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【発明の名称】 非接触給電システムおよびそのシステムにおいて使用される受電装置
【発明者】 【氏名】鈴木 和宏

【氏名】渡辺 勲

【氏名】森田 勝幸

【氏名】高三 正己

【要約】 【課題】移動体にエネルギーを供給するための給電線を敷設することにより生じる不便さが抑えられた非接触給電システムを提供する。

【解決手段】移動体10の走行経路には、通常給電エリアおよび補助給電エリアが設けられている。通常給電エリアでは、所定の位置に給電線3a、3bが設けられている。補助給電エリアでは、通常給電エリアに設けられている給電線3a、3bの延長線上でない位置に給電線3cが設けられている。移動体10は、受電ユニット11および13を備える。移動体10が通常給電エリアに位置するときは、受電ユニット11が給電線3aまたは3bからエネルギーを受け取り、移動体10が補助給電エリアに位置するときは、受電ユニット13が給電線3cからエネルギーを受け取る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 給電線から非接触で受け取るエネルギーを使用して、移動体が予め定められた経路を走行する非接触給電システムであって、上記経路中には、通常給電エリアと補助給電エリアとが設けられ、上記補助給電エリアには、上記通常給電エリアの給電線設置位置とは異なる位置に給電線が設けられ、上記移動体には、上記通常給電エリアおよび補助給電エリアにそれぞれ設けられている給電線からエネルギーを受け取る受電装置が設けられている非接触給電システム。
【請求項2】 請求項1に記載の非接触給電システムであって、上記受電装置が、上記通常給電エリアに設けられている給電線からエネルギーを受け取る第1の受電ユニットと、上記補助給電エリアに設けられている給電線からエネルギーを受け取る第2の受電ユニットとを備える。
【請求項3】 請求項2に記載の非接触給電システムであって、上記通常給電エリアに設けられている給電線および上記補助給電エリアに設けられている給電線が、上記移動体の走行方向において互いにオーバラップする。
【請求項4】 請求項2に記載の非接触給電システムであって、上記第1および第2の受電ユニットが、それぞれ、上記給電線の周囲に発生する磁束をピックアップするコイルを複数含み、それらのコイルは、並列に接続されるか、あるいは倍電圧生成回路を構成するように接続される。
【請求項5】 請求項1に記載の非接触給電システムであって、上記受電装置が、上記給電線からエネルギーを受け取る受電ユニットと、その受電ユニットが上記通常給電エリアに設けられている給電線または上記補助給電エリアに設けられている給電線からエネルギーを受け取れるように、その受電ユニットを動かす可動メカニズムとを備える。
【請求項6】 請求項5に記載の非接触給電システムであって、上記通常給電エリアの設けられている給電線および上記補助給電エリアに設けられている給電線が、上記移動体の走行方向において互いにオーバラップしない。
【請求項7】 請求項6に記載の非接触給電システムであって、上記通常給電エリアの設けられている給電線および上記補助給電エリアに設けられている給電線が共に存在しないエリアにおいて、上記受電ユニットに接触しない位置に給電線を設ける。
【請求項8】 請求項5に記載の非接触給電システムであって、上記受電ユニットが、上記給電線の周囲に発生する磁束をピックアップするコイルを複数含み、それらのコイルは、並列に接続されるか、あるいは倍電圧生成回路を構成するように接続される。
【請求項9】 給電線から非接触で受け取るエネルギーを使用して、移動体が予め定められた経路を走行する非接触給電システムであって、上記経路中には、所定の位置に給電線が設けられた第1のエリア、およびその第1のエリアに設けられている給電線とは異なる位置に給電線が設けられた第2のエリアが存在し、上記移動体には、上記第1のエリアおよび第2のエリアにそれぞれ設けられている給電線からエネルギーを受け取る受電装置が設けられている非接触給電システム。
【請求項10】 移動体が走行する経路中に通常給電エリアおよび補助給電エリアが設けられ、その補助給電エリアには上記通常給電エリアの給電線設置位置とは異なる位置に給電線が設けられ、それらの給電線から非接触で受け取るエネルギーを使用して移動体が走行するシステムにおいて、その移動体に設けられる受電装置であって、常に、上記通常給電エリアまたは補助給電エリアに設けられている給電線の少なくとも一方からエネルギーを受け取る受電装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体が給電線から非接触で得るエネルギーを使用して走行するシステムに係わる。
