| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両の駆動トルク制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】松村 哲生
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| 【要約】 |
【課題】エンジントルクを精度よく検出し、エンジン及び電動発電機の駆動トルク制御を好適に行うことのできるハイブリッド車両の駆動トルク制御装置を提供する。
【解決手段】エンジントルク推定演算手段でエンジントルク特性からエンジントルク推定を演算し、エンジントルク推定値補正手段、エンジントルク推定値学習手段により、前記エンジントルク推定値の精度を向上させ、前記エンジントルク推定値をもとにハイブリッド車両の運転状態に応じて、エンジン及び電動発電機の目標トルクパターンを発生する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】燃料の燃焼によって作動するエンジンと電気エネルギーで作動し力行または回生を行う電動発電機とを車両の駆動源として備えたハイブリッド車両における駆動トルクを制御するために、前記エンジン及び前記電動発電機を制御する駆動トルク制御装置において、前記エンジンへ目標トルク値を指令しその結果発生する前記エンジンのトルクをエンジンの運転状態に関連した複数のパラメータに基づき予めエンジントルク特性として記憶し、該エンジントルク特性及び前記パラメータを用いてエンジンのトルクを推定するエンジントルク推定手段と、該エンジントルク推定手段で推定したエンジントルク推定値を基に、車両の運転モードに応じて前記電動発電機の目標トルク値を生成して前記電動発電機を制御する駆動トルク配分手段とを備えることを特徴とするハイブリッド車両の駆動トルク制御装置。 【請求項2】請求項1記載のハイブリッド車両の駆動トルク制御装置において、前記電動発電機が、推定された前記エンジントルクの環境変化や経年変化を、前記電動発電機のトルクを用いて学習補正するエンジントルク推定値学習補正手段を備えることを特徴とするハイブリッド車両の駆動トルク制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド車両の制御方法に係わり、特にエンジンの発生トルクを推定し、エンジンと電動発電機へ駆動トルクを配分するハイブリッド車両の駆動トルク制御方法及びその制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のハイブリッド車両の駆動トルク制御装置では、例えば特開平10-98804号公報に記載された発明のように、車両の加速時、及び減速時に、あらかじめ電動発電機の発生するトルクを決定しておき、エンジンと電動発電機の合力を車両の駆動トルクとするように構成されている。また前記駆動トルク制御装置に用いるエンジントルク推定手段は、例えば特開平8-121202号公報のようにエンジンの吸入空気流量とエンジン回転数などをパラメータとする演算式やデータマップなどからエンジントルクを算出するように構成されるか、またはトルクコンバータのトルク特性よりエンジントルクを算出するように構成される。 【0003】また、特開平10-136626号公報には、エンジンでモータジェネレータを駆動しその発生電力に基づいてエンジントルクを算出するように構成されたハイブリッド車両が開示されている。 【0004】 【本発明が解決しようとする課題】前記従来の、ハイブリッド車両のエンジントルク特性をパラメータによって算出する方法では、温度や気圧など、エンジンの用いられる環境が変化した場合や、エンジンが使用され始めてから時間が経過し、経年変化を伴う場合に、推定値と実際のエンジントルクの間に誤差が生じてしまい、電動発電機の制御を好適に行うことができなくなる。 【0005】また前記従来の、トルクコンバータトルク特性よりエンジントルクを算出する方法は、動力伝達機構として、トルクコンバータを使用しなければ利用できず、遊星歯車または乾式または電磁式の伝達機構を備える車両には適用できない等の問題点がある。 【0006】さらに、前記エンジンでモータジェネレータを駆動しその発生電力に基づいてエンジントルクを算出する方式は、モータジェネレータを利用して間接的にエンジントルクを算出するものであり、エンジンからモータジェネレータへの駆動力伝達系統の特性のばらつきやモータジェネレータ自体の特性のばらつきなどにより測定の誤差が大きくなる。 