| 【発明の名称】 |
車両推進装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】横西 富志雄
【氏名】近藤 伸一
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| 【要約】 |
【課題】車両基地における車両移動のための設備を小型化して車両基地建設の経済的負担を低減するとともに、車両点検等の作業性を向上する。
【解決手段】基地内軌道13の片側に、隣接した三つの推進コイル11aを有する推進コイル装置11が、超電導リニア車両20の進行方向に沿って間欠的に設けられており、この推進コイル装置11と、車両側の超電導磁石23との磁気相互作用により超電導リニア車両20が推進する。また、基地内軌道13の中央部にはセンターガイド12が軌道全長に渡って設けられ、超電導リニア車両20の下部には、水平方向に回転するセンターガイド輪25aを備えたセンターガイド輪装置25が設けられている。車両推進中は、各センターガイド輪25aがセンターガイド12に沿いながら回転することにより、超電導リニア車両20の案内を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気浮上式鉄道車両の車両基地等での低速走行時に、前記車両の下部に備えられた支持車輪により軌道上を走行させるために前記車両を推進、案内する車両推進装置であって、複数の推進用電磁石が、前記車両の側面のうち一方の側面に備えられた車両側電磁石と略対向するように、前記軌道の片側のみに設けられたことを特徴とする車両推進装置。 【請求項2】 前記推進用電磁石は、前記車両の進行方向に沿って間欠的に設置されていることを特徴とする請求項1記載の車両推進装置。 【請求項3】 前記推進用電磁石は、前記車両の進行方向に沿って複数個隣接して配置されることにより推進用電磁石集合体を構成し、前記推進用電磁石集合体は前記車両の進行方向に沿って間欠的に設置されていることを特徴とする請求項1記載の車両推進装置。 【請求項4】 磁気浮上式鉄道車両の車両基地等での低速走行時に、前記車両の下部に備えられた支持車輪により軌道上を走行させるために前記車両を推進、案内する車両推進装置であって、複数の推進用電磁石が、前記車両の側面に備えられた車両側電磁石と略対向するように前記軌道の両側に設けられ、しかも前記各推進用電磁石は、前記軌道の両側において、前記車両の進行方向に沿って間欠的に設置されていることを特徴とする車両推進装置。 【請求項5】 磁気浮上式鉄道車両の車両基地等での低速走行時に、前記車両の下部に備えられた支持車輪により軌道上を走行させるために前記車両を推進、案内する車両推進装置であって、複数の推進用電磁石が、前記車両の側面に備えられた車両側電磁石と略対向するように前記軌道の両側に設けられ、しかも前記各推進用電磁石は、前記車両の進行方向に沿って複数個隣接して配置されることにより推進用電磁石集合体を構成し、前記推進用電磁石集合体は、前記軌道の両側において、前記車両の進行方向に沿って間欠的に設置されていることを特徴とする車両推進装置。 【請求項6】 前記軌道の略中央部に、前記車両を案内するために前記車両の進行方向に沿って設けられた凸状のセンターガイドと、前記車両の底部に、前記車両を案内するために前記センターガイドの凸部の両側面を挟むように設けられたセンターガイド輪とを備えたことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の車両推進装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、磁気浮上式鉄道車両の車両基地等での低速地上走行時における車両推進装置に関する。 【0002】 【従来の技術】超電導磁気浮上式鉄道車両(以下「超電導リニア車両」と略す)は、従来の車輪とレールによる走行に代わる次世代超高速交通機関として、実用化に向けての開発や実験が進められている。この超電導リニア車両の車両推進及び浮上方式として、種々の方式が提案されているが、既に建設され試験走行等が行われている超電導磁気浮上式鉄道の実験線(山梨実験線)では、図6に示すように、ガイドウェイ41によって超電導リニア車両42を推進及び浮上・案内させている。具体的には、推進用コイル49と超電導磁石45との間に働く電磁力によって超電導リニア車両42が走行し、浮上・案内コイル50と超電導磁石45との間に働く電磁力によって超電導リニア車両42が浮上し、案内される。 【0003】ただし、超電導リニア車両42が浮上走行するのは高速走行時であり、車両速度が低速になると浮上力や案内力が弱くなって浮上走行できない。そのため、浮上走行できない低速走行時は、支持脚装置46に取り付けられた支持車輪(ゴムタイヤ)46aによって支持車輪走行路47aを走行し、台車44の両側面上部に取り付けられた案内車輪44bによって車体43は側壁48の案内車輪走行路48aに案内される。