【0002】
【従来の技術】レールに沿って敷設された給電線から移動体に非接触で電力を供給することにより、その移動体をそのレールに沿って走行させるシステム(以下、「非接触給電システム」と呼ぶ)は、従来からよく知られている。非接触給電システムは、たとえば、工場内で部品や製造物を搬送するために利用されている。
【0003】給電線には、通常、高周波の交流が与えられている。そして、非接触給電システムで使用される移動体は、通常、その給電線からエネルギー(電力)を得て負荷に供給するための電源回路を備える。電源回路は、たとえば、図13(a) に示すようなE型形状のコア101を備える。
【0004】給電線102aおよび102bは、図13(b) に示すように、支持部材103により給電線敷設部材104に取り付けられている。また、給電線102aおよび102bには、互いに反対方向に電流が流れており、それぞれコア101の窪み部に収容される。なお、給電線102aおよび102bは、不図示の交流電源に接続された1本の給電線102の往路部および復路部である。
【0005】給電線102aおよび102bに電流が流れると、それぞれその周辺に磁束が発生する。従って、給電線102aおよび102bに交流を与えると、コイル105を通過する磁束がその交流の周波数に従って変化する。このとき、コイル105には、通過する磁束の変化に伴って起電力が発生する。そして、このコイル105からの出力電圧は、整流された後に負荷106に供給される。ここで、負荷106は、移動体を走行させるためのモータ、およびそのモータを制御するための制御回路を含む。なお、安定的に電圧を生成するための一手法として、移動体に上記コア101を複数設ける構成が知られている。
【0006】このように、非接触給電システムでは、移動体が、非接触で給電線からエネルギーを受け取り、そのエネルギーを使用して走行する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のような非接触給電システムにおいては、一般に、給電線が床から所定の高さの位置に設けられる。このため、非接触給電システムを導入すると、人や手押し台車などは、移動体が走行する経路を横断することができなかった(あるいは、困難であった)。この結果、作業者などは不便さを感じていた。
【0008】本発明の課題は、給電線が敷設されることにより生じる不便さが抑えられた非接触給電システムを提供することである。また、本発明の他の課題は、上記システムにおいて安定的にエネルギーを受け取ることができる受電装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の非接触給電システムは、給電線から非接触で受け取るエネルギーを使用して、移動体が予め定められた経路を走行する構成を前提とする。このシステムでは、上記経路中に通常給電エリアおよび補助給電エリアが設けられる。上記通常給電エリアには、その所定位置に給電線が設けられ、一方、上記補助給電エリアには、上記通常給電エリアの給電線設置位置とは異なる位置に給電線が設けられる。そして、上記移動体には、上記通常給電エリアおよび補助給電エリアにそれぞれ設けられている給電線からエネルギーを受け取る受電装置が設けられている。
【0010】上記構成において、通常給電エリアおよび補助給電エリアでは、互いに異なる位置に給電線が設けられている。このため、人などは、通常給電エリアに設けられている給電線と補助給電エリアに設けられている給電線との間を通行できる。すなわち、人などは、移動体が走行する経路を横切ることができる。また、補助給電エリアにも給電線が設けられているので、移動体は、少なくとも通常給電エリアに設けられている給電線または補助給電エリアに設けられている給電線の一方からエネルギーを受け取ることができる。したがって、通常給電エリアおよび補助給電エリアにおいて互いに異なる位置に給電線が設けらていても、移動体へのエネルギー供給が停止することはない。
【0011】上記システムにおいて、移動体に設けられる受電装置が、通常給電エリアに設けられている給電線からエネルギーを受け取る第1の受電ユニットと、補助給電エリアに設けられている給電線からエネルギーを受け取る第2の受電ユニットを備えるようにしてもよい。この場合、移動体は、通常給電エリアと補助給電エリアとの境界付近においても、少なくとも一方の給電線から確実にエネルギーを受け取ることができる。
