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【発明の名称】 内燃機関の間欠運転機能を有する車両およびその車両に用いられる始動制御装置
【発明者】 【氏名】鈴井 康介

【氏名】八木 克典

【氏名】守屋 孝紀

【要約】 【課題】内燃機関と補機駆動用電動機とを構造が簡易で低コストのクラッチ機構で連結すること、クラッチ機構が内燃機関と補機駆動用電動機とを再継合する際に発生する揺れ、振動等を低減すること。

【解決手段】エンジン10の周囲には、補機12、信号停止時等の一時的な車両停止時等におけるエンジン10の運転中断時に補機12を駆動するための補機駆動用モータ14が配置されている。補機駆動用モータ14の出力軸にはワンウェイクラッチ15を介してプーリが装着されている。ワンウェイクラッチ15は補機駆動用モータ14が駆動力を出力する方向では継合し、補機駆動用モータ14が駆動される方向では解放する特性を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】内燃機関の間欠運転機能を有する車両であって、内燃機関と、内燃機関の動力を出力する第1出力軸と、前記内燃機関を始動させる電動機と、前記電動機の動力を出力する第2出力軸と、前記第1および第2出力軸に架装されていると共に前記第2出力軸の出力を前記第1出力軸に伝達する動力伝達手段と、前記第2出力軸と前記動力伝達手段との間に介装されると共に、前記内燃機関の回転数が前記電動機の回転数よりも高い場合には前記第2出力軸と前記動力伝達手段との連結が解放され、前記内燃機関の回転数が前記電動機の回転数よりも低い場合には前記第2出力軸と前記動力伝達手段との連結が継合されるワンウェイクラッチとを備える車両。
【請求項2】請求項1に記載の車両であって、さらに、前記内燃機関の始動を判定する始動判定手段と、前記始動判定手段によって前記内燃機関の始動が判定された後、前記電動機の回転数を所定回転数まで低下させる電動機制御手段とを備える車両。
【請求項3】請求項2に記載の車両において、前記所定回転数は、前記内燃機関の自力回転数より低い内燃機関回転数に対して前記ワンウェイクラッチの継合が解除する回転数である車両。
【請求項4】請求項3に記載の車両において、前記所定回転数は、前記内燃機関のアイドリング回転数より低い内燃機関回転数に対して前記ワンウェイクラッチの継合が解除する前記電動機の回転数である車両。
【請求項5】請求項2ないし請求項4のいずれかの請求項に記載の車両であって、さらに、前記電動機の駆動電流を検出する駆動電流検出手段を備え、前記始動判定手段は前記駆動電流検出手段により検出された駆動電流に基づいて前記内燃機関が始動したか否かを判定する車両。
【請求項6】請求項2ないし請求項4のいずれかの請求項に記載の車両であって、さらに、前記電動機の回転数を検出する電動機回転数検出手段を備え、前記始動判定手段は前記電動機回転数検出手段により検出された電動機回転数に基づいて前記内燃機関が始動したか否かを判定する車両。
【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれかの請求項に記載の車両であって、さらに、動力源として車両駆動用電動機を備える車両。
【請求項8】請求項7に記載の車両において、前記ワンウェイクラッチは遠心分離式クラッチである車両。
【請求項9】請求項8に記載の車両において、前記ワンウェイクラッチは前記電動機に組み込まれている車両。
【請求項10】請求項9に記載の車両において、前記動力伝達手段は伝動ベルトである車両。
【請求項11】内燃機関の間欠運転機能を有する車両であって、内燃機関と、前記内燃機関を始動させる電動機と、前記内燃機関と前記電動機との間に配置されると共に、前記内燃機関の回転数が前記電動機の回転数よりも高い場合には前記内燃機関と前記電動機との連結が解放され、前記内燃機関の回転数が前記電動機の回転数よりも低い場合には前記内燃機関と前記電動機との連結が継合されるワンウェイクラッチとを備える車両。
【請求項12】内燃機関と電動機とがワンウェイクラッチを介して連結されると共に電動機によって内燃機関が始動される内燃機関の間欠運転機能を有する車両における始動制御装置であって、前記内燃機関の始動を判定する始動判定手段と、前記始動判定手段によって前記内燃機関の始動が判定された後、前記電動機の回転数を所定回転数まで低下させる電動機制御手段とを備える始動制御装置。
【請求項13】請求項12に記載の始動制御装置において、前記所定回転数は、前記内燃機関のアイドリング回転数より低い内燃機関回転数に対して前記ワンウェイクラッチの継合が解除する前記電動機の回転数である始動制御装置。
【請求項14】請求項13に記載の始動制御装置はさらに、前記電動機に対して出力される駆動電流を検出する駆動電流検出手段を備え、前記始動判定手段は前記駆動電流検出手段により検出された駆動電流に基づいて前記内燃機関が始動したか否かを判定する始動制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の間欠運転機能を有する車両およびその車両に用いられる始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両走行中における信号待ちといった一時的な車両停止時に内燃機関の運転を自動的に停止させる車両、あるいは、内燃機関に加えて電動機を動力源として備え、一時的な車両停止時または車両走行時に内燃機関の運転を自動的に停止させるハイブリッド車両が提案されている。これら車両は、内燃機関の停止時(車両走行中および車両停止時)にウオータポンプ、エアコン用コンプレッサ等の補機を駆動するための補機駆動用電動機を備えている。補機駆動用電動機の出力軸、内燃機関の出力軸、および各補機の入力軸には、一般的に、ファンベルトが架装されており、補機駆動用電動機の出力軸あるいは内燃機関の出力軸から出力される動力はファンベルトを介して補機の入力軸に伝達される。
