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【発明の名称】 駆動装置の制振装置
【発明者】 【氏名】山田 徳康

【要約】 【課題】内燃機関の出力トルクの振動を電動機の出力トルクによって抑制もしくは防止する。

【解決手段】内燃機関1の出力部材に、弾性緩衝機構4を介して電動機2が連結された駆動装置の制振装置において、内燃機関1が出力するトルクによって電動機2を回転させている状態における電動機2の回転信号に基づいて周期信号を生成する周期信号生成手段と、その周期信号に基づいて前記電動機2の出力トルクを制御して内燃機関1の出力変動に起因するトルク変動を打ち消す電動機トルク制御手段とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関の出力部材に、弾性緩衝機構を介して電動機が連結された駆動装置の制振装置において、内燃機関が出力するトルクによって電動機を回転させている状態における電動機の回転信号に基づいて周期信号を生成する周期信号生成手段と、その周期信号に基づいて前記電動機の出力トルクを制御して内燃機関の出力変動に起因するトルク変動を打ち消す電動機トルク制御手段とを備えていることを特徴とする駆動装置の制振装置。
【請求項2】 内燃機関の出力部材に、弾性緩衝機構を介して電動機が連結された駆動装置の制振装置において、内燃機関の出力回転を検出して得られる回転信号に基づいて周期信号を生成する周期信号生成手段と、その周期信号に基づいて前記電動機の出力トルクを制御して内燃機関の出力変動に起因するトルク変動を打ち消す電動機トルク制御手段とを備えていることを特徴とする駆動装置の制振装置。
【請求項3】 前記周期信号が、前記電動機の制御トルクの振幅を振幅とし、かつ前記内燃機関の1回転中の爆発燃焼回数と前記電動機の回転角との積と、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差と、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差との和を位相とした周期信号であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項4】 前記周期信号が、前記電動機の制御トルクの振幅を振幅とし、かつ前記内燃機関の1回転中の爆発燃焼回数と前記内燃機関の回転角との積と、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差と、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差との和を位相とした周期信号であることを特徴とする請求項2に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項5】 前記電動機の制御トルクの振幅、および前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差が、前記駆動装置の運転状態ごとに実験的に求められた振幅および位相差であることを特徴とする請求項3もしくは4に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項6】 前記電動機の制御トルクの振幅、および前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差が、少なくとも前記内燃機関の出力トルクを伝達する駆動系と前記電動機のトルクを伝達する駆動系とに分けて実験的に求められ、かつその実験的に求められたそれぞれの値に基づいて、前記内燃機関および電動機の各運転状態ごとに、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差と前記電動機の制御トルクの振幅とが演算して求められていることを特徴とする請求項3もしくは4に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項7】 前記電動機の制御トルクの振幅、および前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差が、前記駆動装置をモデル化した多自由度の振動系モデルに基づいて算出されていることを特徴とする請求項3もしくは4に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項8】 前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差が、相互に連結された前記内燃機関と前記電動機とで実測された値であることを特徴とする請求項3もしくは4に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項9】 前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差が、前記内燃機関の点火信号と、前記電動機の回転角度信号とに基づいて算出されていることを特徴とする請求項3もしくは4に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項10】 前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差が、前記内燃機関の爆発燃焼による回転変動を検出して得た検出値と、前記電動機における所定の回転角とに基づいて算出されていることを特徴とする請求項3もしくは4に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項11】 前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差が、前記内燃機関の爆発燃焼で生じる前記内燃機関の回転変動と前記電動機の回転変動との位相差と、その電動機の回転変動の電動機における所定の回転基準からの位相とに基づいて算出されていることを特徴とする請求項3もしくは4に記載の駆動装置の制振装置。
【請求項12】 前記内燃機関と電動機とをトルク伝達可能に選択的に連結する係合装置と、その係合装置が解放状態から係合状態に切り替えられるごとに、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差を学習補正する手段とを更に備えていることを特徴とする請求項3ないし11のいずれかに記載の駆動装置の制振装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関と電動機とが連結された駆動装置に関し、特に内燃機関と電動機との間に弾性緩衝機構が介在された駆動装置を対象とする制振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関と電動機とを有する駆動装置としてハイブリッド駆動装置が知られており、この種のハイブリッド駆動装置は、排ガスの削減および燃費の向上を図るために、車両の駆動装置として用いられるようになってきている。すなわち内燃機関の燃費は、比較的低負荷(低スロットル開度)でかつ比較的低回転数の運転状態で良好になるから、上記のハイブリッド駆動装置では、高負荷・高回転数を必要とする運転状態では、電動機と内燃機関とを併用し、あるいは電動機を単独で使用し、内燃機関は比較的低負荷・低回転の最適燃費線に沿った状態で運転するようにしている。
【0003】また、電動機はその出力を電気的に制御できるなど、制御性が良好であるから、走行のための動力源として使用するのみならず、内燃機関がトルクを出力することに伴う駆動力の変動を抑制するようにトルクを出力したり、また内燃機関の始動するための始動装置として機能したり、さらには発電機として機能してエネルギーの回生をおこなうことも可能である。このような電動機を出力トルクの変動を抑制するための手段として使用する例が特開平9−109694号公報に記載されている。
