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【発明の名称】 搬送装置の給電方法
【発明者】 【氏名】山本 治正

【要約】 【課題】給電区間の給電線間に空隙部分の存在する給電路に対し、搬送車の受電コイルが、給電区間の給電線のどの位置において搬送車が停止しても、支障なく再起動できるように非接触給電を行うことができる搬送装置の給電方法を提供すること。

【解決手段】複数に分割された給電区間に、電磁誘導で非接触給電を行い、搬送車を走行路に沿って走行させる搬送装置の給電方法において、給電線32、32’、32”の連結部上を、搬送車に搭載した受電コイルが移送する際、隣接する給電区間の給電位相を同一位相で給電するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数に分割された給電区間に、電磁誘導で非接触給電を行い、搬送車を走行路に沿って走行させる搬送装置の給電方法において、給電線の連結部上を、搬送車に搭載した受電コイルが移送する際、隣接する給電区間の給電位相を同一位相で給電するようにしたことを特徴とする搬送装置の給電方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、搬送装置の給電方法に関し、特に、工場内を稼働する有軌道無人搬送システムで、複数の搬送車を同一軌道上に配し、非接触で給電する場合において、搬送装置の搬送路が長く、あるいは搬送車の台数が多く、所要負荷電力に対し、単一の給電区間で給電できない場合に適した非接触給電を行う搬送装置の給電方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、工場内を稼働する有軌道無人搬送システムにおいては、給電線の線路長が長くなる場合、あるいは負荷が大きい場合、搬送路を複数の区間に分割して給電するようにしている。例えば、図4に示すように、給電線の線路を4つの給電区間1、2、3、4に分割し、かつこれらの給電区間1、2、3、4をループ状に配設して、見かけ上1つの給電線10を構成し、かつ各給電区間1、2、3、4の給電線に対して各々独立した給電装置5、6、7、8を設けて給電するようにしている。この給電装置5、6、7、8には相互の依存関係はなく、その出力の周波数、位相は独立し、整合がとれていない状態にある。
【0003】そして、この給電線の連結部は、図5に示すように、例えば、一方の給電線11から他方の給電線12に切り替わる部分では、給電線11、12間に、その構成及び施工上、空隙Cが存在する。この空隙Cは、電線の曲げ半径等の要因等により決まり、給電線11、12はそれぞれ支持材15により走行路面16から所定の間隔だけ浮上するように敷設されている。
【0004】一方、搬送車側に搭載する受電コイル17は、コイル長さLを有し、図5(B)に示すように、給電線11を支持した支持材15を、E型コア17Cの溝の中心に位置するよう配置している。この受電コイル17の発生電圧と給電線との位置関係を図6に示す。搬送車の走行により受電コイル17が、給電線11、12間の空隙Cにさしかかる前においては、出力電圧Ecは、図6に示す如く受電コイルの位置に関係なく出力は一定になる。そして、受電コイル17が、前記空隙Cを通り抜けた後も前記と同様に出力電圧Ecの一定となる。
【0005】しかし、給電線11、12間の空隙Cの区間に搬送車側の受電コイル17がある間は、図6の出力電圧Ea、Ebにて示すように電圧が、出力電圧Ecよりも低下する。さらに、給電線11と給電線12の位相が反転している場合には、出力電圧Edに示すようにゼロまで下がる。また、2つの給電線11、12の周波数が一致していない場合には、空隙C区間内での出力電圧は2つの周波数の差分周波数で変動する。周波数が一致しているが、位相が異なる場合には位相差によって出力し得る電圧Egが変化するものとなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来の非接触給電を行う搬送装置の給電方法には、給電区間の給電線間に空隙部分の存在する給電路に対し、単一の受電コイルで受電し、搬送車の動力源に供する場合、この空隙区間を通過、あるいはこの区間で停止後に再起動する起動電力よりも空隙部で供給できる電力が少ない場合には、この位置で搬送車が停止したり、あるいは停止後の再起動ができなくなったりして、搬送車の運用に支障をきたすという問題点があった。