【0012】また、上記システムにおいて、受電装置が、上記給電線からエネルギーを受け取る受電ユニットと、その受電ユニットが通常給電エリアに設けられている給電線または補助給電エリアに設けられている給電線からエネルギーを受け取れるようにその受電ユニットを動かす可動メカニズムを備えるようにしてもよい。この場合、受電ユニットの数が少なくなるので、移動体の重量が軽くなることが期待される。
【0013】
【発明の実施の形態】本実施形態の非接触給電システムは、予め決められた経路に沿って走行する移動体(例えば、工場内で部品や製造物を搬送する台車)、およびその経路に沿って敷設された給電線を含む。移動体は、その給電線から非接触でエネルギーを受け取りながら走行する。移動体が走行する経路中には、通常給電エリアおよび補助給電エリアが存在する。
【0014】通常給電エリアには、その所定位置に給電線が設けられ、一方、補助給電エリアには、通常給電エリアの給電線設置位置とは異なる位置に給電線が設けられている。通常給電エリアに設けられている給電線と補助給電エリアに設けられている給電線との間隔(ギャップ)は、例えば、人や手押し台車が通過できる程度である。
第1の実施形態図1は、第1の実施形態の非接触給電システムの構成を示す図である。
【0015】給電線敷設部材1は、基本的に、移動体10が走行する経路に沿って設けられている。この給電線敷設部材1は、その一部が分断されており、給電線敷設部材1aおよび給電線敷設部材1bから構成されている。給電線敷設部材1aと給電線敷設部材1bとの間のスペース(ギャップ)は、例えば、そのスペースを人や手押し台車が余裕を持って通過できる程度とする。一方、給電線敷設部材2は、給電線敷設部材1が分断されている位置に対応する位置に、給電線敷設部材1と平行に設けられている。図1に示す例では、移動体10の側部(移動体10から見て給電線敷設部材1と反対側)に位置するように給電線敷設部材2が設けられている。
【0016】給電線3は、不図示の交流電源に接続されており、給電線敷設部材1および給電線敷設部材2に敷設される。ここで、給電線3は、図13(b) を参照しながら説明したように、その往路部と復路部が互いに平行になるように、支持部材により給電線敷設部材1、2に固定される。これにより、給電線3の往路部および復路部には、常に互いに逆方向の電流が流れることになる。なお、給電線敷設部材1aおよび1bに取り付けられている給電線をそれぞれ給電線3aおよび3bと呼び、給電線敷設部材2の取り付けられている給電線を給電線3cと呼ぶことにする。また、給電線3aと給電線3cとの間の給電線および給電線3cと給電線3bとの間の給電線(図1において、破線で描かれている)は、例えば、床下に埋設されるか、或いは人の身長よりも高い位置に吊される。
【0017】図1に示す例では、1本の給電線が給電線敷設部材1および給電線敷設部材2に沿って敷設されるように引き回されているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、例えば、給電線敷設部材1および給電線敷設部材2に沿ってそれぞれ異なる給電線を敷設してもよい。この場合、各給電線に対してそれぞれ交流電源が設けられる。
【0018】図1において、給電線敷設部材1に沿って給電線3a、3bが敷設されている領域を「通常給電エリア」と呼ぶことにし、また、給電線敷設部材2に沿って給電線3cが敷設されている領域を「補助給電エリア」と呼ぶことにする。
【0019】移動体10は、受電ユニット11および13を備える。受電ユニット11は、給電線3aまたは3bからエネルギーを受け取り、受電ユニット13は、給電線3cからエネルギーを受け取る。受電ユニット11は、コア12aおよび12bを備え、受電ユニット13は、コア14aおよび14bを備える。各コアは、図13に示したように、E型形状であり、それぞれ、給電線3の周囲に発生する磁束をピックアップするためのコイル(例えば、図13(b) に示すコイル105)を備える。
【0020】上記システムにおいて、移動体10が通常給電エリアに位置するときは、受電ユニット11が給電線敷設部材1に敷設されている給電線3(給電線3aまたは3b)からエネルギーを受け取る。一方、移動体10が補助給電エリアに位置するときは、受電ユニット13が給電線敷設部材2に敷設されている給電線3(給電線3c)からエネルギーを受け取る。すなわち、移動体10は、常に、給電線3からエネルギーを受け取ることができる。また、このシステムでは、通常給電エリアと補助給電エリアとで給電線3が異なる位置に設けられているので、人や手押し台車などが移動体10の走行経路を横切ることができる。
