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【発明の名称】 ハイブリッド車両の制御装置
【発明者】 【氏名】若城 輝男

【氏名】澤村 和同

【氏名】沖 秀行

【氏名】中畝 寛

【氏名】泉浦 篤

【氏名】北島 真一

【要約】 【課題】蓄電装置の残容量が減少傾向にあり初期残容量が所定量減少した場合に初期残容量に応じて蓄電装置の充電を行うものを提供する。

【解決手段】走行開始時のバッテリの初期残容量に対する放電量の下限閾値と上限閾値を設定する下限閾値設定手段S060及び上限閾値設定手段S061と、バッテリ残容量が下限閾値まで減少した場合にモータ制御をバッテリ回復傾向に変更するモード設定手段S054と、バッテリ残容量が上限閾値に到達した場合にモード設定手段により変更されたモードの設定を解除するモード設定解除手段S062と、バッテリの初期残容量に対する現在の残容量の放電量を検出する放電深度検出手段S063を備え、放電深度に応じてモータによるエンジン駆動補助の可否を判定する閾値を変更し、バッテリの初期残容量が多いほどエンジン駆動補助の可否を判定する閾値を下げることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の推進力を出力するエンジンと、該エンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータと、モータに電力を供給し又は車両減速時のモータの回生作動により得られた回生エネルギーを蓄電する蓄電装置と、前記車両の運転状態に応じて前記モータによるエンジンの出力補助の可否を判定するアシスト判定手段とを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、車両の走行開始を検出する走行開始検出手段と、蓄電装置の残容量を算出する残容量検出手段と、走行開始が検出されたときの蓄電装置の初期残容量に対する現在の残容量の放電量を検出する放電深度検出手段と、前記初期残容量に対する放電量の下限閾値を設定する下限閾値設定手段と、上記初期残容量に対する発電量の上限閾値を設定する上限閾値設定手段と、蓄電装置の残容量が上記下限閾値まで減少した場合に前記モータの制御を変更するモード設定手段と、蓄電装置の残容量が上記上限閾値に到達した場合に前記モード設定手段により変更されたモータの制御モードの設定を解除するモード設定解除手段と、前記モード設定手段によりモータの制御が変更された場合に前記放電深度検出手段により検出された放電深度に応じて、前記アシスト判定手段による判定の基準となるエンジン出力補助の判定閾値を補正する判定閾値補正手段と、この判定閾値補正手段によって補正された判定閾値を、さらに前記蓄電装置の初期残容量に応じて補正する判定閾値残容量補正手段とを備えたことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】 上記判定閾値残容量補正手段は、蓄電装置の初期残容量が多いほど、判定閾値の補正量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エンジン及びモータ駆動によるハイブリッド車両の制御装置に係るものであり、特に、モータ駆動により蓄電装置の充放電バランスが放電過多となる走行状態における充放電バランスを蓄電装置の初期残容量に応じて回復させることができるハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両走行用の動力源としてエンジンの他にモータを備えたハイブリッド車両が知られている。このハイブリッド車両の一種に、モータをエンジンの出力を補助する補助駆動源として使用するパラレルハイブリッド車がある。このパラレルハイブリッド車は、例えば、加速時においてはモータによってエンジンを駆動補助し、減速時においては減速回生によってバッテリ等への充電を行なう等様々な制御を行い、バッテリの電気エネルギー(以下、残容量という)を確保して運転者の要求に対応できるようになっている。例えば、高速走行の後には大きな減速回生が得られるため、バッテリは減速時に消費分の一部を回収することができ、山道等の登坂走行の後には、その後に下り坂を走行する場合の減速回生によりバッテリを充電することができる(特開平7−123509号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のハイブリッド車両にあっては、例えば、減速した後すぐに急加速する等、減速回生を十分に確保できない状況で運転したり、山道の登坂走行の後に、更に平坦地で走行を続けなければならないような場合がある。前者のような運転をした場合には、回生を取れないため走行を続けるうちにバッテリ等の残容量は増加することなく減少してゆき、後者のような道路状況では、下り坂での走行がないかぎり登坂走行において使用した余分なバッテリ残容量を回復することはできないという問題がある。そこで、この発明は、上記蓄電装置の残容量が増加より減少傾向にあり残容量が初期読み込み値から所定量減少した場合に蓄電装置の初期残容量に応じて蓄電装置の充電を行うハイブリッド車両の制御装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車両の推進力を出力するエンジン(例えば、実施形態におけるエンジンE)と、該エンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータ(例えば、実施形態におけるモータM)と、モータに電力を供給し又は車両減速時のモータの回生作動により得られた回生エネルギーを蓄電する蓄電装置(例えば、実施形態におけるバッテリ3)と、前記車両の運転状態に応じて前記モータによるエンジンの出力補助の可否を判定するアシスト判定手段(例えば、実施形態におけるステップS122,S135)とを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、車両の走行開始を検出する走行開始検出手段(例えば、実施形態におけるステップS050)と、蓄電装置の残容量(例えば、実施形態における残容量SOC)を算出する残容量検出手段(例えば、実施形態のバッテリECU31)と、走行開始が検出されたときの蓄電装置の初期残容量(例えば、実施形態のステップS057におけるバッテリ残容量のイニシャル値SOCINT)に対する現在の残容量の放電量(例えば、実施形態のステップS063における放電深度DOD)を検出する放電深度検出手段(例えば、実施形態のバッテリECU31)と、前記初期残容量に対する放電量の下限閾値(例えば、実施形態におけるステップS060の下限閾値SOCLMTL)を設定する下限閾値設定手段(例えば、実施形態におけるステップS060)と、上記初期残容量に対する発電量の上限閾値(例えば、実施形態におけるステップS061の上限閾値SOCLMTH)を設定する上限閾値設定手段(例えば、実施形態におけるステップS061)と、蓄電装置の残容量が上記下限閾値まで減少した場合に前記モータの制御を変更するモード設定手段(例えば、実施形態におけるステップS054)と、蓄電装置の残容量が上記上限閾値に到達した場合に前記モード設定手段により変更されたモータの制御モードの設定を解除するモード設定解除手段(例えば、実施形態におけるステップS062)と、前記モード設定手段によりモータの制御が変更された場合に前記放電深度検出手段により検出された放電深度に応じて、前記アシスト判定手段による判定の基準となるエンジン出力補助の判定閾値(例えば、実施形態における、スロットルアシストトリガ閾値MAST、吸気管アシストトリガ閾値MTHAST、吸気管アシストトリガ閾値MASTTH)を補正する判定閾値補正手段(例えば、実施形態のステップS103、S111、S123)と、この判定閾値補正手段によって補正された判定閾値を、さらに前記蓄電装置の初期残容量に応じて補正する判定閾値残容量補正手段(例えば、実施形態のステップS160,S207,S257)とを備えたことを特徴とする。
