| 【発明の名称】 |
直流電気車の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】丸山 高央
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| 【要約】 |
【課題】直流電気車のブレーキ時に直流架線電圧が上昇してもフィルタコンデンサ電圧を振動させずに安定に制御し、回生負荷の変動に対して応答よくトルク指令値を制御し、フィルタコンデンサ電圧の過電圧をなくし回生ブレーキを有効に活用する。
【解決手段】フィルタコンデンサ電流を検出して、回生負荷の変化量に相当したトルク指令値の減少量を演算器25でフィルタコンデンサ電流と基準回転速度検出値とフィルタコンデンサ電圧から求め、この値をフィルタコンデンサ電圧基準値とフィルタコンデンサ電圧との偏差の比例積分補償に用いている積分器26の初期値に設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 直流リアクトルとフィルタコンデンサを含み、整流出力を平滑して直流電力を出力するフィルタ回路と、上記直流電力を入力し、トルク指令に応じたトルクが電動機に発生するように電力変換する電力変換器と、予め設定したフィルタコンデンサ電圧の基準値とフィルタコンデンサ電圧の実際値との偏差を比例積分補償してトルク絞り込み量を演算するトルク絞り込み量演算手段と、第一のトルク指令値と基準回転速度検出値と上記フィルタコンデンサ電圧の基準値に基づいて予測回生電流を演算する予測回生電流演算手段と、上記フィルタコンデンサ電圧の偏差に応じて制御情報を発生するヒステリシスコンパレータと、実際の回生電流と上記予測回生電流から求まるフィルタコンデンサ電流と上記フィルタコンデンサ電圧基準値と上記基準回転速度検出値と上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報とに基づいてトルク指令減少量を演算するトルク指令減少量演算手段と、上記トルク絞り込み量演算手段からのトルク絞り込み量に制限をかけるリミッタとを備え、上記第一のトルク指令値から上記リミッタの出力を減算して第二のトルク指令値を得るようにしたことを特徴とする直流電気車の制御装置。 【請求項2】 直流リアクトルとフィルタコンデンサを含み、整流出力を平滑して直流電力を出力するフィルタ回路と、上記直流電力を入力し、トルク指令に応じたトルクが電動機に発生するように電力変換する電力変換器と、予め設定したフィルタコンデンサ電圧の基準値とフィルタコンデンサ電圧の実際値との偏差を比例積分補償してトルク絞り込み量を演算するトルク絞り込み量演算手段と、上記フィルタコンデンサ電圧とフィルタコンデンサ容量からフィルタコンデンサ電流を演算するフィルタコンデンサ電流演算手段と上記フィルタコンデンサ電圧の偏差に応じて制御情報を発生するヒステリシスコンパレータと、上記フィルタコンデンサ電流と上記フィルタコンデンサ電圧基準値と上記基準回転速度検出値と上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報とに基づいてトルク指令減少量を演算するトルク指令減少量演算手段と、上記トルク絞り込み量演算手段からのトルク絞り込み量に制限をかけるリミッタとを備え、上記第一のトルク指令値から上記リミッタの出力を減算して第二のトルク指令値を得るようにしたことを特徴とする直流電気車の制御装置。 【請求項3】 上記トルク絞り込み量演算手段は積分器を含み、該積分器は上下限値制限を有し、上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報の値が変化したときに、その出力をリセットされることを特徴ことを特徴とする請求項1または2記載の直流電気車の制御装置。 【請求項4】 調整された第二のトルク指令値を電動機制御手段を通して上記電力変換器に出力させるトルク指令出力手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の直流電気車の制御装置。 