トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 ハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置
【発明者】 【氏名】鈴木 直人

【要約】 【課題】バッテリの小型化を図りつつ、要求される充放電を効率的に行うことのできるハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置を提供する。

【解決手段】充放電予測部54は、車速認識部38からの情報に基づいて、HV車両の将来の走行における充放電の要求状態を予測する。その予測結果、HV車両が将来、停止しさらに再始動するか、大きな加速を行うことが予測され、大きな放電要求が出ることが予測される場合、目標SOC変更部56はHVバッテリの目標SOCを増加し、大放電に備えてHVバッテリの充電収束値を高くする。逆に、将来、減速による大きな回生電力の発生が予測され、充電要求が出ると予測される場合、目標SOCを減少させ、HVバッテリの充電量を減少させ、発生した回生電力を効率的に回収できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関と、車両の走行アシストが可能なモータ・ジェネレータと、当該モータ・ジェネレータに接続されたバッテリと、を含むハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置であって、前記バッテリの将来の充放電状態を予測する充放電予測手段と、前記バッテリの充放電予測結果に基づいて、バッテリの充電目標値を変更する目標値変更手段と、を含むことを特徴とするハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項2】 請求項1記載の装置において、前記充放電予測手段は、車両の走行状態に基づきバッテリの将来の充放電状態を予測し、前記目標値変更手段は、将来、バッテリが所定量以上放電されることが予測される車両走行状態の場合、充電目標値を増加し、将来バッテリが所定量以上充電されることが予測される車両走行状態の場合、充電目標値を減少させることを特徴とするハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載の装置において、前記目標値変更手段は、車両周囲温度に応じてバッテリの充電目標値を変更することを特徴とするハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置、特に、モータ・ジェネレータにより走行アシストを行う大容量のバッテリ出力を必要とするハイブリッド車両において、バッテリの小型化を行いつつ、効率的なバッテリ利用を行うことのできるハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護及び燃費向上の効果が大きなハイブリット(HV)システムを搭載する車両(以下、HV車両という)の開発及び実用化が進んでいる。HVシステムは、内燃機関(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等)と電気モータのように2種類の動力源を組み合わせて使用するパワートレーンであり、走行状況に応じて、エンジンと電気モータの使い分けを行うことにより、それぞれの特長を活かしつつ、不得意な部分を補うことができるため、滑らかでレスポンスのよい動力性能を得ることができる。つまりエンジンと電気モータとをそれぞれ単独、または協同して動作させることにより、燃料消費向上や排気ガスを大幅に抑制することが可能になっている。例えば、エンジン効率の悪い低負荷領域(特に発進時や極低速時)には、エンジンを始動せずに電気モータのみで車両の駆動を行い、車速がエンジン効率がよくなる速度領域に移行したら大きなトルクを出力できるエンジンを始動し、電気モータを停止する。また、加速時等更に大きな出力を必要とする場合には、エンジン及び電気モータを同時に駆動し、電気モータによるトルクアシストを行い所望の出力を取得することができる。
【0003】このように電気モータを利用する場合、電力は車載のバッテリから供給を受ける。そのため、HV車両では、大容量のバッテリを搭載する必要があり、前述したような良好な電気モータの利用を行うためにはバッテリの充電状態(SOC:State of Charge)を常時管理する必要がある。
【0004】通常、HV車両には、電気モータ機能と発電機能を有するモータ・ジェネレータ(MG)が搭載され、当該MGは、バッテリの目標充電値(目標SOC)に充電量が収束するように、発電を行うように制御される。例えば、特開平11−299004号公報には、SOCに応じて、エンジン出力を調整し目標SOCを維持する制御方法が開示されている。