【0007】本発明は、従来の非接触給電を行う搬送装置の給電方法の有する問題点に鑑み、給電区間の給電線間に空隙部分の存在する給電路に対し、搬送車の受電コイルが、給電区間の給電線のどの位置において搬送車が停止しても、支障なく再起動できるように非接触給電を行うことができる搬送装置の給電方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の搬送装置の給電方法は、複数に分割された給電区間に、電磁誘導で非接触給電を行い、搬送車を走行路に沿って走行させる搬送装置の給電方法において、給電線の連結部上を、搬送車に搭載した受電コイルが移送する際、隣接する給電区間の給電位相を同一位相で給電するようにしたことを特徴とする。
【0009】上記の構成からなる本発明の非接触給電を行う搬送装置の給電方法は、隣接する給電区間の給電位相を同一位相で給電しているため、搬送車が給電区間の給電線間の空隙部分に受電コイルが位置するように停止しても、受電コイルの出力低下を最小限に抑制することができるので、支障なく再起動でき、搬送車の走行を安定させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の搬送装置の給電方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】図1〜図3は、本発明の搬送装置の給電方法の一実施例を示す。給電区間の給電線間の空隙Cの区間において、図6の線図で示すように、出力電圧Eaで空隙区間の最低電圧Egがコイルの長さLと空隙Cの区間長で決まり、時間に依存しない方法について説明する。
【0012】図1には、図4の従来装置に示すように、給電線を、複数の給電区間に分割し、これをループ状に配設して1つの給電線を構成し、かつ各給電区間の給電線毎に給電装置を接続する場合における1台分の給電装置20の構成を示す。本発明の給電装置20は、外部からの同期信号の入力インターフェース(ラインレシーバ)21と、同期信号の出力インターフェース(ラインドライバ)22と、同期信号を内部信号、外部信号のいずれか一方を選択する選択スイッチ23と、水晶発振器による発振回路24と、給電線に供給する周波数10kHzの同期信号に周波数を分周する分周回路25と、遅延回路26と、ゲート駆動信号生成回路27と、IGBT等の電力スイッチング素子のゲート駆動回路28と、主回路部分の整流、平滑を行う電源回路29と、IGBT等のスイッチング素子で単相交流を発生する主回路30とから構成される。
【0013】複数の給電区間に分割し、かつ各給電区間の給電線毎に、上述構成の給電装置20を接続する場合、図2に示す如く配置する。ここでは、一例として、閉じた給電線路の場合について説明する。図2においては、3台の給電装置20、20’20”を配置し、その出力にそれぞれ給電線32、32’、32”を接続し、かつ給電線32、32’、32”をループ状に隣接して構成した場合を示したが、給電装置20’、20”及び給電線32’、32”の間には、同様に構成する複数の給電装置、給電線(いずれも図示省略)を介在させることができる。
【0014】各給電装置20、20’20”の間は、同期信号31、31’、31”をカスケート接続する。最上流の給電装置20は、同期信号の選択スイッチ23を回路232側に接続し、給電装置20の同期信号を出力インターフェース22を介して外部に出力するとともに、遅延回路26にも供給する。下流側の給電装置20’、20”は、同期信号選択を選択スイッチ23の回路231側に接続し、上流側の給電装置20からの同期信号36を、下流側の給電装置20’、20”に出力するとともに、遅延回路26に供給するように構成する。
【0015】回路動作を図3に基づいて説明する。水晶発振回路24のクロック信号35を分周し、同期信号36を生成する。同期信号36の周期39はクロック信号35の周期の分周比倍になる。一例として同期信号36の周波数を10Hz近傍とし、周期を1μs単位で設定する場合、クロック信号35の周波数は10MHzとなる。設定分解能を上げる場合にはクロック信号35の周波数をさらに高くする。
【0016】遅延回路26は、外部あるいは内部の同期信号36から遅延時間40だけ信号を遅らせる。給電線の端部近傍に給電装置を設置し、同期信号を同軸ケーブル、光ファイバー等の伝送線(伝送媒体)で伝送する場合、距離に比例した遅延を生じる。伝搬速度v、上流から最下流までの伝送線の長さLw、信号の遅延時間Td1、光速度c、媒体の比透磁率μs(=1)、媒体の比誘電率εsとすると、次式の関係が成立する。
【0017】v=(μs・εs)-1/2・c=εs-1/2・c【0018】Td1=Lw・v=εs-1/2・Lw・c【0019】また、ラインドライバ22及びラインレシーバ21のインターフェース部の信号の遅延Td2は、回路素子、構成で決まる1段当たりの遅延時間Tdu、給電装置の台数nとすると、次式となる。
Td2=(n−1)Tdu【0020】最下流の給電装置20”までの遅延Tdは、次式となる。