尚、この支持車輪46a及び案内車輪44bは、浮上走行時は台車44の内部に格納される。また、支持車輪46a及び案内車輪44b自体には回転駆動力はなく、超電導リニア車両42が支持車輪46aにより自力で走行することはできない。 【0004】一方、超電導リニア車両42は通常、本線走行時以外は車両基地内に留置され、車両の清掃、定期点検、不具合修繕などの作業が行われる。そのため、本線と車両基地との間あるいは車両基地内での車両移動(支持車輪46aによる走行)のために、当然ながら車両基地内においても超電導リニア車両42を推進、案内させなければならず、その設備も必要になる。 【0005】そこで、車両基地内にも本線と同様、支持車輪走行路を有する基地内軌道の両側に側壁を設け、その壁に推進コイルを取り付けることにより推進、案内させることは理論的に可能であるが、このような構成にすると、各基地内軌道ごとに両側に側壁及び推進コイルを設けなければならず、基地内軌道の設備が本線並みに大がかりなものになって、複数の留置線や整備線等を有する車両基地の面積が非常に大きくなる。その結果、車両基地の建設コストが非常に大きくなり、しかも建設工期も長くなる。さらに、軌道の両側に側壁があるため、車両の保守・点検等の作業性が非常に悪くなり、車両基地が本来有するべき車両の保守・点検等のしやすさに重大な支障が生じるおそれがある。 【0006】従来提案された車両基地内の車両移動方法としては、例えば、床面設置地上コイルによる推進方式が、特開平6−327103号公報に開示されている。これは、図7に示すように、軌道56の両側の軌道床面57上に、超電導リニア車両51の台車52に搭載された超電導コイル53と対応する推進電磁コイル58を、超電導リニア車両51の走行方向に沿って連続的に、かつ軌道56の両側に設けたものであり、本線上を走行する超電導リニア車両の推進原理と同様、推進電磁コイル58に流す電流を調整することにより超電導リニア車両51を推進させるものである。超電導リニア車両51の推進中は、ガイド輪55と車輪走行路56a上に設置されたガイドレール59とによって案内されながら、支持車輪54により軌道56の車輪走行路56a上を走行する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報で開示された車両移動方法は、本線のガイドウェイに設置しているような軌道側壁を取り除くことはできるものの、本線走行時に比べて車両側の超電導コイル53と軌道側の推進電磁コイル58との距離が増加し、しかも相互が対向していないために磁気結合ロスが生じる。そのため、所定の推進力を得るには、推進電磁コイル58に流す電流を増やしたり推進電磁コイル58の巻数を増やしたりするなどの対策が必要となる。 【0008】またその結果、推進電磁コイル58やそれらに電力を供給する電源設備等が大型化し、経済的な負担が大きくなる。さらに推進電磁コイル58は、軌道床面57上において軌道56の両側に設置されるため、超電導リニア車両51の保守・点検等の作業の際、作業者は推進電磁コイル58の上を乗り越えて車両に接近しなければならず、保守・点検等の作業に支障が生じるおそれがある。 【0009】本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、車両基地における車両移動のための設備を小型化して車両基地建設の経済的負担を低減するとともに、車両点検等の作業性を向上することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題を解決するためになされた請求項1記載の車両推進装置は、磁気浮上式鉄道車両の車両基地等での低速走行時に、前記車両の下部に備えられた支持車輪により軌道上を走行させるために前記車両を推進、案内する車両推進装置であって、複数の推進用電磁石が、前記車両の側面のうち一方の側面に備えられた車両側電磁石と略対向するように、前記軌道の片側のみに設けられたことを特徴とする。 【0011】この車両推進装置では、磁気浮上式鉄道車両が車輪走行する軌道の片側のみに複数の推進用電磁石が、この車両の進行方向に沿って設けられており、その推進用電磁石と車両側電磁石との相互作用によって、磁気浮上式鉄道車両を推進させる。車輪走行領域における磁気浮上式鉄道車両の走行速度は、本線での浮上走行時に比べて低速であるため、磁気浮上式鉄道車両を推進させるための軌道側電磁石が軌道の片側のみに設けられていても、十分な推進力が得られる。 【0012】上記の車両推進装置によれば、軌道側電磁石が軌道の片側のみに設けられているため、電力消費量が小さく経済的となり、車両基地等における車両推進装置のコンパクト化も可能となる。