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【発明の名称】 ハイブリッド電気自動車の表示装置
【発明者】 【氏名】梁▲瀬▼ 尚志

【要約】 【課題】走行可能距離や走行可能時間を正確に予測し表示可能なハイブリッド電気自動車の表示装置を提供する。

【解決手段】バッテリの放電可能電力量とエンジンによる発電可能電力量からなる現在の全電力量に、過去の車両走行における消費電力量と供給電力量から求まる過去の所定期間における走行パターンを加味することで、車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が適切に予測されるのであるが(S14)、この際、上記発電可能電力量及び上記過去の供給電力量の少なくとも一方が発電モードに応じて補正され、或いは上記過去の消費電力量及び供給電力量の少なくとも一方がバッテリの充電レベルに応じて補正されること等により(S12)、車両の今後の走行可能距離や走行可能時間が精度良くより一層適切に予測されて表示される(S16)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の駆動力を発生するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記バッテリに充電すべく発電を行う発電機と、前記発電機を作動させるエンジンと、前記バッテリの充電レベルを検出する充電レベル検出手段と、前記充電レベル検出手段からの充電レベル情報に基づき前記バッテリの放電可能電力量を算出する放電可能電力量算出手段と、前記エンジンを駆動する燃料の残量を検出する燃料残量検出手段と、前記燃料残量検出手段からの燃料の残量情報に基づき前記エンジンを一定負荷で駆動したと仮定したときに前記発電機で発電可能な発電可能電力量を算出する発電可能電力量算出手段と、前記放電可能電力量算出手段からの放電可能電力量情報と前記発電可能電力量算出手段からの発電可能電力量情報とに基づき全電力量を算出する全電力量算出手段と、過去の車両走行における消費電力量を算出する消費電力量算出手段と、過去の車両走行における供給電力量を算出する供給電力量算出手段と、前記消費電力量算出手段からの消費電力量情報と前記供給電力量算出手段からの供給電力量情報とに基づき過去の所定期間における電力収支を算出する電力収支算出手段と、発電電力の異なる複数の発電モードのうちのいずれか一つを選択して前記発電機を発電作動させる発電モード切換手段と、前記発電モード切換手段からの過去の発電モード情報に基づき前記発電可能電力量及び前記供給電力量の少なくともいずれか一方を補正する補正手段と、前記全電力量算出手段からの全電力量情報と前記電力収支算出手段からの過去の電力収支情報とに基づき車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方を予測する予測手段と、前記予測手段の情報に基づき前記走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の表示装置。
【請求項2】 車両の駆動力を発生するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記バッテリに充電すべく発電を行う発電機と、前記発電機を作動させるエンジンと、前記バッテリの充電レベルを検出する充電レベル検出手段と、前記充電レベル検出手段からの充電レベル情報に基づき前記バッテリの放電可能電力量を算出する放電可能電力量算出手段と、前記エンジンを駆動する燃料の残量を検出する燃料残量検出手段と、前記燃料残量検出手段からの燃料の残量情報に基づき前記エンジンを一定負荷で駆動したと仮定したときに前記発電機で発電可能な発電可能電力量を算出する発電可能電力量算出手段と、前記放電可能電力量算出手段からの放電可能電力量情報と前記発電可能電力量算出手段からの発電可能電力量情報とに基づき全電力量を算出する全電力量算出手段と、過去の車両走行における消費電力量を算出する消費電力量算出手段と、過去の車両走行における供給電力量を算出する供給電力量算出手段と、前記消費電力量算出手段からの消費電力量情報と前記供給電力量算出手段からの供給電力量情報とに基づき過去の所定期間における電力収支を算出する電力収支算出手段と、前記充電レベル検出手段からのバッテリの充電レベル情報に応じて前記消費電力量及び前記供給電力量の少なくともいずれか一方を補正する補正手段と、前記全電力量算出手段からの全電力量情報と前記電力収支算出手段からの過去の電力収支情報とに基づき車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方を予測する予測手段と、前記予測手段の情報に基づき前記走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の表示装置。