【0003】このような車両、特に、ハイブリッド車両では、内燃機関の始動に当たり、ファンベルトを介して補機駆動用電動機によって内燃機関の出力軸を回転させて内燃機関を始動させる構成を有するものもある。また、内燃機関運転時における所望しない補機駆動用電動機の連動を回避するために、内燃機関と補機駆動用電動機との間に電磁式クラッチを配置する技術も提案されている。この技術によれば、補機駆動用電動機をファンベルトにより形成される駆動系から任意に遮断することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電磁式クラッチは構造が複雑であると共に電磁コイルを制御するための制御回路を備える必要があり、コストがかさむという問題点がある。さらに、このようにクラッチ機構により単に補機駆動用電動機と内燃機関とを解放・継合する従来の技術では、内燃機関は停止後、直ちに回転数が低下するものの補機駆動用電動機の回転数は直ちに低下しないため、補機駆動用電動機と内燃機関の回転数が高い状態にて両者の再継合が生じショック、揺れ、振動等が発生するという問題があった。
【0005】本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、内燃機関と補機駆動用電動機とを構造が簡易で低コストのクラッチ機構で連結することを目的とする。また、クラッチ機構が内燃機関と補機駆動用電動機とを再継合する際に発生する揺れ、振動等を低減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、内燃機関の間欠運転機能を有する車両を提供する。第1の態様に係る車両は、内燃機関と、内燃機関の動力を出力する第1出力軸と、前記内燃機関を始動させる電動機と、前記電動機の動力を出力する第2出力軸と、前記第1および第2出力軸に架装されていると共に前記第2出力軸の出力を前記第1出力軸に伝達する動力伝達手段と、前記第2出力軸と前記動力伝達手段との間に介装されると共に、前記内燃機関の回転数が前記電動機の回転数よりも高い場合には前記第2出力軸と前記動力伝達手段との連結が解放され、前記内燃機関の回転数が前記電動機の回転数よりも低い場合には前記第2出力軸と前記動力伝達手段との連結が継合されるワンウェイクラッチとを備えることを特徴とする。
【0007】本発明の第1の態様によれば、内燃機関の回転数が電動機の回転数よりも高い場合には第2出力軸と動力伝達手段との連結が解放され、内燃機関の回転数が電動機の回転数よりも低い場合には第2出力軸と動力伝達手段との連結が継合されるワンウェイクラッチを備えるので、内燃機関と補機駆動用電動機とを構造が簡易で低コストのクラッチ機構で連結することができる。
【0008】本発明の第1の態様はさらに、前記内燃機関の始動を判定する始動判定手段と、前記始動判定手段によって前記内燃機関の始動が判定された後、前記電動機の回転数を所定回転数まで低下させる電動機制御手段とを備えることができる。ここで、前記所定回転数は、前記内燃機関の自力回転数より低い内燃機関回転数に対して前記ワンウェイクラッチの継合が解除する回転数であっても良く、あるいは、前記内燃機関のアイドリング回転数より低い内燃機関回転数に対して前記ワンウェイクラッチの継合が解除する前記電動機の回転数であっても良い。かかる場合には、ワンウェイクラッチが継合する回転数を低くすることができるため、クラッチ機構が内燃機関と補機駆動用電動機とを再継合する際に発生する衝撃、揺れ、振動等を低減することができる。
【0009】本発明の第1の態様はさらに、前記電動機の駆動電流を検出する駆動電流検出手段を備え、前記始動判定手段は前記駆動電流検出手段により検出された駆動電流に基づいて前記内燃機関が始動したか否かを判定することができる。また、本発明の第1の態様はさらに、前記電動機の回転数を検出する電動機回転数検出手段を備え、前記始動判定手段は前記電動機回転数検出手段により検出された電動機回転数に基づいて前記内燃機関が始動したか否かを判定することができる。かかる場合には、内燃機関の最初の爆発を迅速に検出することが可能となり、より早く電動機の回転数を低下させることができる。
【0010】本発明の第1の態様はさらに、動力源として車両駆動用電動機を備えることができる。本発明の第1の態様において、前記ワンウェイクラッチは遠心分離式クラッチであっても良く、前記ワンウェイクラッチは前記電動機に組み込まれていても良い。また、本発明の第1の態様において、前記動力伝達手段は伝動ベルトであっても良い。
【0011】本発明の第2の態様は、内燃機関の間欠運転機能を有する車両を提供する。第2の態様に係る車両は、内燃機関と、前記内燃機関を始動させる電動機と、前記内燃機関と前記電動機との間に配置されると共に、前記内燃機関の回転数が前記電動機の回転数よりも高い場合には前記内燃機関と前記電動機との連結が解放され、前記内燃機関の回転数が前記電動機の回転数よりも低い場合には前記内燃機関と前記電動機との連結が継合されるワンウェイクラッチとを備えることを特徴とする。
【0012】本発明の第2の態様によれば、内燃機関の回転数が電動機の回転数よりも高い場合には内燃機関と電動機との連結が解放され、内燃機関の回転数が電動機の回転数よりも低い場合には内燃機関と電動機との連結が継合されるワンウェイクラッチを備えるので、内燃機関と補機駆動用電動機とを構造が簡易で低コストのクラッチ機構で連結することができる。
【0013】本発明の第3の態様は、内燃機関と電動機とがワンウェイクラッチを介して連結されると共に電動機によって内燃機関が始動される内燃機関の間欠運転機能を有する車両における始動制御装置を提供する。本発明の第3の態様に係る始動制御装置は、前記内燃機関の始動を判定する始動判定手段と、前記始動判定手段によって前記内燃機関の始動が判定された後、前記電動機の回転数を所定回転数まで低下させる電動機制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】本発明の第3の態様によれば、内燃機関の始動が判定された後、電動機制御手段によって電動機の回転数を所定回転数まで低下させるので、ワンウェイクラッチが継合する回転数を低くすることが可能となり、クラッチ機構が内燃機関と補機駆動用電動機とを再継合する際に発生する衝撃、揺れ、振動等を低減することができる。
