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【発明の名称】 電気自動車の補機駆動装置
【発明者】 【氏名】梁▲瀬▼ 尚志

【要約】 【課題】車両停車状態であっても使用したい補機のみを補機駆動用モータで駆動するようにしてモータの小型軽量化を図るようにした電気自動車の補機駆動装置を提供する。

【解決手段】駆動輪16への動力を発生する駆動用モータ11、12と、駆動用モータ11、12の動力により駆動され、車両が走行中に作動が必要となる第1の補機群3と、第1補機群3の補機の中で車両の停車状態であっても作動が必要となる補機を備えた第2補機群4と、車両が停車状態のみ第2の補機群4を駆動する補機駆動用モータ28とを有した構成としたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動輪への動力を発生する走行用モータと、前記走行用モータの動力により駆動され、車両が走行中に作動が必要となる第1の補機群と、前記第1補機群の補機のうち車両が停車状態であっても作動が必要となる第2補機群と、前記車両が停車状態であるとき前記第2の補機群のみを駆動する補機駆動用モータとを有したことを特徴とする電気自動車の補機駆動装置。
【請求項2】 請求項1において、車速検出手段を更に備え、前記車速検出手段の検出値が所定値以下のとき前記車両が停車状態にあることを検出するとともに、前記停車状態が検出されると、前記走行用モータの停止に先立って前記補機駆動用モータを作動させる制御手段とを有することを特徴とする電気自動車の補機駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車の補機駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車は、内燃機関を駆動源とする自動車と同様にオルタネータ、パワーステアリングのオイルポンプ、エアコンのコンプレッサ、エアブレーキ・エアササスペンションのエアーコンプレッサ等の補機類を駆動することが必要である。車両に搭載される全ての補機は、エンジン駆動方式、モータ駆動方式、減速機駆動方式の何れかの方式により駆動されるが、補機により駆動方式を変えたり、或いは、複数個の同一機能の補機を搭載して前記2つ或いは3つの方式により駆動するようにしている。
【0003】補機の駆動装置として例えば、特開平9−182210号公報に開示されているものがある。この駆動装置は、走行駆動用モータと補機駆動用モータとを同軸に配設し、補機駆動用モータにより全ての補機を駆動し、走行駆動用モータの回転数が補機駆動用モータの回転数を上回ると、ワンウェイクラッチにより走行駆動用モータの動力を補機駆動用モータへ伝達させ、補機駆動用モータを停止させて負荷を軽減するように構成したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車両の停車中に上記駆動装置を適用しても、補機駆動用モータにより駆動される補機は、全ての補機となる。このため、車両の停車中には不要の補機も駆動することとなり、電力を無駄に消費するばかりでなく、補機駆動用モータが大型化し、車両重量の増大を来す。
【0005】モータにより補機を駆動する場合、エンジン作動状態に拘わらず補機を駆動するためには、各補機毎にモータを必要とし補機駆動装置が大型化し、重量も増加する。また、モータ駆動補機以外の補機を車両走行用モータに電力を供給する発電エンジンで駆動する場合、発電エンジンの作動要求が無くても補機駆動要求から発電エンジンを運転しなければならない場合があり、発電エンジン作動要求がない場合における発電エンジン運転は、バッテリ状態により発電量等を抑えた効率の悪い発電となり、また、他のエンジン停止要求のある制御が成立しなくなる等の問題がある。
【0006】このため、本発明では、車両停車状態であっても使用したい補機のみを補機駆動用モータで駆動するようにしてモータの小型軽量化を図るようにした電気自動車の補機駆動装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1における発明では、車両は走行用モータに電力が供給されて走行し、車両の走行中は、走行用モータにより走行中に作動が必要となる第1補機群の補機が駆動される。このとき、補機駆動用モータは停止しており、第2補機群の補機が不作動状態となっている。車両が停車状態のときは補機駆動用モータが駆動されて当該車両の停車状態であっても作動が必要となる第2の補機群の補機を駆動する。これにより、車両停車状態であっても使用したい補機のみを補機駆動用モータで駆動することで、駆動用モータの小型軽量化が図られる。