【0007】本発明の目的とするところは、車両のタイプの如何に拘らずエンジントルクを精度良く推定し、エンジンと電動発電機の駆動トルク制御を最適に行うことができるハイブリッド車両の駆動トルク制御装置及び制御方法を提案することにある。 【0008】本発明の他の目的とするところは経年変化や環境変化に追従してエンジントルクの推定値を自動的に補正し、常にエンジンと電動発電機の駆動トルク制御を最適に行うことができるハイブリッド車両の駆動トルク制御装置及び制御方法を提案することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、燃料の燃焼によって作動するエンジンと電気エネルギーで作動し力行または回生を行う電動発電機とを車両の駆動源として備えたハイブリッド車両における駆動トルクを制御するために、前記エンジン及び前記電動発電機を制御する駆動トルク制御装置において、前記エンジンへ目標トルク値を指令しその結果発生する前記エンジンのトルクを、エンジンの運転状態に関連した複数のパラメータに基づき予めエンジントルク特性として記憶し、該エンジントルク特性及び前記パラメータを用いてエンジンのトルクを推定するエンジントルク推定手段と、該エンジントルク推定手段で推定したエンジントルク推定値を基に、車両の運転モードに応じて前記電動発電機の目標トルク値を生成して前記電動発電機を制御する駆動トルク配分手段とを備えることを特徴とする。 【0010】本発明の他の特徴によれば、駆動トルク制御装置は、エンジンの動作状態に基づいて変化するパラメータを用いて、あらかじめ記憶しておいたエンジントルク特性を利用して実際のエンジントルク推定値を高精度に演算するエンジントルク推定演算手段と、推定したエンジントルクに、補記類やエンジン水温変化によるエンジンフリクション変化等の補正を加える第一のエンジントルク推定値補正手段と、電動発電機のトルクを利用して、環境変化、経年変化によるエンジントルク推定値の変化を補正する第二のエンジントルク推定値補正学習手段とを備える。第二の補正学習手段は、補正学習値を更新して使用し、最新の情報を用いて補正を行うことが望ましい。 【0011】また、前記エンジントルク記憶手段は、例えば、アクセルペダル開度又はスロットルバルブ開度とエンジン回転数、エンジン吸入空気質量流量とエンジン回転数、吸気圧力と吸気温度とエンジン回転数、又はインジェクタ駆動パルス幅とエンジン回転数をパラメータとしてエンジントルクを記憶することができる。 【0012】本発明によれば、エンジン回転数を含むエンジンの運転状態に関連した複数のパラメータ、例えばアクセルペダル開度、スロットルバルブ開度、エンジン吸入空気質量流量、吸気圧力、吸気温度、インジェクタ駆動パルス幅、エンジン回転数等の測定パラメータをもとにしたマップを予め作成し、前記パラメータによるマップ検索に基づきエンジントルクを推定演算し、電動発電機のトルクを補正することにより、高価なトルクセンサを用いることなく、エンジン制御及び電動機及び発電機制御のために組み込まれている既存のセンサのみを用いてエンジントルクを推定して駆動トルク制御を行うことができ、コストアップを伴うことがなく機能強化を図ることができる。 【0013】また、車両のタイプの如何に拘らずエンジントルクを精度良く推定し、エンジンと電動発電機の駆動トルク制御を最適に行うことができる。 【0014】さらにまた、前記電動発電機のトルクを利用して前記エンジントルクを学習補正する機能をもつため、環境の変化や経年変化があった場合にも、前記エンジントルク推定値補正学習手段により学習を行い、学習補正値を前記エンジントルク推定値に反映させることで、環境変化、経年変化にも自動的に追従して駆動トルク制御を好適に行うことができる。すなわち、一般的に電動発電機はほぼ常温の安定した雰囲気で使用されかつ構造的にも完成度が高いため、環境の変化や経年変化を受けにくい。一方、エンジンはガスの燃焼を伴う過酷な環境下で熱、振動、汚染物質等の影響を受け、電動発電機に比べるとはるかに環境の変化や経年変化を受けトルク特性が劣化し安い。本発明は、このような電動発電機の安定したトルク特性を利用してエンジントルク推定値を補正して電動発電機の駆動トルクを制御することで、環境変化、経年変化にも耐える駆動トルク制御装置及び制御方法を提供することができる。 