【0015】本発明の第3の態様において、前記所定回転数は、前記内燃機関のアイドリング回転数より低い内燃機関回転数に対して前記ワンウェイクラッチの継合が解除する前記電動機の回転数であっても良い。かかる場合には、クラッチ機構が内燃機関と補機駆動用電動機とを再継合する際に発生する衝撃、揺れ、振動等をより低減することができる。また、本発明の第3の態様はさらに、前記電動機に対して出力される駆動電流を検出する駆動電流検出手段を備え、前記始動判定手段は前記駆動電流検出手段により検出された駆動電流に基づいて前記内燃機関が始動したか否かを判定することができる。かかる場合には内燃機関の最初の爆発を迅速に検出することが可能となり、より早く電動機の回転数を低下させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る内燃機関の間欠運転機能を有する車両について実施例に基づいて説明する。
【0017】図1および図2を参照して本実施例の始動制御装置が用いられ得る車両の概略構成について説明する。図1は第1の実施例が適用される車両の概略構成を示すブロック図である。図2は伝動ベルトとエンジン、補機および補機駆動用モータとの配置関係を示す概念図である。
【0018】車両は、動力源としてのエンジン(内燃機関)10および駆動用モータ(電動機)20と、エンジン10および駆動用モータ20の出力を機械的に合成分配する遊星歯車装置30と、最大減速比と最小減速比の間で減速比を無段階に変更可能な無段変速装置(CVT)40とを備えている。エンジン10はクランクシャフト(出力軸)11を介して遊星歯車装置30の動力入力軸と接続されており、駆動用モータ20はロータ21を介して遊星歯車装置30の動力入力軸と接続されている。遊星歯車装置30の駆動力出力軸はCVT40の動力入力軸と接続されており、CVT40の動力出力軸はドライブシャフト50と接続されている。ドライブシャフト50はディファレンシャルギヤ(ファイナルギヤを含む)51および車軸52を介して車輪53と接続されている。
【0019】エンジン10の周囲には、図2に示すようにウォータポンプ121、エアコン用コンプレッサ122、パワーステアリング用ポンプ123等の補機12、信号停止時等の一時的な車両停止時、あるいは、駆動用モータ20のみによる車両駆動時(車両走行時)におけるエンジン10の運転中断時に補機12を駆動するための補機駆動用モータ(電動機)14が配置されている。補機駆動用モータ14にはインバータ200が接続されており、インバータ200はバッテリ210と接続されていると共に、制御線を介して制御ユニット60と接続されている。補機駆動用モータ14は、エンジン10を始動させる際のスタータモータとしても機能する。すなわち、本実施例においては、従来のエンジンのみを有する車両に備えられていたギヤ駆動によりエンジンを回転始動させるエンジン始動専用のスタータモータを有していない。
【0020】各補機121、122、123の動力入力軸、エンジン10のクランクシャフト11の一端にはプーリ124、125がそれぞれ装着されている。補機駆動用モータ14の出力軸にはワンウェイクラッチ15を介してプーリ126が装着されている。ワンウェイクラッチ15は補機駆動用モータ14が駆動力を出力する方向では継合し、補機駆動用モータ14が駆動される方向では解放する特性を備えている。ワンウェイクラッチ15には、球、ローラ、まゆ型こま等のスプラグを駆動側と被動側間に一方向だけに食い込むようにしたもの、ラチェットを用いたもの、カムを用いたもの、軸にコイルバネを巻き付けてその巻き締め力を利用したものが含まれる。また、ワンウェイクラッチ15には、遠心力の作用によってクラッチが継合する遠心分離式クラッチも含まれる。エンジン10のプーリ125と補機駆動用モータ14のプーリ126には、補機駆動用モータ14によってエンジン10を始動させるための伝動ベルト131が架装されている。プーリ125とプーリ126のプーリ比は一般的に、2〜3程度である。各プーリ124,125には伝動ベルト132が架装されており、この伝動ベルト132を介してエンジン10の出力が補機12の動力入力軸に伝達され、また伝動ベルト131および伝動ベルト132を介して補機駆動用モータ14の出力が補機12の動力入力軸に伝達される。なお、伝動ベルトとしては、断面形状が台形であるいわゆるVベルト、あるいは厚みがVベルトよりも薄く幅広であると共にその回転方向に沿ってV字状の溝が複数本形成されているいわゆるVリブベルト等が用いられる。
【0021】エンジン10が運転している状態では、伝動ベルト132を介してエンジン10(クランクシャフト11)によってウォータポンプ121、エアコン用コンプレッサ122およびパワーステアリング用ポンプ123が駆動される。このとき、クランクシャフト11の回転数は補機駆動用モータ14の出力軸回転数(非駆動状態)を上回るためワンウェイクラッチ15は解放する。したがって、補機駆動用モータ14は、エンジン10によって回転駆動させられることはなく、ジェネレータとして機能せず、所望しない発電を行うことはない。これに対して、エンジン10が燃焼運転していない状態では、補機駆動用モータ14が作動して補機12を駆動する。すなわち、補機駆動用モータ14の出力軸回転数がクランクシャフト11の回転数を上回るためワンウェイクラッチ15は継合し、伝動ベルト131、クランクシャフト11および伝動ベルト132を介してウォータポンプ121、エアコン用コンプレッサ122およびパワーステアリング用ポンプ123は補機駆動用モータ14によって駆動される。このとき、クランクシャフト11は駆動軸としてでなく被駆動軸として回転する。なお、ワンウェイクラッチ15は、クランクシャフト11と伝動ベルト131との間に配置されていても良い。
【0022】このように、エンジン10と補機駆動用モータ14とを接続するクラッチ機構としてワンウェイクラッチ15を備えることにより、補機駆動用モータ14がエンジン10(クランクシャフト11)を駆動する際には、クランクシャフト11と補機駆動用モータ14の出力軸とを継合し、エンジン10が運転している際にはクランクシャフト11と補機駆動用モータ14の出力軸との継合を解放することができる。また、ワンウェイクラッチ15は電磁式クラッチと比較して構造が簡単であると共に、特別な制御回路を必要とせず、さらに安価であるという利点を有する。