【請求項3】 車両の駆動力を発生するとともに車両制動時に回生電力を発生するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、前記バッテリに充電すべく発電を行う発電機と、前記発電機を作動させるエンジンと、前記バッテリの充電レベルを検出する充電レベル検出手段と、前記充電レベル検出手段からの充電レベル情報に基づき前記バッテリの放電可能電力量を算出する放電可能電力量算出手段と、前記エンジンを駆動する燃料の残量を検出する燃料残量検出手段と、前記燃料残量検出手段からの燃料の残量情報に基づき前記エンジンを一定負荷で駆動したと仮定したときに前記発電機で発電可能な発電可能電力量を算出する発電可能電力量算出手段と、前記放電可能電力量算出手段からの放電可能電力量情報と前記発電可能電力量算出手段からの発電可能電力量情報とに基づき全電力量を算出する全電力量算出手段と、過去の車両走行における消費電力量を算出する消費電力量算出手段と、過去の車両走行における供給電力量を算出する供給電力量算出手段と、前記消費電力量算出手段からの消費電力量情報と前記供給電力量算出手段からの供給電力量情報とに基づき過去の所定期間における電力収支を算出する電力収支算出手段と、前記全電力量算出手段からの全電力量情報と前記電力収支算出手段からの過去の電力収支情報とに基づき車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方を予測する予測手段と、路面の勾配を検出する勾配検出手段と、前記勾配検出手段からの勾配情報に基づき過去及び将来の少なくともいずれか一方の回生電力量を算出する回生電力量算出手段と、前記回生電力量算出手段からの過去及び将来の回生電力量情報に基づき前記車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方を補正する補正手段と、前記予測手段の情報に基づき前記走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド電気自動車に係り、詳しくは、走行可能距離や走行可能時間を運転者に知らせる表示装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】近年、車両の駆動力源として電動機(モータ)を搭載し、電動機に電力を供給する2次電池(バッテリ)の充電を比較的小型の内燃機関(エンジン)により駆動される発電機で行うよう構成したシリーズ式ハイブリッド型車両が開発され実用化されている。
【0003】ところで、エンジン出力で走行する車両の場合であれば、燃料残量や燃料消費量から走行状態の把握が可能であり、今後の走行可能距離を極めて簡単に予測可能であることから、このようなハイブリッド型車両においても当該走行可能距離を予測することが望まれている。そこで、バッテリの現在の充電レベル(SOC:State Of Charge)とエンジン作動用燃料の残量とに基づいて走行可能距離を予測し表示する装置が、特開平11−220803号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ハイブリッド型車両では、バッテリの電力を走行用以外の用途に使用すること、モータによる回生電力があること、エンジン出力の電力への変換ロスがあること、バッテリ状況に応じて充放電効率が変化すること等の種々の理由により、単純に現在のバッテリのSOC情報からだけでは当該走行可能距離の正確な予測が困難なのが現実である。
【0005】それ故、上記公報に開示の装置においても、実際には走行可能距離を実現確率として曖昧に表示しており、さらに当該実現確率を走行状態に応じて大まかに補正を行うようにしている。しかしながら、実現確率をいくら補正しても、補正精度が低ければ、表示は曖昧なままであり、現実的なものではなく、運転者の要求に応えるものではない。
