トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 電気車の車両情報装置
【発明者】 【氏名】秋 山 幸 子

【要約】 【課題】情報伝達時間の遅れをできるだけ少なくすることにより、よりリアルタイムな制御を達成し、車両性能向上のための車両間にわたる制御機能の遂行を可能とする。

【解決手段】本発明は電気車の車両情報装置に関する。この車両情報装置は、運転台を有する車両を含む複数の車両(100,200,300,400)を連結した電気車の各車両間に跨って配設されたLAN幹線(113,213,313,413)と、各車両内でLAN幹線から車両内各機器への分岐点に配設されたハブ(102,202,302,402)と、運転台を有する車両内でLAN幹線に接続され、各車両の情報を司る車両情報中央装置(101,401)と、各車両内でハブおよび車両内各機器の間に配設されたLAN支線(112,212,312,412)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】運転台を有する車両を含む複数の車両を連結した電気車の各車両間に跨って配設されたLAN幹線と、各車両内で前記LAN幹線から車両内各機器への分岐点に配設されたハブと、前記運転台を有する車両内で前記LAN幹線に接続され、各車両の情報を司る車両情報中央装置と、各車両内で前記ハブおよび前記車両内各機器の信号端の間に配設されたLAN支線と、を備えたことを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項2】請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、各車両のブレーキ装置に対する指令を、前記運転台から前記LAN幹線およびハブを介して直接送出することを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項3】請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、各車両の駆動装置に対する指令を前記運転台から前記LAN幹線およびハブを介して直接送出することを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項4】請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、補助電源装置の信号端を前記ハブに直接接続したことを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項5】請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、各車両の空調装置の信号端を、各車両のLAN支線を介して各車両のハブに接続し、前記空調装置に対する指令を前記運転台から前記LAN幹線、ハブおよびLAN支線を介して伝送することを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項6】請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、各車両の保安装置の信号端を、各車両のLAN支線を介して各車両のハブに接続し、前記保安装置に対する指令を前記運転台から前記LAN幹線、ハブおよびLAN支線を介して伝送することを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項7】請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、非常設の補助機器を任意車両のハブにLAN支線を介して接続し、先頭車両に設けられている車両情報中央装置と前記補助機器との間の信号授受を、前記LAN幹線、ハブおよびLAN支線を介して行うことを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項8】請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、電気車の駆動制御装置およびブレーキ装置の各信号端を前記ハブにそれぞれLAN支線を介して接続し、先頭車に設けられた車両情報中央装置を介することなく、前記駆動制御装置およびブレーキ装置により空転、滑走、再粘着、および回生の制御をよりリアルタイムに行うことを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項9】請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、先頭車の運転台に設置された画面装置を先頭車のハブに接続し、運転士および車掌を対象とした画面表示のみでなく、保守・検査