【0004】この公報に記載された装置は、走行中にエンジンを始動する際の出力トルクの変動を抑制するよう構成した装置であって、遊星歯車装置にエンジンと発電機と出力軸との三者が連結されており、さらにその出力軸にモータが連結されている。このような構成において、エンジンを停止させて走行している際に、発電機を回転もしくは固定した状態で、走行慣性力によってエンジンを始動する場合、エンジンを回転させるためのトルクが出力トルクに対して負のトルクとして作用し、出力トルクの低下によって走行感覚が乱れることがある。そこで上記の公報に記載された装置では、走行中にエンジンを始動するにあたり、出力トルクの変動を演算し、出力軸に連結されているモータのトルクを、その演算結果に基づいて補正し、これによって出力トルクの変動を抑制するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の公報に記載された装置では、エンジンの角加速度と、変速比と、エンジンブレーキトルクと、エンジンの慣性質量とに基づいて減速トルクを算出し、その減速トルクに、電動機側のカウンタギヤ対のギヤ比を掛けて変動トルクを求めている。こうして求められた変動トルクによってモータトルクを補正し、その補正したトルク指令値を出力している。したがって、上記の公報に記載された装置によればエンジンを始動するための負トルクをモータトルクで相殺し、出力トルクの変動を防止することができる。
【0006】しかしながら、エンジンの始動時以外の定常的な運転時では、上記のような変動トルクが生じないので、上記の公報に記載された装置では、トルク変動の抑制のための電動機のトルク制御は行われないことになる。また、上記の装置は、エンジンの爆発燃焼による周期的なトルク変動すなわち振動を考慮して変動トルクを求めていない。そのため、前述したハイブリッド駆動装置で燃費向上のために内燃機関を低負荷・低回転数で運転した場合、内燃機関で生じる低周波振動を上記の装置で抑制することができず、こもり音が大きくなる可能性がある。さらに、上記の公報に記載された装置は、エンジンとモータおよび駆動系統がいわゆる剛結合された車両を対象としているので、ダンパーなどの弾性機構が介在されている場合には、変動トルクを抑制できなかったり、あるいは出力トルクの振動が生じるなどの可能性があった。
【0007】この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、内燃機関に弾性緩衝機構を介して電動機が連結されている駆動装置において、内燃機関での周期的な爆発燃焼による振動を抑制することのできる制振装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】この発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関での間欠的な爆発燃焼に起因する周期的なトルク変動を、周期信号として求め、その周期信号に基づいて電動機のトルクを制御することにより、内燃機関の出力トルクの変動をキャンセルするように構成したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、内燃機関の出力部材に、弾性緩衝機構を介して電動機が連結された駆動装置の制振装置において、内燃機関が出力するトルクによって電動機を回転させている状態における電動機の回転信号に基づいて周期信号を生成する周期信号生成手段と、その周期信号に基づいて前記電動機の出力トルクを制御して内燃機関の出力変動に起因するトルク変動を打ち消す電動機トルク制御手段とを備えていることを特徴とする制振装置である。
【0009】したがって請求項1の発明では、内燃機関を運転することにより発生する出力トルクの変動が電動機の回転信号から既知となって周期信号として求められており、その周期信号に基づいて電動機の出力トルクが制御されるので、電動機のトルクが内燃機関のトルク変動とは位相がずれて変動し、その結果、これらのトルクの和すなわち駆動トルクがほぼ一定になる。
【0010】また、請求項2の発明は、内燃機関の出力部材に、弾性緩衝機構を介して電動機が連結された駆動装置の制振装置において、内燃機関の出力回転を検出して得られる回転信号に基づいて周期信号を生成する周期信号生成手段と、その周期信号に基づいて前記電動機の出力トルクを制御して内燃機関の出力変動に起因するトルク変動を打ち消す電動機トルク制御手段とを備えていることを特徴とする制振装置である。
【0011】したがって請求項2の発明では、内燃機関の回転信号によりその回転変動が既知となって周期信号として求められており、その周期信号に基づいて電動機の出力トルクが制御される。具体的には、電動機のトルクが内燃機関のトルク変動とはずれて変動するように電動機が制御され、その結果、これらのトルクの和すなわち駆動トルクの周期的な変動が防止される。
【0012】請求項3の発明は、請求項1における前記周期信号が、前記電動機の制御トルクの振幅を振幅とし、かつ前記内燃機関の1回転中の爆発燃焼回数と前記電動機の回転角との積と、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差と、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差との和を位相とした周期信号であることを特徴とする制振装置である。
【0013】したがって請求項3の発明では、内燃機関に連結されている電動機の回転信号に基づいて、間欠的な爆発燃焼による内燃機関のトルク変動に対応した周期信号を求めることができ、したがってその周期信号に基づいて電動機を制御することにより、駆動トルクの変動が良好に抑制される。
【0014】請求項4の発明は、請求項2における前記周期信号が、前記電動機の制御トルクの振幅を振幅とし、かつ前記内燃機関の1回転中の爆発燃焼回数と前記内燃機関の回転角との積と、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差と、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差との和を位相とした周期信号であることを特徴とする制振装置である。
【0015】したがって請求項4の発明では、内燃機関の回転信号に基づいて、間欠的な爆発燃焼による内燃機関のトルク変動に対応して周期信号を求めることができ、したがってその周期信号に基づいて電動機を制御することにより、駆動トルクの変動が良好に抑制される。
【0016】請求項5の発明は、請求項3もしくは4の発明において、前記電動機の制御トルクの振幅、および前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差が、前記駆動装置の運転状態ごとに実験的に求められた振幅および位相差であることを特徴とする制振装置である。
【0017】したがって請求項5の発明では、予め実験によって求められているデータを使用して前記周期信号を求めるので、演算が容易になって演算のための手段あるいはシステムを小容量化することができる。
【0018】これに対して請求項6の発明は、請求項3もしくは4の発明において、前記電動機の制御トルクの振幅、および前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差が、少なくとも前記内燃機関の出力トルクを伝達する駆動系と前記電動機のトルクを伝達する駆動系とに分けて実験的に求められ、かつその実験的に求められたそれぞれの値に基づいて、前記内燃機関および電動機の各運転状態ごとに、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差と前記電動機の制御トルクの振幅とが演算して求められていることを特徴とする制振装置である。
