| 【発明の名称】 |
車両搭載用水素利用システム |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 智浩
【氏名】細谷 伊知郎
【氏名】平形 修二
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| 【要約】 |
【課題】万一の事故時には水素の反応自体を抑制してその安全性をより向上させることのできる車両搭載用水素利用システムを提供する。
【解決手段】車両搭載用水素利用システムは、同システムの燃料となる水素の原燃料としてのメタノールを貯蔵するメタノールタンク1、水を貯蔵する水タンク2、メタノールと水から水素燃料を生成するメタノール改質器10、メタノールタンク1と改質器10とを結ぶ通路3aに設けられる電磁弁4a、改質器10から供給される水素燃料に基づき発電を行う固体高分子型燃料電池スタック20、改質器10と燃料電池スタック20とを結ぶ通路3bに設けられる電磁弁4b、及び該水素利用システムの各部を制御する電子制御ユニット30等により構成される。電子制御ユニット30は、車両衝撃の発生時、衝撃センサ40からの検知信号に基づき、電磁弁4a,4bを強制閉弁し通路3a,3bを閉鎖する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】水素を燃料に用いて起電力を得る燃料電池部を備えた車両搭載用水素利用システムにおいて、車両の衝撃に応じて前記水素若しくはその生成原料の輸送にかかる輸送経路を閉鎖する経路閉鎖手段を備えることを特徴とする車両搭載用水素利用システム。 【請求項2】前記経路閉鎖手段は、前記車両の衝撃を検知する衝撃センサと、前記輸送経路を開閉する1〜複数の弁手段と、前記衝撃センサによる衝撃検知に基づいて前記弁手段を強制閉弁する制御手段とを備えて構成される請求項1記載の車両搭載用水素利用システム。 【請求項3】請求項2記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、当該水素利用システムは、前記水素を生成するための原料を貯蔵する原料貯蔵タンクと、該原料を改質して水素を生成する改質器とを備え、前記原料貯蔵タンクから送出される原料を前記輸送経路としての第1の経路を介して前記改質器に供給し、前記改質器にて改質生成された水素を前記輸送経路としての第2の経路を介して前記燃料電池部に供給するものであり、前記弁手段は、前記第1及び第2の経路に対して各別に設けられることを特徴とする車両搭載用水素利用システム。 【請求項4】請求項2記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、当該水素利用システムは、前記水素を生成するための原料を貯蔵する原料貯蔵タンクと、該原料を改質して水素を生成する改質器と、該改質生成された水素を一時的に貯蔵するバッファタンクとを備え、前記原料貯蔵タンクから送出される原料を前記輸送経路としての第1の経路を介して前記改質器に供給し、前記改質器にて改質生成された水素を前記輸送経路としての第2の経路を介して前記バッファタンクに供給し、前記バッファタンクから送出される水素を前記輸送経路としての第3の経路を介して前記燃料電池部に供給するものであり、前記弁手段は、前記第1〜第3の経路に対して各別に設けられることを特徴とする車両搭載用水素利用システム。 【請求項5】請求項2記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、当該水素利用システムは前記水素を貯蔵する水素貯蔵タンクを備え、該水素貯蔵タンクから送出される水素燃料を前記輸送経路を介して前記燃料電池部に供給するものであり、前記弁手段は、前記水素貯蔵タンクと前記燃料電池部との間の輸送経路に対して設けられることを特徴とする車両搭載用水素利用システム。 【請求項6】請求項2記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、当該水素利用システムは前記水素を貯蔵する水素貯蔵タンクを備え、該水素貯蔵タンクから送出される水素燃料を前記輸送経路としての第1の経路を介して前記燃料電池部に供給するとともに、該燃料電池部で消費されなかった水素を前記輸送経路としての第2の経路を介して前記第1の経路に再循環させるものであり、前記弁手段は、前記第1及び第2の経路に対して各別に設けられることを特徴とする車両搭載用水素利用システム。 