【請求項5】 上記トルク指令値の代わりにトルク電流指令値または電動機電流指令値を用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の直流電気車の制御装置。 【請求項6】 上記基準回転速度検出値としてその最大値または平均値を用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の直流電気車の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、直流電気車の制御装置に関し、特に、直流電気車のブレーキ動作時に直流架線電圧が上昇してもフィルタコンデンサ電圧を振動させずに安定に制御し、また回生負荷の変動に対して応答よくトルク指令値を制御できる直流電気車の制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般的な電気鉄道システムの例としては、例えば、特開平9−23506号に記載されたものがある。以下その内容を転記する。図6は上記公報に記載された従来の電気鉄道システムの例を示す。同図に示すように、従来の電気鉄道システムは交流電源を変電所1において、変圧器1aで降圧した後に、ダイオード整流器1bで整流して直流架線200用の電源としている。車両では直流電源を直流架線200からパンタグラフ2によって受電し、駆動用制御装置400および補助電源7へ給電する。駆動用制御装置400はパンタグラフ2から受電した直流電源を、フィルタ回路500を介して電力変換装置5に入力する。電力変換装置5では、運転士からの指令などに応じたトルクが電動機61、62、63、64で発生するよう電力の変換を行う。 【0003】このような鉄道システムの場合、変電所1のダイオード整流器1bでは車両から交流電源への電力回生ができないため、駆動用制御装置400が回生運転するとき、回生電力を吸収するものは他の力行車300や自車の補助電源装置7または他車300の補助電源装置300bだけである。このため、同一き電内に他の力行車300がいない場合には、駆動用制御装置400が発生する全回生電力を補助電源装置7で吸収しきれなくなり、直流架線電圧が上昇する。 【0004】次に、ブレーキ動作時の制御について説明する。各電動機61〜64につながる速度検出器91〜94の出力を基準回転速度演算回路15に入力し、電動機の基準回転速度検出値ωrを演算する。ブレーキ中には、基準回転速度演算回路15は各電動機61〜64の基準回転速度ω1、ω2、ω3、ω4を用い、次式による演算を行って基準回転速度検出値ωrを求めている。 【0005】 ωr=MAX(ω1、ω2、ω3、ω4) ・・・(1) 【0006】トルク指令発生回路18では、運転士からの運転指令に応じたブレーキ力指令と基準回転速度検出値ωrから、電動機61〜64のトルク指令を発生し、トルク制限回路19を介して電動機制御回路16に入力する。電動機制御回路16では、電動機61〜64のトルク指令、フィルタコンデンサ電圧と電動機基準回転速度検出値ωrから、電動機61〜64に指令されたトルクが発生するように電力変換装置5にスイッチングパルスを発生する。 【0007】従来、回生負荷がなくなり直流架線電圧が上昇したときの対策としては、以下のようなことを実施している。すなわち、直流架線電圧が上昇したことを、パンタグラフ2と直流リアクトル3を介してつながるフィルタコンデンサ4の電圧を検出器10で読み取って検出する。検出されたフィルタコンデンサ電圧VCをトルク制限値演算回路11に入力する。 【0008】トルク制限値演算回路11では図7に示すように、フィルタコンデンサ電圧が過電圧を抑制するレベルV0に至ったら、フィルタコンデンサ電圧VCに合わせて一律にトルクを絞るトルク制限値を演算してトルク制限回路19に入力する。トルク制限回路19はトルク指令発生回路18が指令したトルク指令をトルク制限値にしたがって絞ることにより、回生電力を絞ってフィルタコンデンサ電圧の上昇を抑制し、直流架線電圧(VP)の上昇を抑制している。 【0009】つまり、図7は従来方式のフィルタコンデンサ電圧と電動機トルクとの関係を示しており、図6のトルク制限値演算回路11で用いる調節器としては比例調節器の動作をとる。