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【発明の名称】 二電源式負荷駆動制御回路
【発明者】 【氏名】北峯 康多

【要約】 【課題】回路構成の複雑化を抑止しつつ回路安全性の格段の向上を実現すること。

【解決手段】高圧が印加される負荷駆動回路部6のスイッチング素子を制御するスイッチング素子駆動制御部7と、それと交信する制御回路部5とを、逆流防止ダイオード91,92を通じて接続することにより、万が一、上記事故が生じてスイッチング素子駆動制御部7の内部電位が異常に上昇しても、それが制御回路部5に波及しないようにしているので、簡素な回路構成でスイッチング素子駆動制御部7から制御回路部5への異常電流逆流を防止することができ、回路安全性の格段の向上を実現した二電源式負荷駆動制御回路を実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】高圧バッテリおよび低圧バッテリの両負極が接続される共通電位ラインと、前記共通電位ラインに接続される−電源端子、前記高圧バッテリの正極に接続される+電源端子、及び、前記両電源端子間の電流経路に接続されるスイッチング素子を有して、前記スイッチング素子の開閉により電気負荷への給電を制御する負荷駆動回路部と、低位電源端が前記−電源端子に、出力端が前記スイッチング素子の制御電極に接続されて、前記スイッチング素子を制御するスイッチング素子駆動制御部と、低位電源端が共通電位ラインに、高位電源端が前記低圧バッテリの正極に接続されて、前記スイッチング素子駆動制御部と交信する制御回路部と、を備え、前記制御回路部は、前記スイッチング素子駆動制御部の信号入力端に接続されて、前記スイッチング素子駆動制御部を通じて前記スイッチング素子を制御する信号出力端と、前記スイッチング素子駆動制御部の信号出力端に接続されて、前記スイッチング素子駆動制御部から前記スイッチング素子の状態に関する信号を受信する信号入力端と、を有する二電源式負荷駆動制御回路において、前記制御回路部の前記信号入力端と前記スイッチング素子駆動制御部の信号出力端との間に介設されて前記スイッチング素子駆動制御部から前記制御回路部への電流を阻止する逆流防止ダイオードと、前記制御回路部の前記信号出力端と前記スイッチング素子駆動制御部の信号入力端との間に介設されて前記スイッチング素子駆動制御部から前記制御回路部への電流を阻止する逆流防止ダイオードと、を含む漏洩電圧遮断回路を備えることを特徴とする二電源式負荷駆動制御回路。
【請求項2】請求項1記載の二電源式負荷駆動制御回路において、前記高圧バッテリから給電されて前記スイッチング素子駆動制御部に電源電圧を印加する制御電源回路部を有することを特徴とする二電源式負荷駆動制御回路。
【請求項3】請求項1記載の二電源式負荷駆動制御回路において、前記低圧バッテリから給電されて前記スイッチング素子駆動制御部に電源電圧を印加する制御電源回路部を有し、前記漏洩電圧遮断回路は、前記低圧バッテリの前記正極と前記制御電源回路部との間に介設されて前記制御電源回路部から前記低圧バッテリへの電流を阻止する逆流防止ダイオードを有することを特徴とする二電源式負荷駆動制御回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二電源式負荷駆動制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、自動車電源として従来の12Vバッテリの他に更に高圧バッテリを搭載して、ますます増大する電力負荷容量への効率送電を実現しようとする提案がある。
【0003】この二電源負荷駆動方式では、車載モータなどの大電力負荷への給電を負荷駆動回路部を通じて高圧バッテリから行い、この負荷駆動回路部のスイッチング素子を、低圧バッテリから給電されるマイコン装置内蔵のコントローラ(制御回路部)で制御するのが通常である。
【0004】図4に、この二電源式負荷駆動制御回路の例を示す。
【0005】1は駆動回路ユニット、2は高圧バッテリ、3は低圧バッテリ、4はモータ、5は制御回路部、6は負荷駆動回路部、7はスイッチング素子駆動制御部、8は制御電源回路部である。
【0006】高圧バッテリ2および低圧バッテリ3の両負極は共通電位ライン(接地ライン)10に接続され、負荷駆動回路部6の−電源端子61、制御回路部5の−電源端子51は共通電位ライン10に接続されている。高圧バッテリ2の正極は負荷駆動回路部6の+電源端子62に接続され、負荷駆動回路部6は、モータ4への給電を制御するスイッチング素子を両電源端子61,62間の電流経路に有している。
【0007】スイッチング素子駆動制御部7の−電源端子71は−電源端子61に、その出力端は上記スイッチング素子の制御電極に接続されており、スイッチング素子駆動制御部7は上記スイッチング素子を制御する。
【0008】制御電源回路部8の高位電源端52は、低圧バッテリ3から給電されてスイッチング素子駆動制御部7の+電源端子72に供給する電源電圧を形成するDC−DCコンバータからなる。
