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【発明の名称】 ハイブリッド電気車の制御装置
【発明者】 【氏名】笹澤 憲佳

【要約】 【課題】エンジンの駆動トルクが駆動軸に接続されている状態において、切断側へ故障した場合、もしくはエンジンの駆動トルクが駆動軸に切断されている状態において、接続側へ故障した場合の断続器の定常状態における故障を診断することを目的とする。

【解決手段】車速を検出する手段と、該車速より該断続器の接続または切断の切り替えを判定し制御する断続器制御手段と、該エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、該第二の電動機の回転数を検出する回転数検出手段を備え、該断続器制御手段により断続器を接続状態と制御している時に、該エンジンの回転数と該第二の電動機の回転数との差分を演算する手段と、該回転数差が一定値以上の場合には断続器が故障していると判断し、該断続器制御手段により断続器を切断状態と制御している時に、該エンジンの回転数と該第二の電動機の回転数との差分を演算する手段と、該回転数差が一定値未満の場合には断続器が故障していると判断する断続器故障判定手段を設けることにより断続器の定常状態における故障を診断することを可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンと、該エンジンに機械的に結合された第一の電動機と、該エンジンの発生トルクを駆動軸に機械的に接続または切断とを切り替えることのできる断続器と、駆動軸に結合された第二の電動機とを備え、第二の電動機の動力を変速機を介して駆動輪に伝達するハイブリッド車の制御装置であって、車速と、該車速により該断続器の接続または切断の切り替えを判定した信号と、該エンジンの回転数と、該第二の電動機の回転数を入力し、該エンジンの回転数と該第二の電動機の回転数との差分を演算する手段と、断続器を接続状態と制御しているときに、該回転数差が一定値以上の場合には断続器が故障していると判断する断続器故障判定手段を設けたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】請求項1において、断続器を切断状態と制御しているときに、前記回転数差が一定値未満の場合には断続器が故障していると判断することを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】エンジンと、該エンジンに機械的に結合された第一の電動機と、該エンジンの発生トルクを駆動軸に機械的に接続または切断とを切り替えることのできる断続器と、駆動軸に結合された第二の電動機とを備え、第二の電動機の動力を変速機を介して駆動輪に伝達するハイブリッド車の制御装置であって、エンジンの出力トルクと、該第一の電動機のトルクとを入力し、該エンジンのトルクと該第一の電動機のトルクとの差分を演算する手段と、断続器制御手段により断続器を切断状態と制御しているときに該トルク差が一定値以上の場合には断続器が故障していると判断する断続器故障判定手段を設けたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】請求項3において、該断続器が断続器故障判定手段により切断側の故障が検出された時には、エンジンの駆動を許可する手段を設けたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】請求項3において、該断続器が断続器故障判定手段により接続側の故障が検出された時には、エンジンの駆動を停止する手段を設けたことを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にハイブリッド電気車に搭載されているエンジンの駆動トルクを駆動軸をとおして駆動輪に伝達する断続器の故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、断続器の故障診断方法には、特開平10−289020号公報のように、断続器によりエンジンの駆動トルクが駆動軸に接続状態から切断状態、もしくは断続器によりエンジンの駆動トルクが駆動軸に切断状態から接続状態の過渡時において、エンジンの回転数と駆動軸の回転数とを比較する事により診断する方法とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の断続器の故障診断方法では、エンジンの駆動トルクが駆動軸に接続されている状態において、切断側へ故障した場合、もしくはエンジンの駆動トルクが駆動軸に切断されている状態において、接続側へ故障した場合の診断ができない。