そして、フィルタコンデンサ電圧の上昇を抑制するための電動機トルク指令絞り込み開始電圧V0と、直流架線200につながる電気機器を過電圧から保護するための最大の電圧VMAXが図7のように決ると、上記比例調節器の比例ゲインKは次の(2)式のように決定される。 【0010】 K=T100%/(VMAXーV0) ・・・(2) 【0011】図8は、図7のトルク制限値演算回路11の具体例を示す構成図である。ここでは、フィルタコンデンサ電圧(実際値)VCを入力してフィルタコンデンサ電圧目標値VC*との差を演算し、その結果を掛算器によってゲインKを掛けたものをトルク制限値演算回路11の出力TCとして、図7のトルク制限回路19に入力するようにしている。なお、掛算器の代わりに比例調節器を用いることができるのはもちろんである。 【0012】フィルタコンデンサ電圧目標値をVC*とすると、トルク制限値演算回路11は次の(3)式の演算をしてトルク制限値TCを出力することになる。 【0013】 TC=K×{VC*ーVC} ・・・(3) 【0014】なお、回生電力を絞るために図6ではトルクを絞るようにしているが、トルク制限値演算回路11の代わりに電動機61〜64のトルク電流または電動機61〜64の電流を絞る回路を用いてトルクを絞る場合もある。 【0015】そして、図6の駆動用制御装置400に指令されたトルク指令Tが、フィルタコンデンサ電圧を制限するためのトルクTCより小さいときは指令値をそのまま出力し、トルク指令Tが制限トルクTC以上になったときは、トルクを制限トルクTCにリミットすることで、回生負荷がなくなって直流架線電圧が上昇したときのみにトルクに制限が掛かることになる。よって、電動機61〜64に指令するためのトルクTMは、トルク制限回路19で次式(4)の演算を行うすることによって求められる。 【0016】 TM=MIN(T,TC) ・・・(4) 【0017】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような構成の従来装置の場合、以下のような問題点があった。即ち、従来のブレーキ制御は、上記(3)式のようにフィルタコンデンサ電圧の偏差に比例ゲインKを掛けた値にトルク指令値を制限するようになっている。この場合、回生を有効に働かせるために比例ゲインKを大きな値に設定すると、制御系が不安定になりやすくトルク振動が発生する場合があり乗り心地が悪くなるという問題点があった。 【0018】一方、回生負荷が急に減少した場合には、素早くトルク指令を絞り直流架線電圧の上昇を抑制する必要があるので制御ゲインを大きく設定したいが、上記の問題点があるため、あまり大きな設定はできない。従って、回生負荷が急に減少した場合、フィルタコンデンサ電圧が過電圧になり回生失効に至り電気ブレーキを有効に活用できないという問題点があった。 【0019】この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、ブレーキ動作時に直流架線電圧が上昇してもフィルタコンデンサ電圧を振動させずに安定に制御し、しかも回生負荷の変動に対して応答よくトルク指令値を制御してフィルタコンデンサ電圧の過電圧をなくすことで回生ブレーキを有効に活用できる直流電気車の制御装置を得ることを目的とする。 【0020】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る直流電気車の制御装置は、直流リアクトルとフィルタコンデンサを含み、整流出力を平滑して直流電力を出力するフィルタ回路と、上記直流電力を入力し、トルク指令に応じたトルクが電動機に発生するように電力変換する電力変換器と、予め設定したフィルタコンデンサ電圧の基準値とフィルタコンデンサ電圧の実際値との偏差を比例積分補償してトルク絞り込み量を演算するトルク絞り込み量演算手段と、第一のトルク指令値と基準回転速度検出値と上記フィルタコンデンサ電圧の基準値に基づいて予測回生電流を演算する予測回生電流演算手段と、上記フィルタコンデンサ電圧の偏差に応じて制御情報を発生するヒステリシスコンパレータと、実際の回生電流と上記予測回生電流から求まるフィルタコンデンサ電流と上記フィルタコンデンサ電圧基準値と上記基準回転速度検出値と上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報とに基づいてトルク指令減少量を演算するトルク指令減少量演算手段と、上記トルク絞り込み量演算手段からのトルク絞り込み量に制限をかけるリミッタとを備え、上記第一のトルク指令値から上記リミッタの出力を減算して第二のトルク指令値を得るものである。 