そのため、車両推進装置或いは車両基地の建設コストも低減できる。また、推進用電磁石が設けられていない軌道片側はフリースペースとなり、車両へ容易にアプローチできるため、保守・点検等の作業性も大幅に改善できる。 【0013】また、請求項2に記載の車両推進装置は、請求項1記載の車両推進装置であって、前記推進用電磁石は、前記車両の進行方向に沿って間欠的に設置されていることを特徴とする。既述のように、磁気浮上式鉄道車両は、車両側電磁石と、軌道側電磁石との相互作用によって推進するものであるため、推進用電磁石を必ずしも軌道の全長に渡って連続的に設ける必要はなく、車両側電磁石と軌道側電磁石との間に、車両を推進し得るだけの相互作用(吸引力又は反発力)が生じれば十分である。従って、本発明では推進用電磁石を間欠的に設置して、磁気浮上式車両の推進力を得るようにしている。各推進用電磁石の設置間隔は、磁気浮上式鉄道車両を所望の速度で推進できるだけの最低限の推進力が得られるように適宜決めればよい。 【0014】この車両用推進装置によれば、推進用電磁石を間欠的に設置するため、連続して設置するのに比べて推進用電磁石の数を低減できる。そのため、車両推進装置の建設コストをさらに低減することができる。また、推進用電磁石の間欠配置により、推進用電磁石を設置していない間欠部もフリースペースになり、車両へのアプローチがさらに容易になる。そのため、磁気浮上式鉄道車両の保守・点検等の作業性もより向上する。 【0015】請求項3に記載の車両推進装置は、請求項1記載の車両推進装置であって、前記推進用電磁石は、前記車両の進行方向に沿って複数個隣接して配置されることにより推進用電磁石集合体を構成し、前記推進用電磁石集合体は前記車両の進行方向に沿って間欠的に設置されていることを特徴とする。推進用電磁石集合体を構成する推進用電磁石の数及び推進用電磁石集合体の設置間隔は、磁気浮上式鉄道車両を所望の速度で推進できるだけの最低限の推進力が得られるように適宜決めればよい。この車両推進装置によっても、請求項2に記載の車両推進装置と同様の作用効果を奏することができる。 【0016】ここで、上記の請求項1〜3に記載の車両推進装置はいずれも、車両推進装置や車両基地の建設コスト低減或いは車両の保守・点検時の作業性改善のために、推進用電磁石を軌道の片側のみに設けた構成にしたが、例えば請求項4に記載したような車両推進装置を構成してもよい。請求項4に記載の車両推進装置は、磁気浮上式鉄道車両の車両基地等での低速走行時に、前記車両の下部に備えられた支持車輪により軌道上を走行させるために前記車両を推進、案内する車両推進装置であって、複数の推進用電磁石が、前記車両の側面に備えられた車両側電磁石と略対向するように前記軌道の両側に設けられ、しかも前記各推進用電磁石は、前記軌道の両側において、前記車両の進行方向に沿って間欠的に設置されていることを特徴とする。 【0017】請求項4記載の車両推進装置によれば、軌道の両側において推進用電磁石を間欠的に配置するため、請求項1記載の発明と同様、車両推進装置や車両基地の建設コスト低減或いは車両の保守・点検時の作業性改善などの作用効果が得られるのに加え、特に、車両の両側において、推進用電磁石を設置していない間欠部がフリースペースとなるため、このフリースペースを利用して車両へのアプローチが車両両側から可能となる。 【0018】また、軌道両側における推進用電磁石の間欠配置は、上記の請求項4記載の車両推進装置では、各推進用電磁石を個々に間欠配置するようにしたが、例えば請求項5に記載のように、複数の推進用電磁石にて構成された推進用電磁石集合体を間欠的に設置するようにしてもよい。 【0019】即ち、請求項5に記載の車両推進装置は、磁気浮上式鉄道車両の車両基地等での低速走行時に、前記車両の下部に備えられた支持車輪により軌道上を走行させるために前記車両を推進、案内する車両推進装置であって、複数の推進用電磁石が、前記車両の側面に備えられた車両側電磁石と略対向するように前記軌道の両側に設けられ、しかも前記各推進用電磁石は、前記車両の進行方向に沿って複数個隣接して配置されることにより推進用電磁石集合体を構成し、前記推進用電磁石集合体は、前記軌道の両側において、前記車両の進行方向に沿って間欠的に設置されていることを特徴とする。この請求項5に記載の車両推進装置によっても、請求項4記載の車両推進装置と同様の作用効果が得られる。 【0020】尚、請求項4及び5に記載の発明についても、各推進用電磁石の設置間隔(請求項4の場合)、或いは推進用電磁石集合体を構成する推進用電磁石の数及び推進用電磁石集合体の設置間隔(請求項5の場合)は、いずれも、磁気浮上式鉄道車両を所望の速度で推進できるだけの最低限の推進力が得られるように適宜決めればよい。