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【発明の名称】 電気車制御装置
【発明者】 【氏名】松岡 成康

【氏名】山中 章広

【氏名】木村 光男

【氏名】星 吉輝

【要約】 【課題】回生および発電ブレーキ方式を併用する誘導電動機駆動用の電気車制御装置において、高速域における電気ブレーキ力を拡大させること。

【解決手段】高速域の電気ブレーキ時に第2単位スイッチ4を開放し、第2単位スイッチ4に並列接続されている第1抵抗器5を通電しパンタグラフ1を介して回生ブレーキを動作させる。第1抵抗器5に流れる回生電流と該抵抗器5の抵抗値から定まる電圧がインバータ回路10の入力直流電圧を上昇させるので、誘導電動機11の三相交流電圧が上昇する。誘導電動機の特性により、電圧が上昇すると磁束が比例して増加し、主電動機のトルクが増大するため、ブレーキ電流を増やすことなく、高速域における電気ブレーキ力を得ることが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 架線に直列に接続された高速度遮断器と単位スイッチおよび該単位スイッチに並列に接続された抵抗器から構成される投入回路と、上記投入回路を介して架線から供給される直流電力を変換して電気車駆動用誘導電動機に三相交流電力を供給するインバータ回路と、フィルタコンデンサと並列にスイッチング素子と抵抗器を直列に接続したチョッパ回路とを備えた電気車制御装置であって、上記投入回路の単位スイッチを制御する制御回路は、高速領域のブレーキ時、上記投入回路の単位スイッチを開放させ、上記投入回路の抵抗器を介してブレーキ電流を通電させブレーキ電流を回生させることを特徴とする電気車制御装置。
【請求項2】 上記制御回路は、高速領域のブレーキ時、上記投入回路の単位スイッチを開放させるとともに、チョッパ回路の動作点電圧セット値を高い値に変更することを特徴とする請求項1の電気車制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回生および発電ブレーキ方式を併用する誘導電動機駆動用の電気車制御装置に関し、さらに詳細には、高速領域における電気ブレーキ力を確保できるようにした電気車制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は電気車制御装置の主回路接続図を示す図である。同図において、架線から集電するパンタグラフ1に、高速度遮断器2、第1単位スイッチ3、第2単位スイッチ4からなる投入回路12が接続され、第2単位スイッチ4に第1抵抗器5が並列に接続されている。投入回路12の第2単位スイッチ4には、フィルタリアクトル6、フィルタコンデンサ9が直列に接続され、該フィルタコンデンサ9に並列接続するチョッパ7と第2抵抗器8の直列回路および三相交流出力のインバータ回路10が接続さている。該インバータ回路10の三相交流側に誘導電動機11が接続され、電気車の力行時には、誘導電動機11が駆動され電気車が走行する。
【0003】上記投入回路12の制御回路13は、第1単位スイッチ3、第2単位スイッチ4を次のように制御する。フィルタコンデサ9の電圧が低い時、第2単位スイッチ4は投入されず、第1単位スイッチ3(高速度遮断器2は常時投入)が投入され第1抵抗器5を介してフィルタコンデンサ9が充電される。その後、フィルタコンデンサ9の電圧が架線電圧の8割以上に上昇したことを条件(VFC条件)に第2単位スイッチ4が投入される。そして、この条件が成立している間は第2単位スイッチ4は投入されたままである。
【0004】図4に上記投入回路12の第2単位スイッチ4の投入論理を示す。図4において、ANDはアンドゲート、HBは高速度遮断器2、LB1は第1単位スイッチ3、LB2は第2単位スイッチ4、また、VFC条件成立時は、〔フィルタコンデンサ電圧VC〕/〔架線電圧VL〕が80%以上である。図4に示すように、LB2(第2単位スイッチ4)は〔HB(高速度遮断器2)オン〕、〔LB1(第1単位スイッチ3)オン〕かつ〔VFC条件成立時〕に投入される。すなわち、フィルタコンデンサ9の電圧が架線電圧の8割以上に上昇するまでは、第2単位スイッチ4を開いてフィルタコンデンサ9の充電電流を抑制し、フィルタコンデンサ9の電圧が架線電圧の8割以上に上昇すると第2単位スイッチ4を閉じて、第1抵抗器5をバイパスさせる。
【0005】図3に示す電気車制御装置はブレーキ時、次のように動作する。ブレーキ時、誘導電動機11は誘導発電機として動作し、該誘導発電機で発生した交流電力はインバータ10で直流に変換され、パンタグラフ1を通って架線に接続された別の負荷(例えば、近くを走行する他の電気車)で消費される。このようなブレーキ制御方式を回生ブレーキ方式という。一方、電気車が閑散線区を走行する場合や、早朝および深夜に運転される場合等で、架線に接続された別の負荷が小さい場合は、誘導電動機11で発生した電力を消費しきれないので、チョッパ7を動作させて第2抵抗器8に電流を消費させて電気ブレーキを継続させる。このように電気車内に搭載された負荷でブレーキ電力を消費させる方式を発電ブレーキ方式という。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従来の回生および発電ブレーキ方式では、これまで力行を基本に定められた特性では高速時のブレーキ力が不足する。従来例として、高速時におけるブレーキ力が不足する特性を図5の2点鎖線に示す。電力回生ブレーキを用いる車両では、最大の直流電圧が架線電圧制限にて抑えられ、図5に示すように、例えば80km/h以上の高速においては必要なブレーキ力を得ることはなかなか困難である。(従来の定ブレーキ力速度域を80km/h以下と仮定した。)このため、不足するブレーキ力は、圧縮空気を媒体として空気シリンダを動作させ、摩擦材を車輪踏面やディスクに押し付けて、摩擦力によりブレーキ力を得る機械式の空気ブレーキ等により補足されるのが一般的であった。摩擦を利用する空気ブレーキ等はブレーキエネルギーとしてエネルギーは熱となる。しかも、ブレーキパワーはブレーキ力と走行速度に比例するので、高速度では大変大きな値となる。このためブレーキシューと車輪踏面の間において摩擦熱により、ブレーキシューと車輪踏面等は摩耗部品として、日常点検保守の機会が増えるといった問題があった。