【0008】請求項2における発明では、車速検出手段の検出値が所定値以下のとき車両が停車状態であると判断して、走行用モータの停止に先立って補機駆動用モータを作動させるので、走行中及び停車状態であっても、補機による出力がある一定以上必要な機器に対してこれらの機器への入力低下を防止し、走行・停車に拘わらず機器能力を維持することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好適な第1の実施例を例示的に詳しく説明する。図1は、本発明に係る補機駆動装置を適用した電気自動車の概略構成を示すブロック図、図2は、図1の減速機の詳細図である。
【0010】図1及び図2に示すように電気自動車1は、走行装置2、第1補機群3、第2補機群4、発電装置5、電池6、及び制御装置7等により構成されている。走行装置2は、例えば、2台の走行用モータ11、12を備えており、これらの走行用モータ11、12の駆動力は、減速機13のギヤ14、デファレンシャルギヤ15を介して駆動輪としての後輪16、16に伝達される。走行用モータ11、12は、インバータ51、リレー&フューズ50を介して電池6に接続される。そして、補機駆動装置は、第1補機群3と第2補機群4と、第1補機群3を駆動する減速機13(走行用モータ11、12)と、第2補機群4を駆動する補機駆動用モータ28とにより構成されている。
【0011】第1補機群3は、24Vオルタネータ21、エアーコンプレッサ22、エアコンコンプレッサ23、パワステポンプ24等からなる。24Vオルタネータ21は、ヘッドランプ等のランプ類やワイパ装置等の電源としてのバッテリを充電する発電機、エアーコンプレッサ22は、エアブレーキやエアサスペンション等に供給するエアー圧を発生させるコンプレッサ、エアコンコンプレッサ23は、エアコンのコンプレッサ、パワステポンプ24は、パワステアリング用のオイルポンプである。そして、24Vオルタネータ21、エアーコンプレッサ22は、減速機13の駆動ギヤ17により駆動され、エアコンコンプレッサ23、パワステポンプ24は、減速機13の駆動ギヤ18により駆動される。即ち、第1補機群3の各補機21〜24は、車両の走行中に作動が必要となる補機であり、減速機13により駆動される。
【0012】第2補機群4は、エアーコンプレッサ26、パワステポンプ27により構成されており、補機駆動用モータ28により駆動される。エアーコンプレッサ26、パワステポンプ27は、車両の停車状態であっても作動が必要となる補機であり、専用のモータ28により駆動される。この第2補機群のエアーコンプレッサ26、パワステポンプ27は、第1補機群のエアーコンプレッサ22、パワステポンプ24と同一機能を有する補機である。停車状態であっても機器として作動が必要なパワーステアリング若しくはエアブレーキ並びにエアサスペンションに、停車状態であっても十分な入力を行う。即ち、補機駆動装置は、車両の走行中に作動が必要となる第1補機群の補機の中で車両の停車中であっても作動が必要となる補機については、当該補機と同一機能を有する補機を別途に第2補機群として備えている。そして、停車中に使用したい補機のみをモータ駆動とすることで、補機駆動用モータ28の負荷を小さくすることができ、これに伴い小型化、軽量化を図ることができる。尚、車両の停車状態は、減速機13の回転数を検出する減速機回転センサ13aに基づき検出する。
【0013】図3は、前記第1補機群3と第2補機群4の2台のエアーコンプレッサ22と26との空圧回路例を示し、エアクリーナ30を通して吸入された大気は、エアーコンプレッサ22又は26により圧縮され、チェックバルブ31、32、アンロードバルブ33を介してエアタンクに供給される。図4は、前記第1補機群3と第2補機群4の2台のパワステポンプ24と27との油圧回路例を示し、リザーバタンク35の作動油は、パワステポンプ24又は27により加圧され、フローコントロールバルブ36を介してパワーステアリング37に供給される。
