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【発明の名称】 パラレルハイブリッド車両
【発明者】 【氏名】中島 健治

【要約】 【課題】駆動系の振動を抑制すると共に、エンジン回転数の増大を抑制し、速やかにエンジンとモータ/発電機とを直結して発進を終了する。

【解決手段】エンジン回転数NE とスロットル開度THとからマップ検索により目標モータ/発電機トルクT* M/G をフィードフォワード的に求め、これを、駆動系振動周波数より低い周波数帯域を通過するローパスフィルタにかけて駆動系振動成分を除去する。前記マップでは、エンジンのアイドル回転数より低い領域では目標モータ/発電機トルクを零とし、所望する直結回転数までの間でゲインを大きくしてモータ/発電機の回転数を高め、それより高いエンジン回転数では、エンジンと同等のトルクが発生するようにしてエンジンとモータ/発電機との直結を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、発電機及び電動機の両機能を備えた電動発電機と、変速装置と、前記エンジンの出力トルク及び電動発電機の出力トルクを合成して出力するトルク合成機構と、前記エンジンと電動発電機とを直結する直結クラッチと、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、前記電動発電機のトルクを制御するトルク制御手段とを備えたパラレルハイブリッド車両であって、車両発進時に前記直結クラッチを非締結状態として、前記エンジン回転数検出手段で検出されるエンジン回転数を所定回転数に維持するように前記トルク制御手段を制御するパラレルハイブリッド車両において、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度検出手段を備え、前記トルク制御手段は、前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数及びスロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度に基づいて、所定のマップから目標とする電動発電機のトルクを設定する目標電動発電機トルク設定手段と、この目標電動発電機トルク設定手段で設定された目標電動発電機トルクのうち、所定の周波数より小さい周波数域の目標電動発電機トルクを通過するローパスフィルタとを備え、前記目標電動発電機トルク設定手段で設定された目標電動発電機トルクをローパスフィルタに通した値に基づいて前記電動発電機のトルクを制御することを特徴とするパラレルハイブリッド車両。
【請求項2】 前記マップは、エンジンのアイドル回転数付近に設定された所定エンジン回転数以下の領域で、エンジンのトルクが目標とする電動発電機のトルクより大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項3】 前記マップは、車両発進後に前記エンジンと電動発電機とを直結クラッチで直結するエンジン回転数付近に設定された所定エンジン回転数域で、エンジンのトルクと目標とする電動発電機のトルクとが同等又はほぼ同等になるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項4】 前記マップは、所定のスロットル開度でエンジン回転数が大きいほど目標とする電動発電機のトルクが大きく設定されると共に、エンジン回転数が大きくなるほど、目標とする電動発電機のトルクの増大傾きが小さく設定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項5】 前記ローパスフィルタの周波数特性を設定するローパスフィルタ設定手段を備え、このローパスフィルタ設定手段は、前記変速装置の減速比が小さいほど、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項6】 前記変速装置が、締結時に駆動輪側からの駆動力を前記トルク合成機構側に伝達可能なエンジンブレーキ用クラッチを有し、前記ローパスフィルタの周波数特性を設定するローパスフィルタ設定手段を備え、このローパスフィルタ設定手段は、前記変速装置内のエンジンブレーキ用クラッチが解放しているときに、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項7】 前記ローパスフィルタの周波数特性を設定するローパスフィルタ設定手段を備え、このローパスフィルタ設定手段は、前記直結クラッチが解放されているときに、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項8】 前記目標電動発電機トルク設定手段は、前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数の時間平均値を用いて、目標とする電動発電機のトルクを設定することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項9】 前記目標電動発電機トルク設定手段は、前記スロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度の時間平均値を用いて、目標とする電動発電機のトルクを設定することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項10】 前記トルク制御手段は、前記目標電動発電機トルク設定手段で設定された目標電動発電機トルクの時間平均値を前記ローパスフィルタに通して、前記目標電動発電機のトルクを制御することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと、発電機を兼ねる電動機とを有し、これらの出力トルクを、遊星歯車機構からなるトルク合成機構を介して変速装置に伝達することにより、エンジン及び電動機の何れか一方又は双方で走行駆動力を得るようにしたパラレルハイブリッド車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のパラレルハイブリッド車両としては、例えば特開平10−304513号公報に記載されるものがある。この従来例に記載されるものは、エンジンの出力トルクと、電動発電機の出力トルクとを、遊星歯車機構からなるトルク合成機構によって合成し、それを変速装置を介して駆動輪に伝達する。このパラレルハイブリッド車両の発進方法は、エンジンの回転数の上昇を抑制しながら、電動発電機の回転数をエンジンの回転数に一致するように、当該電動発電機にトルクを発生させて、この電動発電機の回転数とエンジンの回転数とが一致又はほぼ一致したら、エンジンと電動発電機とを直結クラッチで直結し、それ以後は、車速が低下しない限り、エンジンのみ、又はエンジンと電動発電機とで駆動力を発生するようにしている。ちなみに、電動発電機のトルクは、スロットルバルブの開度及びエンジンの回転数に応じて制御するようにしている。