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【発明の名称】 車両用回転電機
【発明者】 【氏名】伴在 慶一郎

【氏名】簗瀬 純夫

【要約】 【課題】エンジンと変速機の間に車両用回転電機を有するパワートレインの小型化を図る。

【解決手段】回転電機200の固定子210の外周側、内周側にロータ部220、230を設けて固定子210に巻装された単一の固定子巻線212と電磁結合させることにより、エンジンリヤ側の車両用回転電機を軸方向に小型化し、これによってパワートレインの軽量化及び車両への搭載性を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車両用エンジンと前記車両用エンジンの後方に配置されるトルク伝達機構との間にてクランクシャフトと同じ軸心位置を有して配置され、前記クランクシャフトにより駆動される回転子と、前記回転子の周面に対面する周面を有してハウジングに固定される固定子と、を備える車両用回転電機において、前記回転子は、内周面が前記固定子の外周面に電磁結合する外側ロータ部と、外周面が前記ステータの内周面に電磁結合する内側ロータ部とを有し、前記固定子は、前記内側ロータ部及び外側ロータ部との間に配置される固定子鉄心と、前記固定子に巻装されて前記両ロ−タ部と電磁結合する1セットの多相巻線からなる固定子巻線とを有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項2】請求項1記載の車両用回転電機において、前端がクランクシャフトに固定されて前記両ロータ部を支持する椀状部材を有し、前記椀状部材は、前記クランクシャフトに固定されて前記内側ロータ部の径内側に配設される内側筒部と、前記内側ロータ部の後端が固定されるとともに前記内側筒部の後端部から径外側に延在してする輪板部と、前記輪板部の外周端部から前方に延在して前記外側ロータ部の外周面が固定される外側筒部と、を有し、前記トルク伝達機構は、前記椀状部材に結合されて、前記椀状部材を通じて前記クランクシャフトから駆動されることを特徴とする車両用回転電機。
【請求項3】請求項2記載の車両用回転電機において、前記トルク伝達機構は、前記椀状部材の輪板部の後端面に固定されることを特徴とする車両用回転電機。
【請求項4】請求項1記載の車両用回転電機において、前記固定子鉄心は、前記内側ロータ部に対面する内周面及び前記外側ロータ部に対面する外周面に周方向へ所定ピッチで設けられたスロット及びティース、並びに、外周側の前記スロットと内周側の前記スロットとの間にて前記両スロットを分離するコアバックを有し、前記固定子巻線は、前記内周側のスロット及び外周側のスロットに直列に巻装されることを特徴とする車両用回転電機。
【請求項5】請求項4記載の車両用回転電機において、前記内周側のスロット及び前記外周側のスロットは、前記コアバックを挟んで周方向電磁的同位置に同数設けられ、前記固定子巻線の各相巻線はそれぞれ、同一の電気角ピッチで、周方向電磁的同位置の前記内周側のスロット及び外周側スロットに周方向断面形状が略コ字状となるように巻装されることを特徴とする車両用回転電機。
【請求項6】請求項4記載の車両用回転電機において、前記固定子の前記内周側のスロット及び外周側スロットは、前記コアバックを挟んで周方向略同位置に同数設けられ、前記固定子巻線の各相巻線はそれぞれ、磁極ピッチに相当するスロットピッチで、周方向電磁的同位置の前記内周側のスロット及び外周側スロットに軸方向断面形状がロ字状となるように巻装され、かつ、略磁極ピッチごとに反対の巻き方を有する1つの固定子巻線を有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項7】請求項4記載の車両用回転電機において、前記内周側のスロット及び外周側のスロットは、前記コアバックを挟んで周方向電磁的同位置に同数設けられ、前記固定子巻線の各相巻線はそれぞれ、前記固定子巻線の略磁極ピッチに相当するピッチで、周方向電磁的同位置の前記内周側のスロット及び外周側スロットにて電流方向が反対となるように波巻きで巻装されることを特徴とする車両用回転電機。
【請求項8】請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用回転電機において、前記両ロータ部は、界磁極を形成する永久磁石を有する磁石型ロ−タ構造を有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項9】請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用回転電機において、前記両ロータ部は、籠形ロータ構造を有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項10】請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用回転電機において、前記両ロータ部は、レラクタンス型ロータ構造を有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項11】請求項1記載の車両用回転電機において、前記内側ロータ部は磁石型ロ−タ構造を、前記外側ロータ部はレラクタンス型ロータ構造を有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項12】請求項11記載の車両用回転電機において、前記レラクタンス型ロータ構造の磁気凸極部の周方向中心位置は、前記磁石型ロ−タ構造の界磁極の周方向中心位置に対して回転方向へ電気角で45°〜90°進んだ位置に設定されることを特徴とする車両用回転電機。