【請求項7】請求項6記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、前記第1の経路には前記燃料電池部で消費された分の水素が新たに供給されるように圧力調整する圧力調整弁と該圧力調整された水素の前記燃料電池部からの逆流を防止する逆止弁がさらに設けられるとともに、前記第2の経路を介して再循環される水素はこの圧力調整弁の上流側に帰還されるものであり、前記第1の経路に対して設けられる弁手段は、同第1の経路の前記水素貯蔵タンクと前記第2の経路の帰還部との間に設けられることを特徴とする車両搭載用水素利用システム。 【請求項8】前記衝撃センサとして前記車両のエアバックシステムに用いられる加速度センサが兼用される請求項2〜7のいずれかに記載の車両搭載用水素利用システム。 【請求項9】請求項3〜8のいずれかに記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、前記燃料電池部及び前記タンクに対して前記衝撃センサを各別に備えることを特徴とする車両搭載用水素利用システム。 【請求項10】水素を燃料に用いる水素反応器を備えた車両搭載用水素利用システムにおいて、車両の衝撃に応じて前記水素若しくはその生成原料の輸送にかかる輸送経路を閉鎖する経路閉鎖手段を備えることを特徴とする車両搭載用水素利用システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車等に搭載される車両搭載用水素利用システムに関する。 【0002】 【従来の技術】近年、環境問題に対応して低公害車の開発が種々行われており、その中の一つに燃料電池を動力源とする電気自動車がある。また周知のように、この電気自動車に搭載される燃料電池の燃料としては一般に水素が使用されている。ただし、この水素は空気と所定濃度において反応する性質を有しているため、上記車両搭載用水素利用システムにとっては、この水素に対して何らかの対策を施すことが必要不可欠となっている。 【0003】このような対策を施した例として、例えば特開平5−77648号公報に記載された車両搭載用水素利用システムが知られている。この水素利用システムでは、燃料電池発電装置の周囲に衝突吸収用の梁を設けて、万一追突事故等が発生してその衝撃力が燃料電池発電装置に及んだりするのを防止したり、あるいは防護壁を設けて、燃料電池発電装置の破損等で万一上記反応が誘発された場合に、その被害が乗員に及ぶのを防止したりするようにしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、燃料電池発電装置に梁、防護壁を設け、車両構造を強固にして水素に対しての対策を施す上記従来の車両搭載用水素利用システムにあっては、乗員に及ぶ被害を低減できるとはいえ、水素の反応自体を抑制、あるいは停止することはできない。そのため、万一衝突事故等が発生した際において水素の反応自体は依然継続される可能性があり、その対策としても未だ余地を残すものとなっている。 【0005】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、万一の事故時には水素の反応自体を抑制してその安全性をより向上させることのできる車両搭載用水素利用システムを提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。まず請求項1記載の発明は、水素を燃料に用いて起電力を得る燃料電池部を備えた車両搭載用水素利用システムにおいて、車両の衝撃に応じて前記水素若しくはその生成原料の輸送にかかる輸送経路を閉鎖する経路閉鎖手段を備えることをその要旨とする。 【0007】同構成によれば、車両の衝突時等、車両に衝撃が発生したときには、同車両の衝撃に応じて水素若しくはその生成原料の輸送にかかる輸送経路が閉鎖される。このため、そうした万一の場合であっても、当該水素利用システムから漏洩される水素量を最小限に抑制することができ、ひいては前述した水素の反応自体を抑制することができるようになる。 