【0015】 【発明の実施の形態】ここで、本発明は、例えばクラッチ手段により動力伝達を接続、遮断することによって動力源を切り換える切換タイプや、遊星歯車装置などの合成分配機構によってエンジン及び電動発電機の出力を合成したり、分配したりするミックスタイプ、電動発電機またはエンジンを補助的に使うアシストタイプなど、エンジンと電動発電機とを車両走行時の動力源として備えている種々のタイプのハイブリッド車両に適用され得る。 【0016】エンジンと電動発電機とを動力源として備えているハイブリッド車両の運転モードには、例えば、電動発電機のみを動力源として走行する電気走行モード、エンジンのみを動力源として走行するエンジンモード、エンジン及び電動発電機の両方を動力源として走行するエンジン・電動発電機運転モード、エンジンを動力源として走行しながら電動発電機で発電する発電走行モード、動力源としては電動発電機のみを使用し、エンジンは発電のみに使用されるシリーズ発電モードなどが挙げられる。本発明では、これらの運転状態モードを識別する運転モード判定ブロックを駆動トルク制御装置に備える。 【0017】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態をなす、ハイブリッド車両システム16のハードウェア構成図である。燃料の燃焼によってトルクを発生するエンジン1、発電やエンジンの始動等に使用する第二の電動発電機7、エアコンのコンプレッサー4、エアフローメータ2、電子制御スロットル3、電磁パウダークラッチ5、駆動軸に連結する第一の電動発電機6、無段変速機12、無段変速機プライマリプーリ13、無段変速機セカンダリプーリ14、電動発電機を駆動するインバータ9、電池10、無段変速機の油圧を発生する第三の電動発電機8、第三の電動発電機によって駆動される油圧制御装置11、タイヤ15、エンジン制御装置79、電動発電機制御装置80から構成され、そして駆動トルク制御装置17が搭載される。 【0018】エンジン1は、エンジン制御装置(ECM)79によってスロットル弁開度や燃料噴射量、点火時期などが制御されることにより、運転状態に応じて出力が制御される。第一電動発電機6、第二電動発電機7、第三電動発電機8は電動発電機制御装置(MCA)80によって電流などを制御することにより、運転状態に応じて出力が制御される。エンジン制御装置(ECM)79および電動発電機制御装置(MCA)80は、CPUやRAM、ROM等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、あらかじめ定められたプログラムにしたがって信号処理を行う。前記エンジン制御装置(ECM)79および前記電動発電機制御装置(MCA)80を、前記駆動トルク制御装置17の内部に搭載することも可能である。 【0019】ハイブリッド車両における運転モードの一例を図2、図3を用いて説明する。まず、図2に各運転モードにおける出力の受給関係を示す。図2(A)に示すシリーズ発電モードでは、車両を駆動する動力源としては第一電動発電機6のみを使用し、エンジン1と第二電動発電機7で発電し、電池10に充電する。第一電動発電機6のみを動力源として走行する電気走行モードもある。 【0020】図2(B)に示すエンジン・電動発電機運転モードでは、エンジン1及び第一電動発電機6の両方を車両駆動の動力源として走行する。エンジン1のみを動力源として走行するエンジンモードもある。図2(C)に示す発電走行モードでは、エンジン1を動力源として走行しながら第二電動発電機7で発電し電池10に充電する。 【0021】図3は、ハイブリッド車両の運転モードと、車速及びトルクの関係の一例を示すものである。低速、低出力運転時にはシリーズ発電モード(A)で運転され、中高速、中高出力運転時にはエンジン・電動発電機運転モード(B)または発電走行モード(C)で運転される。なお、加、減速時はエンジン・電動発電機運転モード(B)で運転される。 【0022】図4は、本発明の一実施形態をなす、ハイブリッド車両システム16と駆動トルク制御装置17の制御系統構成図である。駆動トルク制御装置17はCPUやRAM、ROM等を有するマイクロコンピュータを備えて構成され、あらかじめ定められたプログラムにしたがって信号処理を行う。車両システム16から駆動トルク制御装置17に入力される信号として、インジェクタ噴射パルス幅18、エンジン回転数19、エンジン水温20、吸気管圧力21、A/Cコンプレッサ吐出圧22、第二電動発電機トルク(TMB)23、車速81、アクセル開度83、駆動トルク制御装置17から車両システム16へ入力される信号として、エンジントルク指令値(TE*)24、第一電動発電機トルク指令値(TMA*)25、第二電動発電機トルク指令値(TMB*)26がある。