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【発明の名称】 電動車両の動力装置及び給電装置
【発明者】 【氏名】大田 幸雄

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両内に蓄電装置、受電接触器及び受電ダイオードを配し、車両の加速・減速に伴う運動のエネルギ及び登坂・降坂に伴う位置のエネルギを主にその蓄電装置の充・放電で処理し、加速時に消費した蓄電電力の補充と定常走行負荷を受電電力で賄うよう電力制御回路を構成且つ受電接触器を開路した無受電走行で蓄電調整を可能とした、電動車両の動力装置。
【請求項2】 変電所内に蓄電所を配し、変電所の直流出力回路を介して架線に接続し、または変電所間に蓄電所を配して架線に接続し、或いは両者を併設して、車両の加速・減速に伴う運動のエネルギ及び登坂・降坂に伴う位置のエネルギを主に蓄電所の充・放電で処理し、加速時に消費した蓄電電力の補充と定常走行負荷を変電所電力で賄うことを可能とした、電動車両の架線給電装置。
【請求項3】 請求項1の受電ダイオードに側路接触器を配し、その開路で該車両に専用且つ近接運行の非蓄電車の回生電力の吸収に併用し、閉路で近接運行の他の車両の蓄電電力と共用、或いは請求項2の架線給電装置の蓄電電力と混用し、車両の運動及び位置のエネルギを充放電処理することを特徴とする電動車両の給電方式。
【請求項4】 各蓄電要素を、限流ヒューズ付断路器等の自動遮断器を介し、並列接続して蓄電単位を構成し、単一または複数の蓄電単位を、それぞれ平滑リアクトル及び回路遮断器を介して動力単位に、抑制リアクトル及び回路遮断器を介して蓄電均圧線または架線に、それぞれ接続するよう構成した、電動車両の車載及び架線回路の蓄電装置。
【請求項5】 電機子群の一方に運転接触器及び制動接触器を、他方に制御リアクトルを介して還流ダイオード及び主チョッパを配し、それぞれ前者を電源の正極線に、後者を負極線に接続してブリッジ回路を成し且つ電機子群と制御リアクトルとの間に主接触器を、負極線との間にに副接触器を配し、運転接触器及び主接触器の閉路と主チョッパの降圧制御作動による電機子電流制御で定トルク加速し、主接触器を開路し副接触器を閉路して界磁制御の定出力加速の上、軌道勾配に応じ電動牽引・回生抑速の定常走行を行ない、界磁制御の回生制動で定出力減速の上、運転接触器及び副接触器を開路、制動接触器及び主接触器を閉路とともに界磁極性を反転し、主チョッパの昇圧制御作動による電機子電流制御で定トルク減速するよう、関連操作回路を構成した電動車両の電力制御回路。
【請求項6】 請求項5に記載の電力制御回路に加えて、蓄電単位と負極線との間に常時閉、制御リアクトルとの間に常時開の切替接触器を配し、主接触器の開路のまま、蓄電単位の負極側を制御リアクトル側に切替えの上、主チョッパの限流作動により蓄電単位に受電電力で充電するよう関連操作回路を構成した、電動車両の蓄電装置の初・補充電回路。
【請求項7】 請求項5に記載の制御リアクトルと請求項1に記載の受電ダイオードの架線側との間に接触器を配し、主接触器が開路しているときに、該接触器で該リアクトルを受電ダイオードに接続し、主チョッパの昇圧制御作動により、架線より高い電圧で蓄電単位に充電するよう関連操作回路を構成した、電動車両の蓄電装置の増充電回路。
【請求項8】 電機子2個または永久直列電機子2群の直列で全電圧連続定格及び並列で倍電圧短時定格の電動機に、請求項5の電力制御回路により、並列の電機子制御の定トルク域で速度に比例する電機子電圧を、界磁制御の定出力域で速度に反比例する励磁を、それぞれ与えて加速及び減速を行なうこと並びに電機子複数個または複数群の直列で、電機子が全電圧以下の界磁制御域で定常走行することを特徴とする、電動車両の電動機制御方式。
【請求項9】 2電機子組毎に、或いは、永久直列の電機子各2個を持つ2台車の1動力車毎に、1動力単位を構成し、電動機に2電機子或いは2台車の直列で全電圧連続定格と並列で倍電圧短時定格とを持たせ、動力単位毎に、電機子制御の定トルクの下半域を直列、上半域或いは全域と界磁制御の定出力域を並列で加速・減速し、直列で定常走行、なお、複数組或いは複数動力車の台車の電機子を直列し半電圧や2/3及び1/3電圧の減定格で、直列電機子群毎或いは直列台車群毎の動力単位の電力制御により定常走行するよう構成した、電動車両の電動機回路。
【請求項10】 主幹制御器の運転操作レバーに加速、力行、切、減速の操作段を配し、加速段及び減速段にそれぞれ複数ノッチを加えて加速度及び減速度を調整可能とし、所定の運転速度に達した時に力行段に戻し定速で定常走行するよう関連操作回路を構成した、動力車両の運転操作機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動客車や電機機関車の如き、電動機で走行する車両(以下、電動車両と呼ぶ)の動力装置及び給電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、鉄道車両の運転は、加速・力行を動力で、減速・制動を各車輪の摩擦ブレーキ(以下、車輪ブレーキと呼ぶ)で行なっており、運行時間効率を高めるため、走行速度を上げるとともに、加速・減速を速やかに行なうよう、車両の軽量化と動力の容量及びブレーキの性能が増強され、電動車両はそれらの性能が最も良いので、幹線や市街・近郊の主要線区に運行されている。
【0003】電動車両は、電動機の発電機能を利用した発電制動で減速・制動及び降坂抑速が可能であり、また、その発電電力を架線・変電所に返流する回生制動が採用されるに至っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】鉄道の車両は、走行抵抗は小さいが慣性抵抗が大きいので、発進・加速に大きな動力を消費し、その動力で得た車両の運動のエネルギを、減速では車輪ブレーキの摩擦や発電ブレーキの制御抵抗器で熱放散しており、それによるエネルギ損失は、各駅停車の運転では特に大きく、各駅間の運転サイクルの消費エネルギの大半に及び、また、登坂力行では勾配抵抗で大きな動力を要し、その動力で得た位置のエネルギを、降坂抑速では車輪ブレーキや発電制動で熱放散しており、それによるエネルギ損失も、中・急勾配区間ではその区間の消費エネルギの大半に及ぶ。
【0005】発進・加速時の過負荷や急勾配登坂時の重負荷では、架線の導体抵抗及び変電所の変換回路のインピーダンスでの電圧降下が大きく、特に高密度運行の区間では定格電圧の約20%に及ぶことがあり、それが架線回路の電力損失として上記のエネルギ損失に加わるとともに、車両の運転特性の低下を招き、また、減速や降坂時の回生制動においても、同様に電力損失となるので、上記の消費エネルギの大半を占める運動・位置のエネルギを効率よく回収するに至っていない。
【0006】なお、運転サイクルや運行サイクルの大部分を占める平坦路や緩勾配路の定常走行では、電動機や変電所は半負荷や4半負荷の如き著しい軽負荷のため、銅損は小さいが鉄損・励磁や制御等の如き無負荷損失・消費のため、電力効率はかなり低い。
【0007】最近、電力需給状況の逼迫や発電所立地の制約は勿論、主なエネルギ源を成す石油資源の枯渇や廃棄ガスによる環境汚染・地球温暖化及び原子力発電での核燃料使用後の処理等、地球規模の問題として電力消費の低減が切実に求められ、その大口需要者の電動車両分野も同様である。
【0008】一般に電動機の特性上、強力な定トルク加速は中速(例えば40km/h)まで、それ以上では、界磁を弱めた垂下トルクと走行抵抗増加のため加速度が急激に低下し加速が長引くので、駅間距離により定常走行の速度とその距離が制限され、平均速度を大きくできない。
【0009】本発明は、上述の問題に鑑み、電動車両の動力装置及び給電装置の改良により、車両及び架線・変電所の総合電力効率を改善し、電力消費の節減と車両の運転性能の向上を期するものである。
【0010】
【問題を解決するための手段】上述の問題を解決するために、本発明の電動車両の動力装置及び給電装置においては、車両内と架線回路のいずれかまたは両方に蓄電装置を配し、発進・加速時の過負荷には主に蓄電電力を、定常走行の軽負荷には主に受電電力を当て、減速制動及び降坂抑速では、回生制動で全発電電力を蓄電装置に充電・回収するよう、車両の電力制御装置を構成するものである。
【0011】上記の機構を実現するために、車両内の動力単位毎に電動機回路の電機子群の一方に運転接触器と制動接触器(または制動ダイオード)を、他方に制御リアクトルを介して還流ダイオードと主チョッパを配し、それぞれ前者を正極線に、後者を負極線に接続してブリッジ回路を成し、なお、電機子群の該リアクトル側と、該リアクトルとの間に主接触器を、負極線との間に副接触器をそれぞれ加えて電力制御回路を構成する。
【0012】動力単位は、車両毎を標準とし、上記の電力制御回路に受電回路及び蓄電回路を付加し、動力容量が大きい電気機関車では、台車毎に区分、或いは、電力制御素子の単器容量を考慮し、主チョッパ、制御リアクトル及び還流ダイオードを複数組配して多相作動(例えば2相、3相)とし、その動力容量に対応する。
【0013】主チョッパは、GTO(Gate Turn−Off)サイリスタ等の高速制御素子を使用して高音周波作動とし、低損失鉄芯と少ない巻数で以て降圧・昇圧制御の直流変圧器作用に充分なリアクタンス(Ω)を持つ制御リアクトルと組合わせ、転流損失や銅損・鉄損を極めて小さく設計し、定トルク加速・減速のための電機子電流制御及び車輪の滑りの再粘着のための電機子電圧制御の両機能を付与する。
【0014】受電回路には、集電子、高速回路遮断器、受電接触器、ろ波リアクトル及び受電ダイオードとその側路接触器を配し、架線回路に蓄電所を有する区間や近接車両の蓄電装置を共用する区間に入ったとき、該接触器を自動的に投入する操作回路を配する。
【0015】蓄電要素は、過負荷や重負荷且つ高頻度の急速充放電においても、電力損失や漏洩電流が極めて小さく劣化しない大容量の静電蓄電器(Capacitor)が望ましく、各蓄電要素に限流ヒューズ付き断路器等の自動遮断器を配し、その複数組を並列接続して1動力単位に所要の蓄電容量の蓄電単位とし、高速回路遮断器及び平滑リアクトル加えて蓄電回路を構成し、なお、動力容量が大きい電気機関車では、複数の蓄電回路を並列接続し、その動力容量に対応する。
【0016】上述の蓄電単位と負極線との間に常時閉、該リアクトルの電機子群側との間に常時開の切替接触器を補充電用に配し、また、該リアクトルの電機子群側と受電ダイオードの架線側との間に常時開の接触器を増充電用に配する。
【0017】電力制御回路の正・負極線間に主平滑コンデンサを、制御リアクトルの電機子群側と負極線との間に副平滑コンデンサを配し、主チョッパの高音周波作動において、制御リアクトルやろ波リアクトルのリアクタンスに見合う容量(μF)を持たせる。
【0018】隣結車両の動力単位の受電、蓄電及び負極の各回路との接続用として、車両内に受電母線、蓄電均圧線及び接地母線を配し、負極線は、車両の受電電力の帰路に充分な容量の車軸接地器を介して、軌道に接地する。
【0019】蓄電均圧線と蓄電単位との間に、均圧回路遮断器及び尖頭突入電流抑制用リアクトル(以下、抑制リアクトルと呼ぶ)を配し、該リアクトルは、巻線抵抗が極めて小さいものとする。
【0020】電動機は、界磁制御が容易且つ電動・回生とも同一の電圧極性の直流他励分巻電動機を使用し、動力単位毎に励磁チョッパを配し、電動・回生とも、加速・減速及び定常走行の過負荷限度として走行速度に反比例の励磁電流を与える直巻特性の垂下トルクと、定常走行時に定速制御の励磁電流を与える分巻特性の、励磁制御機能を該チョッパに付与する。
【0021】なお、過負荷の電機子電流に比例した励磁電流による全界磁直巻過励磁の定トルク域上限と、高速部の弱め界磁直巻特性の垂下トルク域との移行域に、電機子を定電流制御する定出力特性を、励磁チョッパに持たせる。
【0022】電機子は、2個直列接続で全電圧連続定格(750V主定格)及び並列接続で倍電圧短時定格(1500V補定格)を持ち、軸配列2Bでは電機子4個直列即ち全直列(半定格)、2個直列の2群並列即ち直並列(主定格)及び4個並列即ち全並列(補定格)の、軸配列3Bまたは2Cでは、全直列(1/3定格)、3個直列の2群並列即ち3直2並列(2/3定格)、2個直列の3群並列即ち2直3並列(主定格)及び全並列(補定格)の、接続切替接触器を配して電動機回路を構成するを標準とする。
【0023】電動客車の電動機(例えば120KW)の設計上の都合で電機子主定格電圧が375Vの場合は、台車毎に電機子2個の永久直列接続で上記の750V主定格を得、例えば2M2T編成の永久連結の2M車で1動力単位を構成して、計4台車の直列(全直列、半定格)、2台車直列の2車並列(直並列、主定格)及び4台車並列(全並列、補定格)とし、或いは、1M1T編成で1動力単位を構成して2台車の直列(主定格)及び並列(副定格)とし、必要に応じ、その2或いは3編成を連結して、2M車(4台車)或いは1.5M車(3台車)直列及び3M車(6台車)直列で、減定格(半定格或いは2/3定格及び1/3定格)を得、直列台車群毎に1動力単位で電力制御する、2M2T或いは3M3Tの編成を可能にする。