【0005】通常、HV車両の目標SOCは、放電要求(電気モータの駆動要求)と充電要求(回生による電力の充電要求)の両方を受け入れられるように上限及び下限にそれぞれ余裕を持った、固定値(例えば、充電量が全体の60%)が設定されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、HV車両において、更なる燃費向上のための車両重量の軽量化や車室内スペースの増加、車両コストの低減等の要望があり、バッテリの小型化が求められている。バッテリの小型化を行った場合、当然バッテリ容量が減るためバッテリの充放電を行う場合、目標SOCから充放電できる量が減少し、発進時や加速時に必要な量の放電を行うことができなくなる。逆に減速時に大量の回生電力が発生するにも関わらず少量しか充電することができず、せっかく発生した電気エネルギを利用することができなくなるという問題が生じ、エネルギ(バッテリ)の効率的な活用ができないという問題がある。
【0007】また、バッテリは周囲温度が低下すると内部の化学反応が鈍くなるので、充放電の効率が低下し、充電状態が目標SOCに収束している場合でも十分な充放電ができなくなってしまうという問題がある。そのため従来は、周囲温度の低下に備えて大容量(大型)のバッテリを準備せざるを得ず、バッテリの小型化という要望を満たすことができないという問題があった。
【0008】本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、バッテリの小型化を図りつつ、要求される充放電を効率的に行うことのできるハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、内燃機関と、車両の走行アシストが可能なモータ・ジェネレータと、当該モータ・ジェネレータに接続されたバッテリと、を含むハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置であって、前記バッテリの将来の充放電状態を予測する充放電予測手段と、前記バッテリの充放電予測結果に基づいて、バッテリの充電目標値を変更する目標値変更手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】この構成によれば、将来バッテリの放電が予想される場合、その時に放電量を増大できるように、予め充電量を増加するように充電目標量を高く変更する。逆に将来バッテリの充電が予想される場合、その時に充電量を増大できるように、予め充電量を減少するように充電目標量を低く変更することができるので、実質的なバッテリの充放電領域を広げることが可能になり、バッテリの小型化を図りつつ、要求される充放電を効率的に行うことができる。
【0011】上記のような目的を達成するために、上記構成において、前記充放電予測手段は、車両の走行状態に基づきバッテリの将来の充放電状態を予測し、前記目標値変更手段は、将来、バッテリが所定量以上放電されることが予測される車両走行状態の場合、充電目標値を増加し、将来バッテリが所定量以上充電されることが予測される車両走行状態の場合、充電目標値を減少させることを特徴とする。
【0012】ここで、前記充放電予測手段は、例えば、車速情報に基づき充放電予測を行う。例えば、低車速が所定時間以上継続した場合、車両は、将来停止するか、或いは大きく加速することが予想される。この場合、モータ・ジェネレータの電気モータ機能で大きな電気エネルギが消費されるので、目標充電量を増加し十分な充電量を確保しておく。逆に、例えば高車速が所定時間以上継続した場合、車両は、将来減速することが予想される。この場合、モータ・ジェネレータの発電機能で大きな回生エネルギが得られるので、目標充電量を減少しておき、回生エネルギの回収領域を増大しておき、回生エネルギの回収を十分に行う。
【0013】この構成によれば、バッテリの小型化を図りつつ、要求される充放電を効率的に行うことができる。
【0014】上記のような目的を達成するために、上記構成において、前記目標値変更手段は、車両周囲温度に応じてバッテリの充電目標値を変更することを特徴とする。
【0015】この構成によれば、車両周囲温度が低い場合、例えば氷点下の場合、バッテリの充放電効率が低下している場合でも効率の低下を補うように充電目標値を増加変更するので、バッテリの小型化を図りつつ、要求される充放電を効率的に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0017】図1には、本発明の実施形態に係るハイブリッド(HV)車両10の構成概念図が示されている。HV車両10は、駆動源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、単にエンジンという)12と、モータ・ジェネレーター(MG)14を含んでいる。なお、図1においては、説明の便宜上、MG14をモータ14Aとジェネレーター14Bと表現するが、HV車両10の走行状態に応じて、モータ14Aがジェネレーターとして機能したり、ジェネレーター14Bがモータとして機能したりする。
【0018】HV車両10には、この他に、エンジン12やMG14で発生した動力を車輪側16に伝達したり、車輪側16の駆動力をエンジン12やMG14に伝達する減速機18と、エンジン12の発生する動力を車輪側16とジェネレータ14Bとの2経路に分配する動力分割機構(図1においては、例えば遊星歯車)20と、MG14を駆動するための電力を充電しておくHVバッテリ22と、HVバッテリ22の直流とモータ14A及びジェネレーター14Bの交流を交換しながら電流制御を行うインバータ24と、HVバッテリ22の充放電状態を管理制御するバッテリ電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)26と、エンジン12の動作状態を制御するエンジンECU28と、HV車両10の状態に応じてMG14及びバッテリECU26、インバータ24等を制御するMGECU30と、バッテリECU26、エンジンECU28、MGECU30等を相互に管理制御して、HV車両10が最も効率よく運行できるようにHVシステム全体を制御するHVECU32等を含んでいる。なお、図1においては、各ECUを別構成しているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい。