エンジントルク指令値(TE*)24はエンジン制御装置79へ、第一電動発電機トルク指令値(TMA*)25および第二電動発電機トルク指令値(TMB*)26は電動発電機制御装置80へそれぞれ入力される。 【0023】図5は、駆動トルク制御装置17の一実施形態をなす制御構成図である。駆動トルク制御装置17には、インジェクタ噴射パルス幅18とエンジン回転数19から第一エンジントルク推定暫定値33を演算する、エンジントルク推定演算手段30、エンジン回転数19とエンジン水温20と吸気管圧力21とエアコンコンプレッサ吐出圧22を用いて第一エンジントルク推定暫定値33に補正を加えて第二エンジントルク推定暫定値34を演算する、エンジントルク推定値補正手段31、前記第二エンジントルク推定暫定値34に、第二電動発電機トルク(TMB)23を用いて学習補正を加え、エンジントルク推定値(TEA)29を演算するエンジントルク推定値学習手段32、前記エンジントルク推定値(TEA)29と、運転者の要求する目標駆動トルク(=車両駆動トルクTD)28から、エンジントルク指令値(TE*)24、第一電動発電機トルク指令値(TMA*)25、第二電動発電機トルク指令値(TMB*)26を演算する、駆動トルク配分演算手段27を備える。 【0024】運転者の要求する目標駆動トルク28の最大値TDMAXは、図2の(B)に示すエンジン・電動発電機運転モードにおける、エンジン1と第一電動発電機6の最大トルクTEMAX、TMAMAXを加算したトルク値が設定される。TDMAX=TEMAX+TMAMAXまた目標駆動トルク(TD)28の最小値は、車両として妥当な減速を実現するトルク値が設定される。目標駆動トルク(TD)28は、アクセル開度83と車速81から演算される。 【0025】以下、駆動トルク制御装置17に備えられる、エンジントルク推定演算手段30、エンジントルク推定値補正手段31、エンジントルク推定値学習手段32を順に説明してゆく。 【0026】はじめに、エンジントルク推定演算手段30について説明する。図6はエンジントルク推定演算手段30の構成図である。エンジントルク推定暫定値切替処理39で、エンジンが全気筒燃料を噴射している場合と、燃料を全気筒噴射していない場合、燃料を一部の気筒のみ噴射している場合にわけて演算を行う。まず、燃料を全気筒噴射している場合には、あらかじめエンジン1のトルク特性を記憶させた燃料噴射時エンジントルク特性マップ35に、インジェクタ燃料噴射パルス幅18とエンジン回転数19を入力してエンジントルク特性を検索することで、燃料噴射時エンジントルク推定暫定値36を得る。 【0027】一方、燃料を全気筒噴射していない場合には、あらかじめエンジン1のトルク特性を記憶させた燃料非噴射時エンジントルク特性マップ37に、インジェクタ燃料噴射パルス幅18とエンジン回転数19を入力してエンジントルク特性を検索することで、 燃料非噴射時エンジントルク推定暫定値38を得る。 【0028】エンジントルク推定暫定値切替処理39では、全気筒燃料噴射時には、燃料噴射時エンジントルク推定暫定値36をフィルタ処理前第一エンジントルク推定暫定値40とし、全気筒燃料非噴射時には、燃料非噴射時エンジントルク推定暫定値38をフィルタ処理前第一エンジントルク推定暫定値40とする。さらに、一部の気筒のみ燃料噴射時には、エンジン1の気筒数をNとし、燃料噴射をしている気筒数をN1とすると、( 燃料噴射時エンジントルク推定暫定値36 × N1 ÷ N+ 燃料非噴射時エンジントルク推定暫定値38 × ( N − N1 )÷ N )をフィルタ処理前第一エンジントルク推定暫定値40とする。上記演算では、インジェクタ噴射パルス幅18とエンジン回転数19によってフィルタ処理前エンジントルク推定暫定値40を演算しているため、電子制御スロットル3の応答遅れについては考慮されているが、エンジン吸気管分の空気の遅れについては考慮されていないため、一次遅れフィルタ処理41を行う。フィルタ処理前第一エンジントルク推定暫定値40に一次遅れフィルタ処理41を行い、第一エンジントルク推定暫定値33を演算する。本実施形態では行っていないが、さらに、エンジン1の燃焼遅れ、エンジン出力軸伝達遅れを考慮することも可能である。 【0029】エンジントルク推定演算手段30では、エンジントルク特性をインジェクタ駆動パルス幅18とエンジン回転数19で記憶させているが、他にも、エンジン回転数19と、アクセルペダル開度もしくは、スロットルバルブ開度もしくは、エンジン吸入空気流量もしくは、エンジン吸気圧力もしくは、エンジン吸気温度のいずれかを使用しても記憶させることができる。