| 【発明の名称】 |
自動列車制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】赤司 博人
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| 【要約】 |
【課題】デジタルATC装置の車上装置の処理部を三重系で構成できるようにして安全性と輸送の安定性を確保する。
【解決手段】車上装置で作成する減速パターンに従って列車を減速するデジタルATC装置において、車上装置の処理部9〜11を三重系で構成し、共通部15で3つの処理部9〜11から出力されるブレーキ種類を先に選択した後、常用ブレーキの場合の最大のノッチ数を選択し、ブレーキ種類が選択できない場合は非常ブレーキを選択するようにする。これにより、列車の安全性を確立した上で、列車間隔を最大限に縮小することができ、輸送の安定性の確保を図ることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】先行列車から後続列車までの距離関連情報に基づいて減速パターンを作成すると共に、該減速パターンに従ってブレーキノッチを作成する処理部を並列に3つ有し、これらの3つの処理部から出力されるブレーキノッチを共通部で処理して決定し、列車の制動操作を行う自動列車制御装置であって、前記ブレーキノッチは常用ブレーキ,非常ブレーキ,ブレーキ緩解の3つのブレーキ種類と、常用ブレーキの場合の段階的なノッチ数とがあり、前記共通部は3つの処理部から出力されるブレーキ種類を先に選択した後、常用ブレーキの場合の最大のノッチ数を選択し、ブレーキ種類が選択できない場合は非常ブレーキを選択することを特徴とする自動列車制御装置。 【請求項2】ブレーキノッチの作成は減速パターンを列車の速度と比較して行い、列車の速度検知を3つの処理部において夫々別個に行うようにした請求項1に記載の自動列車制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、地上装置で検知した先行列車から後続列車までの距離関連情報に基づいて、車上装置で減速パターンを作成し、この減速パターンに従って列車を制動操作する自動列車制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の自動列車制御装置(以下は、ATC装置という)は、図4に示すように、先行列車1と後続列車2との間の距離関連情報を地上装置(図示せず)で検知し、先行列車1から後続列車2までの各閉塞区間1T〜5Tごとに速度制限信号値(以下、信号値という)を決定している。そして、この信号値に対応して定められた周波数で変調した電流に変換して軌道回路にアナログ伝送方式により送出している。一方、後続列車2に搭載された車上装置では、図5に示すように、受電器3が前記軌道回路を流れる電流による磁束を受信し、処理部4〜6が前記信号値に応じた所定の周波数に復調して信号値を判定している。そして、速度発電機8が後続列車2の現在速度を検知し、処理部4〜6が信号値と現在速度とを比較して後続列車2の現在速度が高い場合にはブレーキ装置にブレーキ種類を出力し、当該後続列車2は自動的に減速制御される。ブレーキ種類は、通常の運転に使われる常用ブレーキ,最も短距離で停止できる非常ブレーキ,ブレーキ力を発生させないブレーキ緩解の3種類となっている。 【0003】なお、図5は従来の新幹線のATC装置の車上装置を示すものである。車上装置は、同一の処理を並列に行ってブレーキ種類を出力する3つの処理部4〜6と、これらの処理部4〜6からの信号を処理してブレーキ種類を決定する共通部7とから成る。ブレーキ種類の決定は、各処理部4〜6が作成した3つのブレーキ種類のうち、少なくとも2つが一致する場合にはそのブレーキ種類を決定して出力し、各系のブレーキ種類が全く一致しない場合にはATC故障として停止処置のブレーキ種類を決定している。 【0004】このように処理部4〜6が三重系になっており、1つの共通部7で当該各系の出力を多数決している理由は、列車の安全性と輸送の安定性を向上するためである。もし、処理部4〜6が1つの系のみしかなければ、故障が発生してもわからないことになる。例えば、ATC装置に故障が発生して上位信号すなわち本来の信号値よりも高い速度の信号値に誤認したり、減速すべき時にブレーキを緩解するようなことは安全上許されない。そこで、処理部を二重系にすると各系の出力の不一致により故障が発生したことはわかるが、どちらの系が故障したかは判別できず、停止処置をするか、低位優先すなわち両系の速度の低くなる方を選択せざるを得ず、安全性は前記の1つの系のみの場合よりも向上するが、2つの系のうち1つの系が故障すると運転が継続できず輸送の安定性が阻害される。三重系では、そのうちの1つの系が故障しても、各系の出力の多数決によって故障した系が判別でき、残りの正常な2つの系によって運転が継続でき、列車の安全を確保しつつ輸送の安定性が向上するからである。 【0005】これに対して、最近では、地上装置から速度制限信号値を周波数として送出する前記ATC装置(以下は、アナログATC装置という)に代わって、特開平7−40835号公報に開示されたようなデジタルATC装置が考えだされている。