【0006】本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、走行可能距離や走行可能時間を正確に予測し表示可能なハイブリッド電気自動車の表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、請求項1の発明では、放電可能電力量算出手段により、充電レベルに基づいてバッテリの放電可能電力量を算出し、発電可能電力量算出手段により、エンジンを駆動する燃料の残量に基づいてエンジンを一定負荷で駆動したと仮定したときに発電機で発電可能な発電可能電力量を算出し、全電力量算出手段により、これら放電可能電力量と発電可能電力量とに基づいて全電力量を算出する。一方、消費電力量算出手段により、過去の車両走行における消費電力量を算出するとともに、供給電力量算出手段により、過去の車両走行における供給電力量を算出し、電力収支算出手段により、これら消費電力量と供給電力量とに基づいて過去の所定期間における電力収支を算出する。この際、上記発電可能電力量及び過去の供給電力量の少なくともいずれか一方は、発電モード切換手段により選択されている発電電力の異なる複数の発電モードのうちのいずれか一つに基づき補正手段により補正される。そして、当該補正を含んだこれら全電力量と過去の電力収支とに基づいて車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が予測手段により予測され、表示手段によって表示される。
【0008】つまり、バッテリの放電可能電力量とエンジンによる発電可能電力量からなる現在の全電力量に、過去の車両走行における消費電力量と供給電力量から求まる過去の所定期間における走行パターンを加味することで、車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が適切に予測されるのであるが、この際、発電モードに応じて発電電力量が異なることから、上記発電可能電力量または上記過去の供給電力量を当該発電モードに応じて補正することにより、車両の今後の走行可能距離や走行可能時間が精度良くより一層適切に予測されて表示される。
【0009】また、請求項2の発明では、上記同様に、放電可能電力量と発電可能電力量とに基づいて全電力量を算出し、一方、過去の車両走行における消費電力量と供給電力量とに基づいて過去の所定期間における電力収支を算出するが、この際、過去の消費電力量及び供給電力量の少なくともいずれか一方は、バッテリの充電レベルに応じて補正手段により補正される。そして、全電力量と当該補正を含んだ過去の電力収支とに基づいて車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が予測手段により予測され、表示手段によって表示される。
【0010】つまり、バッテリの充電レベルに応じて充放電効率が異なることから、上記過去の消費電力量または供給電力量を当該バッテリの充電レベル、即ち充放電効率に応じて補正することにより、車両の今後の走行可能距離や走行可能時間が精度良くより一層適切に予測されて表示される。また、請求項3の発明では、放電可能電力量と発電可能電力量とに基づいて全電力量を算出し、一方、過去の車両走行における消費電力量と供給電力量とに基づいて過去の所定期間における電力収支を算出し、これら全電力量と過去の電力収支とに基づいて車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が予測手段により予測され、表示手段によって表示されるが、この際、勾配検出手段により、路面の勾配が検出される場合には、回生電力量算出手段により、当該勾配に基づいて過去及び将来の回生電力量の少なくともいずれか一方が算出され、当該過去及び将来の回生電力量に基づいて車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が補正手段により補正される。
【0011】つまり、バッテリの放電可能電力量とエンジンによる発電可能電力量からなる現在の全電力量に、過去の車両走行における消費電力量と供給電力量から求まる過去の所定期間における走行パターンを加味することで、車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が適切に予測されるのであるが、過去走行した路面の勾配及び将来走行する路面の勾配が分かり、これにより過去及び将来の回生電力量を算出可能な場合には、当該過去及び将来の回生電力量に基づく補正を加えることにより、車両の今後の走行可能距離や走行可能時間が精度良くより一層適切に予測されて表示される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。図1を参照すると、本発明に係るハイブリッド電気自動車の表示装置が適用されるシリーズ式ハイブリッド型車両の概略構成図が示されており、以下、同図に基づき本発明に係るハイブリッド電気自動車の表示装置の構成を説明する。なお、シリーズ式ハイブリッド型車両として、ここでは、例えば、都市部で低速走行を多用するような乗合バス等の大型車両が想定される。
