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【発明の名称】 電気自動車の電気システム
【発明者】 【氏名】木下 繁則

【要約】 【課題】半導体電力変換器のスイッチングにより電気自動車の車体を等して流れる高周波電流を抑制し、ラジオ受信障害を低減する。

【解決手段】主電池1が接続されたインバータ3により電動機4を駆動する電気自動車の電気システムであって、インバータ3及び電動機4が共通の金属製車体100に電気的絶縁物を介して取り付けられている電気自動車の電気システムに関する。インバータ3の直流側と主電池1との間の接続線23、及び、インバータ3の交流側と電動機4との間の接続線34に、高周波電流抑制用のリアクトル230,340を取り付け、かつ、電動機の出力軸45が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトル450を取り付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 直流電源が接続されたインバータにより電動機を駆動する電気自動車の電気システムであって、前記インバータ及び前記電動機が共通の金属製車体に電気的絶縁物を介して取り付けられている電気自動車の電気システムにおいて、前記インバータの直流側と前記直流電源との間の接続線、及び、前記インバータの交流側と前記電動機との間の接続線に、高周波電流抑制用のリアクトルを取り付け、かつ、前記電動機の出力軸が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたことを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項2】 請求項1記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記電動機のフレームを接地線により前記車体に接地し、前記接地線が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたことを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項3】 請求項1または2記載の電気自動車の電気システムであって、前記電動機の冷却方式が導電性液体による液冷方式である電気自動車において、前記電動機への前記冷却液の流入側及び流出側の液体流路に、この液体流路が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたことを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項4】 請求項1,2または3記載の電気自動車の電気システムであって、前記インバータの冷却方式が導電性液体による液冷方式である電気自動車において、前記インバータへの前記冷却液の流入側及び流出側の液体流路に、この液体流路が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたことを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項5】 請求項1,2,3,または4記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記直流電源及び前記インバータの筐体を電気絶縁物を介して前記車体に取り付け、前記筐体を接地線により前記車体に接地する共に、前記接地線が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたことを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項6】 請求項1,2,3,4または5記載の電気自動車の電気システムであって、電気自動車の補機用半導体電力変換器の冷却方式が導電性液体による液冷方式である電気自動車において、前記補機用半導体電力変換器への前記冷却液の流入側及び流出側の液体流路に、この液体流路が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたことを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項7】 請求項1,2,3,4,5または6記載の電気自動車の電気システムであって、電気自動車の補機用半導体電力変換器が前記金属製車体に取り付けられる電気自動車の電気システムにおいて、前記補機用半導体電力変換器を電気的絶縁物を介して前記車体に取り付け、前記補機用半導体電力変換器の筐体を接地線により前記車体に接地すると共に、前記補機用半導体電力変換器の入力側と出力側には高周波電流抑制用のリアクトルを取り付け、前記接地線が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたことを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項8】 請求項3,4または6記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記冷却方式が水冷方式であることを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項9】 請求項6または7記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記補機は、補助電池、コンプレッサーモータまたはパワーステアリングであることを特徴とする電気自動車の電気システム。