【0021】なお、図1に示す例では、補助給電エリアにおいて、給電線3(すなわち、給電線3c)は、移動体10の側部に位置するように設けられているが、この構成に限定されるものではない。他の例を図2および図3に示す。
【0022】図2に示す例では、補助給電エリアにおいて、給電線3は、移動体10の上部に位置するように設けられる。図2において、この給電線を給電線3dと呼ぶ。また、移動体10は、その上部に受電ユニット15を備える。この受電ユニット15は、移動体10が補助給電エリアに位置しているときに、給電線3dからエネルギーを受け取る。
【0023】図3に示す例では、補助給電エリアにおいて、給電線3は、移動体10の下部(あるいは、床に埋め込まれる)に位置するように設けらる。図3において、この給電線を給電線3eと呼ぶ。また、移動体10は、その下部に受電ユニット16を備える。この受電ユニット16は、移動体10が補助給電エリアに位置しているときに、給電線3eからエネルギーを受け取る。
【0024】このように、補助給電エリアでは、給電線は、通常給電エリアに設けられている給電線の延長線上でない位置に設けられている。具体的には、この給電線は、例えば、移動体10が補助給電エリアに位置しているときにその給電線が移動体10の側部、上部、または下部に位置するように設けられる。一方、移動体10には、給電線敷設部材1に敷設されている給電線からエネルギーを受け取るための受電ユニット(受電ユニット11)とは別に、補助給電エリアに設けられている給電線からエネルギーを受け取るための受電ユニット(受電ユニット13、15、16)を備える。
【0025】上述した実施例ように、移動体10が2つの受電ユニットを有する構成においては、図4に示すように、通常給電エリアに敷設される給電線(給電線3aおよび3b)と補助給電エリアに設けられる給電線(給電線3c)とが、移動体10の走行方向において互いにオーバラップしていることが望ましい。この場合、オーバラップ長Lは、移動体10の走行方向における各コアの長さよりも長いことが望ましい。この構成を導入すれば、移動体10が通常給電エリアから補助給電エリアに進入する際、または移動体10が補助給電エリアから通常給電エリアに戻る際に、移動体10が給電線3から受け取るエネルギーの低下が最小限に抑えられる。
第2の実施形態第1の実施形態のシステムで使用される移動体は、上述のように、通常給電エリアに敷設された給電線からエネルギーを受け取るための受電ユニットの他に、補助給電エリアに設けられている給電線からエネルギーを受け取るための受電ユニットを備えるが、第2の実施形態のシステムで使用される移動体は、受電ユニット(コア)を動かすメカニズムを有し、1つの受電ユニットが、通常給電エリアに設けられている給電線または補助給電エリアに設けられている給電線の何れからでもエネルギーを受け取ることができる。このため、給電線からエネルギーを取り出すためのコア(およびコイル)の数が少なくなるので、移動体の総重量が軽くなり、また、コストも低下することが期待される。
【0026】図5は、第2の実施形態の非接触給電システムの構成を示す図である。給電線敷設部材および給電線は、基本的に、第1の実施形態のシステムと同じなので、図5においては給電線敷設部材を省略している。ただし、給電線の配置は少し異なっている。即ち、第2の実施形態では、通常給電エリアに設けられる給電線(給電線3aおよび3b)と補助給電エリアに設けられる給電線(給電線3c)とが、移動体10の走行方向において互いにオーバラップしないように配置し、無給電線区間Mを設ける。なお、第2の実施形態においても、1本の給電線から給電線3a〜3cを構成してもよいし、給電線3a〜3cが互いに独立した異なる給電線であってもよい。
【0027】移動体20は、受電ユニットとして、2つのコア21a、21bを有する。これらのコアは、例えば、図13に示したものと同じであり、給電線3の周囲に発生する磁束をピックアップするためのコイルを備える。