またこのとき、推進用電磁石或いは推進用電磁石集合体が軌道両側において千鳥状の配置となるように構成すれば、車両の両側面に備えられた車両側電磁石と軌道両側のうちいずれかの側の推進用電磁石との対向間隔(時間的間隔)がより均等となって滑らかな推進力・制動力が得られるので、より好ましい。 【0021】ところで、車両基地内における磁気浮上式鉄道車両の案内は、一般に、図7に示した通りガイド輪55がガイドレール59に沿いながら回転することにより行われるが、このような案内方法で磁気浮上式鉄道車両を案内する場合、車両走行速度を例えば時速5km程度の非常に遅い速度に抑えなければならない。この理由について、図7及び図8に基づいて以下に詳述する。 【0022】このガイド輪55には、ガイドレール59との接触により、車両進行方向に対して横方向の荷重が加わる。ここで、図7では図示されていないものの、支持車輪54によって超電導リニア車両51を支持しながら走行するために、一般に、図8に示すように支持車輪54が車軸62を介して支持脚61により支持されている。そのため、案内によりガイド輪55に加わる横方向の荷重は、車軸62等を介して結果的に支持脚61の支点(台車52内部)に伝達され、支持脚61の支点に荷重(モーメント)が加わることになる。しかもガイド輪55の取付構造上、ガイド輪55(作用点)と支持脚61の支点との距離(いわゆるモーメントの腕の長さ)を、支持脚61の支点から車軸62までの距離より短くすることは困難であり、その距離によっては支持脚61の支点に大きな負担が加わりかねない。 【0023】通常、支持脚61は、進行方向にかかる荷重に対する強度は十分に確保されており、たとえ時速500km以上の浮上走行時に何らかの原因で着地した場合でも安全に走行、停止できるようになっているが、これに比べると横方向にかかる荷重に対する強度は比較的低い。本線を支持車輪54で走行する際には案内車輪44bが案内車輪走行路48aに案内されるため(図6参照)、支持脚61には横方向の荷重はほとんどかからないからである。これに対して、図7のように車両基地内を走行する際には、ガイド輪55がガイドレール59に案内されるため、車両走行速度が上がるにつれガイド輪55にかかる横方向の荷重が大きくなり、その分支持脚61の支点にかかる横方向の荷重も大きくなる。従って、支持脚61の信頼性確保のためには、車両走行速度を例えば時速5km程度の非常に遅い速度に抑えて、支持脚61にかかる横方向の荷重負担を極力抑えなければならない。 【0024】しかしながら、車両基地内での車両移動速度が時速5km程度の非常に遅い速度だと、例えば磁気浮上式鉄道車両を基地内のある場所から別の場所へ移動させるのに時間がかかり、その間はその車両に対する保守・点検等の作業はできないため、作業時間にロスが生じるなどの不都合が生じて効率的な作業ができない。結果として移動中以外の他の磁気浮上式鉄道車両を車両基地内に停留させる時間も多くなり、車両の無駄な留置の増加を招くことにもなる。 【0025】そこで、請求項6に記載の車両推進装置は、請求項1〜5いずれかに記載の車両推進装置であって、前記軌道の略中央部に、前記車両を案内するために前記車両の進行方向に沿って設けられた凸状のセンターガイドと、前記車両の底部に、前記車両を案内するために前記センターガイドの凸部の両側面を挟むように設けられたセンターガイド輪とを備えたことを特徴とする。 【0026】上記の車両推進装置では、磁気浮上式鉄道車両の案内を、軌道のほぼ中央部に設けられた凸状のセンターガイドと、磁気浮上式鉄道車両に設けられたセンターガイド輪とによって行う。磁気浮上式鉄道車両のセンターガイド輪は、例えば軌道平面に対して水平方向に回転する車輪を二個備え、各センターガイド輪が軌道上のセンターガイドをその両側面から挟み、しかも各センターガイド輪が磁気浮上式鉄道車両の走行に伴ってセンターガイドの両側面に沿って回転するように取り付ければよい。このようにすれば、磁気浮上式鉄道車両の走行中は常にセンターガイド輪がセンターガイドに沿いながら回転するため、磁気浮上式鉄道車両は確実に案内される。尚、センターガイド輪は、例えばタイヤ等の回転体を用いればよいし、自在に回転可能なボール等を用いてもよい。 【0027】上記の車両推進装置によれば、センターガイド及びセンターガイド輪によって磁気浮上式鉄道車両の案内を行うことにより、車両の案内に起因する荷重負担が支持車輪にはほとんどかからず、支持車輪に対する負担を低減できる。この結果、磁気浮上式鉄道車両の移動速度を速くすることも可能となり、車両の案内を確実かつ迅速にすることができ、車両の移動にかかる時間を短縮することができる。 【0028】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は超電導磁気浮上式鉄道の基地内車両推進装置を示す斜視図であり、図2は超電導磁気浮上式鉄道の基地内車両推進装置及び超電導リニア車両を示す断面図である。