しかし、前記アクセルペダル開度や前記スロットルバルブ開度をパラメータとして使用した場合は、エンジン1に吸入される空気の密度が変化した場合には誤差をもつ可能性があるので、エンジン吸入空気流量またはエンジン吸気圧力を用いてトルク特性を記憶させることが望ましい。 【0030】次に、エンジントルク推定演算手段30で演算された、第一エンジントルク推定暫定値33に、エンジントルク推定値補正手段31で補正を加えて、第二エンジントルク推定暫定値34を演算する。図7はエンジントルク推定値補正手段31の構成図である。エンジン回転数19でエンジンフリクションテーブル42を検索し、エンジンフリクション基本値43を演算する。また、エンジン水温20でエンジンフリクション水温特性テーブル44を検索し、エンジンフリクション水温変化率45を得る。エンジンフリクション基本値43にエンジンフリクション水温変化率45を乗算することで、エンジンフリクション46を得る。エンジンフリクション46からエンジンフリクション基本値43を減算することで、エンジンフリクション水温変化分47を算出できる。また、吸気管内圧力21でポンピングロストルク特性テーブル48を検索してポンピングロストルク49を演算する。また、エアコンプレッサ吐出圧22とエンジン回転数19で、エアコンプレッサトルク特性マップ50を検索することによりエアコンプレッサトルク51を算出する。 【0031】エンジンフリクション水温変化分47と、ポンピングロストルク49と、エアコンプレッサトルク51を加算して負荷トルク52を算出し、第一エンジントルク推定暫定値33から負荷トルク52を減算することで、第二エンジントルク推定暫定値34を得る。ここで、エンジンフリクション水温変化分47を演算しているのは、前記燃料噴射時エンジントルク特性マップ35および前記燃料非噴射時エンジントルク特性マップ37にエンジンフリクション基本値43が反映されて記憶されているためである。 【0032】次に、エンジントルク推定値補正手段31で演算された、第二エンジントルク推定暫定値34に、エンジントルク推定値学習手段32で学習補正を加えることで、エンジントルク推定値(TEA)29を演算する。図2(A)に示した前記シリーズ発電モード時は、エンジン1は電池10を充電するための発電に使用されるため、エンジン1の発生するトルク(TE)と第二電動発電機7の発生するトルク(TMB)が釣り合う。 TE=TMB従って、第二電動発電機トルク(TMB)23はエンジントルク(TE)の反トルクとなることから、第二エンジントルク推定暫定値34の学習補正が可能となる。一般に、第二電動発電機7は、エンジン1に比較して環境の変化、経年変化を受けにくいので、第二エンジントルク推定暫定値34に第二電動発電機トルク23で学習を行えば、エンジン1の使用環境が変化したり、経年変化があっても、エンジン1が発生しているトルク(TE)を第二電動発電機トルク(TMB)23で補正して、エンジン1の発生するトルク(TEA)を精度良く算出できる。 【0033】図8はエンジントルク推定値学習手段32の構成図である。第二電動発電機トルク23に、ゲイン53をかけることで、エンジン出力軸換算第二電動発電機トルク54を演算する。ゲイン53は、エンジンと第二電動発電機のプーリー比の符号を反転させたものである。エンジン出力軸換算第二電動発電機トルク54から第二エンジントルク推定暫定値34を減算することで、第二エンジントルク推定暫定値誤差55を演算する。 【0034】スイッチ56は、車両が、動力源としては第一電動発電機6のみを使用し、エンジン1は、電池10を充電するための発電のみに使用される、前記シリーズ発電モード(図2A参照)のときのみ下段となり、第二エンジントルク推定暫定値誤差55をエンジントルク推定学習暫定値57とする。前記シリーズ発電モード以外は、スイッチ56は上段をとり、前回値生成部58により、エンジントルク推定値学習暫定値57の前回値であるエンジントルク推定値学習暫定値前回値59を演算し、エンジントルク推定値学習暫定値前回値59をエンジントルク推定学習暫定値57とする。エンジントルク推定値学習暫定値57に、制限手段60によって、上限・下限を制限することで、エンジントルク推定値学習値61を演算する。制限手段60は学習が過度に行われることを防ぐ目的で設定されている。最後に第二エンジントルク推定暫定値34にエンジントルク推定値学習値61を加算して、エンジントルク推定値29を算出する。 