【請求項10】 請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記高周波電流抑制用のリアクトルを、貫通型構造の鉄心により構成したことを特徴とする電気自動車の電気システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電気自動車に搭載した半導体電力変換器のスイッチングによって発生する高調波電流を低減する電気自動車の電気システムに関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、電気自動車の代表的な電気システムを示す図である。図9において、1は主電池、2はスイッチボックス、3は車両駆動インバータ、4は車両駆動電動機、5aは減速機、5bはデフギア、5cは車輪である。電気自動車では、主電池1からデフギア5bまでの構成要素をパワートレインと称している。図9において、6aは補機6bを駆動するインバータであり、補機6bとしてはパワーステアリングモータ、コンプレッサモータ等が相当する。また、7aは補助電池7bを充電するDC−DCコンバータである。これらのインバータ6a及びDC−DCコンバータ7aを、便宜的に補機用半導体電力変換器という。更に、12は主電池1とスイッチボックス2間の接続線、23はスイッチボックス2とインバータ3間の接続線、34はインバータ3と電動機4間の接続線、45は電動機4と減速機5間の連結軸、27はスイッチボックス2とDC−DCコンバータ7a間の接続線、77はDC−DCコンバータ7aと補助電池7b間の接続線である。
【0003】図10は、図9のパワートレインを構成する各機器の車体への取付例を示したもので、図9と同一構成要素は同一番号を付してある。図10において、図9に示した各機器は金属製車体100に固定されるが、各機器の取付け構造の詳細は省略してある。図10は、冷却方式が水冷の場合であり、8aは冷却水ポンプ、8bはラジエター、80a〜80dは冷却水パイプである。
【0004】図10に示すような電気自動車のパワートレインにおける大きな課題の一つが、インバータ等の半導体電力変換器の作動によりカーラジオに対して受信障害を引き起こす高調波ノイズの発生である。図9に示した電気システムのうち、車両駆動インバータ3の動作について以下に説明する。
【0005】図11は、図9の主電池1、インバータ3、電動機4からなるパワートレインの車体100に対する電位の関係を説明する図である。図9と同一構成要素は同一番号で示し、スイッチボックス2の図示は省略してある。図11において、31〜34は半導体スイッチ、3aはインバータ3のU相の出力端子、3bはインバータ3のV相の出力端子を示す。同図では、W相の半導体スイッチ及び出力端子の図示を省略してある。30は半導体スイッチを取り付けるインバータ冷却体、4aは電動機4の巻線を示す。
【0006】先ず、インバータ3の出力端子3a,3bに現れる電圧波形について説明する。図12は、インバータ3の交流出力電圧の線間電圧波形であり、主電池電圧値Edを波高値とするPWM波形である。この電圧波形が電動機4の巻線4aに印加される。図13は図11の半導体スイッチ31,32の動作、及び、インバータ出力端子3aの車体100に対する電位と出力端子3aに流れる電流を示したもので、Epは主電池1の+側の端子の対車体電位、Enは主電池1の−側の端子の対車体電位、Eoは車体電位を示している。EpとEnとの電圧差は主電池1の電圧Edであるので、Ep,Enは平均的にはEd/2となる。
【0007】図13において、インバータ出力端子3aの車体100に対する電位は、半導体スイッチ31がオンするとEpとなり、半導体スイッチ32がオンするとEnとなる。半導体スイッチ31,32のオン、オフによって、インバータ出力端子3aの対車体電位の変化幅はEdとなる。半導体スイッチ31、32のオン、オフ切換わり時(図13の■部)、インバータ出力端子3aの対車体電位は−Ed/2から+Ed/2に変化する。この電圧急変により、出力端子3aの電流は、図示するように電動機の電流Ioに前記電圧急変によって流れる過渡電流Isが重畳した電流となる。
【0008】次に、図13に示した電流Isについて図14により詳述する。図14において、電動機4の巻線4aは巻線絶縁が施されて、固定子鉄心(図示せず)に巻かれている。この巻線絶縁は巻線導電部と鉄心間でコンデンサとして作用する。同図の410cが、巻線絶縁を等価的に表したコンデンサである。電動機4は車体100に固定されているので、電気的には、電動機4の固定子鉄心と車体100とはコンデンサ410cを介して接続されているのと同じである。
【0009】一方、インバータ3の半導体スイッチ31,32も、インバータ冷却体30に電気的には絶縁して取り付けられている。しかるに、インバータ冷却体30は車体100に固定されているので、インバータ冷却体30と車体100とは電気的に接続されているのと同じである。インバータ3の半導体スイッチ31,32と車体100間の電気絶縁は、電動機4と同様に車体100に対してコンデンサとして作用する。図14における310cが、等価的に表したコンデンサである。同様に、主電池1も車体100に対して絶縁されているので、図示のように、コンデンサ110cが介在することになる。
