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【発明の名称】 ハイブリッド車用発電電動機装置
【発明者】 【氏名】岡村 誠

【要約】 【課題】回路装置の小型化が可能なハイブリッド車用発電電動機装置を提供すること。

【解決手段】ハイブリッド車においてエンジンにより駆動されて発電するとともに電動機としてエンジンや車輪駆動軸にトルクを供給する界磁コイル型同期機(発電電動機)3を電動動作させる場合に、界磁コイル型同期機3の電機子電流により形成されて界磁コイル型同期機3の界磁コイルと鎖交する磁束が、電機子電流の増大以前の界磁コイル型同期機の界磁電流により形成されて界磁コイル型同期機3の界磁コイルと鎖交する磁束よりも小さい範囲に、電動動作指令が入力された場合の電機子電流を制御する。このようにすれば、この発電電動機3を電動動作させるため電機子電流を増加する際、界磁コイルにバッテリ電圧を超える高電圧が発生することがなく、バッテリに悪影響を与えることなく平滑コンデンサの小型化を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】バッテリと並列接続された平滑コンデンサ、ハイブリッド車のエンジンと連結されて走行用電力を発生するとともにエンジン始動を行う発電電動機をなす界磁コイル型同期機、前記バッテリと前記発電電動機の電機子コイルとの間の授受電力の交直変換を行う交直変換回路、及び、前記界磁コイル型同期機の回転位置に基づいて前記交直変換回路を制御するコントローラ、を備えるハイブリッド車用発電電動機装置において、前記コントローラは、前記界磁コイル型同期機の電機子電流により形成されて前記界磁コイル型同期機の界磁コイルと鎖交する磁束が、前記電機子電流の増大以前の前記界磁コイル型同期機の界磁電流により形成されて前記界磁コイル型同期機の界磁コイルと鎖交する磁束よりも小さい範囲に、電動動作指令が入力された場合の前記電機子電流を制御することを特徴とするハイブリッド車用発電電動機装置。
【請求項2】請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において、前記コントローラは、前記エンジンの自動停止中の所定条件範囲において前記界磁コイル型同期機に界磁電流を通電することを特徴とするハイブリッド車用発電電動機装置。
【請求項3】請求項2記載のハイブリッド車用発電電動機装置において、前記コントローラは、前記エンジンの自動停止から所定時間だけ前記界磁コイル型同期機に界磁電流を通電することを特徴とするハイブリッド車用発電電動機装置。
【請求項4】請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において、前記発電電動機は、電動動作して車輪駆動軸のトルクアシストを行い、前記コントローラは、前記電機子電流の増大制限を、前記エンジン始動時に行い、前記トルクアシスト時に行わないことを特徴とするハイブリッド車用発電電動機装置。
【請求項5】請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において、前記コントローラは、界磁電流小時に電動動作指令が入力された場合に、まず界磁電流の増大を指令し、前記界磁電流が所定レベルに達した後、又は、所定時間待機後に電動トルク発生のための前記電機子電流の通電又はその増大を指令することを特徴とするハイブリッド車用発電電動機装置。
【請求項6】請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において、前記コントローラは、界磁電流小時に電動動作指令が入力された場合に、前記界磁電流が反転しない範囲で電動トルク発生のための前記電機子電流の徐増を指令することを特徴とするハイブリッド車用発電電動機装置。
【請求項7】請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において、前記コントローラは、界磁電流小時に電動動作指令が入力された場合に、前記界磁電流が反転しない範囲で電動トルク増大方向への前記電機子電流の位相角変更を指令することを特徴とするハイブリッド車用発電電動機装置。