【0021】請求項2の発明に係る直流電気車の制御装置は、直流リアクトルとフィルタコンデンサを含み、整流出力を平滑して直流電力を出力するフィルタ回路と、上記直流電力を入力し、トルク指令に応じたトルクが電動機に発生するように電力変換する電力変換器と、予め設定したフィルタコンデンサ電圧の基準値とフィルタコンデンサ電圧の実際値との偏差を比例積分補償してトルク絞り込み量を演算するトルク絞り込み量演算手段と、上記フィルタコンデンサ電圧とフィルタコンデンサ容量からフィルタコンデンサ電流を演算するフィルタコンデンサ電流演算手段と上記フィルタコンデンサ電圧の偏差に応じて制御情報を発生するヒステリシスコンパレータと、上記フィルタコンデンサ電流と上記フィルタコンデンサ電圧基準値と上記基準回転速度検出値と上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報とに基づいてトルク指令減少量を演算するトルク指令減少量演算手段と、上記トルク絞り込み量演算手段からのトルク絞り込み量に制限をかけるリミッタとを備え、上記第一のトルク指令値から上記リミッタの出力を減算して第二のトルク指令値を得るものである。 【0022】請求項3の発明に係る直流電気車の制御装置は、請求項1または2の発明において、上記トルク絞り込み量演算手段は積分器を含み、該積分器は上下限値制限を有し、上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報の値が変化したときに、その出力をリセットされるものである。 【0023】請求項4の発明に係る直流電気車の制御装置は、請求項1〜3の発明において、調整された第二のトルク指令値を電動機制御手段を通して上記電力変換器に出力させるトルク指令出力手段を備えたものである。 【0024】請求項5の発明に係る直流電気車の制御装置は、請求項1〜4の発明において、上記トルク指令値の代わりにトルク電流指令値または電動機電流指令値を用いたものである。 【0025】請求項6の発明に係る直流電気車の制御装置は、請求項1〜5のいずれかの発明において、上記基準回転速度検出値としてその最大値または平均値を用いたものである。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。 実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1による直流電気車の制御装置を示す構成図である。図中、図7と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、20Aは本実施の形態におけるトルク指令制御回路である。このトルク指令制御回路20Aはフィルタコンデンサ電圧基準値Efc*、実際のフィルタコンデンサ電圧Efc、回生電流Idc(これは直流リアクトル3を流れる電流で、図示しない電流検出器で検出されてトルク指令制御回路20Aに入力される)、基準回転速度検出値ωrおよびトルク指令発生回路18から第一のトルク指令値Tq*を入力し、フィルタコンデンサ電圧の偏差ΔEfcを比例積分したトルク補正値を用いて補正された第二のトルク指令値Tq**を電動機制御回路16に出力する。 【0027】なお、トルク指令発生回路18は上記(1)式で説明したように、基準回転速度演算回路15で演算した各電動機61〜64の基準回転速度ω1、ω2、ω3、ω4中の最大値より求めた基準回転速度検出値ωrに基づき電動機61〜64のトルク指令値をトルク指令制御回路20Aに出力する。 