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【発明の名称】 モータ駆動車両のエネルギ回収制御装置
【発明者】 【氏名】中林 精一

【氏名】高椋 健治

【氏名】瀬尾 宣英

【氏名】山本 康典

【氏名】小林 明宏

【要約】 【課題】制動時の車輪スリップを確実に抑制しつつ、回生制動によるエネルギ回収効率を高める。

【解決手段】要求制動力Brefが所定閾値Bref0より小さい時は回生制動させ、所定閾値Bref0より大きい時は液圧制動させる。また、後輪スリップ発生時において、液圧制動遅れ時間TD経過前ならば、回生制動を最大限利用してエネルギを回収するために、後輪用モータによる回生制動力を、液圧制動に切り替わる期間TD前において徐々に小さくなるように設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後輪を駆動するモータと、減速時に前記モータを回生制動させる回生制動手段と、前記後輪に液圧により制動力を付与する液圧制動手段と、要求された制動力が所定値以上の時は所定値以下の時に比べて、前記要求された制動力の変化に対する前記液圧制動手段による制動力の変化割合を小さくして液圧制動する制動制御手段とを備えるモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置において、前記制動制御手段は、前記要求された制動力が所定値より小さい時は前記回生制動手段により回生制動させ、前記所定値より大きい時は前記液圧制動手段により液圧制動させることを特徴とするモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置。
【請求項2】 前記後輪のスリップ関連値を検出するスリップ検出手段を更に備え、前記制動制御手段は、前記スリップ関連値が所定度合以上となるときを前記所定値として設定することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置。
【請求項3】 前記後輪に作用する荷重を検出する荷重検出手段を更に備え、前記制動制御手段は、前記荷重が所定荷重以下となるときを前記所定値として設定することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置。
【請求項4】 前記後輪のスリップしやすい条件を判定する条件判定手段を更に備え、前記制動制御手段は、前記スリップしやすい条件が判定されると、前記所定値を小さく設定することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置。
【請求項5】 前記制動制御手段は、車速が所定車速より大きい時に実行されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,モータ駆動車両のエネルギ回収制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車には、運転者によるブレーキペダルの踏力圧が大きい時に、車輪のスリップ率から該車輪がロックしそうな状態か否かを検出し、この状態を検出すると車輪のブレーキ液圧を解放して制動力を減少させることにより車輪のロックを抑制するABS(アンチスキッド・ブレーキ・システム)が搭載されている。
【0003】また、前進走行中における制動時は後輪に比して前輪への荷重が大きくなるため、前輪より後輪がスリップしやすい状態となる。このため、制動時に前輪のブレーキ液圧に比べて後輪のブレーキ液圧の上昇を規制することにより後輪のスリップを抑制する後輪スリップ抑制システムが知られている。
【0004】この後輪スリップ抑制はプロポーショニングバルブを用いて機械的に行われていたが、ABSが搭載されるようになって後輪のブレーキ液圧を電気的に制御できるようになり、近年ではABSの液圧ユニットによりプロポーショニングバルブの機能を発揮させるEBD(Electric Brake Force Distribution)制御が行われている。
【0005】特開平9−238405号公報には、モータとエンジンとを併用して走行するハイブリッド自動車において、後輪がモータにより駆動されて回生制動すると共に、前輪を液圧制動することで、小型化を図るものが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ハイブリッド自動車の後輪用モータにより上記EBD制御を実現しようとすると、回生制動を有効に活用してエネルギを回収できないという不都合がある。