【0008】また請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、前記経路閉鎖手段は、前記車両の衝撃を検知する衝撃センサと、前記輸送経路を開閉する1〜複数の弁手段と、前記衝撃センサによる衝撃検知に基づいて前記弁手段を強制閉弁する制御手段とを備えて構成されることをその要旨とする。 【0009】同構成によれば、車両の衝撃の検知、並びに同検知に基づく上記輸送経路の閉鎖を的確に行うことができるようになる。また請求項3記載の発明は、請求項2記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、当該水素利用システムは、前記水素を生成するための原料を貯蔵する原料貯蔵タンクと、該原料を改質して水素を生成する改質器とを備え、前記原料貯蔵タンクから送出される原料を前記輸送経路としての第1の経路を介して前記改質器に供給し、前記改質器にて改質生成された水素を前記輸送経路としての第2の経路を介して前記燃料電池部に供給するものであり、前記弁手段は、前記第1及び第2の経路に対して各別に設けられることをその要旨とする。 【0010】同構成によれば、例えばメタノール等の水素生成原料を改質して水素燃料を得る水素利用システムにあって、万一のときには、それら水素生成原料及び改質生成された水素の双方に対してその漏洩を抑制することができるようになる。 【0011】また請求項4記載の発明は、請求項2記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、当該水素利用システムは、前記水素を生成するための原料を貯蔵する原料貯蔵タンクと、該原料を改質して水素を生成する改質器と、該改質生成された水素を一時的に貯蔵するバッファタンクとを備え、前記原料貯蔵タンクから送出される原料を前記輸送経路としての第1の経路を介して前記改質器に供給し、前記改質器にて改質生成された水素を前記輸送経路としての第2の経路を介して前記バッファタンクに供給し、前記バッファタンクから送出される水素を前記輸送経路としての第3の経路を介して前記燃料電池部に供給するものであり、前記弁手段は、前記第1〜第3の経路に対して各別に設けられることをその要旨とする。 【0012】同構成によれば、請求項3記載の構成に対してさらに上記バッファタンクを備える水素利用システムにあっても、同バッファタンクからの水素の漏洩を抑制してその安全を確保することができるようになる。 【0013】また請求項5記載の発明は、請求項2記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、当該水素利用システムは前記水素を貯蔵する水素貯蔵タンクを備え、該水素貯蔵タンクから送出される水素燃料を前記輸送経路を介して前記燃料電池部に供給するものであり、前記弁手段は、前記水素貯蔵タンクと前記燃料電池部との間の輸送経路に対して設けられることをその要旨とする。 【0014】同構成によれば、水素を直接貯蔵する上記水素貯蔵タンクを備える水素利用システムにあって、万一のときには、同水素貯蔵タンクからの水素の漏洩を好適に抑制することができるようになる。 【0015】また請求項6記載の発明は、請求項2記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、当該水素利用システムは前記水素を貯蔵する水素貯蔵タンクを備え、該水素貯蔵タンクから送出される水素燃料を前記輸送経路としての第1の経路を介して前記燃料電池部に供給するとともに、該燃料電池部で消費されなかった水素を前記輸送経路としての第2の経路を介して前記第1の経路に再循環させるものであり、前記弁手段は、前記第1及び第2の経路に対して各別に設けられることをその要旨とする。 【0016】同構成によれば、燃料電池部で消費されなかった水素を再循環させる経路(第2の経路)を備える水素利用システムにあっても、その循環経路を併せて閉鎖することで、水素貯蔵タンク及び燃料電池部からの水素の漏洩を好適に抑制することができるようになる。 【0017】また請求項7記載の発明は、請求項6記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、前記第1の経路には前記燃料電池部で消費された分の水素が新たに供給されるように圧力調整する圧力調整弁と該圧力調整された水素の前記燃料電池部からの逆流を防止する逆止弁がさらに設けられるとともに、前記第2の経路を介して再循環される水素はこの圧力調整弁の上流側に帰還されるものであり、前記第1の経路に対して設けられる弁手段は、同第1の経路の前記水素貯蔵タンクと前記第2の経路の帰還部との間に設けられることをその要旨とする。 