【0019】したがって請求項6の発明では、内燃機関の出力トルクを伝達する駆動系と電動機のトルクを伝達する駆動系とに分けて実験的にデータが求められ、そのデータに基づいて演算をおこなって、前記周期信号を決定する振幅および位相差を求めるから、おこなうべき実験の量や記憶させておくべきデータの量が少なくなり、予備的作業を簡素化し、また記憶のための手段を小容量化することができる。
【0020】また、請求項7の発明は、請求項3もしくは4の発明において、前記電動機の制御トルクの振幅、および前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相とその爆発燃焼に関連する前記電動機の制御トルクの位相との位相差が、前記駆動装置をモデル化した多自由度の振動系モデルに基づいて算出されていることを特徴とする制振装置である。
【0021】したがって請求項7の発明では、前記周期信号を決定するための前記振幅や位相差が、振動系モデルに基づいて演算して求められるので、予備的な実験が不要になるうえに、データの記憶のための手段をさらに小容量化することができる。
【0022】請求項8の発明は、請求項3もしくは4の発明において、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差が、相互に連結された前記内燃機関と前記電動機とで実測された値であることを特徴とする制振装置である。
【0023】したがって請求項8の発明では、内燃機関と電動機とを連結して運転した際の実測データを使用して前記の周期信号を求めることになるので、演算が容易になって演算のための手段あるいはシステムを小容量化することができる。
【0024】これに対して請求項9の発明は、前記請求項3もしくは4の発明において、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差が、前記内燃機関の点火信号と、前記電動機の回転角度信号とに基づいて算出されていることを特徴とする制振装置である。
【0025】したがって請求項9の発明では、内燃機関についての点火信号を知り得れば、内燃機関と電動機との位相差を求めることが可能になり、したがって内燃機関の回転を検出するための手段あるいは機構を簡素化することができる。
【0026】さらに、請求項10の発明は、請求項3もしくは4の発明において、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差が、前記内燃機関の爆発燃焼による回転変動を検出して得た検出値と、前記電動機における所定の回転角とに基づいて算出されていることを特徴とする制振装置である。
【0027】したがって請求項10の発明では、内燃機関の回転を検出して得た内燃機関の回転変動の位相と電動機の回転角とから内燃機関と電動機との位相差を求めるので、内燃機関の回転を検出するセンサなどの検出手段の取付精度に関係なく内燃機関と電動機との位相差を求めることができる。
【0028】請求項11の発明は、請求項3もしくは4の発明において、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差が、前記内燃機関の爆発燃焼で生じる前記内燃機関の回転変動と前記電動機の回転変動との位相差と、その電動機の回転変動の電動機における所定の回転基準からの位相とに基づいて算出されていることを特徴とする制振装置である。
【0029】したがって請求項11の発明では、内燃機関の回転変動と電動機の回転変動との位相差は、予め実測し、あるいは振動計算で求めておくことができるから、電動機の回転のみをセンサなどで検出すればよく、内燃機関側のセンサなどの検出手段が不要になる。
【0030】そして、請求項12の発明は、請求項3ないし11のいずれかの発明において、前記内燃機関と電動機とをトルク伝達可能に選択的に連結する係合装置と、その係合装置が解放状態から係合状態に切り替えられるごとに、前記内燃機関の爆発燃焼に関連する所定の位相と前記電動機の予め定めた基準位相との位相差を学習補正する手段とを更に備えていることを特徴とする制振装置である。
【0031】したがって請求項12の発明では、内燃機関と電動機とが係合装置によって連結され直す都度、相互の位相差が学習補正される。そのため、内燃機関と電動機との連結が一時的に解かれる構成の駆動装置であっても、駆動トルクの変動を電動機を制御することにより良好に抑制することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする駆動装置の一例について説明すると、図1に示すハイブリッド駆動装置は、駆動力源としてエンジン(E/G:内燃機関)1とモータ・ジェネレータ(MG:電動機)2とを備えている。そのエンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどのレシプロタイプの内燃機関であり、以下の例では、点火プラグによって混合気に着火することにより燃料を爆発的に燃焼させるタイプのエンジンを例にして説明する。また、モータ・ジェネレータ2は永久磁石型同期電動機などの発電機能を備えた電動機を用いることができ、その制御ための回転角を検出する回転センサ(例えばレゾルバー)3を備えている。
【0033】エンジン1の出力側にダンパー4が取り付けられ、そのダンパー4を介して変速機(A/T)5が連結されている。この変速機5は、一例として有段式もしくは無段式の自動変速機であり、前記モータ・ジェネレータ2は、その自動変速機5の入力側すなわちダンパー4と自動変速機5との間に連結されている。言い換えれば、エンジン1とモータ・ジェネレータ2とがダンパー4を介して連結されている。そして、自動変速機5の出力軸がデファレンシャル6を介して左右の駆動輪7に連結されている。
【0034】上記のエンジン1は、スロットル開度を電気的に制御できる電子スロットルバルブや燃料の供給量を電気的に制御できる燃料噴射装置、バルブの開閉タイミングを連続的に変化させることのできる可変バルブタイミング機構(VVT)、点火時期を変更する機構(それぞれ図示せず)を備えており、これらの機構もしくはシステムを制御するための電子制御装置(E−ECU)8が設けられている。このエンジン1用の電子制御装置8は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータを使用して所定のプログラムに基づいて演算をおこない、その演算結果に基づいて所定の指示信号を出力するように構成されている。その入力されるデータおよび出力する信号の例を挙げれば、点火信号Ing1 、点火タイミング信号(例えば進角値)Ing2 、クランク回転角信号(エンジン回転角信号)θE 、エンジン回転数NE 、スロットル開度Thrなどである。
【0035】また、前記モータ・ジェネレータ2の出力や発電量を制御するための電子制御装置(MG−ECU)9が設けられている。このモータ・ジェネレータ2用の電子制御装置9も前述した電子制御装置8と同様にマイクロコンピュータを主体として構成され、前記レゾルバー3による回転信号などの入力信号および予め記憶しているデータを使用して所定のプログラムに従う演算をおこなって、モータ・ジェネレータ2に対する制御トルクTc の指示信号などの制御信号を出力するようになっている。なお、特には図示しないが、モータ・ジェネレータ2の出力トルクや発電量は、インバータを介して制御するようになっている。
【0036】さらに、自動変速機5を制御するための、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(T−ECU)10が設けられている。これは、従来の自動変速機用電子制御装置と同様に、車速やスロットル開度などの走行状態を示す入力データに基づいて変速比iを決定し、その変速比を達成するように自動変速機5に対して変速信号を出力し、また入力トルクに応じた油圧となるように油圧を制御し、さらにはロックアップクラッチ(図示せず)の係合・解放ならびにスリップ状態の制御をおこなうようになっている。