【0019】図1に示すようなHVシステムを搭載するHV車両10においては、発進時や低速走行時等エンジン12の効率が悪い場合には、MG14のモータ14AのみによりHV車両10の走行を行い、通常走行時には、例えば動力分割機構20によりエンジン12の動力を2経路に分け、一方で車輪側16の直接駆動を行い、他方でジェネレーター14Bを駆動し発電を行う。この時発生する電力でモータ14Aを駆動して車輪側16の駆動補助を行う。また、高速走行時には、更にHVバッテリ22からの電力をモータ14Aに供給しモータ14Aの出力をアップし車輪側16に対して駆動力の追加を行う。一方、減速時には、車輪側16により従動するモータ14Aがジェネレーターとして機能し回生発電を行い、回収した電力をHVバッテリ22に蓄える。なお、HVバッテリ22の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン12の出力を増加しジェネレーター14Bによる発電量を増やしHVバッテリ22に対する充電量を増加する。もちろん、低速走行時でも必要に応じてエンジン12の駆動量を増加する制御を行う。例えば、上述のようにHVバッテリ22の充電が必要な場合や、空気調和装置(エアコン)等の補器を駆動する場合やエンジン12の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合等である。
【0020】本実施形態の特徴的事項は、HVバッテリ22を小型化し、容量を小さくした場合でも、HVバッテリ22の将来の充放電状態を予測して、当該HVバッテリ22の目標充電状態(目標SOC)を適宜変更して効率的な充放電を行わせるところである。
【0021】図2には、図1に示す各ECUを関連付けながらHVバッテリ22の目標SOCの変更を説明するために、各ECU内部構成を機能毎に示したブロック図が示されている。
【0022】通常、HVECU32は、HV車両10の走行制御を行いつつ、HVバッテリ22のSOCが目標SOCに収束するように、エンジン12の出力やMG14の駆動状態を総合的に管理している。なお、目標SOCは、充電及び放電の両方をある程度行えるように、デフォルト値として60%等に設定されている。
【0023】次に、HV車両10の全体の制御について説明する。まず、HVECU32に含まれるアクセル開度認識部34は、アクセルペダル36に配置されたセンサ36aによって運転者のアクセル踏み込み量を認識し、車速認識部38は車速センサ40等からの情報に基づきHV車両10の現在車速を認識する。そして、出力軸トルク算出部42は、アクセル開度と車速とに基づいて、運転者が要求している走行状態を実現するために必要な出力軸トルクを算出し、車両必要動力算出部44が運転者が要求している走行状態を実現するために必要なエンジンの動力を算出する。また、HVECU32に含まれる補機要求量認識部46は、エアコン等の補機48の運転状態に基づき、補機48の運転に必要なエネルギを算出する。
【0024】一方、バッテリECU26に含まれるSOC認識部50は、HVバッテリ22の充電状態をチェックする。バッテリECU26には、HVバッテリ22のSOCを最適に維持するために、目標SOCが設定されていて、通常、要求発電量算出部52では、目標SOC(例えば、60%)にSOCが収束するように、ジェネレータ14Bで発電できるように、要求発電量の算出を行う。例えば、図3に示すように、目標SOCが60%に設定されていて、SOC認識部50で認識した現在のHVバッテリ22のSOCが50%の場合、4KWの発電が要求される。また、現在のHVバッテリ22のSOCが70%の場合、−4KWの発電、すなわち4KWの放電が要求される。
【0025】前述したように、HV車両10の将来の走行によって、大きな電力の放電が要求されたり、大きな回生電力の発生により大きな充電が要求されたりする場合がある。ところが、前述のようにHVバッテリ22の小型化を行った場合、目標SOCから充放電できる量が減少するため十分な充放電を行うことができなくなる。そこで、HVECU32に含まれる充放電予測部(充放電予測手段)54は、例えば、車速認識部38からの情報に基づき、HV車両10が将来どのような走行を行うかを予測し、その予測結果に基づきHVECU32に含まれる目標SOC変更部(目標値変更手段)56が目標SOCをデフォルト値60%から変更する。例えば、低車速が所定時間以上継続した場合、HV車両10は、将来停止するか、或いは大きく加速することが予想される。HV車両10が停止した場合、次に発生する動作は、始動である。前述したように、始動時には素早くエンジン回転数を引き上げる必要があるため、HVバッテリ22からの放電が行われる。特に、エンジン12がフリクションの大きなディーゼルエンジンの場合、さらに大きな放電が行われることになる。また、HV車両10が大きく加速する場合もモータ14Aによるトルクアシストを行うことが望ましいので、HVバッテリ22からの放電が大きく行われる。このように、HV車両10が低車速で走行している場合、次に予想される走行動作によりモータ14Aで大きな電気エネルギが消費されるので、HVバッテリ22には、より多くの電力を準備しておく必要がある。そのため、目標SOCを増加し十分な充電量を確保しておく。