【0014】発電装置5は、発電用エンジン40と、この発電用エンジン40により駆動されて電池6を充電する発電機41とにより構成されている。発電機40、及び前記補機駆動用モータ28は、インバータ52、リレー&フューズ50を介して電池6に接続される。制御装置7は、メインコントローラでシフトレバー位置センサ、減速機回転センサ、エアータンク内のエアー圧を検出するエアー圧センサ(何れも図示せず)からの信号によりエンジンコントローラ53を介して発電用エンジン40を制御し、インバータ51を介して走行用モータ11、12を制御し、インバータ52を介して発電機40から電池6への充電を制御し、及び補機駆動用モータ28を制御し、電池コントローラ54を介して電池6の充電を制御する。尚、制御装置7には、前記シフトレバー位置センサ、減速機回転センサ13a、エアー圧センサ等からの信号の他に、ブレーキ制御系の各種センサ及びアクチュエータからの信号や、信号制御系の各種センサ及びアクチュエータ(何れも図示せず)からの種々の信号が入力される。
【0015】以下に作用を説明する。図1において、車両は、電池6から走行用モータ11、12に電力が供給されて走行する。制御装置7は、電池コントローラ54からの信号により電池6の状態を検出し、充電が要求される(発電要求される)とエンジンコントローラ53により発電エンジン40を制御して発電機41を駆動し、電池6を充電する。或いは、走行中にあっては走行用モータ11、12に電力を供給しながら電池6を充電する。
【0016】車両の走行中は、減速機13により第1補機群3の24Vオルタネータ21、エアーコンプレッサ22、エアコンコンプレッサ23、パワステポンプ24等の走行中に作動が必要となる補機が駆動される。このとき、補機駆動用モータ28は停止しており、第2補機群のエアコンプレッサ26、パワステポンプ27が不作動状態となっている。車両が停車状態であるときは制御装置7が前記エアー圧センサ、シフトレバー位置センサ等からの信号により補機駆動用モータ28を電池6から電力を供給して駆動し、第2補機群4のエアーコンプレッサ26、パワステポンプ27を作動させる。これにより、車両停止中でもエアー圧や、パワステ用の油圧が確保される。そして、第1補機群のエアーコンプレッサ22、パワステポンプ24と第2補機群のエアーコンプレッサ26、パワステポンプ27とを同一機能の補機とすることで、車両走行中と車両停止中とで同じ作動を得ることができる。
【0017】車両の全運行時間に占める車両走行時間、車両停止時間、発電エンジン40の運転時間を比較すると、車両走行時間が最大で、発電エンジン40の運転時間が最小であり、車両走行時にオルタネータ21、エアーコンプレッサ22、エアコンコンプレッサ23、パワステポンプ24等の補機を駆動することにより、これらの補機作動時間が最大となる。従って、車両走行時に作動している減速機13により前記補機を駆動することにより、車両走行時に補機を駆動する、或いは、補機の作動が走行に直接関係あるものを減速機駆動とし、直接は関係の無いもの又は補機駆動要求時間の多いエアーコンコンプレッサ、パワステポンプの補機を別に1台づつ備えて第2補機群とし、この第2補機群のエアーコンプレッサ26、パワステポンプ27をモータ28により駆動する。
【0018】これにより、補機駆動用モータ28の作動頻度を減少させて電池6の電力消費量を抑制し、発電要求のない場合の発電を回避することにより低効率発電を抑制する。更に、補機駆動に係わらない発電エンジン運転とすることで、発電エンジン40の制御の自由度が拡大される。次に、図5に示すフローチャートにより第2補機群4の作動を説明する。本制御は、図示しないハイブリッド電気自動車のメインスイッチがオンされている間はスタートからリターンを繰り返す。制御装置7は、シフトレバー位置がパーキング位置にあるか否かを判別し(ステップS1)、パーキング位置にないときには減速機13の回転数が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS2)。所定値は、略車両が停車状態である車速4〜5km/hの回転数が好ましい。減速機13の回転数が所定値以下のときには当該車両が停車状態であると判断して補機駆動用モータ28を駆動し(ステップS4)、エアコンプレッサ26、パワステポンプ27を駆動して必要なエアー圧及びパワーステアリング圧を確保する。