【0024】電動機の単機容量(例えば480KW)が大きい電気機関車では、電力制御素子の単器容量を考慮し1車両内の動力単位を区分して2電機子毎に配し、電機子2個の直列で主定格及び並列で補定格とし、4電機子直列や3電機子直列及び6電機子直列で上記と同様の減定格を得、直列電機子群毎に1動力単位で電力制御することができる。
【0025】運転室に、主幹制御器及び制動空気弁並びに速度計や電圧・電流・空気圧等の計器を、関係機構・回路にそれぞれ計器のセンサーを配し、該主幹制御器の運転操作レバーに加速、力行、切、減速の操作段及びその頭部にボタンスイッチを配し、その加速・減速段にはそれぞれ電機子電流調整用の複数ノッチを付加し、なお、受電、蓄電共用、徐行、補充電、増充電等付帯操作に必要なスイッチを配する。
【0026】受電母線から分岐し、車内低圧交流電源としてインバータ及び変圧器を配して、空気圧縮機や空調機器等の補機及び車内照明に給電し、整流器及び蓄電池を配して、前照・信号・非常灯や運転操作装置に低圧直流を給電する。
【0027】前述の車載蓄電回路の代わりにまたはそれに加えて、変電所内に蓄電所を配して、変圧整流器の直流出力母線に高速回路遮断器を介して接続し、その直流出力母線から分岐高速回路遮断器を介して両給電区間(単線の場合)或いは両給電区間の上・下線(複線の場合)の各架線に、変圧整流電力とともに給電し、各遮断器には給電架線区分毎に隣設の変電所の遮断器と連動遮断するよう制御線を配する。
【0028】変電所間に、上記と同様の蓄電所を配し、単線或いは上・下線のそれぞれ架線に高速回路遮断器を介して接続し、各遮断器には、給電架線区分毎に両方の変電所の遮断器と連動遮断するよう制御線を付加する。
【0029】蓄電所の蓄電単位は、前述の車載のものと同様に構成し、複数の蓄電単位を抑制リアクトル及び均圧回路遮断器を介し並列接続して所要の蓄電容量とし、各蓄電単位の負極側に切替器を配して負極線と限流充電器との切替えを可能し、その限流充電器は前述の電力制御回路と同様の制御用リアクトル、主チョッパ及び還流ダイオードで構成し、複数の蓄電所に移動兼用とするのがよい。
【0030】車載蓄電装置共用区間や変電所を含む架線回路に蓄電所を持つ区間、即ち蓄電架線区間と従来の非蓄電架線区間との境界部には、車両通過時に集電子の橋絡防止に適当な長さの無電圧架線を挿入する。
【0031】
【作用】以上述べたように構成した本発明の車両の動力装置及び給電装置の作用を、主に標準的な軸配置2Bで4電動機を持つ車両について下記に説明する。
【0032】[[蓄電装置車載の場合]] 架線電力は、受電回路を通り電力制御回路で蓄電電力とともに制御して電動機に給電し、負荷に応じ電動作動で車両を牽引し、発電作動で発生する回生電力は、受電ダイオードで阻止されて架線に流出せず、全て蓄電装置に充電・回収しながら車両を制動し、その蓄電電力を次の電動作動での牽引に利用し、なお、近接運行の非蓄電電動車両の回生電力も回収し、架線電力の消費量を大幅に低減する。
【0033】[電力制御回路] 運転接触器及び主接触器が閉路して、正極線−電機子群−制御リアクトル−主チョッパ−負極線の回路を形成し(以下、Aモードと呼ぶ)、主チョッパの降圧制御作動と励磁チョッパの過励磁作動により電機子定電流制御を行ない、緩始動及び定トルク加速し、電機子群電圧が蓄電電圧に達したとき主接触器が開路して制御リアクトル及び主チョッパを切り離し、副接触器が閉路して正極線−電機子群−負極線の回路を形成し(以下、Mモードと呼ぶ)電機子群を全電圧とし、励磁チョッパの界磁制御作動で電機子定電流の定出力加速を行ない、所定の運転速度に達した時に分巻特性定速制御に切替え、軌道勾配と速度に応じた負荷の電動・回生作動で定常走行する。
【0034】励磁チョッパの界磁制御作動で、電機子定電流の定出力減速の回生制動となり、過励磁速度まで下がった時、界磁接触器で界磁極性を反転且つ副接触器が開路、制動接触器及び主接触器が閉路とともに励磁接触器で界磁極性を反転し、負極線−電機子群−制御リアクトル−主チョッパ−負極線の回路を形成し(以下、Bモードと呼ぶ)、主チョッパの昇圧制御作動で定トルク制動し、回生電力を還流ダイオードを通じて蓄電装置に充電し、電機子電圧が該リアクトルの電圧降下まで下がると、還流ダイオード電流(以下、還流電流と呼ぶ)がゼロになって発電ブレーキに移行し停止寸前の微速まで減速、充分減速の上、制動接触器及び主接触器を開路して微速惰行し、停車位置において制動空気弁を操作し車輪ブレーキで停止する。
【0035】主チョッパの矩形波断続作動で、制御リアクトルから発生する誘起電力は、Aモードでは、還流ダイオード−運転接触器−電機子群の回路に還流して電機子電流を平滑にし、Bモードでは、還流ダイオード−平滑コンデンサ−制動接触器−電機子群の回路に還流して電機子電流を平滑にするとともに、平滑リアクトルを経て蓄電単位に充電する。
【0036】主チョッパの高音周波作動において、その制御素子の転流/通流の時間比が小さく、制御リアクトルは小さいインダクタンス(mH)で降圧・昇圧とも直流変圧器作動に充分なリアクタンス(Ω)が得られ、加速・減速時の過負荷においても、主チョッパの転流損失及びリアクトルの銅損・鉄損は極めて小さい。
【0037】[平滑リアクトル・コンデンサ] 平滑リアクトルは、上記の高音周波作動により、小さいインダクタンス(mH)で適切なリアクタンス(Ω)が得られ且つ銅損・鉄損は極めて小さく、主平滑コンデンサと共働で、Aモードでの主チョッパの矩形波断続電流及びBモードの矩形波還流電流を平滑にして、充・放電電流の脈流による蓄電要素の導体抵抗損失増加を抑え、また、回路遮断器投入時に平滑コンデンサへの過渡尖頭電流を抑え、副平滑コンデンサは、制御リアクトルの高音周波脈流による電動機の銅損・鉄損増加を防ぎ且つ電力制御回路や電動機回路の万一の短絡に対し、該回路遮断器の遮断に際し尖頭突入電流を抑制する。
【0038】[受電回路] ろ波リアクトルは、上記と同様に、小さいインダクタンス(mH)で充分なリアクタンス(Ω)が得られ且つ銅損・鉄損は微小であり、主平滑コンデンサと共働(後述の増充電では、副平滑コンデンサと共働)で、主チョッパと制御リアクトルが為す脈流や電機子の整流子の雑音電流をろ波(Filting)し、架線に近接・並行の通信線への誘導障害を防止する。
【0039】[過渡サージ保護] 回路短絡等での回路遮断器の遮断や運転操作に伴う接触器の開路の際、各リアクトル及び電機子群が発生する過渡サージエネルギは、主・副平滑コンデンサで消去・抑制し、各チョッパや各ダイオードを保護する。
【0040】[励磁制御回路] 励磁チョッパの矩形波断続作動に対し、電動機の分巻界磁巻線の大きなリアクタンスとダイオードの還流作用で、充分平滑な直流の励磁となるので、電動機トルクの脈動なく且つ該チョッパの制御損失は微小である。
【0041】[電動機回路] 電動客車では、電機子群はAモードで、過励磁と全直列で緩始動、直並列で電動加速し、その電動域上限即ち電機子群電圧が蓄電電圧まで加速次第、全並列に切替え、定トルク域上限以上ではMモードで、副定格の定出力域で加速し、所定の運転速度に達した時直並列の主定格に戻し、弱め界磁直巻垂下トルクを過負荷限度として分巻特性定速制御で高速定常走行し、全並列の副定格の定出力域で回生減速、そのトルク域下限でBモード・過励磁の定トルク域に切替え、電機子群電圧が電源の半電圧まで減速次第、直並列に切替え、電機子電圧がゼロ近くに達して発電ブレーキに移行し、停止寸前の微速に至る。
【0042】全並列の副定格で、加速・減速とも電機子定電流制御が簡単且つ強力な定トルク域及び定出力域の界磁が強い部分を高速運転域まで倍増し、電機子銅損及び界磁損失(励磁電力)と共に、高速域では鉄損も過負荷状態になるが、整流及び熱的にも問題なく、加速・減速を強力な電動・回生トルクで直線的或いはそれに近く速やかに行ない、定常走行では直並列の主定格と弱め界磁で、電機子の銅損・鉄損及び界磁損失を協調低減し、軽負荷での電力効率を向上する。
【0043】なお、運転操作レバーの加速・減速段の複数ノッチ操作で、電機子電流を変えて加速・減速トルクを調整し、列車編成や軌道勾配に応じ適正な加・減速度を得、力行段では運転速度と軌道勾配による負荷に応じて直並列と全直列のいずれかを自動的に選び、中速から最高速に亘る運転速度域において、上記の各損失を協調低減する最適負荷で界磁制御により定常走行する。
【0044】車輪の粘着性能が重要な電気機関車では、電機子群の全並列のみで加速・減速し、所定の速度で直並列主定格または全直列半定格に戻して定常走行するのがよく、その場合、車輪の滑りでいずれかの電動機が空転・拘束を始めた時、主チョッパの電機子電圧制御機能が働き、電機子電圧の急昇・急降なく、該電動機の電動・回生電流とトルクが急減して該車輪が直ちに再粘着する。
【0045】高速運転中に短距離急勾配区間に進入した時、運転操作レバーのボタンスイッチを押して電機子群を全並列に進段し、副定格の倍出力全負荷でそのまま高速で短時走破できる。
【0046】車両毎に2台車の直列で主定格、並列で副定格の電動機群を1動力単位とした電動客車の複数動力単位編成の場合は、動力単位毎に直列・並列で加速・減速し、直列で高速定常走行するは上述のとおり、2車直列で中速或いは1.5車直列及び全3車直列で中・低速の定常走行には、直列台車群毎に1動力単位が当たり、各直列接続において該動力単位の電流債務は同様であり、残る動力単位は発進及び定常走行時の補充電のみを司る。
【0047】2電機子毎に直列で主定格、並列で副定格のものを1動力単位とし、複数の動力単位を持つ電機機関車の場合は、加速・減速を並列で行ない、直列電機子群毎に1動力単位が当たる他は、上記と同様である。
【0048】[蓄電回路] 蓄電要素の大容量蓄電器は、その蓄電原理が静電誘導のため、過負荷を伴う急速充電・放電にも即応し、その高頻度の繰り返しにおいても劣化せず、内部抵抗は対向電極及び引き出し導体の抵抗のみで、短い車両内配線を含む導体抵抗は極めて小さいので、上述の電機子群の全並列副定格による定出力域の加速・減速での過負荷(例えば電機子電流を定格の1.6倍とすれば倍出力で3.2倍)においても、電力損失は極めて小さい。
【0049】蓄電要素は、上記の即応性や微損失の特性上、万一の内部短絡による突入電流は非常に大きいので、単器容量を局限して発火・爆発を防ぎ、限流ヒューズ付き断路器が速やかに熔断して故障要素を切り離し、他の蓄電要素からの流入を避け且つ他の蓄電要素への故障電流ショックを緩和し、また、蓄電均圧線による隣結車との蓄電単位の共用で蓄電容量の低下率を局限し、運転継続を可能にする。
【0050】各蓄電単位の抑制リアクトルは、上記の蓄電要素の内部短絡や蓄電均圧線の万一の短絡の際の尖頭突入電流を抑え、均圧回路遮断器の高速遮断とともに蓄電要素の故障電流ショックを緩和し、なお、蓄電単位間において、該回路遮断器の投入時に電圧差による尖頭電流を抑え、常時の均圧横流による電力損失は極めて小さい。
【0051】[蓄電電圧] 駅間運転サイクルでは、前サイクルの減速時の全回生電力の充電回収で、蓄電電圧が架線電圧より高くなっているので、発進・加速前期は蓄電電力で賄い、過負荷が大きい加速後期は蓄電電圧が下がって受電電力が加わるが、蓄電回路の導体抵抗が架線回路より著しく小さいので、電動負荷は蓄電電力に偏って架線負荷を低減し、軽負荷の定常走行において受電電力の補充電に移行し、減速時は回生・充電電力を受電ダイオードで阻止され架線は無負荷になり、架線電力は、加速後期から定常走行に山崩し低減され、車両への一方向流となる。
【0052】勾配路において、登坂牽引では、勾配抵抗負荷を含む定常走行負荷を受電電力で賄うので蓄電電圧は架線からの受電電圧に等しく、降坂抑速では、全回生電力を充電回収するので架線は無負荷、蓄電電圧は架線電圧より高くなり、続く平坦路走行や次の登坂牽引では蓄電電力のみで走行、蓄電電圧が架線電圧まで下がると受電電力での走行に移行し、架線電力は車両への一方向流となり、また、標高差が大きい降坂路の手前で受電接触器を開き、無受電・放電走行して予め蓄電電圧を下げ、降坂終期の蓄電電圧の過昇を抑えるよう蓄電調整ができる。
【0053】[架線故障対応] 万一の架線短絡や架線電圧急落あっても、受電ダイオードで電力逆流出を阻止され、車両内各回路の電気的及び電動機の機械的ショックなく、また、架線回路故障で停電あっても、低圧電源回路の蓄電池で前照・信号・非常灯及び通信・運転操作回路が働き、受電接触器を開路し蓄電電力で中速徐行して故障区間外に脱出後、該接触器を再投入し架線・蓄電電圧差状況により下記の補充電の上、正常運転に移行できる。
【0054】[初・補充電] 電力制御回路の切替接触器で、蓄電単位を負極線から制御リアクトルに切替え(以下、C1モードと呼ぶ)、新替え蓄電要素の初充電及び上記の蓄電電力消費や夜間休止中等の自己漏洩放電による蓄電電圧低下分の補充電を、主チョッパで限流しながら行ない、受電開始時の突入充電電流を避ける。
