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【発明の名称】 走行車両
【発明者】 【氏名】神谷 寿

【氏名】玉井 利男

【要約】 【課題】複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両は知られている。従来の公知技術では、この複数の原動機のうち、その一つのエンジンを車両の前方側に配置し、他の一つの電動モ−タを車両の後方側に配置した構成のものがある。本発明は、複数の原動機を従来のものより効率的に配置し、つまり、車両の適所に有効配置することにより、車両のバランス向上、安定化を図ることにある。

【解決手段】本発明は、複数の原動機12,13の駆動により車両を走行する走行車両であって、ステップフロア7より上方に突設する前部側のステアリングポスト部6とその後側に位置して上方に突設する運転席支持部10とを備え、前記ステアリングポスト部と前記運転席支持部とのうち一方側に前記複数の原動機12,13を集中して配置してあることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、ステップフロアより上方に突設する前部側のステアリングポスト部とその後側に位置して上方に突設する運転席支持部とを備え、前記ステアリングポスト部と前記運転席支持部とのうち一方側に前記複数の原動機を集中して配置してあることを特徴とする走行車両。
【請求項2】 複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、ステップフロアより上方に突設する前部側のステアリングポスト部とその後側に位置して上方に突設する運転席支持部とを備え、前記複数の原動機のうちの一つを水素を含む燃料ガスを源として駆動するように構成し、前記水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給装置を前記運転席支持部側に設けてあることを特徴とする走行車両。
【請求項3】 複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、該走行車両には作業装置を装備し、この作業装置による運転作業中は一方側の原動機により常時駆動する構成とし、作業中の走行速度が所定以上高速側に変速されると他方側の原動機の駆動によりアシストする構成としてあることを特徴とする走行車両。
【請求項4】 複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、通常走行時では一方側の原動機により常時駆動する構成とし、機体の傾斜姿勢が所定以上に変化すると他方側の原動機の駆動によりアシストする構成としてあることを特徴とする走行車両。
【請求項5】 複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、この複数の原動機のうちの一方側の一つをエンジンとし、該エンジンのガバナ−がある一定以上作動すると他方側の原動機を駆動してアシストする構成としてあることを特徴とする走行車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数の原動機の駆動により走行する走行車両に関する。
【0002】
【従来の技術】複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両は知られている。従来の公知技術では、この複数の原動機のうち、その一つのエンジンを車両の前方側に配置し、他の一つの電動モ−タを車両の後方側に配置した構成のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、複数の原動機を従来のものより効率的に配置し、つまり、車両の適所に有効配置することにより、車両のバランス向上、安定化を図ることにある。そのため、本発明は、次のような技術的手段を講じた。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明における課題解決のための第1の具体的手段は、複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、ステップフロアより上方に突設する前部側のステアリングポスト部とその後側に位置して上方に突設する運転席支持部とを備え、前記ステアリングポスト部と前記運転席支持部とのうち一方側に前記複数の原動機を集中して配置してあることを特徴とする。これによって、複数の原動機が例えば実施例のようにエンジンと電動モ−タである場合には、このエンジンを始動及び電動モ−タを駆動するバッテリ−などを他方側に配置することで、車両の前後のバランスが確保できる。