【請求項8】請求項5乃至7のいずれか記載のハイブリッド車用発電電動機装置において、前記コントローラは、前記エンジンの自動停止から所定時間だけ前記界磁コイル型同期機に界磁電流を通電し、前記所定時間経過後の前記エンジンの再起動時に前記請求項5乃至7のいずれか記載の電機子電流制御を実施することを特徴とするハイブリッド車用発電電動機装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車用発電電動機装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッド車では、エンジンに駆動される発電機が発電を行い、この発電電力を走行モータで走行動力に変換して車輪駆動軸に伝達している。また、トルク授受可能に結合された車輪駆動軸を駆動(いわゆるトルクアシスト)したり、エンジン始動を行ったりするため、この発電機を電動機として動作させることが知られている。以下、簡単のために、このトルクアシストやエンジン始動を行うハイブリッド車の発電機を発電電動機と以下、呼称する。
【0003】この発電電動機としては、界磁電流制御により電動動作時にはトルクを確保し、発電動作時には発電電圧の過昇を抑止することができる界磁コイル型同期機を用いるのが通常である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このハイブリッド車の発電電動機として用いられる界磁コイル型同期機では、電動動作時に電機子電流による磁界により界磁コイルに発電電圧が生じ、このため界磁コイルとバッテリとを接続する界磁コイル回路に異常な高電圧が生じ、これがバッテリに悪影響を与えたり、界磁コイル回路の耐圧増大を要求するなどの不具合があった。
【0005】更に説明すれば、電動動作開始のために、この発電電動機の界磁コイル及び電機子コイルにそれぞれ電圧を印加すると、界磁コイルのインダクタンスが電機子コイルのそれに比較して格段に大きいために、電機子電流の立ち上がりに比較して界磁電流の立ち上がりが遅れ、その結果、電機子電流の変化(増加)期間に電磁誘導により界磁コイルにバッテリ充電方向の電流を生じさせるという問題があった。
【0006】このため、この電機子電流変化期間に、界磁コイルに高電圧が発生すると、それが界磁コイル回路を通じてバッテリに印加されてバッテリ性能を劣化させるので、バッテリと並列に接続する平滑コンデンサの容量を大型化しなければならず、回路装置の体格が大きくなるという問題があった。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、回路装置の小型化が可能なハイブリッド車用発電電動機装置を提供することを、その目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明の電気自動車走行モータ装置は、ハイブリッド車においてエンジンにより駆動されて発電するとともに電動機としてエンジンや車輪駆動軸にトルクを供給する界磁コイル型同期機(発電電動機)を電動動作させる場合に、界磁コイル型同期機の電機子電流により形成されて界磁コイル型同期機の界磁コイルと鎖交する磁束が、電機子電流の増大以前の界磁コイル型同期機の界磁電流により形成されて界磁コイル型同期機の界磁コイルと鎖交する磁束よりも小さい範囲に、電動動作指令が入力された場合の電機子電流を制御する。
【0009】このようにすれば、この発電電動機を電動動作させるため電機子電流を増加する際、界磁コイルにバッテリ電圧を超える高電圧が発生することがなく、バッテリに悪影響を与えることなく平滑コンデンサの小型化を図ることができる。
【0010】請求項2記載の構成によれば請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において更に、交差点などにおける一時停車時または走行時の燃費節減のためのエコラン(経済走行)時などにエンジンを自動停止させる場合に、所定条件範囲において界磁電流通電は持続しておく。
【0011】このようにすれば、再度エンジンを始動する際、電機子電流を即時通電しても、界磁電流はバッテリから界磁コイルへ十分に通電されているので、界磁電流が反転することがなく、界磁コイルからバッテリ側へ電流が逆流することがない。したがって、バッテリ性能に悪影響を与えることがなく平滑コンデンサの体格縮小と界磁コイル回路の耐圧低下を図ることができる。
【0012】更に、電動動作指令入力後、ただちに大電機子電流を通電することができ、エンジン始動動作のレスポンスを向上させることができる。また、発電電動機にトルクアシスト動作をさせる場合においても、このトルクアシストのレスポンスを向上することができ、運転フィーリングを向上することができる。
【0013】請求項3記載の構成によれば請求項2記載のハイブリッド車用発電電動機装置において更に、このエンジンの自動停止後の界磁電流通電を所定時間だけ行う。このようにすれば、長期にわたって停車する場合などにおいて界磁電流通電による電力消費の増大を抑止することができる。