【0005】このように構成することで、例えば、急加速と減速の繰り返しによる回生の取れない走行をした場合や、登坂走行後の平坦地走行等のように登坂走行時に減少した蓄電装置の残容量を回生により回復できないような場合に、蓄電装置の残容量が所定量減少したことを検出したら、蓄電装置の残容量を回復方向にすることができる。また、蓄電装置の残容量を回復方向とする場合には、放電深度に応じて判定閾値補正手段により前記判定閾値を持ち上げ、エンジンに対するモータのアシスト頻度を下げることにより蓄電装置の残容量の減少を抑制することができる。一方、上記判定閾値補正手段により設定された判定閾値は、更に蓄電装置の前記初期残容量に応じて判定閾値残容量補正手段により補正され、例えば、蓄電装置の初期残容量が多いほどアシストの頻度を高めることが可能である。請求項2に記載した発明は、上記判定閾値残容量補正手段は、蓄電装置の初期残容量が多いほど、判定閾値の補正量を小さくすることを特徴とする。このように構成することで、蓄電装置の初期残容量が多いときには、蓄電装置の初期残容量が少ないときに比較して、判定閾値の持ち上げ量を少なくすることが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1はパラレルハイブリッド車両において適用した実施形態を示しており、エンジンE及びモータMの両方の駆動力は、オートマチックトランスミッションあるいはマニュアルトランスミッションよりなるトランスミッションTを介して駆動輪たる前輪Wf,Wfに伝達される。また、ハイブリッド車両の減速時に前輪Wf,Wf側からモータM側に駆動力が伝達されると、モータMは発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
【0007】モータMの駆動及び回生作動は、モータECU1からの制御指令を受けてパワードライブユニット2により行われる。パワードライブユニット2にはモータMと電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ3が接続されており、バッテリ3は、例えば、複数のセルを直列に接続したモジュールを一単位として更に複数個のモジュールを直列に接続したものである。ハイブリッド車両には各種補機類を駆動するための12ボルトの補助バッテリ4が搭載されており、この補助バッテリ4はバッテリ3にダウンバータ5を介して接続される。FIECU11により制御されるダウンバータ5は、バッテリ3の電圧を降圧して補助バッテリ4を充電する。
【0008】FIECU11は、前記モータECU1及び前記ダウンバータ5に加えて、エンジンEへの燃料供給量を制御する燃料供給量制御手段6の作動と、スタータモータ7の作動の他、点火時期等の制御を行う。そのために、FIECU11には、ミッションの駆動軸の回転数に基づいて車速Vを検出する車速センサS1からの信号と、エンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサS2からの信号と、トランスミッションTのシフトポジションを検出するシフトポジションセンサS3からの信号と、ブレーキペダル8の操作を検出するブレーキスイッチS4からの信号と、クラッチペダル9の操作を検出するクラッチスイッチS5からの信号と、スロットル開度THを検出するスロットル開度センサS6からの信号と、吸気管負圧PBを検出する吸気管負圧センサS7からの信号とが入力される。尚、図1中、21はCVT制御用のCVTECUを示し、31はバッテリ3を保護し、バッテリ3の残容量SOCを算出するバッテリECUを示す。
【0009】ここで、このハイブリッド車両の制御モードには、「アイドルモード」、「アイドル停止モード」、「減速モード」、「加速モード」及び「クルーズモード」の各モードがある。アイドルモードでは、燃料カットに続く燃料供給が再開されてエンジンEがアイドル状態に維持され、アイドル停止モードでは、例えば車両の停止時等に一定の条件でエンジンが停止される。また、減速モードでは、モータMによる回生制動が実行され、加速モードでは、エンジンをモータにより駆動補助され、クルーズモードでは、モータが駆動せず車両がエンジンEの駆動力で走行する。
【0010】「バッテリ残容量SOCのゾーニング」次に、バッテリ残容量SOCのゾーンニング(いわゆる残容量のゾーン分け)について説明する。バッテリの残容量の算出はバッテリECU31にておこなわれ、例えば、電圧、放電電流、温度等により算出される。
【0011】この一例を説明すると通常使用領域であるゾーンA(SOC40%からSOC80%ないし90%)を基本として、その下に暫定使用領域であるゾーンB(SOC20%からSOC40%)、更にその下に、過放電領域であるゾーンC(SOC0%からSOC20%)が区画されている。ゾーンAの上には過充電領域であるゾーンD(SOC80%ないし90%から100%)が設けられている。各ゾーンにおけるバッテリ残容量SOCの検出は、ゾーンA,Bでは電流値の積算で行い、ゾーンC,Dはバッテリの特性上電圧値等を検出することにより行われる。尚、各ゾーンの境界には、上限と下限に閾値を持たせてあり、かつ、この閾値はバッテリ残容量SOCの増加時と減少時とで異なるようにしてヒステリシスを設定してある。
【0012】「放電深度制限判定」図2に示すのは放電深度制限判定を行うフローチャート図である。まず、ステップS050において、スタートスイッチ判定フラグF_STSのフラグ値が「1」か否か、すなわち、最初の走行におけるスタート時か否かを判定する。判定結果が「1」、すなわち、最初の走行であると判定された場合は、ステップS057において走行開始時のバッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTを読み込む。次に、ステップS058において、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが放電深度制限初期下限値#SOCINTLより小さいか否かを判定する。尚、上記放電深度制限初期下限値#SOCINTLは、例えば50%である。
【0013】ステップS058における判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINT<放電深度制限初期下限値#SOCINTLであると判定された場合(低容量である場合)は、ステップS059に進み、バッテリ残容量SOCのイニシャル値に放電深度制限初期下限値#SOCINTLを代入してステップS060に進む。つまり、上記放電深度制限初期下限値#SOCINTLを例えば50%とした場合、バッテリ残容量SOCが50%を下回る場合には、バッテリ残容量SOCの初期値に50%を代入するのである。また、ステップS058における判定結果が「NO」、つまりバッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINT≧放電深度制限初期下限値#SOCINTLであると判定された場合(高容量である場合)もステップS060に進む。