【0037】上記の各電子制御装置8,9,10がハイブリッド制御装置(HV−ECU)11にデータ通信可能に接続されている。この電子制御装置11もマイクロコンピュータを主体にして構成されており、所定のセンサ(図示せず)から直接入力されたデータや上記の各電子制御装置8,9,10から入力されたデータに基づいて演算をおこなって所定の制御信号を出力するように構成されている。
【0038】上記のハイブリッド駆動装置では、駆動力源としてエンジン1およびモータ・ジェネレータ2を備えているので、多様な走行モードを設定することができる。例えば、エンジン1のみを使用して走行するエンジン走行モード、モータ・ジェネレータ2のみを使用して走行するモータ走行モード、エンジン1に加えてモータ・ジェネレータ2を駆動するモータアシストモード、エンジン1の動力によってモータ・ジェネレータ2を駆動して発電をおこなう発電モード、車両の走行慣性力によってモータ・ジェネレータ2を駆動して発電をおこなう回生モード、モータ・ジェネレータ2の動力によって停止状態のエンジン1を駆動してエンジン1を始動する始動モードなどが可能である。
【0039】さらに、これらのモードに加えて、エンジン1の出力トルクの爆発燃焼に起因する振動をモータ・ジェネレータ2の出力トルクで抑制する制御が可能である。すなわち上記のエンジン1は、シリンダの内部で燃料と空気との混合気が爆発的に燃焼することによりピストンが押し下げられ、そのピストンの直線的な運動をクランク軸を介して回転運動に変換して出力するように構成されている。4サイクルエンジンでは、このような混合気の爆発的な燃焼が、2回転の内に1つのシリンダで1回、発生する。そのため、エンジン1の出力トルクは、周期的に変動せざるを得ず、その周波数は回転数に応じて増減し、低回転数では低周波の振動となり、こもり音の原因となる。
【0040】この発明に係る制振装置は、このようなエンジン1の出力トルクの変動(振動)による駆動トルクの変動を、上記のモータ・ジェネレータ2によって抑制する制御を実施するように構成されている。以下、具体例に沿って説明する。
【0041】駆動トルクの変動の要因の一つは、エンジン1で混合気の爆発的な燃焼が間欠的に生じ、またエンジン1の出力側に弾性緩衝機構であるダンパー4が介在されていることであり、したがってそのトルク変動は周期的なものであり、その周期は、エンジン1の1回転中の混合気の爆発燃焼の回数に関係したものとなる。また、そのトルク変動のピークは、エンジン1の上死点で生じるわけではなく、また点火信号と同時に生じるわけではないので、エンジン1の爆発燃焼に起因するトルク変動の位相は、上死点などに対してずれている。さらに、制振のために制御するモータ・ジェネレータ2と振動の発生源であるエンジン1との相対的な取付位相(モータ・ジェネレータ2の所定の基準回転角度に対するエンジン1の回転角度の差)が存在する。
【0042】一方、回転センサであるレゾルバー3を有するモータ・ジェネレータ2とエンジン1とがダンパー4を介して連結されている。したがってエンジン1のトルク変動(回転変動)がモータ・ジェネレータ2の回転変動として検出でき、したがってモータ・ジェネレータ2の回転信号に基づいて下記の(1)式により周期信号を得ることができる。
【式1】

【0043】ここで、Tc は制振のためのモータ・ジェネレータ2に対する制御トルク指示値、T0 はその制御トルク振幅、Nはエンジン1の1回転あたりの爆発燃焼回数であって、4サイクルエンジンではシリンダ数(気筒数)を“2”で除した値、θ0 はエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との差、θ1 はエンジン1での爆発燃焼の位相とモータ・ジェネレータ2での所定の回転基準点の位相との差(エンジン1モータ・ジェネレータ2との取り付け位相差)である。
【0044】上記の(1)式に基づいてモータ・ジェネレータ2のトルクを制御することによりエンジン1での爆発燃焼に起因する変動が駆動トルクに現れることを抑制することができる。したがって(1)式における制御トルク振幅T0 と各位相差θ0 ,θ1 を求めることにより、モータ・ジェネレータ2を制御することができる。
【0045】図2は、(1)式に基づくモータ・ジェネレータ2の制御のためのフローチャートを示しており、先ず、制御トルク振幅T0 およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 が、エンジン回転数NE 、変速比i、スロットル開度Thr、エンジントルク推定値TEi、モータ・ジェネレータ2の平均トルク(モータ平均トルク)TMav に基づいて求められる(ステップS1およびステップS2)。具体的には、エンジン回転数NE 、変速比i、スロットル開度Thr(もしくはエンジントルク推定値TEi)、モータ平均トルクTMav をそれぞれ数水準に変化させて予め実験をおこない、制振効果が最大となる最適な制御トルク振幅T0 (NE ,i,Thr,TMav)もしくはT0 (NE ,i,TEi ,TMav)、およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0(NE ,i,Thr,TMav)もしくはθ0 (NE ,i,TEi ,TMav)を測定し、マップとして記憶しておく。そしてエンジン1や自動変速機5などの実際の運転状態に基づいてそれに対応する制御トルク振幅T0 およびがそのマップから読み出される。
【0046】つぎにエンジン1での爆発燃焼の位相とモータ・ジェネレータ2での所定の回転基準点の位相との位相差θ1 が求められる(ステップS3)。この位相差θ1は、ハイブリッド駆動装置の構造上の位相差であり、実測値から求められる。すなわちエンジン1およびダンパー4ならびにモータ・ジェネレータ2の組付け時に、エンジン1の上死点などのエンジン回転角基準点とモータ・ジェネレータ2の回転基準点との位相との位相差θ1aを実測する。また、実際には、点火時期の進角制御をおこない、シリンダ内圧が最大となるのは点火時期に対して所定の遅れがあるので、実測値θ1aを点火時期(点火タイミング)Ign2 などによって補正し、その補正した値を前記の位相差θ1 として採用する。
【0047】こうして求めた各パラメータT0 ,θ0 ,θ1 を上記の(1)式に代入して制御トルク指示値Tc が算出される(ステップS4)。そしてそのモータ回転信号θM に基づく周期信号から得られた制御トルク指示値Tc によってモータ・ジェネレータ2を制御する(ステップS5)。したがってその周期信号がエンジン1の爆発燃焼に起因するトルク変動(回転変動)を反映したものであるから、モータ・ジェネレータ2の出力トルクがエンジントルクの変動を抑制もしくは相殺するように変動し、その結果、ハイブリッド駆動装置から出力されるトルクすなわち車両の駆動トルクの変動が防止もしくは抑制され、車体の振動やこもり音が防止される。
【0048】また、上記の制御は、フィードフォワード制御であって、フィードバック制御をおこなわないので、モータ・ジェネレータ2の応答特性による位相遅れを是正するための位相進み補償器を追加したり、それが原因で発散振動が生じたりすることを未然に防止することができる。さらに、モータ・ジェネレータ2における回転センサすなわちレゾルバー3の取付部にガタがあっても制御性能が影響されず、駆動トルクの変動を良好に抑制もしくは防止することができる。
【0049】ここで上記の具体例とこの発明との関係を説明すると、図2に示すステップS4を実行する機能的手段が、請求項1の発明における周期信号生成手段に相当し、またステップS5を実行する機能的手段が、電動機トルク制御手段に相当する。また、上記の例では、各パラメータT0 ,θ0 ,θ1 を実験的に求めており、これは、請求項5の発明の具体例に相当する。