つまり、スロットル開度とエンジン回転数とからエンジンの発生トルクを予測し、そのエンジントルクが得られるように電動発電機の回転数やトルクを制御する。例えば、発進を判定したときのエンジン回転数を目標回転数に設定し、その目標回転数と実際のエンジン回転数との差分値をPIDコントローラ、つまり比例・積分・微分制御装置に入力し、その出力値を電動発電機のトルク指令値とする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したようなパラレルハイブリッド車両では、前記トルク合成機構を構成する遊星歯車機構の歯数比(サンギヤ/リングギヤ)によるトルク増大機能があるため、トルクコンバータを介装する必要がない。ところが、駆動系内にトルクコンバータのような流体継手がないと、駆動系の捩り振動が発生し易くなる。これは、流体継手があれば、その流体が捩り振動を吸収してくれるのに対して、流体継手を介装しないためであると考えられる。そして、この駆動系捩り振動によってエンジンの回転数に振動が発生すると、前述のようにエンジンの回転数をフィードバックする方法では、一種のハンチングが生じ、電動発電機の回転数やトルクにも振動が生じてしまう。
【0004】このような問題を抑制するためには、例えば前記PIDコントローラのゲインを小さくすることが考えられる。しかしながら、このようにゲインを小さくすると、電動発電機の応答遅れが生じ、その結果、エンジンの回転数が上昇し易くなり、同時に電動発電機への要求出力トルクが大きくなるので、電動発電機、バッテリ等の容量、重量の増大やコストアップの要因になってしまう。
【0005】本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、特に発進時にエンジンの回転数の上昇を抑制しながら、電動発電機を速やかに且つ滑らかに駆動してエンジンと直結状態とすることで、電動発電機やバッテリ等の小型化やコストの低廉化を図ることができるハイブリッド車両を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係るパラレルハイブリッド車両は、エンジンと、発電機及び電動機の両機能を備えた電動発電機と、変速装置と、前記エンジンの出力トルク及び電動発電機の出力トルクを合成して出力するトルク合成機構と、前記エンジンと電動発電機とを直結する直結クラッチと、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、前記電動発電機のトルクを制御するトルク制御手段とを備えたパラレルハイブリッド車両であって、車両発進時に前記直結クラッチを非締結状態として、前記エンジン回転数検出手段で検出されるエンジン回転数を所定回転数に維持するように前記トルク制御手段を制御するパラレルハイブリッド車両において、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度検出手段を備え、前記トルク制御手段は、前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数及びスロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度に基づいて、所定のマップから目標とする電動発電機のトルクを設定する目標電動発電機トルク設定手段と、この目標電動発電機トルク設定手段で設定された目標電動発電機トルクのうち、所定の周波数より小さい周波数域の目標電動発電機トルクを通過するローパスフィルタとを備え、前記目標電動発電機トルク設定手段で設定された目標電動発電機トルクをローパスフィルタに通した値に基づいて前記電動発電機のトルクを制御することを特徴とするものである。
【0007】また、本発明のうち請求項2に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1の発明において、前記マップは、エンジンのアイドル回転数付近に設定された所定エンジン回転数以下の領域で、エンジンのトルクが目標とする電動発電機のトルクより大きくなるように設定されていることを特徴とするものである。また、本発明のうち請求項3に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1又は2の発明において、前記マップは、車両発進後に前記エンジンと電動発電機とを直結クラッチで直結するエンジン回転数付近に設定された所定エンジン回転数域で、エンジンのトルクと目標とする電動発電機のトルクとが同等又はほぼ同等になるように設定されていることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明のうち請求項4に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1乃至3の発明において、前記マップは、所定のスロットル開度でエンジン回転数が大きいほど目標とする電動発電機のトルクが大きく設定されると共に、エンジン回転数が大きくなるほど、目標とする電動発電機のトルクの増大傾きが小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明のうち請求項5に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1乃至4の発明において、前記ローパスフィルタの周波数特性を設定するローパスフィルタ設定手段を備え、このローパスフィルタ設定手段は、前記変速装置の減速比が小さいほど、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することを特徴とするものである。
【0010】また、本発明のうち請求項6に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1乃至5の発明において、前記変速装置が、締結時に駆動輪側からの駆動力を前記トルク合成機構側に伝達可能なエンジンブレーキ用クラッチを有し、前記ローパスフィルタの周波数特性を設定するローパスフィルタ設定手段を備え、このローパスフィルタ設定手段は、前記変速装置内のエンジンブレーキ用クラッチが解放しているときに、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のうち請求項7に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1乃至6の発明において、前記ローパスフィルタの周波数特性を設定するローパスフィルタ設定手段を備え、このローパスフィルタ設定手段は、前記直結クラッチが解放されているときに、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することを特徴とするものである。