本発明は断続器の定常状態における故障を診断することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目標を達成するために本発明は、エンジンと、該エンジンに機械的に結合された第一の電動機と、該エンジンの発生トルクを駆動軸に機械的に接続または切断とを切り替えることのできる断続器と、駆動軸に結合された第二の電動機とを備え、第二の電動機の動力を変速機を介して駆動輪に伝達するハイブリッド車の制御装置であって、車速を検出する手段と、該車速より該断続器の接続または切断の切り替えを判定し制御する断続器制御手段と、該エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、該第二の電動機の回転数を検出する回転数検出手段を備え、該断続器制御手段により断続器を接続状態と制御している時に、該エンジンの回転数と該第二の電動機の回転数との差分を演算する手段と、該回転数差が一定値以上の場合には断続器が故障していると判断し、該断続器制御手段により断続器を切断状態と制御している時に、該エンジンの回転数と該第二の電動機の回転数との差分を演算する手段と、該回転数差が一定値未満の場合には断続器が故障していると判断する断続器故障判定手段を設けることにより断続器の定常状態における故障を診断することを可能とする。
【0005】更に、該エンジンの出力トルクを検出するトルク検出手段と、該第一の電動機のトルクを検出する手段とを備え、断続器制御手段により断続器を切断状態と制御している時に、該エンジンのトルクと該第一の電動機のトルクとの差分を演算する手段と、該トルク差が一定値以上の場合には断続器が故障していると判断する断続器故障判定手段を設けることにより断続器の定常状態における故障を診断することを可能とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0007】図1は本発明の一実施形態をなす、車両システム20のハードウェア構成図である。燃料の燃焼によってトルクを発生するエンジン1、エンジン1とベルト2で結合され、バッテリ3の充電のための発電やエンジン1の始動のためにトルクを発生する発電用モータ4,エンジン1のクランクシャフト5からの発生トルクを機械的に駆動軸6へ接続または切断する断続器7であるクラッチ,駆動軸6に連結し車両走行用駆動トルクを発生する車両駆動用モータ8,駆動軸トルクを変換し駆動輪9に伝達する変速機10,車両駆動用モータ8及び発電用モータ4にバッテリ3からの電力を供給する電力変換機11,エンジン1を制御するためのエンジン制御装置80,車両駆動用モータ8及び発電用モータ4を制御するためのモータ制御装置81,クラッチ7を制御するためのクラッチ制御装置82,バッテリ3の残量を検出するバッテリ残量検出装置83から構成され、車両制御装置21が搭載される。
【0008】車両制御装置21とエンジン制御装置80およびモータ制御装置81及びクラッチ制御装置82およびバッテリ残量検出装置83の間には、双方向通信可能な通信手段40が設けられている。この通信手段40により、車両制御装置21には、エンジン制御装置80から、エンジン1の運転状態であるエンジン回転数NeやエンジントルクTeが、そしてモータ制御装置81から、車両駆動用モータ8及び発電用モータ4の運転状態である車両駆動用モータ8の回転数Nm1及びトルクTm1、発電用モータ4の回転数Nm2及び、トルクTm2、バッテリの状態等の情報が受信される。エンジン制御装置80へは、エンジンのトルク指令Te、モータ制御装置81へは車両駆動用モータのトルク指令Tm1や発電用モータのトルク指令Tm2及び回転数指令Nm2が、そしてクラッチ制御装置82にはクラッチ7の接続もしくは切断の指令等の送信など、車両駆動用の種々の情報のやりとりがなされる。
【0009】車両制御装置21には、ドライバ操作信号であるシフトレバー22に設けられたシフトポジションセンサ23,アクセルペダル24に設けられたアクセルポジションセンサ25,ブレーキペダル26に設けられたブレーキポジションセンサ27等及び車両状態信号である変速機10の車輪軸側に設けられた車速センサ28等が接続され、前述各センサ情報および通信手段40を介して各制御装置の情報が入力され、この車両制御装置21は該エンジン1,該車両駆動用モータ8,該発電用モータ4、該クラッチ7への前述した指令値を演算するための演算手段を備えている。