【0013】同図に示すように、シリーズ式ハイブリッド型車両には駆動力源として走行モータ10が搭載されており、当該走行モータ10には、走行モータ10駆動用の高電圧2次電池(バッテリ)12がインバータ14を介して電気的に接続されている。走行モータ10は、例えば誘導型モータであるが、永久磁石同期型モータであってもよい。
【0014】走行モータ10は、車両の制動時にはエネルギ回生ブレーキ、即ち制動エネルギを利用した発電機(ジェネレータ)としても機能する。つまり、車両の運転者がブレーキペダル58を操作すると、走行モータ10が制動力を発生しながら同時に発電を行い、この発電電力がバッテリ12に充電される。インバータ14は、バッテリ12または後述のジェネレータ22からの電圧と電流とを調整して安定した電力を走行モータ10に供給するため、或いは、上記の如く走行モータ10により発電された電圧と電流とを調整して安定した電力をバッテリ12に供給するための装置である。
【0015】そして、同図に示すように、走行モータ10の回転軸には、減速機16、差動装置18を介して一対の駆動論WR、WLが接続されている。なお、減速機16は特に無くてもよい。また、バッテリ12とインバータ14には、もう一つのインバータ20を介してジェネレータ(発電機)22が電気的に接続されており、当該ジェネレータ22の回転軸はエンジン24の出力軸に接続されている。エンジン24は、発電専用の内燃機関である。
【0016】そして、インバータ20には、エアブレーキ用のエアコンプレッサ27やパワステポンプ28等の補機を駆動させる補機モータ26も電気的に接続されている。インバータ20は、上記インバータ14と同様に、ジェネレータ22によって発電された電圧と電流とを調整して安定した電力をバッテリ12または走行モータ10に供給するため、或いは、バッテリ12からの電圧と電流とを調整し安定した電力を補機モータ26に供給するための装置である。
【0017】また、バッテリ12とインバータ14、20との間には、リレー・ヒューズ30が介装されている。このリレー・ヒューズ30は、インバータ14に電気的に接続されており、当該インバータ14からの情報を受けて、バッテリ12から走行モータ10への通電を許容したり、バッテリ12から走行モータ10に過剰電流が流れるのを防止したり、或いは、ジェネレータ22や回生制動(エネルギ回生)中の走行モータ10がバッテリ12に過剰充電するのを防止したりする機能を有している。
【0018】そして、同図に示すように、バッテリ12やインバータ14、20は電子コントロールユニット(ECU)40に相互通信可能に電気的に接続されており、さらに、インバータ14と走行モータ10、またインバータ20とジェネレータ22についても相互通信可能に電気的に接続されている。また、ECU40の入力側には、運転者の出力要求、即ち要求モータトルクを走行モータ10に一義的に反映させるためのアクセルペダル43に接続され、当該アクセルペダル43の操作量θaccを検出するアクセルセンサ44や、車速Vを検出する車速センサ46が接続されている。車速センサ46は例えば車輪速センサであり、車輪速情報に基づいて車速Vを検出するようにされている。
【0019】一方、ECU40の出力側には、表示・警報コントローラ50を介して、本発明に係る表示・警報器(表示手段)52が接続されている。また、ECU40には、ブレーキユニット(サービスブレーキ)56に駆動信号を供給し車両の制動制御を行うブレーキコントローラ54が接続されており、当該ブレーキコントローラ54には、ブレーキペダル58の操作量(ブレーキペダルストローク等)を検出するブレーキセンサ60が接続されている。さらに、ECU40には、バッテリ12の充電レベル(SOC)等を監視するバッテリコントローラ(充電レベル検出手段)62や、エンジン24の運転制御等を行うエンジンコントローラ64が接続されている。なお、エンジンコントローラ64は、エンジン24を作動する燃料の残量を検出可能とされている(燃料残量検出手段)。
【0020】そして、このように構成されたハイブリッド型車両では、一般的な作用として、車両走行時には、アクセルセンサ44により検出されるアクセルペダル43の操作量θaccに対応した要求モータトルク信号がインバータ14に供給されてバッテリ12からの電圧、電流が調整され、これにより走行モータ10が所望のモータトルクを発生する。