【0012】また、本発明のうち請求項8に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1乃至7の発明において、前記目標電動発電機トルク設定手段は、前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数の時間平均値を用いて、目標とする電動発電機のトルクを設定することを特徴とするものである。また、本発明のうち請求項9に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1乃至8の発明において、前記目標電動発電機トルク設定手段は、前記スロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度の時間平均値を用いて、目標とする電動発電機のトルクを設定することを特徴とするものである。
【0013】また、本発明のうち請求項10に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1乃至9の発明において、前記トルク制御手段は、前記目標電動発電機トルク設定手段で設定された目標電動発電機トルクの時間平均値を前記ローパスフィルタに通して、前記目標電動発電機のトルクを制御することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のパラレルハイブリッド車両駆動装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であり、エンジン1及び発電機及び電動機として作用する電気的回転駆動源としての3相誘導モータ/発電機で構成される交流式のモータ/発電機(電動発電機)2の出力側が、夫々、トルク合成機構である差動装置3の入力側に連結され、この差動装置3の出力側がトルクコンバータ等の発進装置を搭載していない変速装置4の入力側に接続され、変速装置4の出力側が図示しない終減速装置等を介して駆動輪5に連結されている。ちなみに、この実施形態では、前記差動装置3と変速装置4との間に、オイルポンプ13が配設されており、このオイルポンプ13で創成される流体圧が変速装置4の制御並びに差動装置3の直結クラッチの締結解放に用いられる。
【0015】ここで、エンジン1はエンジン用コントローラECによって制御され、モータ/発電機2は、例えば図2に示すステータ2Sとロータ2Rとを有し、充電可能なバッテリやコンデンサで構成される蓄電装置6に接続されたモータ/発電機駆動回路7によって駆動制御される。モータ/発電機駆動回路7は、蓄電装置6に接続されたチョッパ7aと、このチョッパ7aとモータ/発電機2との間に接続された例えば6つのサイリスタを有し直流を3相交流に変換するインバータ7bとで構成され、チョッパ7aに後述するモータ/発電機用コントローラ12からのデューティ制御信号DSが入力されることにより、このデューティ制御信号DSに応じたデューティ比のチョッパ信号をインバータ7bに出力する。このインバータ7bは、図示しないモータ/発電機2のロータの回転位置を検出する位置センサの回転位置検出信号に基づいて、モータ/発電機2の正回転時には電動機として作用させ、逆回転時には発電機として作用させるように、その回転に同期した周波数で駆動する3相交流を形成するように、例えば前記各サイリスタのゲート制御信号を形成する。ちなみに、モータ/発電機2はエンジン1同様、車両を駆動するためにも用いられるので、車両を駆動する側への回転方向を正回転とし、その逆方向への回転方向を逆回転と定義する。
【0016】また、差動装置3は、図2に示すように、トルク合成機構として遊星歯車機構21を備えて構成されている。この遊星歯車機構21は、エンジン1とモータ/発電機との間で作動機能を発現しながらトルク合成機構をなすものである。そして、サンギヤSと、その外周側に等角間隔で噛合する複数のピニオンP(図示省略)と、各ピニオンPを連結するピニオンキャリアCと、ピニオンPの外側に噛合するリングギヤRとを備え、この遊星歯車機構21のリングギヤRがエンジン1に連結され、同じく遊星歯車機構21のサンギヤSがモータ/発電機2のロータ2Rに連結され、同じく遊星歯車機構21のピニオンキャリヤCが変速装置4の入力側に連結されている。
【0017】また、前記遊星歯車機構21のサンギヤS、即ちモータ/発電機2のロータ2Rとエンジン1の出力側との間には、両者の連結状態を制御する直結クラッチ36が介装されている。また、前記遊星歯車機構21のピニオンキャリヤC、即ち変速装置4の入力側とケース14との間には、当該ピニオンキャリヤC、及び変速装置4の回転方向を正回転にのみ規制し、逆回転では締結して、当該逆回転を許容しないワンウエイクラッチOWCが介装されている。
【0018】前記直結クラッチ36は、例えば湿式多板クラッチで構成され、そのシリンダ部にライン圧の給排を行う電磁弁(図示せず)の電磁ソレノイド36aに供給される制御信号CSが低レベルであるときに前記遊星歯車機構21のリングギヤR1 、即ちエンジン1と変速装置4とを切り離した非締結状態に、制御信号CSが高レベルであるときに両者間を連結した締結状態に夫々制御される。
【0019】さらに、変速装置4は、変速装置用コントローラTCによって車速とスロットル開度とをもとに予め設定された変速制御マップを参照して決定された例えば第1速〜第4速の変速比に制御される。ちなみに、この変速装置4は自動変速装置であり、締結することにより図示しない駆動輪側からの逆駆動力、所謂路面反力トルクをトルク合成機構側に伝達可能なエンジンブレーキ用クラッチ(以下、単にエンブレ用クラッチとも記す)を有している。
【0020】また、エンジン1及びモータ/発電機2には、その出力軸の回転数を検出するエンジン回転数センサ8及びモータ/発電機回転数センサ9が設けられていると共に、図示しないセレクトレバーで選択されたレンジに応じたレンジ信号を出力するインヒビタースイッチ10及びアクセルペダルの踏込みに応じたスロットル開度を検出するスロットル開度センサ11が設けられ、これら回転数センサ8及び9の回転数検出値NE 及びNM/G とインヒビタースイッチ10のレンジ信号RS及びスロットル開度センサ11のスロットル開度検出値TH等がモータ/発電機2及び直結クラッチ36を制御するモータ/発電機用コントローラ12に供給される。また、前記モータ/発電機用コントローラ12は、少なくとも前記変速装置用コントローラTCと相互通信を行い、例えば変速装置4のギヤ比(変速段)やエンジンブレーキ用クラッチの締結解放状態といった情報を、変速装置信号TSとして入力するように構成されている。
【0021】前記モータ/発電機用コントローラ12は、少なくとも入力側インタフェース回路12a、演算処理装置12b、記憶装置12c及び出力側インタフェース回路12dを有するマイクロコンピュータ12eで構成されている。入力側インタフェース回路12aには、エンジン回転数センサ8のエンジン回転数検出値NE 、モータ/発電機回転数センサ9のモータ/発電機回転数検出値NM/G 、インヒビタースイッチ10のレンジ信号RS、スロットル開度センサ11のスロットル開度検出値TH及び前記変速装置用コントローラの変速装置信号TSが入力されている。