【0019】これにより、車両が完全に停車となる前にモータ運転を開始するため、エアブレーキ又はエアサスペンションのエア圧又は、パワーステアリング油圧が過度に低下することがない。ステップS1においてシフトレバー位置がパーキング位置にあると判別されたときには、エアータンクの空気圧が所定圧よりも低下しているか否かを判別し(ステップS3)、低下しているときには補機駆動用モータ28を駆動し(ステップS4)、エアーコンプレッサ26、パワーステポンプ27を駆動して必要なエアー圧、パワステアリング油圧を確保する。これにより、ブレーキ力が確保される。また、ステップS2において減速機13の回転数が0でないと判別されたときには、エアータンクの空気圧が所定圧よりも低下しているか否かを判別し(ステップS3)、低下しているときには補機駆動用モータ28を駆動し(ステップS4)、エアーコンプレッサ26、パワステポンプ27を駆動して必要なエアー圧及びパワステアリングの油圧を確保する。これにより、車庫入れ操作等におけるステアリング操作力やブレーキ力を確保することができる。ステップS3においてエアー圧が低下していないと判別されたときには補機駆動用モータ28を停止させたままの状態に保持する(ステップS5)。このように車両停止時に作動要求がある場合は、補機駆動用モータ28によりエアーコンプレッサ26、パワステポンプ27等の補機を駆動する。
【0020】本実施例では、減速機13を介して伝達される走行用モータ11、12の駆動力と補機駆動用モータ28の駆動力とをオーバーラップさせるために、停車判定を極低車速としたが、本発明は、これに限ることなく、車速ゼロとしても、停車状態に第2補機群を駆動することによる効果は奏される。一方、車両の発進時においては、シフトレバーポジションP以外で(ステップS1)、減速機回転数が所定値より大きくなるまで(ステップS2)、補機駆動用モータ28によるモータ運転を行い、走行用モータ11、12により第1補機群がある程度駆動されるまで、両モータによりパワーステアリング、エアブレーキ、エアサスペンション、エアコン等の作動が良好に行われる。
【0021】次に、本発明の第2の実施例について説明する。図6は、図3におけるエアコンプレッサ26を第1の補機群と第2の補機群とで兼用させる構成であり、既に第1の実施例で説明した構成については同じ符号を付して説明を省略する。エアーコンプレッサ26は、ギヤ53によって補機駆動用モータ28及び走行用モータ11、12により駆動される減速機13からの動力が伝達され、車両の走行中はクラッチ51が接、クラッチ52が断となり、車両の停車中は、クラッチ51が断、クラッチ52が接となる。
【0022】クラッチ51、52は、図示しないアクチュエータが制御装置7からの信号により制御され、クラッチ51と52の切り換えは両方とも接状態を持つことで動力の非伝達状態を回避できる。本発明の第2の実施例によれば、第1群と第2群の補機を兼用できるため、補機の配置スペースの節減が図られる。
【0023】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、車両が停止しているときには必要な補機を専用の補機駆動用モータで駆動することで、停車状態であっても必要な補機を駆動することができ、且つ補機駆動用モータは、停車状態のみ作動するのでモータの出力を小さくすることができ、小型化、重量の軽減、コストの低減等が図られる。
【0024】請求項2の発明によれば、走行用モータによる補機駆動と補機駆動用モータによる補機駆動とをオーバーラップさせることで、補機の出力を必要とする機器への入力低下を防止し、走行、停車状態の違いに拘わらず、十分な機器能力を生じさせることができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成12年1月19日(2000.1.19)
【代理人】 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
【公開番号】 特開2001−204104(P2001−204104A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−10455(P2000−10455)