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【発明の名称】 車両制動装置
【発明者】 【氏名】大林 和良

【要約】 【課題】車両振動およびバッテリの電圧上昇を抑止しつつ、大電力回生制動が可能な車両制動装置を提供すること。

【解決手段】車両減速時に、発電トルクおよび機械的制動トルクを周期変化させ、両周期変化成分との和である合成トルク変動を発電トルクの周期変化成分より小さいなるように、機械的制動トルクの周期変化成分の周波数および位相を決定する。このようにすれば、上述したバッテリの間欠充電方式の採用により、バッテリ電圧の急上昇を抑止しつつ大電流充電を可能とするとともに、制動トルク全体の周期変化を低減して車両振動を低減し、運転フィ−リングを改善することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車両に搭載されるバッテリと電力授受してエンジンが発生する車両駆動力を増減する回転電機と、前記回転電機の発電トルクを制御する発電トルク制御装置と、車両を制動するブレーキ装置と、前記ブレーキ装置の機械的制動トルクを制御するブレーキ制御装置とを備える車両制動装置において、前記発電トルク制御装置および前記ブレーキ制御装置は、車両減速時に、前記発電トルクおよび機械的制動トルクを周期変化させ、前記発電トルクの周期変化成分と前記機械的制動トルクの周期変化成分との和である合成トルク変動は、前記発電トルクの周期変化成分より小さいことを特徴とする車両制動装置。
【請求項2】請求項1記載の車両制動装置において、前記発電トルクの周期変化成分と前記機械的制動トルクの周期変化成分とは、同一周波数でほぼ逆位相の関係を有することを特徴とする車両制動装置。
【請求項3】請求項2記載の車両制動装置において、前記発電トルクの周期変化成分と前記機械的制動トルクの周期変化成分とは、ほぼ等しい大きさを有することを特徴とする車両制動装置。
【請求項4】請求項2記載の車両制動装置において、前記発電トルク制御装置は、所定の連続発電成分と周期変化発電成分とを合成した発電電流を前記回転電機に出力させることを特徴とする車両制動装置。
【請求項5】請求項4記載の車両制動装置において、前記発電電流の前記連続発電成分は、前記車両の前記バッテリを除く電気負荷の要求電流値に略一致することを特徴とする車両制動装置。
【請求項6】請求項1ないし5のいずれか記載の車両制動装置において、前記ブレーキ制御装置は、車両減速時に前記機械的制動トルクの前記周期変化を前記ブレーキ装置に指令し、前記発電トルク制御装置は、前記機械的制動トルクの前記周期変化の位相に基づいて前記回生制動トルクの位相を決定することを特徴とする車両制動装置。
【請求項7】請求項1ないし6記載の車両制動装置において、前記発電トルク制御装置は、入力される車両条件に応じて前記回生制動トルクの周期変化のデュ−ティ比を可変制御し、車両減速時に入力されるブレ−キペダル踏み量に応じた要求制動トルク値が増加するにつれて前記デュ−ティ比を増大し、減少するにつれて前記デュ−ティ比を減少することを特徴とする車両制動装置。
【請求項8】請求項1〜7のいずれか記載の車両制動装置において、前記発電トルク制御装置は、要求される回生制動トルクが小さい場合には連続充電を、大きい場合には間欠充電を行うことを特徴とする車両制動装置。
【請求項9】請求項1〜7のいずれか記載の車両制動装置において、前記発電トルク制御装置は、前記バッテリの充電状態に応じて連続充電と間欠充電を切り替えることを特徴とする車両制動装置。
【請求項10】請求項9記載の車両制動装置において、前記発電トルク制御装置は、前記バッテリの充電状態としてバッテリ電圧を検出し、前記バッテリ電圧が所定値より小さい場合は連続充電を、大きい場合は間欠充電を行うことを特徴とする車両制動装置。
【請求項11】請求項9記載の車両制動装置において、前記発電トルク制御装置は、前記バッテリの充電状態として残存容量(SOC)を検出し、前記残存容量が所定値より小さい場合は連続充電を、大きい場合は間欠充電を行うことを特徴とする車両制動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転電機が車両に搭載されるバッテリと電力授受してエンジンが発生する車両駆動力を増減する自動車として、電気自動車、ハイブリッド車、電動機兼用発電機搭載エンジン駆動車両などが知られている。