【0022】演算処理装置12bは、例えばキースイッチ(図示せず)がオン状態となって所定の電源が投入されることにより作動状態となり、先ず初期化を行って、モータ/発電機2への駆動デューティ制御信号MS及び発電デューティ制御信号GSをオフ状態とすると共に、直結クラッチ36へのクラッチ制御信号CSもオフ状態とし、その後少なくとも発進時にエンジン回転数検出値NE 、モータ/発電機回転数検出値NM/G 、レンジ信号RS及びスロットル開度検出値TH等に基づいてモータ/発電機2及び直結クラッチ36を制御する。ちなみに、この実施形態では、車両の停車時にエンジン1の回転を停止する、所謂アイドリングストップを行うように構成されている。
【0023】記憶装置12cは、演算処理装置12bの演算処理に必要な処理プログラムを予め記憶していると共に、演算処理装置12bの演算過程で必要な各種データを記憶する。出力側インタフェース回路12dは、演算処理装置12bの演算結果である駆動デューティ制御信号MS及び発電デューティ制御信号GSとクラッチ制御信号CSとをモータ/発電機駆動回路7及び電磁ソレノイド36aに供給する。ちなみに、前記モータ/発電機2では、逆起電圧を利用することにより、車両に制動力を付与することも可能である。このモータ/発電機2の制動トルク増加制御は、モータ/発電機2が発電機として作用しているときにはモータ/発電機駆動回路7のチョッパ7aに供給するデューティ制御信号DSのデューティ比を大きくして発生する逆起電圧を増加させることにより制動トルクを増加させる。また、モータ/発電機2が電動機として作用しているときには、デューティ制御信号DSのデューティ比を小さくして駆動トルクを減少させることにより制動トルクを増加させる。また、モータ/発電機2の制動トルク減少制御は、上記とは逆に、モータ/発電機2が発電機として作用しているときには、デューティ制御信号DSのデューティ比を小さくして発生する逆起電力を減少させることにより制動トルクを減少させ、モータ/発電機2が電動機として作用しているときには、デューティ制御信号DSのデューティ比を大きくして駆動トルクを増加させることにより制動トルクを減少させる。
【0024】次に、走行状態、蓄電装置の状態、車両の操作状態に応じて前記モータ/発電機用コントローラ12で行われるエンジン1及びモータ/発電機2の各種の作動状態について説明する。前述のように、本実施形態ではアイドリングストップによって、車両の停車中にエンジン1の回転が停止されている。そこで、セレクトレバーの操作によってドライブレンジDを始めとする走行レンジが選択され、或いはパーキングレンジPやニュートラルレンジNが選択されている場合でも、スロットル開度THが“0”を越えている場合には、図3に示すように、前記モータ/発電機2を所定の回転数(必要なのは回転数とトルク)で逆回転させると、ピニオンキャリヤCは前記ワンウエイクラッチOWCによって逆回転できないため、エンジン1が正方向に回転される。この状態で、燃料を噴射することでエンジン1の回転が始動する。また、これに伴って前記オイルポンプも駆動が開始される。なお、パーキングレンジPやニュートラルレンジNが選択されているときには、変速装置4の入力側と出力側とが接続されていないので、前記直結クラッチ36を締結し、エンジン1とモータ/発電機2とを直結した状態で、モータ/発電機2を正回転し、正方向のトルクを発生させるようにしてもエンジン1を回転始動することも可能である。
【0025】このようにしてエンジン1の回転始動後に、車両を発進走行させる必要がない場合、つまりフットブレーキが踏み込まれているような場合には、そのエンジン1の回転駆動力を利用してバッテリなどの蓄電装置6に蓄電を行う。つまり、モータ/発電機2を発電機として使用し、発電を行う。このとき、セレクトレバーにより選択されている変速段がパーキングレンジPか、或いはニュートラルレンジNである場合には、変速装置4の入力側と出力側とが接続されていないので、図4aに示すように、前記直結クラッチ36でエンジン1とモータ/発電機2とを直結し、エンジン1でモータ/発電機2を正回転させながら正方向のトルクを与え、発電を行う。一方、ドライブレンジDレンジを始めとする走行レンジが選択されているときには、変速装置4の入力側と出力側とが接続されているので、図4bに示すように、ピニオンキャリヤCがワンウエイクラッチOWCで逆回転しないことを利用し、エンジン1でモータ/発電機2を逆回転させながら正方向のトルクを与え、発電を行う。
【0026】また、ドライブレンジDを始めとする走行レンジが選択され、アクセルペダルが踏み込まれると、車両を発進させるために、図5に示すように、直結クラッチ36の解放状態で、スロットル開度が大きくなるほど、大きな値に予め設定されている目標エンジン回転数NEPにエンジン1の回転数を維持しながら、モータ/発電機2を次第に正回転させるべく、正方向トルクを発生せしめ、これによりピニオンキャリヤCに正方向のトルクを与えて車両を発進加速させる。このとき、モータ/発電機2が逆回転している状態では発電機として機能し、正回転している状態ではモータとして機能している。
【0027】やがて、モータ/発電機2の回転数が、後述するように所定の回転数、つまり目標エンジン回転数NEPに維持されているエンジンの回転数に一致又はほぼ一致したら、前記直結クラッチ36を締結し、エンジン1とモータ/発電機2とを直結して車両を走行する。例えば、車両が或る程度以上の車速で高速走行しているとか、アクセルペダルの踏込み量が大きいとか、変速装置4内の減速比が大きいとか、蓄電装置6の蓄電量が少ないといった状況では、モータ/発電機2をモータとして使用するのは不利なので、図6aに示すように、モータ/発電機2ではトルクを発生せず、所謂フリーな状態にしてエンジン1でのみトルクを発生し、走行する。一方、車速が低いとか、アクセルペダルの踏込み量が小さいとか、変速装置4内の減速比が小さいとか、蓄電装置6の蓄電量が多いといった状況では、モータ/発電機2をモータとして使用しても差し支えないので、図6bに示すように、モータ/発電機2を正回転し、正方向のトルクを発生させて、エンジン1のアシストを行う。
【0028】このような加速走行状態に対して、車両が減速状態にある、所謂エンジンブレーキの効きが期待される状況では、図7に示すように、前記直結クラッチ36を締結したままで、モータ/発電機2を発電機として用い、駆動輪5から入力される路面反力トルクに対し、負の方向のトルクを発生させて、本来のエンジンブレーキの代わりに或いはそれに加えて制動力を強める。
【0029】このような一般的な走行状況の他に、本実施形態では、ドライブレンジDを始めとする走行レンジでのクリープ走行モードが設定されている。例えば、前述したエンジン回転始動直後のような状況では、図8aに示すように、アイドル回転状態にあるエンジン1で正方向のトルクを発生させながら、モータ/発電機2で正方向のトルクを発生し、両者の合成トルクで車両をクリープ走行させる。また、エンジン1が回転始動されていないときには、図8bに示すように、モータ/発電機2を正回転させながら正方向のトルクを発生し、これにより車両をクリープ走行させることも可能である。