図1に示すように、基地内車両推進装置10は、主に基地内軌道13と、その片側に設けられた複数の推進コイル装置11とで構成されている。 【0029】基地内軌道13は、車両基地等において超電導リニア車両20(図2参照)の車輪走行のために敷設されるものであり、後述する超電導リニア車両20を案内するためのコンクリート製のセンターガイド12が基地内軌道13の全長に渡ってその長さ方向に設けられ、センターガイド12から所定の距離を隔てた両側には超電導リニア車両20の支持車輪24aが走行する支持車輪走行路13aが基地内軌道13の全長に渡ってその長さ方向に設けられている。 【0030】推進コイル装置11は、隣接した三つの推進コイル11aがコンクリート製の側壁11bに取り付けられて構成されたものであり、基地内軌道13の片側に、超電導リニア車両20の進行方向に沿って間欠的に設けられている。各推進コイル装置11間の間隔は、例えば超電導リニア車両20の台車22の長さと同じ間隔にするなど、超電導リニア車両20が車両基地内を所望の速度(例えば時速30km程度)で推進しうる程度の推進力が得られるように適宜決めればよい。また、各推進コイル11aには、各推進コイル11aから磁界を発生させるための電力が、図示しない電力変換変電所から供給されている。 【0031】より具体的には、本実施形態では、各推進コイル装置11に三相交流電力が供給され、推進コイル装置11を構成する三つの推進コイル11aの各々には、走らせたい車両速度に応じた周波数の三相交流電流(U相電流、V相電流、W相電流)がそれぞれ流れる。そして、各々の推進コイル11aから発生する磁界が重なり合うことにより、結果として推進コイル装置11からは、N極とS極が交互にしかも連続的に変化する磁界が発生する。 【0032】次に、上記の基地内車両推進装置10によって推進される超電導リニア車両20について、図2に基づいて説明する。基地内軌道13上を走行する超電導リニア車両20は、主として車体21と台車22とで構成されている。車体21は、鉄車輪とレールにより走行を行う従来の鉄道車両の車体と同様、客室や乗降用ドア等(図示せず)を有するものである。超電導リニア車両20に対しては、超高速浮上走行という特異な走行条件から、徹底した軽量化と高強度化が求められているため、車体21の構体材料にはアルミニウム合金が用いられており、その構造も航空機と同様のセミモノコック構造になっている。また、走行時の空気抵抗を最小限に抑えるために、車体21の表面は全体的に滑らかになっている。 【0033】台車22は、主に超電導磁石23、支持脚装置24、センターガイド輪装置25、案内車輪22b等を有し、その上部には空気ばね22aを介して車体21が搭載されており、超電導磁石23と推進コイル装置11との磁気相互作用によって生じる推進力により超電導リニア車両20を推進させる重要な役割を担うものである。 【0034】台車22の両側面に設けられている超電導磁石23は、超電導コイル23aが台車22の片側において車両全長方向に四個隣接設置して構成されており、各超電導コイル23aは、図示しないステンレス製の内槽容器の中に液体ヘリウムとともに収納されている。超電導コイル23aは、ニオブ・チタン合金等の超電導線材を数千百回巻いて構成されており、電流を流すことによって磁界が発生する。また、超電導磁石23には、超電導コイル23aを冷却して超電導状態に保つための、液体ヘリウムを有する車載冷凍機(図示せず)も設けられている。超電導磁石23における隣接した四個の超電導コイル23aの極性は、隣り合う極が互いに異極となるように(つまりN極とS極が交互に並ぶように)配置されている。尚、図2には示していないものの、本実施形態では、超電導磁石23は超電導リニア車両20の全長方向において、車両両側にそれぞれ3個設置されている(後述する図5参照)。 【0035】支持脚装置24は、十分な浮上力や案内力が得られない低速走行時に超電導リニア車両20の支持、案内を行うものであり、時速500km以上の速度で万一着地した場合でも安全に走行、停止できるような高性能の支持車輪24aや、支持車輪24aの回転を制動するためのディスクブレーキ(図示せず)等を備えている。 【0036】センターガイド輪装置25は、自在に回転可能なセンターガイド輪25aを先端に有する二つのセンターガイド脚25bが、台車22の中心部付近にセンターガイド12に対して対称的に位置するように、しかもセンターガイド12の両側面に沿って、センターガイド輪25aが基地内軌道13に対して水平方向に回転できるように取り付けられて構成されている。センターガイド輪25aとしてはゴムタイヤを用いているが、車両基地内等の低速走行時(例えば時速30km程度の低速走行時)に超電導リニア車両20を案内できるものであれば何でもよく、車輪以外に例えばボール状の回転体など、センターガイド12の側面に沿って転がるものなら何でもよいし、案内シュー等を用いてもよい。