内燃機関の排気経路を制御して制動力を得る排気ブレーキと、を有するハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両の減速要求量を認識する減速量認識手段と、前記減速要求量に対する前記発電機の回生発電状態がバッテリ受入可能状態になったか否かを判断する状態判断手段と、前記判断結果に基づき、前記発電機の回生動作と排気ブレーキの制動動作との動作バランス制御を行うバランス制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】ここで、発電機の回生発電状態がバッテリ受入可能状態になったか否かは、例えば、現在の減速状態で回生発電を行った場合に発生する電流値を予測し、その電流値がバッテリの受入可能電流値以下になったか否かや、現在の車速で回生発電を行った場合に発生する電流値を当該速度に基づいて予測し、その電流値がバッテリの受入可能電流値以下になるか否か、つまり車速が所定値以下になったか否かや、所定の制動手段で減速を行った場合に減速開始から何秒後に回生発電により発生する電流値がバッテリの受入可能電流値以下になるか否か、つまり、減速開始から所定時間経過したか否か等で判断することができる。そして、バランス制御手段は、例えば回生発電状態がバッテリ受入可能状態でない場合、排気ブレーキを動作させ、ハイブリッド車両の減速を行い、回生発電状態をバッテリ受入可能状態に推移させる。また、回生発電状態がバッテリ受入可能状態である場合、回生動作を行わせる。
【0012】この構成によれば、バッテリの受入が可能か否かに基づいて回生動作と排気ブレーキ動作の選択を行うため、所定値以上の電流が回生されないので、バッテリに負荷を与えることなく充電を行うことができる。また、排気ブレーキも適切なタイミングで動作し、十分な制動力を発生することができる。
【0013】上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記バランス制御手段は、所定値以上の減速加速度を要求された場合、発電機の回生動作による制動と排気ブレーキによる制動とを併用し、回生発電を行いつつ、要求された制動力を得ることを特徴とする。
【0014】この構成によれば、バッテリの充電を十分に行いつつ、排気ブレーキによる十分な制動力を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0016】図1には、本発明の実施形態に係るハイブリッド(HV)車両10の構成概念図が示されている。HV車両10は、駆動源として例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、単にエンジンという)12と、モータ・ジェネレーター(MG)14を含んでいる。前記エンジン12には、排気マニホールド12aの下流側に排気バルブ12bが配置され、必要に応じて前記排気バルブ12bの開閉を行い、排気ガスの流れを制限することにより、エンジン12内部の抵抗を調整する。その結果、エンジン12のエンジンフリクションを制御しエンジンブレーキ効果を発生させている。なお、図1においては、説明の便宜上、MG14をモータ14Aとジェネレーター14Bと表現するが、HV車両10の走行状態に応じて、モータ14Aがジェネレーターとして機能したり、ジェネレーター14Bがモータとして機能したりする。
【0017】HV車両10には、この他に、エンジン12やMG14で発生した動力を車輪側16に伝達したり、車輪側16の駆動力をエンジン12やMG14に伝達する減速機18と、エンジン12の発生する動力を車輪側16とジェネレータ14Bとの2経路に分配する動力分割機構(図1においては、例えば遊星歯車)20と、MG14を駆動するための電力を充電しておくHVバッテリ22と、HVバッテリ22の直流とモータ14A及びジェネレーター14Bの交流を交換しながら電流制御を行うインバータ24と、HVバッテリ22の充放電状態を管理制御するバッテリ電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)26と、エンジン12の動作状態を制御するエンジンECU28と、HV車両10の状態に応じてMG14及びバッテリECU26、インバータ24等を制御するMGECU30と、バッテリECU26、エンジンECU28、MGECU30等を相互に管理制御して、HV車両10が最も効率よく運行できるようにHVシステム全体を制御するHVECU32等を含んでいる。なお、図1においては、各ECUは別構成としているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい。