【0014】請求項4記載の構成によれば請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において更に、電機子電流の増大制限を、エンジン始動時に行い、トルクアシスト時に行わない。
【0015】このようにすれば、エンジン始動時には上記電機子電流の増大制限によりバッテリへの大電圧による充電を阻止してその性能劣化を抑止し、トルクアシスト時にはこの電機子電流の増大制限を止めてレスポンス性に優れるトルクアシストを行うことができる。
【0016】請求項5記載の構成によれば請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において更に、界磁電流小時に電動動作指令が入力された場合に、界磁電流が所定レベルに達した後まで、又は、所定時間待機後まで、電機子電流の通電又はその増大を遅延させる。
【0017】このようにすれば、請求項1記載の効果を簡素な制御で実現することができる。
【0018】請求項6記載の構成によれば請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において更に、界磁電流小時に電動動作指令が入力された場合に、界磁電流が反転しない範囲で電機子電流を徐々に増加する。
【0019】このようにすれば、電機子電流の変化率が小さくなるので界磁コイルへの誘導電圧が小さくなり、請求項1記載の効果を簡素な制御で実現することができる。
【0020】請求項7記載の構成によれば請求項1記載のハイブリッド車用発電電動機装置において更に、界磁電流小時に電動動作指令が入力された場合に、界磁電流が反転しない範囲で徐々に位相角を変更する。
【0021】このようにすれば、簡素な制御で請求項1記載の効果を簡素な制御で実現することができる。
【0022】請求項8記載の構成によれば請求項5乃至7のいずれか記載のハイブリッド車用発電電動機装置において更に、エンジンの自動停止から所定時間だけ界磁コイル型同期機に界磁電流を通電し、この所定時間経過後この界磁電流の通電を停止し、その後、請求項5乃至7のいずれか記載の電機子電流制御を実施する。好適には、請求項5乃至7のいずれか記載の電機子電流制御はエンジン始動またはゆるやかなトルクアシストにおいてのみ実施される。
【0023】このようにすれば、平滑コンデンサの容量、耐圧の低減と、トルクアシストレスポンスの悪化を防止し、電力消費の増大も抑止することができる。
【0024】
【発明を実施するための態様】本発明のハイブリッド車用発電電動機装置の好適な態様を以下の実施例により具体的に説明する。
【0025】
【実施例】この実施例のハイブリッド車用発電電動機装置のブロック図を図1に示す。
(構成)1はエンジン、2はエンジン1のクランク軸、3は第一発電電動機、4は第二発電電動機、5は拘束機構、6は平滑コンデンサ、7は車輪駆動軸、8はバッテリ、9、10はインバータ、11は界磁電流制御回路、12はコントローラである。
【0026】第一発電電動機(本発明でいう発電電動機)3は、対面二ロータ型の回転電機であって、互いに相対回転自在な一対のロータ31,32をもち、ロータ31はクランク軸2に、ロータ32は第二発電電動機4のロータ41に直結されている。ロータ31、32の一方(この実施例ではロータ31)には界磁コイルが巻装され、ロータ32には電機子コイルが巻装されている。
【0027】第二発電電動機4はロータ41に相対回転自在に対面するステータ42を有する通常のロータ−ステータ型の回転電機であり、この実施例ではブラシレスDCモータを採用している。ロータ41は拘束機構5、クラッチ6を通じて車輪駆動軸7に連結されている。
【0028】拘束機構5は、車両停車時においてシフトポジションN又はPにおけるエンジン始動時にエンジン始動反トルクを受けるものであって、この実施例ではロータ32,41及び車輪駆動軸7と図示しないハウジングとの間に設けられたワンウエイクラッチからなり、このエンジン始動時に車両後退方向へのロータ32,41又は車輪駆動軸7の回転を阻止する。なお、車両走行中のシフトポジションD、Lなどにおいて、エンジン始動時にロータ32,41及び車輪駆動軸7にかかる反トルクは車輪の接地抵抗を通じて支承される。
【0029】インバータ9は第一発電電動機3の電機子コイルとバッテリ8との間の電力授受を制御する直交変換回路であって、周知の三相インバータ回路からなる。
【0030】インバータ10は第二発電電動機4のステータ42の電機子コイルとバッテリ8との間の電力授受を制御する直交変換回路であって、周知の三相インバータ回路からなる。なお、これら三相インバータ回路はスイッチング素子としてIGBTを用い、合計6個のIGBTと逆並列にフライホイルダイオードを用いている。