【0007】本発明は、上述の事情に鑑みてなされ、その目的は、制動時の車輪スリップを確実に抑制しつつ、回生制動によるエネルギ回収効率を高められるモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明のモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置は、以下の構成を備える。即ち、後輪を駆動するモータと、減速時に前記モータを回生制動させる回生制動手段と、前記後輪に液圧により制動力を付与する液圧制動手段と、要求された制動力が所定値以上の時は所定値以下の時に比べて、前記要求された制動力の変化に対する前記液圧制動手段による制動力の変化割合を小さくして液圧制動する制動制御手段とを備えるモータ駆動車両のエネルギ回収制御装置において、前記制動制御手段は、前記要求された制動力が所定値より小さい時は前記回生制動手段により回生制動させ、前記所定値より大きい時は前記液圧制動手段により液圧制動させる。
【0009】また、好ましくは、前記後輪のスリップ関連値を検出するスリップ検出手段を更に備え、前記制動制御手段は、前記スリップ関連値が所定度合以上となるときを前記所定値として設定する。
【0010】また、好ましくは、前記後輪に作用する荷重を検出する荷重検出手段を更に備え、前記制動制御手段は、前記荷重が所定荷重以下となるときを前記所定値として設定する。
【0011】また、好ましくは、前記後輪のスリップしやすい条件を判定する条件判定手段を更に備え、前記制動制御手段は、前記スリップしやすい条件が判定されると、前記所定値を小さく設定する。
【0012】また、好ましくは、前記制動制御手段は、車速が所定車速より大きい時に実行される。
【0013】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、要求された制動力が所定値より小さい時は回生制動させ、所定値より大きい時は液圧制動させることにより、制動時の車輪スリップを確実に抑制しつつ、回生制動によるエネルギ回収効率を高められる。
【0014】請求項2の発明によれば、後輪のスリップ関連値が所定度合以上となるときを所定値として設定することにおり、スリップ率やスリップ率の変化率に基づいて回生制動から液圧制動への切り替えを実行できる。
【0015】請求項3の発明によれば、後輪に作用する荷重が所定荷重以下となるときを所定値として設定することにより、エネルギ回生を効率よく行い、液圧制動に移行する時点でモータ回転数も低下して回生制動力が大きくなっているので、この大きな回生制動力を用いて比較的長時間に亘ってエネルギ回収が可能となる。
【0016】請求項4の発明によれば、後輪のスリップしやすい条件を判定したときに、回生制動から液圧制動に切り替わる所定値を小さくなるよう設定するので、エネルギ回生を効率よく行い、液圧制動に移行する時点でモータ回転数も低下して回生制動力が大きくなっているので、この大きな回生制動力を用いて比較的長時間に亘ってエネルギ回収が可能となる。
【0017】請求項5の発明によれば、車速が所定車速より大きい時に実行されることにより、より大きなエネルギ回生が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
[ハイブリッド自動車の機械的構成]図1は、本実施形態のハイブリッド自動車の機械的構成を示すブロック図である。
【0019】図1に示すように、本実施形態のハイブリッド自動車は、自動変速機3を介して左右の前輪FR、FLを駆動するエンジン1及び前輪用モータ2と、左右の後輪RR、RLを駆動する後輪用モータ4とを備える。
【0020】前輪用モータ2と後輪用モータ4とは、インバータ6、7を介してバッテリ5の電力により駆動されると共に、減速時及び制動時には発電機として前輪及び後輪が各々前輪用モータ2と後輪用モータ4とを駆動して回生発電を行い、バッテリ5を蓄電する。
【0021】前輪Fは、エンジン1のみ、前輪用モータ2のみ、エンジン1及び前輪用モータ2とによる3種類の形態で駆動され、これら駆動形態は遊星歯車及びクラッチからなる入力切替機構8により切り替えられる。
【0022】エンジン1は主動力源として直噴型ガソリンエンジン或いは吸気バルブの閉弁タイミングを遅延させる高燃費タイプのものが使用され、前輪用モータ2及び後輪用モータ4は補助動力源として例えば最大出力20KWのIPM同期式モータが使用され、バッテリ3は例えば最大出力30KWのニッケル水素電池が搭載される。
【0023】メインコントローラ10はCPU、ROM、RAM、インターフェース回路及びインバータ回路等からなり、エンジン1のスロットル弁開度や点火時期や燃料噴射量等を制御すると共に、前輪用及び後輪用モータ2、4の出力トルクや回転数等をエンジン1のトルク変動や自動変速機3の変速ショックを吸収するように制御する。また、メインコントローラ10は、エンジン1の駆動力により前輪用モータ2及び後輪用モータ4が発電した電力をバッテリ5に充電させるように制御する。