【0023】駆動用モータ20は、モータによる駆動力が要求される場合には電気エネルギを機械エネルギに変換するモータとして機能し、回生時、充電走行時等には機械エネルギを電気エネルギとして変換するジェネレータとして機能する。駆動用モータ20にはインバータ220が接続されており、インバータ220にはバッテリ210が接続されている。また、インバータ220には制御ユニット60からの制御線が接続されている。
【0024】遊星歯車装置30は、駆動用モータ20と共に電気式トルクコンバータを実現する。すなわち、本実施例では一般的な流体式トルクコンバータに代えて駆動用モータ20と遊星歯車装置30との動作を電気的および機械的に制御することによってトルクコンバータの機能を実現している。遊星歯車装置30は、クランクシャフト11の他端と結合されているサンギヤ31と、駆動用モータ20のロータと連結されていると共に第1クラッチ32を介してCVT40の入力側プーリ41の軸と連結されているキャリア33と、第2クラッチ34を介してCVT40の入力側プーリ41の軸と連結されていると共にブレーキ35を介してハウジングに対して固定され得るリングギヤ36を備えている。キャリア33は相互に噛み合うと共にそれぞれサンギヤ31およびリングギヤ36と噛み合うピニオンギヤ37、38を自転可能に支持している。第1クラッチ32、第2クラッチ34およびブレーキ35は、相互に重ね合わされた複数枚のクラッチ板が油圧アクチュエータによって押圧されることにより継合し、押圧の解除により解放する多板式の油圧式クラッチである。
【0025】CVT40は入力側プーリ41、出力側プーリ42、および両プーリ41、42に架装されているスチールベルト43とを備えている。入力側プーリ41および出力側プーリ42にはそれぞれ油圧アクチュエータが備えられており、車両の運転状態に応じてスチールベルト43が架けられる外周径が変更される。このように、各プーリ41、42の溝幅が変更されることによりプーリ比が変更され、所望の減速比が実現される。入力側プーリ41の軸は前述のように第2クラッチ34を介してリングギヤ36と接続され、第1クラッチ32を介してサンギヤ31と接続されている。出力側プーリ42の軸はドライブシャフト50に連結されており、出力側プーリ42から出力された駆動力は、ドライブシャフト50、ディファレンシャルギヤ51、車軸52を介して車輪53に伝達される。
【0026】次に、図3を参照して本実施例に係る車両の制御系について説明する。図3は第1実施例に係る車両の制御系統を示す説明図である。制御ユニット60は、ハイブリッドECU(電子制御ユニット)610、エンジンECU620、補機駆動用モータECU630、およびトランスミッションECU640を備えている。各ECU610、620、630、640にはCPU、ROM、RAM等が備えられている。なお、これらECUは例示であり、例えば、補機駆動用モータECU630はハイブリッドECU610に組み込まれ得る。
【0027】ハイブリッドECU610は制御ユニット60の中核をなすECUであり車両の走行状態全般を制御する。ハイブリッドECU610は、エンジンECU620、補機駆動用モータECU630、およびトランスミッションECU640と双方向通信可能に信号線を介して接続されている。ハイブリッドECU610には、エンジン10のクランクシャフト11の回転数を検出するエンジン回転数センサ70、駆動用モータ20のモータ回転数を検出する第1モータ回転数センサ71、車両の車速を検出する車速センサ72、ギヤポジションを検出するシフトポジションセンサ73、およびアクセル踏み込み量をアクセル開度として検出するアクセル開度センサ74がそれぞれ信号線を介して接続されている。ハイブリッドECU610は、インバータ220と信号線を介して接続されており駆動用モータ20の出力を制御する。ハイブリッドECU610は遊星歯車装置30内の第1及び第2クラッチ35,36にも信号線を介して接続されており、駆動用モータ20と遊星歯車装置30とによって電気トルクコンバータを実現している。ハイブリッドECU610は、エンジン10の始動後に実行される補機駆動用モータ14の制御処理を実行するプログラムを格納している。
【0028】エンジンECU620は、ハイブリッドECU610からの要求に従って燃料噴射量、スロットル開度等を制御してエンジン10の運転状態を制御する。補機駆動用モータECU630はハイブリッドECU610からの要求に従って補機駆動用モータ14をインバータ200を介して制御し、エンジン10停止状態における補機12の駆動を実現する。
【0029】補機駆動用モータECU630には信号線を介して補機駆動用モータ14のモータ回転数を検出する第2モータ回転数センサ75が接続されている。また、エンジン10の始動後には、ハイブリッドECU610からの指令に基づいて補機駆動用モータ14の回転数を低減させる等の制御を実行する。
【0030】トランスミッションECU640には信号線を介して車速センサ72、シフトポジションセンサ73、アクセル開度センサ74が接続されている。トランスミッションECU640は、これらセンサからの検出データおよびハイブリッドECU610からの要求に基づいて各プーリ41、42に備えられている油圧アクチュエータ44を制御して、CVT40のプーリ比(減速比)の制御を実行する。
