| 【発明の名称】 |
リニアシステムの加速度制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】古賀 俊作
【氏名】北野 淳一
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| 【要約】 |
【課題】加速度指令値をフィードフォワードして速度偏差を低減する際に乗り心地の悪化を防止する。
【解決手段】速度制御器13では、第1比較器21にて速度偏差△V(=V*−V)を求め、速度偏差平均化処理器22にて所定回数分の速度偏差の平均値△Vavを求め、速度補償器23にてこの平均値△Vavを補償演算して加算器25に入力する一方、走行前に定められた加速度指令値α*を加速度フィードフォワード補償器27にて補償演算した値を加算器25に入力し、この加算器25の出力を電流指令値I*として出力する。つまり、速度指令値から実速度平均値を差し引いた速度偏差を用いて補償演算を行うのではなく、速度指令値から実速度を差し引いた速度偏差の平均値を用いて補償演算を行うため、制御遅れを生じさせることなく加速度変化点のタイミングで適切に加速度フィードフォワードを適用できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 推進コイルが地上側の軌道に沿って配置され、界磁コイルが前記推進コイルに対向するように車両側に搭載され、速度制御器が電流指令値を出力し、電力変換器がこの電流指令値に応じた電流を前記推進コイルへ供給して前記推進コイルに磁界を発生させることにより前記界磁コイルを搭載した車両を推進させるリニアシステムに用いられ、前記速度制御器の一部を成す加速度制御装置において、所定タイミングごとに速度指令値と実速度との速度偏差につき、所定回数分の平均値を算出する速度偏差平均算出手段と、前記速度偏差平均算出手段により算出された速度偏差平均値のフィードバック補償演算値および予め走行前に定められた加速度指令値のフィードフォワード補償演算値に基づいて、前記電流指令値を求める電流指令値算出手段とを備えたことを特徴とするリニアシステムの加速度制御装置。 【請求項2】 請求項1記載のリニアシステムの加速度制御装置であって、前記電流指令値算出手段は、前記速度偏差平均算出手段により算出された速度偏差平均値を比例・積分演算して得たフィードバック補償演算値と、予め走行前に定められた加速度指令値を比例演算して得たフィードフォワード補償演算値とを加算した加算値に基づいて、前記電流指令値を求めることを特徴とするリニアシステムの加速度制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、リニアシステムの加速度制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、超電導磁気浮上式鉄道車両に代表されるリニアシンクロナスモータ(以下LSMともいう)式車両の制御装置として、図5に示すように、地上側の軌道に沿って配置された推進コイル101と、この推進コイル101に対向するように車両側に搭載された界磁コイル102と、速度指令値V*と実速度Vとの偏差即ち速度偏差△Vを補償演算した値に基づいて電流指令値I*を出力する速度制御部103と、この電流指令値I*と位相基準信号とから正弦波状の電流パターンを出力する乗算器104と、この乗算器104から出力された電流パターンに応じた三相交流電流を推進コイル101へ供給する電力変換器105と、推進コイル101と界磁コイル102との相対位置を検出して位置位相信号を出力する位置検出器106と、この位置位相信号を安定化させると共に電力変換器105に指令する位相基準信号や速度制御のための実速度を演算して出力する位相同期制御部107とを備えたものが知られている。 【0003】LSM式車両は、超電導コイルである界磁コイル102によって発生する磁界と、電力変換器105から供給される三相交流電流によって推進コイル101に発生する磁界との相互作用により、推進力を得て駆動される。ここで、速度制御部103は速度偏差△Vがゼロになるように電流指令値I*を出力するが、具体的には図6のブロック図に示すように、第1比較器111にて速度指令値V*と実速度Vとの速度偏差△Vを求め、速度補償器112にてこの速度偏差△Vを補償演算し、その出力を加算器115に入力する。一方、走行前に定められた加速度指令値α*(例えば速度指令値V*を微分器116にて微分して得た値)を加速度フィードフォワード補償器117にて演算処理した値を同じく加算器115に入力する。