【0005】また、複数の原動機を運転席支持部側に配置する場合には、運転席下方のスペ−スを有効利用することができ、しかも、この運転席支持部は、車両の中央側に位置するため、機体の安定性をも良好に保持することができる。本発明における課題解決のための第2の具体的手段は、複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、ステップフロアより上方に突設する前部側のステアリングポスト部とその後側に位置して上方に突設する運転席支持部とを備え、前記複数の原動機のうちの一つを水素を含む燃料ガスを源として駆動するように構成し、前記水素を含む燃料ガスを供給する燃料供給装置を前記運転席支持部側に設けてあることを特徴とする。これによれば、燃料供給装置の設置場所が機体中央側に位置するので、衝突時等に対する安全性を確保することができる。
【0006】本発明における課題解決のための第3の具体的手段は、複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、該走行車両には作業装置を装備し、この作業装置による運転作業中は一方側の原動機により常時駆動する構成とし、作業中の走行速度が所定以上高速側に変速されると他方側の原動機の駆動によりアシストする構成としてあることを特徴とする。これによって、通常の運転作業時は常時駆動の第1原動機のみで足りるので、この第1原動機自体の出力を小さくでき、所定以上の走行負荷が加わった時のみ第2原動機の駆動によりアシストするものであるから、全体として原動機を実質的に小型化することができ、しかも、高馬力発生時の原動機の駆動力の安定化を図ることもできる。
【0007】本発明における課題解決のための第4の具体的手段は、複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、通常走行時では一方側の原動機により常時駆動する構成とし、機体の傾斜姿勢が所定以上に変化すると他方側の原動機の駆動によりアシストする構成としてあることを特徴とする。これによって、走行時の車輪の沈下により機体が前後或は左右に大きく傾いても、第2原動機の駆動により容易に脱出することができ、高馬力発生時の原動機の駆動力の安定化を図ることができる。
【0008】本発明における課題解決のための第5の具体的手段は、複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、この複数の原動機のうちの一方側の一つをエンジンとし、該エンジンのガバナ−がある一定以上作動すると他方側の原動機を駆動してアシストする構成としてあることを特徴とする。これにより、ガバナ−がある一定以上作動するようなエンジンの負荷が大きいときには他方側の原動機を駆動してアシストするので、エンジンを小型化することができ、静かで振動の少ない走行車両を具現することができるものである。
【0009】
【発明の効果】以上要するに、本発明によれば、複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両であって、ステップフロアより上方に突設する前部側のステアリングポスト部とその後側に位置して上方に突設する運転席支持部とを備え、前記ステアリングポスト部と前記運転席支持部とのうち一方側に前記複数の原動機を集中して配置するようにしたので、車両のバランス及び安定性を良好に保持することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の実施例を図面に基づき説明する。図1〜図4は、走行車両の一例として6条植乗用田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部に操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有するステアリングポスト部6がステップフロア7より上方に立設され、車体後方部には苗植付部8によって構成される作業装置が昇降リンク機構9を介して昇降可能に装備されている。ステアリングポスト部6の後側にはステップフロア7より上方に突設する運転席支持部10の上端に運転席11が設置され、該運転席11の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジン12及び車両の走行駆動をアシストする電動モ−タ13が搭載されている。
【0011】前記ステアリングポスト部6側には、エンジン12を始動及び電動モ−タ13を駆動するバッテリ−14が収納装備されている。また、このステアリングポスト部6内には前記エンジン12への燃料タンク15を装備することもできる。苗植付部8(作業装置)は、左右に往復動する苗載タンク16、1株分の苗を切取って土中に植込む植込杆を有する植付装置17、苗植付面を整地するフロ−ト18等からなる。