【0050】上述した制御では、制御トルク振幅T0 およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 を、エンジン回転数NE と、変速比iと、スロットル開度Thrもしくはエンジン推定トルクTEiと、モータ平均トルクTMavとをパラメータとして求めるから、そのマップは4次元マップとなる。そのマップおよびマップに基づく演算を簡素化するためには、モータ応答特性や駆動系振動特性あるいはエンジン強制力などの要素に分けて計算することが好ましい。
【0051】そのように構成された制振装置は請求項6の発明の具体例に相当し、その例を説明すると、先ず、エンジン回転数NE (すなわちモータ・ジェネレータ2の回転数)とモータ平均トルクTMav を数水準変化させ、制御トルク指示値Tc に対する実際の制御トルクの振幅倍率Ka (NE ,TMav )と位相差θa (NE ,TMav )を実験的に求め、マップ化して用意する。
【0052】また一方、それぞれの変速比iについて、モータ平均トルクを予め定めた値もしくはゼロ(TMav =TMav0 もしくは0)とし、かつエンジン推定トルクTEiを予め定めた値もしくは最大(TEi =TEi0もしくはTEimax)として、エンジン回転数NE を数水準変化させ、最適な制御トルク振幅T0x(i,NE )およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との最適な位相差θ0x (i,NE )を実験的に求め、マップ化して用意する。そして下記の(2)式で示される比例計算によってそれぞれの運転状態での制御トルク振幅T0 (NE ,i,TEi,TMav )を求め、また(3)式で示される加減算によってそれぞれの運転状態でのエンジン1の爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 (NE,i,TEi,TMav )を求める。
【式2】

【式3】

【0053】なお、エンジン1での爆発燃焼の位相とモータ・ジェネレータ2での所定の回転基準点の位相との位相差θ1 は、前述した例と同様にして求めればよい。そして、モータ・ジェネレータ2の回転角θM がレゾルバー3によって検出されているので、前述した(1)式によって制御トルク指示値Tc が算出でき、その算出値に基づいてモータ・ジェネレータ2を制御することにより、エンジン1の爆発燃焼に起因するトルク変動(振動)を防止もしくは抑制することができる。
【0054】したがってこのようにして制御をおこなえば、制御トルク振幅T0 およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 の演算に使用する振幅倍率Ka や前記の位相差θa 、実験的に求めた最適な制御トルク振幅T0x、実験的に求めた最適な位相差θ0xなどのマップ値は、それぞれ2つのパラメータで表される2次元マップとなるから、それらのマップが簡素化され、それに伴って電子制御装置で実行する制御プログラムが簡略化され、またそのマップ値を得るための実験数を削減することができる。すなわち、モータ平均トルクTMav をゼロあるいは所定値に固定した状態で、最適な制御トルク振幅T0xおよび位相差θ0xを求めており、これは、エンジン1の出力トルクを伝達する駆動系統とモータ・ジェネレータ2のトルクを伝達する駆動系と分解した実測であり、そのために、マップが2次元化できる。
【0055】上述した各制御例は、実験的にデータを求めてマップ値を用意しておく例であるが、この発明では、図1に示すハイブリッド駆動装置を多自由度の振動系でモデル化し、そのモデルに基づいたシュミレーションによる計算を併用することができる。具体的には、各変速比iについての最適な制御トルク振幅T0x(i,NE )およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との最適な位相差θ0x(i,NE )を上述した特定のモータ平均トルクおよびエンジン推定トルクでの実験によらず、モデルに基づく振動計算によって求める。
【0056】すなわち、上記のハイブリッド駆動装置は、エンジン1、およびダンパー4、ならびにモータ・ジェネレータ2および自動変速機3、さらにドライブシャフトのそれぞれが、ここに挙げた順に連結されている振動系にモデル化でき、そのエンジン1とドライブシャフトとの間の伝達関数G1(s)と、モータ・ジェネレータ2とドライブシャフトとの間の伝達関数G2(s)とを求める。その第1の伝達関数G1(s)とエンジントルクのラプラス変換との積と、第2の伝達関数G2(s)とモータ・ジェネレータ2のトルクのラプラス変換との積との和、すなわちすなわちドライブシャフトのトルクのラプラス変換の和をゼロとした方程式をたて、これをモータトルクについて解き、その絶対値が、所定の変速比iについて最適な制御トルク振幅T0x(i,NE )として求められる。また所定の変速比iについてのエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との最適な位相差θ0x(i,NE )は、各伝達関数の比における複素位相成分として求めることができる。これを式で例示すれば、以下のとおりである。
【式4】

【0057】こうして振動計算によって求められた最適な制御トルク振幅T0x(i,NE )および最適な位相差θ0x(i,NE )を使用して前記の(2)式および(3)式によって制御トルク振幅T0 (NE ,i,TEi,TMav )およびエンジン1の爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 (NE ,i,TEi,TMav )を算出する。
【0058】なお、エンジン1での爆発燃焼の位相とモータ・ジェネレータ2での所定の回転基準点の位相との位相差θ1 は、前述した例と同様にして求めればよい。そして、モータ・ジェネレータ2の回転角θM がレゾルバー3によって検出されているので、前述した(1)式によって制御トルク指示値Tc が算出でき、その算出値に基づいてモータ・ジェネレータ2を制御することにより、エンジン1の爆発燃焼に起因するトルク変動(振動)を防止もしくは抑制することができる。
【0059】したがってこのようにして制御をおこなえば、それぞれの変速比iについての最適な制御トルク振幅T0xおよび最適な位相差θ0xを、実験によらずに計算によって求めることができるので、必要な実験回数を削減でき、その結果、制振装置の設計・製造が容易になる。このように構成した例が、請求項7の発明の具体例に相当する。
【0060】上述した制御例では、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 、すなわちエンジン1での爆発燃焼の位相とモータ・ジェネレータ2での所定の回転基準点の位相(θM =0の点)との位相差θ1 を、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との組み付け時の実測値もしくはこれを点火タイミングIgn2 で補正して求めたが、これに替えて、エンジン1の回転角θE とモータ・ジェネレータ2の回転角θM とを検出し、その検出値に基づいて両者の取り付け位相差θ1 を求めてもよい。
【0061】このように構成した例が請求項8の発明の具体例に相当し、これを説明すると、エンジン1における混合気の燃焼は、点火信号Ign1 に基づく点火によって開始し、点火信号Ing1 の出力から所定時間の後に燃焼による圧力が最大となる。その圧力最大になるまでの回転角度は、エンジン1の仕様などによって予め定まっており、したがって点火信号Ign1 の出力時点の回転角を知り得れば、爆発燃焼の位相を知ることができる。さらに、点火信号Ign1 の出力時点は上死点を基準に制御され、その角度は点火タイミング(点火進角もしくは点火遅角)Ign2によって表され、制御される。結局、爆発燃焼の位相は、上死点を基準に、点火タイミングIng2 および点火信号Ing1 によって知ることができる。これに対してモータ・ジェネレータ2の回転角θM はレゾルバー3によって検出されている。