【0028】図2にトルク指令制御回路20Aの具体的な構成を示す。図において、21は第一の減算器であり、フィルタコンデンサ電圧基準値Efc*と実際のフィルタコンデンサ電圧Efcの減算を行い、フィルタコンデンサ電圧の偏差ΔEfcを求める。22は予測回生電流演算器であり、第一のトルク指令値Tq*と基準回転速度検出値ωrおよびコンデンサ電圧基準値Efc*によって予測回生電流Idc*を演算する。23は第二の減算器であり、回生電流Idcと予測回生電流Idc*の減算を行い、フィルタコンデンサ電流Icを求める。 【0029】24はヒステリシスコンパレータであり、フィルタコンデンサ電圧の偏差ΔEfcに応じて、Kまたは0なる出力Koutを制御情報として出力する。25はトルク指令減少量演算器であり、フィルタコンデンサ電流Ic,基準回転速度検出値ωr、フィルタコンデンサ電圧基準値Efc*およびヒステリシスコンパレータ24の出力Koutを用いて回生負荷の減少量に相当したトルク指令減少量ΔTqを演算する。26は積分器であり、フィルタコンデンサ電圧偏差ΔEfcを入力し積分結果を出力する。積分器26は、出力値の上限下限制限値を設定でき、また積分出力にヒステリシスコンパレータ24の出力が0からK(設定値)に変わったときのトルク指令減少量演算器25の出力ΔTqを初期値として設定できる機能を有するものである。 【0030】27は比例演算器であり、フィルタコンデンサ電圧偏差ΔEfcをゲイン倍した値を出力する。28は加算器であり、積分器26の出力と比例演算器27の出力を加算する。29はリミッタであり、加算器28の出力を入力し、その値が負値の場合はそのまま出力し、正値の場合はゼロを出力する。30は第三の減算器であり、第一のトルク指令値Tq*とリミッタ29の出力の減算を行い、第二のトルク指令値Tq**を出力する。 【0031】次に、本実施の形態の動作について説明する。回生負荷が十分あり、フィルタコンデンサ電圧Efcがフィルタコンデンサ電圧基準値Efc*より小さい状態では、第一の減算器21で演算されるフィルタコンデンサ電圧偏差ΔEfcは正の値になる。積分器26および比例演算器27はそれぞれフィルタコンデンサ電圧偏差ΔEfcを積分およびゲイン倍して出力し、加算器28でそれぞれの出力を加算してリミッタ29に入力するが、リミッタ29は、入力が負値の場合はそのまま出力し、正値の場合はゼロを出力する機能を有しているので、リミッタ29の出力はゼロとなる。 【0032】従って、第三の減算器30から出力される第二のトルク指令値Tq**は第一のトルク指令値Tq*と同じ値になり、トルク制限は行われない。このとき、ヒステリシスコンパレータ24は、入力のΔEfcが正であるのでゼロを出力している。ヒステリシスコンパレータ24の機能は、つぎの通りである。 【0033】 ΔEfc>ΔEcのとき 出力は0ΔEfc<0 のとき 出力はK0≦ΔEfc≦ΔEcのときΔEfcが増加中なら 出力はKΔEfcが減少中なら 出力は0ここで、ΔEcはヒステリシス幅である。 【0034】この状態から、回生負荷が減少するとフィルタコンデンサ電圧Efcは増加し始めてフィルタコンデンサ電圧基準値Efc*を越える。このときブレーキ指令に基づく第一のトルク指令値Tq*で基準回転速度検出値ωrで運転中のとき直流電源に回生される電力PrはPr=ωr・Tq*であるので、これを基にフィルタコンデンサ電圧Efcがフィルタコンデンサ電圧基準値Efc*のときの予測回生電流Idc*は、Pr=ωr・Tq*=Efc*・Idc*の関係から【0035】 Idc*=ωr・Tq*/Efc* …(5) 【0036】となることが分かる。フィルタコンデンサ電圧Efcがフィルタコンデンサ電圧基準値Efc*から増加しないためには予測回生電流Idc*が回生電流Idcに等しくフィルタコンデンサ電流Icがゼロでなければならない。すなわち、もし、回生負荷が減少してIc=Idc*−Idcが正になるとフィルタコンデンサ4はフィルタコンデンサ電流Icで充電され、フィルタコンデンサ電圧Efcは増加する。 