【0009】制御回路部5は、その+電源端子52に低圧バッテリ3の正極から電源電圧を印加されている。制御回路部5の信号出力端53は、信号線100を通じてスイッチング素子駆動制御部7の信号入力端74に接続されて、スイッチング素子駆動制御部7を通じて上記スイッチング素子を制御する。制御回路部5の信号入力端54は、信号線200を通じてスイッチング素子駆動制御部7の信号出力端73に接続されて、スイッチング素子駆動制御部7から上記スイッチング素子の状態に関する信号を受信している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の二電源式負荷駆動制御回路は次の問題をもっていた。
【0011】すなわち、駆動回路ユニット1の接地ターミナル11が共通電位ライン10から外れると、高圧バッテリ2の高電圧は、負荷駆動回路部6、スイッチング素子駆動制御部7、信号線100,200を通じて制御回路部5内の素子に印加され、その結果、耐圧が低い制御回路部5やスイッチング素子駆動制御部7の素子を破壊したり、またはこの電流経路の小電流容量のラインを溶断してしまう。
【0012】また、駆動回路ユニット1内にて、たとえば図4に破線で示すように、高圧バッテリ2から高電圧が印加される高圧回路系と、低圧バッテリ3から低電圧が印加される低圧回路系とがなんらかの原因で接触して、上記と同様に低圧回路系の素子破壊や、ライン溶断といった問題が発生する可能性が生じる。
【0013】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、回路構成の複雑化を抑止しつつ回路安全性の格段の向上を実現することを、その解決するべき課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明の二電源式負荷駆動制御回路によれば、高圧が印加される負荷駆動回路部のスイッチング素子を制御するスイッチング素子駆動制御部と、それと交信する制御回路部とを、逆流防止ダイオードを通じて接続することにより、万が一、上記事故が生じてスイッチング素子駆動制御部の内部電位が異常に上昇しても、それが制御回路部に波及しないようにしているので、簡素な回路構成でスイッチング素子駆動制御部から制御回路部への異常電流逆流を防止することができ、回路安全性の格段の向上を実現した二電源式負荷駆動制御回路を実現することができる。
【0015】請求項2記載の構成によれば請求項1記載の二電源式負荷駆動制御回路において更に、スイッチング素子駆動制御部は、高圧バッテリから給電されて制御電源回路部に電源電圧を印加するので、スイッチング素子駆動制御部と、通常はスイッチング素子駆動制御部や負荷駆動回路部とは離れて配置される制御回路部とは、上記逆流防止ダイオードのみで接続されることになり、スイッチング素子駆動制御部や負荷駆動回路部を含む負荷駆動回路ユニット内での配線間の接触が生じても、制御回路部や低圧バッテリ側に高圧が印加されることがなく、回路安全性が更に向上する。
【0016】請求項3記載の構成によれば請求項1記載の二電源式負荷駆動制御回路において更に、スイッチング素子駆動制御部は制御電源回路部(通常はDC−DCコンバータ)を通じて低圧バッテリから電源電圧を供給されるが、制御電源回路部は逆流防止ダイオードを通じて低圧バッテリから給電されるので、制御電源回路部の低圧回路配線が万が一高圧回路配線に接触しても、低圧バッテリ側に高電圧が印加されることがなく、回路安全性が更に向上する。
【0017】
【発明を実施するための態様】本発明の二電源式負荷駆動制御回路の好適な態様を以下の実施例により具体的に説明する。
【0018】
【実施例1】実施例1の二バッテリ方式の電気自動車に用いた二電源式負荷駆動制御回路を図1に示すブロック回路図を参照して説明する。但し、図4と主要機能が共通する構成要素には図4のそれと同一の符号を用いるものとする。
(構成)図1において、1は駆動回路ユニット、2は高圧バッテリ、3は低圧バッテリ、4はモータ、5は制御回路部、6は負荷駆動回路部、7はスイッチング素子駆動制御部、8は制御電源回路部、9は漏洩電圧遮断回路である。
【0019】高圧バッテリ2および低圧バッテリ3の両負極は共通電位ライン(接地ライン)10に接続され、負荷駆動回路部6の−電源端子61、スイッチング素子駆動制御部7の−電源端子71、制御回路部5の−電源端子51、制御電源回路部8の−電源端子81は共通電位ライン10に接続されている。高圧バッテリ2の正極は負荷駆動回路部6の+電源端子62、制御電源回路部8の+電源端子82に接続され、負荷駆動回路部6は、モータ4への給電を制御するスイッチング素子を両電源端子61,62間の電流経路に有している。
【0020】スイッチング素子駆動制御部7の出力端は上記スイッチング素子の制御電極に接続されており、スイッチング素子駆動制御部7は上記スイッチング素子を制御する。制御電源回路部8は、高圧バッテリ2から給電されてスイッチング素子駆動制御部7の電源電圧を形成する電源回路からなる。制御回路部5は、その+電源端子52に低圧バッテリ3の正極から電源電圧を印加されている。
【0021】制御回路部5の信号出力端53、信号入力端54と、スイッチング素子駆動制御部7の信号出力端73、信号入力端74との間には漏洩電圧遮断回路9が介設されている。