【0024】次に、図2乃至図7を参照して本実施形態のハイブリッド自動車の走行状態に応じた駆動力の伝達形態について説明する。
[発進時(図2)]停車中はエンジンを停止する。
【0025】発進時はバッテリ5からの電力で前輪用及び後輪用モータ2、4を駆動する。
【0026】エンジン1で走行する方が効率良い運転領域ならば、エンジン1を始動して自動変速機3を介して前輪駆動で走行する。
[通常走行及びバッテリ充電時(図3)]通常走行時は、エンジン1により自動変速機3を介して前輪駆動で走行する。
【0027】バッテリ充電時は、エンジン1で前輪用モータ2を発電機として駆動する。
[全開加速時(図4)]エンジン1による駆動に加えて、バッテリ5から電力を供給して前輪用モータ2を駆動して、前輪FR、FLの駆動力を増大する。
【0028】さらに、バッテリ5から電力を供給して後輪用モータ4を短時間駆動して、後輪RR、RLも駆動する。
[軽負荷時(図5)]低速走行時や緩やかな下り坂走行時等は、エンジン効率が低下する運転領域ではエンジン1を止め、バッテリ5から電力を供給して前輪用及び後輪用モータ2、4を駆動して走行する。
[減速及び制動時(図6)]前輪FR、FLが前輪用モータ2を駆動すると共に、後輪RR、RLが後輪用モータ4を駆動することにより、電力を回生してバッテリ5を蓄電する。
[滑りやすい路面等を走行時(図7)]前輪スリップ時は、エンジン1により前輪用モータ2を発電機として駆動してエンジン1の駆動力をダウンすると同時に、前輪用モータ2で発電した電力で後輪用モータ4を駆動する。
【0029】電力の過不足はバッテリ5で調整する。
【0030】前輪FR、FLの駆動力が大きすぎる時は、エンジンによりトルクダウンを行う。
[ハイブリッド自動車の電気的構成]図8は、本実施形態のハイブリッド自動車の電気的構成を示すブロック図である。
【0031】図8に示すように、メインコントローラ10には、車速を検出する車速センサ11からの信号、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ12からの信号、エンジン1に供給される電力を検出する電圧センサ13からの信号、エンジン1のスロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ14からの信号、ガソリン残量センサ15からの信号、バッテリ5の蓄電残量を検出する蓄電残量センサ16からの信号、セレクトレバーによるシフトレンジを検出するシフトレンジセンサ17からの信号、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出するためのアクセルストロークセンサ18からの信号、スタートスイッチからの信号19、その他のセンサとして、自動変速機3の作動油温度を検出する油温センサからの信号等を入力してエンジン1に対してスロットル弁開度や点火時期や燃料噴射量の制御等を行うと共に、前輪用及び後輪用モータ2、4へ供給する電力量の制御等を行う。また、メインコントローラ10は、上記各種センサ信号から車両の運転状態に関するデータ、車速、エンジン回転数、電圧、ガソリン残量、バッテリの蓄電残量、シフトレンジ、電力供給系統等をLCD等の表示部20に表示させる。
【0032】ブレーキコントローラ40はメインコントローラ10と双方向で通信可能に接続され、車輪速センサから車輪速信号を入力して、各車輪速vFR,FL,RR,RLから推定演算される車体速と現在の車輪速から各車輪のスリップ量(率)を演算することにより、各車輪に設けられたブレーキ装置27FR、FL、RR、RLを制御して制動時の車輪のロックを抑制するABSや制動時の後輪のスリップを抑制するEBDを実行する。
[ABS及びEBDシステム]本実施形態のハイブリッド自動車には、ABS及びEBDシステムが搭載されている。
【0033】図9は、ABS及びEBDシステムの機械的構成を示す図である。
【0034】図9に示すように、マスタバッグ21はドライバによるブレーキペダル22の踏力圧を増大させる。マスタシリンダ23はマスタバッグ21で増大された踏圧力に応じたブレーキ液圧(マスタシリンダ圧)を発生させる。マスタシリンダ23で発生したブレーキ圧は、2本の液圧供給ライン24、25により周知のABSの液圧ユニット26に送給され、この液圧ユニット26により車両の前後左右の4車輪に分配されて、右前輪FRのブレーキ装置27FR、左前輪FLのブレーキ装置27FL、右後輪RRのブレーキ装置27RR、左後輪RLのブレーキ装置27RLに夫々送給される。