【0037】回生負荷が減少してフィルタコンデンサ電圧Efcが増加してフィルタコンデンサ電圧基準値Efc*になったときのフィルタコンデンサ電流Icがわかれば、この値が回生負荷の減少量に相当することになる。つまり、このフィルタコンデンサ電流Icに相当した回生電力に対応したトルクを求めて第一のトルク指令値Tq*からこのトルク分を絞り込んでインバータを運転すれば充電電流をゼロにすることができ、フィルタコンデンサ電圧Efcを基準値Efc*に保つことができる。 【0038】このトルクΔTqは、 ΔTq=Efc*・Ic/ωr …(6) 【0039】として演算できる。これを実現するため、予測回生電流演算器22は第一のトルク指令値Tq*、基準回転速度検出値ωrとフィルタコンデンサ電圧基準値Efc*に基づいて上記(5)式の演算をおこない、予測回生電流Idc*を求める。次に第二の減算器23で予測回生電流Idc*と回生電流Idcの減算を行うと、フィルタコンデンサ電流Icが求まる。このフィルタコンデンサ電流Icがわかると、フィルタコンデンサ電流Icとフィルタコンデンサ電圧基準値Efc*と基準回転速度検出値ωrを用いてトルク指令減少量演算器25で下記の(7)式の演算を行い、トルク指令減少量ΔTqを得る。 【0040】 ΔTq=−1.0・Efc*・Ic・Kout/ωr …(7) 【0041】ここで、Koutはヒステリシスコンパレータ24の出力であり、1.0が基準であるが検出誤差などを調整するため変数としている。また、−1.0はブレーキ時のトルク指令との符号の整合性をとるためのものである。トルク指令減少量ΔTqは、このようにして求めることができ、第一のトルク指令値Tq*をこれだけ絞り込んでインバータを運転すると理想的にはコンデンサ電流Icをゼロにできるが、実際にはほぼゼロにできるだけである。 【0042】また、回生負荷がこの値から増加した場合は絞り込み量は減らさなければならない。これらのことを考慮するとトルク指令減少量ΔTqは、フィルタコンデンサ電圧基準値Efc*にフィルタコンデンサ電圧Efcを保つように調整される必要がある。これは、フィルタコンデンサ電圧偏差ΔEfcの比例積分補償を積分器26、比例演算器27で実施しトルク指令値の絞り込み量を調整するようにすることで実現できる。このとき積分器26の出力の初期値に上記のΔTqを設定すればよい。なお、積分器26は上限値、下限値を設定できる機能を有し、積分器26の出力範囲を制限する。 【0043】また、トルク指令減少量ΔTqの初期設定は、フィルタコンデンサ電圧基準値Efc*とフィルタコンデンサ電圧Efcの偏差ΔEfcをヒステリシスコンパレータ24に入力し、ヒステリシスコンパレータ24の出力がゼロからKに変化したタイミングで、トルク指令減少量演算器25で演算されたトルク指令減少量ΔTqを設定する。 【0044】このように、フィルタコンデンサ電圧Efcが、フィルタコンデンサ電圧基準値Efc*を越えると、そのときのトルク指令減少量ΔTqが積分器26の初期値に設定され、加算器28で比例演算器27の出力と加算されたトルク指令絞り込み量がリミッタ29に入力される。この絞り込み量は負の値であり、リミッタ29からはそのまま入力されたトルク絞り込み量が出力され、第三の減算器30で第一のトルク指令値Tq*との減算結果としてその出力側に第二のトルク指令値Tq**が得られる。この第二のトルク指令値Tq**でインバータを駆動すればそのときの回生負荷に応じた運転状態に保つことができる。 【0045】このように、本実施の形態では、回生負荷が減少するとその減少量に合致したトルク指令値の減少量を演算し、トルク指令値からトルク指令値減少量を減算すると共に、フィルタコンデンサ電圧基準値とフィルタコンデンサ電圧の偏差を比例積分補償するようにしたので、ブレーキ動作時に直流架線電圧が上昇してもフィルタコンデンサ電圧を振動させずに安定に制御し、しかも回生負荷の変動に対して応答よくトルク指令値を制御してフィルタコンデンサ電圧の過電圧をなくすことで回生ブレーキを有効に活用できる。つまり、回生負荷が急激に減少しても高速にトルク指令を絞り込み回生負荷に応じ、安定した回生運転が実現できる。 【0046】実施の形態2.