【0010】車両制御装置21は、車速と、該車速により断続器7の接続状態41、すなわち接続または切断の切り替え判定を行う信号と、エンジン1の回転数と、第二の電動機である車両駆動用モータ8の回転数を入力し、該エンジンの回転数と第二の電動機の回転数との差分を演算する回転数,トルク差分演算手段42,断続器7を接続状態と制御しているときに、該回転数差が一定値以上の場合には断続器7が故障していると判断する断続器故障判定43する手段を備える。また、この断続器故障判定手段43は、断続器7を切断状態と制御しているときに、前記回転数が一定値未満の場合には断続器7が故障していると判断する。
【0011】更に、車両制御装置21は、エンジン1の出力トルクを第一の電動機である発電用モータ4のトルクを入力し、回転数・トルク差分演算手段42によってエンジンのトルクと第一の電動機のトルクの差分を演算し、クラッチ制御装置82である断続器制御手段により断続器7を切断状態としているときに、トルク差が一定値以上の場合には断続器7が故障していると断続器故障判定手段43により判断する。断続器7が断続器故障判定手段43により切断側の故障が検出された時には、エンジン1の駆動を許可する手段を設け、断続器7が断続器故障判定手段43により接続側の故障が検出された時には、エンジンの駆動を停止する手段を設ける。
【0012】エンジン制御装置80には、エンジン1を制御するためにエンジン1の運転状態を検知するためのエンジン1のクランクシャフト5の回転数と回転角度を検出する回転センサ30などの種々のセンサが入力される。エンジン1の回転数や出力トルクを検出する手段を備え、それらの情報および前述した車両制御装置21からの指令値を基にスロットル弁開度や燃料噴射量,点火時期などが制御されることにより、運転状態に応じてエンジン1の出力が制御される。
【0013】モータ制御装置81には、車両駆動用モータ8と発電用モータ4を制御するため車両駆動用モータ8と該発電用モータ4の状態を検知するために各モータそれぞれの回転数と回転角度を検出する回転センサ31,32など種々のセンサからの信号が入力されており、各モータの回転数や出力トルクが入力され、モータ制御装置81は、それらの情報及び前述した車両制御装置21からの指令値を基に電流などを制御することにより、運転状態に応じて出力を制御する。
【0014】クラッチ制御装置82にはクラッチ7を制御するためのクラッチ状態を示す種々のセンサが入力されており、クラッチ制御装置82はそれらの情報及び前述した車両制御装置21からの指令値を基に、運転状態に応じてクラッチ7を接続もしくは切断するように制御する。
【0015】エンジン制御装置80、モータ制御装置81、クラッチ制御装置82およびバッテリ残量検出装置83は、CPUやRAM,ROM等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、あらかじめ定められたプログラムにしたがって信号処理を行う。エンジン制御装置80およびモータ制御装置81及びクラッチ制御装置82,バッテリ残量検出装置83を、車両制御装置21の内部に搭載することも可能である。
【0016】本実施例の車両走行動作状態を以下に説明する。
【0017】車両始動時は、該クラッチ7を切断し、エンジン1を停止させ、車両駆動用モータ8の発生トルクのみを動力源として走行する。車速が一定値以上となった場合、クラッチ7は切断したままエンジン1を始動するため発電用モータ4を始動させエンジン1を始動し、エンジン1の始動が完了したらクラッチ7を接続する。クラッチ7接続後は、該車両駆動用モータ8の発生トルクをゼロとすることでエンジン1のみの発生トルクにより車両は走行できる。この状態において、加速が必要の場合には車両駆動用モータ8にトルクを発生させ、また減速が必要の場合には車両駆動用モータ8に回生トルクを発生させる。また、バッテリ3に充電が必要なときには、発電用モータ4を回生させることにより発電する。
【0018】車両減速時は、クラッチ7を接続したまま、エンジン1への燃料をカットし、車両駆動用モータ8には回生トルクを発生させることにより車両を減速する。車速が一定値以下となった場合にクラッチ7を切断する。
【0019】また、バッテリ3に充電が必要な場合には、車両停止時などに、クラッチ7を切断したまま、エンジン1が停止状態であった場合は、発電用モータ4によりエンジン1を始動し、その後エンジン1の発生トルクを利用し、発電用モータ4によりバッテリ3を充電する。