【0031】次に、上記構成を備える車両の一般的な動作について図1〜図4の構成図、および図5および図6のフローチャートを参照して簡単に説明する。図4は遊星歯車装置30の各動作モードにおける第1および第2クラッチ32、34およびブレーキ35の継合・解放状態とシフトポジションとの関係を示す説明図である。図5は始動スイッチがオンされた際に実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。図6は車両発進時、および車両走行時に実行されるエンジン10および駆動用モータ20制御処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0032】図5を参照して始動スイッチがオンされた際に実行される車両の動作を説明する。シフトポジションセンサ73がパーキングPもしくはニュートラルNのシフトポジションを検出している状態にて始動スイッチがオンされると制御ユニット60は作動状態となる。ハイブリッドECU610は、バッテリ210の充電状態に基づいてエンジン10を始動させるか否かを決定する(ステップS10)。バッテリ充電率SOCが所定値Sref以上の場合には(ステップS10:Yes)、ハイブリッドECU610は、第1クラッチ32、第2クラッチ34、およびブレーキ35を解放する処理(ニュートラルモード:図4参照)を遊星歯車装置30に対して実行する(ステップS11)。ハイブリッドECU610は、補機12の駆動要求があるか否かを判定し(ステップS12)、補機駆動要求があると判定した場合には(ステップS12:Yes)エンジン10を始動させることなく補機駆動用モータECU630を介して補機駆動用モータ14を駆動させる。これにより必要な補機が伝動ベルト132を介して駆動される。その後、ハイブリッドECU610は、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。一方、ハイブリッドECU610は、補機駆動要求がないと判定した場合には(ステップS12:No)、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。
【0033】これに対して、バッテリ充電率SOCが所定値Sref未満の場合には(ステップS10:No)、ハイブリッドECU610は、遊星歯車装置30の動作モードとしてニュートラルモード選択を選択する(ステップS14)。続いて、ハイブリッドECU610は、エンジンECU620、補機駆動用モータECU630を介してエンジン始動処理を実行する(ステップS15)。エンジン始動処理では、補機駆動用モータ14を作動させて伝動ベルト131を介してクランクシャフト11を回転させると共に、エンジンECU620によって必要な燃料を燃料噴射装置から噴射する処理および所定のタイミングでプラグを介して点火する処理が実行される。エンジン10の始動後には、後述する補機駆動用モータ回転数低減処理が実行される。その後、ハイブリッドECU610は、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。
【0034】続いて、図6を参照して車両発進時および車両走行時におけるエンジン10および駆動用モータ20の制御処理を説明する。図5に示す始動処理が終了した後、シフトポジションが変更され、シフトポジションセンサ73によりドライブDもしくはブレーキBのシフトポジションが検出されると、ハイブリッドECU610は、アクセル踏み込み量および車速等から要求トルクT*を算出する(ステップS20)。ここで、シフトポジションのドライブDは一般的な車両走行時に選択されるシフトポジションであり、ブレーキBはエンジンブレーキが必要なときに選択されるシフトポジションを意味するものとする。続いて、ハイブリッドECU610は、バッテリ充電率SOCが所定値Srefを超えているか否かを判定する(ステップS21)。ハイブリッドECU610は、バッテリ充電率SOCが所定値Srefを超えていると判定した場合には(ステップS21)、要求トルクT*がエンジン始動要求トルクT1を超えているか否かを判定する(ステップS22)。すなわち、要求トルクT*が駆動用モータ20のみによって実現可能なトルクであるか否かを判定する。
【0035】ハイブリッドECU610は、要求トルクT*はエンジン始動要求トルクT1以下であると判定した場合には(ステップS22:No)、駆動用モータ20によるモータ走行を選択する(ステップS23)。このモータ走行に際して、ハイブリッドECU610は、エンジン10が運転中であるか否かを判定し、エンジン10が運転中でないと判定した場合には駆動用モータ20のみによって要求トルクを出力させる。一方、ハイブリッドECU610は、エンジン10が運転中であると判定した場合には、エンジンECU620を介してエンジン10に対する燃料供給を停止してエンジン10の燃焼を停止させた後、駆動用モータ20によって要求トルクT*を出力させる。このとき、補機12は駆動用モータ20が出力する動力によって駆動される。
【0036】ハイブリッドECU610は、遊星歯車装置30の動作モードとして第1クラッチ32を継合し、第2クラッチ34およびブレーキ35を解放するモータ走行モード(図4参照)を選択し(ステップS24)、駆動用モータ20を作動させて要求トルクを出力させる。その後、ハイブリッドECU610は、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。このモータ走行モードでは、リングギヤ36とCVT40の入力プーリ41との結合が解放されるため、CVT40に対しては駆動用モータ20の出力トルクのみが伝達される。トランスミッションECU604は、車速センサ72、アクセル開度センサ74等からの車両走行情報に基づき油圧アクチュエータを制御してCVT40のプーリ比を変更する。ドライブシャフト50にはCVT40の出力側プーリ42から出力トルクが伝達され、ディファレンシャルギヤ51、および車軸52を介して車輪53に伝達される。
【0037】一方、ハイブリッドECU610は、ステップS22にて、要求トルクT*はエンジン始動要求トルクT1を超えていると判定した場合には(ステップS22:Yes)、エンジン10と駆動用モータ20とによって要求トルクT*を出力させるエンジン+モータ走行を選択する(ステップS25)。ハイブリッドECU610は、エンジン10が運転中であるか否かを判定し、エンジン10が運転中でないと判定した場合には、後述するエンジン始動処理を実行してエンジン10を始動して、要求トルクT*をエンジン10および駆動用モータ20によって出力させる。なお、エンジン10の始動後には、後述する補機駆動用モータ回転数低減処理が実行される。