【0021】また、バッテリコントローラ62によりバッテリ12の充電レベル(SOC)が低下したことが検出された場合には、エンジンコントローラ64によりエンジン24が始動されてジェネレータ22が作動し発電が行われ、SOCに応じてバッテリ12の充電が行われる。なお、バッテリ12のSOCが低いような場合には、走行モータ10の消費電力相当分の電力がジェネレータ22から直接に走行モータ10に給電され、ジェネレータ22の発電余剰分がバッテリ12に充電される。
【0022】さらに、例えばブレーキペダル58が操作されて車両が制動状態にあり、アクセルペダル43の操作量θaccが値0とされているときには、走行モータ10により回生制動が行われ、やはり走行モータ10によって発電が行われ、当該回生電力によりバッテリ12の充電が行われる。また、車両走行時には、エアコンプレッサ27やパワステポンプ28等の補機を駆動させるため、バッテリ12からの電力によって補機モータ26が適宜駆動されている。
【0023】以下、このように構成されたハイブリッド型車両の本発明に係る表示装置の作用について説明する。図2を参照すると、ECU40が実行する、本発明に係る走行可能距離・時間表示制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、当該フローチャートに沿い説明する。
【0024】ステップS10では、先ず、バッテリコントローラ62からの情報に基づきバッテリ12のSOCを検出し、エンジンコントローラ64からの情報に基づき燃料の残量を検出する。つまり、ここでは、現時点で車両の持っている全エネルギ量を把握する。次のステップS12では、車両の走行パターン代表値を演算により求める。走行パターン代表値とは、車両の過去の走行パターンを数値化したものであり、以下、走行パターン代表値の算出手順について説明する。
【0025】ここでは、過去の所定期間Tにおける消費電力エネルギ、供給電力エネルギを求め、これら消費電力エネルギ、供給電力エネルギに基づいて所定期間Tにおける電力エネルギ収支、及び電力エネルギ収支率を走行パターン代表値として演算する。以下、それぞれについて詳しく説明する。
<消費電力エネルギ>各種コントローラからの情報に基づき、走行モータ10と補機モータ26の消費電力量及びコントローラ類やインバータ14,20等の各種制御機器の消費電力量を合わせた全機器消費電力量Pd、バッテリ充電電力量Pbcを過去の所定期間Tにおいて求め、次式(1)のように、これら所定期間Tにおける全機器消費電力量Pdとバッテリ充電電力量Pbcとの和を全消費電力量Pc、即ち消費電力エネルギとする(消費電力量算出手段)。
【0026】Pc=Pd+Pbc …(1)<供給電力エネルギ>各種コントローラからの情報に基づき、回生制動による回生電力量Pr、ジェネレータ22の発電による発電電力量Pg、バッテリ放電電力量Pbrを過去の所定期間Tにおいて求め、次式(2)のように、これら所定期間Tにおける回生電力量Prと発電電力量Pgとバッテリ放電電力量Pbrとの和を全供給電力量Ps、即ち供給電力エネルギとする(供給電力量算出手段)。
【0027】Ps=Pr+Pg+Pbr …(2)<電力エネルギ収支>上記のように求めた所定期間Tにおける全消費電力量Pcと全供給電力量Psとの差を次式(3)より電力エネルギ収支量Peとして求める(電力収支算出手段)。
Pe=Ps−Pc …(3)<電力エネルギ収支率>上記電力エネルギ収支量Peを所定期間Tで除して次式(4)より単位時間当たりの電力エネルギ収支率Eteを求め、また電力エネルギ収支量Peを所定期間Tにおける走行距離Lで除することで次式(5)より単位走行距離当たりの電力エネルギ収支率Eleを求める。
【0028】
Ete=Pe/T …(4) 、Ele=Pe/L …(5)ところで、バッテリ12の充放電効率はSOCに応じて変化するため、上記バッテリ充電電力量Pbcやバッテリ放電電力量Pbrについては、当該SOCに応じて補正するようにする。また、ジェネレータ22の発電状態、即ちエンジン24の運転状態に応じて発電効率が変化するため、発電電力量Pgについては、当該発電状態に応じて補正するようにする。また、走行状態、例えば道路勾配等により回生制動量が異なるので、回生電力量Prについては当該道路勾配等に基づいて補正するようにする。
【0029】以下、これらSOCに応じたバッテリ充電電力量Pbc及びバッテリ放電電力量Pbrの補正、発電状態に応じた発電電力量Pgの補正、走行状態に応じた回生電力量Prの補正についてそれぞれ説明する。