この先願のデジタルATC装置は、図6に示すように、停止すべき位置までの距離関連情報を地上装置からデジタル伝送方式で送出し、当該距離関連情報と自らの制動能力とに基づいて車上装置で停止までの減速パターンを作成し、その減速パターンに従って後続列車2を減速制御するものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところが、図4及び図5に示すアナログATC装置の場合、処理部4〜6から共通部7へ入力される信号は、常用ブレーキ,非常ブレーキ,ブレーキ緩解の三種類だけであり、多数決は容易に成立していた。また常用ブレーキの場合は、通常1〜7ノッチまで段階的にブレーキ力が設定されているが、従来のアナログATC装置で使用するノッチ数は、安全サイドの面から最大ノッチ数である7ノッチが採用されていた。そのため、各列車のブレーキ性能によっては、図4に示すように、各閉塞区間でATC許容速度まで減速された後から前方閉塞区間境界までの走行距離(余裕距離)の分だけ余裕を持って減速されることになる。この余裕距離は、各閉塞区間の全体では大きな割合を示すようになり、列車間の制御間隔に大きな無駄が発生していた。 【0007】また従来のアナログATC装置では、速度検知器8として、車輪の回転に基づく1つの速度発電機を共用しているため、列車のブレーキ時に車輪が滑走したり、列車の力行時に車輪が空転すると、検知する速度に大きな誤差を生じるという精度上の問題があった。 【0008】一方、図6に示すような減速パターンを車上側で作成して減速するデジタルATC装置では、後続列車2の現在速度をフィードバックして常用ブレーキのノッチ数を細かく制御し、作成した減速パターンに合わせた制動を行う必要がある。ところが、このような制御方法であれば、3つのブレーキ種類に加えて7段階のノッチ数に応じた制御を行う必要があり、アナログATC装置のように3つの処理部4〜6で同一の処理を同時に行って多数決で決定するという方法では、各処理部における出力信号の種類が多くなり、ノッチ数の一つが異なっても多数決が成立しないので、多数決の成立する確率が極端に低くなる。そのため、故障と判断されて非常ブレーキがかかる割合が高くなり、単純に三重系による多数決制御を採用することができず、結果として、輸送の安定性を著しく低下するという問題があった。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、デジタルATC装置の車上装置の処理部を三重系で構成できるようにして安全性と輸送の安定性を確保せんとするものである。 【0010】而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、先行列車から後続列車までの距離関連情報に基づいて減速パターンを作成すると共に、該減速パターンに従ってブレーキノッチを作成する処理部を並列に3つ有し、これらの3つの処理部から出力されるブレーキノッチを共通部で処理して決定し、列車の制動操作を行う自動列車制御装置であって、前記ブレーキノッチは常用ブレーキ,非常ブレーキ,ブレーキ緩解の3つのブレーキ種類と、常用ブレーキの場合の段階的なノッチ数とがあり、前記共通部は3つの処理部から出力されるブレーキ種類を先に選択した後、常用ブレーキの場合の最大のノッチ数を選択し、ブレーキ種類が選択できない場合は非常ブレーキを選択することを特徴とする自動列車制御装置である。 【0011】この発明よれば、共通部は、先ず3種類のブレーキ種類を多数決で決定するものであり、多数決の成立は容易である。次に、この発明では、常用ブレーキの場合に出力されるノッチ数の決定を行っており、ノッチ数の決定は安全サイドに見て最大のノッチ数を選択している。従って、デジタルATC装置で、三重系の制動制御を実現することが可能である。 【0012】本発明が採用した請求項2の手段は、ブレーキノッチの作成は減速パターンを列車の速度と比較して行い、列車の速度検知を3つの処理部において夫々別個に行うようにした請求項1に記載の自動列車制御装置である。 【0013】複数の速度検知器によって速度検知を行っているため、一つの速度検知器の車輪が滑走又は空転した場合であっても、他の速度検知器からの信号が入力されるので正確な速度検知を行うことが可能である。また各速度検知器の種類をそれぞれ別々のものとすることも可能であり、この場合も一種類の速度検知器の故障を他の種類の速度検知器がカバーすることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1は本発明の第1の実施の形態に係るものであり、デジタルATC装置の車上装置の制御ブロック図である。同図に示す如く、このATC装置は、ブレーキノッチを作成するための処理部を並列に3つ有するいわゆる三重系である。各処理部9〜11には、受電器12から距離関連情報が入力され、速度検知器13から現在の列車速度情報が入力され、トランスポンダ車上子14から列車の現在位置の補正情報が入力される。各処理部9〜11で作成されたブレーキノッチは、その全部が一つの共通部15に入力され、ここでブレーキノッチが決定される。そして、決定されたブレーキノッチは、ブレーキ制御装置16へ出力され、列車の速度制御が行われる。 【0015】前記受電器12は、従来のアナログATC装置の場合と同じように、軌道回路から距離関連情報を受信するのが一般的であるが、無線によってもよく、また距離関連情報としては距離そのものであっても、閉塞区間数であってもよい。列車の現在位置は、速度検知器13で検知した速度を時間積分して得られる。速度検知器13は、車輪の回転による速度発電機が一般的であるが、電波のドップラー効果を利用したドップラー速度計や光学式のもの及びその他のものであってもよい。