台車22の両側面において超電導磁石23の上部に設けられている案内車輪22bは、既に説明した図6の案内車輪44bと同じものであるため、ここではその説明を省略する。 【0037】尚、支持車輪24a及び案内車輪22bは、台車22において各々四カ所(一側面に二カ所)設けられ、浮上できない地上走行時に使用されるものであり、浮上走行時はいずれも台車22の内部に格納される。センターガイド輪装置25は、台車22に二カ所設けられ、本線のガイドウェイ等を走行する際は案内車輪22bによる案内を行うため台車22の内部に格納されているが、案内車輪22bによる案内ができない場合、即ちセンターガイド12を有する基地内軌道13を走行するときに使用されるものである。 【0038】次に、基地内車両推進装置10による基地内軌道13上の超電導リニア車両20の走行について説明する。超電導リニア車両20の基地内軌道13上の走行は、原理的には超電導リニア車両20が本線のガイドウェイ等を走行する方法と同じである。即ち、超電導リニア車両20側の超電導磁石23から発生する磁界と、推進コイル装置11の各推進コイル11aから発生する磁界との相互作用により、超電導リニア車両20が推進され、基地内軌道13上を走行する。そのためにはまず、超電導リニア車両20の超電導磁石23から磁界を発生させることが必要である。 【0039】通常、超電導コイル23aにいったん電流を流すと超電導磁石23から磁界が発生し、超電導コイル23aが超電導状態を持続している限り電流は流れ続ける(永久電流)ため、超電導磁石23からの磁界発生も続く。従って、本線のガイドウェイ等を走行してきた超電導リニア車両20が車両基地に入ってきても、超電導磁石23からは磁界が発生し続けている。車両基地内での留置、点検等のために超電導コイル23aから永久電流を抜き取られている場合は、走行前に再び超電導コイル23aに電流を流して永久電流を発生させればよい。また、各超電導コイル23aを流れる永久電流は定常電流であるため、発生する磁界の強さや極性も各超電導コイル23aごとに一定である。 【0040】従って、各推進コイル装置11に電力(本実施形態では三相交流電力)を供給して磁界を発生させ、しかも各推進コイル11aごとに流れる三相交流電流を適切に調整することにより、各推進コイル装置11と、対向する超電導リニア車両20側の超電導磁石23との間に相互作用(吸引力又は反発力)が生じて、超電導リニア車両20が推進する。即ち、推進コイル装置11の各推進コイル11aに三相交流電流を流すことにより、推進コイル装置11が発生する交番磁界と超電導リニア車両20の超電導磁石23が発生する磁界との相互作用によって推進するものであり、リニアシンクロナスモータによる推進原理を利用したものである。 【0041】また、既述の通り、超電導リニア車両20が車両基地内を走行する速度は、本線走行時に比べて時速約30km程度と低速であるため、推進コイル装置11を基地内軌道13の片側のみに、しかも間欠的に設置しても、十分な推進力を得ることができる。尚、超電導リニア車両20の推進力は、推進コイル11aに流す電流の大きさを変えることにより調整でき、走行速度は、推進コイル11aに流す電流の周波数を変えることにより調整できる。 【0042】基地内車両推進装置10によって超電導リニア車両20が基地内軌道13上を走行する際、超電導リニア車両20の案内は、上記のように台車下部に設けられたセンターガイド輪装置25により行われる。即ち、センターガイド輪装置25の各センターガイド輪25aが超電導リニア車両20の走行に伴ってセンターガイド12に沿いながら回転するため、超電導リニア車両20の案内が可能となる。 【0043】また、センターガイド輪25aとセンターガイド脚25bの支点との距離は、図8におけるガイド輪55と支持脚61の支点との距離よりも短くすることができ、しかもセンターガイド脚25bは超電導リニア車両20の車重を支える必要はないため、支持脚装置24ほどの信頼性は求められない。従って、センターガイド輪装置25は、車両基地内等を低速走行する際の車両案内によって生じる荷重負担に耐えうる程度の強度を備えていれば十分である。 【0044】尚、上記実施形態において、推進コイル装置11を構成する三つの推進コイル11aが本発明の推進用電磁石集合体に相当し、各推進コイル11aは本発明の推進用電磁石に相当し、超電導磁石23は本発明の車両側電磁石に相当するものである。 【0045】従って、本実施形態の基地内車両推進装置10によれば、推進コイル装置11が基地内軌道13の片側のみに設けられているため、電力消費量が小さく経済的となり、基地内車両推進装置10のコンパクト化も可能となる。そのため、基地内車両推進装置10或いは車両基地全体の建設コストも低減できる。