員向けの機能、メーカーを対象とした試験、およびメンテナンス機能を、前記画面装置を用いて遂行することを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項10】複数の車両を連結した電気車の各車両間に跨って配設されたLAN幹線と、各車両内で前記LAN幹線から車両内各機器への分岐点に配設されたハブと、前記運転台を有する車両内で前記LAN幹線に接続され、各車両の情報を司る車両情報中央装置と、各車両内で前記ハブおよび前記車両内各機器の信号端の間に配設されたLAN支線とを備えた電気車の車両情報装置において、少なくとも前記ハブを無線アダプタ付ハブとして構成し、前記車両内各機器の少なくとも一部は前記無線アダプタ付ハブとの間で無線により信号授受を行うことを特徴とする電気車の車両情報装置。
【請求項11】請求項10に記載の電気車の車両情報装置において、各車両固有の情報を、先頭車に設けられた車両情報中央装置を介することなく、地上設備との間で無線で通信することを特徴とする電気車の車両情報装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転台を有する車両を含む複数の車両を連結した電気車において、各車両間で種々の情報を伝送するための車両情報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は複数の車両を連結した従来の電気車を示すものである。図4に示す電気車は、4台の車両100,200,300,400を連結した列車であり、各車両を通して信号線121,221,321,421および122,222,322,422を配設している。車両相互間は、各信号線は渡り線123,233,343ないし124,234,344を介して接続されている。両先頭車両100,400内では、車両情報中央装置101,401、端末装置119,419、運転席画面装置103,403、および運転席マスコン(マスタコントローラ)104,404が各車両内で信号線121,421に接続されている。先頭車両100,400では、さらに、ブレーキ制御器105,405の信号端が信号線122,422および端末装置119,419に接続され、ATS(自動列車停止装置)108,408の信号端が車両情報中央装置101,401に接続され、空調装置109,409、音声装置110,410、およびドア制御器111,411の各信号端がそれぞれ端末装置119,419に接続されている。
【0003】中間車両200,300では、端末装置219,319がそれぞれの信号線221,321に接続されている。ブレーキ制御器205,305の信号は信号線222,322および端末装置219,319に接続され、空調装置209,309およびドア制御器211,311の信号端がそれぞれ端末装置219,319に接続されている。図示の例では、車両200は電源車であり、補助電源装置207の信号端が端末装置219に接続され、車両300は駆動車であり、図示していない主電動機を駆動制御するインバータ装置306の信号端が端末装置319に接続されている。
【0004】各車両情報中央装置101,401と各端末装置119,219,319,419との間は、車両全体を通して光伝送や、ループ型、バス型等の電気伝送路を形成する幹線伝送路が信号線121,221,321,421および信号線122,222,322,422によって形成されている。
【0005】先頭車両(車両100,400)の運転台からの各種指令は、各車両の各機器に接続された引き通し線等を介して各端末装置からそれぞれの車載機器へ伝送される。逆に各車載機器からの情報は、各端末装置を通して上記とは逆の経路で運転台の車両情報中央装置101,401に伝送される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図4に示すような従来の車両情報装置においては、次のような問題があった。
【0007】運転台マスコン104,404からのノッチ運転指令を駆動車(図示の場合は車両300)に伝送するために、信号線として引き通し線を使用する場合、1両当たり約20mに達するDC100Vの20本以上の信号線を1編成分にわたって配線しておかなければならない。運転指令を車両情報中央装置101,401の伝送系に入れた場合、入力端から出力端までに介在する装置が多く、実際の駆動制御部やブレーキ制御部に到達するまでにかなりの時間がかかる。駆動制御からブレーキ制御間のブレーキパターンやフィードバック等の信号はおのおのを直接電気信号で伝達するものとすると、その分、配線を増やすことになるが、車両情報中央装置の伝送データ系に入れると必ず端末装置を経由し、幹線伝送経由で中央装置に戻し、再度幹線伝送経由で端末装置からブレーキ制御器へ伝送されて届くため、受信端では何サイクル分も前の情報を得ることになり、リアルタイムの制御を行うことができない。