【0038】一方、ハイブリッドECUは、エンジン10が運転中であると判定した場合には、駆動用モータ20を作動させて、要求トルクT*をエンジン10および駆動用モータ20によって出力させる。ハイブリッドECU610は、遊星歯車装置30の動作モードとして第1クラッチ32および第2クラッチ34を継合し、ブレーキ35を解放する直結モードを選択する(ステップS26)。この直結モードでは、エンジン10のクランクシャフト11および駆動用モータ20のロータは入力側プーリ41の入力軸に対して直結される。この後、ハイブリッドECU610は、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。
【0039】ハイブリッドECU610は、バッテリ充電率SOCが所定値Sref以下であると判定した場合には(ステップS21:No)、エンジン10の出力のみによって要求トルクを出力させる(ステップS27)。ハイブリッドECU610は、エンジン10が運転中であるか否かを判定し、エンジン10が運転中であると判定した場合にはエンジンECU620を介してエンジン10の運転制御を継続する。これに対してハイブリッドECU610は、エンジン10が運転中でないと判定した場合には、遊星歯車装置30の動作モードとしてニュートラルモードを選択し、エンジンECU620、補機駆動用モータECU630を介してエンジン10を始動させるエンジン始動処理を実行する。すなわち、ハイブリッドECU610は、第1及び第2クラッチ32、34、ブレーキ35を解放し、遊星歯車装置30とCVT40との接続を一時的に解放する。この状態にて、ハイブリッドECU610は、補機駆動用モータECU630を介して補機駆動用モータ14を始動させると共に、エンジンECU620によってエンジン10に対する燃料噴射、点火処理を実行させてエンジン10を始動させる。すなわち、本実施例においては、エンジン10を始動させる始動専用モータは備えられておらず、補機駆動用モータ14を始動用モータとして使用する。エンジン10の始動後には、後述する補機駆動用モータ回転数低減処理が実行される。
【0040】ハイブリッドECU610は、エンジン10が始動したところで、車両の車速V0がトルクコンバータによるトルクの増幅を必要とする所定車速V1を超えているか否かを判定する(ステップS28)。すなわち、停止状態からの発進、あるいは、極低速状態からの加速にあたっては、エンジン10の出力トルクが小さいので電気トルクコンバータによって出力トルクを増幅させる必要があるからである。ハイブリッドECU610は、車両車速V0が所定車速V1を超えていると判定した場合には(ステップS28:Yes)、直結モードを選択する(ステップS26)。
【0041】ハイブリッドECU610は、車両車速V0が所定車速以下であると判定した場合には(ステップS28:No)、第2クラッチ34を継合すると共にブレーキ35を解放する電気トルクコンバータ(ETC)モード(図4参照)を選択しする。このETCモードでは、クランクシャフト11はピニオンギヤ37,38、リングギヤ36および第2クラッチ34を介してCVT40の入力側プーリ41と連結される。この継合関係により、駆動用モータ20および遊星歯車装置30は電気トルクコンバータとして機能する。すなわち、キャリア33とCVT40の入力側プーリ41との結合が解放されるため、駆動用モータ20のロータはクランクシャフト11の回転方向とは相対的に逆向きに回転し、駆動用モータ20はジェネレータとして機能する。この結果、クランクシャフト11に対して駆動反力が付与され、エンジン10の出力トルクは増幅され、増幅された出力トルクがCVT40の入力側プーリ41に入力される。このとき、トランスミッションECU640は、車速センサ72、シフトポジションセンサ73およびアクセル開度センサ74等からの車両走行情報に基づいて油圧アクチュエータ44を制御して入力側プーリ41および出力側プーリ42の溝幅を変更し、最適なプーリ比を実現する。CVT40の出力側プーリ42は、出力トルクをドライブシャフト50に出力し、ドライブシャフト50に入力された出力トルクは更にディファレンシャルギヤ51および車軸52を介して車輪53に出力される。この結果、車両は十分な駆動トルクによって滑らかに発進される。ハイブリッドECU610は、その後、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。
【0042】エンジン走行時には、ハイブリッドECU610は、バッテリ充電要求があるか否かを判定し、バッテリ充電要求有りと判定した場合には、駆動用モータ20をジェネレータとして作動させてバッテリ210の充電を実行することもできる。し、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。一方、ハイブリッドECU610は、バッテリ充電要求無しと判定した場合には(ステップS55:No)、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。
【0043】車両走行中に信号停止等で一時的に車両が停止する場合、ハイブリッドECU610は、所定の条件下でエンジン10の運転を停止させる、いわゆるアイドリングストップの処理を実行する。ハイブリッドECU610は、バッテリ充電率が所定値以上であり補機駆動用モータ14によって補機12を駆動し得る条件下では、エンジン10の運転を停止させると共に、補機駆動用モータECU630を介して補機駆動用モータ14によって伝動ベルト132を介して補機12を駆動する。これに対して、補機駆動用モータ14によって補機12を駆動するために必要なバッテリ充電率を満たしていない場合には、ハイブリッドECU610はエンジン10を運転状態のまま維持し、エンジン10の出力によって伝動ベルト132を介して補機12を駆動する。いずれの場合にも、ハイブリッドECU610は、第1及び第2クラッチ32、34およびブレーキ35を解放するニュートラルモードを遊星歯車装置30の動作モードとして選択し、CVT40に対するクランクシャフト11を介した補機駆動用モータ14の出力の伝達を遮断する。
【0044】車両が一時停止の後、発進する際には既述のいずれかの走行パターンにしたがって車両が発進させられる。