そして、この加算器115の出力を電流指令値I*として出力する。このようにして加速度指令値をフィードフォワードして速度偏差を低減する制御は、例えば特開平4−79783号公報に開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のように加速度指令値をフィードフォワードして速度偏差を低減する制御を行った場合には、加速度変化点において過剰な電流が流れて加速度が大きく変動し、かえって乗り心地に悪影響を与えることがあるという問題があった。 【0005】その原因につき以下のように推察した。即ち、上述の制御では、実速度Vを取り込む際にノイズ等の影響を考慮して速度平均化処理器113にて所定回数分の過去の実速度を平均した平均値を実速度Vとして取り込んでいるため、取り込んだ実速度Vは本当の意味での実速度ではなく、したがって加速度変化点のタイミングで加速度フィードフォワードを適用して速度偏差△Vを低減したいにもかかわらず、制御に遅れが生じてしまい、加速度変化点のタイミングで加速度フィードフォワードを適用できていないと推察した。 【0006】本発明は上記問題点を解決することを課題とするものであり、加速度指令値をフィードフォワードして速度偏差を低減する際に乗り心地の悪化を防止するリニアシステムの加速度制御装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題を解決するため、本発明は、推進コイルが地上側の軌道に沿って配置され、界磁コイルが前記推進コイルに対向するように車両側に搭載され、速度制御器が電流指令値を出力し、電力変換器がこの電流指令値に応じた電流を推進コイルへ供給して前記推進コイルに磁界を発生させることにより前記界磁コイルを搭載した車両を推進させるリニアシステムに用いられ、前記速度制御器の一部を成す加速度制御装置において、所定タイミングごとに速度指令値と実速度との速度偏差につき、所定回数分の平均値を算出する速度偏差平均算出手段と、前記速度偏差平均算出手段により算出された速度偏差平均値のフィードバック補償演算値および予め走行前に定められた加速度指令値のフィードフォワード補償演算値に基づいて、前記電流指令値を求める電流指令値算出手段とを備えたことを特徴とする。 【0008】本発明のリニアシステムの加速度制御装置は、速度制御器の一部として構成され、速度偏差平均算出手段と、電流指令値算出手段とを備えている。そして、速度偏差平均算出手段は、所定タイミングごとに速度指令値と実速度との速度偏差につき、所定回数分の平均値を算出し、電流指令値算出手段は、この速度偏差平均値をフィードバック補償演算した値および予め走行前に定められた加速度指令値をフィードフォワード補償演算した値に基づいて、電流指令値を求める。 【0009】このように、本発明では加速度フィードフォワードを適用しているため、速度偏差がゼロになるまでの時間を短縮化できる。また、予め定められた加速度指令値を用いるため、実速度を微分して求めた実加速度を用いる加速度制御系に比べて、高域周波数帯やノイズに対して不安定な微分回路が不要であり、安定性が高い。そして、特に本発明では、所定回数分の実速度を平均した実速度平均値を取り込んで速度偏差(=速度指令値−実速度平均値)を求めてこの速度偏差の補償演算を行うのではなく、所定回数分の速度偏差(=速度指令値−実速度)を平均した速度偏差平均値を求めてこの速度偏差平均値の補償演算を行うため、加速度変化点のタイミングで加速度フィードフォワードを適用して速度偏差を低減したい場合に、制御遅れを生じさせることなくその加速度変化点のタイミングで適切に加速度フィードフォワードを適用できる。 【0010】以上のように、本発明によれば、加速度指令値をフィードフォワードして速度偏差を低減する際、追従性や動作安定性が良好なばかりでなく、制御遅れを生じさせることなくその加速度変化点のタイミングで適切に加速度フィードフォワードを適用できるため、乗り心地も良好に保つことができる。 【0011】本発明のリニアシステムの加速度制御装置において、電流指令値算出手段は、速度偏差平均算出手段により算出された速度偏差平均値を比例・積分演算して得たフィードバック補償演算値と、予め走行前に定められた加速度指令値を比例演算して得たフィードフォワード補償演算値とを加算した加算値に基づいて、電流指令値を求めることが好ましい。