【0018】同構成によれば、水素貯蔵タンクと燃料電池部との間に上記圧力調整弁及び逆止弁が設けられる水素利用システムにあって、上記水素貯蔵タンク並びに燃料電池部からの水素の漏洩を好適に抑制することができるようになる。 【0019】また請求項8記載の発明は、請求項2〜7のいずれかに記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、前記衝撃センサとして前記車両のエアバックシステムに用いられる加速度センサが兼用されることをその要旨とする。 【0020】同構成によれば、衝撃センサとして新たなセンサを別途に設ける必要がないために、コスト的に有利なシステム構築が可能となる。また請求項9記載の発明は、請求項3〜8のいずれかに記載の車両搭載用水素利用システムにおいて、前記燃料電池部及び前記タンクに対して前記衝撃センサを各別に備えることをその要旨とする。 【0021】同構成によれば、燃料電池部及び各種タンクといった水素若しくはその生成原料が貯蔵される部位の衝撃を直接検知することが可能となり、水素の漏洩を抑制する同システムとしての信頼性もさらに高まることとなる。 【0022】また請求項10記載の発明は、水素を燃料に用いる水素反応器を備えた車両搭載用水素利用システムにおいて、車両の衝撃に応じて前記水素若しくはその生成原料の輸送にかかる輸送経路を閉鎖する経路閉鎖手段を備えることをその要旨とする。 【0023】水素燃焼器(例えば、水素エンジン)等、水素を燃料に用いる水素反応器を備えるた車両搭載用水素利用システムにおいても、万一衝突事故等が発生した際には、前述同様、水素の漏洩等が懸念される。この点同構成によれば、こうしたシステムにあっても、車両の衝突時等、車両に衝撃が発生したときには、同車両の衝撃に応じて水素若しくはその生成原料の輸送にかかる輸送経路が閉鎖される。このため、そうした万一の場合であっても、当該水素利用システムから漏洩される水素量を最小限に抑制することができ、ひいては前述した水素の反応自体を抑制することができるようになる。 【0024】 【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発明にかかる車両搭載用水素利用システムの第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。 【0025】図1は、本実施の形態にかかる車両搭載用水素利用システムの構成を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、この水素利用システムは、大きくは、同システムの燃料となる水素の原燃料であるメタノールを貯蔵するメタノールタンク1、水を貯蔵する水タンク2、これらメタノールと水とから水素(燃料ガス)を発生させるメタノール改質器10、同改質器10からの水素燃料の供給に基づき発電を行う固体高分子型燃料電池スタック(以下、単に燃料電池スタックという)20、そして該水素利用システムの各部を制御する電子制御ユニット30等を有して構成される。 【0026】ここで、上記メタノールタンク1及び水タンク2は、通路(経路)3aによってメタノール改質器10と連結され、同通路3aを介してメタノール改質器10にメタノール(原燃料)及び水が輸送される。また、メタノール改質器10は、通路(経路)3bによって燃料電池スタック20と連結され、同通路(経路)3bを介して燃料電池スタック20に水素燃料が輸送される。 【0027】一方、上記メタノール改質器10は、メタノールタンク1からのメタノールと水タンク2からの水との供給をうけて、反応促進触媒、例えば銅系触媒のもとに下式(1) CH3OH + H2O → 3H2 + CO2 − 49.5kJ/mol ……(1) に従う「水蒸気改質反応」を起こすもので、メタノール1モルから水素3モルを得る装置である。また、このメタノール改質器10には、上記反応の副生成物として発生するCO(一酸化炭素)の濃度を低下させるためのCO選択酸化反応器(図示略)等も設けられる。