【0008】これは、指令と駆動制御、ブレーキ制御と駆動制御間だけでなく、各装置間の信号伝送においても同様に生じる問題である。それぞれの車両のモータ駆動用インバータ間、各車両のブレーキ制御間においてもリアルタイムに情報が伝えられると機器ごとではなく、列車編成全体としての制御が可能になる。このとき、何サイクル分も前のデータが渡ったのでは無意味になる。このように、従来、おのおのの機器内の制御は高速化しても機器間の制御には情報伝達の遅れ時間の問題があった。
【0009】他方、電気車の車両のスペースは限られている。客室のスペースを広くとるためには、設備機器の小型化や、配線スペースの削減が必要になる。しかし、これと逆行して近年は車載機器がなにかと増加し、車両情報データ量も増える傾向にある。そのため、端末装置を設置するスペースが客室スペースを圧迫することにならないように機器を小型化し、高速で大容量のデータを扱い得るものにする必要がある。また、車両内配線としては、強度を必要とする車両用の電線が用いられるため、電線の質量も重く、配線にもそれなりのスペースを必要とする。そこで、できるだけ配線を削減し、車両内配線を減らしたいという要望が出てくる。
【0010】さらに、車上から地上設備に車両状態や故障情報等を送信するシステムも提案されているが、それは全ての情報を車上の中央制御装置に集約してから編集する方式になっており、中央制御装置の異常時または車両幹線伝送路の異常時には情報伝達が不能になる。この事態は、地上設備への情報送信時以外にも、車上の種々の試験器や情報読出器への収集の場合でも同様である。
【0011】従って本発明は、情報伝達時間の遅れをできるだけ少なくすることにより、よりリアルタイムな制御を達成し、車両性能向上のための車両間にわたる制御機能の遂行を可能とすることを目的とする。
【0012】さらに本発明は、車両情報装置の機器の小型化および配線削減を達成することにより、客室スペースの拡大および車両軽量化による車両性能向上を達成することを目的とする。
【0013】本発明のさらなる目的は、地上設備との情報伝送路を増大することにより、他の機器の故障状態によらず必要な機器の情報を容易に地上設備に伝送し得るようにすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、運転台を有する駆動車を含む複数の車両を連結した電気車の各車両間に跨って配設されたLAN幹線と、各車両内でLAN幹線から車両内各機器への分岐点に配設されたハブと、運転台を有する車両内でLAN幹線に接続され、各車両の情報を司る車両情報中央装置と、各車両内でハブおよび車両内各機器の信号端の間に配設されたLAN支線と、を備えたことを特徴とする電気車の車両情報装置を構成したものである。
【0015】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、各車両のブレーキ装置に対する指令を、運転台からLAN幹線およびハブを介して直接送出することを特徴とするものである。
【0016】請求項3に係る発明は、請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、各車両の駆動装置に対する指令を運転台からLAN幹線およびハブを介して直接送出することを特徴とするものである。
【0017】請求項4に係る発明は、請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、補助電源装置の信号端をハブに直接接続したことを特徴とする。
【0018】請求項5に係る発明は、請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、各車両の空調装置の信号端を、各車両のLAN支線を介して各車両のハブに接続し、空調装置に対する指令を運転台からLAN幹線、ハブおよびLAN支線を介して伝送することを特徴とする。
【0019】請求項6に係る発明は、請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、各車両の保安装置の信号端を、各車両のLAN支線を介して各車両のハブに接続し、保安装置に対する指令を運転台からLAN幹線、ハブおよびLAN支線を介して伝送することを特徴とする。
【0020】請求項7に係る発明は、請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、非常設の補助機器を任意車両のハブにLAN支線を介して接続し、先頭車両に設けられている車両情報中央装置と補助機器との間の信号授受を、LAN幹線、ハブおよびLAN支線を介して行うことを特徴とする。