この場合、加速度指令値をフィードフォワードして速度偏差を低減する際に乗り心地の悪化を確実に防止できる。なお、電流指令値を求める際に、両補償演算値に更に実速度を補償演算して得た値を加算して、その加算値に基づいて電流指令値を求めるようにしてもよい。 【0012】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、リニアシステムの構成を表す概略ブロック図である。リニアシステムは、地上側の軌道に沿って配置された推進コイル11と、この推進コイル11に対向するようにLSM式車両側に搭載された界磁コイル12と、電流指令値I*を出力する速度制御器13と、この電流指令値I*と位相基準信号とから正弦波状の電流パターンを出力する乗算器14と、この乗算器14から出力された電流パターンに応じた三相交流電流を推進コイル11へ供給する電力変換器15と、推進コイル11と界磁コイル12との相対位置を検出して位置位相信号θを出力する位置検出器16と、この位置位相信号θを安定化させると共に電力変換器15に指令する位相基準信号や速度制御のための実速度Vを演算して出力する位相同期制御部17とを備えている。なお、LSM式車両は、超電導コイルである界磁コイル12によって発生する磁界と、電力変換器15から供給される三相交流電流によって推進コイル11に発生する磁界との相互作用により、推進力を得て駆動される。 【0013】ここで、速度制御器13の機能について図1に基づいて詳説する。速度制御器13では、第1比較器21にて速度指令値V*と実速度Vとの速度偏差△Vを求め、速度偏差平均化処理器22にて所定回数分(ここではN回分)の速度偏差△Vの平均値△Vavを求め、速度補償器23にてこの速度偏差平均値△Vavをフィードバック補償演算し、その出力を加算器25に入力する。一方、走行前に定められた加速度指令値α*(ここでは速度指令値V*を微分器26にて微分して得た値)を加速度フィードフォワード補償器27にて補償演算した値を同じく加算器25に入力する。そして、この加算器25の出力を電流指令値I*として出力する。 【0014】なお、本実施形態の速度偏差平均化処理器22が本発明の速度偏差平均算出手段に相当し、本実施形態の加算器25が本発明の電流指令値算出手段に相当する。この速度制御器13は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されており、その機能は既に述べたとおりであるが、具体的な動作について図2の電流指令値出力処理のフローチャートに基づいて説明する。この電流指令値出力処理のプログラムは速度制御器13のROMに記憶されており、所定サンプリング時間Tsおきに速度制御器13のCPUがROMから読み出して実行するものである。 【0015】速度制御器13は、この電流指令値出力処理が開始されると、今回が初回か否かを判断し(S101)、今回が初回ならばサンプリング番号nに「1」をセットし(S102)、その後S104へ進む。一方、S101で今回が初回でなければサンプリング番号nをインクリメントし(S103)、その後S104へ進む。 【0016】S104では、速度指令値Vn*と実速度Vnから速度偏差△Vnを求めこれを記憶し、続くS105では、サンプリング番号nが所定回数Nに達したか否かを判断し、サンプリング番号nが所定回数Nに達していなければ(S105でNO)、所定回数N分の速度偏差平均を求めることができないため、S110に進んで過去n回分の速度偏差平均△Vavnを求めたあと後述のS107以下の処理を行う。尚、添え字の「n」はn番目のサンプリング時の値であることを示す。 【0017】一方、サンプリング番号nが所定回数Nに達していれば(S105でYES)、S106に進んで、今回から過去N回分の速度偏差平均△Vavnを求め、続くS107で△Vavnを比例・積分演算して速度補償値(フィードバック補償演算値)を求め、S108で加速度指令値α*を比例演算して加速度補償値(フィードフォワード補償演算値)を求め、S109で速度補償値と加速度補償値とを加算し、これを電流指令値I*として出力する。 【0018】次に、上述の電流指令値出力処理を実行してLSM式車両を走行させたときの結果を図3に基づいて説明する。ここでは、図3(a)にて点線で示すように、速度V1から速度V2へ移行する速度パターンにおける加速度変化点付近での実加速度の推移を計測した。この速度パターンにおける速度指令値の変化は図3(a)にて実線で示したとおりである。