【0035】2本の液圧供給ライン24、25の内の第1液圧供給ライン24は液圧ユニット26内で前輪と後輪に分岐して、夫々右前輪のブレーキ装置27FRと左後輪のブレーキ装置27RLとに接続される一方、第2液圧供給ライン25も同様に分岐して左前輪のブレーキ装置27FLと右後輪のブレーキ装置27RRとに接続されており、ブレーキ液圧配管はいわゆるクロスタイプの2系統配管を構成している。
【0036】また、液圧ユニット26は、第1及び第2液圧供給ライン24、25の分岐路24a,24b,25a,25bに夫々設けられ、マスタシリンダ23と各ブレーキ装置27FR、27FL、27RR、27RLとを夫々連通状態又は遮断状態切り替える4つのインレットバルブ28と、各インレットバルブ28の下流に設けられ、各ブレーキ装置27FR、27FL、27RR、27RLとリザーバタンク30とを夫々連通状態又は遮断状態に切り替える4つのアウトレットバルブ29とを備える。
【0037】各インレットバルブ28は2ポート2位置の常開型の電磁弁であり、ブレーキコントローラ40からの信号を受けて開状態と閉状態との間で切り替えられて、各ブレーキ装置27FR、27FL、27RR、27RLのホイールシリンダ27aにマスタシリンダ23から供給するブレーキ液圧を調整する。また、各アウトレットバルブ29は2ポート2位置の常閉型の電磁弁であり、ブレーキコントローラ40からの信号を受けて開状態に切り替えられて、各ホイールシリンダ27aとリザーバタンク30とを連通状態にしてブレーキ液圧(ホイールシリンダ圧)を減圧する。
【0038】そして、ブレーキコントローラ40からの制御信号が出力されない間は、ドライバによるブレーキペダル22の踏み込み操作に応じてマスタシリンダ23で発生したブレーキ液圧が、開状態になっているインレットバルブ28を介して各ホイールシリンダ27aに供給されて各車輪に制動力が付与される。また、ブレーキコントローラ40からの制御信号の入力を受けてインレットバルブ28及びアウトレットバルブ29が夫々独立に開閉作動されることで各ブレーキ装置27FR、27FL、27RR、27RLのホイールシリンダ圧が増減されて、各車輪に付与される制動力が夫々制御される。
【0039】バイパスチェックバルブ31は、各インレットバルブ28が閉状態になっているときにホイールシリンダ27aからマスタシリンダ23へのブレーキ液の流れを許容する。また、液圧ユニット26には、リザーバタンク30に排出されたブレーキ液をマスタシリンダ23に送給する液圧ポンプが設けられている。
【0040】ブレーキコントローラ40は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等からなり、各車輪に設けられた車輪速センサ41、ドライバによるブレーキペダル22の踏み込み操作を検出するフットブレーキスイッチ(以下FBSWという)42、パーキングブレーキによる制動状態を検出するパーキングブレーキスイッチ(以下PBSW)43、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ12、自動変速機のギアポジションを検出するシフトレンジセンサ17及びマスタシリンダ23のブレーキ液圧(マスタシリンダ圧)を検出する液圧センサ46からの出力信号が入力される。また、ブレーキコントローラ40は、液圧ユニット26のインレットバルブ28及びアウトレットバルブ29に制御信号を出力する。
【0041】ブレーキコントローラ40は、上記各種センサからの検出信号に基づいて、ABS及び後述するEBD制御を実行する。
[ABS及びEBD制御]ブレーキコントローラ40は、図10に示すように、ドライバが車両に乗り込んでスタートスイッチをオンすると、ステップS1で、車輪速センサ41、フットブレーキスイッチ42、パーキングブレーキスイッチ43、エンジン回転数センサ12、シフトレンジセンサ17及び液圧センサ26からの検出信号を読み込む。
【0042】ステップS2では、車両の各車輪速vFR、vFL、vRR、vRLを平均して車体速VBを演算する。
【0043】ステップS3では、各センサ、スイッチ及びブレーキコントローラ40の故障を検出し、ステップS4ではABS制御を行う。ABS制御は、運転者によるブレーキペダルの踏力圧(要求制動力)が大きい時に、各車輪のスリップ率SLFR〜SLRLと予め設定された閾値との偏差ΔSLFR〜ΔSLRLからロックしそうな車輪を検出し、該当する車輪が目標スリップ率SL0に収束するように各車輪のブレーキ液圧を解放して制動力を減少させるよう制御するものである。
【0044】ステップS5では、液圧ユニット26にプロポーショニングバルブの機能を発揮させるEBD制御を実行する。EBD制御は、車両の減速度が所定閾値を超えた時に、液圧ユニット26の後輪側の2つのインレットバルブ28により左右後輪RR、RLのブレーキ装置27RR、27RLへのブレーキ液圧を制御して後輪に対する制動力の増大を規制するものである。