【0003】この種の車両では、減速時に回転電機を発電動作させて、車両の走行慣性エネンルギーを電力としてバッテリに回生することがいわゆる回生制動(あるいは発電制動)技術として知られている。
【0004】特開昭64ー81628号公報は、二次電池を所定パルス周期で間欠充電する間欠充電方式を提案している。この間欠充電方式は、充電時のバッテリ電圧の急上昇を定電流充電方式よりも抑止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の回生制動技術ではバッテリを大電流充電する必要が生じるが、このような大電流充電を行うとバッテリ電圧が急速に上昇してしまうため減速エネルギ−を十分回生することが困難であった。
【0006】上述した公報による間欠充電方式を採用すれば、一定電流で充電するのに比較してバッテリ電圧の急上昇を抑止しつつ充電することができるが、回生制動にこの充電方式を採用すると、定電流充電方式に比較して上記間欠充電周期の充電期間と充電休止期間との間で変動する制動トルクの周期変化が車両の共振周波数に近い周波数であるため、車両振動が生じるという問題があった。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、車両振動およびバッテリの電圧上昇を抑止しつつ、大電力回生制動が可能な車両制動装置を提供することをその目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明の車両制動装置によれば、車両減速時に、発電トルクおよび機械的制動トルクを周期変化させ、両周期変化成分との和である合成トルク変動を発電トルクの周期変化成分より小さいなるように、機械的制動トルクの周期変化成分の周波数および位相を決定する。
【0009】このようにすれば、上述したバッテリの間欠充電方式の採用により、バッテリ電圧の急上昇を抑止しつつ大電流充電を可能とするとともに、制動トルク全体の周期変化を低減して車両振動を低減し、運転フィ−リングを改善することができる。
【0010】請求項2記載の構成によれば請求項1記載の車両制動装置において更に、発電トルクの周期変化成分と機械的制動トルクの周期変化成分とを、同一周波数でほぼ逆位相の関係とするので、請求項1記載の効果を一層向上することができる。
【0011】なお、本明細書における、「ほぼ」とは90%以上という意味である。
【0012】請求項3記載の構成によれば請求項2記載の車両制動装置において更に、発電トルクの周期変化成分と機械的制動トルクの周期変化成分とがほぼ等しい大きさを有するので、間欠充電に起因する車両振動をほぼ完全に解消することができる。
【0013】請求項4記載の構成によれば請求項2記載の車両制動装置において更に、車両減速時に所定の連続発電成分(直流成分および前記周期変化成分より低周波成分)と所定周期の周期変化発電成分とを合成した電流を発電するので、回転電機の発電が停止することがなく、バッテリの間欠充電効果を維持しつつ安定に車両の電気負荷に給電することができ、回転電機の発電が停止してこの期間、バッテリが車両用電気負荷給電のために放電することがなく、効率がよく、回生制動トルクも増大することができる。
【0014】請求項5記載の構成によれば請求項4記載の車両制動装置において更に、発電電流の連続発電成分は、前記車両の前記バッテリを除く電気負荷の要求電流値に略(ほぼ)一致するので、最も効率良く、バッテリの間欠充電を維持しつつ、損失低減、回生制動トルクの増大を実現することができる。
【0015】請求項6記載の構成によれば請求項1ないし5のいずれか記載の車両制動装置において更に、ブレーキ制御装置は、車両減速時に機械的制動トルクを周期変化させ、この機械的制動トルクの周期変化に追従してそれを発電制動トルクの周期変化で補償する。
【0016】このようにすれば、発電制動トルクの周期変化を機械的制動トルクの周期変化で補償する場合に比較して、制御レスポンスが高いので、追従遅れによる振動増大を防止することができる。