【0018】前記HVECU32は、アクセルペダル34に配置されたセンサ34aによって運転者のアクセル踏み込み量を認識したり、ブレーキペダル36に配置されたセンサ36aによって運転者のブレーキ踏み込み量を認識したり、シフトレバー38に配置されたセンサ38aによって運転者の選択するシフト位置の認識を行ったり、車速センサ40による現在車速の認識等を行うことにより、運転者の所望するHV車両10の運行状態の認識を行うと共に、各種ECUの制御を行っている。
【0019】図1に示すようなHVシステムを搭載するHV車両10の動作形態としては、発進時や低速走行時等エンジン12の効率が悪い場合には、MG14のモータ14AのみによりHV車両10の走行を行い、通常走行時には、例えば動力分割機構20によりエンジン12の動力を2経路に分け、一方で車輪側16の直接駆動を行い、他方でジェネレーター14Bを駆動し発電を行う。この時発生する電力でモータ14Aを駆動して車輪側16の駆動補助を行う。また、高速走行時には、更にHVバッテリ22からの電力をモータ14Aに供給しモータ14Aの出力をアップし車輪側16に対して駆動力の追加を行う。このように、モータ14Aを駆動してHV車両10の駆動を補助することにより、エンジン12の実質的な出力を低減し燃費を向上することができる。一方、減速時には、車輪側16により従動するモータ14Aがジェネレーターとして機能し回生発電を行い、回収した電力をHVバッテリ22に蓄える。なお、HVバッテリ22の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン12の出力を増加しジェネレーター14Bによる発電量を増やしHVバッテリ22に対する充電量を増加することもできる。
【0020】本実施形態の特徴的事項は、HV車両10の減速要求量とHVバッテリ22の充電可能量に基づき、発電機(ジェネレータ)として動作するモータ14Aによる回生動作と排気バルブ12bの制御による排気ブレーキ動作との動作制御を行い、効率的なHVバッテリ22の充電及び排気ブレーキによる十分な制動力をバランスよく得るところである。
【0021】このため、HVECU32は、常にバッテリECU26を監視し、HVバッテリ22の充電可能量がどれくらいあるかを認識している。通常HVバッテリ22は、充電及び放電の両方をある程度行えるように、バッテリECU26によって、その充電状態が全体の60%程度に収束するように制御されている。この時、バッテリECU26は、モータ14Aによる回生発電の受入制限値として、例えば75%等の値を有している。そして、HVバッテリ22の充電量が受入制限値以下、すなわち充電可能量に余裕がある場合、モータ14Aによる回生発電を積極的に許容し、受入制限値以上、つまり充電可能量に余裕がない場合、別途積極的にHVバッテリ22を放電するように制御する。つまり、HV車両10の非減速時等にモータ14Aの駆動によりHVバッテリ22の充電量を消費するように制御する。前述したように、モータ14Aの駆動により発生する駆動力分、エンジン12の駆動力を低減できるので、HV車両10全体の駆動力を維持しつつ、エンジン12の燃費向上を行うことができる。
【0022】一方、HVECU32は、アクセルペダル34の操作情報、ブレーキペダル36の操作情報、シフトレバー38の操作情報、車速センサ40からの車速情報等に基づき、運転者が要求するHV車両10の減速要求量を認識し、排気バルブ12bの開閉制御を行いエンジン12が所望の減速力(エンジンブレーキ効果による制動力)を発生するように制御することができる。もちろん、排気バルブ12bによる排気ブレーキのみで所望の減速力を得られない場合やHV車両10の走行状態に応じて、他の制動手段の利用も行う。ここで、他の制動手段とは、例えば、モータ14Aをジェネレータとして駆動することによる回生制動、エンジン12の回転数を上昇させることによりエンジンフリクションを上昇させて、エンジンブレーキ効果を向上することによる制動、車輪側の摩擦ブレーキ装置の駆動による制動等が含まれる。
