| 【発明の名称】 |
エネルギを回生・再用する鉄道車両 |
| 【発明者】 |
【氏名】乾 正幸
【氏名】松岡 英二郎
【氏名】川原 明彦
【氏名】鈴木 英一
【氏名】森田 剛
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| 【要約】 |
【課題】熱として放出している制動エネルギを極力有効利用するとともに駅構内や駅前後の市街地での騒音や排気ガスを低減する鉄道車両を提供する。
【解決手段】動力車に連結される鉄道車両であって、車軸2a、2bに蓄電池10から断流器6とフィルタリアクトル7とインバータ4を介して交流機3a、3bを接続し、該交流機3a、3bは減速時および抑速時には発電機として制動エネルギを蓄電池10に貯蔵し、主として低速走行時に電動機として該蓄電池の電力で車軸2a、2bを駆動するようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】動力車に連結される鉄道車両であって、車軸に蓄電池から断流器とフィルタリアクトルとインバータを介して交流機を接続し、該交流機は減速時および抑速時には発電機として制動エネルギを蓄電池に貯蔵し、主として低速走行時に電動機として該蓄電池の電力で車軸を駆動するようにしたことを特徴とするエネルギを回生・再用する鉄道車両。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、減速および抑速走行時に制動エネルギを電気エネルギに変換して蓄電池に貯蔵し、この貯蔵電力で発進および低速走行の駆動を行う鉄道車両に関するものである。 【0002】 【従来の技術】架線設備のない鉄道路線では、図2(a)に示すように、ディーゼルエンジン15を搭載して、流体変速機16を介して車軸に連結した減速機17を駆動している。そして、減速時には、図示しない圧縮空気を利用した摩擦制動(エアブレーキ装置)を行い、車両の慣性走行エネルギを殆ど熱として放出している。 【0003】なお、図2(a)ではディーゼルエンジン15を2台搭載して前後の台車1の車軸をそれぞれ駆動するようにしている。また、18は燃料タンクである。一方、架線から電力が供給される電気車でも、減速時には上記と同様にエアブレーキによって制動しているのが一般的であるが、制動エネルギを回生するようにしたものもある。 【0004】これは、図2(b)に示すように、各車軸に交流機21を連結し、架線からパンタグラフを介して電力を取り入れ、断流器24、フィルタリアクトル23およびインバータ22を介して交流機21へ接続し、減速時には交流機21を発電機として使用し、制動エネルギを電気エネルギに変換している。 【0005】しかしながら、この回生エネルギは他の編成で使用できない場合があり、このときは回生失効となっている。この場合、回生エネルギは抵抗器または摩擦制動によって熱として放出されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】近年、地球環境に対する関心が高まり、エンジンの燃料消費量を減らして排気ガスを少なくし、かつ、騒音を低減させるための研究が進められ、自動車ではハイブリッドシステムが一部実用化されている。 【0007】鉄道車両では、車両運行データを見ると、路線によって差があるが、各駅停車の運行の場合は、制動距離は路線全長の10〜20%、惰行距離は全長の20〜50%程もある。これらは上記のように殆ど熱として放出されており、この無駄になっているエネルギを回収して利用できるようにしたいという要望がある。 【0008】また、ディーゼルエンジンを搭載した車両は、駅構内や市街地である駅の前後では排気ガスの排出が多く、騒音も大きいので、これを低減したいという要望がある。そこで、自動車で提案されているハイブリッドシステムを採用することが考えられるが、鉄道車両では、自動車に比べ発進・停止間隔が長く、高速運転時間も長いといった特徴があり、特に、車体の質量が大きいので、高速走行時の制動エネルギは巨大であり、これを回生ブレーキで回収しようとすると蓄電池の容量を極めて大きなものにしなければならない。しかし、蓄電池を搭載するスペースおよび車両重量の制約があり十分な性能のハイブリッドシステムを得ることは困難であるという状況である。 【0009】本発明は、このような背景の下に開発されたもので、熱として放出している制動エネルギを極力有効利用するとともに駅構内や駅前後の市街地での騒音や排気ガスを低減する鉄道車両を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するため、次の手段を採った。即ち、動力車に連結される鉄道車両であって、車軸に蓄電池から断流器とフィルタリアクトルとインバータを介して交流機を接続し、該交流機は減速時および抑速時には発電機として制動エネルギを蓄電池に貯蔵し、主として低速走行時に電動機として該蓄電池の電力で車軸を駆動するようにしたことを特徴としている。 