また、推進コイル装置11が設けられていない基地内軌道13の片側はフリースペースとなり、超電導リニア車両20へ容易にアプローチできるため、保守・点検等の作業性も大幅に改善できる。 【0046】しかも、推進コイル装置11は、基地内軌道13の片側のみに設けられていることに加え、各推進コイル装置11が間欠的に設けられているため、連続して設置するのに比べて、推進コイル装置11の数を低減でき、基地内車両推進装置10の建設コストをさらに低減することができる。また、推進コイル装置11の間欠配置により、推進コイル装置11を設置していない間欠部もフリースペースになり、車両へのアプローチがさらに容易になる。そのため、超電導リニア車両20の保守・点検等の作業性もより向上する。 【0047】また、センターガイド12及びセンターガイド輪25aによって超電導リニア車両20の案内を行うことにより、支持脚装置24に、本線走行には何ら寄与しないガイド輪55(図7参照)等を設ける必要がない。そのため、車両の案内に起因する荷重負担が支持脚装置24にはほとんどかからず、支持脚装置24に対する負担を低減できる。この結果、超電導リニア車両20の移動速度を速くすることも可能となり、車両を確実に案内し、且つ迅速(例えば時速30km以上)に推進させることができ、車両の移動にかかる時間を短縮することができる。これにより、効率的に作業を行うことができるとともに、移動中の超電導リニア車両以外の他の超電導リニア車両の無駄な留置時間を低減することもできる。 【0048】さらに、センターガイド12の高さを可能な限り超電導リニア車両20の下部に近づければ、それに伴ってセンターガイド輪25aも超電導リニア車両20の下部(台車22の下面)に近づけることができ、センターガイド輪25aとセンターガイド脚25bの支点との距離を短くできるため、センターガイド脚25bの支点にかかる横方向の荷重を低減できる。 【0049】尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。例えば、上記実施形態では、推進コイル装置11を、間欠的に配置せず隣接させて連続的に配置してもよい。但しこの場合、推進コイル装置11が設けられている側から超電導リニア車両20にアプローチするのは困難であるため、上記実施形態のように間欠的に配置した方がより好ましい。 【0050】また、上記実施形態では、推進コイル装置11を基地内軌道13の片側のみに間欠的に設けるようにしたが、例えば図3に示すように、基地内軌道13の両側に千鳥状に配置するようにしてもよい。図3は、基地内車両推進装置の他の実施形態を示す平面図である。つまり、上記実施形態では基地内軌道13の片側(例えば車両進行方向の左側)に間欠的に設けた複数の推進コイル装置11を、一つ置きに右側に配置することにより、千鳥状の配置としたものである。このようにしても、基地内車両推進装置30或いは車両基地全体の建設コストの低減が可能となると共に、基地内軌道13の両側において、推進コイル装置11を設置していない間欠部がフリースペースとなるため、このフリースペースを利用して超電導リニア車両20へのアプローチが車両両側から可能となって、保守・点検等の作業性も向上する。 【0051】尚、この場合、千鳥状の配置に限定されることなく、推進コイル装置11が基地内軌道13の両側においてそれぞれ間欠的に配置されるようにする限りあらゆる配置が考えられるが、上記のように千鳥状の配置となるように構成すれば、走行時における、車両側の超電導磁石23と基地内軌道13両側のうちいずれかの側の推進コイル装置11との対向間隔(時間的間隔)がより均等となって、滑らかな推進力・制動力が得られるので、より好ましい。 【0052】更に、上記実施形態では、推進コイル装置11に供給する電力を三相交流電力としたが、例えば単相交流電力或いは二相交流電力でもよく、供給する交流電力の相数は特に限定されない。これに関連して、上記実施形態では三相交流電力を供給するために一つの推進コイル装置11に設ける推進コイル11aの数を三個としたが、これに限らず、例えば六個或いは九個の推進コイル11aを設けるようにしてもよい。また例えば、二相交流電力を供給する場合には、図4に示すように側壁31aに推進コイル11aを二個設けて推進コイル装置31を構成してもよく、この場合も、各推進コイル31の配置間隔は、超電導リニア車両20の車両基地内での推進力を十分に得られる範囲内で適宜決めることができる。更にまた、単相交流電力を供給する場合には、推進コイル11aそのものを単独で間欠的に配置する(換言すれば、各推進コイル装置11に設ける推進コイル11aの数を一つにする)ような構成にしてもよい。 【0053】即ち、一つの推進コイル装置に設ける推進コイルは、例えばn相交流電力を供給する場合は一つの推進コイル装置をnの整数倍の推進コイルにて構成するなど、その数は特に限定されず、各推進コイル装置の間隔も、車両側の超電導磁石23の配置等を考慮して適宜決めればよい。 