【0023】次に、効率的なHVバッテリ22の充電及び排気ブレーキによる十分な制動力をバランスよく使用するために、HVECU32が行う排気バルブ12bの制御手順を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0024】まず、HVECU32は、アクセルペダル34の操作情報、ブレーキペダル36の操作情報、シフトレバー38の操作情報、車速センサ40からの車速情報等の読み込みを行う(S100)。さらに、読み込んだ各種情報に基づき、運転者による減速要求量を認識しHV車両10が現在減速中であるか否かの判断を行う(S101)。もし、減速中である場合、HVECU32は、バッテリECU26が認識しているHVバッテリ22の充電可能量を取得し、現在のHVバッテリ22の充電量が回生受入制限(例えば、全充電量の75%)に達しているか否かの判断を行う(S102)。この時、もし現在のHVバッテリ22の充電量が回生受入制限に達している場合、つまり、HVバッテリ22が十分に充電されている場合、モータ14Aによる回生制動は行えないので、HVECU32は、排気バルブ12bを閉状態にして(S103)、排気ガスの流れを阻止することにより、エンジン12のフリクションを増大させる。その結果、エンジンブレーキ効果を増大させて、要求された減速要求量を満足させる。
【0025】一方、現在のHVバッテリ22の充電量が回生受入制限に達していない場合、HVECU32は排気バルブ12bを開状態に制御し(S104)、排気ブレーキを動作させることなく、(S100)に戻る。この時、HVECU32は、MGECU30に対して、モータ14Aをジェネレータとして使用して回生発電することが可能であることを通知し、モータ14Aによる回生発電を行わせる。周知のように、回生発電を行うと制動力が発生するため、要求される減速要求量に見合う回生発電をモータ14Aに実行させる。また、モータ14Aで発生できる最大回生制動力が減速要求量より小さい場合には、HVECU32は、排気バルブ12bを閉じ排気ブレーキ効果を増大させる。そして、両者の制動力を併用することにより所望の制動力を確保する。もちろん、他の制動手段を併用してもよい。なお、(S101)で減速中ではないと判断された場合も、排気バルブ12bは開状態して(S104)、その後(S100)に戻り減速中か否かの監視を継続し、HV車両10の減速に備える。
【0026】このように、HV車両10の減速要求量とHVバッテリ22の充電可能量に基づき、モータ14Aによる回生動作と排気バルブ12bの制御による排気ブレーキ動作との動作バランス制御を行うことにより、HVバッテリ22の効率的な充電及び十分な排気ブレーキによる制動力を得ることができる。
【0027】ところで、モータ14Aで回生発電を行うことにより流れる電流は図3に太線で示すように車速が高いほど大きくなる。ところが、一般にHVバッテリ22は、回生受入制限値に達していなくても、急激に回生発電が行われ極端に大きな電流が流れ込むと安全装置が働いて、充電の受入れを禁止してしまう。これは、HVバッテリ22に所定値以上の電流が一度に流れると、HVバッテリ22が適正温度以上に発熱し、当該HVバッテリ22の性能劣化を招くおそれがあるからである。そこで、図3に破線で示すように、HVバッテリ22に流れ込む電流に制限値を設け、HVバッテリ22の性能劣化を招かないようにすることが好ましい。
【0028】図4のフローチャートには、急激な回生発電を防止するための手順が示されている。なお、前半部分の(S100)〜(S103)までの手順は、図2で示す手順と同じであり、説明を省略する。