【0017】請求項7記載の構成によれば請求項1ないし6記載の車両制動装置において更に、車両減速時に入力されるブレ−キペダル踏み量に応じた要求制動トルク値が増加するにつれて回生制動トルクの周期変化のデュ−ティ比を増大し、減少するにつれてこのデュ−ティ比を減少するので、必要な制動トルクが小さい場合には、バッテリ充電休止期間を長く設定することができ、バッテリ電圧増大を一層抑止することができる。
【0018】請求項8記載の構成によれば請求項1〜7のいずれか記載の車両制動装置において更に、要求される回生制動トルクが小さい場合には連続充電を、大きい場合には間欠充電を行うので、一時的に大制動トルクを要求される場合には大きな制動トルクを発生することができる。
【0019】請求項9記載の構成によれば請求項1〜7のいずれか記載の車両制動装置において更に、バッテリの充電状態に応じて連続充電と間欠充電を切り替えることにより、最適な充電方法を選択することができる。
【0020】請求項10記載の構成によれば請求項9記載の車両制動装置において更に、バッテリの充電状態としてバッテリ電圧を検出し、前記バッテリ電圧が所定値より小さい場合は連続充電を、大きい場合は間欠充電を行うので、バッテリ電圧が大きく上昇することを防止しつつ、効率よく回生充電することができる。
【0021】請求項11記載の構成によれば請求項9記載の車両制動装置において更に、バッテリの充電状態として残存容量(SOC)を検出し、前記残存容量が所定値より小さい場合は連続充電を、大きい場合は間欠充電を行うので、バッテリの電圧が大きく上昇することを防止しつつ、効率よく回生充電することができる。
【0022】
【発明を実施するための態様】本発明の車両制動装置の好適な態様を以下の実施例により具体的に説明する。
【0023】
【実施例1】実施例1の車両制動装置のブロック回路図を図1に示す。
(全体構成)1はエンジン、2は回転電機、3は後述する第1の回転電機21制御用の第1のインバータ31と後述する第2の回転電機22制御用の第2のインバータ32をもつ回転電機制御装置、4は車両制御装置、5はバッテリ、6はエンジン制御装置、7はアクセルペダル踏角センサ(アクセルセンサともいう)、8はブレーキペダル踏角センサ(ブレーキセンサともいう)、9はシフトレバーを示す。
【0024】車両制御装置4は、ハードウエア構成またはソフトウエア構成のトルク決定手段41、エンジン出力決定手段42、エンジン回転数制御手段43、トルク制御手段(本発明で言う発電トルク制御装置)44を有している。第1のインバータ31と第2のインバータ32は、バッテリ5と電力授受して回転電機2の後述する第1の回転電機21、第2の回転電機22を個別に駆動制御する。
(回転電機2の構造)回転電機2の構成を図2に示す。
【0025】23はシャフト20に嵌着、固定されたドラム状の第1の回転子、24は円筒状の第2の回転子、25は円筒状の固定子を示し、第1の回転子23と第2の回転子24は第1の回転電機21を構成し、第2の回転子24と固定子25は第2の回転電機22を構成している。26は第1の回転子23の回転センサ、27は第2の回転子の回転センサを示し、それぞれの回転電機制御装置3はこれらの回転センサを用いて各回転子位置を検出する。
【0026】第1の回転子23は、積層電磁鉄心の外周部に電機子コイルを巻装してなり、第2の回転子24は第1の回転子23の外周面に小ギャップを隔てて同軸かつ相対回転自在に嵌着してなり、固定子25は第2の回転子24の外周面に小ギャップを隔てて同軸に嵌着してなる。
【0027】第2の回転子24は、内周側および外周側にそれぞれ界磁極構成用の内周側永久磁石群(図示せず)および外周側永久磁石群(図示せず)を有する積層電磁鉄心からなる。固定子25は、積層電磁鉄心の内周部に電機子コイルを巻装してなり、第2の回転子24の外周面に小ギャップを隔ててハウジングに固定されている。
【0028】したがって、第2の回転子24の内周側永久磁石セットと第1の回転子23とが、第1の回転電機21をなす相対回転二重ロータ型の磁石型同期機を構成し、第2の回転子24の外周側永久磁石セットと固定子25とが第2の回転電機22をなす磁石式同期機を構成している。なお、これら内周側永久磁石セットおよび外周側永久磁石セットはそれぞれ、周方向等間隔、極性交互に設けられている。