【0012】前記エンジン12の出力軸19にはモ−タ13をワンウエイクラッチ20を介して連動連結した構成としている。走行ミッション装置21は、エンジン12から入力された回転動力を左右前輪2,2及び左右後輪3,3に伝動するよう車体1の前側部でステップフロア7の下方に配置してミッションケ−ス22内に装備した構成としている。
【0013】主クラッチ装置23は、エンジン12の出力軸19と走行ミッション装置21の中間入力軸24との間に設けた伝動ベルト23a,該伝動ベルト23aを緊張・弛緩するベルトテンション式のクラッチ23b,該クラッチ23bを断続操作する主クラッチレバ−により構成している。
【0014】副変速装置25は、中間入力軸24とミッションケ−ス22の入力軸26との間に設けたベルコン式の無段変速ベルト25aとテンションプ−リ25bと副変速レバ−25cとからなり、該副変速レバ−25cの操作により、入力軸26を低速・中速・高速へと無段的に変速伝動する構成である。
【0015】かかる実施例における走行車両では、作業中は主動力として常に第1原動機(エンジン12)が駆動し、そして、一定以上の走行負荷或は作業負荷が加わるとその負荷に応じて第2原動機(モ−タ13)を駆動することにより、第1原動機12の駆動力を補助する構成としている。
【0016】図5に示す第2発明の実施例では、ハイブリッド車両であって、燃料電池システム搭載方式において、複数の原動機のうちの一つを水素を含む燃料ガスにより電力を発生する燃料電池の電力により駆動するモ−タで構成し、メタノ−ルから水素を含む燃料ガスを発生させて前記燃料電池へ供給する燃料供給装置27を機体中央側の運転席支持部10内に設置するようにしてある。そして、燃料電池28は、機体前部側のステアリングポスト部6内に搭載するようにして、機体前後のバランスを図るようにしている。また、この構成では燃料供給装置27の設置場所が機体中央側に位置しているので、機体が畦等へ衝突しても前記燃料供給装置27が破損しにくく、メタノ−ルや水素を含む燃料ガスが漏洩するのを防止でき、衝突時等に対する安全性を確保することができる。
【0017】かかる燃料電池システムは、燃料電池28から電力の供給を受けて回転駆動力を発生する車両駆動用モ−タを要する。この車両駆動用モ−タによる回転駆動力は燃料電池システムを搭載する車両における車軸を介して、車両の前輪2及び後輪3に伝えられ、車両を走行させる動力となるよう構成される。
【0018】なお、かかる実施例における場合の他の一つの原動機はエンジンやモ−タ等の原動機を用いて駆動力をアシストするよう対処することができる。第3発明にかかる実施例では、通常の田植作業時における運転中は一方側の原動機(エンジン12)により常時駆動する構成とし、作業中の走行速度が所定以上高速側に変速されると他方側の原動機(モ−タ13)を駆動することにより駆動力を補助する構成である。すなわち、例えば、主動力として植付作業中は常にエンジン12が駆動し、副変速レバ−25cをある一定以上、例えば中速〜高速側に変速操作するとモ−タ13が駆動されるように連動し、このモ−タ13の駆動によってエンジン12による駆動力をアシストする構成としている。
【0019】第4発明における実施例では、複数の原動機12,13の駆動により車両を走行する走行車両において、通常走行時では一方側の原動機、例えばエンジン12により常時駆動する構成であり、そして、この作業中に機体の傾斜姿勢が所定以上に変化すると、つまり、機体の傾斜姿勢が前後或は左右に大きく変化すると傾斜センサ29がそれを検出し、該傾斜センサ29による検出結果に基づき他方側の原動機、例えばモ−タ13が駆動するように連動し、このモ−タ13の駆動によりエンジン12による駆動力を増加するようアシストする構成としている。従って、機体が大きく傾斜すると、その傾いた側の車輪が沈下することで大きな走行負荷を受けることになるが、これはモ−タ13の駆動により補助することができる。
【0020】第5発明における実施例では、複数の原動機の駆動により車両を走行する走行車両において、この複数の原動機のうちの一方側の一つをエンジン12とし、該エンジン12のガバナ−30がある一定以上作動すると他方側の原動機、例えばモ−タ13を駆動して前記エンジン12による駆動力を増加するようアシストする構成としている。すなわち、作業中、エンジン負荷が大きくなってガバナ−30がある一定以上作動すると、これを検出するセンサを設けると共にこのセンサによる検出結果に基づき前記モ−タ13が駆動するように連動する構成である。
【0021】なお、前記ガバナ−30に連動するアクセルレバ−(アクセルペダル)31を所定以上エンジン回転増速側に操作すると、第2原動機であるモ−タ13を駆動するように連動構成することもできる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−268722(P2001−268722A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−78113(P2000−78113)