【0062】したがってエンジン1における上死点信号とレゾルバー3によるモータ・ジェネレータ2の回転信号とによってエンジン回転角基準点とモータ回転基準点との位相差θ1aを求める。ついで、点火タイミングIng2 によりその位相差θ1aを補正して、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差(すなわちエンジン1での爆発燃焼の位相とモータ・ジェネレータ2での所定の回転基準点の位相との位相差)θ1 が求められる。その値は、測定の対象とされたハイブリッド駆動装置に独自の値であり、上記のようにして求められた後に、そのハイブリッド駆動装置のデータとして保持され、使用される。
【0063】なお、この場合、制御トルク振幅T0 およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 は、上述したように実験によってマップ値として求めてもよく、あるいは各要素ごとに分けて実験により求め、その値に基づいて演算して求めてもよく、さらには多自由度振動系にモデル化し、そのモデルに基づいて振動計算によって算出してもよい。こうして得られたデータを使用して前述した(1)式によって制御トルク指示値Tc を算出し、かつその値に基づいてモータ・ジェネレータ2を制御することは、上述した各制御例と同様である。
【0064】したがってこのようにしてエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求める制御によれば、ハイブリッド駆動装置を動作させながらその位相差θ1 を求めるので、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との組み付けを各製品ごとに一定にする必要がなくなり、また組み付け完了時にその位相差θ1を実測する必要がなくなり、したがって組み付け作業が簡素化される。
【0065】前述したように、エンジン1の回転角度と点火信号Ing1 と点火タイミングIng2 さらには爆発燃焼になる最大圧力の回転角度との間には一定の関係がある。そして、これらのうち点火タイミングIng2 はエンジン用電子制御装置8で決定される既知の値であり、また、電化信号Ing1 もエンジン用電子制御装置8から出力され、もしくは機構上定まった値である。したがってこれらの既知のデータからエンジン1における爆発位相を求めることができる。すなわち、点火信号Ing1 を出力した時点のモータ回転角度と、点火タイミングIng2 をモータ回転角に換算した値とからエンジン爆発位相をモータ回転角度で表すことができ、一方、モータ・ジェネレータ2の回転基準点はレゾルバー3からの出力で検出できるから、結局、これらの値からエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求めることができる。この位相差θ1 をそのハイブリッド駆動装置の独自の値として保持し、上述した(1)式による制御トルク指令値Tc の算出に使用する。なお、その場合、他のパラメータすなわち制御トルク振幅T0 やエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 は、上述したいずれかの制御例で述べた方法で求めればよい。
【0066】このように、エンジン1の点火信号Ing1 とモータ・ジェネレータ2の回転角とに基づいて、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求めることとすれば、上述した各制御例で得られる効果に加え、エンジン1の回転角θE を検出する必要がなくなることにより、センサなどの検出手段の削減を図ることができる。このように構成した例が請求項9の発明の具体例に相当する。
【0067】さらにこの発明では、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 をエンジン1での爆発燃焼による回転変動とモータ・ジェネレータ2の回転角とから求めてもよい。その例を説明すると、これは請求項10の発明の具体例に相当し、先ず、エンジン回転角θE を微分してエンジン回転変動(回転角速度)ωE を求める。そのエンジン回転変動ωE のコサイン成分xとサイン成分yとを下記の(5)式で求め、それらの値に基づいて(6)式によりエンジン回転変動ωE とモータ回転角基準点との位相差θ1bを求める。
【式5】

【式6】

【0068】一方、エンジン1での爆発燃焼の位相と爆発燃焼に起因して生じる回転変動の位相とは、所定の位相差(例えば90度)があることが知られている。したがって上記の(6)式で演算された値θ1bからエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求めることができる。
【0069】なお、この場合、制御トルク振幅T0 およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 は、上述したように実験によってマップ値として求めてもよく、あるいは各要素ごとに分けて実験により求め、その値に基づいて演算して求めてもよく、さらには多自由度振動系にモデル化し、そのモデルに基づいて振動計算によって算出してもよい。こうして得られたデータを使用して前述した(1)式によって制御トルク指示値Tc を算出し、かつその値に基づいてモータ・ジェネレータ2を制御することは、上述した各制御例と同様である。
【0070】したがってこのようにしてエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求める制御によれば、エンジン1での点火信号Ing1 や点火タイミングIng2 などの信号を使用することなく、制御トルクの指示値Tc を決定でき、また制振をおこなうことができる。
【0071】ところで、エンジン1とモータ・ジェネレータ2とはダンパー4を介して連結されているから、エンジン1での爆発燃焼に起因する回転変動が、ダンパー4での弾性変形により所定の遅れをもってモータ・ジェネレータ2の回転変動として現れる。この関係を利用してモータ・ジェネレータ2の回転角とその変動とからエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求めることができる。その制御例を以下に説明する。
【0072】以下に説明する制御例は、請求項11の発明の具体例に相当し、先ず、モータ・ジェネレータ2の回転変動(角速度)ωM とエンジン1の回転変動ωE との位相差θ3 を、振動計算もしくは実測によって求めておく。つぎに、ハイブリッド駆動装置を実際に運転し、検出されたモータ回転角度θM を微分してモータ回転変動ωM を求め、これらモータ回転角度θM とモータ回転変動ωM とからモータ回転角基準点とモータ回転変動との位相差θ2 を求める。具体的には、モータ回転変動ωM のコサイン成分xとサイン成分yとを下記の(7)式で算出し、さらにそれらのコサイン成分xとサイン成分yとによって下記(8)式の演算をおこない、θ2bを求める。
【式7】

【式8】

【0073】前述したようにエンジン1での爆発燃焼とそれに起因する回転変動との間には機構上定まる所定の位相差(例えば90度)があるから、上記のθ2bとその位相差とからモータ回転角基準点とモータ回転変動との位相差θ2 が求まる。こうして得られたモータ・ジェネレータ2の回転変動(角速度)ωM とエンジン1の回転変動ωE との位相差θ3 、およびモータ回転角基準点とモータ回転変動との位相差θ2 の和としてエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求めることができる。これらの各位相差θ1 ,θ2 ,θ3 の相互の関係を図に示せば図3のとおりである。