【0029】100はディスクブレ−キ装置(ブレ−キ装置)であり、101はこのディスクブレ−キ装置100を油圧力又は空圧力又は電磁力により制御するブレーキ制御装置である。これらディスクブレ−キ装置100およびブレ−キペダル踏み量に応じてディスクブレ−キ装置100のが発生する機械的制動トルクを制御するブレーキ制御装置101については周知の装置であるので具体的な説明を省略する。
(全体動作)この実施例のハイブリッド車の動力伝達装置の基本的な運転制御動作を図1および図2を参照して説明する。
【0030】トルク決定手段41は、アクセルセンサ7、ブレーキセンサ8、シフトレバー9から入力される運転操作情報に基づいて車両トルク指令値Tv’を決定する。
【0031】エンジン出力決定手段42は、この車両トルク指令値Tv’と回転電機制御装置3が検出したペラ軸回転数Nvと、回転電機3の損失に関する情報に基づいてエンジン出力指令値Pe’を決定し、エンジン制御装置6へ出力する。
【0032】エンジン制御装置6は、エンジン出力指令値Pe’に基づいて最適なエンジン回転数指令値Ne’を決定して車両制御装置4へ出力するとともに、このエンジン出力指令値Pe’に対応する燃料をエンジン1に供給する。
【0033】エンジン回転数制御手段43は、エンジン回転数指令値Ne’と回転電機制御装置が検出した実際のエンジン回転数検出値Neとの偏差に基づいて、それを0に収束させるように第1の回転電機21のトルク指令値T1’を決定し、それをトルク制御手段44に出力し、トルク制御手段44は、入力されるトルク指令値T1’やブレーキペダル踏角センサ(ブレーキセンサ)8からのブレ−キ踏み量などに基づいて、第2の回転電機22のトルク指令値T2’や機械的制動トルク指令値を決定する。
【0034】トルク制御手段44は、決定したトルク指令値T1’にもとづいて第1のインバータ31を通じて第1の回転電機21をいわゆるフィードバック制御する。
【0035】具体的には、エンジン回転数制御手段43は、トルク指令値T1’からそれに対応する電流指令値を演算し、インバータ31を制御してこの電流指令値に等しい電流を第1の回転子23の電機子コイルに通電する。
【0036】また、トルク制御手段44は、上記車両トルク指令値Tv’と第1の回転電機のトルク指令値T1’の間のトルク指令値差T2’=Tv’−T1’を算出し、これを、第2の回転電機22のトルク指令値とし、それにもとづいて第2のインバータ32を通じて第2の回転電機22を制御する。
【0037】具体的には、エンジン回転数制御手段43は、トルク指令値T2’からそれに対応する電流指令値を演算し、インバータ32を制御してこの電流指令値に等しい電流を固定子25の電機子コイルに通電する。
【0038】更に、トルク制御手段44は、ブレーキ踏み量に応じて内蔵のマップから制動トルク要求値を求め、第2の回転電機22の回生制動トルクとブレーキ装置100の機械的制動トルクの和がこの制動トルク要求値に等しくなるように、回生制動トルク要求値と機械的制動トルク要求値とを決定し、前者に等しい回生制動トルクを発生するようにインバ−タ32を通じて第2の回転電機22を制御し、後者に等しい機械的制動トルクを発生するようにブレーキ制御装置101に指令する。
【0039】このハイブリッド車の動力伝達装置制御方式自体は公知事項であるので、これ以上の説明は省略する。
【0040】なお、第1の回転電機21も回生制動トルクを発生するようにしてもよい。機械的制動トルクは、上述したように、ブレーキ制御装置101によりブレーキ装置100を駆動して得られる。
(回生制動トルクおよび機械的制動トルクの周期変化制御)この実施例の制御の特徴をなす回生制動トルクおよび機械的制動トルクの周期変化制御を以下に説明する。回生制動トルクおよび機械的制動トルクの周期変化を図3に示す。横軸は時間、縦軸はトルクを示している。
【0041】時点t0において、ブレーキペダル等により車両減速のための制動トルク要求が生じると、回転電機2により制動トルク要求値の一部を発電により回生し、残りをブレーキ装置により補償している。
【0042】特に、この実施例では、回生制動トルクは間欠的(周期的)に発生される。好ましくは、回生制動トルクは一定周期、一定デュ−ティ比で発生されるが、車両共振を減らすなどの理由で、周期を一周期ごとに変更したり、デュ−ティ比を一周期ごとに変更したりしてもよい。ただし、回生制動トルクの大きさ(図3における高さ)は制動トルク要求値の大きさ以下とすることが好適である。