Td=Td1+Td2【0021】すべての給電装置の遅延回路26の出力の位相を、最上流の給電装置20の分周回路25に対し、同一値に合わせるため、最上流の給電装置20の遅延時間設定Tsは、次式にように最下流の給電装置20”までの遅延時間Tdに設定する。
Ts=Td【0022】最下流の給電装置20”の遅延時間設定Ts”は、次式にようにインターフェース1段分の遅延時間Tduとする。
Ts”=Tdu【0023】中間に位置する給電装置20’の遅延時間設定は上流からの段数と同期信号の伝送線長に応じた値をTsからTs”の間で設定する。
【0024】ここで、最大の遅延時間Tdは同期信号の周期を越えることはできない。
【0025】通常の伝送線の遅延は、導線で100m当たり4μs、光ファイバーで4〜5μsである。インターフェース部の遅延は1段当たり1〜3μs以下となり、搬送装置を設置する数100m程度の走行路に対し、給電区間を10区間程度に分割給電することができる。
【0026】ゲート信号生成回路26は遅延した同期信号36を起動信号として、パルス幅41、44、45、47のパルスをパルス間隔42、44、46の間隔をおいて発生する。ゲート駆動信号は正負の信号で図示している。正極性のパルスはU相のハイサイド側ゲート、負極性のパルスはV相のハイサイド側ゲートの駆動信号を示すものとする。
【0027】ローサイド側ゲートはハイサイド側と相補関係にあり、かつ、上下のトランジスタが同時に動作しないようデッドタイムを設けるのは通常のインバータと同様である。
【0028】このパルス幅、パルス間隔はそれぞれ独立した値に設定することができる。あるいは設定を共通にし、パルス幅41、43、45、47を同一の値、パルス間隔42、46を同一の値に設定することもできる。
【0029】設定値をそれぞれ独立にした場合、不適切な設定値を選んだ場合、給電線に直流成分が重畳するが、先の如く同一値を設定した場合、正負で対称となり直流分が重畳しないものとなる。
【0030】給電線の電圧の基本波成分は、図3おいて、線図38に示すように発生する。非接触給電の給電側、あるいは受電側で共振回路を構成する場合は、高調波成分ではなく基本波成分が電力伝達の支配要因であるため、基本波成分に着目する。
【0031】本実施例は1周期を正負それぞれ2分割の矩形波で駆動する方法を説明したが、さらに波形を細分化することもできる。この細分化の限度はパワー素子のスイッチング時間に依存するもので、本実施例の方法に依存するものではない。また、正負を1パルスで駆動することも可能である。
【0032】この方法では、同期信号により1周期分の波形を生成し、個々の給電装置は他励動作となるため給電線の位相を整合することが可能となる。
【0033】以上、本発明の搬送装置の給電方法について、1台のインバータ(給電装置)で1本の給電線に給電するようにした実施例に基づいて説明したが、本発明は、この実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、複数台のインバータ20a1、20a2、20b1、20b2、20c1、20c2を1本の給電線32a、32b、32cに並列接続し、各給電線32a、32b、32cを駆動するようにする等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。なお、図7に示すように、複数台のインバータ20a1、20a2、20b1、20b2、20c1、20c2を1本の給電線32a、32b、32cに並列接続することにより、小容量のインバータを、見かけ上、大容量化して使用することができ、これによって、電流容量が小さい方が高速スイッチングが可能なIGBT等の電力スイッチング素子の特性を生かすことができるとともに、製作が困難であるという大容量の高周波インバータの問題点を回避できる等の運用上のメリットがある。
【0034】
【発明の効果】本発明の搬送装置の給電方法によれば、隣接する給電区間の給電位相を同一位相で給電するようにしているため、搬送車が給電区間の給電線間の空隙部分に受電コイルが位置するように停止しても、受電コイルの出力低下を最小限に抑制することができるので、支障なく再起動でき、搬送車の走行を安定させることができる。
【出願人】 【識別番号】000233206
【氏名又は名称】日立機電工業株式会社
【出願日】 平成12年1月27日(2000.1.27)
【代理人】 【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治 (外1名)
【公開番号】 特開2001−211501(P2001−211501A)
【公開日】 平成13年8月3日(2001.8.3)
【出願番号】 特願2000−18119(P2000−18119)