【請求項13】請求項4記載の車両用回転電機において、前記固定子は、前記コアバックに略軸方向に圧入された棒状支持部材によりハウジングに固定されることを特徴とする車両用回転電機。
【請求項14】請求項1記載の車両用回転電機において、前記両ロータ部の一方は、磁石型ロ−タ構造を有し、前記両ロータ部の他方は、軟磁性体で構成されて周方向に所定ピッチで設けられる複数の界磁極と、各前記界磁極を周方向極性交互に磁化する界磁コイルとを有する界磁コイル型ロ−タ構造を有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項15】請求項14記載の車両用回転電機において、前記両ロータ部の他方は、界磁コイルが巻装されてハウジングに固定されたヨ−クと、前記固定子の周面と前記ヨ−クとの間の隙間に介設されて前記回転子の一部をなすとともに前記界磁コイルにより磁化されて周方向に所定ピッチで極性交互に界磁極を形成する回転誘導子鉄心部とを有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項16】請求項14記載の車両用回転電機において、前記界磁コイルの通電電流の極性を逆転して前記固定子巻線の電流制御を行う制御部を有することを特徴とする車両用回転電機。
【請求項17】請求項4記載の車両用回転電機において、前記外周側のスロット及び前記内周側のスロットは、コアバックを挟んで周方向同位置に同数設けられ、前記内側ロータ部及び外側ロータ部の界磁極は、周方向同位置にて前記固定子鉄心に対面する側が反対極性に磁化されることを特徴とする車両用回転電機。
【請求項18】請求項4記載の車両用回転電機において、前記外周側のスロット及び前記内周側のスロットは、コアバックを挟んで周方向へ略半スロットピッチずれて同数設けられることを特徴とする車両用回転電機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジンと変速機の間に介在させてエンジンを始動したり、エンジンのトルクをアシストしたり、車両の走行エネルギーを回生したりする車両用回転電機の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平11ー78558号公報は、車両用回転電機をエンジンと変速機の間にてクランクシャフトにより駆動される回転子と、回転子の周面に対面する周面を有してハウジングに固定される固定子とを備える車両用回転電機(以下、リヤ配置型車両用回転電機)を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のリヤ配置型車両用回転電機は、エンジン前部に装備される従来のフロント配置型車両用回転電機に比較して、エンジン前部にベルトに沿ってこの車両用回転電機以外の補機を増設することを可能とし、更にこのベルトにより近年必要となりつつある大出力の車両用回転電機の駆動のために小径の回転電機用プ−リ−とベルトとの滑りを防止するという問題を根本的に解決することができる。
【0004】しかしながら、この従来のリヤ配置型車両用回転電機は、クランクシャフトとその後方のクラッチやトルクコンバ−タなどのトルク伝達機構との間に介設されるので、その分だけパワ−トレイン長が増大し、それを囲むハウジングを含めてパワ−トレインが大型、大重量となり、搭載必要スペ−スも拡大する必要があり、実用化する上の大きな問題点となっており、更に、パワートレイン長の増大により車体振動が増大するという問題も派生した。
【0005】本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであり、パワ−トレインの体格、重量の増大や車体振動の増大を抑止しつつ、エンジン前部の補機駆動系による大出力車両用回転電機の駆動困難性を解決することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求項1記載の車両用回転電機は、クランクシャフトと同軸配置されるリヤ配置型車両用回転電機であって、略円筒状の固定子の両周面に個別に電磁結合する内側ロータ部及び外側ロータ部をもつ回転子を採用し、更に一セットの多相巻線により構成した固定子巻線をこれら両ロータ部と電磁結合させた構成を有する。
【0007】このようにすれば、以下の作用効果を奏する。
【0008】まず、エンジン前部にて車両用回転電機をベルト駆動する必要がないのでエンジン前部におけるベルトに沿っての車両用補機配列の自由度が増し、また高出力の車両用回転電機をこのベルトで駆動するためにベルト滑り損失やそれによる発熱対策を講じる必要がない。
【0009】また、ステータの内周側及び外周側にそれぞれロータ部を配するので、車両用回転電機の軸長を略半減することができ、エンジン後端面とクラッチなどのトルク伝達機構との間の回転電機収容スペースの軸方向長を短縮して、パワ−トレイン長を短縮し、それを囲むハウジングを含めてパワ−トレインの小型軽量化を実現し、パワートレイン長増大による車体振動の増大を防止することができる。
【0010】なお、2つのロータ部を径方向に重ねることにより、車両用回転電機の径方向長が増大するが、これは、この2つのロータ部をもつ車両用回転電機の回転子のフライホイル効果を増大させるので、フライホイル専用の回転質量部材を減らすことができる。すなわち、本構成の車両用回転電機の回転子はフライホイルの一部又は全部を兼ねるがフライホイルは平均半径の二乗に比例してその慣性質量が増大するので、車両用回転電機の回転子重量あたりのフライホイル効果は、本構成の径方向2ロータ部形状の回転子構造により、たとえば上記公報の単一ロータ部形状の車両用回転電機に比較して格段に向上する。
【0011】また、単一の固定子の両周面を両ロータ部との電磁結合面としているので、固定子のコアバック部分は両ロータ部の磁路用ヨーク部材として共用することができ、固定子の小型軽量化とそのスペースの縮小を可能とする。