【0043】更に、この実施例では、機械的制動トルクは、制動トルク要求値−回生制動トルクとなるように設定され、これにより、車軸には制動トルク要求値に常に一致する合成制動トルクが与えられる。
【0044】なお、好適な具体的制御では、ブレーキペダル踏み量に応じて制動トルク要求値が決定されると、この制動トルク要求値の大きさの範囲内で、回生制動トルク波形の初期値を決定し、制動トルク要求値からこの回生制動トルクの周期変化成分を減算した波形の機械的制動トルク要求値を決定し、これをブレーキ制御装置101に与える。
【0045】矩形パルス形状の上記回生制動トルクの周期変化の逆の変化を含む上記機械的制動トルク要求値をブレーキ制御装置101に与えた場合におけるブレーキ装置100のレスポンス遅れや実際に生じる機械的制動トルクの波形鈍りなどは既知であるので、これを勘案して、上記回生制動トルク波形の初期値を修正して回転電機2に与える回生制動トルク要求値とすることが好ましい。
【0046】このようにすれば、ブレーキ装置100のレスポンス遅れ(タイムラグ)や機械的制動トルク波形の鈍りによる、機械的制動トルクと回生制動トルクとの合計と制動トルク要求値との間の誤差を良好に解消することができる。
【0047】回生制動トルクは両回転電機21、22で発生でき、第2の回転電機22のみでも発生でき、第1の回転電機21のみにても発生することができる。
(制動トルク制御例)制動トルクの分配の一例を図4に示すフロ−チャ−トを参照して以下に説明する。
【0048】S901で減速処理に移ると、まずS902で制動トルク要求値Tbrkを読み込み、S903でタイマのカウント時間tをインクリメントする。次に、S904でカウント時間tを所定値twと比較し、カウント時間tが大きい場合はS905でタイマをクリアし、カウント時間tが小さい場合はそのままS906へ移る。
【0049】S906では、カウント時間tと所定値tw/2と比較し、カウント時間tが大きい場合は回転電機2による車両駆動トルク指令値(回生制動トルク要求値)Tmgを制動トルク要求値Tbrkに係数kを掛けた値に設定し、カウント時間tが小さい場合は回生制動トルク要求値Tmgを0に設定し、この値に基づき、回転電機2をトルク制御する。次に、S908で機械的制動トルク要求値Tmech(=(1−k)Tbrk)を演算し、それをブレーキ制御装置101に送信し、ブレーキ制御装置101は機械的制動トルク要求値Tmechに基づいてブレーキ装置100を制御する。
【0050】すなわち、この制御によれば、タイマのカウント時間tを所定値(周期)twに達するまで繰り返しカウントされ、カウント時間tが所定値tw/2に達すると、回転電機2への車両駆動トルク指令値(回生制動トルク要求値)Tmgを0に設定し、回転電機2の発電を停止させ、周期tw、デュ−ティ比0.5の間欠発電を実施する。
(変形例)上記実施例では、回転電機2の間欠発電制御したが、たとえば第1の回転電機21および第2の回転電機22の一方の発電、電動を停止し、他方で発電してもよい。
【0051】なお、バッテリ充電電流は、完全に周期的にオンオフされなくても、小さい直流又は低周波の充電電流と完全にオンオフされる充電電流との合計充電電流で充電されてもよい。この場合、バッテリは前者の比較的小さな充電電流に対しては従来通り反応し、それ以上の大充電電流成分に対しては間欠充電となるためバッテリ電圧増大抑止効果を奏することができる。
【0052】したがって、上記実施例ではS909にて回転電機2の車両駆動トルク指令値(回生制動トルク要求値)Tmgを0としたが、0でない所定値とすることができる。
(変形例)上記実施例では、上記実施例ではS909にて回転電機2の車両駆動トルク指令値(回生制動トルク要求値)Tmgを0としたが、本質的に重要なのは、バッテリ大電流充電時における充電電流の間欠化であるので、制動トルク要求値Tbrkの範囲内で、バッテリ間欠充電電流の波形(大きさ、周期、デュ−ティ比)を決定し、それに車両の電気負荷給電電流を加算して回転電機2の発電量を決定し、これとエンジンから第1の回転電機21を通じて車輪に伝達される伝達トルクTt(0でもよい)を加算し、回転電機2が車輪に与える回転電機トルクを決定する。そして、ブレ−キペダルから得た制動トルク要求値からこの回転電機トルクを減算してブレーキ装置100の機械的制動トルク要求値としてもよい。