【0020】次に、前述したように車両制御装置21は前述各制御装置80〜83と双方向通信可能な通信手段40により種々の情報をやり取りしており、これらの情報からクラッチ7の故障を診断する方法を図2,図3を用いて説明する。本処理は例えば車両制御装置21が起動してから、所定時間毎(例えば、10ms)に実行され、以下に説明する故障判定を実施する。
【0021】図2ではクラッチ7が接続状態に制御しているときに切断側へ故障した時の判定処理の故障診断方法を説明する。ステップ100において、クラッチ7を接続制御している状態であるか切断制御している状態であるかを判断し、接続制御状態であればステップ101へ、切断制御状態であれば本処理を終了する。ステップ101において、通信手段40よりの情報であるエンジン回転数Neと車両駆動用モータ8の回転数Nm1との偏差ΔNを演算する。ステップ102において、101でもとめた偏差ΔNとクラッチ故障判定回転数Nxとの比較を行う。ここで、Nxはクラッチ7が接続状態である場合は、エンジン回転数Neと車両駆動用モータ回転数Nm1はほぼ一致するため、各回転センサの検出誤差の最大値を設定した。ΔNがNxより大きい場合は、クラッチ7が何らかの故障により切断状態となっていると判断し、エンジン駆動許可処理へ遷移する。ΔNがNxより小さい場合は、クラッチ7が正常に接続されていると判断し、本処理を終了する。エンジン駆動許可処理においては、ステップ102の判定によりクラッチ7が切断状態となっているため、車両駆動用モータ8のみのトルクにより車両を駆動し、エンジン1は駆動し続け、発電用モータ4により車両駆動用モータ8の消費電力分発電する制御とする。
【0022】図3ではクラッチ7が切断状態に制御しているときに接続側へ故障した時の判定処理の故障診断方法を説明する。ステップ200において、クラッチ7を接続制御している状態であるか切断制御している状態であるかを判断し、切断制御状態であればステップ201へ、接続制御状態であれば本処理を終了する。ステップ201において、通信手段40よりの情報である車両駆動用モータ回転数Nm1がゼロ以外の場合にはステップ202へ遷移し、ゼロの場合には本処理を終了する。ステップ202において、通信手段40よりの情報であるエンジントルクTeがゼロである場合にはステップ203へ、ゼロ以外の場合には、206へ遷移する。ステップ203において、通信手段40よりの情報であるエンジン回転数Neと車両駆動用モータ回転数Nm1との偏差ΔNを演算する。ステップ204において、203で求めた偏差ΔNとクラッチ故障判定回転数Nxとの比較を行う。ここで、Nxはクラッチ7が接続状態である場合は、エンジン回転数Neと車両駆動用モータ回転数Nm1はほぼ一致するため、各回転センサの検出誤差の最大値を設定した。ΔNがNxより小さい場合は、クラッチ7が何らかの故障により接続状態となっていると判断し、エンジン停止へ遷移する。ΔNがNxより大きい場合は、クラッチ7が正常に切断されていると判断し、本処理を終了する。ステップ205において、通信手段40よりの情報であるエンジントルクTeの絶対値と発電用モータトルクTm2絶対値との偏差ΔTを演算する。ステップ206において、205でもとめた偏差ΔTとクラッチ故障判定トルクTxとの比較を行う。ここで、Txはクラッチ7が切断状態である場合は、エンジントルクTeの絶対値と発電用モータトルクTm2絶対値はほぼ一致するように制御しており、制御誤差の最大値を設定した。ΔTがTxより大きい場合は、クラッチ7が何らかの故障により接続状態となっていると判断し、エンジン停止制御へ遷移する。ΔTがTxより小さい場合は、クラッチ7が正常に切断されていると判断し、本処理を終了する。エンジン停止制御においては、ステップ204もしくは206の判定によりクラッチ7が接続状態となっているため、エンジン1を停止する制御とする。
【0023】
【発明の効果】本発明により断続器を接続状態もしくは切断状態に制御している定常状態において、断続器の故障を診断することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年1月28日(2000.1.28)
【代理人】 【識別番号】100074631
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
【公開番号】 特開2001−218305(P2001−218305A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−24793(P2000−24793)