なお、対比のために、速度偏差平均の代わりに速度平均を用いた比較形態([従来の技術]、[発明が解決しようとする課題]の欄で図5及び図6を用いて説明した従来例)についても同様の計測を行った。この比較形態は、図6に示すように、速度平均化処理器113を用いて過去N回分の実速度の平均値を求め、これを第1比較器111に入力して速度偏差(=速度指令値−実速度平均値)を求めるものである。 【0019】図3から明らかなように、本実施形態の実加速度の推移をみると、加速度変化点において過剰な電流が流れて加速度が大きく変動するような様子は見られず、加速度がスムーズに推移していく様子がみられた(図3(b)参照)。これに対して、比較形態の実加速度の推移をみると、加速度変化点において過剰な電流が流れて加速度が大きく変動する様子がみられた(図3(c)参照)。この結果、本実施形態は比較形態に比べて加速度変化点における乗り心地が良好であることが明らかになった。 【0020】なお、本実施形態、比較形態のいずれにおいても、加速度フィードフォワードを採用したことにより、これを採用しない場合に比べて、加速度変化点における速度偏差が抑制されると共に速度偏差がゼロになるまでに要する時間も短縮されたが、特に本実施形態においてその程度が顕著であった。 【0021】以上詳述したように、本実施形態によれば、加速度フィードフォワードを適用しているため、速度偏差がゼロになるまでの時間を短縮化でき、また、予め定められた加速度指令値を用いるため、実速度を微分して求めた実加速度を用いる加速度制御系に比べて、高域周波数帯やノイズに対して不安定な微分回路が不要であり、安定性が高いという効果が得られる。 【0022】そして特に、速度指令値から実速度平均値を差し引いた速度偏差を用いて補償演算を行うのではなく、速度指令値から実速度を差し引いた速度偏差の平均値を用いて補償演算を行うため、加速度変化点のタイミングで加速度フィードフォワードを適用して速度偏差を低減したい場合に、制御遅れを生じさせることなくその加速度変化点のタイミングで適切に加速度フィードフォワードを適用できる。 【0023】つまり、本発明によれば、加速度指令値をフィードフォワードして速度偏差を低減する際、追従性や動作安定性が良好なばかりでなく、乗り心地も良好に保つことができるという効果が得られる。尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。 【0024】例えば、上記実施形態の速度制御器13につき、図4に示すように、速度フィードバック補償器24にて実速度Vのフィードバック補償演算(例えば比例演算)を行い、これを加算器25にて差し引くように構成してもよい。また、速度制御器13につき、加算器25の出力を電流リミッタを通し、加算器25の出力値が電流リミッタの許容範囲内であればその出力値をそのまま電流指令値I*とし、加算器25の出力値が電流リミッタの許容範囲を超えていればその出力値ではなくリミッタ値を電流指令値I*とするように制御してもよい。 【0025】更に、速度制御器13につき、速度指令(速度指令値V*)のフィードフォワード補償量や位置指令(速度指令値V*の積分値)のフィードフォワード補償量を加算器25に加算してもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390021577 【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社 【識別番号】000173784 【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
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| 【出願日】 |
平成12年1月25日(2000.1.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082500 【弁理士】 【氏名又は名称】足立 勉 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−211509(P2001−211509A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月3日(2001.8.3) |
| 【出願番号】 |
特願2000−15736(P2000−15736) |
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