【0012】また、固定子巻線が両ロータ部が形成する2つの回転磁界の両方に鎖交するので、各ロータ部ごとにそれぞれ固定子を設けるのに比較して固定子巻線のコイルエンドを縮小することができる。
【0013】更に、固定子巻線が両ロータ部が形成する2つの回転磁界の両方に鎖交するので、これら両ロータ部に特性が異なる界磁束を発生させることにより、これら両ロータ部を個々にもつ回転電機をミックスした特性をもつ車両用回転電機を製造することができる。
【0014】請求項2記載の構成によれば請求項1記載の車両用回転電機において更に、回転子の両ロータ部は、クランクシャフトとトルク伝達機構(クラッチなど)とを連結する連結部材である椀状部材に固定されるので、2つのロータ部を支持するフレームを独立に追加する必要が無く、パワートレインの軽量化を図ることができる。
【0015】請求項3記載の構成によれば請求項2記載の車両用回転電機において更に、椀状部材の輪板部は、外側ロータ部を支承する大径筒部を支持するとともに、トルク伝達機構に結合するディスク状結合面を兼ねるので、形状を簡素化、小型軽量化を図りつつ、良好なトルク伝達機構との結合と外側ロータ部の支持とを実現することができる。
【0016】請求項4記載の構成によれば請求項1記載の車両用回転電機において更に、固定子の固定子鉄心が、径方向中央部に共通のコアバックを有するので、固定子鉄心の小型軽量化を図ることができる。
【0017】請求項5記載の構成によれば請求項4記載の車両用回転電機において更に、一セットの多相巻線からなる固定子巻線を、固定子の両周面に周方向断面形状及び軸方向断面形状が略コの字状で巻装するので、固定子の構造、製造を簡素化することができる。特に、各相巻線はあらかじめ製作したものをコの字状に折り曲げ整形した後、内側スロット及び外側スロットに挿入出来るので巻線作業が容易となる。
【0018】請求項6記載の構成によれば請求項4記載の車両用回転電機において更に、一セットの多相巻線からなる固定子巻線を、固定子の両周面に軸方向断面形状が略ロの字状で巻装するので、固定子の構造、製造を簡素化することができる。
【0019】また、内周側スロット及び外周側スロットにトロイダル状(断面ロの字状)に巻装するのでコイル1ターンの長さに占める無効長は電磁鉄心の両側端面を通過する長さにでき、巻線長を格段に短縮でき、巻線銅量の低減、効率上昇を実現することができる。
【0020】請求項7記載の構成によれば請求項4記載の車両用回転電機において更に、相巻線は、固定子巻線の略磁極ピッチに相当するスロットピッチで、周方向略同位置の内周側のスロット及び外周側スロットにて電流方向が反対となるように波巻きで巻装されるので、固定子の構造、製造を簡素化することができる。また、波巻で巻装するので機械巻がやりやすく、自動巻線が容易となる。
【0021】請求項8記載の構成によれば請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用回転電機において更に、両ロータ部は、界磁極を形成する永久磁石を有する磁石型ロ−タ構造を有するので、固定子巻線から励磁用の磁界を作る必要がなく回転機の効率を向上することができる。
【0022】請求項9記載の構成によれば請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用回転電機において更に、両ロータ部は、誘導機の籠形構造をもつので、高剛性のロータを経済的に作製でき、エンジンが回転中における発電電圧を固定子巻線からの容易に調整することができ、制御が故障して制御不能となっても、発電電圧が高圧となることがなく、この故障に対する対策(系の耐圧増大)を要せず、高信頼性の車両用回転電機を安価に構成することができる。
【0023】請求項10記載の構成によれば請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用回転電機において更に、両ロータ部はレラクタンス型ロータ構造をもつので、ロータを経済的に作製できる。
【0024】請求項11記載の構成によれば請求項1記載の車両用回転電機において更に、固定子の内側ロータ部が磁石式ロータ構造、外側ロータ部にはレラクタンス型ロータ構造を採用するので、電磁結合面面積及び周速が小さくて、高出力化しにくい内側ロータ部の出力アップを図り、低出力密度のレラクタンスロータ構造の欠点を外側ロータ部の大きな径で解消するとともに、経済的なロータとなり、性能とコストとのバランスのよい車両用回転電機を実現することができる。
【0025】請求項12記載の構成によれば請求項11記載の車両用回転電機において更に、レラクタンス型ロータ構造の磁気凸極部の周方向中心位置を、磁石型ロ−タ構造の界磁極の中心位置に対して回転方向へ電気角で45°〜90°進んだ位置に設定するので、両ロータ部の合成トルク、合成出力増大を実現することができる。
【0026】請求項13記載の構成によれば請求項4記載の車両用回転電機において更に、固定子を、コアバックに略軸方向に圧入した棒状支持部材でハウジングに固定するので、この棒状支持部材は、積層電磁鉄心からなる固定子鉄心をその積層方向に締めつける機能と、固定子をハウジングに固定する機能とを果たすことができ、固定子鉄心の電磁結合用の両周面の面積を減らすこともない。
【0027】請求項14記載の構成によれば請求項1記載の車両用回転電機において更に、両ロータ部の一方を磁石型ロ−タ構造とし、他方を、界磁コイルの界磁磁界で界磁極を磁化する界磁コイル型ロータ構造とするので、界磁コイルの通電電流の制御により車両用回転電機の発電特性や電動特性を界磁電流制御により実現することができる。