【0030】図9aは、アクセルペダルが極僅かに踏み込まれている状態での車両発進時のタイミングチャートである。このような状態では、例えばモータ/発電機2を高速回転させて車速を著しく加速する必要はないので、エンジン回転始動後の逆回転状態のモータ/発電機2をゆっくりと正回転化しながら、正方向の一定のトルクを発生せしめ、エンジン1とモータ/発電機2との直結後は、更にエンジン1の出力トルクを低減させて、ほぼモータ/発電機2だけで車両を発進加速することができる。これに対して、図9bは、アクセルペダル全開状態での車両発進時のタイミングチャートであるが、モータ/発電機2を高速回転させることは、モータトルクを低減することになり、車両を加速するには十分でないことが多いことから、エンジン回転始動後の逆回転状態のモータ/発電機2を速やかに正回転させ、エンジン1とモータ/発電機2との直結を早め、その直結後は、エンジンの出力トルクを高め、エンジン1の出力トルクとモータ/発電機2の出力トルクで車両を発進加速し、速やかに高車速に到達させている。
【0031】このようなモータ/発電機2の制御は、主として運転者の要求する加速度に応じて行われるべきであり、本実施形態では運転者の意志を表すスロットル開度とエンジンの実際の回転数から目標とするモータ/発電機トルクを求め、そのトルクが得られるようにモータ/発電機2の回転状態、トルクを制御する。このため、本実施形態では、例えば図10のブロック図に示すような制御が行われる。即ち、前記スロットル開度と実際のエンジン回転数とからマップ検索により目標モータ/発電機トルクを求め、それを一次遅れ要素であるローパスフィルタに通して、その値を目標モータ/発電機トルク指令値としている。
【0032】次に、この目標モータ/発電機トルク指令値出力のための演算処理について、図11のフローチャートを伴って説明する。この演算処理は、前記モータ/発電機用コントローラ12内の演算処理装置12bで、所定制御時間ΔT毎のタイマ割込によって行われる。また、このフローチャートでは特に通信のステップを設けていないが、必要な情報やプログラムは随時入力インターフェース12aを介して外部からとか記憶装置12cから読込まれ、演算処理中の情報は随時記憶装置12cに記憶される。
【0033】この演算処理では、まずステップS1で、前記スロットル開度センサ11で検出されたスロットル開度THを読込む。次にステップS2に移行して、前記エンジン回転数センサ8で検出されたエンジン回転数NE を読込む。次にステップS3に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、後述する図12のマップ検索により、前記ステップS1で読込まれたスロットル開度TH及びステップS2で読込まれたエンジン回転数NE に応じた目標モータ/発電機トルクT* M/G を算出設定する。
【0034】次にステップS4に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記ステップS3で設定された目標モータ/発電機トルクT* M/G に対してローパスフィルタ処理を施す。このローパスフィルタ処理は、例えば前記変速装置4の変速段が1速であるときの駆動系の捩り振動周波数より低い周波数帯域を通過する周波数特性のものであり、その結果、例えば前記ステップS3で設定された目標モータ/発電機トルクT* M/G が振動成分を含んでいても、そのうちの駆動系の振動周波数以上のものは除去される。
【0035】次にステップS5に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記モータ/発電機2に対し、前記ステップS4でローパスフィルタ処理された目標モータ/発電機トルクT* M/G (LP)に応じた制御信号を創成出力してからメインプログラムに復帰する。次に、前記図11のステップS3で用いられる制御マップについて図12を用いて説明する。この制御マップは図12から明らかなように、エンジン回転数NE から前記目標モータ/発電機トルクT* M/G を算出設定する二次元マップであり、パラメータとしてスロットル開度THを用いている。
【0036】このマップの特徴の一つは、予めエンジン1のアイドル回転数程度に設定された第1所定エンジン回転数NE0以下の領域で目標モータ/発電機トルクT* M/Gが零である点である。これは、■.エンジン回転数NE がアイドル回転数より低い領域では、エンジントルクが安定せず、この状態で更に目標モータ/発電機トルクT* M/G がエンジン1にかかってエンジンストールが発生するのを防止する、■.目標エンジン回転数までエンジン回転数を素早く吹きあがらせる、■.エンジン1の回転数NE がアイドル回転数より低い領域でモータ/発電機2の回転数NM/G が当該エンジン回転数NE と一致或いはほぼ一致すると、その回転数でエンジン1とモータ/発電機2とが直結されてしまい、それ以後、例えばモータ/発電機2の正方向のトルクがなくなると、エンジン1がアイドル回転数より低い領域で車両を加速しなければならなくなり、結果的にエンジンストール等が生じて車両挙動が不安定になるのを防止するためである。
【0037】また、この第1所定エンジン回転数NE0以上で、それより大きい第2所定エンジン回転数NE1以下の領域では、エンジン回転数NE の増大に伴って次第に目標モータ/発電機トルクT* M/G が増加するように設定されているため、エンジン1の回転数をさほど増大させることなく、モータ/発電機2のトルクで車両を発進加速させることが可能となるのである。実際にはエンジンが発生するトルクよりも目標モータ/発電機トルクT* M/G が小さくなるように設定されているが、これは、前記トルク合成機構を構成する遊星歯車機構21の歯数比によってモータ/発電機2のトルクが増幅されるため、小さなモータ/発電機2のトルクでも車両を発進加速させることが可能である。
【0038】このことは、マップ中で、スロットル開度が大きいほど(図では1/8より2/8の方が、2/8より3/8の方が開度が大きい)目標モータ/発電機トルクT* M/G が大きいこととも関連している。同等のエンジン回転数NE 、即ち同等のエンジントルクに対して、スロットル開度THが大きいほど、目標モータ/発電機トルクT* M/G が大きいことは、例えば前記エンジン回転始動後に逆回転しているモータ/発電機2が速やかに正回転に転ずることになるが、モータ/発電機2をモータとして使用するとき、回転数が高くなればなるほどトルクは小さくなるから、実際には目標モータ/発電機トルクT* M/G が達成されにくくなる。一方、モータ/発電機2の回転数NM/G は、速やかにエンジン1の回転数NE に一致又はほぼ一致するため、エンジン1とモータ/発電機2とが直結クラッチ36によって比較的早期に直結される。そのため、車両の加速に必要なトルクをエンジン1がまかなうことになり、モータ/発電機2は不必要にトルクを発生するのを防止することが可能となるのである。