【0014】ステップS060においては、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTに基づいて下限閾値SOCLMTLを設定し、ついでステップS061で上限閾値SOCLMTHを設定する(図5参照)。ここで、下限閾値SOCLMTLを決定する放電深度制限値#DODLMTは、バッテリ3の個々の性質にもよるが、例えば、バッテリ残容量SOCで10%程度であり、上限閾値SOCLMTHを決定する放電深度制限値解除SOC上昇値#SOCUPは、例えば、バッテリ残容量SOCで5%程度である。
【0015】したがって、例えば、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが55%であるときには、下限閾値SOCLMTLは45%であり、上限閾値SOCLMTHは60%となる。また、バッテリ残容量SOCの初期値が40%であった場合は、ステップS059においてバッテリ残容量SOCの初期値に例えば50%が代入されるので、下限閾値SOCLMTLは40%、上限閾値SOCLMTHは55%となる。
【0016】このように、バッテリ残容量SOCの初期値が放電深度制限初期下限値#SOCINTL以下であるときには、バッテリ残容量SOCのイニシャル値に放電深度制限初期下限値#SOCINTLを代入することで初期値の持ち上げにより下限閾値SOCLMTLまでの深度を小さくできる。したがって、スタート時点でバッテリ残容量SOCが少ないとき、つまり、放電深度制限初期下限値#SOCINTL以下であるときには、放電深度制限制御に入るまでの時間を短縮したり、また、バッテリ残容量SOCの初期値によってはスタートと同時に放電深度制限制御に入ることで速やかにバッテリの残容量SOCを回復することができる。
【0017】次に、ステップS062で前回のDODリミット判定フラグF_DODLMTに「0」をセットし、前回の放電深度制限制御モードの設定を解除する。そして、ステップS063に進む。ステップS063においては、バッテリ残容量の現在値SOCがイニシャル値SOCINTからどれだけ放電しているかを示す放電深度DODを求めて制御を終了する。つまり、この放電深度DODはDODリミット判定フラグF_DODLMTのフラグ値の如何にかかわらず求められることとなる。
【0018】そして、走行を始めステップS050でスタートスイッチ判定フラグF_STSが「0」と判定されると、ステップS051においてエネルギーストレージゾーンD判定フラグが「1」か否かを判定し、判定結果が「NO」、つまりゾーンD以外である場合はステップS052に進む。ステップS051における判定結果が「YES」、つまりゾーンDである場合はステップS062に進む。次のステップS052において現在のバッテリ残容量SOCが放電深度制限実施上限値SOCUPHよりも大きいか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまり現在のバッテリ残容量SOC>放電深度制限実施上限値SOCUPHであると判定された場合(高容量である場合)は、ステップS056に進む。ステップS052の判定結果が「NO」、つまり現在のバッテリ残容量SOC≦放電深度制限実施上限値SOCUPHであると判定された場合(低容量である場合)は、ステップS053に進む。尚、上記放電深度制限実施上限値SOCUPHは、例えば、70%が設定される。
【0019】次の、ステップS053でバッテリ残容量SOCが前記下限閾値SOCLMTLよりも小さいか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOC<下限閾値SOCLMTLであると判定された場合(低容量である場合)は、ステップS054でDODリミット判定フラグF_DODLMTに「1」をセットして放電深度制限制御モードが設定され、ステップS063に進む。これにより、後述するアシストトリガ判定においてこのDODリミット判定フラグF_DODLMTの状態に応じた制御がなされる。
【0020】ここで、放電深度制限制御モードに入ると、図3に示すようにバッテリ残容量SOCが増加するような発電がなされるが、ステップS053においてバッテリ残容量SOC≧下限閾値SOCLMTL、すなわち、バッテリ残容量SOCが下限閾値SOCLMTL以上であると判定された場合(高容量である場合)は、ステップS055でDODリミット判定フラグF_DODLMTの状態を判定する。
【0021】ステップS055における判別結果が「YES」、すなわち放電深度制限制御モードが設定されていると判定された場合には、ステップS056において、バッテリ残容量SOC>上限閾値SOCLMTH、すなわちバッテリ残容量SOCが上限閾値SOCLMTHよりも大きいか否かを判定する。ステップS056においてバッテリ残容量SOC>上限閾値SOCLMTH、すなわち、バッテリ残容量SOCが上限閾値SOCLMTHよりも大きい(高容量である)と判定されるとステップS057に進み、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINT、及びこれに応じて上限閾値SOCLMTH、下限閾値SOCLMTLが更新される。この更新によるバッテリ残容量SOCの増加は、ステップS051にてバッテリ残容量SOCがDゾーンとなるまで継続される。よって、速やかにバッテリ残容量SOCを回復することができると共に、必要以上に充電がなされるのを防止できる。
【0022】ステップS055において、DODリミット判定フラグF_DODLMTのフラグ値が「0」、すなわち放電深度制限制御モードの設定が解除されている場合、あるいはステップS056においてバッテリ残容量SOC≦上限閾値SOCLMTH、すなわちバッテリ残容量SOCが上限閾値SOCLMTH以下であると判定された場合は(低容量である場合)はステップS063に進む。
【0023】次に、このような放電深度制限制御モードの具体的内容について説明する。放電深度制限制御モードでは、バッテリ残容量SOCが減少傾向にあり上述した下限閾値SOCLMTLになった場合に、バッテリ残容量SOCを増加傾向にするための制御である。したがって、加速を行なうか否かを判定するアシストトリガ閾値を持ち上げることで、加速頻度を低下させてクルーズモードにおける充電頻度を増加させバッテリを充電傾向にしている。以下、アシストトリガ判定について説明する。
【0024】「アシストトリガ判定」図4、図5に示すのはアシストトリガ判定のフローチャート図、具体的には加速/クルーズのモードを領域により判定するフローチャート図である。ステップS100においてエネルギーストレージソーンCフラグF_ESZONECのフラグ値が「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりバッテリ残容量SOCがCゾーンにあると判定された場合はステップS136において最終アシスト指令値ASTPWRFが0以下であるか否かを判定する。ステップS136における判定結果が「YES」、つまり最終アシスト指令値ASTOWRFが0以下であると判定された場合は、ステップS137においてクルーズ発電量減算係数KTRGRGNに1.0を代入し、ステップS122においてモータアシスト判定フラグF_MASTに「0」を代入してリターンする。ステップS100及びステップS136における判定結果が「NO」の場合はステップS101においてスロットルアシストトリガ補正値DTHASTの算出処理が行われる。その処理内容については後述する。