【0007】本発明は上記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、高速域における電気ブレーキ力を拡大させることができる電気車制御装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による電気車制御装置では、次のようにして上記課題を解決する。
(1)高速域における電気ブレーキ時に、投入回路の単位スイッチを開放することにより、単位スイッチに並列接続されている抵抗器を介して電気ブレーキを動作させる。そして、高速からのブレーキ後、従来の定ブレーキ力速度域に速度が低下した時に、単位スイッチを再投入させる。
(2)上記制御回路は、高速領域のブレーキ時、上記投入回路の単位スイッチを開放させるとともに、チョッパ回路の動作点電圧セット値を高い値に変更する。
【0009】上記(1)のように構成することにより、高速域における電気ブレーキ時、単位スイッチに並列接続された抵抗器に流れる回生電流と抵抗値から定まる電圧分だけインバータ入力回路の直流電圧を上昇させることができる。これにより誘導電動機の三相交流電圧が上昇し、ブレーキ電流を増やすことなく、高速から電気ブレーキ力を得ることが可能となる。また、格別の主回路構成を変更することなく、また、現状の誘導電動機およびインバータ回路の能力を増大させることなく使用することが可能である。さらに、高速からのブレーキ後、従来の定ブレーキ力速度域に速度が低下したとき、単位スイッチが再投入されるので、従来のブレーキ特性にしたがい電気ブレーキが継続させることができる。また、上記(2)のように構成することにより、上記(1)と同様、格別の主回路構成を変更することなく、高速時における発電ブレーキ力を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施例の電気車制御装置の構成を示す図である。主回路接続は前記図3に示したものと同じであり、本実施例においては、投入回路12を制御する制御回路13における第2単位スイッチ4の投入論理が前記図3、図4とは相違している。また、上記制御回路13の出力によりチョッパ制御回路14の動作点電圧のセット値を高い値に変更する。これにより、本発明においては電気ブレーキ領域を拡大することができる。
【0011】本実施例において、前記したフィルタコンデンサ9の充電を目的とした第2単位スイッチ4の動作は従来例と同様である。すなわち、フィルタコンデサ9の電圧が低い時、第1単位スイッチ3が投入され、第2単位スイッチ4は投入させず、第1抵抗器5を介してフィルタコンデンサ9が充電される。フィルタコンデンサ9の電圧が架線電圧の8割以上に上昇すると、第2単位スイッチ4を投入される。この条件の他、本実施例においては、高速領域おけるブレーキ時に、第2単位スイッチ4を開放させ並列接続された第1抵抗器5を通電しパンタグラフ1を介して回生させる。また、チョッパ7の動作点を高くする。
【0012】図2に本実施例の制御回路13の投入論理を示す。同図において、ANDはアンドゲート、HBは高速度遮断器2、LB1は第1単位スイッチ3、LB2は第2単位スイッチ4、また、VFC条件成立時は、〔フィルタコンデンサ電圧VC〕/〔架線電圧VL〕が80%以上、速度条件成立時は、定ブレーキ力速度以上の場合である。図2に示すように、LB2(第2単位スイッチ4)は〔HB(高速度遮断器2)オン〕、〔LB1(第1単位スイッチ3)オン〕かつ〔VFC条件成立時〕に投入され、また、速度条件成立時、第2単位スイッチ4は開放される。また、高速からのブレーキ後、従来の定ブレーキ力速度域に速度が低下すると、速度条件が成立しなくなり第2単位スイッチ4は閉じる。このため従来のブレーキ特性にしたがい電気ブレーキが継続される。
【0013】本実施例においては、速度条件成立時の回生ブレーキ動作中、上記のように第2単位スイッチ4を開放する。このため、第1抵抗器5に流れる電流と抵抗値から定まる電圧がインバータ回路10の入力直流電圧を上昇させ、出力である誘導電動機11の電圧が上昇する。一般に誘導電動機の特性により、電圧が上昇すると磁束が比例して増加し、主電動機のトルクが増大する。このため回生ブレーキ力を高めることができる。さらに、高速領域におけるブレーキ時、上記第2単位スイッチ4が開放している場合、チョッパ7の動作点電圧セット値を高い値に変更する。これにより、発電ブレーキ時のブレーキ力を高めることができる。
【0014】
【発明の効果】以上述べたように本発明においては、高速領域のブレーキ時、投入回路の単位スイッチを開放させてインバータ回路10の入力直流電圧を上昇させているので、特に新しい主回路構成を付加することなく、従来の技術と同一主回路接続により、電気ブレーキ力を増大することが可能である。このため、従来高速領域において、補足していたブレーキ力である機械式の空気ブレーキ等が軽減または不要とされ、ブレーキシューおよび車輪踏面の日常点検保守が大きく軽減される。
【出願人】 【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
【出願日】 平成12年2月17日(2000.2.17)
【代理人】 【識別番号】100100930
【弁理士】
【氏名又は名称】長澤 俊一郎
【公開番号】 特開2001−231104(P2001−231104A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−39519(P2000−39519)