なお、このメタノール改質器10に供給されるメタノール及び水の量、すなわち水素燃料の発生量は電子制御ユニット30によって制御される。 【0028】また、上記燃料電池スタック20は、図2に示すような単位電池セル20aを直列に積層したものである。この単位電池セル20aは、同図2に示すように一対のセパレータ22,23間に電極接合体21が挟み込まれた構造をなしている。この電極接合体21は、白金等の触媒層が形成された一対の導電性多孔質電極(水素極21a及び酸素極21c)の間に電解質膜(固体高分子膜)21bを圧着したものである。そして、水素極21aには水素が供給され、一方、酸素極21cには酸素(空気)が供給されることにより発電が行なわれ、その電力がモータ等の負荷に供給される。 【0029】また、電子制御ユニット30は、予め設定された制御プログラムにしたがって所定の演算等を実行するCPU31、同CPU31で各種演算処理を実行するために必要な制御プログラムや制御データ等が予め記憶されたROM32、同CPU31で各種演算処理を実行するために必要なデータが一時的に読み書きされるRAM33、該水素利用システムの各部に駆動信号を出力するとともに同各部からの信号を入力する入出力ポート34などを備えて構成されている。 【0030】これら水素利用システムとしての基本構成に加え、本実施の形態のシステムにおいては、さらに車両の衝突時等、車両に衝撃が発生したときに、同車両の衝撃に応じて上記通路3a及び3bを閉鎖するための経路閉鎖手段が設けられている。 【0031】そして本実施の形態において、この経路閉鎖手段は、衝撃センサ40、電磁弁4a,4b、及び前記電子制御ユニット30を備えて構成される。ここで、衝撃センサ40は車両の衝突事故等を検知するもので、図示しない車両のエンジンルームの前方両サイドに2個設けられている。この衝撃センサ40はエアバック(図示略)を作動させるエアバックセンサ(フロントエアバックセンサ)であり、車両の衝突等により発生する加速度を検出することにより同衝突を検知する。このように本実施の形態においては、車両の衝突等によって発生する衝撃の検知をフロントエアバックセンサを兼ねる2個の衝撃センサ40の検知信号に基づいて行う。 【0032】また、電磁弁4aは、同図1に示されるように上記通路(経路)3aに対して設けられ、前記電子制御ユニット30によってそのソレノイドが駆動制御されることにより開閉駆動される。また電磁弁4bは、上記通路(経路)3bに対して設けられ、同じく前記電子制御ユニット30によって開閉制御される。なお、これら電磁弁4a,4bは共に、そのソレノイドへの非通電時に開弁状態となる常開弁として構成されている。 【0033】次に、このように構成される車両搭載用水素利用システムにおいて、車両に衝突事故等によって衝撃が発生した場合に、上記電磁弁4a,4bを強制閉弁して上記通路(経路)3a及び3bを閉鎖する制御について、図3に示す制御ルーチンに基づき説明する。なお、本ルーチンは、CPU31(電子制御ユニット30)によって所定時間毎に実行される。 【0034】さて、図3に示す制御ルーチンにおいて、CPU31は、先ずステップS10の処理として、衝撃センサ40からの信号を読み込み、車両に衝突事故等が発生したか否かの判断を行う。ここで衝撃センサ40からの信号に基づき車両に衝突事故等が発生していないと判断した場合、CPU31はステップS20に移行し、通常の水素燃料供給制御、及び発電制御等を実施して本ルーチンを一旦終了する。 【0035】一方、同ステップS10において、車両に衝突事故等が発生したと判断した場合、CPU31はステップS30に移行し、両電磁弁4a,4bに対してそれら弁を強制的に閉弁するための信号を同時に送信し、同電磁弁4a,4bを閉弁する。 【0036】こうして、電磁弁4a,4bが閉弁されることで、メタノールタンク1からメタノール改質器10へメタノールを輸送する通路(経路)3a、及びメタノール改質器10から燃料電池スタック20へ水素燃料を輸送する通路(経路)3bが共に閉鎖される。そのため、メタノールタンク1からメタノール改質器10へのメタノールの供給が停止されるとともに、該メタノールの供給停止に伴って、メタノール改質器10での水素の改質生成そのものが停止されるようになる。