【0028】請求項15記載の構成によれば請求項14記載の車両用回転電機において更に、両ロータ部の一方を磁石型ロ−タ構造とし、他方を、誘導子構造の界磁極をもつロータ部と、静止ヨークに巻装されてこの誘導子構造の界磁極を周方向極性交互に磁化する界磁コイルとを有するので、ロータ部に界磁コイルを装備する必要がなく、耐遠心力性能を向上し、界磁コイル通電回路の簡素化を実現することができる。
【0029】請求項16記載の構成によれば請求項14記載の車両用回転電機において更に、界磁コイルの通電電流の極性を逆転して固定子巻線の電流制御を行うので、高回転時に磁石型ロータ構造の一方のロータ部が固定子巻線に高電圧を発生させても、界磁コイル型ロータ構造をもつ他方のロータ部で逆の発電電圧を固定子巻線に生じさせて、固定子巻線の発電電圧が必要以上に増大するのを防止することができる。
【0030】請求項17記載の構成によれば請求項4記載の車両用回転電機において更に、外周側のスロット及び内周側のスロットは、コアバックを挟んで周方向同位置に同数設けられ、内側ロータ部及び外側ロータ部の界磁極は、周方向同位置にて固定子鉄心に対面する側が反対極性に磁化される。
【0031】このようにすれば、界磁束の大部分は主として、両ロータを通って固定子鉄心を往復する大磁路を流れるので、コアッバクを流れる界磁束を低減して、この部分の鉄損や磁気飽和を抑止することができる。
【0032】請求項18記載の構成によれば請求項4記載の車両用回転電機において更に、外周側のスロット及び内周側のスロットは、コアバックを挟んで周方向へ略半スロットピッチずれて同数設けられるので、コアバックを挟んで周方向同一に同数設ける場合に比較して、コアバックの平均径方向幅が増加するので、この部分の鉄損や磁気飽和を抑止することができ、あるいは固定子鉄心の薄厚小型化を図ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の車両用回転電機の好適な実施形態を図面を参照して以下に説明する。
【0034】
【実施例1】本発明の車両用回転電機の第一の実施例を図1〜図3を参照して説明する。図1はパワートレインのブロック図、図2は車両用回転電機の軸方向断面図、図3は図2のAーA線矢視半断面を示す。
(全体構造)100はエンジン、101はクランクシャフト、110はエンジン100をコントロ−ルするエンジンコントローラ、200は回転電機である。
【0035】211は、車両用回転電機200の固定子210の電磁鉄心であり、三相の固定子巻線212が巻装されている。電磁鉄心211のコアバック215は、コアバック215に圧入されたボルト216を介して取付部材217により固定され、取付部材217はハウジング201に固定されている。
【0036】電磁結合面をなす固定子210の内外周面は、スロット213、213’及びティース214、214’を有し、固定子210の内、外周面には空隙を介して第一の磁極部材(内側ロータ部)220と第二の磁極部材(外側ロータ部)230とが個別に配置されている。両磁極部材220、230は椀状部材240により一体化されて、クランクシャフト101に固定され、ロータ(回転子)250を構成している。
【0037】260は、椀状部材240の輪板部243の後端面に固定されたクラッチであり、変速機300、プロペラ軸400、デイファレンシャルギア500を経て車輪600に連結されている。
【0038】700は、固定子巻線212とバッテリー900との間で双方向交直変換を行うコンバータであり、800は、コンバータ700を制御するコントローラである。
(両磁極部材220、230)磁極部材220は、空隙を挟んで固定子210の内周面に面しつつ椀状部材240の小径筒部241に嵌着、固定された積層構造の電磁鉄心221と、電磁鉄心221に軸方向に貫設された孔223に挿入された磁石222とを有し、いわゆるIPM(インテリア パーマネント マグネット)ロータ構造を構成している。
【0039】磁極部材230は、空隙を挟んで固定子210の外周面に面しつつ椀状部材240の大径筒部242に嵌着、固定された積層構造の電磁鉄心231と、電磁鉄心221に軸方向に貫設された孔233に挿入された磁石232とを有し、いわゆるIPM(インテリア パーマネント マグネット)ロータ構造を構成している。
【0040】椀状部材240は、両端が両筒部241、242に連なる輪板部243を有し、輪板部243の後端面にクラッチ260の一部が固定されている。
【0041】磁極部材220、230の磁石222、232は、図3に示すように固定子210を挟んで周方向同位置配置されており、周方向同位置の磁石222、232は対向面が同一極性となっている。
(固定子)固定子210の構成を図4を用いて更に詳しく説明する。図4は図3に示す固定子と回転子を周方向に展開したもので、U相巻線のみを図示している。
【0042】図4において、U相巻線の巻始めU1は、スロット213’を紙面に垂直方向に通って紙面の裏側即ち電磁鉄心211の反対側でコアバック215の側面に沿って径外側へ上ってスロット213に入り、電磁鉄心211を積層方向に通って紙面側にでて次に周方向に3スロットピッチ離れたスロット213を通って紙面の裏側即ち電磁鉄心の反対側に出てコアバック215の側面に沿って径内側へ下ってスロット213’に入り、紙面のこちら側に出て、次に周方向に3スロットピッチもどって最初のスロット213’を再び紙面の裏側へ通る巻き方で巻数回巻かれて一磁極分の相巻線が形成され、次の同極のスロット位置のスロットである6番目のスロット213’を通って同様の巻き方を巻数回繰り返して次の磁極分の相巻線が形成され、これを極対数回繰り返して一相分の相巻線が形成される。
【0043】すなわち、磁極一磁極分の相巻線このように巻装すると径方向同位置のスロット213、213’を通る断面が「コ」字状、スロット213で周方向に切断した断面が「コ」字状、スロット213’で周方向に切断した断面が「コ」字状となり、全体として鞍状となる。