【0055】[増充電] Mモードで運転中或いは停車中に、増充電接触器で制御リアクトルを受電ダイオードの架線側に接続し(以下、C2モードと呼ぶ)、主チョッパの昇圧制御作動で、架線電圧より高い電圧で蓄電回路に増充電でき、定常走行が短い場合や架線電圧低下時の補充電不足を補うことができる。
【0056】[[蓄電架線の場合]] 上述の車載の蓄電回路の代わりに変電所内に蓄電所を配すれば、変圧整流器で、制動・抑速中の車両が発生する回生電力は交流回路への逆流出せず、架線電圧の急昇なく蓄電所に充電・回収し、加速・力行中の車両に、変圧整流電力とともに給電し、電力消費を大幅に低減する。
【0057】変電所において、蓄電回路の導体抵抗は変圧整流回路のインピーダンスに比べ著しく小さいので、車両の加速時の過負荷は主に蓄電電力で応じ、加速後期や定常走行の軽負荷時に変圧整流電力に移行し補充電を行なうので、変圧整流回路の負荷は山崩し低減され且つその電力流は一方向となる。
【0058】各車両(非蓄電車両)は、受電ダイオード及び補充電・増充電に係る回路を除く他、前述と同様の架線電力受電回路と電力制御回路を持ち、加速・牽引の電動及び減速・抑速の回生の全電力が、架線を介して主に最寄りの蓄電変電所との間を往復還流するので、架線や受電回路の電力損失がかなり増加するが、運転中の近接車両との電力授受と隣接の蓄電変電所との間の架線での均圧横流があり、その区間を運行する全車両の同一運転挙動(特に加速・減速及び抑速)が重なる機会は少なく、蓄電電圧変動は上述の蓄電車載の場合より小さくなる。
【0059】変圧整流回路の直列リアクトルは整流器の容量性尖頭電流を防ぎ、蓄電回路の抑制リアクトルとともに、架線短絡故障の遮断時や故障復帰の回路遮断器投入時の尖頭突入電流を抑制する。
【0060】変電所間に蓄電所を配すれば、給電間隔が分割・短縮された状態になり、上述の蓄電変電所を併用すれば、車両の加速・減速時の過負荷に対しても最寄りの蓄電所が働き、且つ近接変電所や蓄電所との均圧横流による架線の電力損失も小さくなる。
【0061】[[蓄電所混用の場合]] 上述の変電所や架線に蓄電所を持つ区間即ち蓄電架線区間に蓄電車両が進入したとき、車両の受電ダイオードを接触器で側路して、架線との電力授受を行ない、加速・減速時の過負荷を伴う運動のエネルギは、主に車両内で配線が短い蓄電回路で処理し、登坂・降坂時の重負荷(全負荷以下)の位置のエネルギを、変電所や架線の蓄電所と共働で処理しながら運行する。
【0062】[車載蓄電共用の場合] 各蓄電車の受電ダイオードを通じて、近接運行の非蓄電車両の回生電力を架線電圧急昇なく確実に吸収でき、或いは該ダイオードを側路して架線との電力授受可能な状態で適当な間隔で運行し、加速・減速時の過負荷を伴う運動のエネルギは、主に各自車載の蓄電回路で処理し、登坂・降坂時の定常重負荷の位置のエネルギを、近接の蓄電車と共働で充放電処理でき、なお、前述[[蓄電架線の場合]]と同様、全車両の運転挙動が重なる機会は少なく架線の均圧横流で蓄電電圧変動は小さくなる。
【0063】[他種の車両への応用] 交流または交・直両用の電動車両では、受電・変圧整流器とその直列リアクトルを介して本発明の電力制御・蓄電回路に直流給電すれば、前述と同様の作動で運動・位置のエネルギを充放電処理して消費電力を大幅に節減し且つ架線負荷と同様に、変圧整流器の負荷を山崩し低減できる。
【0064】動力車(M車)に永久連結の付随車(T車)の床下や電気機関車の車室内にエンジン駆動等の発電整流器を配した気電動車両において、非電化区間では発電整流器とその直列リアクトルを経て、直流電化区間では前述の受電回路を経て、本発明の電力制御回路及び蓄電回路に直流給電すれば、前述と同様に運動・位置のエネルギの充放電処理をし、燃料及び電力の消費量を大幅に節減し且つ発電整流器の負荷を山崩し低減できる。
【0065】気動車両において、エンジンと変速機との間に緩作動クラッチを介して挿入した電動機に、本発明の電力制御・蓄電回路を配すれば、停車中はアイドリング駆動で補充電を行ない、発進・加速はエンジンと共働し、定常走行ではエンジン余力を以て補充電し、減速や降坂抑速では、エンジンを切り離して全制動動力を回生して充電・回収し、次の運転サイクルの発進・加速及び登坂牽引に利用し、燃料消費量を大幅に節減し且つ運転性能(特に加速・減速)を向上できる。
【0066】
【実施例1】実施例1として、主として2軸2台車(軸配列2B)の全4軸に電動機を持つM車を1動力単位とし、蓄電装置を車載した電動客車及び電気機関車を挙げ、図面を参照して説明する。
【0067】[受電回路] 図1において、架線1(直流1500V)の電力は、集電子2、受電母線3、高速遮断器4、受電接触器5、ろ波リアクトル6及び受電ダイオード7とその側路接触器8を主回路に持つ受電回路9を経て、電力制御回路24及び蓄電回路40の正極線10に至り、また、受電母線3は車端のジャンパ線11で隣結車に接続する。
【0068】[電力制御回路] 電動機回路12の電機子群15の一方に運転接触器13と制動接触器14を、他方に制御リアクトル16を介して、還流ダイオード17と主チョッパ18を配し、それぞれ前者13、17を正極線10に、後者14、18を負極線19に接続してブリッジ回路を形成し、電機子群15と制御リアクトル16との間に主接触器20を、負極線19との間に副接触器21を、正極線10及び制御リアクトル16の主接触器20側と負極線19との間に主・副平滑コンデンサ22、23を、それぞれ配して電力制御回路24を構成する。
【0069】なお、制動接触器14は図2(a)に示すようにダイオード14Dに代えてもよく、電動機容量が大きい電気機関車では、電力制御素子の単器容量を考慮し、図2(b)に示すように、直列のろ波リアクトル6と受電ダイオード7を複数組並列に配して電流等分し、制御リアクトル16、還流ダイオード17及び主チョッパ18を複数組配して2相や3相の如き多相作動とするのがよい。
【0070】[電動機回路] 図3において直流分巻電動機を使用の電動機回路12には、台車毎に2個の電機子15(M1、M2及びM3、M4、補極は説明省略)の直・並列接触器25、26を、その2群即ち2台車の直・並列接触器27、28を配し、接触器25、27で全直列(4個直列)、25、28で直並列(2個直列の2群並列)、26、28で全並列(4個並列)にそれぞれ接続し、界磁29(F1、F2、F3、F4)は永久全直列接続する。
【0071】[電動機定格] 電機子15には、2台直列即ち電機子電圧750Vを定格電圧とする全電圧連続定格(主定格)と、並列即ち電機子電圧1500Vの整流及び絶縁耐力を持つ倍電圧短時定格(副定格)との2重定格を持たせる。
【0072】[励磁制御回路] 図1において、正極線10から回路遮断器30で分岐して励磁チョッパ31、還流ダイオード32、正逆励磁接触器33、34を配し、電動機回路12の界磁群29の励磁制御回路35を構成し、なお、複数の動力単位に励磁制御回路35を共通にする場合は、図2(a)に示すように回路遮断器30と励磁チョッパ31との間にダイオード36を挿入し、各動力単位の正極線10の橋絡を避ける。
【0073】[蓄電回路] 平滑リアクトル37、高速回路遮断器38および蓄電単位39を配して蓄電回路40を構成し、蓄電単位39の正極側に高速回路遮断器41及び抑制リアクトル42を介して蓄電均圧線43とそのジャンパ線44で隣結車に接続する。
【0074】[蓄電単位] 図4において、蓄電要素45に限流ヒューズ付き断路器46を付し、その複数組を並列接続して所要の蓄電容量を得、断路器47を配し各動力単位に対応の蓄電単位39を構成、或いは、動力単位容量の大きい電気機関車では、図5に示すように、各動力単位に複数の蓄電回路40を並列に配し、各蓄電単位39を、回路遮断器38及び平滑リアクトル37を介して正極線10に、回路遮断器41及び抑制リアクトル42を介して蓄電均圧線43に、それぞれ接続する。
【0075】[接地回路] 負極線19は、接地母線49とそのジャンパ線50で隣結車に接続し且つ車軸集電子51と車輪53を介して軌道54に接続し、接地回路48を構成する。
【0076】[補充電回路] 図1において、蓄電単位39の負極側に切替接触器55の常時開接点55aを制御リアクトル17に接続し、常時閉接点55bを負極線19との間に挿入して、主チョッパ18及び還流ダイオード17とともに補充電回路を構成する。
【0077】[増充電回路] 増充電接触器56を、制御リアクトル16と受電回路9のダイオード7の架線側との間に配し、主チョッパ18及び還流ダイオード17とともに増充電回路を構成する。
【0078】[諸量センサ] 受電、蓄電、電力制御及び励磁制御の各回路9、40、24、35に、電圧・電流センサ57(Vt・It)、58(Vc・Ic)、59(Vm・Im)、60(Vf・If)及び車軸52に速度センサ61(v)を配し、なお、括弧内諸量及び以下各種諸量の記号を表1及び表2に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】[運転操作機構] 車両編成の両端の運転室に、図5に示す如き、主幹制御器62及び制動空気弁63を配し、主幹制御器62の運転操作レバー64は、前押しで「力行−加速」、中立の「切」、後引きで「制動」の操作段を有し、「加速」は軽ノッチで「力行」位置までバネ戻り機構、「力行、切、減速」はノッチ機構とし、「加速」及び「減速」段には、それぞれ複数段の加速度及び減速度調整ノッチ65を付加し、頭部にボタンスイッチ「高速」66を持つ。
【0082】なお、主幹制御器62には運転方向レバー67(前進、切、後進)の他、受電、蓄電共用、徐行、補充電及び増充電の各スイッチ68、69、70、71及び72を、制動空気弁63には制動操作レバー73(解除、保持、制動)を配する。
【0083】主幹制御器62の前に、速度計74(v)、電動機電流計75(Im)、受電・充放電電流計76(It、Ic)及び電圧計77(Vt、Vc)、制動空気弁63の前に制動空気圧計78等、運転に必要な計器を配する。
【0084】[外来・過渡サージ保護] 図1及び図2において、架線からの外来サージ電圧や、ろ波・制御リアクトル6、16及び電動機回路12が発生する過渡サージ電圧に対し、例えばバリスタ79、80等の吸収素子を配する。
【0085】[低圧電源回路] 受電母線3から回路遮断器81で分岐し、インバータ82及び変圧器83を配して車内補機や照明に交流電力を給電、整流器84及び蓄電池85を配して前照灯、非常灯及び制御用の蓄電直流を供給する、低圧電源回路86を構成する。
【0086】[作動・特性] 以上の如き構成の動力装置において、関係回路の作動及び特性を概括した表3(高速運転)を、図面とともに参照して説明する。
【0087】
【表3】

【0088】[発進・加速] 図1において、■:運転操作レバー64を「力行」ノッチに進めると、運転・主接触器13、20が閉路し、正極線10−運転接触器13−電機子群15−主接触器20−制御リアクトル16−主チョッパ18−負極線19の回路を形成し(Aモード)、励磁チョッパ31で全励磁の界磁29と、主チョッパ18の降圧制御作動の電機子制御により車両は緩発進し、■:該レバー64を「加速」段に前押しすると、過励磁・過負荷の強力な定トルク加速を始め、■:電機子群電圧Vmが蓄電電圧Vcの速度vca即ち電機子制御域上限に達した時、主接触器20から副接触器21に切替わり、電機子群15を制御リアクトル16から負極線19に切替え、正極線10−運転接触器13−電機子群15−副接触器21−負極線19の回路を形成し(Mモード)、電機子群全電圧Vm=Vcと励磁チョッパ31の界磁制御で電機子定電流の定出力加速を行なう。
【0089】[定常走行] 所定の運転速度vnに達した時、■:運転操作レバー64を「力行」ノッチに戻すと、励磁チョッパ31の界磁制御が分巻特性の定速制御に替わり、軌道勾配に応じて電動牽引または回生抑速で定常走行する。
【0090】[減速] ■:運転操作レバー64を「減速」段に後引きすると、励磁チョッパ31の界磁制御により、定出力減速の回生制動が働き、■:界磁29が過励磁の速度vcb即ち界磁制御域下限まで下がった時、運転・副接触器13、21が開路し制動・主接触器14、20が閉路して、負極線19−制動接触器14−電機子群16−主接触器20−制御リアクトル16−主チョッパ18−負極線19の回路を形成し且つ正・逆磁接触器33、34を切替えて界磁極性を反転し(Bモード)、主チョッパ18の昇圧制御作動の電機子制御により定トルク減速し、■:電機子群電圧Vmが制御リアクトル16の電圧降下eLの速度即ち回生制動下限vwまで下がった時、回生電力がゼロになって発電ブレーキに移行し、停止寸前の微速まで減速する。
【0091】[電機子直・並列] 図3(直・並列接触器25〜28の組合わせは前述[電動機回路]を参照)において、上記の■:発進は全直列で緩やかに行ない、■:加速では、直並列で電機子群電圧Vmが蓄電電圧Vcまで上がり次第■s:全並列に進段、■:所定の速度vnに達した時、直並列(緩勾配路中速運転では全直列)に戻段し定常走行、減速では、■:再び全並列でVc/2まで下がり次第■s:直並列に戻段する。