またこれに併せて、メタノール改質器10から燃料電池スタック20への水素燃料の供給が停止され、該水素燃料の供給停止に伴って、燃料電池スタック20での発電そのものが停止されるようになる。その結果、車両の衝突事故等に起因して当該水素利用システムから漏洩する水素量も最小限に抑制され、同漏洩した水素による反応等も未然に防止されるようになる。 【0037】以上説明したように、本実施の形態の車両搭載用水素利用システムによれば、以下のような効果を得ることができる。 (1)万一、車両の衝突事故等が発生した場合にあっても、電磁弁4a,4bの強制閉弁に基づいメタノールタンク1からメタノール改質器10へメタノールを輸送する経路3a及びメタノール改質器10から燃料電池スタック20へ水素を輸送する経路3bが閉鎖される。そのため、漏洩する水素量を最小限に抑制することができるようになり、ひいてはこの漏洩水素による反応等も未然に防止することができるようになる。 【0038】(2)また、それら経路3a及び経路3bが閉鎖されることにより、水素生成原料及び改質生成された水素の双方に対してその漏洩を抑制することができるようになる。 【0039】(3)上記車両の衝突等を検知する衝撃センサ40としてエアバックセンサ、すなわち同車両のエアバックシステムに用いられる加速度センサを兼用することとしたため、何ら新たにセンサを追加する必要がなく経済的でもある。 【0040】なお、以上説明した本発明の第1の実施の形態は以下のようにその構成を変更して実施することもできる。 ・上記第1の実施の形態においては、電磁弁4a,4bの双方を閉弁する例を示したがこれに限られない。その他、例えば電磁弁4aのみを閉弁するようにしてもよい。この場合にあっても、水素の改質生成そのものを停止させることはできる。 【0041】・上記第1の実施の形態においては、その対象とする水素利用システムとして、水素を生成するための原燃料をメタノールとし、原燃料から水素を生成する改質器としてメタノール改質器を用いる例を示したが、同水素利用システムとしては他に、原燃料として天然ガス等の炭化水素系燃料を使用し、改質器としてもそれに対応した改質器を用いるものもある。そしてこの場合にあっても、水素若しくはその生成原料の輸送にかかる各輸送経路に弁を設け、万一、車両の衝突事故等が発生したときにはそれら弁を閉弁することとしても上記実施の形態と同様の効果を得ることはできる。 【0042】・また、図4に示すように、メタノール改質器10から燃料電池スタック20に至る経路の途中に水素燃料のバッファタンク60を設けた水素利用システムにも本発明を適用することはできる。そしてこの場合には特に、同図4に示すように上記メタノール改質器10とバッファタンク60との間の通路(経路)3bに上記電磁弁4bを設けるとともに、バッファタンク60と燃料電池スタック20との間の通路(経路)3cにも同じく電子制御ユニット30によって閉弁駆動される電磁弁4cを設けることで、同バッファタンク60からの水素の漏洩も好適に抑制することができるようになる。 【0043】・上記第1の実施の形態においては、その対象とする水素利用システムとして、水素燃料を直接貯蔵せずに、原燃料(メタノール)タンク1と改質器10とを備えて水素燃料を生成する例を示したが、同水素利用システムとしては他に、例えば図5に示すように、原燃料タンク及び改質器等を備えずに、水素燃料を直接、水素吸蔵合金タンク50等に貯蔵するシステムもある。そして本発明は、このようなシステムにも同様に適用することができる。すなわちこの場合には、水素吸蔵合金タンク50から燃料電池スタック20に水素燃料を輸送する通路(経路)3dに対して上記同様電子制御ユニット30によって閉弁駆動される電磁弁4bが設けることで、同水素貯蔵合金タンク50からの水素の漏洩を好適に抑制することができる。 【0044】(第2の実施の形態)次に、本発明にかかる車両搭載用水素利用システムの第2の実施の形態を、前記第1の実施の形態との相違点を中心に図6を参照して説明する。 【0045】同図6に示されるように、この第2の実施の形態において適用の対象とする水素利用システムは、水素燃料を生成するための原料を所蔵するタンク1や原料の改質器10等を備えず、水素燃料を直接貯蔵する水素吸蔵合金タンク50を備えて構成される。 