【0039】逆に、スロットル開度THが小さいほど、目標モータ/発電機トルクT* M/Gが小さいことは、例えば前記エンジン回転始動後に逆回転しているモータ/発電機2がなかなか正回転に転じず、その回転数NM/G もエンジン回転数NE に一致しにくくなるので、エンジン1とモータ/発電機2とはなかなか直結されない。このことは、スロットル開度THが小さい、即ち運転者がさほど加速力を必要としていない発進加速時に、ほぼモータ/発電機2のトルクのみ(実際にはエンジン1のアイドル回転状態でのトルクとの合成トルク)で、比較的ゆっくりと車両を加速することを意味する。一般的なエンジン1の特性は、低回転でトルクが安定しないという特徴があるため、この欠点を補って車両をゆっくりと加速することが可能となる。
【0040】一方、前記第2所定エンジン回転数NE1と同等か、或いはそれよりややエンジン回転数NE の大きい領域で、エンジン1のトルクと目標モータ/発電機トルクT* M/G とが同等となるようになっており、従ってその領域でエンジン1の回転数NE とモータ/発電機2の回転数NM/G とが一致又はほぼ一致するように設定されている。そして、これよりエンジン回転数NE の大きい領域では、目標モータ/発電機トルクT* M/G の上限値T* M/G0間での間で、目標モータ/発電機トルクT* M/G はエンジン1のトルクに一致又はほぼ一致するように設定されている。即ち、エンジン回転数NE が前記第2所定エンジン回転数NE1を超えた段階で、目標モータ/発電機トルクT* M/G が達成されると、その時点でモータ/発電機回転数NM/G がエンジン回転数NE に一致又はほぼ一致しており、その状態でエンジン1とモータ/発電機2とを直結トルク36の締結により直結すると、両者のトルクを一致させる必要がないので、例えばモータ/発電機2のトルクを徐々になくし、エンジン1のみによる違和感のない加速を行えるのである。
【0041】また、既に理解できるように、エンジン回転数NE に対する目標モータ/発電機トルクT* M/G の増加傾きが、当該目標モータ/発電機トルクT* M/G のゲインに相当する。そして、この実施形態では、幾つかの段階に区分しているが、エンジン回転数NE が増大するほど、この傾きが小さくなっている。前述のように、エンジン1のアイドル回転数程度に設定された第1所定エンジン回転数NE0よりエンジン回転数NE の小さい領域でモータ/発電機2とエンジン1とを直結させることはできないので、この領域を避け、当該第1所定エンジン回転数NE0から第2所定エンジン回転数NE1までの領域で、モータ/発電機2に大きな正方向のトルクを発生せしめて車両を加速すると共に、その正回転方向への回転数NM/G を高め、その後、エンジン回転数NE が前記第2所定エンジン回転数NE1より僅かに増大するような状態で、モータ/発電機2のトルクがエンジントルクに一致或いはほぼ一致し、同時にモータ/発電機回転数NM/G とエンジン回転数NEとが一致又はほぼ一致しているので、両者を直結して車両を加速することが可能となる。
【0042】このようなマップの設定による効果は、前述した図9のタイミングチャートにもよく現れている。また、車両が発進加速する以前から、つまり駆動系の捩り振動が発生する以前から、エンジン回転数NE とスロットル開度THとを用いて、フィードフォワード的に目標モータ/発電機トルクT* M/G を設定しているので、その分だけ、駆動系の捩り振動の影響を受けにくく、モータ/発電機2のトルクや回転数が振動しにくく、従って安定した車両の発進加速が期待される。
【0043】但し、エンジン回転数NE に駆動系の捩り振動が反映しているとき、このエンジン回転数NE を用いて目標モータ/発電機トルクT* M/G を設定すると、当該目標モータ/発電機トルクT* M/G も振動してしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、このマップ検索で設定された目標モータ/発電機トルクT* M/Gを、例えば前述したように変速装置4が1速の変速段にあるときの駆動系の捩り振動周波数以下の周波数帯域を通過するローパスフィルタにかけ、その出力値を最終的なモータ/発電機2への指令値としている。これにより、モータ/発電機2のトルクや回転数が振動しにくくなり、より一層安定した車両の発進加速が可能となる。また、ローパスフィルタの遅れ効果により、スロットル開度THが急激に変化しても、目標モータ/発電機トルクT* M/G の急激な変化を抑制することができ、合わせてモータ/発電機2の回転数やトルクの振動自体を抑制できるため、より一層駆動系の捩り振動を抑制することができる。これらにより、モータ/発電機2や蓄電装置6の容量を大きくする必要がなくなり、小型化やコストの低廉化を図ることができる。
【0044】次に、本発明のパラレルハイブリッド車両の第2実施形態について図13、図14を用いて説明する。この実施形態における車両の概略構成は、前記第1実施形態の図1のものと同等である。また、その差動装置の構成は前記第1実施形態の図2のものと、またそれを用いたエンジン1及びモータ/発電機2の作動状態の形態は前記第1実施形態の図3〜図8と、また発進加速時のエンジン1及びモータ/発電機2の作動状態の詳細は前記第1実施形態の図9と同等である。
【0045】本実施形態では、前記目標モータ/発電機トルク指令値出力のための演算処理が、第1実施形態の図11のものから図13のフローチャートに変更されている。この演算処理も、前記モータ/発電機用コントローラ12内の演算処理装置12bで、所定制御時間ΔT毎のタイマ割込によって行われる。また、このフローチャートでは特に通信のステップを設けていないが、必要な情報やプログラムは随時入力インターフェース12aを介して外部からとか記憶装置12cから読込まれ、演算処理中の情報は随時記憶装置12cに記憶される。
【0046】この演算処理では、まずステップS11で、前記スロットル開度センサ11で検出されたスロットル開度THを読込む。次にステップS12に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記ステップS11で読込んだスロットル開度THの時間平均値から平均スロットル開度TH@を算出する。なお、平均スロットル開度TH@の算出については、例えば所定の遅れ効果を有するローパスフィルタ処理を用いたり、或いは既に記憶されている幾つかのスロットル開度THの平均値を求めたりすることで得られる。
【0047】次にステップS13に移行して、前記エンジン回転数センサ8で検出されたエンジン回転数NE 読込む。次にステップS14に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記ステップS13で読込んだエンジン回転数NE の時間平均値から平均エンジン回転数NE @を算出する。なお、平均エンジン回転数NE @の算出については、例えば所定の遅れ効果を有するローパスフィルタ処理を用いたり、或いは既に記憶されている幾つかのエンジン回転数NE の平均値を求めたりすることで得られる。