【0035】エンジントルク推定値学習は、前記シリーズ発電モード(図2A参照)のように、エンジン1の発生するトルクTEが第二電動発電機7の発生トルクTMBと釣り合っている状態、すなわち車両駆動トルクTDとしてはエンジントルクを使用していない状態であるならば実現可能であり、前記シリーズ発電モードに限定しているわけではない。エンジントルク推定値学習値61は前記シリーズ発電モードに車両の状態が遷移して、所定時間経過後、すなわちシリーズ発電モードが定常に達した時に更新し始めるのが望ましい。また前記エンジントルク推定演算手段30として、トルクセンサを用いる手段や、エンジンの動特性を遅れ要素やむだ時間要素等で構成した数学モデルを用いて推定する手段を用いても構成可能である。 【0036】図9は本発明の一実施形態をなす、駆動トルク配分手段27の構成図である。前記のようにして演算された、エンジントルク推定値29をもとに、駆動トルク配分手段27で、エンジン1、第一電動発電機6、第二電動発電機7へ、それぞれ、エンジントルク指令値24、第一電動発電機トルク指令値25、第二電動発電機トルク指令値26を与える。以下に前記各運転モードでのトルク配分について説明する。 【0037】第一電動発電機6のみを動力源として走行する前記電気走行モードの場合は、第一スイッチ62は下段を選択し、目標駆動トルク28が第一電動発電機トルク指令値25となる。 【0038】エンジン1及び第一電動発電機6の両方を動力源として走行する前記エンジン・電動発電機運転モード(図2B参照)の場合は、第一スイッチ62は上段を選択する。目標駆動トルク(TD)28とエンジントルク推定値(TEA)29の差である目標駆動トルクエンジントルク差72に制限手段68で、上限値を0、下限値を目標発電トルク70で制限し、発電トルク71を演算する。目標駆動トルクエンジントルク差72が正値である場合は、発電トルク71は0となり、目標駆動トルクエンジントルク差72が負値である場合は、発電トルク71は負値となる。目標発電トルク70は電池10の充電状態によって負値で設定される。 【0039】本発明では、電池10の充電状態によって目標発電トルク70を演算する発電トルク演算部をもつ。目標駆動トルクエンジントルク差72から発電トルク71を減算し、第一電動発電機指令トルク暫定値73を演算する。第一電動発電機トルク指令値25は第一電動発電機指令トルク暫定値73となる。また、第二スイッチ63は下段を選択する。 【0040】エンジン・電動発電機運転モード(図2B参照)において、目標駆動トルク28(TD)がエンジントルク指令値24となる、すなわち、車両が加速状態にある場合は、目標駆動トルクエンジントルク差72が正値となり、発電トルク71が0となるので、第一電動発電機トルク指令値(TMA*)25は目標駆動トルク(TD)とエンジントルク(TE)の差72となり、エンジン1が達成できないトルクを第一電動発電機6が補い、目標駆動トルク(TD)28を達成する。 【0041】TD=TE+TMAまた車両が減速状態にある場合は、目標駆動トルクエンジントルク差72が負値となり、第一電動発電機トルク指令値25は第一電動発電機指令トルク暫定値73となる。エンジントルク指令値(TMA*)24は目標駆動トルク(TD)28となり、エンジン1がフリクショントルクを発生し、第一電動発電機6が回生トルクを発生することで、車両を減速させる。 【0042】TD=TE−TMAエンジン1のみを動力源として走行する前記エンジンモードの場合は、目標駆動トルク28をすべてエンジンが発生する運転モードである。第二スイッチ63は下段を選択し、目標駆動トルク28がエンジントルク指令値24となり、またエンジントルク推定値29も目標駆動トルク28と等しくなる。目標駆動トルクエンジントルク差72は0となる。第三スイッチは前記エンジン・電動発電機運転モードの場合と同様に第一スイッチ62は上段を選択するが、目標駆動トルクエンジントルク差72が0であるので、発電トルク73も0、第一電動発電機トルク指令値25も0となる。 【0043】エンジン1を動力源として走行しながら第二電動発電機7で発電する発電走行モード(図2C参照)の場合は、第二スイッチ63は中段を選択し、発電トルク71にゲイン67をかけて第一エンジン指令トルク暫定値74を演算する。ゲイン67には符号を反転させるため、−1を設定する。目標駆動トルク28に第一エンジン指令トルク暫定値74を加算して、第二エンジン指令トルク暫定値75を演算し、エンジントルク指令値24となる。すなわち、図10に示すように、駆動に必要なトルク(TD)に加えて発電トルク(TMB)を上乗せしたトルク(TE*)をエンジン1に指令する。