【0054】このように、推進コイル装置を構成する推進コイルの数と各推進コイル装置の間隔との組み合わせは、本発明の作用効果を奏する限りあらゆるパターンが可能であるが、特に、推進コイル装置に供給される電力の相数の整数倍の数の推進コイル11aにて一つの推進コイル装置を構成すると共に、各推進コイル装置の設置間隔が、車両側の各超電導コイル23aの設置ピッチの整数倍となるようにすると、推進コイル装置とそれに対向する車両側の各超電導コイル23aとの間で作用する推進・制動力が各推進コイル装置ごとに均等になって、車両の滑らかな推進・制動が実現できるため、より好ましい。 【0055】そして、上記のような推進コイルの数と各推進コイル装置の間隔との組み合わせとして、具体的には、例えば図5に示すような組み合わせが考えられる。図5は、推進コイル装置の配置パターン例を示す説明図である。尚、図5において超電導リニア車両20及び各推進コイル11aの構成は、図1又は2にて説明したものと同様であるため、これらについては図1又は2と同じ符号を付し、その説明を省略する。 【0056】図5に示すように、各超電導磁石23において隣接設置された四個の超電導コイル23aの設置ピッチはτ(例えばτ=1.35m)であり、各超電導磁石23は16τの間隔で配置されている。この車両側の各超電導磁石23に対し、これと対向する軌道側の各推進コイル装置71、72、73では、三つの推進コイル11aを1組(全長が2τ)の推進コイル群とし、この1組ごとに三相交流電力を供給して、各組の三つの推進コイル11aにそれぞれU相、V相、W相の各三相交流電流を流すようにしている。 【0057】このうち、図5(a)は、2組の推進コイル群により一つの推進コイル装置71が構成され、各推進コイル装置71が10τの間隔で配置された例を示している。また、図5(b)は、3組の推進コイル群により一つの推進コイル装置72が構成され、各推進コイル装置72が14τの間隔で配置された例を示している。更に、図5(c)は、4組の推進コイル群により一つの推進コイル装置73が構成され、各推進コイル装置73が18τの間隔で配置された例を示している。 【0058】そして、図5(a)では各推進コイル装置71の間隔を10τとしたが、何ら10τに限定されることなく、例えば8τ、12τ、14τ・・・ 等、超電導リニア車両20を所望の速度で推進可能な範囲内で適宜設定すればよい。図5(b)、(c)についても同様である。また、推進コイル群の組数についても、図5(a)〜(c)にて示した2組〜4組に限らず、1組或いは5組以上とするなど、適宜設定することができる。 【0059】尚、上記実施形態では、一つの超電導磁石23を四個の超電導コイル23aにて構成したが、これについても四個に限らず、超電導リニア車両20側の物理的条件や軌道側の推進コイル装置との相対関係を考慮して決めればよい。また、各超電導磁石23の配置間隔も、図5に示したように16τに限定されないものである。 【0060】センターガイド12についても、本実施形態ではコンクリート製としたが、これに限らず例えば低磁性鋼製にするなど、超電導リニア車両20を確実に案内できるものであれば何でもよい。また、超電導リニア車両20を案内するために、上記実施形態のようなセンターガイド輪装置25を用いずに、従来のガイドレール59及びガイド輪55(図7参照)により案内することも可能であるが、既述のように、このような案内方法では車両速度を高めることはできないため、車両移動時間の短縮化の観点からは、上記実施形態のようなセンターガイド輪25aによる案内がより好ましい。 【0061】さらに、本発明の車両推進装置は、上記実施形態で示した超電導リニア車両20に限らず、例えば常電導磁気浮上式鉄道や鉄車輪走行によるリニアモータ駆動車両など、あらゆるリニアモータ駆動鉄道車両に適用することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390021577 【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月29日(2000.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082500 【弁理士】 【氏名又は名称】足立 勉 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−186605(P2001−186605A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願2000−196537(P2000−196537) |
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