【0045】ステップS6では、ABS制御及びEBD制御を同時に実行する時の協調制御として、EBD制御における後輪制動力の増大規制の度合を緩和させる。
[EBDの制動制御]ブレーキコントローラ40は、図11に示すように、ステップS11でブレーキ踏力圧を演算する。ブレーキ踏力圧はマスタシリンダ圧が大きいほど大きくなる。
【0046】ステップS13では、ドライバによりフットブレーキスイッチがオンされたか判定し、オンされたならば(ステップS13でYES)、ステップS15に進み、オンされていないならば(ステップS13でNO)、ステップS14に進む。
【0047】ステップS14では、フラグFをリセットしてリターンする。フラグFは、回生制動から液圧制動に移行した時にセットされる。
【0048】ステップS15では、ドライバがブレーキ操作しているので、そのブレーキ踏力圧に応じた各輪の要求制動力Brefを設定する。
【0049】ステップS17では、バッテリ5の蓄電残量SCが所定閾値SC0を下回るか判定する。ステップS17で蓄電残量SCが所定閾値SC0を下回るならば(ステップS17でYES)、ステップS19に進み、所定閾値SC0を下回らないならば(ステップS17でNO)、ステップS37に進む。
【0050】ステップS19では、下記式1から各車輪のスリップ率SLFR〜SLRLを演算する。
【0051】
SLFR〜SLRL=−VB+(vFR〜vRL)/VB…(1)
ステップS21では、左右後輪RR、RLのスリップ率SLRR、SLRLが所定閾値SLR0を超えるか判定する。
【0052】ステップS21で、後輪のスリップ率SLRR、SLRLが所定閾値SLR0を超えたならば(ステップS21でYES)、ステップS23に進み、後輪のスリップ率SLRR、SLRLが所定閾値SLR0を超えないならば(ステップS21でNO)、図12で後述するステップS43に進む。所定閾値SLR0はEBD制御の開始閾値となり、図15に示すように、ABS制御の開始閾値SABSより小さい値に設定される。ABS制御では、各車輪のスリップ率速SLFR,FL,RR,RLが開始閾値SABSを超えると、各車輪の液圧制動力の増大を規制して目標スリップ率SLAに収束するように制御する。
【0053】ステップS23では、フラグFがセットされ、既に回生制動から液圧制動に移行しているか判定し、フラグFがセットされているならば(ステップS23でYES)、ステップS24で既に設定された液圧制動力BFrefを所定期間TAだけ保持する。また、フラグFがセットされていないならば(ステップS23でNO)、ステップS25に進んで、液圧制動力BFrefを要求制動力Brefに所定期間TAだけ設定する。
【0054】ステップS27では、液圧制動開始時の遅れ時間を考慮して、液圧制動による遅れ時間TDが経過したか判定し、遅れ時間TD経過後(ステップS27でYES)ならば、後輪スリップを抑制するための液圧制動力BFrefを付与し、ステップS29で後輪用モータ4による回生制動力BMをゼロにリセットし、ステップS31でフラグFをセットする。この遅れ時間TDは、液圧制動時の応答遅れ時間であり、通常数十msecに設定される。
【0055】一方、TD経過前(ステップS27でNO)ならば、液圧制動遅れにより液圧制動力が前回値のままで、且つバッテリ5の蓄電残量SCが少ない状態なので、回生制動を最大限利用してエネルギを回収するために、ステップS28で後輪用モータ4による回生制動力BMを設定する。この回生制動力BMは、後輪スリップ発生前に設定された回生制動力BMから補正値ΔBMを減算して、液圧制動に切り替わる期間TD前において徐々に小さくなるように設定し、液圧制動に介入するまでの間にエネルギ回生を効率よく行っている。
【0056】ステップS33では、液圧制動力BFrefに応じて液圧ユニット26の後輪側の2つのインレットバルブ28をデューティ制御することにより左右後輪RR、RLのブレーキ装置27RR、27RLへのブレーキ液圧を制御する液圧制動制御を実行する。
【0057】ステップS35では、後輪用モータ4から回生制動力BMが発生するようにインバータ7を制御する回生制動制御を実行する。
【0058】また、ステップS17でバッテリ5の蓄電残量SCが所定閾値SC0を下回らないならば(ステップS17でNO)、ステップS37に進み、要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えるか判定する。
【0059】ステップS37で要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えるならば(ステップS37でYES)、ステップS39に進み、液圧制動力BFrefを要求制動力Brefに設定してステップS33に進む。