【0021】請求項8に係る発明は、請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、電気車の駆動制御装置およびブレーキ装置をハブにそれぞれLAN支線を介して接続し、先頭車に設けられた車両情報中央装置を介することなく、駆動制御装置およびブレーキ装置により空転、滑走、再粘着、および回生の制御をよりリアルタイムに行うことを特徴とする。
【0022】請求項9に係る発明は、請求項1に記載の電気車の車両情報装置において、先頭車の運転台に設置された画面装置を先頭車のハブに接続し、運転士および車掌を対象とした画面表示のみでなく、保守・検査員向けの機能、メーカーを対象とした試験、およびメンテナンス機能を、画面装置を用いて遂行することを特徴とする。
【0023】請求項10に係る発明は、複数の車両を連結した電気車の各車両間に跨って配設されたLAN幹線と、各車両内でLAN幹線から車両内各機器への分岐点に配設されたハブと、運転台を有する車両内でLAN幹線に接続され、各車両の情報を司る車両情報中央装置と、各車両内でハブおよび車両内各機器の信号端の間に配設されたLAN支線とを備えた電気車の車両情報装置において、少なくともハブを無線アダプタ付ハブとして構成し、車両内各機器の少なくとも一部は無線アダプタ付ハブとの間で無線により信号授受を行うことを特徴とするものである。
【0024】請求項11に係る発明は、請求項10に記載の電気車の車両情報装置において、各車両固有の情報を、先頭車に設けられた車両情報中央装置を介することなく、地上設備との間で無線で通信することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】<実施形態1>この実施形態においても、図4の場合と同様に、一例として4台の車両100,200,300,400を連結した列車を対象としており、ここでは両先頭車両100,200に車両情報中央装置101,401を備えているほか、各車両にハブ(HUB)、例えばイーサネット(登録商標)(Ethernet)ハブ102,202,302,402を備えており、これらの間に、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)例えばイーサネット伝送幹線113,213,313,413を介して接続している。これらの伝送幹線は車両間で渡り線123,233,343を介して接続されている。両先頭車両100,400では、ハブ102,402にそれぞれイーサネットからなる伝送支線112,412を介して、運転席画面装置103,403および運転台マスコン104,404のほかに、ブレーキ制御器105,405、ATS108,408、空調装置109,409、音声装置110,410、およびドア制御器111,411の各信号端が接続されている。中間車両200のハブ202には、それぞれ伝送支線212を介して、ブレーキ制御器205、補助電源装置207、空調装置209、およびドア制御器211の信号端が接続されている。同様に中間車両300のハブ302には、それぞれ伝送支線312を介して、ブレーキ制御器305、インバータ装置306、空調装置309、およびドア制御器311の各信号端が接続されている。なお、常設の機器ではないが、試験器や故障読出器等の、随時任意に接続される補助機器を各車両のハブに接続することができる。図示の例では、車両300,400のハブ302,402に補助機器315,415が接続されている。以上のように車両の編成全体を1つのネットワークに集約し、各車両の各機器には固有のアドレスないしIDを割り当て、送信元から送信先への信号伝送は、行き先アドレスに基づいて行われ、ハブ102,202,302,402は、送られてきた信号を行き先アドレスによりデータの分別振分けを行って次へと送信する。
【0027】図1のシステムにおいて、運転台マスコン104(または404)が操作されると、ノッチによる運転指令情報が先頭車のハブ102(または402)から、車両情報中央装置101(または401)を経由することなく、伝送幹線113,213,313,413を介して各車両のブレーキ制御器105,205,305,405、インバータ装置306の信号端に一斉に同報で伝達される。各車両のブレーキ制御器105,205,305,405への情報を車両情報中央装置101,401を経由することなく各車両のハブ102,202,302,402を介して伝達することにより、ブレーキ時の車両全体のブレーキ力、現在の各車両のブレーキ力、故障による使用不可装置を考慮したブレーキ力などをリアルタイムに制御することができる。また、編成内にただ1台のインバータ装置306およびただ1台の補助電源装置207しか備えないのではなく、複数のインバータ装置および補助電源装置を備える場合には、それらも編成内装置間での連携した制御を行うことができる。各機器の状態は、ハブ102,202,302,402を介して直接、運転席画面103,403に状態表示する。車両情報中央装置101,401は、伝送処理よりも複雑な演算処理が必要な場合に使用する。試験器や故障読出器等の補助機器315,415は、どのハブにも接続可能であり、車両内のネットワーク内に接続されたいずれの機器からの情報も吸い上げ、また、試験を行うことができる。