【0044】上記と同様に、V相、W相の相巻線も電磁鉄心211に巻装され、固定子210の三相巻線212が構成される。
【0045】なお、説明の上では、固定子巻線212を電磁鉄心211に直接巻装するときの巻き方を説明したが、図5に示すように別の巻枠にコイルを巻き、コイルのみをXーX線、YーY線で折り曲げて図6に示すように整形した後、電磁鉄心211に巻装しても良い。
【0046】図4において、ティース214、214’側に配置された磁極(界磁極)232、232’は磁極部材230によって配置される磁極(界磁極)を表わし、222、222’は磁極部材220によって配置される磁極を表している。N、N’はN極、S、S’はS極を表わす。矢印付きの一点鎖線はこれら磁極によって作られた磁束が電磁鉄心211内を流れて巻線212と鎖交する様子を表わしている。すなわち、ロータ250の回転によって固定子巻線212に発生した誘導電流はコンバータ700を介してバッテリ900を充電する。
【0047】コントローラ800からの指令により、固定子210に通電してロータ250を駆動することによりエンジン100を始動させたり、トルクアシストすることができる。また、車両減速時に、エンジン100の回転数、すなわちロータ250の回転数に対して固定子210の回転磁界の周波数及び位相を制御することにより、車両の運動エネルギーを電力として固定子210に回生することができる。270はロータ250の位置・回転数検出のための回転センサである。
(変形態様)上記回転電機の変形態様を以下に説明する。
(変形例1)変形例を図8を参照して説明する。
【0048】図7に示す変形態様は、固定子210の固定子巻線212の他の巻装方式であって、図7は図4と同様に三相巻線の電磁鉄心211へ巻装する三相の固定子巻線212の一相分(U相)を図示している。
【0049】図7において、U相の巻線の巻始めはスロット213’を紙面に垂直長手方向、すなわち電磁鉄心211を積層方向に通って裏側に出てコアバック215の側面を上ってスロット213に入り、再度、電磁鉄心215を積層方向に通って紙面側にもどり、又、スロット213を通って同一の巻き方を巻数回繰り返した後、スロット213を出た巻線は3スロットピッチ周方向に離れたスロット213を通って電磁鉄心211を積層方向に通って紙面の裏側に出て、電磁鉄心のコアバック215の側面を下ってスロット213’に入り電磁鉄心を積層方向に通って紙面のこちら側に出て、再度、スロット213に入ることを巻数回行った後、再びスロットピッチ周方向に離れたスロット213’を通って最初の巻き方を繰り返して一相分(U相)の相巻線を形成する。
【0050】同様に、V相、W相の相巻線も形成する。このようにして、3相の相巻線からなる固定子巻線212が完成する。この巻線方法では、周方向同位置のスロット213、213’を通る断面で見たとき巻線が「ロ」の字形状となる。本巻線方法は電磁鉄心211に巻装されるコイル1ターン当りの長さが短かくでき、漏れ磁束を生じるコイルエンド部を短縮することができるので、固定子210の小型化及び効率、出力向上を図ることができる。
【0051】もちろん、図7に示す磁極配置の場合、電磁鉄心211内は図4と同じ磁束の流れとなるので、動作は図4に示す実施例と同じになる。(変形例2)他の変形例を図8を参照して説明する。
【0052】図8は図4と同様に誘導巻線212の一相分(U相)を図示したものである。図8において、U相の巻始め端は外周側スロット213を紙面垂直方向即ち、電磁鉄心211を積層方向に通って紙面裏側に出て3スロットピッチ周方向に離れたスロット213から電磁鉄心を積層方向に通って紙面こちら側スロット213にでて、再び3スロットピッチ周方向に離れたスロット213を通って紙面裏側に出る。このような巻き方の繰り返しを磁極数回×巻数回行なって外周側の相巻線を形成する。次に、同様の巻き方を電磁鉄心211の内周側スロット212’について行なって内周側の相巻線を形成する。上記内周側の相巻線の巻始め端は上記外周側の巻数回の巻始め端のスロット213と対向するスロット213’から巻始める。このようにしてU相の外周側の相巻線(波巻き)及び内周側の相巻線(波巻き)を形成する。次に、上記外周側の相巻線と上記内周側の相巻線とを、周方向同位置のスロット内の電流方向が互いに反対方向となるように接続し、U相の相巻線の形成が完了する。同様の巻線作業をV相、W相の相巻線についても行う。
【0053】なお、この態様では、各相巻線を一ターン毎に波巻きで巻装したが、図10のように大きな円弧で巻数回巻いた一つのコイルを図9のように磁極ピッチで凹凸に成形した後、電磁鉄心211に嵌着しても良い。本巻線方法により径方向に背向する内周側スロット及び外周側スロットに収容される同一相巻線の一対のコイル導体には互いに逆方向の電流が流れるので、図4、図7に示した巻線と同様の動作をおこなうことができる。
(他の変形例)固定子巻線212を上記全節巻きの他、短節巻きとしてもよく、毎極毎相の溝数を複数にしても良い。
【0054】また、固定子の内外周に配置されるらロータの磁極部材220、230はSPM(Surface Pormanent Magntt)、すなわち表面磁石構造としてもよい。
【0055】
【実施例2】実施例2の車両用回転電機を図11、図12を参照して説明する。図11はこの車両用回転電機の径方向半断面図、図12はそのAーA線矢視半断面図を示す。
(要部構成)固定子210の内外周面にはスロット213’、213、ティース214’、214が形成されている。