【0010】さて、電気絶縁物は、直流的には絶縁物であるが交流的にはコンデンサとして作用する。インバータ3の出力電圧は、図12に示したように矩形波状の電圧波形であるので、高周波を多く含んだ波形である。この高周波電圧がインバータ3に発生すると、各部の電気絶縁物は前記コンデンサ410c,310c,110cとして動作し、これらのコンデンサに電流、即ち絶縁物の漏れ電流となって流れる。
【0011】図14の構成の高周波動作を等価的に示すと、図15のようになる。図15において、Enはインバータ3の出力の高周波電圧、Cnは電気絶縁物によるコンデンサ(前記コンデンサ410c,310c,110c)、Rn,Lnはインバータ3から電動機巻線4aまでの等価的な回路抵抗とインダクタンス、InはコンデンサCnを流れる高周波電流である。
【0012】図9に示したDC−DCコンバータ7aも半導体スイッチング技術を用いた電力変換器であるため、図11〜図15と同じように、車体100を介して漏れ電流が流れる。さて、この車体100を流れる漏れ電流は高周波電流であり、機器間の接続線及び車体100を通して流れ、電気自動車に搭載したラジオを始めとして通信機器に対して受信障害を引き起こす。この漏れ電流を低減させるため、図16に示すように、機器の入力側、出力側の接続線に高周波リアクトルを挿入している。なお、図16において、図9と同一構成要素は同一番号を付してある。45は電動機の出力軸、5は図9の減速機5a、デフギア5b、車輪5cを含めた負荷である。
【0013】図16において、230,340,270,770は高周波電流を抑制する高周波リアクトルである。図16の例では、入力線、出力線に一括して貫通型の高周波リアクトルを挿入する方式を示しているが、別の高周波電流抑制フィルタを接続する方法も採用されている。ここでは、この方法の詳述は省略する。また、図16において、410aは電動機4のフレームを接地する接地線であり、安全のために接続されている。高周波リアクトル230,340,270,770は、電気回路としてはインダクタンスとして作用するので、図15の高周波回路ではリアクタンスが大きくなり、漏れ電流が大幅に低減されることになる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】図16では、インバータ3やDC−DCコンバータ7a等の半導体電力変換器のスイッチングによって車体100を通して流れる高周波電流を、電力変換器の入出力側に挿入した高周波リアクトル230,340,270,770により低減している。図15に関する説明からも判るように、高周波リアクトルを挿入することにより車体100に流れる漏れ電流は低減されるが、電流が完全に零になるわけではない。
【0015】図16に示した従来の電気自動車の車体100への高周波漏れ電流を、更に図17を用いて詳述する。図17において、図16と同一構成要素は同一番号を付してある。なお、図17の210cはスイッチボックス2と車体100間の等価コンデンサである。インバータ3のスイッチングによって電動機巻線4aと鉄心4bとに流れ込んだ電流(図示の■)の一部は、接地線410aを介して車体100へ流れ込む(図示の■)。また、鉄心4bに流れ込んだ電流は鉄心4bと電気的に導通状態にある出力軸45を経て、減速機5aを介して車体100に流れ込む(図の■)。更に、鉄心4bに流れ込んだ電流は、鉄心4bと導通状態にある冷却水パイプ48a,48b(図10の冷却水パイプ80bに相当)を経て、冷却水ポンプ8aを介し車体100に流れ込む(図の■)。以上説明したように、高周波漏れ電流は電動機4のフレームから車体100への電流以外に、出力軸や冷却水流路を介して車体100に流れ込んでいる。
【0016】一方、電気自動車の普及につれて、エンジン車と同程度のカーラジオの受信状態になるようにカーラジオの受信障害低減が要望され、より一層の高周波電流低減が大きな課題となってきている。また、地球環境問題を背景として、今後、電気自動車の一層の普及、発展が期待されており、電気自動車としても、従来にも増してラジオ受信障害の一層の低減が望まれている。そこで本発明は、半導体電力変換器のスイッチングによって発生する高調波電流を抑制してラジオ受信障害の低減を可能にした電気自動車の電気システムを提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、インバータ等の半導体電力変換器により駆動される電動機から車体へ流れる高周波電流は、電動機の固定子鉄心から、接地線、出力軸、冷却液流路を介して流れることに着目してなされたものである。すなわち、請求項1記載の発明は、直流電源が接続されたインバータにより電動機を駆動する電気自動車の電気システムであって、前記インバータ及び前記電動機が共通の金属製車体に電気的絶縁物を介して取り付けられている電気自動車の電気システムにおいて、前記インバータの直流側と前記直流電源との間の接続線、及び、前記インバータの交流側と前記電動機との間の接続線に、高周波電流抑制用のリアクトルを取り付け、かつ、前記電動機の出力軸が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたものである。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記電動機のフレームを接地線により前記車体に接地し、前記接地線が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたものである。