【0092】[車輪の再粘着] 電気機関車では、過負荷トルクの加速・減速は、電機子全並列のみで行ない、いずれかの車輪53が軌道54との粘着力を超えて滑り、該車軸52の電動機15(例えばM1)が加速時に空転または減速時に拘束を始めた時、該電動機15(M1)の電機子電流Iaが急減し電機子群電流Imも減少するが、主チョッパ18の通流幅は加速度αを超える急変をせず、直流変圧器作用で電機子電圧Va=Vmは瞬時的には保持され、他の電動機15(M2〜M4)の電機子電流Iaへの影響なく、他の車輪53の滑りを誘発せず、該電動機15(M1)の牽引または制動トルクが急減して直ちに該車輪53が再粘着する。
【0093】加速・減速とも定トルク域において、その下半分■〜■sは、上述の如く、電動客車では直並列で行ない、制御リアクトル16の電流Imを半減しその銅損を1/4に減じ且つ主チョッパ18の昇降圧比Vm/Vcを倍増して制御損失を半減し電力効率を稼ぐが、動輪率(全動輪軸重/列車編成全重量)が低い電気機関車では粘着性能を重視し、全域■〜■を全並列で行なう。
【0094】加速・減速時の電機子群電流Imは、その複数ノッチ65で、軌道勾配や載荷により加速度α・減速度β(km/h/s)が大きく変化しないよう、また、電気機関車では車輪53の粘着力に見合うよう調整できる。
【0095】[徐行運転] 低・中速(例えば25〜60km/h)で徐行運転の場合は、表4(徐行運転)に示すように、徐行スイッチ70(図6)を入れ、電機子群15の直並列で加速(■〜■s〜■s)・減速(■s〜■s〜■)し、全並列による電力制御・蓄電回路24、40の過負荷増大を避け、全直列に戻段して界磁制御で定常走行(■s〜■s)し、各損失(銅損、鉄損及び界磁損)を協調低減する。
【0096】
【表4】

【0097】[停止] 図1において、■:運転操作レバー64を切ノッチに戻すと、制動・主接触器14、20が開路して車両は惰行し、所定の位置で■:制動操作レバー73を操作して車輪ブレーキで停止する。
【0098】[定常走行速度] 運転操作レバー64を加速や減速から力行ノッチに戻し或いは切から力行ノッチに進めた時、その時の走行速度vnを関連操作回路に記憶してその速度vnに保持するよう、界磁制御域では励磁チョッパ31の分巻界磁制御により、定トルクの電機子制御域ではAモード(降坂ではBモード)の主チョッパ18による電機子群電圧制御により、定速制御しながら定常走行する。
【0099】[還流電流] 主チョッパ18の矩形波断続作動による制御リアクトル16の誘起電力は、加速Aモードでは、還流ダイオード17−正極線10−運転接触器13の回路を流れ、電機子群15に還流して電機子群電流Imを平滑にし、減速Bモードでは、還流ダイオード17−正極線10−主平滑コンデンサ22−負極線19−制動接触器14の回路を流れ、電機子群15に還流して電機子群電流Imを平滑にするとともに、平滑リアクトル37を経て蓄電単位39に充電する。
【0100】[平滑・ろ波] 受電電力はろ波リアクトル6と、蓄電電力は平滑リアクトル37と、主平滑コンデンサ22とにより、Aモードでは主チョッパ18の矩形波作動による給電電流ILを平滑にして、Bモードでは制御リアクトル16からの矩形波還流電流ILを平滑にして、Mモードでは電機子群15の整流子雑音を消去して、架線1に並行の通信線(図示省略)への誘導障害を防止し且つ蓄電単位39の銅損増加を抑え、また、副平滑コンデンサ23により制御リアクトル16の高音周波電流をろ波し、各電機子15の鉄損・銅損増加を防ぐ。
【0101】励磁チョッパ31の矩形波断続作動に対し、電動機の分巻界磁コイル29の大きなリアクタンスXfとダイオード32の還流作用により、充分平滑な直流で励磁し、該チョッパ31は低音周波で降圧制御作動し、その電力損失は微小である。
【0102】[初・補充電] 前述[補充電回路]の作動を概括した表5を図1とともに参照して説明すれば、停車中に、主接触器20開路で制御リアクトル16を電機子群15から切り離し、切替接触器55で蓄電単位39を負極線19から切り離して制御リアクトル16に接続し(C1モード)、故障蓄電要素の新替えや夜間休止中の自己漏洩放電に伴う初充電や補充電を、主チョッパ18の降圧制御作動により限流して行なうことができ、そのとき、還流電流は主平滑コンデンサ22及び平滑リアクトル37で蓄電単位39の充電電流Icを平滑し、ろ波リアクトル6と主平滑コンデンサ22が制御リアクトル16からの還流電流による脈流を消去して近設通信線への誘導障害を防ぐ。
【0103】
【表5】

【0104】[増充電] 前述[増充電回路]の作動を概括した表6とともに図1を参照し説明すれば、主接触器20開路で制御リアクトル16を電機子群15から切り離し、増充電接触器56で受電ダイオード7の架線側に接続し(C2モード)、主チョッパ18の昇圧制御作動により、停車中■〜■やMモード中■〜■(主に定常走行中■〜■)に架線電圧Vtより高い電圧Vcで蓄電単位39に増充電でき、そのとき、制御リアクトル16−還流ダイオード18を通る還流電流が、主平滑コンデンサ22、平滑リアクトル37で平滑な充電電流Icとなり、受電ダイオード7が昇圧電力の逆流出阻止、ろ波リアクトル6と副平滑コンデンサ23が制御リアクトル16からの脈流を消去し、近設通信線への誘導障害を防ぐ。
【0105】
【表6】

【0106】[近接車両の回生電力処理] 近接の非蓄電車両の降坂抑速や減速で発生する回生電力は、他の車両の運転負荷がなくても架線電圧Vtの急昇なく、車載の蓄電単位39に充電・吸収され、受電ダイオード7で自車内に保持される。
【0107】[車外蓄電装置の利用] 後述の変電所87や架線1に蓄電所88(図1に点線図示)を持つ蓄電架線区間或いは他の車両の車載蓄電単位39との共用区間に入ったとき、側路接触器8が受電ダイオード7を側路し、架線1との電力授受が可能になる。
【0108】[過渡サージ電圧消去・抑制] バリスタ79、80及び主・副平滑コンデンサ22、23は、車両内回路故障での回路遮断器4、38の遮断や運転操作での各接触器5、8、13、14、20、21の開路に伴う、各リアクトル6、16、37や電機子群15が発生する過渡サージ電圧を抑制・消去して上述の主回路のダイオード7、14D(図2(b)参照)、17及び主チョッパ18を保護し、平常作動の回路電圧に対しては、漏洩電流なく電力損失を発生しない。
【0109】[蓄電回路保護] 図4及び図5において、いずれかの蓄電要素45が万一の内部短絡で他の蓄電要素45や他の蓄電単位39から電力流入を始めた時、該故障蓄電要素45の回路の限流ヒューズ付断路器46のエレメントが熔断して直ちに切り離し、短絡突入電流を局限して該故障蓄電要素45の出火・爆発及び他の蓄電要素45の突入放電ショックを軽減し、且つ、蓄電均圧線43により隣結車即ち他の動力単位の蓄電単位39を共用して全蓄電容量の低下を局限し、そのまま当座の運転を継続できる。
【0110】抑制リアクトル42は、上記の蓄電要素45の内部短絡や、蓄電均圧線43の万一の短絡に際し、尖頭突入電流を抑制し、回路遮断器41の高速遮断とともに他の蓄電要素45の突入電流ショックを緩和し、また、該回路遮断器41の投入時に蓄電単位39の間の電圧差による尖頭電流を抑え、なお、常時は均圧横流のみでありそれによる電力損失は極めて小さい。
【0111】[架線故障対応] 図1において、架線1の万一の短絡・停電に際し、受電ダイオード7により蓄電電力Pcの逆流出を阻止して、回路遮断器4及び38は遮断作動せず、蓄電電力Pcで電動・回生電力Pmを充放電処理を継続するので、電動機15や蓄電要素45に突入電流ショックを与えず、また、架線故障回復を待たずに蓄電電力Pcで上述の表4の如く徐行し(なお、制御及び前照・非常灯には低圧電源回路86の蓄電池85で給電)、故障の給電区間を自力脱出して前述[初・補充電]の作動で補充電を行ない、正常運転に移行することができる。
【0112】[等価回路] 図7において、変電所87には変圧器89及び整流器90が為す変圧整流起電力(無負荷出力電圧)Esと、その回路のリアクタンスxs、抵抗rs及び直列リアクトル91の抵抗rLsによりインピーダンス電圧降下esを、変電所87から車両までの架線1の導体抵抗rt(軌道54の抵抗を含む、以下同じ)で電圧降下etを、また、受電回路9には、ろ波リアクトル6の導体抵抗rLfによる電圧降下erを生じる。
【0113】電動発進・加速■〜■では、その前期■〜■tには蓄電電圧Vcが受電電圧Vrより高く、電動機回路12の電機子電流Imは蓄電回路40の放電電力Icで賄い架線電流Itはゼロ、後期■t〜■には蓄電電圧Vcが受電電圧Vrまで下がって架線電流Itに移行し、その値Itは放電電流Icで軽減されIt=Im−Icとなり、変電所87、架線1及び受電回路9にそれぞれ電圧降下es、et及びerによる電力損失ps、pt及びprを生じ、回生減速■〜■では、受電ダイオード7で阻止されて全回生電力Im=Icを蓄電回路40に充電するため架線電流It=0、変電所87、架線1及び受電回路9は無負荷、電圧降下es、et及びer並びに電力損失ps、pt及びprはゼロであり、架線電流Itは変電所87、架線1及び軌道54より成る架線回路92と受電回路9において一方向流となる。
【0114】電動機回路12には、電機子群15の起電力Emと電機子群抵抗rmに電力制御回路24の制御リアクトル16の回路抵抗rLが加わり、電圧降下em及びeLがあり、蓄電回路40には、蓄電単位39の蓄電電圧Ecと、その内部抵抗rc及び平滑リアクトル37の抵抗rLcによる電圧降下ecがあり、Aモード■〜■の電動発進・加速においては、過負荷の電動電流Im=Ic+Itと放電電流Icにより、Bモード■〜■の回生減速においては、その電流方向を反転し回生電流Im=充電電流Icにより、それぞれ電圧降下em及びeLとecによる電力損失pm及びpLと、pcが両モードとも生じ、電流ImとIcは車両内電力回路93の電動機回路12と蓄電回路40との間で往復還流する。
【0115】Mモードの加速■〜■及び減速■〜■では、上記のAモード後期■t〜■及びBモード■〜■と同様であるが、電力制御回路24の主・副接触器20、21で制御リアクトル16が切り離され、その回路抵抗rL分の電圧降下eL及び電力損失pLがゼロになり、最大過負荷の電流ImとIcの往復還流において電力損失はpmとpcのみとなる。
【0116】定常走行■〜■では、電動機負荷Imは軽小になり、加速時に蓄電Icの消費で低下した蓄電電圧Vcを回復するため、架線電流It=Ic+Imで補充電を行ない、定常走行後期には補充電終了しIt=Imとなり、上記と同様に、電流Itは架線回路92と受電回路9で一方向流となる。
【0117】[蓄電特性] 図8において、静電容量Cを持つ蓄電単位39は、蓄電電圧Ecにおいて、蓄電電力量はW=C×Ec^2の二次曲線になり、定格電圧Eoでの定格蓄電電力量Wo=C×Eo^2、電圧変動δEでの充放電電力量はδW=C×(2×Eo×δE±δE^2)、その平均値はWc=Wo×2×δE、その蓄電電圧中央値Ecoと定格電圧Eoとの差は約δE^2/2、例えばδE=20%(電気鉄道の架線電圧変動最大許容値)においても僅か2%のため無視して単純化し、充放電平均値Wcでもって蓄電関係諸量を後述する。
【0118】蓄電原理が静電誘導のため、内部抵抗は対向電極及び引出し導体の導体抵抗rcのみであり、充放電に伴う電圧降下ec及び電力損失pcは極めて小さく(交流電力コンデンサでは0.3%)且つ急速充放電の過負荷電流に即応し、その高頻度の繰り返しにも劣化しない。
【0119】[駅間運転サイクル] 図9(a)において、車両は駅間で、発進■〜■、加速■〜■、定常走行■〜■、減速■〜■、微速惰行■〜■、停止■〜■の運転サイクルを繰り返し、加速■〜■は定トルクの牽引力Faで略々定加速度αc、続く加速■〜■は定出力の牽引力Faで垂下加速度αt、定常走行■−■は走行抵抗Fvに等しい牽引力Fvで定速vn、減速■〜■は定出力の制動力Fbで逆垂下減速度βt、続く減速■〜■は定トルクの制動力Fbで定減速度βc、微速vwで惰行し停車位置■にて車輪ブレーキで停止、それぞれ時間と距離は、加速■〜■ではtaとSa、定常走行■〜■ではtvとSv、減速■〜■ではtbとSb、微速惰行■〜■ではtiとSi、停止■〜■ではtwとSw、停車は■〜■はtst、運転サイクルではt=ta+tv+tb+ti+tstとS=Sa+Sv+Sb+Si+Sw(但し、発進■〜■は微小のため図示省略)となる。
【0120】[慣性抵抗関係諸量] 車両の走行抵抗Fvは、走行速度vの一次・二次関数Fv=f(v+v^2)として常に正(+)、加速牽引力Faは正(+)、減速制動力Fbは負(−)の値をそれぞれとるので、加速時の慣性抵抗分の牽引力はFia=Fa−Fv、減速時の慣性抵抗分の制動力はFib=Fb+Fvとなり、加速時の牽引エネルギはWa=Σ(Fa×ΔS)、減速時の制動エネルギはWb=Σ(Fb×ΔS)、車輪ブレーキでは略々Ww=Fb×Sw(Wbの数%以下)、また、走行抵抗Fvによる走行エネルギは加速時はWva=Σ(Fva×ΔS)、定常走行時はWvv=Σ(Fv×ΔS){平坦路ではWvv=Fv×Sv}、減速時はWvb=Σ(Fvb×ΔS)、運転サイクル全体ではWv=Wva+Wvv+Wvbであり、運転サイクル毎の牽引エネルギWd=Wa+Wvvに対する制動エネルギWbの割合即ち制動エネルギ率εbi=Wb/Wdが前述【発明が解決しようとする課題】の運動のエネルギを回生電力として充電回収の対象とし、なお、走行エネルギWvの割合即ちεvi=Wv/Wdが走行エネルギ率であり、εvi=1−εbiの関係がある。