【0022】この実施例の特徴をなすこの漏洩電圧遮断回路9は、逆流防止ダイオード91,92、分圧抵抗93,94、エミッタ接地のトランジスタ95,96を有している。
【0023】制御回路部5の信号出力端53から供給される送信電圧は、信号線100、逆流防止ダイオード91を通じて、分圧抵抗93,94により分圧され、その後、エミッタ接地のトランジスタ95を駆動する。トランジスタ95のオープンコレクタは、スイッチング素子駆動制御部7に信号電圧を供給する。なお、トランジスタ95の負荷はスイッチング素子駆動制御部7に内蔵され、制御電源回路部8はこの負荷に必要な電源電圧を印加する。
【0024】スイッチング素子駆動制御部7の信号出力端73から供給される送信電圧はエミッタ接地のトランジスタ96を駆動し、トランジスタ96のオープンコレクタは逆流防止ダイオード92、信号線200を通じて制御回路部5の信号入力端54に信号電圧を供給する。なお、トランジスタ96の負荷は制御回路部5に内蔵され、低圧バッテリ3はこの負荷に必要な電源電圧を印加する。
【0025】負荷駆動回路部6及びスイッチング素子駆動制御部7の一部を図2に示す部分回路図を参照して説明する。
【0026】負荷駆動回路部6は、三相インバータ回路であって、図2にはそのU相のインバータ回路63が示されている。このU相のインバータ回路63は、それぞれ本発明でいうスイッチング素子をなすハイサイドスイッチ64とローサイドスイッチ65とを直列接続し、−電源端子61と+電源端子62との間に接続してなる。
【0027】スイッチング素子駆動制御部7は、これらスイッチ64、65を電流制限抵抗rを通じて制御するためのドライバ回路75、76を有する。これらドライバ回路はそれぞれインバータ回路であって、ドライバ回路75の低位電源端はU相のインバータ回路63の出力端に接続され、ドライバ回路76の低位電源端は−電源端子61に接続されている。両ドライバ回路75,76の高位電源端の電位は周知のごとく必要に応じて変更可能である。
(動作)この回路装置の動作を説明する。
【0028】制御回路部5の制御電圧は、信号線100及び漏洩電圧遮断回路9を通じてスイッチング素子駆動制御部7に入力され、スイッチング素子駆動制御部7でドライバ回路75,76で必要な電圧、出力インピーダンスに置換されて負荷駆動回路部6のスイッチ64,65を駆動制御する。
【0029】スイッチ64,65の電気的状態は、スイッチング素子駆動制御部7内の図示しない回路で信号電圧に置換され、漏洩電圧遮断回路9を通じて制御回路部5に二値電圧信号として送信される。
(接地オープン事故)駆動回路ユニット1の接地ターミナル11が共通電位ライン10から外れると、図2に示す負荷駆動回路部6とスイッチング素子駆動制御部7との間の配線を通じて高圧バッテリ1の高電位がスイッチング素子駆動制御部7の回路素子に印加され、更にこの高電位は漏洩電圧遮断回路9、信号線100,200を通じて制御回路部5に波及しようとするが、この波及は、漏洩電圧遮断回路9の逆流防止ダイオード91,92により遮断され、回路は安全に保護される。
【0030】また、駆動回路ユニット1内には、低圧バッテリ1又は制御回路部5から漏洩電圧遮断回路9を介することなく給電されることがないので、駆動回路ユニット1内の配線接触事故が制御回路部5に遡及することがない。
【0031】
【実施例2】実施例2の二バッテリ方式の電気自動車に用いた二電源式負荷駆動制御回路を図3に示すブロック回路図を参照して説明する。但し、図14と主要機能が共通する構成要素には図1のそれと同一の符号を用いるものとする。
(構成)この二電源式負荷駆動制御回路は、図1に示す二電源式負荷駆動制御回路において、制御電源回路部8へ漏洩電圧遮断回路9の逆流防止ダイオード97を通じて低圧バッテリ3から給電するように変更した点だけが異なっている。
(動作)制御電源回路部8は、漏洩電圧遮断回路9の逆流防止ダイオード97を通じて低圧バッテリ3から給電され、図2に示すローサイドスイッチ63を制御するドライバ回路76にはそのまま、図2に示すハイサイドスイッチ64を制御するドライバ回路75には内蔵のDC−DCコンバータ回路(図示せず)を通じて電源電圧を給電する。
(接地オープン事故)駆動回路ユニット1の接地ターミナル11が共通電位ライン10から外れると、図2に示す負荷駆動回路部6とスイッチング素子駆動制御部7との間の配線を通じて高圧バッテリ1の高電位がスイッチング素子駆動制御部7の回路素子に印加され、更にこの高電位は漏洩電圧遮断回路9や制御電源回路部8を通じて低圧バッテリ3の正極に波及しようとするが、この波及は、漏洩電圧遮断回路9の逆流防止ダイオード97により遮断され、回路及び低圧バッテリ3は安全に保護される。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年10月26日(1999.10.26)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2001−128314(P2001−128314A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−303986