【0029】(S102)で、現在のHVバッテリ22の充電量が回生受入制限に達していない場合、HVECU32は、まず、HV車両10の減速要求量に基づいて、モータ14Aが急激な回生が発生する状態(急回生発生状態)か否かの判断を行う(S105)。この判断は、例えば、シフトレバー38が減速シフト(例えば、エンジンブレーキレンジ(Bレンジ);オートマチックトランスミッション車の2ndシフトやLシフトに相当するエンジンブレーキ(低速)レンジ)にシフトされ急減速が要求されたか否かや、高車速(例えば80Km/h以上)からの減速か否か等で判断できる。もし、急激な回生が発生しない減速であると判断された場合、つまり、Bレンジにシフトされていなかったり、中低車速(例えば80Km/h以下)における減速であると判断された場合、HVECU32は、回生発電を行ってもHVバッテリ22には、大きな電流が流れ込まないと判断して、排気バルブ12bを開状態にして(S106)、回生発電を最大状態で開始する(S107)。
【0030】一方、(S105)で急回生発生状態であると判断された場合、まず、排気バルブ12bを閉状態にして(S108)、排気ブレーキによるエンジンブレーキ効果を増大させ、HV車両10の速度を低下させることにより、車輪側16の有する運動エネルギは減少し、急激な回生発電を回避できる。なお、ここで、排気バルブ12bを閉状態にして、エンジンフリクションを増大させることにより、必要以上にエンジン12の回転数を上昇させずに、減速を行うことができる。この時、エンジン回転数を上昇させないことにより、エンジン12の排気側下流に配置された触媒に流れ込む空気の量を低減することが可能になる。その結果、触媒の温度を必要以上に低下させることなく、エンジン12のファイアリング時に排出される排気物質の浄化効率を低下させることがなくなる。また、エンジン回転数が上昇しないので、エンジン12の耐久性向上やエンジンオイルの消費低減等を行うことができるというメリットも生じる。
【0031】続いて、HVECU32は、運転者が要求する減速要求量に応じたモータ14Aの回生発電状態がHVバッテリ22の回生受入可能状態になったか否かを判断する(S109)。この回生受入可能状態は、例えば、現在の減速状態で回生発電を行った場合に発生する電流値を予測し、その電流値がバッテリの受入可能電流値以下になったか否かや、現在の車速で回生発電を行った場合に発生する電流値を当該速度に基づいて予測し、その電流値がバッテリの受入可能電流値以下になるか否か、つまり車速が所定値(例えば80Km/h)以下になったか否かや、所定の制動手段(例えば、排気ブレーキの使用やBレンジの使用)で減速を行った場合に減速開始から何秒で、回生発電により発生する電流値がバッテリの受入可能電流値以下になるか否か、つまり、減速開始から所定時間(例えば、5sec)経過したか否か等で判断することができる。なお、減速開始からの時間で判断を行う場合、判定時間を5sec等のデフォルト値としてもよいが、減速開始時の車速に応じて、判定時間を変化させることが好ましい。本実施形態では、Bレンジにシフトされてからの時間経過に基づいて、所定回生発電状態になったか否かの判断を行う。もし、所定回生発電状態になった場合、HVECU32は排気バルブ12bを開状態にして(S106)、回生発電を開始する(S107)。
【0032】このように、HV車両10に対して急減速操作(Bレンジへのシフト等)や高車速からの減速操作等が行われ急回生発生状態になった場合に、所定回生発電状態になるまで、回生発電の開始を遅延させることにより、HVバッテリ22に大電流が流れ込むことなく、安全な範囲内で、最大限の回生発電を行うことができる。結果的に、回生受入制限が掛かりにくくなるので、全体的に回生発電量が増加するので、HV車両10の燃費向上にも寄与することができる。
【0033】なお、図1に示したシステムの構成は、一例であり、減速時に充電及び制動を行う発電機と排気ブレーキシステムを有する車両であれば、本実施形態の制御が適用可能であり、同様な効果を得ることができる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、排気ブレーキ機能及び回生発電機能を有するハイブリッド車両において、排気ブレーキ機能及び回生発電機能をバランスよく動作させ、排気ブレーキを適切なタイミングで動作させつつ、回生エネルギの確保を効率よく行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−309504(P2001−309504A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−117095(P2000−117095)