<SOCに応じた充放電電力量補正>SOCのレベルをn段階(例えば、10%,20%…100%の10段階)に区分するとともに各段階毎の充電効率Ceff(n)、放電効率Reff(n)を予め設定しておく。そして、各種コントローラからの情報に基づき、過去の所定期間Tにおいて出現した各段階の充電量割合Dc(n)、放電量割合Dr(n)を求め、次式(6),(7)から補正後のバッテリ充電電力量Pbc(rev)及びバッテリ放電電力量Pbr(rev)を求める(補正手段)。
【0030】
Pbc(rev)={Pbc・Dbc(1)・Ceff(1)+Pbc・Dbc(2)・Ceff(2)+… …+Pbc・Dbc(n)・Ceff(n)} …(6) Pbr(rev)={Pbr・Dbr(1)・Reff(1)+Pbr・Dbr(2)・Reff(2)+… …+Pbr・Dbr(n)・Reff(n)} …(7)<発電状態に応じた発電電力量補正>発電状態、即ちエンジン運転状態として、エンジン24の状態等に応じて適宜切り換えられる始動モード、暖機モード、通常運転モード等のn段階の発電モードがあり(発電モード切換手段)、これら各発電モード毎の発電率Rg(n)を予め設定しておく。そして、各種コントローラからの情報に基づき、過去の所定期間Tにおいて出現した各発電モードの時間比率Dg(n)を求め、次式(8)から補正後の発電電力量Pg(rev)を求める(補正手段)。
【0031】
Pg(rev)={T・Dg(1)・Rg(1)+T・Dg(2)・Rg(2)+… …+T・Dg(n)・Rg(n)} …(8)<走行状態に応じた回生電力量補正>走行状態として、停止・発進、回生制動、減速度、車速V等の頻度、率及び車速V、駆動出力等から推定される道路勾配等に基づいてn段階の走行モード、即ち回生モードがあり(勾配検出手段)、これら各回生モード毎の回生発電率Rr(n)を予め設定しておく。そして、各種センサやコントローラからの情報に基づき、過去の所定期間Tにおいて出現した各回生モードの時間比率Dr(n)を求め、次式(9)から補正後の回生電力量Pr(rev)を求める(回生電力量算出手段、補正手段)。
【0032】
Pr(rev)={T・Dr(1)・Rr(1)+T・Dr(2)・Rr(2) +… …+T・Dr(n)・Rr(n)} …(9)なお、ここでは道路勾配を車速V、駆動出力等から推定しているが、ナビゲーション・システム(図示せず)を搭載した車両では、当該ナビゲーション・システムから道路勾配情報を得るようにしてもよい。
【0033】そして、このようにバッテリ充電電力量Pbc(rev)及びバッテリ放電電力量Pbr(rev)、発電電力量Pg(rev)、回生電力量Pr(rev)が求められると、実際には、これらの値が上記バッテリ充電電力量Pbc及びバッテリ放電電力量Pbr、発電電力量Pg、回生電力量Prに代えて使用され、全供給電力量Ps、全消費電力量Pc、ひいては電力エネルギ収支率Ete、電力エネルギ収支率Eleがより一層精度良く演算される。
【0034】このようにして、過去の所定期間Tにおける消費電力エネルギ、供給電力エネルギが求められ、これら消費電力エネルギ、供給電力エネルギに基づいて所定期間Tにおける電力エネルギ収支率Ete,Eleが走行パターン代表値として演算されたら、次のステップS14において、走行可能時間Ta、走行可能距離Laをそれぞれ演算により求める。
【0035】ここでは、先ず、上記ステップS10で検出したSOCに基づき、放電可能電力量Pbraを求めるとともに(放電可能電力量算出手段)、燃料の残量に基づき、エンジン24を一定負荷で駆動したと仮定したときにジェネレータ22で発電可能な発電可能電力量Pgaを求め(発電可能電力量算出手段)、次式(10)のように、これら放電可能電力量Pbraと発電可能電力量Pgaの和を全電力エネルギTPsとして求めておく(全電力量算出手段)。
【0036】TPs=Pbra+Pga …(10)そして、この全電力エネルギTPsと、上記補正を含んだ電力エネルギ収支率Ete,Eleとに基づき、次式(11),(12)より、走行可能時間Ta、走行可能距離Laをそれぞれ求める(予測手段)。
Ta=TPs/Ete …(11)La=TPs/Ele …(12)このように走行可能時間Ta、走行可能距離Laが求められたら、ステップS16において、これら走行可能時間Ta、走行可能距離Laに対応する指令を表示・警報コントローラ50から出力し、走行可能時間Ta、走行可能距離Laに対応する情報を表示・警報器52で表示する(表示手段)。