【0121】図9(b)において、蓄電回路電圧Vcは、前サイクルの回生充電で無負荷の受電電圧Vrより+δVi高く、受電ダイオード7の逆流阻止で保持されているので、発進及び加速前期■〜■tの電動電力Pmは放電電力Pcで賄い、蓄電回路電圧Vcが下がってVc=Vrになると受電電力Prに移行、加速後期■t〜■には変電所86、架線1及び受電回路9の電圧降下es+et+erによりVc=Vr共に下がり、Prが増加してPm(過負荷)=Pc+Pr、加速終期■には電圧低下は−δViに達するが、定常走行■〜■では電動電力Pmは軽負荷のPvになるので、Pr=Pm+Pcの受電を続けそのPcで補充電し、加速放電電力量Wcaの後期■t〜■分を回復し、Vcが軽負荷のVrに達し補充電終了でPc=0即ちPr=Pmとなり、減速■−■では、全回生電力Pm=Pcで充電し受電ダイオード7で逆流阻止されPr=0、減速終期■には蓄電回路電圧Vcは+δVi高くなる。
【0122】発進及び加速■〜■では、受電電力量Wta=Σ(Pr×Δt)と放電電力量Wca=Σ(Pc×Δt)とで電動電力量Wma=Σ(Pm×Δt)=Wca+Wtaを賄い、定常走行■〜■では、電動電力量Wmv=Σ(Pm×Δt){平坦路ではWmv=Pm×tv}と補充電電力量Wcv=Σ(Pc×Δt)とを受電電力量Wtv=Σ(Pr×Δt)=Wmv+Wcvで賄い、減速■〜■では、回生電力量Wmb=充電電力量Wcbで且つWmb=Σ(Pm×Δt)であり、運転サイクル毎に、電動電力量合計Wmd=Wma+Wmvは受電電力量合計Wt=Wta+Wtvと回生電力量Wmbとの和に等しくWmd=Wt+Wmb、従って回収電力率はεri=Wmb/Wmd=Wmb/(Wma+Wmv)、架線電力率はεti=1−εriとなり、前述[等価回路]において、加速・減速の過負荷を伴う電動・回生電力Pmと放電・充電電力Pcとが往復還流する電動機、電力制御及び蓄電の全回路12、24、40の総合効率をηpiとすれば、Wmd=Wd/ηpi、Wmb=Wcb=Wb×ηpiのためεri=εbi×ηpi^2となり、電動機回路12の効率ηmだけでなく、電力Pm及びPcの往復還流に係る電力制御回路24の制御効率ηL(但しA・Bモードのみ)及び蓄電回路40の充放電効率ηcの向上が必要である。
【0123】上述[駅間運転サイクル]の加速・減速及び定常走行の挙動に関し、一例として表7に示す2M2T編成の電動客車について、本発明における1M車当たりの慣性抵抗関係諸量の計算値を表8に、従来の主定格のみの加速・減速の場合を表9に、運転性能の比較のため併せて示し、電気機関車で牽引の列車編成では、定性的にはこれと同様であり、諸量の計算を省略する。
【0124】
【表7】

【0125】
【表8】

【0126】
【表9】

【0127】表8の諸量計算値によれば、制動エネルギ率εbiは運転速度全域(50km/h〜120km/h)において80〜61%の如く制動エネルギWbが消費エネルギWdの大部分〜大半に、回収電力率εri=εbi×ηpi^2×(1−εw)は52〜41%に及び、それだけ消費電力が節減され、過負荷での総合効率ηpiの2乗に依存する両者εbi、εriの間の落差がかなりあり、また、加速・減速時の電動機の倍電圧過負荷Pa、Pbに拘らず受電電力Prが著しく山崩し軽減され、なお、表9との比較において、電動機12の副定格による高速域での加速・減速の牽引・制動力の強化とその時間及び距離の著しい短縮を示している。
【0128】[勾配抵抗関係諸量] 図10(a)において、車両94が勾配s=0の平坦路95から+s(o/oo)で距離S(km)の登坂路96及び−s(o/oo)でS(km)の降坂路97を経て再びs=0の平坦路98を速度v(km/h)で運行するとき、図10(b)の如く、平坦路95では走行抵抗Fvで軽負荷電動牽引、登坂路96では勾配抵抗Fsが加わって牽引力Fd=Fv+Fsで電動牽引、降坂路97では制動力Fb=Fv−Fsで回生抑速、平坦路98を走行抵抗Fvで軽負荷電動牽引するが、勾配路96、97での制動動力率はεbs=Pb/Pd=Fb/Fd(但し、Pdは電動牽引軸出力、Pbは回生制動軸入力)であり、前述【発明が解決しようとする課題】の位置のエネルギを回生電力として充電回収の対象とするものである【0129】図10(c)において、電動機及び蓄電の各回路12及び40の総合効率を軽負荷ではηpv、重負荷ではηpsとすればその回路電力Pmは、平坦路95及び98では電動電力Pmv=Pv/ηpv=Pv+pv、登坂路96では電動電力Pmd=Pd/ηps=Pd+pd、降坂路96では回生電力Pmb=Pb×ηps=Pb−pb(但し、pv、pd及びpbは各区間95と98、96及び97での電力損失)、勾配路96、97での回収電力率はεrs=Pmb/Pmd=εbs×ηps^2であり、前述[運転サイクル]の電力回収率εriと同様に、電力Pm及びPcの往復還流に係る回路の総合効率ηpsの向上が必要である。
【0130】図10(d)において、実線図示のとおり、平坦路95では受電電力Pr=Pmv、登坂路96ではPr=Pmdで電動走行し、蓄電回路電圧はVc=Vr、降坂路97では回生走行のためpr=0、回生電力はPmb=Pcで蓄電単位39に充電されVcはVrよりδVs高くなり、続く平坦路98では、蓄電回路電圧Vcを下げながら距離Sc=S*Pmb/PmvをVc=Vrとなるまで無受電(Pr=0)即ち放電電力Pc=Pmvだけで電動走行、続いて受電電力Prに移行しPr=Pmvで走行する。
【0131】登坂路96では、勾配抵抗負荷Psが加わり牽引負荷Pdは重負荷であるが、定常走行で電動機の主定格出力以内であり、電力Pm及びPcの往復還流に係る各回路12、40の電力損失pm、pcは、負荷率の2乗に比例するため、前述の過負荷を伴う加速・減速時のものより小さい。
【0132】上述の登坂・降坂において、前述の表7の車両の勾配抵抗関係諸量の計算値を表10に示せば、前述の表8と同様に、通常の運転速度域(50〜100km/h)で電動機の全負荷限度の勾配路の運行において、抑速動力率εbs=Pb/Pdは85〜44%(中勾配s=15o/ooでも69〜44%)の如く、抑速動力Pbは牽引動力Pdの大部分〜大半近くに達し、回収電力率εrs=εbs×ηpv^2は67〜35%(中勾配でも55〜35%)に及び、その両者εbs、εrsの間の落差が、定常走行での総合効率ηpsの2乗に依存することを示している。
【0133】
【表10】

【0134】[蓄電関係諸量] 上述の如く、標高差H、勾配sの距離S=H×sを降坂して回生抑速電力Pmb=Pcで充電し蓄電電圧VcがδVs(%)上昇すると、前述[蓄電特性]の如く充放電電力量はWc=2×Wo×δVs、質量mの車両の位置のエネルギWs=g×m×H(但し、gは重力の加速度)とすれば、Wc=Ws×εbs×ηpv、それに基ずき、前述の加速・減速時の蓄電電圧昇降値δViを併せた、蓄電関係諸量の計算値を上記の表10に併せて示す。
【0135】表10の諸量計算では、M・T車混合編成の電動客車において、静電容量100Fの蓄電単位39でδVmax=0.2を許容すれば、標高差Hmax=130mを上回る勾配路の運行が可能、特別急勾配区間用としてM車のみの編成では標高差Hmaxを略々倍増(1.826倍)でき、なお、定格電圧Eoでの蓄電電力量Wo=225MJの40%のWc=90MJを数分で急速充放電し且つ加速・減速(0.5〜1分)ではその数倍の瞬時過負荷となり、化学蓄電池では到底考えられない極めて苛酷な債務を示している。
【0136】[蓄電調整] 登坂路96の途中で受電接触器5を開路して破線図示のとおりPr=0とし、放電電力Pcだけで電動走行して予め蓄電電圧VcをδVs/2下げ、降坂路97での回生走行の充電電力Pc=PmbによるVcの上昇をδVs/2に軽減でき、換言すれば、降坂手前の無受電走行で蓄電電圧VcをδVsだけ下げる蓄電調整により、勾配路の最大標高差Hmaxを上記より更に倍増できる。
【0137】[電動機特性] 図11(a)(b)において、主定格即ち電機子全電圧と全励磁(Ifo=100%で無負荷トルク(T=0%)の走行速度vfo=50km/hの直流分巻電動機について、電機子の電圧Vmと電流Im、励磁電流If、界磁強さΦ及び軸トルクTmの関係を示せば、全負荷トルクTmf=100%で電機子電流Imf=100%、そのときの電圧降下即ち速度降下はef=Imf×rm(電機子反作用を無視した近似値、以下同じ)となり全負荷速度vf=vfo×(1−emf)、それ以下(v<vf)では、主チョッパ18で定電流Im=Imfcと走行速度vに比例の電圧Vmを与える電機子制御による全負荷トルクTmfcの定トルク域、それ以上(v>vf)では、励磁チョッパ31の界磁制御による速度vに反比例の、全負荷トルクTmftの定出力域である。
【0138】励磁チョッパ31によりImに比例し且つvに半比例のIfを界磁に与えれば、過励磁で磁気飽和の他は、Im・Φともvに反比例し、Tmはvの2乗に反比例の全界磁直巻トルク曲線Tmoとなり、加速時の過負荷(例えばIm=Imc=160%)の定トルク域Tmcではその2乗(1.6^2)に近い強力な値Tmcとなるが、その上限速度vac以上の界磁制御域では急激に低下し、例えば最高運転速度vmax=120km/hでは、Im、Φとも40%、軸トルクTm=Im×Φは16%に下がるので、If/Imを電機子反作用による整流子の過負荷限度の値0.4まで減じ、vmaxでImf=100%、Tm=40%を通る弱め界磁直巻トルク曲線Tmwをとして使用する。
【0139】上記の全界磁と弱め界磁の直巻トルク曲線TmoとTmwの間の移行操作として、電機子定電流Imcの界磁制御による定出力トルク曲線Tmtを配し、加速時過負荷の定トルク域Tmc上限からこの移行操作を行ない、過負荷電流Imcを定値(例えば160%)に抑えながら、整流子過負荷限度の弱め界磁直巻特性のトルク曲線Tmwへの移行域とする。
【0140】過負荷トルクTmc、Tmt及びTmwで所定の運転速度vnまで加速後は、その速度vnの過負荷トルク限度Tmw以内において、Mモードの分巻特性の界磁制御で定速の定常走行を行ない、勾配増加で全負荷電流Imfを越えるときは前述[減速]の操作をして全負荷トルク曲線Tmft以内の速度に、下げ、また、定トルク域の低速徐行運転では、AモードまたはBモード(降坂)の電機子電圧制御で定速定常走行し、勾配負荷及び速度変化をそれぞれセンサ57(Im)及び59(v)で検出しそのモードを自動的に切替える。
【0141】発進は、Imfc及びΦfoのトルクTmfcで行ない、始動電圧em=Imfc×rmで微速始動しΦfoが定値(分巻特性)の電機子電圧制御で微速を保ち、加速では120%(鎖線図示)〜160%(実線図示)の過負荷Imcと過励磁Φcとし、最大勾配smaxでも確実且つ緩やかに発進し且つ強力な加速トルクTmcに衝撃なく移行、なお、加速の過負荷率は、運転操作レバー64の加速段の複数ノッチ65で軌道勾配sや車輪粘着状況に合わせ調整可能である。
【0142】回生制動は、図11(a)のトルク特性線図とは、速度変動emが逆(高速側)になる他は横軸について対称であり、また、図11(b)の電機子電圧降下emが逆(高圧側)になる他は同様であり、図示省略する。
【0143】[牽引・制動力及び負荷特性] 図12において、上述の各トルク曲線を、直並列全電圧主定格のvfo=50km/hでの、電動牽引では全負荷のTmfc−sp、Tmft−sp及び過負荷のTmc−sp、Tmt−sp、Tmw−sp、回生制動では全負荷のTgfc−sp、Tgft−sp及び過負荷のTga−sp、Tgt−sp、Tgw−spを、全並列倍電圧副定格のvfo=100km/hにそれぞれ同率拡大して、電動牽引では全負荷のTmfc−p、Tmft−p及び過負荷のTmc−p、Tmt−p、回生制動では全負荷のTgfc−p、Tgft−p及び過負荷のTgc−p、Tgt−p(Tmw−p及びTgw−pは運転速度範囲外)、全直列半電圧半定格のvfo=25km/hにそれぞれ同率縮小して、電動牽引では全負荷のTmfc−s、Tmft−s及び過負荷のTmt−s、Tmw−s、回生制動では全負荷のTgfc−s、Tgft−s及び過負荷のTgt−s、Tgw−sの、牽引・制動力特性線図とし、これに各軌道勾配(s=0〜35o/oo)のときの負荷トルクTL及び平坦路(s=0)での加速度α及び減速度βの目盛線を併せ示す。
【0144】発進■は全直列の全負荷トルクTmfc−sで行ない、高速運転(例えばvn=100km/h)では、加速■〜■は、直並列■〜■s続いて全並列■s〜■の定トルク域Tmc−sp及びTmc−p、その上限速度vacで全並列のまま界磁制御の定出力■〜■のTmt−pで行ない、所定の運転速度vnに達した時■、直並列に戻段し、弱め界磁の直巻トルク特性のTmw−spとTgw−spの過負荷限度内における分巻特性の定速制御で、勾配sに応じ電動牽引または回生抑速で定常走行する。