【0060】また、ステップS37で要求制動力Brefが所定閾値Bref0を超えないならば(ステップS37でNO)、ステップS41に進み、後輪用モータ4による回生制動力BMを要求制動力Brefに設定してステップS33に進む。回生制動力BMは、図14のマップからモータ回転数NMとして設定される。
【0061】尚、上記ステップS37〜S41において、前輪FR、FLは所定閾値Bref0を超えると回生制動から液圧制動に切り替わる。また、ステップS37〜S41は省いてもよい。
【0062】更に、ステップS21で後輪のスリップ率SLRR、SLRLが所定閾値SLR0を超えないならば(ステップS21でNO)、図12に示すステップS43に進み、フラグFがセットされ、既に回生制動から液圧制動に移行しているか判定し、フラグFがセットされていないならば(ステップS43でNO)、ステップS45で前輪用及び後輪用モータ2、4による回生制動力BMを演算する。
【0063】ステップS47では要求制動力Brefが回生制動力BMを超えるか判定し、要求制動力Brefが回生制動力BMを超えないならば(ステップS47でNO)、不足分を液圧制動により補う必要はないので、ステップS48で液圧制動力BFrefをゼロに設定する。
【0064】また、要求制動力Brefが回生制動力BMを超えるならば(ステップS47でYES)、ステップS49で要求制動力Brefから回生制動力BMを差し引いた不足分を液圧制動力BFrefとして設定してステップS33に進む。
【0065】更に、ステップS43でフラグFがセットされているならば(ステップS43でYES)、回生制動から液圧制動に移行したのでステップS51に進み、液圧制動力BFrefを設定する。この液圧制動力BFrefは、図13に示すように、回生制動から液圧制動に切り替わっているので、前回設定された液圧制動力BFrefに補正値ΔBFを加算して液圧制動力BFrefを徐々に上昇させるように設定し、ステップS33に進む。
【0066】ステップS53では、回生制動は行わないので、ステップS53で回生制動力BMをゼロに設定する。
【0067】以上のように、本実施形態によれば、図13に示すように、要求制動力Brefが所定閾値Bref0より小さい時は回生制動させ、所定閾値Bref0より大きい時は液圧制動させることにより、制動時の車輪スリップを確実に抑制しつつ、回生制動によるエネルギ回収効率を高められる。
【0068】また、後輪スリップ発生時において、液圧制動遅れ時間経過前ならば、回生制動を最大限利用してエネルギを回収するために、後輪用モータ4による回生制動力BMを設定するが、この回生制動力BMは、後輪スリップ発生前に設定された回生制動力BMから補正値ΔBMを減算して、液圧制動に切り替わる期間TD前において徐々に小さくなるように設定しているので、液圧制動に介入するまでの間にエネルギ回生を効率よく行うことができる。[変形例]尚、上記実施形態では後輪RR、RLのスリップ率から後輪スリップを検出したが、後輪に作用する荷重を検出し、上記EBD制御は、この荷重が所定荷重以下となった時は回生制動を行い、所定荷重以上となった時に液圧制動に切り替えるようにしてもよい。
【0069】このように、後輪に作用する荷重に基づいてEBD制御における回生制動から液圧制動への切り替えを行うことにより、エネルギ回生を効率よく行い、液圧制動に移行する時点でモータ回転数NMも低下して回生制動力が大きくなっているので、この大きな回生制動力を用いて比較的長時間に亘ってエネルギ回収が可能となる。
【0070】また、後輪のスリップしやすい条件(静止荷重や路面摩擦係数μ)を判定し、スリップしやすい条件を判定したときに(静止荷重大、前輪スリップ時、低温時)、回生制動から液圧制動に切り替わる閾値を小さくなるよう設定してもよい。
【0071】更に、上記EBD制御を車速が所定車速より大きい時に実行すればより大きなエネルギ回生が可能となり、所定車速より小さい時には要求制動力が大きくても後輪用モータに逆トルクを付与して制動を実行すれば、制動応答性を向上することができる。
【0072】尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【出願日】 平成12年3月16日(2000.3.16)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳 (外2名)
【公開番号】 特開2001−268704(P2001−268704A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−74732(P2000−74732)