【0025】次に、ステップS102では、スロットルアシストトリガテーブルからスロットルアシストトリガの基準となる閾値MTHASTNを検索する。このスロットルアシストトリガテーブルは、図8の実線で示すように、エンジン回転数NEに対して、モータアシストするか否かの判定の基準となるスロットル開度の閾値MTHASTNを定めたもので、エンジン回転数NEに応じて閾値が設定されている。
【0026】次のステップS103、ステップS106で、前記ステップS102で求められたスロットルアシストトリガの基準閾値MTHASTNに前述のステップS101で算出された補正値DTHASTを加えて、高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHを求めるとともに、この高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHからヒステリシスを設定するための差分#DMTHASTを引いて、低スロットルアシストトリガ閾値MTHASTLを求める。これら高低スロットルアシストトリガ閾値を図6のスロットルアシストトリガテーブルの基準閾値MTHASTNに重ねて記載すると破線で示すようになる。
【0027】ここで、上記ステップS103の後のステップS104ではスロットルアシストトリガ上限値MTHHASTNをエンジン回転数NEに応じて図11に示すスロットルアシストトリガ上限リミットテーブルにより検索する。そして、ステップS105においてステップS103で求めた高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHがスロットルアシストトリガ上限値MTHHASTN以上か否かを判定する。判定の結果、高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHがスロットルアシストトリガ上限値MTHHASTN以上である場合は、ステップS105Aに進み、ここで高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHにスロットルアシストトリガ上限値MTHHASTNを代入してステップS1062進む。ステップS105における判定の結果、高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHがスロットルアシストトリガ上限値MTHHASTNより小さい場合はステップS106に進む。
【0028】したがって、上記ステップS104,S105,S105Aにより、後述するステップS101のスロットルアシストトリガ補正算出におけるアシストトリガ閾値の持ち上げ量にかかわらず、スロットルアシストトリガ上限値MTHHASTNを限度としてアシストトリガ閾値が設定される。したがって、エンジン回転数NEに応じて高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTHに上限値を設けることにより、必要以上にアシストに入り難くなるのを防止してドライバビリティーを向上することができる。
【0029】そして、ステップS107において、スロットル開度の現在値THEMがステップS105、ステップS106で求めたスロットルアシストトリガ閾値MTHAST以上であるか否かが判断される。この場合のスロットルアシストトリガ閾値MTHASTは前述のヒステリシスを持った値であり、スロットル開度が大きくなる方向にある場合は高スロットルアシストトリガ閾値MTHASTH、スロットル開度が小さくなる方向にある場合は低スロットルアシストトリガ閾値MTHASTLがそれぞれ参照される。
【0030】このステップS107における判定結果が「YES」である場合、つまりスロットル開度の現在値THEMがスロットルアシストトリガ閾値MTHAST(高低のヒステリシスを設定した閾値)以上である場合は、ステップS109に、判定結果が「NO」、つまりスロットル開度の現在値THEMがスロットルアシストトリガ閾値MTHAST(高低のヒステリシスを設定した閾値)以上でない場合はステップS108に進む。ステップS109では、スロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHに「1」をセットし、一方ステップS108では、スロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHに「0」をセットする。
【0031】ここまでの処理は、スロットル開度THがモータアシストを要求する開度であるか否かの判断を行っているもので、ステップS107でスロットル開度の現在値THEMがスロットルアシストトリガ閾値MTHAST以上と判断された場合には、スロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHを「1」にして、前述した「加速モード」においてこのフラグを読むことによりモータアシストが要求されていると判定される。
【0032】一方、ステップS108でスロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHに「0」がセットされるということは、スロットル開度によるモータアシスト判定の領域でないことを示す。この実施形態では、アシストトリガの判定をスロットル開度THとエンジンの吸気管負圧PBとの両方で判定することとしており、スロットル開度の現在値THEMが前記スロットルアシストトリガ閾値MTHAST以上である場合にスロットル開度THによるアシスト判定がなされ、この閾値を超えない領域においては後述の吸気管負圧PBによる判定がなされる。そして、ステップS109において、スロットルモータアシスト判定フラグF_MASTTHに「1」をセットした後、通常のアシスト判定から外れるべくステップS134に進み、クルーズ発電量の減算係数KTRGRGNに「0」をセットし、次のステップS135でモータアシスト判定フラグF_MASTに「1」をセットしてリターンする。
【0033】一方、ステップS110においては、MT/CVT判定フラグF_ATのフラグ値が「1」であるか否かを判定する。判定結果が「NO」、つまりMT車であると判定された場合はステップS111に進む。ステップS110における判定結果が「YES」、つまりCVT車であると判定された場合はステップS123に進む。ステップS111においては、吸気管負圧アシストトリガ補正値DPBASTの算出処理が行われる。その処理内容については後述する。
【0034】次に、ステップS112で、吸気管負圧アシストトリガテーブルから吸気管負圧アシストトリガの閾値MASTL/Hを検索する。この吸気管負圧アシストトリガテーブルは、図7の2本の実線で示すように、エンジン回転数NEに対して、モータアシストするか否かの判定のための高吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTHと、低吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTLとを定めたもので、ステップS112の検索処理においては、吸気管負圧PBAの増加に応じて、あるいはエンジン回転数NEの減少に応じて図7の高閾値ラインMASTHを下から上に通過すると、モータアシスト判定フラグF_MASTを「0」から「1」にセットし、逆に吸気管負圧PBAの減少に応じて、あるいはエンジン回転数NEの増加に応じて低閾値ラインMASTLを上から下に通過すると、モータアシスト判定フラグF_MASTを「1」から「0」にセットするようになっている。尚、図7は各ギア毎に、またストイキ/リーンバーン毎に持ち替えを行っている。