【0045】続いて、本実施例に係るエンジン始動後に実行される補機駆動用モータ14の回転数低減処理について図7を参照して説明する。図7は補機駆動用モータ回転数低減処理にて実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0046】前述のように、ハイブリッドECU610からエンジン10の始動要求がなされた後に本処理ルーチンが開始する。エンジン10の始動に際してハイブリッドECU610は、エンジンECU620に対してエンジン10に対する燃料供給、点火処理等の始動処理を要求すると共に、補機駆動用モータECU630に対して補機駆動用モータ14の回転数Nmをエンジン始動時回転数Nsに設定するように要求する(ステップS100)。補機駆動用モータECU630は、50A程度の電流を始動時駆動電流Imsとして補機駆動用モータ14に対して出力し、エンジン始動時回転数Ns、例えば、1250r.p.m.を実現させる。ハイブリッドECU610は、補機駆動用モータECU630を介して補機駆動用モータ14の駆動電流Imを取得する(ステップS110)。
【0047】ハイブリッドECU610は、取得したモータ駆動電流Imが所定値I0よりも小さい否かを判定し(ステップS120)、モータ駆動電流Imが所定値I0以上であると判定した場合には(ステップS120:No)、補機駆動用モータ14はエンジン10を始動中であると判定し、本処理ルーチンを終えて車両制御のメインルーチンにリターンする。この判定は、補機駆動用モータ14の出力軸がエンジン10のクランクシャフト11を駆動してエンジン10を始動させている最中には、補機駆動用モータ14はエンジン10をアイドリング回転数より高い始動回転数にて回転させるために必要なトルクを出力しており、この出力トルクはモータ駆動電流に比例することを根拠とする。所定値I0の値としては、通常、エンジン10を始動させる際に必要な始動時駆動電流Imsが50A程度であることから、例えば、低負荷時に補機駆動用モータ14の作動に必要な10A程度の値が用いられる。
【0048】これに対して、ハイブリッドECU610は、モータ駆動電流Imが所定値I0より小さい判定した場合には(ステップS120:Yes)、エンジン10が始動したものと判定する(ステップS130)。この判定におけるエンジン10の始動は、エンジン10のいずれかの気筒において火花点火による爆発燃焼が発生したことを意味する。ハイブリッドECU610は、エンジン10の運転開始の判定を行った後、補機駆動用モータECU630に対して補機駆動用モータ14の回転数Nmを目標回転数N0に設定するように要求する(ステップS140)。ここで、目標回転数N0はワンウェイクラッチ15の継合が生じない回転数、すなわち、エンジン回転数Neがモータ回転数Nmを上回る回転数である。エンジン10のストール直前のエンジン回転数Neが300r.p.m.程度であり、且つ、クランクシャフト11のプーリ125と補機駆動用モータ14の出力軸のプーリ126とのプーリ比が一般的に2〜3程度であることから、例えば、500r.p.m.程度が目標回転数N0として用いられる。また、補機駆動用モータECU630は、補機駆動用モータ14のロータに対して逆トルクを与えることによって目標回転数N0を直ちに実現させる。
【0049】ハイブリッドECU610は、エンジン回転数センサ70からエンジン回転数Neを取得し、エンジン回転数Neが所定エンジン回転数Ne0よりも大きいか否かを判定する(ステップS150)。この判定では、エンジン10がアイドリング回転数程度の回転数にて回転しているか否かを判定し、所定エンジン回転数Ne0としては、例えば、500〜600r.p.m.程度の回転数が用いられる。エンジン回転数Neが所定エンジン回転数Ne0よりも高い場合には、Ne>Ne0の関係が500msec維持されたか否かを判定する(ステップS160)。すなわち、この判定では、エンジン10が完全な運転状態にあるか、安定したアイドリング状態にあるかを判定する。ハイブリッドECU610は、Ne>Ne0の関係が500msec維持されていると判定した場合には(ステップS160:Yes)、補機駆動用モータECU630に対して補機駆動用モータ14の停止(Nm=0)を要求する(ステップS170)。補機駆動用モータ14の停止処理に当たって補機駆動用モータECU630は、補機駆動用モータ14のロータに対して逆トルクを与えて補機駆動用モータ14の回転を直ちに停止させる。一方、Ne>Ne0の関係が500msec維持されていないと判定した場合には(ステップS160:No)、エンジン10が始動を完了していないものとして、ハイブリッドECU610は、本処理ルーチンを抜けてメインルーチンにリターンし、エンジンの始動が再要求された場合には本処理ルーチンを再度実行する。
【0050】ハイブリッドECU610は、エンジン回転数Neが所定エンジン回転数Ne0以下であると判定した場合には(ステップ150:No)、エンジン10の再始動要求があるか否かを判定する(ステップS170)。すなわち、エンジン10を再始動するために補機駆動用モータ14に対して駆動電流Imが与えられているか否かを判定する。ハイブリッドECU610は、再始動要求があると判定した場合には(ステップS170:Yes)、エンジン10を再始動させるためのエンジン再始動処理を実行する(S180)。このエンジン再始動処理では、ハイブリッドECU610は、エンジンECU620に対してエンジン10に対する燃料供給、点火処理等の始動処理を要求すると共に、補機駆動用モータECU630に対して補機駆動用モータ14の回転数Nmをエンジン始動時回転数Nsに設定するように要求する。
【0051】これに対して、ハイブリッドECU610は、エンジン10の再始動要求はないと判定した場合には(ステップS170:No)、本処理ルーチンを抜けてメイン処理ルーチンにリターンする。
【0052】次に、補機駆動用モータ14の制御処理によりもたらされる効果について図8および図9を参照して説明する。図8は従来技術におけるエンジン回転数、モータ回転数およびクラッチ継合点の関係を示すグラフである。図9は本実施例に従う補機駆動用モータ14の制御処理を実行した際に得られるエンジン回転数、モータ回転数およびクラッチ継合点の関係を示すグラフである。