【0019】請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の電気自動車の電気システムであって、前記電動機の冷却方式が導電性液体による液冷方式である電気自動車において、前記電動機への前記冷却液の流入側及び流出側の液体流路に、この液体流路が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたものである。
【0020】請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の電気自動車の電気システムであって、前記インバータの冷却方式が導電性液体による液冷方式である電気自動車において、前記インバータへの前記冷却液の流入側及び流出側の液体流路に、この液体流路が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたものである。
【0021】請求項5記載の発明は、請求項1,2,3,または4記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記直流電源及び前記インバータの筐体を電気絶縁物を介して前記車体に取り付け、前記筐体を接地線により前記車体に接地する共に、前記接地線が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたものである。
【0022】請求項6記載の発明は、請求項1,2,3,4または5記載の電気自動車の電気システムであって、電気自動車の補機用半導体電力変換器の冷却方式が導電性液体による液冷方式である電気自動車において、前記補機用半導体電力変換器への前記冷却液の流入側及び流出側の液体流路に、この液体流路が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたものである。
【0023】請求項7記載の発明は、請求項1,2,3,4,5または6記載の電気自動車の電気システムであって、電気自動車の補機用半導体電力変換器が前記金属製車体に取り付けられる電気自動車の電気システムにおいて、前記補機用半導体電力変換器を電気的絶縁物を介して前記車体に取り付け、前記補機用半導体電力変換器の筐体を接地線により前記車体に接地すると共に、前記補機用半導体電力変換器の入力側と出力側には高周波電流抑制用のリアクトルを取り付け、前記接地線が内部を貫通するように高周波電流抑制用のリアクトルを取り付けたものである。
【0024】請求項8記載の発明は、請求項3,4または6記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記冷却方式が水冷方式であることを特徴とする。
【0025】請求項9記載の発明は、請求項6または7記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記補機は、補助電池、コンプレッサーモータまたはパワーステアリングであることを特徴とする。
【0026】請求項10記載の発明は、請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載の電気自動車の電気システムにおいて、前記高周波電流抑制用のリアクトルを、貫通型構造の鉄心により構成したことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の第1、第2の実施形態を示す図で、請求項1,2に記載した発明に相当する。図1において、図16と同一構成要素は同一番号を付してある。
【0028】図1において、40は電動機4を車体100から電気的に絶縁するための絶縁マウントである。410は電動機接地線410aに流れる高周波電流を抑制するための高周波リアクトルであり、図示例では貫通型構造の鉄心から構成されている。450は、電動機4の出力軸45から負荷5を介して車体100に流れる高周波電流を抑制するための高周波リアクトルであり、出力軸45に貫通型構造の鉄心を取り付ける場合を示してある。なお、インバータ3の入出力側の接続線23,34には、図16と同様に高周波リアクトル230,340が取り付けられている。また、インバータ3は電動機4と共通の金属製車体100上に設置されている。
【0029】図1の実施形態では、電動機4が絶縁マウント40を備えているため、電動機4からの高周波電流は、電動機フレーム4cから車体100に直接流れることはない。電動機4から接地線410aを通って流れる高周波電流は高周波リアクトル410により抑制され、出力軸45を通って流れる電流は、同じく高周波リアクトル450によって抑制される。この結果、図1の実施形態によれば、図16の従来技術に比べて電動機4から車体100に流れる高周波電流が著しく低減される。
【0030】図2は、図1に示した電動機4の出力軸45に挿入する高周波リアクトル450の挿入例を示したものである。図1と同一構成要素は同一番号を付してある。図2において、4bは固定子鉄心、4cは電動機フレーム、4dは回転子、4eは軸受である。貫通型構造の鉄心として形成された高周波リアクトル450には、電動機出力軸45が貫通しているので、出力軸45を流れる軸方向の電流(図示の矢印方向の電流)に対しては高インダクタンスとして作用する。このため、出力軸45を通って流れる高周波電流(図示のi)を大幅に抑制することができる。
【0031】図3は、本発明の第3実施形態を示すもので、請求項3に記載した発明に相当する。図3において、図1と同一構成要素は同一番号を付してある。図3の実施形態は、電動機4の冷却方式が水冷方式のように冷却媒体が導電性の場合であって、電動機4の冷却系から車体100へ流れる高周波電流を抑制するためになされたものである。すなわち、この実施形態では、冷却機器8(図10の冷却水ポンプ8a及びラジエター8bに相当)と電動機4間の冷却水パイプ48a,48bに、貫通型構造の鉄心からなる高周波リアクトル480a,480bが挿入されている。