【0048】次にステップS15に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記第1実施形態で使用した図12のマップ検索を同様に用い、前記ステップS12で算出された平均スロットル開度TH@及びステップS14で算出された平均エンジン回転数NE @に応じた目標モータ/発電機トルクT* M/G を算出設定する。
【0049】次にステップS16に移行して、前記ステップS15で算出設定された目標モータ/発電機トルクT* M/G の時間平均値から平均目標モータ/発電機トルクT* M/G @を算出する。次にステップS17に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記変速装置用コントローラTCとの相互通信により、当該変速装置4で達成されている変速比(変速段)を読込む。
【0050】次にステップS18に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記直結クラッチ36の締結状態を読込む。なお、この締結状態は、例えば非締結状態、半締結状態、締結状態の三段階に分かれる。次にステップS19に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記変速装置用コントローラTCとの相互通信により、当該変速装置4内のエンジンブレーキ用(図ではエンブレ用)クラッチの締結状態を読込む。なお、この締結状態は、例えば非締結状態、締結状態に二分される。
【0051】次にステップS20に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、後述する図14のように、前記変速装置の変速比、直結クラッチ締結状態、エンブレ用クラッチ締結状態に応じたローパスフィルタ(周波数特性)を設定する。次にステップS21に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記ステップS16で算出設定された平均目標モータ/発電機トルクT*M/G @に対して、前記ステップS20で設定されたローパスフィルタ処理を施す。このローパスフィルタ処理の詳細については後段に詳述する。
【0052】次にステップS22に移行して、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記モータ/発電機2に対し、前記ステップS21でローパスフィルタ処理された平均目標モータ/発電機トルクT* M/G @(LP)に応じた制御信号を創成出力してからメインプログラムに復帰する。前記ステップS20では、例えば図14のようにしてローパスフィルタの周波数特性を設定する。即ち、例えば前記変速装置4の変速比(変速段)が1速よりも2速、2速よりも3,4速といったように、当該変速装置4内での減速比が小さくなるほど、図14aのようにローパスフィルタの周波数特性を高く設定する。この場合は、ローパスフィルタであるから通過周波数帯域が高くなることを意味する(ゲイン大)。前述した駆動系の捩り振動は、変速装置4内での変速段が高いほど、つまり同装置内の減速比が小さいほど、その周波数が高くなる特性がある。従って、ローパスフィルタの周波数特性を、その周波数まで高くしても、十分に駆動系の捩り振動を除去することができる。そして、このようにローパスフィルタの周波数特性を高めることは、図14aから明らかなように、その周波数域までゲインを大きくすることができることになる。この場合は、前記平均目標モータ/発電機トルクT* M/G @(又は目標モータ/発電機トルクT* M/G )のゲインを大きくすることになるから、現在よりも大きな平均目標モータ/発電機トルクT* M/G @(又は目標モータ/発電機トルクT* M/G )が設定されるような場合には、当該トルクT* M/G @(又はT* M/G )が速やかに達成され、従ってモータ/発電機2の回転数NM/G は速やかにエンジン回転数NE に一致又はほぼ一致し、その分だけ、エンジン1とモータ/発電機2との直結を早めて発進を終了することが可能となる。
【0053】また、例えば前記直結クラッチ36の締結状態よりも半締結状態、半締結状態よりも非締結状態といったように、直結クラッチ36が締結されていないほど、図14bのようにローパスフィルタの周波数特性を高く設定する。駆動系の捩り振動は、直結クラッチ36が締結されていないほど、その周波数が高くなる特性がある。従って、ローパスフィルタの周波数特性を、その周波数まで高くしても、十分に駆動系の捩り振動を除去することができる。そして、このようにローパスフィルタの周波数特性を高めることは、図14bから明らかなように、その周波数域までゲインを大きくすることができることになるので、平均目標モータ/発電機トルクT* M/G @(又は目標モータ/発電機トルクT* M/G )の達成を早め、その結果、エンジン1とモータ/発電機2との直結を早めて発進を終了することが可能となる。
【0054】また、例えば前記変速装置4内のエンジンブレーキ用クラッチの締結状態よりも非締結状態では、図14cのようにローパスフィルタの周波数特性を高く設定する。駆動系の捩り振動は、変速装置4内のエンジンブレーキ用クラッチが締結されていないほど、その周波数が高くなる特性がある。従って、ローパスフィルタの周波数特性を、その周波数まで高くしても、十分に駆動系の捩り振動を除去することができる。そして、このようにローパスフィルタの周波数特性を高めることは、図14cから明らかなように、その周波数域までゲインを大きくすることができることになるので、平均目標モータ/発電機トルクT* M/G @(又は目標モータ/発電機トルクT* M/G )の達成を早め、その結果、エンジン1とモータ/発電機2との直結を早めて発進を終了することが可能となる。
【0055】また、本実施形態ではスロットル開度THの時間平均値、平均スロットル開度TH@を用いて目標モータ/発電機トルクT* M/G を設定するようにしている。このように平均スロットル開度TH@を用いると、スロットル開度THが急激に変化した場合でも目標モータ/発電機トルクT* M/G が急激に変化することがない。従って、これを達成しようとするモータ/発電機2の回転数やトルクが急激に変化することがなく、駆動系の振動成分を効果的に取り除くことが可能となる。
【0056】また、本実施形態ではエンジン回転数NE の時間平均値、平均エンジン回転数NE @を用いて目標モータ/発電機トルクT* M/G を設定するようにしている。このように平均エンジン回転数NE @を用いると、エンジン回転数NE が駆動系の捩り振動によって振動していても、それをならして、つまり除去して目標モータ/発電機トルクT* M/G を設定することができるので、これを達成しようとするモータ/発電機2の回転数やトルクが急激に変化することがなく、駆動系の振動成分を効果的に取り除くことが可能となる。