【0026】逆に、高車速が所定時間以上継続した場合、HV車両10は、将来減速することが予想される。この場合、ジェネレータ14Bで大きな回生エネルギが得られるので、この回生エネルギを無駄なく回収するために、目標SOCを小さくしてHVバッテリ22の空き容量を増加しておく。HVバッテリ22の空き容量を増加させるためには、モータ14Aを用いて放電することが必要である。放電によりモータ14Aを駆動することによりHV車両10の駆動力を増加することができるので、その分エンジン12の出力を縮小することが可能になり、燃費の向上を行うことができる。
【0027】図4のフローチャートを用いて目標SOCの変更手順の一例を説明する。まず、目標SOC変更部56は目標SOCをデフォルト値である60%にする(S100)。続いて、充放電予測部54は、車速認識部38から車速情報を取得し、高車速が所定時間継続しているか否かの判断を行う(S101)。例えば、HV車両10が80km/h以上の高車速(平均車速80km/h)で、5分以上継続して走行している場合、充放電予測部54は、HV車両10は、いずれ減速すると予想する。前述したように、HV車両10が減速する場合、駆動輪側16から得られる駆動力によりジェネレータ14Bが駆動し、回生発電を行う。この時、回生される電力は、減速力が大きいほど増大するので、この回生電力をできるだけ多く回収するために、HVバッテリ22の回生電力を充電するための領域を予め準備する。すなわち、HVバッテリ22の現状のSOCを下げるために、目標SOCをデフォルト値の60%から例えば50%に変更する(S102)。
【0028】一方、充放電予測部54が、(S101)で高車速が所定時間継続していないと判断した場合、低車速が所定時間以上継続しているか否かの判断を行う(S103)。例えば、HV車両10が20km/h以下の低車速(平均車速20km/h以下)で、5分以上継続して走行している場合、充放電予測部54は、HV車両10は、いずれ停止するか、再度大きく加速すると予測する。前述したように、HV車両10が停止した後は、再始動が行われるので、モータ14Aの駆動が必要になり、HVバッテリ22から大量の放電が行われる。また、大きな加速が行われる場合もモータ14Aの駆動が必要になり、HVバッテリ22から大量の放電が行われる。この時放電される電力を予め確保しておくために、HVバッテリ22の現状のSOCを増加するために、目標SOCをデフォルト値の60%から例えば70%に変更する(S104)。なお、(S103)において低車速が所定時間以上継続していないと判断されたれ、目標SOCは60%が維持される。
【0029】目標SOC変更部56が、要求発電量算出部52に確定した目標SOCを提供すると、要求発電量算出部52は、SOC認識部50で認識しているHVバッテリ22の現状のSOCと比較して、要求発電量の決定を行う。すなわち、目標SOCが70%に変更されている場合、図3に破線で示すように、現状のSOCが50%の場合、8KWの発電要求が行われる。また、目標SOCが50%に変更されている場合、図3に一点鎖線で示すように、現状のSOCが60%の場合、−4KWの発電要求、すなわち4KWの放電要求が行われる。すなわち、ジェネレータ14Bで必要な発電を行うためにエンジン12の出力をどれだけ増減すればよいかが確定する。
【0030】そして、HVECU32に含まれるエンジン出力決定部58では、車両必要動力算出部44で算出した運転者が要求している走行状態を実現するために必要なエンジンの動力と、補機要求量認識部46で算出した補機48の運転に必要なエネルギを得るために必要なエンジンの動力と、要求発電量算出部52で算出した確定した目標SOCにHVバッテリ22のSOCを収束させるために必要な発電量を得るために必要なエンジンの動力とを合計したエンジン出力を決定する。
【0031】エンジン出力が決定すると、HVECU32は、最も効率的なHV車両10の走行を行うため、エンジンECU28に含まれるエンジン回転決定部62はエンジン回転数を決定し、燃料噴射量・点火時期決定部64は燃料噴射量や点火時期を決定し、HV車両10の走行制御を行う。
【0032】図5には、HVバッテリ22のSOCの変化(太実線)と、HV車両10の車速の変化(細実線)、目標SOCの変化(破線)が示されている。目標SOCは、HV車両10が停止した結果、70%に増加している。そして、HVバッテリ22のSOCは、始動動作と共に、大きく減少するが、予め目標SOCの増加により充電量を増加してあったため十分かつスムーズなHV車両10の始動を実現している。図5においては、平均車速が20km/hであると認識され、目標SOCは、しばらく70%が維持され、将来予測される再発進や大きな加速に備えて、HVバッテリ22のSOCを70%に収束させる。その後、加速が行われ、平均車速が80km/hであると認識されると、目標SOCは50%に変更され、将来予測される減速による回生電力の回収に備えて、HVバッテリ22のSOCを50%に収束させる。