【0011】この車両は、制動装置は備えているがディーゼルエンジンなどの動力源を搭載せず、また、パンタグラフなどで外部から電力の供給を受けずに、ディーゼル動車や電気車などの動力車と組み合わせ編成されて走行する。そして、制動または抑速時のエネルギを電気エネルギに変換して回収し、これを貯蔵しておき、発進および低速走行時にこの回収エネルギを利用する。 【0012】鉄道車両では複数の車両を連結して運転されるので、編成車全体でのバランスを考慮して走行させる必要がある。本発明の車両は、制動エネルギの回収と貯蔵を行って発進と低速走行を分担し、中高速走行は編成されている他の動力車に分担させる。 【0013】編成の仕方については路線に応じて適宜選択すればよい。例えば、動力車2両と本発明の車両1両で編成したり、動力車1両と本発明の車両2両で編成してもよい。また、動力車は、ディーゼルエンジンを搭載したディーゼル車でも、架線から電力を受ける電気車のいずれでもよい。 【0014】この車両が連結された編成車の一般的な運転は、停車からの発進時はこの車両の車軸を蓄電池の電力で駆動し、所定の速度になるまで走行させる。このとき、連結されている動力車の車軸は駆動しない。そして、所定の速度になったら、この車両の交流機の駆動を停止し、動力車の車軸の駆動によって走行する。あるいは、特定速度域では交流機と動力車の併用運転を行う。【0015】所定の速度は、例えば、動力車がディーゼル車である場合はディーゼルエンジンの効率のよい回転数域になったときの走行速度とすればよい。定速走行域を走行し、例えば、停止駅近くの減速走行域になったら、動力車の車軸駆動を停止し、この車両の交流機を車軸に電気的に接続し、回生ブレーキとして作用させて、蓄電池に電力として回収する。そして、この電力を次の停車駅からの発進の動力に使用する。 【0016】通常、鉄道車両では、路線ごとに、運行基準が定められ、これに従って走行している。したがって、その時点時点において必要とされる動力が予めデータとして得ることができるので、その路線に応じて動力車による駆動、交流機による駆動および両者の併用、蓄電池の充放電の制御をシミュレーションによって最も効率のよい運転制御を行うようにすればよい。 【0017】 【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示す実施形態例に基づいて説明する。図1は、エネルギを回生・再用する鉄道車両の駆動系統を示す概要図で、図3は各機器の配置を示す平面図である。 【0018】この鉄道車両の台車1の車軸2a、2bには、交流機3a、3bが連結されており、交流機3a、3bは蓄電池10から断流器6、フィルタリアクトル7、インバータ4を介して連結されている。交流機3a、3bは、蓄電池10から電力を得て車軸2a2bを駆動するが、車両の制動時や抑速運転時には発電機として機能し、蓄電池10を充電させる。 【0019】インバータ4は、蓄電池10の直流電力を交流に変換して電動機として機能する交流機3a、3bへ出力し、交流機3a、3bが発電機として機能する場合は、その交流電力を直流に変換して蓄電池10に貯蔵する。フィルタリアクトル7は主に高周波を除去するフィルタであり、断流器6は、直流電気を遮断するためのものである。 【0020】なお、この車両の停止は、図示されてないエアーブレーキシステムによる。8は抵抗器で蓄電池10が上限であるときに発電された電力を抵抗によって放出するためのものである。また、制御装置9は、交流機3a、3bを電動機として作用させたり、発電機として作用させる場合の制御を行うもので、運転室の運転制御盤と接続されている。また、20は蓄電池容量検出器で、下限値と上限値のときに制御信号が出される。 【0021】この車両は、力行時においては、実線Aで示すように、蓄電池10から断流器6およびフィルタリアクトル7を介してインバータ4へ電力が送られ、交流に変換されて交流機3a、3bへ供給される。この場合、蓄電池10の容量が下限値になると、断流器6が作動して蓄電池10からの電力供給は停止する。 【0022】一方、減速または抑速走行時は、点線Bで示すように、交流機3a、3bは発電機として機能し、車軸2a、2bに駆動されて発電し、インバータ4で直流に変換されて蓄電池10へ蓄えられる。このように構成された車両は、動力車、例えばディーゼルエンジンを搭載した車両と連結編成されて運転席に設けられた運行制御器によって、走行制御される。 【0023】この運行制御器には、その路線における車両の運行基準が予め記憶されており、現在位置を検知しながら、運行基準の指示にしたがって制御運転される。車両の運行基準は、始発駅から終着駅までの車両の運転状況をデータ化したもので、始発駅からの各位置における車速や必要動力と発進、加速、減速運転、停止などの動作時期が記憶されている。 