【0145】減速■〜■は、再び全並列に進段し且つ界磁を強め、定出力域■〜■のTgt−pで回生制動が働いて減速、その下限速度vbcで定トルク域に替わり全並列■〜■sのTgc−p続いて直並列■s〜■のTgc−spで停止に近い微速vwまで減速する。
【0146】全並列即ち倍電圧短時の副定格では、定トルク域Tmc、Tgc及び定出力域Tmt、Tgtを高速側に倍増するので、高速部の加速・減速の過負荷トルクが大きく、例えば最高運転速度vmax=120km/hでの加速終期■及び減速初期■の過負荷トルクTmt−p及びTgt−pは、定出力特性の界磁制御域においても、直並列主定格の弱め界磁の全負荷トルクTmw−sp及びTgw−spの3.2倍に及ぶ。
【0147】徐行運転(例えばvn=50km/h)では、直並列主定格の定トルク域Tmc−spと定出力域Tmt−spを加速(■〜■s〜■s)・減速(■s〜■s〜■)に使用し、所定の運転速度vnに達した時■sに全直列半定格に戻段し、弱め界磁の直巻特性の垂下トルク域Tmw−sとTgw−sを過負荷限度とする、分巻界磁制御で定速定常走行する。
【0148】上述の直並列主定格の高速及び全直列半定格の中速いずれの全負荷トルクTmft、Tgftは、それぞれ速度域において、一般の運行区間の大半を占めるs=±10o/oo以下の緩勾配や平坦路の負荷トルクをカバーし、簡単な界磁制御で定速運転でき、平均的には軽負荷の定常走行(■〜■、■s〜■s)において、励磁電力Pf及び電機子鉄損pmiを銅損pmcと協調して低減する。
【0149】中・急勾配(s=15〜35o/oo)に入ったときは、徐行運転(例えばvn=50km/h)では電機子電流Im増加により自動的に直並列に進段し、その全負荷トルクTmft−sp・Tgft−spで対応、なお、高速運転(例えばvn=100km/h)では運転操作レバー64のボタン66を押して全並列に進段し、その全負荷トルクTmft−p・Tgft−p(それぞれ点線図示)で高速のまま短時(数分)の走破が可能である。
【0150】[電動機回路の挙動] 図13(a)において、Aモードの降圧チョッパ電機子制御により、発進■では全直列(Vm=4×Va、Im=Imf=Ia)の始動電圧Vmst=4×eaで微速■に至り、直並列(Vm=2×Va、Im=Imc=2×Ia)に進段して加速し、Vmが蓄電電圧Vcに達した時■s、全並列(Vm=Va、Im=Imc=4×Ia)に進段しVm=Vc/2、加速によりVmが上昇し再びVcに達した時■、定トルク上限速度vacでMモードの界磁制御に替わり、全並列(Vm=VcとIm=Imc=4×Ia)のまま定出力加速、所定の運転速度vnに達した時■、直並列に戻段し電機子電圧Va=Vc/2で定常走行、次駅手前■で再び全並列に進段しVm=Vcの定出力減速、その下限速度vbcに下がった時■、Bモードの昇圧チョッパ電機子制御に替わり、全並列のまま定トルク減速しVm=Vc/2に下がった時■s、直並列に戻段し再びVm=Vc、停止寸前の微速■に至りVm=0、惰走し所定位置■で車輪ブレーキにより停止する。
【0151】電力制御回路24の回路電流ILは、発進・加速では、まず放電電流Ic、続いて架線電流Itが加わり、減速では充電電流Icとなるが、その電流ILは、Aモード定トルク域■〜■では、IL=Ic+It=Imc×Vm/Vcの関係を持つ主チョッパ18の平均電流となり、速度vに比例して増加し、Mモード定出力加速■〜■・減速■〜■及び定常走行■〜■では、電機子群電流Imc及びImwに等しく、Bモード定トルク減速■〜■では、IL=Ic=Imc×Vm/Vcの関係を持つ還流ダイオード18の平均電流となり、速度vに比例して減少する。
【0152】電気機関車では、動輪の粘着性能の関係上、過負荷トルクが大きい加速・減速は全並列(Vm=Va)のみで行ない、図12(b)に破線図示の如く、加速前期■〜■s及び減速後期■s〜■の電機子群電流もIm=Imc=4×Iaとなるが、各電機子電流Ia及び電力制御回路電流ILは上記と同様である。
【0153】[電機子損失] 図13(b)において、鉄損pmiは、定トルクのAモード加速■〜■及びBモード減速■〜■では、電機子電圧Va即ち速度vの2乗に比例して増加・減少し、定トルク域上限■(v=vac)及び定出力域下限■(v=vbc)の半速時■s及び■sに電機子全電圧の主定格での鉄損pmio、Mモード定出力加速■〜■及び減速■〜■では、電機子倍電圧の副定格で、pmi=pmio×2^2、定常走行■〜■では電機子全電圧でpmi=pmio、銅損pmcは、加速■〜■及び減速■〜■の全域で、過負荷定電流(例えば負荷率は160%)のため、主定格全負荷時の銅損pmcoの負荷率の2乗倍即ちpmc=pmco×1.6^2、定常走行■〜■では軽負荷(例えば緩勾配s=+5o/ooでは約70%)のためpmc=pmco×0.7^2となる。
【0154】[界磁損失] 界磁損失となる励磁電力pfは、定トルクのAモード加速■〜■及びBモード減速■〜■では、過励磁(例えば160%)のため、定格励磁電力をpfoとすれば、pf=pfo×1.6^2、Mモード定出力加速■〜■及び減速■〜■では速度vの2乗に半比例して下がり、定常走行■〜■では、弱め界磁40%にしてvmax(例えば120km/h)とすれば、pf=pfo×0.4^2となる。
【0155】[損失協調] 一般に全負荷鉄損pmioは、鉄芯材料の品質向上もあり、全負荷銅損pmcoより小さく設計され、例えばpmio=2.5%、pmco=4%とすれば、電機子損失pm=pmi+pmcは、加速初期■及び減速終期■ではpa=pmco×1.6^2=10%、定トルク域の半速時■s及び■s(v=vac/2、v=vbc/2)ではpm=pmio+pmco×1.6^2=12.5%、定出力域■〜■及び■〜■ではpm=pmio×2^2+pmco×1.6^2=10%+10%=20%となり、加速・減速の仕事量の大半を占める高速域において、鉄損pmiと銅損pmcがそれぞれ10%の如く損失pmが鉄芯と巻線とに等分されて電機子全体の熱容量を増加し且つ過負荷におけるTm/Pmが大即ち電力効率ηm良く速やかに加速・減速を行い、駅間運転時間の大部分を占め且つ軽負荷の定常走行■〜■では、直並列高速(例えば120km/hで負荷約70%)でpmi=pmio=2.5%、pmc=pmco×0.7^2=2%、全直列中速(例えば約60km/hで負荷50%)でpmi=pmio×0.5^2=0.6%、pmc=pmco×0.5^2=1%の如く両者協調低減して電力効率ηmを稼ぐ。
【0156】界磁損失pfは、加速・減速の定トルク域■〜■及び■〜■では過励磁でpf=pfo×1.6^2、定出力域■−■及び■−■では速度vに半比例の垂下曲線となり、定常走行■〜■では、上記の直並列高速(120km/h)及び全直列中速(60km/h)ともpf=pfo×0.4^2のように、上記の電機子損失pmとの協調低減となる。
【0157】[低圧電源回路] 低圧電源回路86は、図1において、電力制御・蓄電回路24、40とは別系統のため、受電接触器5を開路して蓄電調整の際も正常に働き、架線停電の際は、蓄電池85による前照・信号・通信及び操作直流電源による待機及び緊急徐行操作に局限する。
【0158】[交流電動車両への応用] 実施例1を交流または交・直両用の電動車両に応用した場合を示せば、図14(a)において、交流架線区間では、架線1(交流20KV)の単相交流電力Ptは、集電子2、回路遮断器4及び交・直切替回路101を経て変圧整流器102に至り、変圧器103で降圧・タップ調整し、整流器104で直流1500Vに変換され直列リアクトル105、106を経て、直流架線区間では、架線1(直流1500V)の直流電力Ptは、交・直切替回路101から直接に、いずれも実施例1と同様の受電接触器4、ろ波リアクトル6及び受電ダイオード7またはその側路接触器8を経て、電力制御回路24及び蓄電回路40に給電され、なお、低圧電源回路86には、受電接触器4の電源側から分岐・給電する。
【0159】[等価回路] 図15において、変電所87にはスコット結線等の単相交流に変成の変圧器108が為す起電力Esとそのリアクタンスxs及び抵抗rsによる電圧降下esを、架線1のリアクタンスxt及び導体抵抗rt(それぞれ軌道52のリアクタンス及び抵抗を含む、以下同じ)で電圧降下etがあり、受電回路9には、変圧整流器102のリアクタンスxtr、抵抗rtr及び直列リアクトル105及びろ波リアクトル6の抵抗rs及びrLfによる電圧降下erを生じ、架線電流It及び受電変換の直流電流Irは、実施例1と同様に一方向流であり、架線回路92及び受電回路9の電力損失はps、pt及びprである。
【0160】車両内電力回路93の電力制御、電動機及び蓄電の各回路24、12及び40の諸量及びその挙動は実施例1の図7と同様であり、車両の加速・減速における電動機回路12の過負荷においても蓄電回路40との往復還流により、電力消費を大幅に低減し、架線回路92及び変圧整流器102を含む受電回路9の負荷を山崩しし軽減する、本発明の作用について全く同様である。
【0161】[変圧整流電圧] 図14(b)において、整流器104の出力回路は、直列リアクトル105によるチョークインプット(Choke−Input)平滑方式のため、広い負荷範囲に亘り誘導性で電圧変動は小さいが、単相交流の全波整流波形の尖頭値は、Vp=2545V(定格の約1.7倍)に達するので、受電ダイオード7の電源側から給電される車内補機、照明等の低圧電源回路86をダンピング(Dumping)負荷とし、直列リアクトル105のリアクタンスXsの作用が充分及ばない無負荷や著しい軽負荷を避け、なお、冷・暖房電力消費が著しく小さい春・秋季には、補充電終了後の定常走行後期、回生充電の減速制動や降坂抑速及びその充電保持の停車中には、軽負荷用直列リアクトル106を接触器107で整流出力電流Idcにより自動的に挿入して整流出力電圧Vdcの過昇を避け、なお、変圧器103のタップ切替で、前述の増充電の如き蓄電調整もできる。
【0162】[気電動車両への応用] 上記の変圧整流器102の代わりに、図16(a)に示すように、発電整流器109を配し、エンジン110で駆動の3相交流発電機111、整流器112及び直列リアクトル113で直流1500Vを得、架線1からの受電直流とともに、受電接触器4以下の受電回路9を経て、電力制御・蓄電の回路24、40に給電して非電化・電化両区間を直通運行し、燃料・電力消費を大幅に低減し且つ発電整流器109の負荷を山崩しし軽減できる。
【0163】等価回路上では、エンジン110が架線回路92に、発電整流器109が変圧整流器102に相当する他は、動力・電力諸量の挙動は上記と同様であり、三相交流全波整流波形の尖頭値Vpは直流出力電圧Vrより数%高程度で上述の過昇がなく、また、給電負荷に合わせ、発電機111の電機子巻線のY−Δ接触器114、115の切替え、図16(b)の如く、界磁制御及び回転数調整してエンジン効率を稼ぎ、蓄電電圧Vcに合わせ発電電圧を昇降し蓄電調整もできる。
【0164】
【実施例2】実施例2として、主として実施例1と同様の軸配列2Bを持つ電動客車において、主定格電圧375Vの電機子2個を2軸台車毎に永久直列接続し、2台車の直列で全電圧Va=375V(台車毎にVm=750V)、並列で倍電圧Va=750V(台車毎にVm=1500V)とし、車両毎に1動力単位とした動力車(M車)を2両連結し、付随車(T車)とともに2M2T編成を構成した場合について図面を参照して説明し、軸配列2Bの電気機関車で主定格電圧750Vの2電機子の直列・並列で台車毎に1動力単位とし、2組の動力単位を配した場合については、電動客車の永久直列の2電機子の台車を電気機関車の軸毎の1電機子に置き換えた他は、構成・作用とも同様であり図示を省略する。
【0165】[電動機回路] 図17において、電動機回路12の電機子15(M1〜M4)は台車116毎に2電機子(M1とM2、M3とM4)を永久直列接続し、M車毎に2台車(1号、2号)の直・並列接触器25、26を配して該M車の電力制御回路24に接続し、前述の実施例1と同様に図1に示す如く、受電、蓄電の各回路9、40と組合わせて1動力単位を構成する。
【0166】各M車の負極側に直・並列接触器27、28を配し、直列接触器27は1号M車のもので2M車との直列、2号M車のもので1号M車の負極(MN)に帰るよう接続、並列接触器28はそれぞれM車の負極(MN)と次号M車の正極(MP)に接続するよう配し、2M車の直・並列をもって実施例1の図3の全直列と直並列の、M車毎に2台車の直・並列をもって直並列と全並列のそれぞれ速段に対応させ、全直列では2M車全台車とも1号M車の1動力単位により、直並列及び全並列ではそれぞれM車の動力単位により電力制御され、全直列での2号M車の動力単位は受電・蓄電回路9、40が補充電のみに働き、蓄電均圧線43には1号M車の制御電力PLの1/2が横流するが、全直列は発進と定常走行に使用のため軽負荷であり抑制リアクトル42による電力損失は微小である。