【0046】しかもこの水素利用システムは、大きくは、同システムの燃料となる水素を貯蔵する水素吸蔵合金タンク50、このタンク50と燃料電池スタック20とを連結し同燃料電池スタック20に水素燃料を輸送する通路(経路)3d、燃料電池スタック20と通路3dとを連結し同燃料電池スタック20で消費されなかった水素を再利用するために同水素を通路3dに循環輸送する循環通路3e、そして該水素利用システムの各部を制御する電子制御ユニット30等を有して構成される。 【0047】また、上記通路3dの途中には、同通路3dを流れる水素燃料の圧力を調整する圧力調整弁5及びその下流側に同水素燃料の逆流を防止する逆止弁6が設けられている。なお、圧力調整弁5は前記電子制御ユニット30によってその開閉が制御される。 【0048】本実施の形態のシステムにおいては、これら水素利用システムの基本構成に加え、車両の衝突時等、車両に衝撃が発生したときに、同衝撃に応じて上記通路3d及び3eを閉鎖するための経路閉鎖手段が設けられている。 【0049】この経路閉鎖手段は、衝撃センサ40,41,42、電磁弁4d,4e、及び前記電子制御ユニット30を備えて構成される。すなわちここでは、車両の衝突等によって発生する衝撃を検知するセンサとして、前記衝撃センサ(エアバックセンサ)40に加え、水素吸蔵合金タンク50には衝撃センサ41が、また前記燃料電池スタック20には衝撃センサ42がそれぞれ設けられている。なお、これら衝撃センサ41,42も前記衝撃センサ40と同様に、車両の衝突等により発生する加速度を検出することにより同衝突を検知する加速度センサである。 【0050】また、上記電磁弁4dは、同図6に示されるように上記通路(経路)3dにあって上記圧力調整弁5の上流側に設けられ、前記電子制御ユニット(CPU31)30によってそのソレノイドが駆動制御されることにより開閉駆動される。また電磁弁4eは上記循環通路(経路)3eに設けられ、同じく前記電子制御ユニット30によって開閉制御される。 【0051】なお、これら電磁弁4d,4eも共に、そのソレノイドへの非通電時に開弁状態となる常開弁として構成されている。また、上記循環通路3eは電磁弁4dと圧力調整弁5との間に結合され、燃料電池スタック20で消費されなかった水素は電磁弁4dの下流側であって圧力調整弁5の上流側にもどされる。 【0052】このように構成される本実施の形態の水素利用システムにおいて、車両に衝突事故等が発生し、CPU31が、上記3つの衝撃センサ40,41,42のうち少なくともいずれか1つの検知信号に基づきその衝撃を認知すると、同CPU31は先の図3に例示したルーチンに準じた制御ルーチンを通じて前記電磁弁4d及び4eを同時に強制閉弁する。 【0053】これにより、通路3d及び循環通路3eは共に閉鎖され、水素吸蔵合金タンク50から燃料電池スタック20への水素燃料の輸送は停止されるとともに、燃料電池スタック20から循環通路3eを介して通路3dへの水素燃料の輸送も停止される。すなわち、燃料電池スタック20で消費されなかった水素を再循環させる経路3eを備える水素利用システムであれ、その循環経路3eが併せて閉鎖されることで、水素吸蔵合金タンク50はもとより、燃料電池スタック20からの水素の漏洩も好適に抑制されるようになる。 【0054】しかも、本実施の形態においては、水素吸蔵合金タンク50及び燃料電池スタック20にも衝撃センサ41,42を設けているため、それら水素吸蔵合金タンク50及び燃料電池スタック20に加わる衝撃を直接検知することが可能となり、水素の漏洩を抑制する同システムとしての信頼性もさらに高まることとなる。 【0055】以上説明したように、本実施の形態の車両搭載用水素利用システムによれば、以下のような効果を得ることができる。 (1)水素吸蔵合金タンク50及び燃料電池スタック20で消費されなかった水素を再循環させる経路3eを備える車両搭載用水素利用システムにあって、万一、車両の衝突事故等が発生した場合にあっても、電磁弁4d及び4eの強制閉弁に基づいて、水素吸蔵合金タンク50から燃料電池スタック20へ水素燃料を輸送する経路3d及び燃料電池スタック20から経路3dへ水素を再循環させる経路3eが共に閉鎖される。そのため、漏洩する水素量を最小限に抑制することができるようになり、ひいてはこの漏洩水素による反応等も未然に防止することができるようになる。 