【0056】スロット213’、213は周方向に所定の電気角ピッチで複数個設けられており、ティース214’、214は共通のコアバック215を周方向同位置に配置されている。ティース214’、214には相巻線212、212’が集中巻きされており、互いに120°の電気角離れて配置され三相巻線を形成し、固定子巻線212を構成している。電磁鉄心211の内外周面には、磁極部材として磁石222、232が周方向に所定のピッチで等間隔に配置されている。磁石222、232は周方向に極性交互に、かつ、周方向同位置にて互いに向き合う面が同極性となるように固定子210を挟んで周方向同位置、周方向同ピッチで配列されている。磁石222、232は、椀状で且つ磁極間の磁路をなすヨーク部材240の筒部2411、242に固着されている。筒部2411は椀状部材240の輪板部に固定され、筒部242は実施例1で説明した大径筒部である。
(固定子巻線と磁極との関係)固定子巻線212と磁極との関係を図13を参照して説明する。
【0057】図13はこの実施例における固定子及び回転子の周方向展開図であって、U相巻線を示す。ティース214、214’に対向して磁極222、232が周方向同位置にて対面側が同極性で且つ周方向に交互に異極性となるように配置されている。ティース214’に巻装されるU相巻線は各ティース214’に同方向でまかれて磁極数の1/2回繰り返されてU相の巻線の片側を形成する。ティース214に巻装されるU相巻線は図13に示すようにティース214’と逆向きに巻装される。ティース214、214’に巻装される巻線の巻終り同志が結線されてU相巻線を構成する。このような集中巻きすることにより、ティース214、214’に巻線されたコイルの起動の方向が同一方向となって和の電圧となる。同様に、このティース214、214’の両側に電気角で120°離れたティース214、214’にV相、W相巻線を個別に巻装して固定子巻線212が形成される。
【0058】エンジン100によってクランクシャフト101からロータ250が駆動されると固定子の巻線には内径側の導体に誘起された電圧と外径側の導体に誘起された電圧が和となるので、大きな出力を得ることが出来る。
【0059】本実施例では一つ一つのティースに相巻線を集中巻きするので、コイルエンドを小さくすることができ、車両用回転電機の軸方法を小さくできる。
【0060】
【実施例3】実施例3の車両用回転電機を図14を参照して説明する。図14はこの車両用回転電機の径方向半断面図を示す。
【0061】この実施例では、内側ロータ部220、外側ロータ部230を、シンクロナスレラクタンス構造のロータとしたものである。230、220は共に電磁鉄心231、221に円弧状のスリット233、223(黒ぬり)と円弧状の磁路234、224を複数同心的に形成し、電磁鉄心231、221のステータ210と対向する周面(電磁結合面)に磁気的な凹凸すなわち磁気凸極部を周方向へ所定ピッチで形成したものである。これにより、固定子210が作る回転磁界に同期させてロータ250を駆動することができ、かつ、エンジン100によって駆動されるロータ250で固定子巻線212に発電させることができる。
【0062】このロータ構造を採用すれば、内側ロータ部及び外側ロータ部が電磁鋼板のみとなるので、剛性確保の点で耐遠心力性能が向上し、2つのロータ部220、230を径方向に配置し、固定子210を単一化するので、このロータ構造の欠点である低出力密度という欠点を改善することができる。
【0063】
【実施例4】実施例4の車両用回転電機を図15を参照して説明する。図15はこの車両用回転電機の径方向半断面図を示す。
【0064】この実施例は、図14において内側ロータ部を磁石ロータ構造としたものである。このようにすれば、固定子鉄心の内周面と内側ロータ部との間の出力密度を向上することができる。
【0065】
【実施例5】実施例5の車両用回転電機を図16を参照して説明する。図16はこの車両用回転電機の径方向半断面図を示す。
【0066】この実施例は、図15において、内側ロータ部220の磁気的な凸極である磁石222の中心が外側ロータ部230の磁気的な凸極の周方向中心に対して回転方向へ電気角で45°〜90°遅れた位置に設定している。このようにすれば、一つの固定子巻線210によって位相角制御してトルクを発生させる場合、二つのロータ部220、230の発生トルクの和を増大することができ、出力増大を図ることができる。図17は図15のトルクー位相角関係を示し、図18は図16のトルクー位相角関係を示す。
【0067】
【実施例6】実施例6の車両用回転電機を誘導機構成とした場合を図19、図20を参照して説明する。図19はこの車両用回転電機の径方向半断面図を示す。
【0068】固定子210の内外周面には共通の固定子コイル212が巻装されており、誘導機の籠形回転子構造の内側ロータ部220、外側ロータ部230が、固定子210の内外周面に空隙を介して面している。両磁極部材(両ロータ部)220、230は、一つの固定子巻線によって電磁誘導されるためほぼ同一導体数でほぼ相似形状に形成されている。
【0069】固定子巻線212の巻線図を図20に示す。この例では固定子巻線212は、4極36スロット78%短節重ね巻き分布巻きの三相巻線であり、U相一相について示すがV相、W相もそれぞれ2π/3の位相差を与えるスロットの位置に同様の巻き方で巻装して三相巻線を形成する。固定子巻線212は図6に示すようにコの字状に形成して電機子鉄線の内外二つの巻線巻表面に嵌着すればよい。
【0070】このようにすれば内外周面に配置されたロータ部220、230は一つの固定子巻線212によって駆動されてエンジンを駆動したり、トルクアシストすることができ、車両用回転電機の軸長短縮を実現することができる。
【0071】
【実施例7】実施例7の車両用回転電機を図21〜図23を参照して説明する。
(全体構造)図21は、車両のエンジン100と図示しない変速機の間に搭載した車両用回転電機200の軸方向断面図を、図22は図21におけるAーA線に沿う半断面図を、図23は固定子210の内周側の電磁結合面に空隙を介して対面する界磁極の周方向部分展開図を示す。