【0167】[他編成への対応] 2号M車の負極側に配した直・並列接触器27、28は、3M3T編成における3号M車(点線図示)との間にも使用し、その場合は、2号M車の2台車116の間の直列接触器27は、全6台車直列即ち全直列用の接触器117(括弧内記載)に代え、破線図示のように3台車直列2群即ち3直2群の並列接触器118の設置スペースと、その配線を追加できるよう各車端に接続端子119を設け、なお、線区の運行密度により、1M1Tや3M3Tへの容易な編成変更を可能とする。
【0168】[励磁回路] 励磁制御回路35は、電動客車では、実施例1と同様に各M車の動力単位毎とし(電気機関車では、図2(a)に示すように、各M車の正極線10から回路遮断器31とダイオード36を介して共通1組とする)。
【0169】このような構成では、2M2T編成では実施例1と同様に、全並列まで進段して加速・減速し直並列の界磁制御域で高速定常走行、直並列で加速・減速し全直列で中速定常走行でき且つ主チョッパ18及び制御リアクトル16に直並列・全直列とも同様の電流債務を与えるので、発進や微速徐行における電機子制御にも好都合であり、1M1T編成では全直列が無く定常走行の界磁制御域が狭くなる他は、実施例1と同様の機能を持つ。
【0170】
【実施例3】実施例3は、2軸3台車(軸配置3B)または3軸2台車(軸配置2C)の電気機関車において、2電機子毎に直・並列接触器を配し、電力制御回路24を組合わせて1動力単位を構成し、3動力単位を1車内に配し3台車の直・並列接触器を加えて、1車の動力装置を構成したものを図面を参照して説明し、実施例2の電動客車の3M車による3M3T編成においては、その2電機子永久接続の1台車を、本実施例の1電機子に置き換える他は、同様の電動機回路12となるので図示を省略する。
【0171】[電動機回路] 図18において、2電機子毎(M1とM2、M3とM4、M5とM6)に直列接触器25(但しM3とM4には直列接触器117)及び並列接触器26を配し、電力制御回路24に組合わせてそれぞれ1動力単位を構成し、その3組の直・並列接触器27、28及び3電機子2群(M1とM2とM3、M4とM5とM6)の並列接触器118を配し、電動機回路12を構成する。
【0172】[電機子接続と電力制御] 接触器25、27及び117で6電機子の全直列で1/3電圧、接触器25、27及び118で3電機子毎の直列2群即ち3直2並列の2/3電圧、接触器25、28及び117で2電機子毎の直列3群即ち2直3並列の全電圧主定格、接触器26及び28で2電機子毎の並列3群即ち全並列の倍電圧副定格となり、全直列では1号、3直2並列では直列群毎に1号・2号動力単位で、2直3並列及び全並列では2電機子直・並列群毎に1号・2号・3号の各動力単位で、それぞれ電力制御され、全直列では残る2号・3号、3直2並列では残る3号動力単位の受電・蓄電回路9、40が補充電受電のみに働き、その蓄電単位39には蓄電均圧線43を経て、直列電機子群に係る制御電力PLの1/3(全直列)や2/3(3直2群)が横流するが、発進と定常走行に使用のため軽負荷であり抑制リアクトル42による電力損失は微小である。
【0173】[励磁回路] 実施例2と同様に(電動客車では、動力単位毎の励磁制御回路34で給電・制御)、電気機関車では、図2(a)に示すように回路遮断器30及びダイオード36で共通の励磁制御回路34とするのがよく、2界磁毎(F1とF2、F3とF4、F5とF6)を永久直列接続して3群並列で共通励磁する。
【0174】[牽引・制動及び負荷特性] 図12において、実施例1での全直列の半電圧と全励磁の無負荷速度vfo=25km/hに係る各トルク曲線Tmfa−s、Tmft−s及びTmw−s、本実施例の全直列では1/3電圧のvfo=16.7km/h、3直2並列では2/3電圧のvfo=33.3km/hに合わせ、同率移動した2組の各トルク曲線になり、2直3並列では全電圧のvfo=50km/h、並列3群では倍電圧のvfo=100km/hで、実施例1の直並列及び全並列の各トルク曲線と同様であり、図示省略する。
【0175】[各速段の適用] 発進は全直列の電機子制御で行ない、界磁制御の定常走行は全直列で低速vn=16〜40km/h、3直2並列で中速vn=33〜80km/hとする他は、2直3群で実施例1の直並列と同様の高速vn=50〜120km/hとして各速度域の境界部を充分重ね合わせ、徐行から最高運転速度までを界磁制御域に包含し、運転速度vnと軌道勾配sに最適な速段を選択し、鉄損pmi、銅損pmc及び界磁損pfを協調低減して電力効率を稼げるので、運行上頗る好都合であり、加速・減速は、実施例1の直並列及び全並列と同様に、電気機関車では並列3群のみの高粘着性能で、電動客車では2直3群と並列3群の高電力効率で行なう。
【0176】
【実施例4】 実施例4として、変電所87の所内またはその間の架線1或いは両方に蓄電所88を配し、非蓄電車両136に給電する場合について、図面を参照して説明する。
【0177】[給電回路] 図19において、変電所87には、変圧器89、整流器90及び直列リアクトル91があり、その直流出力母線120と高速回路遮断器121を経て給電区間SsKm毎に、上・下線54U、54Dの架線1U、1Dに区分して給電し、蓄電所88には、蓄電単位群39、抑制リアクトル42及び高速回路遮断器122を配し、直流出力母線120に接続し、架線1U、1Dの給電回路92を構成する。
【0178】変電所間の架線1U、1Dに上記と同様の蓄電所88を配し、高速回路遮断器123で上・下線52U、52Dの架線1U、1Dに区分して給電し、回路故障時にはそれぞれ給電区間S及び架線1U、1D毎の回路遮断器123が変電所の回路遮断器121とともに連動遮断して故障区間・架線を無電圧にするよう、制御線124を配する。
【0179】[蓄電回路] 図20において、前述[実施例1]の図4及び図5と同様に、蓄電要素45毎に限流ヒューズ付断路器46を配して並列接続し、断路器47を付して区分容量の蓄電単位39とし、抑制リアクトル42及び回路遮断器41を直列に配して成る蓄電回路40の複数組を並列接続して所定の蓄電容量を得、図20に示すように、回路遮断器122(変電所内蓄電所の場合)、123(架線蓄電所の場合)を介してそれぞれ架線1U、1Dに接続する。
【0180】[初・補充電回路] 各蓄電単位39の負極側に切替器125を配し、接地母線126と補充電母線127とを蓄電単位39毎に切替え可能とし、制御リアクトル128、限流チョッパ129、還流ダイオード130及び充電電圧・電流センサ131(Vch、Ich)を持ち、回路遮断器132を介して蓄電正極線133及び補充電母線127に接続して補充電装置134を構成し、可搬型として複数の蓄電所88に兼用を可能とする。
【0181】いずれかの蓄電要素45に万一の内部短絡が発生したとき、前述の実施例1と同様に、該故障蓄電要素45に直列の限流ヒューズ付断路器46のヒューズが溶断して該故障蓄電要素45を切り離し、他の蓄電要素45及び蓄電単位39への故障拡大を防ぎ、そのまま正常蓄電を可能とし、故障蓄電要素45を持つ蓄電単位39の回路遮断器41及び切替器125を操作して故障蓄電要素45を無電圧にし、健全蓄電単位39を使用のまま、故障蓄電要素45及び溶断したヒューズを新替え後、補充電装置133で新替え蓄電要素45の初充電をして復旧し、また、交流電力系統や変電所87の故障等での停電で蓄電所88の蓄電電圧Vcが下がったとき、蓄電単位39毎に回路遮断器41及び切替器125を操作して順次に補充電し、蓄電電圧Vcが架線電圧Vtに到達次第架線1に接続し順次に復旧することができる。
【0182】[等価回路] 図21において、前述の実施例1の図7に示す車載の蓄電回路40を変電所87内或いは架線1に配した蓄電所88に置き換えたものであり、その基本的な作用即ち車両の運動・位置のエネルギの充放電処理は同様であるが、過負荷の加速・減速及び重負荷の登坂・降坂での電動・回生電力Pmと放電・充電電流Icの往復還流において、架線1及び車両内の受電回路9の導体抵抗rt及びrLfによる電力損失pt及びprが増加し、総合効率ηpi、ηpsがかなり低下し、本発明の作用となる架線負荷の低減と電力消費量の節減及び電動機12の倍電圧副定格による運転性能(加速・減速)を損ずるが、従来実施の給電線での架線1の銅量強化及び下記の変電所間の蓄電所88の追加により、電圧降下et及びerと電力損失pt及びprを相当程度に軽減可能である。
【0183】変電所間の中間に蓄電所88を配した場合は、給電区間Ssが半減した状態になり、変電所87と蓄電所88両者から給電されるので、架線1の電圧降下etは低減、変電所87から蓄電所88への横流Isは、過負荷の加速時にIs=Im−Ic(放電)、軽負荷の定常走行時にIs=Im+Ic(補充電)となり、山崩し軽減、変電所87・蓄電所88間の架線1の電圧降下etsが低減され、また、変電所87内及びその中間に蓄電所88を分割・配置した場合は、過負荷の加速・減速時には回路抵抗rc+rLcが極めて小さい両蓄電所88が働くので、蓄電所間隔Scsに半減した架線1の電圧降下etがかなり低減される。
【0184】なお、加速・減速は高速運転でも1分且つ1km程度で済むので、例えば通常10km毎の給電区間Sとその1/nの蓄電所間隔では、最寄りの蓄電所88に過負荷が集中し、近接蓄電所88に架線1の均圧作用での横流及び定常走行に移行または停車後の横流に負荷が山崩しされ、数分以上の距離の登・降坂では重負荷Imが移動して順次に次の蓄電所88に移るので、蓄電所間の横流は小さくなる。
【0185】
【実施例5】[車載蓄電共用] 実施例5として、図22に主要回路(但し、点線図示の蓄電所88を除く)を示す如く、複数の蓄電車両135が受電ダイオード7を接触器8で側路して車載の蓄電単位39を共用し、或いは、非蓄電車両136と混合で、運行する場合を説明すれば、蓄電車両135は、運動のエネルギを為す加速・減速の過負荷電流Imcは、特に高速域での倍電圧副定格による過負荷の倍増においても、主に最短配線で回路抵抗が極めて小さい自車載の蓄電単位39に集中して充放電処理し、位置のエネルギを為す全負荷以下の登・降坂の重負荷Imsは、近接運行の蓄電車両135に車載の蓄電単位39と協働で充放電処理する。
【0186】複数の車両135、136は、過負荷の加速・減速や重負荷を伴う登坂・降坂の運転挙動で同種のものが重なる機会は少なく、各蓄電車両135の蓄電電力Pcの協働分は、変電所87からの架線電力Ptとともに、架線1を横流して均圧されるため、受電ダイオード7を持つ実施例1に比べ、蓄電電圧Vcの変動δVi、δVsが小さくなるので、標高差Hが大きい勾配路の運行や、混合運行の非蓄電車両136の運動・位置のエネルギの充放電処理も、蓄電車両135の蓄電電力Pcの共用で可能である。
【0187】
【実施例6】[架線・車載蓄電共用] 実施例6として、上記と同様、図22に主要回路を示す如く、変電所87や架線1に配した蓄電所88(点線図示)の蓄電単位39を混用して、或いは、非蓄電車両136と混合で、運行する場合も上述実施例5と同様に、過負荷を伴う運動のエネルギは主に自車載の蓄電単位39に集中して充放電処理し、重負荷を伴う位置のエネルギは近接の蓄電所88や近接運行の蓄電車両135に車載の蓄電単位39と協働で充放電処理する。
【0188】上述の実施例5及び実施例6において、図1に示す実施例1の受電ダイオード8の側路接触器8の操作で、変電所87や架線1に蓄電所88を持たず且つ近接運行の蓄電車両135がない非蓄電架線区間では、受電ダイオード7で自車載の蓄電電力Pcの架線1への流出を阻止して、遠隔運行の非蓄電車両136の牽引負荷での長距離架線1の電力損失を避け、自車専用として運転性能を保持し且つ受電回路遮断器4の遮断なく故障架線の故障切り離しに対応し、実施例5の複数の蓄電車両135が近接して運行或いは実施例6の蓄電所88を持つ蓄電架線区間では、接触器8で側路して架線1への蓄電電力Pcの流出を可能とする。
【0189】なお、前述[実施例1・蓄電調整]の如く、受電接触器5を開路して無受電走行する場合において、近接運行の蓄電車両135があれば、近接運行の非蓄電車両136の減速や降坂抑速の回生電力Pmの吸収負荷となり、その電動機主定格での減速であれば架線1の電圧降下etはあまり大きくならず回生電圧Vmの著しい上昇なく安定した回生制動が得られる。
【0190】[架線短絡保護] 架線1或いは1U、1Dに万一の短絡事故が発生した時、変電所87及び蓄電所88では、導体抵抗が極めて小さい各蓄電回路40に短絡電流が集中し、抑制リアクトル42で尖頭突入電流を抑えながら高速回路遮断器121及び123の連動遮断で速やかに故障架線1或いは1U、1Dを切り離すとともに、該故障架線で運行の蓄電車両135の受電回路9のろ波リアクトル6で尖頭突入電流を抑えながら高速回路遮断器4も働き、車載の蓄電単位39を保護する。
【0191】以上の各実施例1、4、5、6において、架線1には複数の蓄電単位39が、蓄電車135の高音周波作動の平滑・ろ波リアクトル37、6や蓄電所88の過渡尖頭電流に対する抑制リアクトル42の如き低インダクタンスを介して接続されるため、架線回路92は容量性になるが、元来、反起電力負荷となる直流電動機を持つ車両に給電する各変電所87の直列リアクトル91(交流電力周波作動)により整流器90は誘導性に保たれ整流尖頭電流は充分抑制され、また、三相両波整流のため整流波形の尖頭電圧は数%高程度であり、無負荷時の電圧上昇は軽微である。