本実施の形態は、実施の形態1で説明したコンデンサ電流Icは次のようにして求める場合である。フィルタコンデンサ電流Icは、フィルタコンデンサ電圧Efcとフィルタコンデンサ容量Cがわかれば下記の(8)式の関係を用いて求めることができる。 【0047】 Ic=C・dEfc/dt …(8) 【0048】図3は、このようにしてフィルタコンデンサ電流Icを求める場合のトルク指令制御回路20Bの構成を示したものである。図において、31はフィルタコンデンサ電流演算器であり、フィルタコンデンサ電圧Efcとフィルタコンデンサ容量Cを用いて上記(8)式の演算を行いフィルタコンデンサ電流Icを求める。これ以外の構成および機能は、上記実施の形態1と同様である。 【0049】本実施の形態では、回生電流Idcの検出が不要になるという利点がある。また、本実施の形態でも上記実施の形態1と同様に回生負荷が減少するとその減少量に合致したトルク指令値の減少量を演算し、トルク指令値からトルク指令値減少量を減算すると共に、フィルタコンデンサ電圧基準値とフィルタコンデンサ電圧の偏差を比例積分補償するようにしたので、ブレーキ動作時に直流架線電圧が上昇してもフィルタコンデンサ電圧を振動させずに安定に制御し、しかも回生負荷の変動に対して応答よくトルク指令値を制御してフィルタコンデンサ電圧の過電圧をなくすことで回生ブレーキを有効に活用できる。つまり、回生負荷が急激に減少しても高速にトルク指令を絞り込み回生負荷に応じ、安定した回生運転が実現できる。 【0050】実施の形態3.上記実施の形態1、2は、電力変換装置5で4個の電動機61〜64を駆動するシステムに適用した場合の説明であったが、図4に示すように電力変換装置5で2個の電動機61、62を駆動するシステムにも同様に適用できる。この場合、基準回転速度検出値ωrは下記の(9)式で求まる。 【0051】 ωr=MAX(ω1、ω2) ・・・(9) 【0052】本実施の形態の場合も、上記実施の形態1、2と同様の効果を得ることができる。 【0053】実施の形態4.上記実施の形態1、2は、電力変換装置5で4個の電動機61〜64を駆動するシステムに適用した場合の説明であったが、図5に示すように電力変換装置5で1個の電動機61を駆動するシステムにも同様に適用できる。この場合、基準回転速度検出値ωrは下記の(10)式で求まる。 【0054】 ωr=ω1 ・・・(10) 【0055】本実施の形態の場合も、上記実施の形態1、2と同様の効果を得ることができる。 【0056】実施の形態5.上記各実施の形態では、トルク指令制御回路で第一のトルク指令値Tq*を入力しフィルタコンデンサ電圧Efcの動きに合わせて制御された第二のトルク指令値Tq**を出力するものとしたが、電動機の制御によってはトルク指令値の代わりにトルク電流指令値や電動機電流指令値を用いてもよい。これらの場合にも、トルクをトルク電流または電動機電流と置き換えることで同様の構成で実現でき、同様の効果が得られる。 【0057】実施の形態6.上記各実施の形態では、基準回転速度検出値ωrは複数の電動機を駆動する場合にはそれらの回転数の内の最大値としているが、最大値の代わりに平均値を用いる場合にも同様に適用可能であり、同様の効果が得られる。なお、この発明のトルク指令制御回路は、マイクロコンピュータやデジタルシグナルプロセッサなどで実現されることを前提としているため、制御演算は所定の制御周期で実施されるいわゆるサンプル値制御になる。 【0058】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、直流リアクトルとフィルタコンデンサを含み、整流出力を平滑して直流電力を出力するフィルタ回路と、上記直流電力を入力し、トルク指令に応じたトルクが電動機に発生するように電力変換する電力変換器と、予め設定したフィルタコンデンサ電圧の基準値とフィルタコンデンサ電圧の実際値との偏差を比例積分補償してトルク絞り込み量を演算するトルク絞り込み量演算手段と、第一のトルク指令値と基準回転速度検出値と上記フィルタコンデンサ電圧の基準値に基づいて予測回生電流を演算する予測回生電流演算手段と、上記フィルタコンデンサ電圧