【0072】100はエンジン、101はクランクシャフト、102はエンジンハウジングである。200は車両用回転電機であって、固定子210、回転子250、界磁コイル270を有している。回転子250の後端面はクラッチ260を介して図示しない変速機にトルク伝達可能に連結されている。
【0073】固定子210は、積層電磁鋼板からなる円筒形の電磁鉄心211を有し、電磁鉄心211の電磁結合面をなす内、外周面近傍には固定子巻線212が巻装されている。
【0074】電磁鉄心211の内周側電磁結合面に面して形成されたスロット2111及びティース2112と、その外周側電磁結合面に面して形成されたスロット2111’及びティース2112’とは、コアバック213を挟んで配置され、内周側のスロット2111と外周側のスロット2111’とは同数かつ周方向同位置に形成されている。
【0075】214は、電磁鉄心211のコアバック213を軸方向貫通するボルトであって、電磁鉄心211を一体固定するとともに固定部材215を介して固定子210をエンジンハウジング102に固定している。
【0076】上記内周側電磁結合面には空隙を介して誘導型の界磁極構造(本発明でいう内側ロータ部)220が対面している。この界磁極構造220は、誘導子221、界磁コイル270及び磁路部材271を有し、いわゆるランデル型ポール構造となっている。誘導子221は、図23に示すように、軟鉄製のN極部222及びS極部223と、非磁性でリング状の連結部材2213とを有する。
【0077】N極部222は、輪板状支持部2214と、輪板状支持部2214の外周端から周方向所定ピッチでフロント側へ突出する複数の爪状磁極部2212をもつ。S極部223は、円筒部2230と、円筒部2230の後端から周方向所定ピッチでリヤ側へ突出する複数の爪状磁極部2211をもつ。爪状磁極部2211、2212は互いに所定間隔を隔てて周方向互い違いに配置されている。
【0078】各爪状磁極部2211、2212は、軸方向略中央部にて内周側に面して環状の段差部乃至凹部を有し、この段差部乃至凹部に連結部材2213がはめ込まれ、ロー付又は溶接によって接合されて、一体化されている。輪板状支持部2214は、後述する椀状部材240の輪板部243に固定されている。
【0079】界磁コイル270は、誘導子221の内周面に小ギャップを隔てて対面する円筒状の磁路部材271の外周面に設けられた環状溝に収容されている。磁路部材271はいわゆるヨークであって、磁路部材271の前端面は固定子210固定用の固定部材215に固定されている。
【0080】上記外周側電磁結合面には空隙を介して磁石型の界磁極構造(本発明でいう外側ロータ部)230が対面している。この界磁極構造230は、円筒状の電磁鉄心231に複数の永久磁石(単に磁石ともいう)を周方向所定ピッチかつ周方向極性交互に軸方向へ挿入してなり、いわゆるIPM(Interior Parment Magnet)ロータ構造を構成している。電磁鉄心231は、後述する椀状部材240の外周側筒部242に嵌入、固定されている。おり、内周側筒部241においてエンジンのクランクシャフト101に固定される。
【0081】椀状部材240は、前端がクランクシャフト101の後端に締結されて後方へ延在する内周側筒部241と、内周側筒部241の後端とから径外側へ延在して上記外周側筒部242の後端に連なる輪板部243とを有している。椀状部材240の輪板部243の後端面にはクラッチ200の一部が、前端面には上述したように輪板状支持部2214が固定されている。
(界磁コイル270と界磁極との関係)固定子巻線212のU相巻線だけを図24に示す。このU相巻線の巻始めは内周側のスロット2111’を紙面に対して直角方向、即ち電磁鉄心211の積層方向に貫通して裏側に出てコアバック213の側面を径外側へ上がって、外周側のスロット2111に入り、再びスロット2111を電磁鉄心211の積層方向に通って紙面側に戻り、次にスロット2111’を通って同一の巻き方を所定回繰り返した後、スロット2111を出た巻線は3スロットピッチ離れたスロット2111を通って電磁鉄心211の積層方向へ通って紙面の裏側に出、電磁鉄心211のコアバック213を下ってスロット2111’に入り、電磁鉄心211を積層方向に通って紙面側に出、再びスロット2111に入ることを所定回数繰り返し、その後、再び3スロットピッチ周方向に離れたスロット2111’を通って最初の巻き方を繰り返して一相分(U相)の相巻線を形成する。同様にV相、W相の相巻線も形成する。このようにして三相の相巻線からなる単一の固定子巻線が内外電磁結合面に巻装される。
【0082】次に、固定子巻線212が巻装された固定子210の内外周一対の電磁結合面に空隙を介して対面して、界磁極構造220、230が配設される。界磁極構造220、230の各界磁極をなす磁石232及び誘導子221は、図24に示すように互いに同一極性どうしが固定子を挟んで対向する周方向位置に配置される。N、N’はN極をS、S’はS極を示す。これにより、界磁コイル270の励磁電流の作る界磁束は、誘導子221の界磁極2211をS’に、界磁極2212をN’に励磁する。図24中、一点鎖線はこの界磁束を示す。
【0083】すなわち、この実施例では、外周側の磁石による界磁極構造230による界磁磁束も内周側の誘導子による界磁極構造220による界磁束も同じ固定子コイル212と鎖交している。
(動作)次に、この実施例の動作を図25に示す回路図を参照して説明する。
【0084】200は図21に示す回転電機の回路図であり、230は磁石による界磁極、230は誘導子による界磁極、270は界磁コイルである。300は固定子巻線212とバッテリ501との間に設けられる周知の半導体式双方向コンバータであって、固定子巻線212が発生する交流電力を直流電力に変換してバッテリ501を充電したり、バッテリ501の直流電力を交流電力に変換して固定子巻線に供給したりする。