【0024】一般的な路線における本発明の車両を連結した編成車の走行制御は次ぎのようになる。出発時には、蓄電池10は十分に充電されており、交流機3a、3bによって駆動し、運行基準に従い、インバータ4に交流機3a、3bの回転数が所定の値になるように指令し、しだいに速度を上昇させて走行する。このとき、動力車の車軸は、動力が伝達されておらず駆動されない。 【0025】この走行中に蓄電池10の容量検出器20から蓄電池容量が下限値であることの信号が送出されたときは、断流器6を作動させて、蓄電池10からの供給を停止し、動力車の車軸の駆動によって走行する。停車信号や減速走行の場合には、交流機3a、3bを発電機として回生ブレーキを作動させ、蓄電池10を充電する。なお、この減速走行時に、蓄電池10の容量検出器20から蓄電池10の容量が上限値であるとの信号が出されたときは、蓄電池10への充電を停止し、抵抗器8へ通電し、抵抗によって放電する。なお、低速域での停車制動は、従来と同じく空気ブレーキによって行う。 【0026】上記の編成車の走行制御は、その線区の走行基準をもとに予め制御プログラムを作成することが可能である。この場合、動力車の必要エネルギを最小にして、かつ、回生電力を抵抗器で放電させることを最小にするようにすればよい。上記の説明をまとめて、回生・再生車両を連結した編成車の走行制御を図4のフローチャートで説明する。 【0027】運転者は、その線区の走行基準をもとに運転操作を行う。ステップ110で、力行であるか減速走行であるか判断され、運転ノッチが入力されたときは、ステップ120に進み、蓄電池10が下限値でないときには、ステップ130へ進む。運転ノッチが低速域である場合は交流機3a、3bを駆動して(ステップ140)走行する。この場合連結されている動力車の車軸は駆動しないが、加速度が不十分であると判断された場合(ステップ150)には、動力車も駆動され併用運転される(ステップ160)。 【0028】そして、この蓄電池10による低速走行において、蓄電池10の容量が下限値であるとの検知情報が入ると(ステップ120)、交流機3a、3bへの電力をOFFにして、動力車の駆動のみによって走行される。運転者が運転ノッチをブレーキノッチへ操作した場合は、ステップ110からステップ200へ進み、交流機3a、3bを発電機として機能させ減速させるとともに、ステップ220へ進み、蓄電池10の容量が上限値であるか否かを判断し、上限値でない場合は交流機3a、3bの発電電力を蓄電池10へ回収する。蓄電池10の容量が上限値のときは、交流機3a、3bの発電電力の蓄電池10への回路は遮断され、抵抗器8へ放電する。 【0029】なお、上記実施形態例では、動力車の制動エネルギについては触れていないが、例えば、動力車が回生ブレーキを備えた電気車である場合には、電気車での回生エネルギを本発明の車両の蓄電池へ回収することも可能である。以上本発明はこの様な実施形態例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。 【0030】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車軸に蓄電池から断流器とフィルタリアクトルとインバータを介して交流機を接続し、該交流機は減速時および抑速時には発電機として制動エネルギを蓄電池に貯蔵し、低速走行時には主として電動機として該蓄電池の電力で車軸を駆動するようにしたので、減速時回収した制動エネルギ分は確実にエネルギ費用を節減でき、ディーゼル車と連結した場合は、燃料消費量を低減するとともに駅構内や駅前後の市街地での騒音や排気ガスを低減することができる。また、電気車と連結した場合は、減速時に架線電圧如何にかかわらず、確実に回生することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390021577 【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社 【識別番号】000004617 【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月1日(1999.11.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082500 【弁理士】 【氏名又は名称】足立 勉 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−136603(P2001−136603A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−310989 |
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