【0053】
【実施例2】他の実施例を図5に示すフロ−チャ−トを参照して以下に説明する。
【0054】S1901で減速処理に移ると、先ずS1902でブレーキ要求値Tbrkを読み込み、S1903でタイマtをインクリメントする。そしてS1904でtの大きさを所定値twと比較し、tが大きい場合はS1905でタイマをクリアし、tが小さい場合はそのままS1906へ移る。ここではtの大きさを所定値tw/2と比較し、tが大きい場合はブレーキ装置100への機械的制動トルク要求値TmechをTbrkに所定値kを掛けた値に設定し、tが小さい場合はTmechを0又は所定値(定常的な機械的制動トルク値)に設定し、この値に基づき制御する。そしてS1908で回転電機2の回生制動トルク指令値Tmg(=Tbrk−Tmech)を演算し、その値に基づき制御する。
【0055】この時、回転電機2が発生する回生制動トルク(第1の回転電機21によるエンジン軸と車輪軸との結合トルク(エンジン軸回転数が車輪軸回転数より低い場合には制動トルクとなりうる)を含む)Tmgは、ブレーキ装置100への上記機械的制動トルク要求値Tmechの周期変化成分に対してその伝達遅れおよび鈍りを演算して求めた値f(Tmech)をTbrkから減算したトルク波形とされる。又は、ブレーキ制御装置101が実際のブレーキ装置100の発現制動トルクを検出する構成であれば、それを読み込んでそれにもよい。
【0056】このようにすれば、レスポンスが遅いブレーキ装置100の機械的制動トルクの周期変化に合わせて、レスポンスのよい回生制動トルクを周期変化を行って機械的制動トルクの周期変化を相殺するので、上記レスポンス遅れによる両周期変化の時間的不一致を防止することができる。
(変形例)上記実施例では、回生制動トルク又は充電電流の周期変化のデュ−ティ比を0.5に固定したが、デュ−ティ比は他の値でもよく、また、可変制御してもよい。
【0057】好ましくは、要求される回生制動トルクの大きさが大きいほどデュ−ティ比を増大し、回生制動トルクを増大することが好ましい。これにより、バッテリの大充電電流の周期変化を維持しつつ、回生制動トルクを増大することができる。
(変形例)上記実施例では、回生制動時には常に回生制動トルクを周期変化させたが、回生制動トルクが小さい場合には連続充電を行い、大きい場合には間欠充電を行うようにしてもよい(図6参照)。
【0058】このようにすれば、小制動時において大電流発電による配線やバッテリの電流値の二乗に比例する電力損失、ジュ−ル熱を減らすことができる。
(変形例)上記実施例では、制動トルクの大きさを、連続充電と間欠充電の選択基準としたが、バッテリの充電状態を基準にそれを選択することもできる。
【0059】たとえば、バッテリ電圧が所定値よりも小さい場合には連続充電を行い、大きい場合には間欠充電を行うようにしてもよい(図7参照)。あるいは、バッテリの残存容量が所定値よりも小さい場合には連続充電を行い、大きい場合には間欠充電を行うようにしてもよい。
【0060】このようにすれば、バッテリ電圧の過大な上昇を抑止しつつ回生制動エネルギーの良好な回収を行うことができる。
(変形例)上記実施例では、ハイブリッド車への適用例を示したが、各実施例はハイブリッド車に限定されず、発電電動機をもつ内燃機関車、電気自動車、燃料電池自動車に適用できることはもちろんである。
(変形例)上記実施例において、車両制動時にエンジンへの燃料噴射をカットし、エンジン回転数指令値を増大して、回転電機2によりエンジン回転数を増大して、そのポンピング損失や摩擦損失を増大させ、回転電機2を通じて制動トルクを増大させることもできる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年12月7日(1999.12.7)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2001−169406(P2001−169406A)
【公開日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願番号】 特願平11−347740