【0085】400は界磁コイル270とバッテリ502との間に設けられる周知の半導体式H形ブリッジであって、それを構成するスイッチング素子のPWM制御により、界磁コイル270に必要な量の励磁電流を供給する。なお、半導体式H形ブリッジ400は必要に応じて通電方向を逆転し、誘導子による界磁極230の方向を反転することができる。
【0086】この回転電機は、大出力時には界磁極構造230、220の両方により励磁されることができる。界磁極構造230の磁界を変えることはできないが、界磁コイル270に流す励磁電流の量及び極性を変更することにより界磁極構造220の磁界及び極性を変えて、発電出力又は電動トルクを制御することができる。
【0087】特に、エンジン回転数が高いにもかかわらず発電電流が小さくてよい場合には、界磁コイル270に逆方向に通電して、固定子巻線212全体としての発電電圧を減らし、発電電流を所望の値に調整することができる。すなわち、界磁極構造220の磁界を界磁コイル270の通電電流制御により制御することができ、回転電機の発電出力を制御することができる。また、遠心力が相対的に大きい外周側の界磁極構造230ではなく、それが小さい内周側の界磁極構成220を誘導子型としたので、界磁コイル270やそれが巻装される鉄心271の収容が容易となり、小型化に一層の有効である。
【0088】なお、この界磁電流制御は、本発明でいう制御部をなすコントローラ800で実施される。コントローラ800は、固定子巻線212の発電電圧と所定の目標電圧との差に応じて界磁電流を調整すればよい。また、発電電流の制御は、固定子巻線212の電流位相角を調整することでも実施できるので、必要に応じて両発電電流制御を組み合わせることができる。たとえば、エンジントルクと逆位相の制振トルクを発生する制御は電流位相角制御で行い、バッテリ電圧に応じて発電電圧の大きさを調整する制御は界磁電流制御で行うことができる。
【0089】車両用回転電機の界磁電流制御による発電電圧制御自体は、車両用交流発電機(いわゆるオルタネータ)技術でもはや周知であるので具体的な説明は省略する。
【0090】(その他の変形態様1)上述した各実施例では、内周側のスロットと外周側のスロットとは周方向同位置に設けられたが、それらを互いに周方向へ好ましくは半スロットピッチだけ変位させてもよい。このような半スロットピッチのスロットシフトは、コアバックにおける平均径方向幅を増大して、その鉄損低減及び発電出力又は電動トルクの増大に有効となる。なお、この時、電機子コイルは固定子210の電磁鉄心211の端面に沿って延在する際、必要な距離だけ周方向に傾設される。
【0091】また、たとえば内周側スロットを周方向に半スロットピッチシフトすると、その分だけ、内周側の固定子巻線も半スロットピッチシフトするので、内側ロータの界磁極220も同じく半スロットピッチシフトされる。
【0092】図26に、一例を示す。
【0093】(その他の変形態様2)図26を除く上述した各実施例では、内側ロータ部220の界磁極と外側ロータ部230の界磁極は、固定子210に面する表面が周方向同一位置で同一極性となるように磁化したが、逆極性となるように磁化してもよい。
【0094】上述のように逆極性となるように磁化すると、両ロータ部220、230及び中間の固定子210を大きく回る単一の共通閉磁路が形成され、コアバックには両ロータ部の界磁極の磁界の差だけの界磁束が流れる構造となるので、コアバックの径方向厚さを減らし、鉄損を減らすことができる。
【0095】図27にその一例を示す。
【0096】なお、内外の固定子コイルは、同一方向に誘起電圧の向きが生じるように巻線し、双方の固定子コイルの巻き終わりと巻き始めとを直列に接続して一つの多相巻線とすることが好適である。
【0097】(その他の変形態様3)上述した各実施例では、内側ロータ部220の界磁極と外側ロータ部230の界磁極は、固定子210に面する表面が同一極性となるように磁化したが、逆極性となるように磁化してもよい。
【0098】上述のように逆極性となるように磁化すると、両ロータ部220、230及び中間の固定子210を大きく回る単一の共通閉磁路が形成され、コアバックには両ロータ部の界磁極の磁界の差だけの界磁束が流れる構造となるので、コアバックの径方向厚さを減らし、鉄損を減らすことができる。
【0099】なお、内外の固定子コイルは、同一方向に誘起電圧の向きが生じるように巻線し、双方の固定子コイルの巻き終わりと巻き始めとを直列に接続して一つの多相巻線とすることが好適である。
【0100】(その他の変形態様2)上述した各実施例では、内側ロータ部220の界磁極と外側ロータ部230の界磁極は、固定子210に面する表面が同一極性となるように磁化したが、逆極性となるように磁化してもよい。
【0101】上述のように逆極性となるように磁化すると、両ロータ部220、230及び中間の固定子210を大きく回る単一の共通閉磁路が形成され、コアバックには両ロータ部の界磁極の磁界の差だけの界磁束が流れる構造となるので、コアバックの径方向厚さを減らし、鉄損を減らすことができる。
【0102】なお、内外の固定子コイルは、同一方向に誘起電圧の向きが生じるように巻線し、双方の固定子コイルの巻き終わりと巻き始めとを直列に接続して一つの多相巻線とすることが好適である。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年11月18日(1999.11.18)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2001−145209(P2001−145209A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−328233