【0033】このように、HVバッテリ22の容量を小さく(小型化)しても、HV車両10の将来のHVバッテリ22の充放電状況を予測することにより、大放電が要求される前には十分な充電量を確保しておくことにより、スムーズな発進や加速を行うことができる。逆に大きな回生電力が得られ、大きな充電要求がされる前には十分な充電領域を確保しておくことにより、無駄なく回生電力を回収することができると共に、充電領域の確保のためにモータ14Aの積極的な使用を行う。その結果、エンジン12の出力を抑制できるので、燃費の向上を行うことも可能であり、総合的に効率的なHVバッテリ22の活用を行うことができる。
【0034】図6には、HVバッテリ22の充放電効率が車両の周囲温度によって低下することを考慮した目標SOCの変更手順を示すフローチャートが示されている。
【0035】まず、図4の場合と同様に、目標SOC変更部56は目標SOCをデフォルト値である60%にする(S200)。続いて、充放電予測部54は、車速認識部38から車速情報を取得し、高車速が所定時間継続しているか否かの判断を行う(S201)。例えば、HV車両10が80km/h以上の高車速(平均車速80km/h)で、5分以上継続して走行している場合、充放電予測部54は、HV車両10は、いずれ減速し、回生発電が起こり、充電余裕があると予想する。前述したように、HV車両10が減速する場合、駆動輪側16から得られる駆動力によりジェネレータ14Bが駆動し、回生発電を行う。この時、回生される電力は、減速力が大きいほど増大するので、この回生電力をできるだけ多く回収するために、HVバッテリ22の回生電力を充電するための領域を予め準備する。すなわち、目標SOC変更部56は、HVバッテリ22の現状のSOCを下げるために、目標SOCをデフォルト値の60%から例えば50%に変更する(S202)。
【0036】一方、充放電予測部54が、(S201)で高車速が所定時間継続していないと判断した場合、低車速が所定時間以上継続しているか否かの判断を行う(S203)。例えば、HV車両10が20km/h以下の低車速(平均車速20km/h以下)で、5分以上継続して走行している場合、充放電予測部54は、将来大きな放電が要求されると判断する。この時、更に、外気温センサ等からの情報に基づいて、HV車両10の外気温が所定温度、例えば、摂氏0℃より低いか否かの判断を行う(S204)。もし、外気温が所定温度より低い場合、HVバッテリ22の内部の化学変化が鈍くなり充放電効率が低下するため、充放電予測部54は放電効率が悪い状況下で大きな放電を要求される場合(特に、氷点下時等におけるモータ14Aによる始動)に備えて、目標SOC変更部56に対して予めHVバッテリ22の充電量を増加しておくために目標SOCを例えば70%に増加するように指令を出す(S205)。その結果、次回、HV車両10の始動をモータ14Aで行う場合にHVバッテリ22の放電効率が低温により低下している場合でも十分な放電を行うことが可能になり、スムーズな発進を行うことができる。
【0037】一方、充放電予測部54は、(S204)で、外気温が所定温度より低くない、つまり、外気温はHVバッテリ22の化学反応に影響を与えないと判断できる場合には、通常の始動時や加速時の大放電に備えて、目標SOC変更部56に対して、目標SOCを少し高め、例えば65%に変更するように指令を出す(S206)。なお、(S203)で低車速が所定時間継続していないと判断された場合には、HVバッテリ22の極端な充放電は要求されないと判断し、目標SOCは60%が維持される。
【0038】このように、HV車両10の次回の走行に対して、どれくらいの充放電が必要であるかを、現在の走行状態に加えて、HVバッテリ22の充放電効率を考慮して行うことにより、HVバッテリ22を小型化して、目標SOCに対する充放電範囲が狭くなるような場合においても、十分な充放電量を確保することが可能になり、効率的なHVバッテリ22の使用を行うことができる。
【0039】なお、本実施形態においては、目標SOCのデフォルト値を60%、増加変更時の値を65%や70%に設定し、減少変更時の値を50%に設定する例を示したが、各設定値は、任意であり、HVバッテリ22の能力やHV車両10の性能、使用環境等を考慮して、適宜選択することが望ましい。また、目標SOCの変更条件、すなわち、所定速度(平均速度)及びその持続時間、外気温度等も任意であり適宜選択することが望ましい。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、バッテリの小型化を図りつつ、要求される充放電を効率的に行うことのできるハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年3月23日(2000.3.23)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−268719(P2001−268719A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−82748(P2000−82748)