【0035】そして、次のステップS113で、モータアシスト判定フラグF_MASTのフラグ値が「1」であるか否かを判定し、判定結果が「1」である場合はステップS114に、判定結果が「1」でない場合はステップS115に進む。そして、ステップS114においては、吸気管アシストトリガ閾値MASTを、ステップS112で検索した吸気管負圧アシストトリガの低閾値MASTLとステップS111で算出された補正値DPBASTとを加えた値として算出し、ステップS116において、吸気管負圧の現在値PBAが、ステップS114で求めた吸気管アシストトリガ閾値MAST以上か否かを判定する。判定結果が「YES」の場合は、ステップS134に進む。判定結果が「NO」の場合はステップS119に進む。また、ステップS115においては、吸気管アシストトリガ閾値MASTを、ステップS112で検索した吸気管負圧アシストトリガの高閾値MASTHとステップS111で算出された補正値DPBASTとを加えた値として算出し、ステップS116に進む。
【0036】次に、ステップS119においては、図8に示すように上記吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTから、所定の吸気管負圧のデルタ値#DCRSPB(例えば100mmHg)を引くことで、最終吸気管負圧アシストトリガ下限閾値MASTFLを求める。次に、ステップS120において、最終吸気管負圧アシストトリガ下限閾値MASTFLと吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTを、図9に示すように吸気管負圧の現在値PBAで補間算出して、クルーズ発電量減算係数テーブル値KPBRGNを求め、ステップS121においてクルーズ発電量減算係数テーブル値KPBRGNをクルーズ発電量減算係数KTRGRGNに代入する。そして、ステップS122においてモータアシスト判定フラグF_MASTに「0」を代入してリターンする。
【0037】上記ステップS110において、MT/CVT判定フラグF_ATのフラグ値の判定結果が「YES」、つまりCVT車であると判定された場合は、ステップS123に進み、吸気管負圧アシストトリガ補正値DPBASTTHの算出処理が行われる。その処理内容については後述する。
【0038】次に、ステップS124で、吸気管負圧アシストトリガテーブルから吸気管負圧アシストトリガの閾値MASTTHL/Hを検索する。この吸気管負圧アシストトリガテーブルは、図10の2本の実線で示すように、エンジン制御用車速VPに対して、モータアシストするか否かの判定のための高吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTTHHと、低吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTTHLとを定めたもので、ステップS124の検索処理においては、スロッル開度THの増加に応じて、あるいはエンジン制御用車速VPの減少に応じて図10の高閾値ラインMASTTHHを下から上に通過すると、モータアシスト判定フラグF_MASTを「0」から「1」にセットし、逆にスロットル開度THの減少に応じて、あるいはエンジン制御用車速VPの増加に応じて低閾値ラインMASTTHLを上から下に通過すると、モータアシスト判定フラグF_MASTを「1」から「0」にセットするようになっている。尚、図10はストイキ/リーンバーン毎に持ち替えを行っている。
【0039】そして、次のステップS125で、モータアシスト判定フラグF_MASTのフラグ値が「1」であるか否かを判定し、判定結果が「1」である場合はステップS126に、判定結果が「1」でない場合はステップS127に進む。そして、ステップS126においては、吸気管アシストトリガ閾値MASTTHを、ステップS124で検索した吸気管負圧アシストトリガの低閾値MASTTHLとステップS123で算出された補正値DPBASTTHとを加えた値として算出し、ステップS128において、スロットル開度の現在値THEMが、ステップS126で求めた吸気管アシストトリガ閾値MASTTH以上か否かを判定する。判定結果が「YES」の場合は、ステップS134に進む。判定結果が「NO」の場合はステップS131に進む。
【0040】次に、ステップS131においては、図8に示すように上記吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTTHから、所定のスロットル開度のデルタ値#DCRSTHVを引くことで、最終吸気管負圧アシストトリガ下限閾値MASTTHFLを求める。次に、ステップS132において、最終吸気管負圧アシストトリガ下限閾値MASTTHFLと吸気管負圧アシストトリガ閾値MASTTHを、図9に示すようにスロットル開度の現在値THEMで補間算出して、クルーズ発電量減算係数テーブル値KPBRGTHを求め、ステップS133においてクルーズ発電量減算係数テーブル値KPBRGTHをクルーズ発電量減算係数KTRGRGNに代入する。そして、ステップS122においてモータアシスト判定フラグF_MASTに「0」を代入してリターンする。
【0041】「THアシストトリガ補正」図12に示すのは、前記ステップS101におけるスロットルアシストトリガ補正のフローチャート図である。ステップS150において、エアコンクラッチONフラグF_HMASTが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりエアコンクラッチがONとなっている場合はステップS151においてエアコン補正値DTHAACに所定値#DTHAAC(例えば、20deg)を代入してステップS153に進む。
【0042】ステップS150における判定結果が「NO」、つまりエアコンクラッチがOFFとなっている場合は、エアコン補正値DTHAACに「0」を代入してステップS153に進む。これによりモータアシストの閾値の持ち上げがなされる。ステップS153においては大気圧(PA)に応じた大気圧補正値(DTHAPA)の検索を行う。この補正はスロットルアシストトリガPA補正テーブルにおいて高地から低地に行くほど下がるように設定された補正値をテーブル検索するものである。このテーブル検索により大気圧補正値DTHAPAが求められる。
【0043】次に、ステップS154で大電流フラグF_VELMAHが「1」か否かを判定する。尚、この大電流フラグの設定については後述する。12V系の消費電流が大きいときにはアシストトリガの閾値を持ち上げることで、加速モードの頻度を低下させクルーズモードの頻度を高めてバッテリ残容量の低下を防止することができる。ステップS154における判定の結果、大電流が流れている場合は、ステップS155においてにエンジン回転数NEの増加に応じて減少する大電流補正値DTHVELをテーブル検索により求めてステップS157に進む。ステップS154における判定の結果、大電流が流れていないと判定された場合は、ステップS156において大電流補正値DTHVELに「0」をセットしてステップS157に進む。
【0044】次に、ステップS157で、バッテリの放電深度DODに対する制限処理がなされているかをDODリミット判定フラグF_DODLMTが「1」であるか否かにより判定する。そして、放電深度制限制御モードにあるときは、ステップS159でDOD制限制御モード補正値#DTHDODを図13に基づいてテーブル検索して、DOD制限制御モード補正値DTHDODに代入する。そして、ステップS160においてバッテリ残容量SOCの初期値SOCINTに応じてDOD制限モード残容量補正値#KPDODを図14に基づきテーブル検索してDOD制限制御モード残容量補正値KPDODに代入してステップS161に進む。