【0028】電気車の車両情報の伝送にイーサネット等のLANを用いることにより、車両情報伝送の高速化を達成することができる。その場合、従来用いられていた各車両の端末装置を省略し、幹線と支線の分岐点をハブを用いて各車両機器を直接接続することにより、従来の端末装置のように入出力機能や、伝送機能、制御機能等を合わせた制御装置ではなく、伝送信号に付加された行き先の方向へ同伝送信号を送るハブ機能だけであるので、機器の小型化および軽量化だけでなく、データの一次保存や変換などの時間を省くことができる。かくして情報伝達時間の減少を達成することができる。また、ハブ機能により、必要なときに必要なものだけを結びつけて必要な情報のみを送受信できるため、伝送効率が向上する。
【0029】車両全体の伝送が同一ネットワーク内に相当するため、どの機器からどの機器へとアドレスを指定した伝送形態がとれる。従来のように中央制御装置まで戻してから制御するのではなく、直接必要な機器どうしの伝送を行える。また、共通の情報については、同一ネットワーク内の全ての機器に対し、同時に同情報を伝達することができる。つまり、一斉同報通信が可能である。ネットワーク内のいずれかの制御器が故障または電源断となってもネットワーク全体に影響を及ぼさないので、正常な機器どうしで伝送を継続することができる。
【0030】以上により、伝達遅れを減少して車両の編成全体のリアルタイムな制御を可能にする。編成全体のリアルタイムな情報伝達が可能になることにより、従来行えなかった車両をまたいだ機器を連携した制御を行うことが可能になり、制御性能を向上させることができる。たとえば、運転台マスコン104,404のノッチ指令を直接ネットワークに取り込み、全車両のブレーキ装置や駆動装置へ転送することにより、途中に介在する制御機器のデータ加工による誤りの心配がなくなり、直接送られることによる時間の短縮により時間差のない制御を行うことが可能になる。それはブレーキ間の制御や、ブレーキ制御と駆動装置間の制御など、各機器間の制御にも活用することができる。また、従来の端末装置をハブに置換することにより、装置の小型・軽量化および省スペース化を達成することができる。このことは、客室を広くとることに役立つ。
【0031】さらに本実施形態によれば、各機器側にモニタ端末専用の伝送ポートを必要とせず、汎用のイーサネットハブおよび伝送ポートのみで信号伝送をすることができる。この汎用のイーサネットハブとの伝送ポートは、市販パソコン(パーソナルコンピュータ)などでも使用されているインターフェイス及びプロトコルであるため、接続できる機器が増大する。試験器や故障読出器なども同仕様のインターフェイスをもつ機器で構成されていれば、ハブに自由に接続することができ、ネットワーク全体、つまり編成全体の機器との通信も可能となる。
【0032】かくして、先頭車両100,400の運転席画面103,403は、列車編成全体を対象として、各機器の作動状態や故障記録などを直接表示することができ、運転士および車掌を対象とした機能のみでなく、保守員や検査員向けの機能、メーカーを対象とした試験、メンテナンス等の機能を兼用するモニタ画面として利用することができる。
【0033】<実施形態2>図2および図3は実施形態2を示すものである。ここでは実施形態1における各車両のハブ102,202,302,402を、無線アダプタ付イーサネットハブ120,220,320,420で置換している。これらの無線アダプタ付イーサネットハブの機能構成は図3のブロック図に示す通りであり、その詳細は後述する。図2において、先頭車両100には車両情報中央装置101に接続された形で無線伝送装置116が搭載されており、地上システム500との間で無線による相互通信が可能である。図において無線伝送路であることは点線で示されている。イーサネットハブ120,220,320,420を使用することにより、LANを形成する伝送支線の一部を省略し、例えばハブ120,220,320,420とブレーキ制御器105,205,305,405および空調装置109,209,309,409との間の信号伝送は赤外線に代表される光や電波等の電磁波を介して無線で行う。同様に補助電源装置207とハブ220との間、およびインバータ装置306とハブ320との間の信号伝送も無線で行う。さらに付加的に、地上システム500と任意の車上機器、例えばブレーキ制御器105や補助電源装置207との間でも無線による信号伝送が可能であることが図示されている。これら無線の信号伝送に関わる送受信端となるハブおよび各機器の信号端には、信号の伝送方向に応じて有線信号を無線信号に変換したり無線信号を有線信号に変換したりする送受信コントローラが備えられる。