【0192】
【発明の効果】一般に車両は車輪の転がりで走行するため、特に鉄道車両では、前述の表8に示す如く、自重mと走行抵抗Fvとの比が、運転速度0〜120km/hにおいてm/Fv=(46+38)/(0.106〜0.625)=792〜134のように著しく大きく、加速・減速時の慣性抵抗Fi及び登坂・降坂時の勾配抵抗Fsが牽引・制動力の大部分を占めるので、本発明においては、それらが為す運動のエネルギWiと位置のエネルギWsを、エネルギ可逆性を持つ電動機と充放電機能を持つ蓄電装置で処理し、従来の車両が車輪ブレーキや発電制動で熱放散していた制動・抑速動力を電力に回生し、蓄電要素に充電・回収して次サイクルの加速・牽引に利用することにより、受電電力は頗る軽負荷の走行エネルギWvに運動・位置のエネルギWi、Wsの処理に伴う電力損失wi、wsを加えた値になり、また、その運動・位置のエネルギWi、Wsが往復還流する電動機、電力制御及び蓄電の各回路の総合効率ηpi、ηpsの改善により、電力消費量を大幅に低減するとともに、車両の運転性能(特に加速・減速)を改善する、本発明の効果を下記に要約する。
【0193】駅間運転サイクル及び勾配路運行において、減速・抑速の回生電力を回収充電し、次の加速・牽引の電動電力に架線電力と混用することで、前述の表8に示すように、定常走行を含む車両運転の消費電力を略々半減する。
【0194】加速前期は前サイクルの充電電力で賄い、加速後期の放電電力を軽負荷の定常走行時の補充電に山崩しして架線の負荷を軽減且つ減速時には無負荷とし、架線回路の電力損失を大幅に低減する。
【0195】降坂抑速の回生及びその充電電力での無受電走行では架線は無負荷となり、架線回路の電力損失をかなり低減する。
【0196】架線回路の電力が一方向流になるため、変電所は動的作動の逆変換器(インバータ)を要せず、静的作動の変圧整流器だけの単純なもので済み、上述の消費電力の半減と架線回路の債務軽減とともに、その好影響が電源の電力系統にも及ぶ。
【0197】蓄電電圧は、減速・抑速時の回生充電及び受電ダイオードによるその逆流出阻止、加速後期の架線電力混入による放電軽減や登坂・平坦路の架線電力での走行により、その平均的には前述の表8及び表10に示すδVi及びδVsのように架線電圧より高めになり、電動機の性能発揮に頗る好都合である。
【0198】車載蓄電回路の極めて小さい回路抵抗により、電動機の倍電圧倍出力且つ過負荷を伴う慣性エネルギの急速充放電処理が可能となり、電動機の倍電圧短時定格(副定格)により、電機子定電流のまま銅損増加なく、過負荷定トルク域及び定出力域を高速側に倍増且つ全電圧連続定格(主定格)の弱め界磁直巻垂下トルク域の最高運転速度以上まで包含し、特に高速運転での加速・減速の時間・距離を、乗客に高加速度感を与えずに著しく短縮する。
【0199】上述の倍電圧短時とする電動機の副定格は、電動機の機械的及び電気的な設計を殆ど変えずに、電機子巻線の絶縁及び整流子の強化のみで可能であり(従来の発電制動で実現済み)、初加速度・終減速度の増加なく平均加速度・減速度の大幅な向上で、各駅停車の車両の運転速度を高め、小駅通過の急行車両との協調運行上頗る好都合である。
【0200】軽負荷の定常走行では、運転速度に応じ全電圧連続定格(主定格)や半電圧等(下記参照)により、界磁制御で軌道勾配による電動牽引・回生抑速の負荷に特性的自動的に応じて定速運転し且つ負荷損失の銅損とともに無負荷損失の鉄損及び界磁損を協調低減し、電力効率を向上する。
【0201】なお、高速運転中に急勾配路に進入するとき、倍電圧に進段しその全負荷でそのまま短時高速走破(数分)でき、運行効率上頗る好都合である。
【0202】電機子群の直・並列切替により全並列で上記の倍電圧、直並列で全電圧、4電機子の全直列で半電圧や6電機子の3直2並列と全直列で2/3電圧と1/3電圧の各速段が得られ、徐行低速から最高速度までの運転速度全域において機構簡単且つ低損失の界磁制御で牽引・抑速負荷に特性的自動的に対応できる。
【0203】小容量(例えば120KW)且つ主定格電圧375Vの電動機を持つ電動客車では、2軸台車の直・並列接触器を配して主・副両定格を持つM車(動力車)毎に1動力単位とし且つM車間の直・並列接触器を配して標準化し、運行状況に応じ1M1T、2M2Tや3M3T編成、急勾配区間では2Mや3M、或いはその倍数編成を、M車間の簡単な接続(3M3T及び3M編成では1.5M車間の直・並列接触器を追加)で上記の速段とともに可能とする。
【0204】大容量の電動機(例えば480KW、主定格電圧750V)を持つ電気機関車では、2電動機の動力単位毎及び複数の電動機組の直・並列接触器を上記と同様に配し、受電・電力制御・蓄電の各回路の回路要素や制御素子の単器容量の制約に対応することができる。
【0205】電力制御回路において、電機子制御要素(制御リアクトル、主チョッパ及び還流ダイオード)は、降圧・昇圧制御作動とも同一接続条件にあるため回路設計は容易であり、制御リアクトルの入力側を接触器で切り替えて電動・回生制御、初・補充電及び増充電の3様の回路に使用でき、また、高音周波作動により少ない巻線数と極めて小さい導体抵抗で、直流変圧器作動に充分なリアクタンスが得られる。
【0206】加速・減速エネルギの大半を占める高速域及び定常走行では、主・副接触器で上記の電機子制御要素を切り離して電機子群に直接に給電全電圧を与えて界磁制御するため、電力制御回路の電力損失はゼロになり、上記の電機子制御要素の低損失と相まって総合効率向上に頗る好都合である。
【0207】上記の電機子制御要素の直流変圧器作用を利用し、加速・減速は全並列のみとし、交流電気機関車の変圧整流器のタップ切替えと同様且つ無段の電機子電圧制御で動輪の粘着性能が得られる。
【0208】主チョッパの高音周波作動により、蓄電回路の平滑リアクトルは、少ない巻線数と極めて小さい導体抵抗で、主平滑コンデンサとともに充放電電流の脈動を抑えるに充分なリアクタンスが得られ、また、受電回路のろ波リアクトルも同様に、少ない巻線数と極めて小さい導体抵抗で、主平滑コンデンサとともに上記の電機子制御要素が発生する脈動や整流子ノイズ電流を消去し通信障害防止に充分なリアクタンスが得られるのて、それぞれ電力損失を低減し総合効率向上に頗る好都合である。
【0209】運転操作レバーの加速・減速段の複数ノッチで牽引・制動力を、勾配路においても適正な加・減速度に、動輪の粘着力に見合う値に調整でき、且つ最高運転速度まで強力な牽引・制動力と相まって円滑・確実・迅速な加速・減速ができ、加速段はバネ戻り機構により運転士居眠り等に安全を期し、力行ノッチで定速制御の定常走行、切ノッチで惰行、該レバー頭部のボタンスイッチで倍電圧高速走破、発進・加速から停止寸前まで全て該レバーの電気的操作で行なうので、運転操作は頗る容易である。
【0210】上記の減速操作を微速まで回生・発電制動で行なうので、車輪ブレーキの制動エネルギは微小であり、車輪と制輪子の摩耗は皆無に近く、保全上頗る好都合であり、なお、車輪ブレーキの制動空気系統は独立の別系統であり、上記電気制動の有無に拘らず、運転速度からの車輪ブレーキで非常制動が可能である。
【0211】本発明の蓄電車載の動力装置は、交流電動車両や交直両用車両及び気電動車両にも、そのまま応用可能であり、消費電力・燃料の半減、車載の変圧整流器や発電整流器の負荷の山崩し軽減、運転性能(特に加速・減速)の向上は上述と同様、従って電動車両全般において本発明に係る各回路の標準化設計・製作により、原価軽減も可能である。
【0212】なお、気動車両のエンジンと変速器等の負荷との間に挿入した電動機に本発明の電力制御・蓄電回路を応用でき、上記と同様の効果を得ることができる。
【0213】変電所内または変電所間に或は両者に蓄電所を配し非蓄電車両を運行する場合は、架線は、電動機・蓄電の両回路間の電力往復還流ループに該車両の受電回路とともに入るので、その債務は従来のものと同様になりその電力損失が加わるが、蓄電所間隔を短縮または給電線の銅量強化或いは両者で、その電圧降下と電力損失を軽減し、また、該車両の回生電力を架線電力の急昇なく円滑確実に充電回収でき、消費電力の半減や変電所の負荷の山崩し軽減と電力一方向流は勿論、上述の本発明の効果を得ることができる。
【0214】蓄電車両は、その受電ダイオードで蓄電電力を自車内に保持して、電動・回生電力を効率良く充放電処理し且つ近接運行の非蓄電車両の回生電力を吸収することもでき、また、複数蓄電車両の近接運行区間では、それぞれ自車載の受電接触器で受電ダイオードを側路して、蓄電電力を非蓄電車両とともに共用でき、過負荷を伴う慣性抵抗負荷即ち運動のエネルギは主に自車載の蓄電単位で、勾配抵抗負荷即ち位置のエネルギは他の蓄電車の蓄電電力と協働で充放電処理することができ、また、各車両の運転挙動が一致の機会は少なく、架線1の均圧作用での横流で各蓄電車両の蓄電電圧は著しい上昇なく同値に保たれ、高標高差の勾配路運行にも好都合であり、その横流電力は、上述の蓄電車両単独での架線負荷と同様に山崩し軽減されるので、架線1の電力損失は小さくなる。
【0215】なお、蓄電車が上述の蓄電所を持つ蓄電架線区間に入ったとき、上記と同様に受電ダイオードを側路して蓄電電力を混用でき、特に標高差Hが大きい急勾配区間では、勾配抵抗負荷の充放電処理に頗る好都合である。
【0216】前述の表10に示すように、数分での急速充放電は従来の化学蓄電池では到底考えられない苛酷な債務であり、その即応性の必要や回路電力損失の局限のためにも、蓄電要素は、大容量の静電蓄電器が蓄電原理上最適であり、静止機器(超伝導装置のように超低温冷却の如き可動機構を持たない)且つ静的作動(蓄電池の如き化学的作動がない)で、そのような苛酷な債務の繰り返しにも劣化なく半永久的な寿命が期待でき、また、運動・位置のエネルギ処理には蓄電池車の如き長時間の給電容量は必要ないので蓄電電力容量は小さくて済み、車載や蓄電所用として小型軽量のものが期待できる。
【0217】そのような内部抵抗が極めて小さく充放電に時間遅れが全く無い蓄電特性上、万一の内部短絡の際の突入電力は爆発的のため、適当な容量に分割した蓄電要素を限流ヒューズを介して複数個並列して蓄電単位を構成し、故障要素を瞬時に切り離して短絡突入エネルギを局限し且つ運転続行及び取替え・充電・復旧を可能とし、蓄電均圧線で更に並列接続した蓄電単位の共用で運転続行に支障なく、電力制御回路、蓄電均圧線や架線の万一の短絡事故には平滑リアクトルや抑制リアクトルで尖頭突入電流を抑えながら回路遮断器で高速遮断し、蓄電装置の安全を確保する。
【0218】蓄電要素取替えに伴う初充電及び夜間休止や保全休止等の自己放電による蓄電電圧低下に対し、上述の電機子制御要素による限流補充電で、始業時の受電開始(回路遮断器や受電接触器の投入)の際の突入充電を避け、駅間短距離、途中緊急停車や架線電圧低下等で前述の定常走行時の補充電が不十分の際は、電機子制御要素による増充電で蓄電電圧を昇圧補充でき、車両の保全や運行に頗る好都合である。
【0219】最近、科学技術の進歩・発展により、制御要素として使用のサイリスタやダイオード等の半導体素子や、リアクトルの鉄芯材料は高速・大容量且つ高性能・高品質のものが得られるは勿論、蓄電要素として上記の大容量蓄電器は、低圧(例えば直流120V)のものは既に実現し電気自動車に単独或いは化学蓄電池と協働で試用されるに至り、また、瞬時に巨大なエネルギを発生するレーザー兵器等の蓄電要素として、高電圧のものも実現している筈であり、その延長として、本発明の動力装置及び給電装置用として、前述の表7に示す直流1500V・100F(図4や図5の如く分割し例えば単器で5〜10F)で且つ車載の小型軽量のものも充分可能と考える。
【0220】上記の容量1500V・100Fでの定格蓄電電力量はWo=225MJ即ち1500V×225キロアンペア・秒であり、従来の化学蓄電池12V−62.5アンペア・時のものの125個直列に相当し、その容積・重量(2〜3トン程度)から見ても、本発明に係る蓄電装置は、車載用及び蓄電所用として充分実施可能の規模のものである。
【0221】なお、車両の運動・位置のエネルギの処理には、はずみ車や圧縮空気等の他種の蓄勢機構も研究されているが、回転電機等で電力との相互変換にかなりのエネルギ損失を伴い、また、機械的結合では速度全域の回転数変化を伴う車軸との整合が著しく困難であり、電気的整合の容易且つエネルギ損失が極めて小さい、本発明に係る蓄電機構に優るものは無い。
【出願人】 【識別番号】595030206
【氏名又は名称】大田 幸雄
【出願日】 平成12年2月16日(2000.2.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−231112(P2001−231112A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−105615(P2000−105615)