【0045】一方、ステップS157において放電深度制限制御モードが解除されていると判定された場合は次のステップS156に進み、DOD制限制御モード補正値DTHDODに「0」を代入する。この場合の所定値#DTHDODは、モータアシストのための判定値を持ち上げるべく正の値が設定され、放電深度制限制御モードにある場合は、モータアシストの頻度を少なくするように補正するものである。したがって、放電深度制限制御モードにある場合は、アシストに入る頻度を抑えることができるため、バッテリ残容量SOCを速やかに回復することができる。次に、ステップS161において制御用車速VPに応じたスロットルアシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDTHASTを図15に示すようにテーブル検索により求める。尚、制御用車速VPが大きいほどスロットルアシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDTHASTは小さくなる。これにより低車速時ほどアシストトリガ閾値の持ち上げ量が増加する。次に、ステップS162において制御用車速VPに応じたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDTHDODを図16に示すようにテーブル検索により求める。尚、制御用車速が大きいほどスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDTHDODは小さくなる。
【0046】そして、次のステップS163において、ステップS151またはステップS152で求めたエアコン補正値DTHAACと、ステップS153で求めた大気圧補正値DTHAPAと、ステップS155またはステップS156で求めた大電流補正値DTHVELと、ステップS155またはステップS156で求めた大電流補正値DTHVELと、ステップS158またはステップS159で求めたDOD制限制御モード補正値DTHDODと、ステップS160で求めたDOD制限制御モード残容量補正値KPDODと、ステップS161で求めたスロットルアシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDTHASTと、ステップS162で求めたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDTHDODとからスロットルアシストトリガ補正値DTHASTを求めて制御を終了する。
【0047】ここで、DOD制限制御モードにあると、その分だけステップS159で求めたDOD制限制御モード補正値DTHDODやステップS162で求めたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDTHDODにより、アシストトリガ閾値は持ち上げられるが、バッテリ残容量が十分であるときには、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTに応じて決定されるステップS160で求めたDOD制限制御モード残容量補正値KPDODにより、アシストトリガ閾値の持ち上げ量を小さくできるため、バッテリ残容量SOCが多いときでも加速モードに入り難くなる不具合を解消できる。つまり、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多いときには、少ないときに比較して、アシストトリガ閾値の持ち上げ量を少なくすることが可能となるため、放電深度DODで一律に加速モードに入り難くするのではなく、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多いときには、少ないときに比較して、加速モードに入りやすくすることができ、ドライバビリティーを向上することができる。
【0048】「PBアシストトリガ補正(MT)」図17に示すのは、前記ステップS111における吸気管負圧スロットルアシストトリガ補正のフローチャート図である。ステップS201において、エアコンクラッチONフラグF_HMASTが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりエアコンクラッチがONとなっている場合はステップS203においてエアコン補正値DPBAACに所定値#DPBAACを代入してステップS204に進む。ステップS201における判定結果が「NO」、つまりエアコンクラッチがOFFとなっている場合は、ステップS202でエアコン補正値DPBAACに「0」を代入してステップS204に進む。これによりモータアシストの閾値の持ち上げがなされる。
【0049】ステップS204においては大気圧に応じた大気圧補正値(DPBAPA)の検索を行う。この補正は吸気管負圧アシストトリガPA補正テーブルにおいて高地から低地に行くほど下がるように設定された補正値をテーブル検索するものである。このテーブル検索により大気圧補正値DPBAPAが求められる。
【0050】次に、ステップS205で、バッテリの放電深度DODに対する制限処理がなされているかをDODリミット判定フラグF_DODLMTが「1」であるか否かにより判定する。そして、放電深度制限制御モードにあるときは、ステップS206でDOD制限制御モード補正値#DPBDODを図18に基づいてテーブル検索して、DOD制限制御モード補正値DPBDODに代入してステップS207に進む。ステップS207においてはバッテリ残容量SOCの初期値SOCINTに応じてDOD制限モード残容量補正値#KEDODを図19に基づきテーブル検索してDOD制限制御モード残容量補正値KEDODに代入してステップS210に進む。
【0051】一方、ステップS205において放電深度制限制御モードが解除されている場合は次のステップS208に進み、DOD制限制御モード補正値DPBDODに「0」を代入してステップS209に進む。この場合の所定値#DPBDODは、モータアシストのための判定値を持ち上げるべく正の値が設定され、放電深度制限制御モードにある場合は、モータアシストの頻度を少なくするように補正するものである。したがって、放電深度制限制御モードにある場合は、アシストに入る頻度を抑えることができるため、バッテリ残容量SOCを速やかに回復することができる。
【0052】次に、ステップS209で大電流フラグF_VELMAHが「1」か否かを判定する。尚、この大電流フラグの設定については後述する。前述したステップS154における説明と同様に12V系の消費電流が大きいときにはアシストトリガの閾値を持ち上げる必要があるからである。ステップS209における判定の結果、大電流が流れている場合は、ステップS210においてエンジン回転数NEに応じて減少する大電流補正値DPBVELをテーブル検索により求めてステップS212に進む。ステップS209における判定の結果、大電流が流れていないと判定された場合は、ステップS211において大電流補正値DPBVELに「0」をセットしてステップS212に進む。