【0053】一般的に、エンジンは、アイドリングストップ、あるいは、エンジンストール等によって運転停止状態となった場合、各摺動部における抵抗値が大きいためその回転数を直ちに低下させる。これに対して補機駆動用モータは各摺動部における抵抗値が小さく通電遮断後も慣性によって比較的高い回転数にて回転し続ける。したがって、従来は図8に図示するように、エンジンの回転数が比較的高い状態にて補機駆動用モータの回転数がエンジン回転数を上回る現象が発生し、ワンウェイクラッチの再継合が生じる(図中のクラッチ継合点)。このように回転数が高い状態にてクラッチが再継合する場合には、エンジンおよびモータ共に高いエネルギを有しているため、再継合に伴い発生する衝撃、振動あるいは揺れが大きなものとなり、乗員に対して不快感を与える要因となっていた。また、エンジンストール時等といった一時的にエンジン回転数が落ち込む場合にも、モータの回転によってエンジン(クランクシャフト)が回転させられるため、エンジン回転数は直ちに低下せず、クラッチの再継合がエンジン回転数およびモータ回転数の高い状態にて発生し、乗員に対して不快感を与える要因となっていた。
【0054】これに対して、本実施例における補機駆動用モータ14の制御処理では、図9に示すようにエンジン10の燃焼運転が開始すると直ちに、補機駆動用モータ14の回転数を低下させる処理が実行される。したがって、補機駆動用モータ14の回転数を直ちに低下させることが可能となり、エンジン10の運転が停止された場合にも、エンジン回転数が低い状態にて補機駆動用モータ14の回転数がエンジン回転数を上回る状態となり、ワンウェイクラッチ15が再継合する。この結果、ワンウェイクラッチ15の再継合は、エンジン10および補機駆動用モータ14のエネルギ状態が低い状態にて発生するため、ワンウェイクラッチ15の再継合に伴う衝撃、振動、揺れ等の度合いを低減することができる。また、エンジンストール時等といった一時的にエンジン回転数が低下する場合にも、補機駆動用モータ14の回転数は既に低下させられているため、エンジン10の回転数は直ちに低下すると共に、ワンウェイクラッチ15をエンジン10および補機駆動用モータ14の回転数が低い領域にて再継合させることができる。
【0055】・その他の実施例上記第1実施例では、補機駆動用モータ14に対する駆動電流Imの変動(低下)に基づいてエンジン10の始動開始を判定したが、補機駆動用モータ14の回転数に基づいてエンジン10の始動開始を判定しても良い。エンジン始動時には、ハイブリッドECU610は、エンジン10を始動させるために補機駆動用モータ14をエンジン始動時回転数Nmsにて回転させる要求を補機駆動用モータECU613に対して送り、これに応じて補機駆動用モータECU613は対応する駆動電流Imを補機駆動用モータ14に対して供給する。補機駆動用モータ14は、エンジン10の最初の爆発が発生するまでエンジン始動時回転数Nmsにて回転するが、エンジン10の最初の爆発が発生すると(始動開始)エンジン10(クランクシャフト11)が自力によって回転し始め、エンジン10の回転数は補機始動用モータ14の回転数を上回る。この結果、補機駆動用モータ14は一時的にエンジン始動時回転数Nmsよりも高い回転数にて回転する。
【0056】したがって、第2モータ回転数センサ75によって補機駆動用モータ14の回転数の上昇を検出した時点でエンジン10は始動開始したものと判定することができる。かかるエンジン10の始動開始判定後の処理は、図10を用いて説明した補機駆動用モータ14の制御処理と同様の処理(ステップS130〜ステップS180)が実行される。このような構成を備える場合にも、第1実施例によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0057】以上、いくつかの発明の実施の形態に基づき本発明に係る車両の始動制御装置を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0058】例えば、上記各実施例ではクランクシャフト11および補機駆動用モータ14の出力軸の出力を伝動ベルト132を介して補機12の入力軸に伝達する構成を備えているが、伝動ベルト132に代わる動力伝達帯として伝動チェーンを用いても良い。伝動チェーンを用いる場合には、プーリに代えてスプロケットが用いられる。このような場合にも、本発明を適用することにより、ワンウェイクラッチ15の再継合に伴う衝撃、振動、揺れ等を低減、排除することができる。
【0059】また、上記第1実施例では、2本の伝動ベルト131、132が架装されている場合について説明したが、本発明は図10に図示するように1本の伝動ベルト132が架装されている場合についても適用可能である。
【0060】上記各実施例では、変速機としてCVT40を用いたがCVT40に代えて手動式変速機、自動式有段変速機を用いても良い。いずれの場合にも電気式トルクコンバータと組み合わせることで、CVT40を用いた場合と同様の利益を得ることができる。
【0061】上記各実施例では、車両発進時に駆動用モータ20のみによって、または、エンジン10のみによって要求トルクを出力して車両を発進させているが、これに加えて条件に応じてエンジン10および駆動用モータ20によって要求トルクを出力して車両を発進させてもよい。車両発進時における要求トルクが駆動用モータ20の出力可能トルクを超えている場合に、要求トルクに応じたトルクを出力することができる。
【0062】上記各実施例では、車両の動力源としてエンジン10および車両駆動用モータ20を備えるハイブリッド車両に基づいて本発明を説明したが、本発明はいわゆるアイドリングストップ機能を備えたエンジン10のみを有する車両に対しても適用し得る。かかる場合にも、クラッチ再継合に起因する衝撃等の問題が発生しており、本発明を適用することによりかかる問題を解決することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年12月10日(1999.12.10)
【代理人】 【識別番号】100096817
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 孝雄 (外3名)
【公開番号】 特開2001−177908(P2001−177908A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−351317