【0034】無線アダプタ付イーサネットハブ20(ハブ120,220,320,420の総称)は、図3に示すように、行き先アドレスによりデータの分別振分けを行うという本来のハブ機能21のほかに、無線アダプタ22,23を備えている。ハブ機能21は、両隣の車両のイーサネットハブ24,25との間で有線信号伝送を行う幹線伝送用イーサネット端末26,27、および第1・第2の信号行先A1,A2の車載機器28,29との間で有線信号伝送を行う支線用イーサネット端末30,31を備えている。無線アダプタ22は第3の信号行先B1の車載機器32との間で、支線用行先B1のデータ種分け・無線用編集を行う編集機能部22aと、有線信号/無線信号の変換を行う信号変換部22bとを備えている。無線アダプタ23は第4の信号行先B2の地上設備33との間で、支線用行先B2のデータ種分け・無線用編集を行う編集機能部23aと、有線信号/無線信号の変換を行う信号変換部23bとを備えている。
【0035】以上のように有線配線の少なくとも一部を無線伝送方式とすることにより、物理的な配線削減になることは言うまでもなく、各機器側のコネクタ数の削減など、車載機器の小型・軽量化、設置スペースの削減、電線の削減による車両全体の軽量化を達成することができる。また、車両ぎ装配線や機器設置時の工数の削減によるコストダウンを達成することができる。
【0036】必要に応じて随時、臨時的に接続される試験器や故障読出器等の補助機器315,415(図1参照)も無線接続とすることができる。また、無線アダプタ付イーサネットハブ20、または、機器から地上設備33に対しての直接通信も可能になる。ここで、無線を使用することによって、伝送速度の制限や、伝送量の制限が生じ得ることは考慮に入れておく必要がある。また、無線の場合、電磁ノイズの影響を受けやすいので、送受信範囲・距離の限定、環境のこと考慮に入れることが必要である。従って、全てを無線通信方式とするのではなく、無線通信方式とするのに適する機器と有線通信方式のままにしておくのに適する機器とを区別して選択的に適用するのがよい。
【0037】車両に無線アダプタ付イーサネットハブ20を用いる場合、地上設備33ないし地上システム500側にも無線信号を送受信する機能を持たせることにより、車両ないし編成と地上設備との間で自由度の高い送受信を実施することができる。これにより、車両側に人手を用いて読出器を接続したりすることなく地上設備との間で車両内の情報の授受を行うことができる。従来、車両における無線送受信は車両内の1箇所で集中して行っていたが、それでは幹線伝送の異常や、中央制御器の異常、あるいは1つしかない無線装置の異常等により使用不能になってしまうことがあった。しかし、本実施形態によれば、正常箇所の無線装置を使用することにより、異常箇所を回避して地上と車上間の通信を可能とし、ハブ機能により特定の機器のみの情報吸い上げも可能となる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、情報伝達時間遅れを少なくすることによりリアルタイムな制御、および車両性能向上のための車両間をまたぐ制御機能を実現することができる。
【0039】さらに本発明によれば、車両情報装置の機器の小型化および配線削減を達成し、客室スペースの拡大、および車両軽量化による車両性能向上を達成することができる。
【0040】さらにまた本発明によれば、地上設備との情報伝達路を増やすことにより、他の機器の故障状態によらずに必要な機器の情報を容易に地上設備に伝送することができる。また、幹線伝送、支線伝送にオープン化汎用のインターフェイスを使用することにより、パソコン等の市販機器の接続も容易になる。車両情報の中央制御装置は、データの入出力や、伝送などの処理は軽減し、複雑な演算や高度な情報処理に従事できるようになる。
【0041】地上設備との情報伝達路を増やすことにより、他の機器の故障状態によらずに必要な機器の情報を容易に地上設備に伝送することができる。また、幹線伝送、支線伝送に汎用のインターフェイスを使用することにより、パソコン等の市販機器の接続も容易になる。車両情報の中央制御装置は、データの入出力や伝送などの処理に要する負担が軽減し、より複雑な演算や高度な情報処理に従事できるようになる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成12年3月24日(2000.3.24)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2001−275211(P2001−275211A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−84148(P2000−84148)