【0074】なお、制御トルク振幅T0 およびエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 は、上述したいずれかの方法で求めればよい。そして、得られた各データを使用して前述した(1)式によって制御トルク指示値Tc を算出し、かつその値に基づいてモータ・ジェネレータ2を制御することは、上述した各制御例と同様である。
【0075】したがってこのようにしてエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求める制御によれば、その位相差θ1 をエンジン1での点火信号Ing1 や点火タイミングIng2 あるいは回転信号を使用することなく決定することができ、エンジン1側のセンサを簡略化することができる。
【0076】ところでハイブリッド駆動装置は、駆動力源としてエンジン1とモータ・ジェネレータ2とを備えていることに加え、モータ・ジェネレータ2が発電機としても機能するので、多様な駆動形態を設定することができ、またそれぞれの駆動形態での効率を向上させるために、エンジン1を選択的に切り離す構成とすることがある。その例を図4に示してあり、(A)は、ダンパー4とモータ・ジェネレータ2もしくは自動変速機5との間にクラッチCを介在させた例である。このような構成であれば、モータ・ジェネレータ2のみの駆動力で走行するいわゆるモータ走行モードの際や走行慣性力でモータ・ジェネレータ2を駆動してエネルギーの回生をおこなっているいわゆる回生モードの際にクラッチCを解放してエンジン1を駆動系統から切り離すことにより、エンジン1を連れ回すことによる動力損失を解消することができる。
【0077】また(B)に示す例では、3つの回転要素を有する遊星歯車機構12を自動変速機5の入力側に配置し、そのいずれかの回転要素にモータ・ジェネレータ2が連結されるとともに、他の回転要素に自動変速機5が連結され、さらに他の回転要素にクラッチC1 を介してエンジン1が連結されている。また、自動変速機5が連結されている回転要素とクラッチC1 が連結されている回転要素とを選択的に連結して遊星歯車機構12の全体を一体化するクラッチC2 が設けられている。
【0078】このような構成のハイブリッド駆動装置では、モータ・ジェネレータ2の駆動力で走行するモータ走行モードでは、第2のクラッチC2 を係合させて遊星歯車機構12の全体を一体化させるとともに、第1のクラッチC1 を解放してエンジン1を遊星歯車機構12から切り離すことにより、モータ・ジェネレータ2での走行時もしくは回生時に、エンジン1を連れ回すことによる動力損失を防止することができる。また、第1のクラッチC1 を係合させるとともに、第2のクラッチC2 を解放して遊星歯車機構12の差動作用を生じさせることにより、エンジン1を反力要素として機能させ、モータ・ジェネレータ2の出力トルクを増幅させて自動変速機5に入力することができる。さらに、各クラッチC1 ,C2 を係合させることにより、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2ならびに自動変速機5を直結状態とすることができ、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の動力で走行し、あるいはエンジン1の動力で走行しつつモータ・ジェネレータ2によって発電することができる。
【0079】これら図4に示す構成のハイブリッド駆動装置では、エンジン1を駆動系統から切り離した後、再度、クラッチを係合させてエンジン1を駆動系統に連結した場合、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 が従前とは変化してしまう。したがって図4に示す構成のハイブリッド駆動装置を対象とする制振装置にあっては、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との間に介在されているクラッチ(係合装置)を係合させる毎に、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を学習補正する。
【0080】このような学習制御をおこなう例は、請求項12の発明の一例であり、その学習補正は、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を求める前述したいずれかの制御例の方法でおこなえばよい。具体的には、請求項8の発明の具体例として説明したように、エンジン回転角θE とモータ回転角θM とからエンジン回転角基準点とモータ回転角基準点との位相差θ1aを求め、これを点火タイミングIng2 を用いて必要な補正をおこなってエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を、再度求める。あるいは請求項9発明の具体例として説明したように、点火信号Ing1 と点火タイミングIng2 とからエンジン1での爆発燃焼の位相を求め、その値とモータ回転角θM とからエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を、再度求める。さらには、請求項10の発明の具体例として説明したように、エンジン回転角θE を微分してエンジン回転変動ωE を求め、そのエンジン回転変動θE とモータ回転角θM とからエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を、再度求める。もしくは請求項11の発明の具体例として説明したように、振動計算もしくは実測によりモータ回転変動ωM とエンジン回転変動ωE との位相差θ3 を求めるとともに、モータ回転角θM を微分してモータ回転変動ωM を求め、その値とモータ回転角θM とからモータ回転基準点とモータ回転変動との位相差θ2を求め、そしてこれらの位相差θ3 ,θ2 の和としてエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を、再度求める。
【0081】このようにしてエンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1を、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との間のクラッチの係合の都度、学習補正する一方、制御トルク振幅T0 とエンジン1での爆発燃焼の位相と制御トルクの位相との位相差θ0 とを前述したいずれかのマップもしくはマップ値に基づく演算もしくは振動計算によって求め、それらの値を使用して前記(1)式で制御トルク指示値Tc を算出することができる。
【0082】このような制御では、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との取り付け位相差θ1 を固定値とせずに、エンジン1とモータ・ジェネレータ2とを連結し直す都度、学習補正するので、図4に示すようなクラッチC,C1 を有するハイブリッド駆動装置であっても、エンジン1の爆発燃焼に起因する振動もしくはこもり音を防止することができる。なお、上記の位相差θ1 の学習補正が完了していない場合には、モータ・ジェネレータ2の出力トルクによる制振制御を禁止することが好ましい。このようにすれば、不完全なデータもしくは誤ったデータに基づく制御がおこなわれないので、振動あるいは騒音が悪化することを未然に防止することができる。