【0057】また、本実施形態では目標モータ/発電機トルクT* M/G の時間平均値、平均目標モータ/発電機トルクT* M/G @を前記ローパスフィルタに通して最終的な指令値T* M/G @(LP)を設定するようにしている。これも、前述のように変化する駆動系の振動成分を効果的に取り除く効果がある。なお、前記各実施形態では、コントローラにマイクロコンピュータを用いた場合について説明したが、これに代えて各種の演算回路を使用することも可能である。
【0058】また、前記直結クラッチ36の位置は、前記実施形態に記載される位置に限ったものではなく、サンギヤーキャリア間、キャリアーリングギヤ間にあってもよい。また、前記遊星歯車機構の3要素と、エンジン、モータ/発電機、出力の結合方法は、前記実施形態のものに限定されるものではない。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求項1に係るパラレルハイブリッド車両によれば、エンジン回転数及びスロットル開度に基づいて、所定のマップから目標とする電動発電機のトルクを設定し、目標電動発電機トルクを、所定の周波数域のみ通過させるローパスフィルタに通して、その出力値に基づいて電動発電機のトルクを制御する構成としたため、エンジン回転数及びスロットル開度を用いてフィードフォワード的に目標電動発電機トルクを設定することにより、駆動系の捩り振動の影響を受けにくくすると共に、ローパスフィルタの通過周波数域を駆動系の捩り振動数より低い領域とすることで、電動発電機の出力トルクや回転数の振動を抑制することができ、これにより電動発電機を速やかに且つ滑らかに駆動してエンジンと直結状態とすることができるので、発進時のエンジンの回転数の上昇を抑制することができる。また、マップ中のエンジン回転数増大に対する目標電動発電機トルク増加傾きは、目標電動発電機トルクのゲインであるから、この傾きを所定の領域で小さくすることにより、エンジン回転数の振動増幅感度を小さくすることができる。また、ローパスフィルタの遅れ効果により、スロットル開度が急激に変化しても、目標電動発電機トルクの急激な変化を抑制することができ、合わせて電動発電機トルクの振動自体を抑制できるため、より一層駆動系の捩り振動を抑制することができる。これらにより、電動発電機やバッテリ等の容量を大きくする必要がなくなり、小型化やコストの低廉化を図ることができる。
【0060】また、本発明のうち請求項2に係るパラレルハイブリッド車両によれば、エンジンのアイドル回転数付近に設定された所定エンジン回転数以下の領域で、エンジンのトルクが目標とする電動発電機のトルクより大きくなるようにマップを設定したことにより、トルク合成機構を構成する遊星歯車機構の歯数比を利用することによってエンジントルクと同程度の電動発電機トルクを低回転で発生させることができることから、エンジン回転数が低くても、合成されたトルクが車両を滑らかに発進させるに十分な状態としてエンジンと電動発電機との直結を早め、エンジン回転数の急激な増大を抑制し、もって駆動系の振動を抑制することができる。
【0061】また、本発明のうち請求項3に係るパラレルハイブリッド車両によれば、車両発進後にエンジンと電動発電機とを直結クラッチで直結するエンジン回転数付近に設定された所定エンジン回転数域で、エンジンのトルクと目標とする電動発電機のトルクとが同等又はほぼ同等になるようにマップを設定したことにより、この所定エンジン回転数域でエンジンと電動発電機とを直結し、その後はエンジントルクで車両を加速するようにすれば、両者のトルクの差が小さく、直結切換時の車両挙動を安定させることができ、同時に所望とするエンジン回転数でエンジンと電動発電機との直結を行うことが可能となる。
【0062】また、本発明のうち請求項4に係るパラレルハイブリッド車両によれば、所定のスロットル開度でエンジン回転数が大きいほど目標とする電動発電機のトルクが大きく設定されると共に、エンジン回転数が大きくなるほど、目標とする電動発電機のトルクの増大傾きが小さくなるようにマップを設定したことにより、エンジン回転数に対する目標電動発電機トルクのゲインを高回転側で小さくして、電動発電機の低回転側での応答性を高め、エンジンと電動発電機との直結を早め、エンジン回転数が急激に増大するのを抑制して振動を抑制することができる。また、高回転側での電動発電機のトルクが小さくなるので、エンジンのトルク特性に近づき、違和感がない。
【0063】また、本発明のうち請求項5に係るパラレルハイブリッド車両によれば、変速装置の減速比が小さいほど、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することとしたため、駆動系の振動周波数が高い変速装置の減速比が小さい状態で、電動発電機の応答性をより高回転側まで高めることができ、これによりエンジンと電動発電機との直結状態を早めることができる。
【0064】また、本発明のうち請求項6に係るパラレルハイブリッド車両によれば、変速装置内のエンジンブレーキ用クラッチが解放しているときに、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することとしたため、駆動系の振動周波数が高い変速装置内のエンジンブレーキ用クラッチが解放している状態で、電動発電機の応答性をより高回転側まで高めることができ、これによりエンジンと電動発電機との直結状態を早めることができる。
【0065】また、本発明のうち請求項7に係るパラレルハイブリッド車両によれば、直結クラッチが解放されているときに、ローパスフィルタの周波数特性を高く設定することとしたため、駆動系の振動周波数が高い直結クラッチの解放状態で、電動発電機の応答性をより高回転側まで高めることができ、これによりエンジンと電動発電機との直結状態を早めることができる。
【0066】また、本発明のうち請求項8に係るパラレルハイブリッド車両によれば、エンジン回転数の時間平均値を用いて、目標とする電動発電機のトルクを設定することとしたため、駆動系の振動成分を効果的に取り除くことができる。また、本発明のうち請求項9に係るパラレルハイブリッド車両によれば、スロットル開度の時間平均値を用いて、目標とする電動発電機のトルクを設定することとしたため、当該スロットル開度の急激な変化を取り除き、もって駆動系の振動成分を効果的に取り除くことができる。
【0067】また、本発明のうち請求項10に係るパラレルハイブリッド車両によれば、目標電動発電機トルクの時間平均値をローパスフィルタに通して、目標電動発電機のトルクを制御することとしたため、駆動系の振動成分をより効果的に取り除くことができ、駆動系振動の増幅を減らすことができる。
【出願人】 【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ・トランステクノロジー株式会社
【出願日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【公開番号】 特開2001−251704(P2001−251704A)
【公開日】 平成13年9月14日(2001.9.14)
【出願番号】 特願2000−62461(P2000−62461)