また列車の現在位置情報は、精度を上げるためにトランスポンダ車上子14の出力によって補正されるが、GPS(衛星を利用した汎地球測位システム)による補正方式であってもよい。 【0016】距離関連情報と現在位置情報とは、各系の処理部9〜11に入力され、並列処理される。先ず、距離関連情報から停止すべき位置までの距離を解読し、前記現在位置情報とメモリに記憶された当該車両のブレーキ性能及び曲線等の線路に関するデータ等に基づいて減速パターンを作成する。そして、当該減速パターンと現在速度とを比較してブレーキノッチを作成する。減速する必要のない場合は、「ブレーキ緩解」のブレーキノッチが作成される。また前記作成した減速パターンに従って停止できる場合は、「常用ブレーキ」のブレーキノッチが作成され、減速パターンと現在速度とを比較してブレーキ力の大きさ、すなわち、常用ブレーキの「ノッチ数(1〜7)」が作成される。できるだけ短い距離で停止すべき場合は、「非常ブレーキ」のブレーキノッチが作成される。 【0017】各系の処理部が作成したブレーキノッチは、共通部15に入力される。この共通部15におけるブレーキノッチの決定は、図2に示す要領で行われる。先ず、各処理部9〜11からのブレーキノッチの入力が合計で1つ以下ならばATC装置故障として「非常ブレーキ」を決定する。各処理部9〜11からのブレーキノッチの入力が合計で2つ以上であれば、それぞれのブレーキ種類が「非常ブレーキ」か、「ブレーキ緩解」か、「常用ブレーキ」かを確認し、ブレーキ種類を多数決により選択する。多数決は、2つ以上のブレーキ種類が一致すればそのブレーキ種類を選択し、それが「常用ブレーキ」であれば、各系の常用ブレーキの「ノッチ数」を確認し、安全原則からしてそのうちの最大の「ノッチ数」を選択して決定する。多数決でブレーキ種類を選択できない場合は、ATC故障として非常ブレーキを決定すればよい。 【0018】このようにしてブレーキノッチを決定することにより、デジタルATC装置の車上装置の処理部を三重系で構成することができ、列車の安全性と輸送の安定性とを向上させることが可能である。また車上装置で作成した減速パターンに基づいて正確に列車の制動制御を行うことができるので、従来のアナログATC装置のように各閉塞区間において余裕距離が発生せず、無駄のない列車制御が可能である。 【0019】図3は本発明の第2の実施の形態に係るデジタルATC装置を示す車上装置の制御ブロック図である。この実施の形態では、各処理部9〜11に独立した速度検知器17〜19を設け、列車速度を個別に入力するようにしている。これは図1に示す場合のように、1つの速度検知器8から全ての処理部9〜11へ共通した速度信号を出力するようにした場合は、当該速度検知器8が故障した場合に、全ての処理部9〜11が機能を喪失することと、速度検知器が車輪の回転による速度発電機である場合に、車輪の滑走や空転によって速度の誤差が発生し、これが全ての処理部9〜11に影響することが考えられるからである。なお、速度検知器17〜19は、車輪の回転による速度発電機の他、ドップラー速度計、光学式もの及びその他のもの等が適用可能であり、各速度検知器17〜19の全部を異なる種類のものにしたり、全てを車輪の滑走等に影響されないドップラー速度計にする等の組み合わせは自由である。 【0020】 【発明の効果】以上説明したように本発明にあっては、車上装置で作成する減速パターンに従って列車を減速するデジタルATC装置において、車上装置の処理部を三重系で構成し、3つの処理部から出力されるブレーキ種類を先に選択した後、常用ブレーキの場合の最大のノッチ数を選択し、ブレーキ種類が選択できない場合は非常ブレーキを選択するようにしたから、列車の安全性を確立した上で、列車間隔を最大限に縮小することができ、輸送の安定性の確保を図ることが可能である。 【0021】また本発明にあっては、ブレーキノッチの作成を、減速パターンと列車の速度とを比較して行うと共に、列車の速度検知を3つの処理部において夫々別個に行うようにしたから、一つの速度検知器の車輪が滑走又は空転した場合であっても、他の速度検知器からの信号が入力されるので正確な速度検知を行うことが可能である。更に、各速度検知器の種類をそれぞれ別々のものにすることもでき、この場合には一種類の速度検知器の故障又は精度の低下を他の種類の速度検知器がカバーすることができ、高精度の列車制御が可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000196587 【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月24日(1999.11.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082016 【弁理士】 【氏名又は名称】内田 敏彦
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| 【公開番号】 |
特開2001−157316(P2001−157316A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月8日(2001.6.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−332774 |
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