【0031】平滑コンデンサ6は、高圧(200〜400V)のバッテリ8と並列接続されており、バッテリの充放電電流の変化を抑止する。実際には、平滑コンデンサ6はインバータ9、10の高低直流入力端と並列接続されている。
【0032】界磁電流制御回路11は、図2に示すように、ロータ31に巻装された界磁コイル311を通じてバッテリ8から給電されるスイッチングトランジスタ111と、界磁コイル311と逆並列に接続されたフライホイルダイオード112とからなる。
【0033】コントローラ12は、各ロータ31,32の回転角を検出し、これら回転角に基づいてインバータ9,10を制御することにより、両発電電動機3,4を制御するマイコン内蔵の制御装置であり、エンジン1も制御している。
【0034】なお、このハイブリッド車用発電電動機装置は本発明の一構成例であり、本発明の特徴を実現する範囲で公知ハイブリッド車構成に変更することは当然可能である。
(運転モードの説明)
車両停止時エンジン始動車両停止時には、拘束機構5がロータ32,41及び車輪駆動軸7の逆回転を阻止するので、第一発電電動機3の界磁コイル311及びロータ32の電機子コイルに通電して第一発電電動機3を始動させ、エンジン1を始動させる。
【0035】車両走行時エンジン始動車両走行時には、拘束機構5がロータ32,41及び車輪駆動軸7の逆回転を阻止しなくても、ロータ32,41及び車輪駆動軸7が逆回転することがないので、第一発電電動機3の界磁コイル311及びロータ32の電機子コイルに通電して第一発電電動機3を始動させ、エンジン1を始動させる。
【0036】エンジン回転走行エンジン回転走行では、エンジン動力の一部はロータ32を通じて車輪駆動軸7に伝達され、他の一部は第一発電電動機3の電機子コイルで発電電力に変換され、この発電電力はインバータ9を通じて直流電力に変換され、更にインバータ10を通じて交流電力に変換され、第二発電電動機4にて動力に変換されて車輪駆動軸7に伝達される。 エンジン停止走行(エコラン)エンジン停止走行では、バッテリ8の電力がインバータ10を通じて第二発電電動機4に送電され、第二発電電動機4はこの電力を動力に変換して車輪駆動軸7に伝達する。なお、クランク軸2の拘束機構を増設すれば、エンジン停止時における第一発電電動機3による車輪駆動軸7の駆動も可能である。
【0037】回生制動回生制動では発電電動機3又は4又はその両方を発電動作させて行う。なお、回生制動に発電電動機3を用いる場合にエンジン1が受ける反トルクはエンジン1を正トルク方向に回転させるので問題はないが、エンジン1の回転が拘束されない限り、発電電動機3の回生制動トルクは大きくできない。
【0038】トルクアシストアクセルペダルの踏み量が大きい場合、バッテリ8から両発電電動機3,4の電機子コイルにそれぞれ電力を供給し、それらを電動動作させて大きな車輪駆動トルクを得る。
(制御動作例)コントローラ12により制御されるこの実施例のハイブリッド車用発電電動機装置の制御動作例を図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0039】まず、コントローラ12の外部よりエンジン1の始動命令が入力したかどうかを調べ(S100)、入力されたならS104に進んでエンジン1の始動制御サブルーチンを実行する。
【0040】S100にて、外部よりのエンジン始動命令入力がなければ、S102に進んで説明省略した入力条件がエンジン始動可能なあらかじめ記憶する範囲にあるかどうかを判別し、これら範囲内にあればエンジン自動始動条件が満足されていると判定して、S104にてエンジン1の始動制御サブルーチンを実行する。
【0041】S102にて、エンジン自動始動条件が満足されていなければ、S106に進んでコントローラ12の外部よりエンジン1の始動命令が入力したかどうかを調べ(S100)、入力されたならS104に進んでエンジン1の始動制御サブルーチンを実行する。
【0042】次のS106では、コントローラ12の外部よりエンジン1の停止命令が入力したかどうかを調べ)、入力されたならS110に進んでエンジン1の始動制御サブルーチンを実行する。
【0043】S106にて、外部よりのエンジン停止命令入力がなければ、S108に進んで説明省略した入力条件がエンジン停止可能なあらかじめ記憶する範囲にあるかどうかを判別し、これら範囲内にあればエンジン自動停止条件が満足されていると判定して、S110にてエンジン1の停止制御サブルーチンを実行する。