の偏差に応じて制御情報を発生するヒステリシスコンパレータと、実際の回生電流と上記予測回生電流から求まるフィルタコンデンサ電流と上記フィルタコンデンサ電圧基準値と上記基準回転速度検出値と上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報とに基づいてトルク指令減少量を演算するトルク指令減少量演算手段と、上記トルク絞り込み量演算手段からのトルク絞り込み量に制限をかけるリミッタとを備え、上記第一のトルク指令値から上記リミッタの出力を減算して第二のトルク指令値を得るので、ブレーキ動作時に直流架線電圧が上昇してもフィルタコンデンサ電圧を振動させずに安定に制御し、しかも回生負荷の変動に対して応答よくトルク指令値を制御してフィルタコンデンサ電圧の過電圧をなくすことで回生ブレーキを有効に活用できるという効果がある。 【0059】請求項2の発明によれば、直流リアクトルとフィルタコンデンサを含み、整流出力を平滑して直流電力を出力するフィルタ回路と、上記直流電力を入力し、トルク指令に応じたトルクが電動機に発生するように電力変換する電力変換器と、予め設定したフィルタコンデンサ電圧の基準値とフィルタコンデンサ電圧の実際値との偏差を比例積分補償してトルク絞り込み量を演算するトルク絞り込み量演算手段と、上記フィルタコンデンサ電圧とフィルタコンデンサ容量からフィルタコンデンサ電流を演算するフィルタコンデンサ電流演算手段と上記フィルタコンデンサ電圧の偏差に応じて制御情報を発生するヒステリシスコンパレータと、上記フィルタコンデンサ電流と上記フィルタコンデンサ電圧基準値と上記基準回転速度検出値と上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報とに基づいてトルク指令減少量を演算するトルク指令減少量演算手段と、上記トルク絞り込み量演算手段からのトルク絞り込み量に制限をかけるリミッタとを備え、上記第一のトルク指令値から上記リミッタの出力を減算して第二のトルク指令値を得るので、ブレーキ動作時に直流架線電圧が上昇してもフィルタコンデンサ電圧を振動させずに安定に制御し、しかも回生負荷の変動に対して応答よくトルク指令値を制御してフィルタコンデンサ電圧の過電圧をなくすことで回生ブレーキを有効に活用でき、更に回生電流の検出が不要になるという効果がある。 【0060】請求項3の発明によれば、上記トルク絞り込み量演算手段は積分器を含み、該積分器は上下限値制限を有し、上記ヒステリシスコンパレータからの制御情報の値が変化したときに、その出力をリセットされるので、トルク絞り込み量を確実に得ることが出来るという効果がある。 【0061】請求項4の発明によれば、調整された第二のトルク指令値を電動機制御手段を通して上記電力変換器に出力させるトルク指令出力手段を備えたので、安定した制御と、回生ブレーキの有効な活用化に寄与できるという効果がある。 【0062】請求項5の発明によれば、上記トルク指令値の代わりにトルク電流指令値または電動機電流指令値を用いたので、装置の汎用化に寄与できるという効果ある。 【0063】請求項6の発明によれば、上記基準回転速度検出値としてその最大値または平均値を用いたので、トルク指令減少量を効率よく算出できるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月6日(1999.12.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100057874 【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−169403(P2001−169403A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月22日(2001.6.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−346412 |
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