第三スイッチ64は上段を選択し、発電トルク71が第二電動発電機指令トルク第二暫定値78となり、ゲイン66をかけることで第二電動発電機トルク指令値(TMB*)26となる。ゲイン66はエンジン1と第二電動発電機7のプーリー比の逆数を設定する。第一スイッチ62は上段を選択する。エンジントルク指令値(TE*)29は、発電トルク(TMB*)71分だけ、目標駆動トルク(TD)28よりも大きな値となる。従って目標駆動トルクとエンジントルクの差72は発電トルク71分負値となるが、発電トルク71が減算されるので、第一電動発電機指令トルク暫定値73は0となる。 【0044】動力源として第一電動発電機6のみを使用し、エンジン1と第二電動発電機7で発電を行う前記シリーズ発電モードの場合は、第一スイッチ41が下段を選択し、目標駆動トルク28が第一電動発電機トルク指令値25となり、第二スイッチ42は上段を選択し、第一エンジン指令トルク暫定値74がエンジントルク指令値24となる。第三スイッチ43は下限を選択する。エンジントルク推定値29に制限手段69で制限をかけ、制限つきエンジントルク推定値76を演算する。制限手段69の上限値は第二電動発電機最大トルク、下限値は第二電動発電機最小トルクとする。制限つきエンジントルク推定値76にゲイン65をかけて第二電動発電機指令トルク第一暫定値77を演算する。ゲイン65は符号を反転させるため、−1を設定する。第二電動発電機指令トルク第二暫定値78は第二電動発電機指令トルク第一暫定値77となり、ゲイン66をかけて第二電動発電機トルク指令値26となる。すなわちエンジン1の発生するトルク(TE)を第二電動発電機7が駆動トルク(TMB)として吸収する形となる。前記シリーズ発電モードの場合に、第二電動発電機7の回転数を制御するように構成することも可能である。 【0045】前記駆動トルク制御装置で得られるトルク応答の例として、図11に、前記エンジン・電動発電機運転モードで加速する場合の目標駆動トルクTD、エンジントルク推定値TEA、第一電動発電機トルク指令値TMA*のタイムチャートを示す。横軸は時間[s]で、縦軸は上段が車速[km/h]、下段がトルク[Nm]である。加速時は、車速81が増加してゆく。目標駆動トルクTDを与えると、エンジン1が発生しているトルクであるエンジントルク推定値TEAが変化し、第一電動発電機トルク指令値TMA*を得る。エンジン1が達成できないトルクを第一電動発電機6が補い、目標駆動トルクTDを達成する。 【0046】また、図12に、前記エンジン・電動発電機運転モードで減速する場合の目標駆動トルクTD、エンジントルク推定値TEA、第一電動発電機トルク指令値TMA*のタイムチャートを示す。横軸は時間[s]で、縦軸は上段が車速[km/h]、下段がトルク[Nm]である。減速時は車速81が減少してゆく。目標駆動トルクTDが負値となり、エンジントルク推定値TEAはエンジン1のフリクショントルクが演算され、第一電動発電機トルク指令値TMA*を得る。エンジン1の発生するフリクショントルクと、第一電動発電機6の発生する回生トルクが合成され、目標駆動トルクTDを達成する。 【0047】 【発明の効果】本発明を用いることにより、エンジンが発生しているエンジントルク推定値を精度良く算出できるので、電動発電機に好適にトルク配分を行うハイブリッド車両の駆動トルク制御装置及び制御方法を提供することができる。 【0048】また、車両のタイプの如何に拘らずエンジントルクを正確に推定し、エンジンと電動発電機の駆動トルク制御を最適に行うことができる。 【0049】また、エンジンが経年変化したり、高地などでエンジントルク特性が異なってきても、エンジントルク推定値学習手段により、学習補正を加えてそのときのエンジントルク推定値を基準として電動発電機に好適にトルク配分することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成11年12月24日(1999.12.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074631 【弁理士】 【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−186602(P2001−186602A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−367502 |
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