【0083】上述した各具体例は、最終的には前述した(1)式で示される周期信号によって制御トルク指示値Tc を求めることとしている。その周期信号がモータ回転角θM に基づいて決定されるから、上記の各制御例では、モータ・ジェネレータ2の回転角θM を検出すること、すなわちモータ・ジェネレータ2側の回転センサが必須となる。しかしながら駆動トルクもしくはハイブリッド駆動装置を搭載している車両の振動の原因は、エンジン1の間欠的な爆発燃焼であり、しかもエンジン1の回転角を適宜のセンサによって検出できるのであるから、周期信号をモータ・ジェネレータ2の回転信号に基づかずに、エンジン1の回転信号に基づいて決定し、その周期信号に基づいて制振のための制御トルク指示値Tc を得ることができる。
【0084】具体的には、エンジン1に適宜の回転センサを取り付けて回転角θE を検出し、その回転角θE を(1)式のモータ回転角θM に置き換えて下記の(9)式を得、その(9)式で表される周期信号に基づいて制振のための制御トルク指示値Tc を算出し、かつモータ・ジェネレータ2のトルクを制御する。
【式9】

【0085】このように構成された制振装置は請求項2の発明の具体例に相当する。その制振装置おいても、基本的には、図2に示すフローチャートに従って制御を実行する。その場合、制御トルク振幅T0 やエンジン1での爆発燃焼と制御トルクとの位相差θ0 、およびエンジン1の爆発燃焼とモータ・ジェネレータ2の回転角基準点との位相差θ1 は、前述したいずれかの方法で求め、その求められた値を(9)式に代入して制御トルク指示値Tc を求めればよい。
【0086】このように構成した制振装置では、周期信号としてエンジン回転角θE を使用することにより、モータ・ジェネレータ2側の回転センサを使用しないことになる。したがってエンジン1とモータ・ジェネレータ2との回転が同期しない場合やエンジン1とモータ・ジェネレータ2とが切り離されて両者の相対的な位相差が不明な状態であっても、必要なデータを得て制振制御をおこなうことができる。
【0087】なお、上述した各具体例から知られるように、この発明の制振装置は、内燃機関の爆発燃焼に起因するトルク変動を、電動機の出力トルクによって抑制もしくは防止する装置であるから、その電動機は必ずしも内燃機関に替わる駆動力源となるものでなくてもよく、したがってこの発明はハイブリッド駆動装置以外の内燃機関を動力源とする駆動装置の制振装置に適用してもよい。また、この発明における電動機は、内燃機関の出力側に弾性緩衝機構を介して連結されていればよいのであって、その連結箇所は、内燃機関と変速機との間に限定されない。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、内燃機関の間欠的な爆発燃焼に起因する出力トルクの変動が、電動機の回転信号から既知となって周期信号として求められており、その周期信号に基づいて電動機の出力トルクが制御される。したがってフィードバック制御によらずにフィードフォワード制御によって制振をおこなうので、発散振動が生じるおそれがなく、また、電動機のトルクが内燃機関のトルク変動とは位相がずれて変動し、その結果、これらのトルクの和すなわち駆動トルクがほぼ一定になり、ひいては振動や騒音を低減もしくは防止することができる。特に内燃機関の回転数が低い場合の定収は振動やそれに起因するいわゆるこもり音を効果的に低減もしくは防止することができる。
【0089】また、請求項2の発明によれば、内燃機関の回転信号によりその回転変動が既知となって周期信号として求められており、その周期信号に基づいて電動機の出力トルクが制御され、具体的には、電動機のトルクが内燃機関のトルク変動とはずれて変動するように電動機が制御され、その結果、これらのトルクの和すなわち駆動トルクの周期的な変動が防止される。その場合、周期信号は、内燃機関の回転信号に基づいて求められるので、内燃機関と電動機との回転が同期しない場合や両者が切り離されるなどの場合であっても、制振制御を好適におこなうことができる。また、この請求項2の発明でも、請求項1の発明と同様に、フィードバック制御によらずにフィードフォワード制御によって制振をおこなうので、発散振動が生じるなどの不都合を未然に解消することができる。
【0090】請求項3の発明によれば、請求項1の構成において、内燃機関に連結されている電動機の回転信号に基づいて、間欠的な爆発燃焼による内燃機関のトルク変動に対応した周期信号を求めることができるので、その周期信号に基づいて電動機を制御することにより、駆動トルクの変動を良好に抑制もしくは防止することができる。
【0091】請求項4の発明によれば、請求項2の構成において、内燃機関の回転信号に基づいて、間欠的な爆発燃焼による内燃機関のトルク変動に対応して周期信号を求めることができるので、その周期信号に基づいて電動機を制御することにより、駆動トルクの変動を良好に抑制もしくは防止することができる。
【0092】請求項5の発明によれば、請求項3もしくは4の発明において、予め実験によって求められているデータを使用して前記周期信号を求めるので、演算が容易になって演算のための手段あるいはシステムを小容量化することができる。
【0093】一方、請求項6の発明によれば、請求項3もしくは4の発明において、内燃機関の出力トルクを伝達する駆動系と電動機のトルクを伝達する駆動系とに分けて実験的にデータが求められ、そのデータに基づいて演算をおこなって、前記周期信号を決定する振幅および位相差を求めるから、おこなうべき実験の量や記憶させておくべきデータの量が少なくなり、予備的作業を簡素化し、また記憶のための手段を小容量化することができる。
【0094】また、請求項7の発明によれば、請求項3もしくは4の発明において、前記周期信号を決定するための前記振幅や位相差が、振動系モデルに基づいて演算して求められるので、予備的な実験が不要になるうえに、データの記憶のための手段をさらに小容量化することができる。
【0095】請求項8の発明によれば、請求項3もしくは4の発明において、内燃機関と電動機とを連結して運転した際の実測データを使用して前記の周期信号を求めることになるので、演算が容易になって演算のための手段あるいはシステムを小容量化することができる。
【0096】一方、請求項9の発明によれば、前記請求項3もしくは4の発明において、内燃機関についての点火信号を知り得れば、内燃機関と電動機との位相差を求めることが可能になり、したがって内燃機関の回転を検出するための手段あるいは機構を簡素化することができる。
【0097】さらに、請求項10の発明によれば、請求項3もしくは4の発明において、内燃機関の回転を検出して得た内燃機関の回転変動の位相と電動機の回転角とから内燃機関と電動機との位相差を求めるので、内燃機関の回転を検出するセンサなどの検出手段の取付精度に関係なく内燃機関と電動機との位相差を求めることができる。
【0098】請求項11の発明によれば、請求項3もしくは4の発明において、内燃機関の回転変動と電動機の回転変動との位相差は、予め実測し、あるいは振動計算で求めておくことができるから、電動機の回転のみをセンサなどで検出すればよく、内燃機関側のセンサなどの検出手段が不要になる。
【0099】そして、請求項12の発明によれば、請求項3ないし11のいずれかの発明において、内燃機関と電動機とが係合装置によって連結され直す都度、相互の位相差が学習補正されるため、内燃機関と電動機との連結が一時的に解かれる構成の駆動装置であっても、駆動トルクの変動を、電動機を制御することにより良好に抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年11月1日(1999.11.1)
【代理人】 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
【公開番号】 特開2001−136605(P2001−136605A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−311587