【0053】次に、ステップS212において制御用車速VPに応じた吸気管負圧アシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDPBASTを図20に示すようにテーブル検索により求める。尚、前述したステップS161の説明と同様の理由で制御用車速VPが大きいほど吸気管負圧アシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDPBASTは小さくなっている。次に、ステップS213において制御用車速VPに応じたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDPBDODを図21に示すようにテーブル検索により求める。
【0054】そして、次のステップS214において、ステップS202またはステップS203で求めたエアコン補正値DPBAACと、ステップS204で求めた大気圧補正値DPBAPAと、ステップS206またはステップS208で求めたDOD制限制御モード補正値DPBDODと、ステップS207で求めたDOD制限制御モード残容量補正値KEDODと、ステップS210またはステップS211で求めた大電流補正値DPBVELと、ステップS212で求めた吸気管負圧アシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDPBASTと、ステップS213で求めたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDPBDODとから吸気管負圧アシストトリガ補正値DPBASTを求めて制御を終了する。したがって、前述したようにDOD制限制御モードにあると、その分だけステップS206で求めたDOD制限制御モード補正値DPBDODやステップS213で求めたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDPBDODにより、アシストトリガ閾値は持ち上げられるが、バッテリ残容量が十分であるときには、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTに応じて決定されるステップS207で求めたDOD制限制御モード残容量補正値KEDODにより、アシストトリガ閾値の持ち上げ量を小さくできるため、バッテリ残容量SOCが多いときでも加速モードに入り難くなる不具合を解消できる。つまり、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多いときには、少ないときに比較して、アシストトリガ閾値の持ち上げ量を少なくすることが可能となるため、放電深度DODで一律に加速モードに入り難くするのではなく、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多いときには、少ないときに比較して、加速モードに入りやすくすることができ、ドライバビリティーを向上することができる。
【0055】ここで、図22に基づいて大電流フラグの設定を行うフローチャートについて説明する。ステップS180において、所定値#VELMAH(例えば、20A)より平均消費電流VELAVEが大きいか否かを判定する。判定結果が「YES」、つまり12V系消費の大電流が流れたと判定された場合は、ステップS182においてディレータイマTELMAが「0」か否かを判定し、「0」である場合はステップS184において大電流フラグF_VELMAHに「1」をセットして制御を終了する。
【0056】ステップS182における判定の結果、ディレータイマTELMAが「0」ではないと判定された場合はステップS183に進む。ステップS180における判定結果が「NO」、つまり大電流は流れていないと判定された場合は、ステップS181においてディレータイマTELMAに所定値#TMELMA(例えば、30秒)をセットし、ステップS183に進む。ステップS183では大電流フラグF_VELMAHに「0」をセットして制御を終了する。ここにおける大電流フラグF_VELMAHが前記ステップS154、ステップS209及び後述するステップS259において判定される。ここで、上記12V系消費電流が大である状態がディレータイマTELMAタイマにより一定時間続いた場合に限定しているため、例えばパワーウインドの昇降や、ストップランプの点灯、等の一時的に消費電流が増大した場合は除外されている。
【0057】「PBアシストトリガ補正(CVT)」図23に示すのは、前記ステップS123における吸気管負圧スロットルアシストトリガ補正のフローチャート図である。ステップS251において、エアコンクラッチONフラグF_HMASTが「1」か否かを判定する。判定結果が「YES」、つまりエアコンクラッチがONとなっている場合はステップS253においてエアコン補正値DPBAACTHに所定値#DPBAACTHを代入してステップS254に進む。ステップS251における判定結果が「NO」、つまりエアコンクラッチがOFFとなっている場合は、ステップS252でエアコン補正値DPBAACTHに「0」を代入してステップS254に進む。これによりモータアシストの閾値の持ち上げがなされる。
【0058】ステップS254においては大気圧に応じた大気圧補正値(DPBATH)の検索を行う。この補正は吸気管負圧アシストトリガPA補正テーブルにおいて高地から低地に行くほど下がるように設定された補正値をテーブル検索するものである。このテーブル検索により大気圧補正値DPBATHが求められる。
【0059】次に、ステップS255で、バッテリの放電深度DODに対する制限処理がなされているかをDODリミット判定フラグF_DODLMTが「1」であるか否かにより判定する。そして、放電深度制限制御モードにあるときは、ステップS256でDOD制限制御モード補正値#DPBDODTHを図24に基づいてテーブル検索して、DOD制限制御モード補正値DPBDODTHに代入して、ステップS257に進む。ステップS257においてはバッテリ残容量SOCの初期値SOCINTに応じてDOD制限モード残容量補正値#KEDODを図19に基づきテーブル検索してDOD制限制御モード残容量補正値KEDODに代入してステップS260に進む。
【0060】一方、ステップS255において放電深度制限制御モードが解除されている場合は次のステップS258に進み、DOD制限制御モード補正値DPBDODTHに「0」を代入してステップS259に進む。この場合の所定値#DPBDODTHは、モータアシストのための判定値を持ち上げるべく正の値が設定され、放電深度制限制御モードにある場合は、モータアシストの頻度を少なくするように補正するものである。したがって、放電深度制限制御モードにある場合は、アシストに入る頻度を抑えることができるため、バッテリ残容量SOCを速やかに回復することができる。
【0061】次に、ステップS259で大電流フラグF_VELMAHが「1」か否かを判定する。尚、この大電流フラグの設定については後述する。前述したステップS154における説明と同様に12V系の消費電流が大きいときにはアシストトリガの閾値を持ち上げる必要があるからである。ステップS259における判定の結果、大電流が流れている場合は、ステップS260において制御用車速VPに応じて減少する大電流補正値DPBVELTHをテーブル検索により求めてステップS262に進む。ステップS259における判定の結果、大電流が流れていないと判定された場合は、ステップS261において大電流補正値DPBVELTHに「0」をセットしてステップS262に進む。