【0037】そして、このようにきめ細かく補正されて精度良く求められた走行可能時間情報Ta、走行可能距離情報Laが表示されると、運転者は車両の今後の走行可能時間や走行可能距離を正確に知ることとなる。ところで、上記過去の所定期間Tは、当該制御ルーチンが繰り返し実行されると、当該ルーチンの実行周期毎に更新されるようにされており、当然ながらこれに伴い上記各検出値も僅かずつ更新されるようにされている。従って、走行可能時間Taや走行可能距離Laが急激に大きく変化するようなことはなく、運転者が表示に対して違和感を覚えるようなこともない。
【0038】なお、上記実施形態では、発電状態に応じた発電電力量補正において、発電モード毎の発電率Rg(n)を予め設定し、過去の所定期間Tにおける発電電力量Pgを補正するようにしたが、発電モード毎の燃料消費率を予め設定しておけば、各発電モードの時間比率Dg(n)に基づき燃料消費量を算出することで、発電可能電力量Pgaを補正することもできる。このようにしても過去の所定期間Tにおける発電電力量Pgを補正するのと同様の効果が得られる。
【0039】また、上記実施形態では、走行パターン代表値を過去の走行パターンにのみ基づいて求めるようにしたが、例えば、上記ナビゲーション・システムにより予め今後の車両の進路が決定されているような場合には、このナビゲーション・システムから将来の道路勾配情報を収集し(勾配検出手段)、当該将来の道路勾配情報を上記走行状態に応じた回生電力量補正に加味するようにしてもよい。つまり、将来の道路勾配情報を加味して回生電力量Pr(rev)、電力エネルギ収支率Ete,Ele、ひいては走行可能時間Ta、走行可能距離Laを求めるようにしてもよい(回生電力量算出手段、補正手段)。このようにすれば、より一層正確な走行可能時間情報Ta、走行可能距離情報Laを表示することができる。なお、この場合、回生電力量Pr(rev)については、上記ナビゲーション・システムにより収集した道路勾配情報のみから検出するようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の請求項1のハイブリッド電気自動車の表示装置によれば、バッテリの放電可能電力量とエンジンによる発電可能電力量からなる現在の全電力量に、過去の車両走行における消費電力量と供給電力量から求まる過去の所定期間における走行パターンを加味することで、車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が適切に予測されるが、この際、発電モードに応じて発電電力量が異なることを考慮し、上記発電可能電力量及び上記過去の供給電力量の少なくともいずれか一方を当該発電モードに応じて補正することにより、車両の今後の走行可能距離や走行可能時間を精度良くより一層適切に予測し表示することができる。
【0041】また、請求項2のハイブリッド電気自動車の表示装置によれば、上記同様に、バッテリの放電可能電力量とエンジンによる発電可能電力量からなる現在の全電力量に、過去の車両走行における消費電力量と供給電力量から求まる過去の所定期間における走行パターンを加味することで、車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が適切に予測されるが、この際、バッテリの充電レベルに応じて充放電効率が異なることを考慮し、上記過去の消費電力量または供給電力量を当該バッテリの充電レベル、即ち充放電効率に応じて補正することにより、車両の今後の走行可能距離や走行可能時間を精度良くより一層適切に予測し表示することができる。
【0042】また、請求項3のハイブリッド電気自動車の表示装置によれば、バッテリの放電可能電力量とエンジンによる発電可能電力量からなる現在の全電力量に、過去の車両走行における消費電力量と供給電力量から求まる過去の所定期間における走行パターンを加味することで、車両の今後の走行可能距離及び走行可能時間の少なくともいずれか一方が適切に予測されるが、過去走行した路面の勾配及び将来走行する路面の勾配が分かり、これにより過去及び将来の回生電力量を算出可能な場合には、当該過去及び将来の回生電力量に基づく補正を加えることにより、車両の今後の走行可能距離や走行可能時間を精度良くより一層適切に予測し表示することができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成12年2月16日(2000.2.16)
【代理人】 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
【公開番号】 特開2001−231103(P2001−231103A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−38600(P2000−38600)