【0032】図4は、図3における高周波リアクトル480aの挿入構造を示したものであり、他の高周波リアクトル480bについても同様の構造である。図4において、4fは電動機4の冷却水パイプ48aの取付部である。図示するように、この取付部4fに取り付けられた冷却水パイプ48aの根元に高周波リアクトル480aを取り付ける。この高周波リアクトル480aは、図示の方向に流れる漏れ電流iに対してリアクトルとして作用する。
【0033】図5は、本発明の第4実施形態を示すもので、請求項4に記載した発明に相当する。図5において、図1、図3と同一構成要素は同一番号を付してある。図5において、34aはインバータ3と電動機4間の冷却水パイプ、38はインバータ3と冷却機器8間の冷却パイプである。340aは480aと同様の、冷却水パイプ34aが内部を貫通する高周波リアクトルである。また、380も冷却水パイプ38が内部を貫通する高周波リアクトルである。高周波リアクトル340a,380の取付方法は図4と同様であり、その動作及び効果も図4の場合と同様であるため、ここでは詳述を省略する。
【0034】図6は、本発明の第5実施形態を示すもので、請求項5に記載した発明に相当する。図6において、図1、図3及び図5と同一構成要素は同一番号を付してある。図6の実施形態は、図5の実施形態において、主電池1、スイッチボックス2、インバータ3の各機器の筐体を電気絶縁して車体に取り付けると共に、各筐体を接地線により車体100に接地し、各接地線に高周波リアクトルを挿入したものである。図6において、10は主電池1の絶縁マウント、20はスイッチボックス2の絶縁マウント、30はインバータ3の絶縁マウントである。110a,210a,310aは各筐体を接地する接地線、110,210,310は各接地線110a,210a,310aに挿入される高周波電流低減用の高周波リアクトルである。
【0035】図7は、本発明の第6実施形態を示すもので、請求項6に記載した発明に相当する。図7において、図1、図3、図5及び図6と同一構成要素は同一番号を付してある。図7の実施形態は、補機用半導体電力変換器の冷却方式が水冷であって冷却媒体が導電性である場合のもので、補機用半導体電力変換器の冷却系から車体100へ流れる高周波電流を抑制するようにしたものである。
【0036】すなわちこの実施形態では、補機用半導体電力変換器(図7の例では、DC−DCコンバータ7aで代表して示してある)とインバータ3と冷却機器8との間の冷却パイプ(またはホース)37,78に、貫通型構造の鉄心からなる高周波リアクトル370,780が挿入されている。ここで、高周波リアクトル370,780の取付方法は図4と同様であり、また、その動作や効果も図4の実施形態と同じであるため、詳述を省略する。なお、DC−DCコンバータ7aとスイッチボックス2との間の接続線27、補助電池7bとの間の接続線77にも、高周波リアクトル270,770がそれぞれ挿入されている。
【0037】図8は、本発明の第7実施形態を示すもので、請求項7に記載した発明に相当する。図8において、図1、図3、図5〜図7と同一構成要素は同一番号を付してある。図8の実施形態は、図7の実施形態において、DC−DCコンバータ7aの筐体を電気絶縁して車体100に取り付けると共に、筐体を接地線で車体100に接地し、接地線に貫通型構造の鉄心からなる高周波リアクトルを挿入したものである。図8において、70はDC−DCコンバータ7aの絶縁マウント、710aは筐体を接地する接地線、710は接地線710aに挿入される高周波電流抑制用の高周波リアクトルである。
【0038】なお、請求項8〜10の発明に相当する実施形態は個別には図示されていないが、すでに明らかなように、これらの実施形態は上記第1〜第7実施形態の何れかにおいて説明したとおりである。また、上記各実施形態では車載の電池のみを直流電源とする電池駆動の電気自動車について説明したが、本発明は、エンジン、発電機及び整流器を搭載したハイブリッド電気自動車や燃料電池自動車のような直流電源を搭載した自動車にも当然適用することができ、同様の効果を期待できることは勿論である。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、インバータにより駆動される電動機を車体に対して電気絶縁して固定し、この電動機鉄心から流出する高周波電流通路である接地線、出力軸、冷却液流路に高周波電流を抑制するリアクトルを挿入すると共に、補機用半導体電力変換器にも同様に高周波電流抑制用のリアクトルを挿入することにより、車体を通して流れる高周波電流を抑制することができ、ラジオ受信障害を大幅に低減することができる。この結果、電気自動車の大量普及に大きく貢献するという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
【出願日】 平成12年3月16日(2000.3.16)
【代理人】 【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
【公開番号】 特開2001−268723(P2001−268723A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−79277(P2000−79277)