【0062】次に、ステップS262において制御用車速VPに応じた吸気管負圧アシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDPBASTを図20に示すようにテーブル検索により求める。尚、前述したステップS161の説明と同様の理由で制御用車速VPが大きいほど吸気管負圧アシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDPBASTは小さくなっている。次に、ステップS263において制御用車速VPに応じたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDPBDODを図21に示すようにテーブル検索により求める。
【0063】そして、次のステップS264において、ステップS252またはステップS253で求めたエアコン補正値DPBAACTHと、ステップS254で求めた大気圧補正値DPBAPATHと、ステップS256またはステップS258で求めたDOD制限制御モード補正値DPBDODTHと、ステップS257で求めたDOD制限制御モード残容量補正値KEDODと、ステップS260またはステップS261で求めた大電流補正値DPBVELTHと、ステップS262で求めた吸気管負圧アシストトリガ負荷補正量車速補正係数KVDPBASTと、ステップS263で求めたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDPBDODとから吸気管負圧アシストトリガ補正値DPBASTTHを求めて制御を終了する。
【0064】したがって、前述したようにDOD制限制御モードにあると、その分だけステップS256で求めたDOD制限制御モード補正値DPBDODTHやステップS263で求めたスロットルアシストトリガDOD補正量車速補正係数KVDPBDODにより、アシストトリガ閾値は持ち上げられるが、バッテリ残容量が十分であるときには、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTに応じて決定されるステップS257で求めたDOD制限制御モード残容量補正値KEDODにより、アシストトリガ閾値の持ち上げ量を小さくできるため、バッテリ残容量SOCが多いときでも加速モードに入り難くなる不具合を解消できる。つまり、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多いときには、少ないときに比較して、アシストトリガ閾値の持ち上げ量を少なくすることが可能となるため、放電深度DODで一律に加速モードに入り難くするのではなく、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多いときには、少ないときに比較して、加速モードに入りやすくすることができ、ドライバビリティーを向上することができる。
【0065】したがって、上記実施形態によれば、とりわけ放電深度制限制御モードに入っている場合に放電深度DODに応じてアシストトリガ閾値を持ち上げクルーズ頻度を増すことにより、放電深度DODに応じてバッテリ3を速やかに回復することができる。また、アシストトリガの補正値を設定するにあたっては、制御用車速VPに応じた補正値(車速が低いほどアシストトリガ閾値は高くなる)を設定しているため、渋滞時等において頻繁に発進停止が繰り返されるため、高速走行のように十分に回生が確保できないような場合であっても、バッテリ残容量SOCを回復方向にすることができる。
【0066】また、一方でバッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTに応じてアシストトリガ閾値への足し込み量、スロットルアシストトリガ補正値DTHAST、補正値DPBAST、吸気管負圧アシストトリガ補正値DPBASTTHにかけ合わせる係数(DOD制限制御モード残容量補正値KPDOD,KEDOD)を変化させることができるため、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多い場合における放電深度制限制御モードによる効果を少なくすることができる。したがって、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多い場合においても加速モードに入り難い事態の発生を回避して、ドライバビリティーを向上することができる。すなわち、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多いときには、少ないときに比較して、アシストトリガ閾値の持ち上げ量を少なくすることが可能となるため、放電深度DODで一律に加速モードに入り難くするのではなく、バッテリ残容量SOCのイニシャル値SOCINTが多いときには、少ないときに比較して、加速モードに入りやすくすることができ、ドライバビリティーを向上することができるのである。
【0067】尚、この発明は上記実施形態に限られるものでなく、バッテリを充電傾向にするためには、例えば、クルーズ時における充電量を通常よりも増加したり、加速モードにおけるアシスト量を通常よりも減少させる等、バッテリの放電量を抑え、充電量を増加させる種々の態様が併用可能である。また、このようにクルーズ時における充電量を増加したり、加速時におけるアシスト量を減少させた場合には、これらの充電量とアシスト量をバッテリ残容量のイニシャル値SOCINTに応じて調整し、バッテリ残容量のイニシャル値が多いときには、これに応じて上記充電量を少なくしたり、アシスト量を多くしたりすることも可能である。
【0068】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、例えば、急加速と減速の繰り返しによる回生の取れない走行をした場合や、登坂走行後の平坦地走行等のように登坂走行時に減少した蓄電装置の残容量を回生により回復できないような場合に、蓄電装置の残容量が所定量減少したことを検出したら、蓄電装置の残容量を回復方向にすることができるため、充放電バランスを回復することができる効果がある。また、蓄電装置の残容量を回復方向とする場合には、放電深度に応じて判定閾値補正手段により前記判定閾値を持ち上げエンジンに対するモータのアシスト頻度を下げることにより蓄電装置の残容量の減少を抑制することができため、蓄電装置の残容量が少ない場合の残容量の回復を速やかに実行することができる効果がある。
【0069】一方、上記判定閾値補正手段により設定された判定閾値を、更に前記蓄電装置の初期残容量に応じて判定閾値残容量補正手段により補正し、例えば、蓄電装置の初期残容量が多いほどアシストの頻度を高めるように補正することが可能であるため、蓄電装置の初期残容量が多い場合におけるアシスト頻度の低下を防止してドライバビリティーの向上を図ることができる効果がある。請求項2に記載した発明によれば、蓄電装置の初期残容量が多いときには、蓄電装置の初期残容量が少ないときに比較して、判定閾値の持ち上げ量を少なくすることが可能となるため、放電深度で一律に加速モードに入り難くするのではなく、蓄電装置の残容量が多いときには少ないときに比較して加速モードに入りやすくすることができ、ドライバビリティーを向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年10月29日(1999.10.29)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外5名)
【公開番号】 特開2001−128309(P2001−128309A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−310346