【0044】次に、両発電電動機3,4の運転制御を実行し(S112)、エンジン1の運転制御を実行して(S114)、S100にリターンする。
(エンジン停止制御)
S110のエンジン停止制御の一例を図4に示す。
【0045】まずS1101にてエンジン制御用コントローラ(ECU)にエンジン停止を指令して第一発電電動機3の電機子電流を停止し、その後、所定時間(ここでは3分)待機してから第一発電電動機3の界磁電流を停止する(S1103)。
【0046】これにより、この界磁電流を通電したままの待機時にエンジン始動指令やトルクアシスト指令が入力した場合、第一発電電動機3の界磁コイル311に高電圧を発生させることなくただちに大電機子電流を流すことができ、動作レスポンスの低下を防止することができる。
【0047】なお、S1103の処理は、S1101のエンジン停止がS108の条件満足による自動停止の場合にのみ実行するようにしてもよく、この場合には、エンジン停止後、短期間経過した時点でのエンジン再始動の確率が小さいマニュアル停止の場合にはこの界磁電流通電延長を実施しないので電力消費増大を抑止することができる。
【0048】また、S108の自動停止時のS1103の界磁電流延長時間を、S106のマニュアル停止時のS1103の界磁電流延長時間より長く設定してもよい。
(エンジン始動制御1)S104のエンジン始動制御の一例を図5に示す。
【0049】まずS1041にて第一発電電動機3の界磁電流Ifへの通電を開始して所定時間(たとえば2〜3秒)待機し(S1042)、その後、第一発電電動機3への電機子電流通電を開始する(S1043)。
【0050】これにより、この第一発電電動機3の界磁コイル311に流れる界磁電流が十分に大きくなった後で(界磁コイル311に十分な磁気エネルギーが蓄積された後で)、電機子電流を流すので、この電機子電流により第一発電電動機3の界磁コイル311に高い電圧が誘導されるのを防止することができる。図8にこの制御における電機子電流と界磁電流の変化を示す。
(エンジン始動制御2)S104のエンジン始動制御の他例を図6に示す。
【0051】このエンジン始動制御は、図5のS1042に示す電機子電流通電遅延に代えて、S1044にて電機子電流を所定の増加率で増大するものである。ここの実施例では、この電機子電流の増加率は、それにより界磁コイル311に発生する誘導電圧が発電電流を生じない(バッテリが充電される)レベル又はそれより所定値高い値より小さいレベルとする。
【0052】このようにすれば、バッテリ8や平滑コンデンサ6に界磁コイル311から大きな誘導電圧が印加されることがなく、バッテリ8の劣化を防止し、平滑コンデンサの耐圧低下、容量縮小を図ることができる。
【0053】なお、S1044にて電機子電流を所定の増加率で増大する代わりに、電機子電流の増大はより短時間で行い、電機子電流の位相角(界磁コイルとの間の)を徐々に電動トルク増大方向に変化させても同じ作用効果を奏することができる。図9にこの制御における電機子電流と界磁電流の変化を示す。
(トルクアシスト制御)S112における発電電動機3,4の運転制御における第一発電電動機3による走行中トルクアシストについて図7を参照して説明する。
【0054】まず、S200にて第一発電電動機3の界磁電流Ifが所定しきい値Ifthより小さいかどうかを調べ、大きければ図3に示すメインルーチンにリターンする。小さければ、第一発電電動機3の界磁コイル311にスイッチングトランジスタ111のデューティ100%で通電を開始し(S202)、その後、第一発電電動機3の電機子電流を所定の増加率以下で徐増する。
【0055】このようにすれば、トルクアシスト時においても上記エンジン始動制御2と同様の作用効果を奏することができる。
(変形態様)上記電機子電流の通電遅延や増加率制限はエンジン始動時に行い、トルクアシスト時に行わないようにしてもよい。このようにすれば、エンジン始動時には上記電機子電流の増大制限によりバッテリへの大電圧による充電を阻止してその性能劣化を抑止し、トルクアシスト時にはこの電機子電流の増大制限を止めてレスポンス性に優れるトルクアシストを行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年10月26日(1999.10.26)
【代理人】 【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開2001−128307(P2001−128307A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−304114