【0056】(2)本実施の形態においては、車両の追突時等に発生する衝撃の検知を、衝撃センサ40(エアバックセンサ)、水素吸蔵合金タンク50に設けられる衝撃センサ41、及び燃料電池スタック20に設けられる衝撃センサ42のいずれか1つのセンサの検知に基づき行う。そのため、それら水素吸蔵合金タンク50及び燃料電池スタック20に加わる衝撃を直接検知することが可能となり、水素の漏洩を抑制する同システムとしての信頼性もさらに高まることとなる。 【0057】なお、以上説明した本発明の第2の実施の形態は以下のようにその構成を変更して実施することもできる。 ・上記第2の実施の形態においては、水素貯蔵タンクを水素吸蔵合金タンク50とする水素利用システムにこの発明を適用する例を示したが、その他、同水素貯蔵タンクとして例えば高圧水素ガスボンベ、あるいは液体水素ボンベ等を用いるシステムについても同様にこの発明を適用することはできる。 【0058】・上記第2の実施の形態においては、衝撃の検知に基づいて電磁弁4d及び4eを強制閉弁する例について示したが、同衝撃の検知時、圧力調整弁5も併せて強制閉弁する構成としてもよい。 【0059】その他、上記各実施の形態に共通に変更可能な要素としては次のようなものがある。 ・上記各実施の形態においては、車両のエンジンルームの前方両サイドに設けられる2個のフロントエアバックセンサを衝撃センサ40として兼用する例を示したがこれに限られない。衝撃センサ40として兼用するエアバックセンサとして、さらに車両のサイドドア部に設けられるサイドエアバックセンサ等を併用するものであってもよい。また、エアバックセンサを衝撃センサ40として兼用する必要もなく、別途、所定個数の衝撃センサ40を車両の所定場所に適宜設けるようにするものであってもよい。 【0060】・上記各実施の形態においては、電磁弁(4a〜4e)を共に、そのソレノイドへの非通電時に開弁状態となる常開弁として構成する例を示したが、それら電磁弁(4a〜4e)をそのソレノイドへの非通電時に閉弁状態となる常閉弁として構成するものであってもよい。 【0061】・上記各実施の形態においては、弁手段として電磁弁を使用する例を示したがこれに限られない。その他、例えばステッピングモータ等によって開閉制御される弁であってもよい。また、電気的な閉トリガ信号を受けて機械的に閉弁する弁であってもよい。 【0062】・弁手段の設置形態(個数及び場所等)は、上記各実施の形態において示した形態に限られない。要は、車両の衝撃に応じて水素若しくはその生成原料の輸送にかかる輸送経路を閉鎖するものであれば、あらゆる設置形態の弁手段を備えた車両搭載用水素利用システムにこの発明を適用することができる。 【0063】・上記各実施の形態においては、経路閉鎖手段を衝撃センサ(40,41,42)、電磁弁(4a〜4e)、及び電子制御ユニット(30)等により構成する例を示したが同経路閉鎖手段の構成はこれに限られない。その他、例えば所定以上の衝撃をトリガとして水素若しくはその生成原料の輸送にかかる輸送経路を機械的に遮断する機構等も適宜採用することができる。 【0064】・上記各実施の形態においては、固体高分子型の燃料電池を用いるシステムにこの発明を適用する場合について示したが、この発明が適用の対象とする燃料電池の形式等も任意である。 【0065】・上記各実施の形態においては、水素を燃料に用いて起電力を得る燃料電池部を備えた車両搭載用水素利用システムにこの発明を適用する場合について示したが、この発明は他に、例えば水素自動車等に採用される水素を燃料に用いる水素反応器を備えた車両搭載用水素利用システムにも同様に適用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月20日(1999.10.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣
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| 【公開番号】 |
特開2001−119815(P2001−119815A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−298733 |
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