【0028】可動メカニズム22a、22bは、それぞれ、必要に応じてコア21a、21bを動かす。具体的には、可動メカニズム22aおよび22bは、各コアが通常給電エリアに設けられている給電線(給電線3a、3b)または補助給電エリアに設けられている給電線(給電線3c)からエネルギーを受け取ることができる位置にコア21aおよび21bを適切に動かす。この場合、可動メカニズムは、図5に示すように、移動体20の側部を旋回するように各コアを移動させてもよいし、或いは、移動体20の上部を旋回するように各コアを移動させてもよい。なお、可動メカニズム22a、22bは、互いに独立にコア21a、21bを動かすことができる。
【0029】なお、給電線を敷設するに際して無給電線区間Mを設けた理由は、コア21aまたは21bを動かしたときに、それらのコアが給電線(または、給電線が敷設されている給電線敷設部材)に接触することを回避するためである。このため、無給電線区間Mの長さは、各コアの形状や各コアの旋回半径などに基づいて決められる。
【0030】図6は、コアを動かすタイミングを説明する図である。ここでは、通常給電エリアを走行している移動体20が、補助給電エリアに進入する際の動作を説明する。
【0031】移動体20が通常給電エリアを走行している期間は、図6(a) に示すように、コア21aおよび21bは、共に、通常給電エリアに設けられている給電線3aからエネルギーを受け取るように配置されている。この場合、2つのコアによりエネルギーが得られる。
【0032】移動体20が補助給電エリアに進入し、図6(b) に示すように、コア21bが無給電線区間Mに位置すると、可動メカニズム22bは、移動体20がさらに走行を続けたときに給電線3cがコア21bに収容されるであろう位置にコア21bを動かす。この結果、コア21bは、図6(c) に示す位置に移る。なお、この期間は、コア21bはエネルギーを受け取ることは出来ないが、コア21aは給電線3aからエネルギーを受け取っている。
【0033】続いて、移動体20がさらに走行してゆき、図6(d) に示すように、コア21aが無給電線区間Mに位置すると、可動メカニズム22aは、移動体20がさらに走行を続けたときに給電線3cがコア21aに収容されるであろう位置にコア21aを動かす。この結果、コア21aは、図6(e) に示す位置に移る。なお、この期間は、コア21aはエネルギーを受け取ることは出来ないが、コア21bは給電線3cからエネルギーを受け取っている。
【0034】この後、移動体20が図6(f) に示す位置にまで移動すると、コア21aおよび21bは、それぞれ給電線3cからエネルギーを受け取るようになる。なお、移動体20は、自分の位置を検出する機能を備える。具体的には、コア21aまたはコア21bが無給電線区間Mに位置しているか否かを検出する機能を備える。移動体が自分の位置を検出する方法は、特に限定されず、既存の技術を利用できる。そして、可動メカニズム22aおよび22bは、上記機能による検出結果に基づいて対応するコアを動かす。
【0035】図6に示す例では、移動体20が通常給電エリアから補助給電エリアに進入する場合の動作を示したが、移動体20が補助給電エリアから通常給電エリアに戻る際の動作も基本的に同じである。
【0036】このように、本実施形態のシステムでは、移動体20が補助給電エリアを通過するときであっても、少なくとも1つのコアが何れかの給電線からエネルギーを受け取る。このため、移動体20の動作に支障を来すことはない。
【0037】図7(a) は、図5に示す非接触給電システムの変形例である。図5に示すシステムでは、コア21a、21bを旋回するスペースを確保するために無給電線区間Mが設けられていた。このため、移動体20が通常給電エリアと補助給電エリアとの境界付近に位置するときは、図6(b) 〜図6(e) に示したように、一方のコアは給電線からエネルギーを受け取ることができない。図7(a) に示すシステムでは、この問題が解決されている。
【0038】図7(a) に示すシステムでは、図5に示すシステムにおける示す無給電線区間Mに給電線3fが設けられる。ただし、コア21aまたはコア21bを旋回するためのスペースを確保するために、給電線3fは、移動体20から見て、給電線3a〜3cよりも遠い位置に設けられる。このため、コア21aまたは21bが給電線3fに対向したときに、給電線3fは、図7(b) に示すように、コア21aまたは21bに収容しない。
【0039】この場合、コイルを通過する磁束は、図13(b) に示す場合と比べれば少なくなるが、コイルには一定の起電力が生じる。したがって、図7(a) に示す構成では、移動体20が補助給電エリアの端部に位置するときは、図5に示した構成と比べて、より多くのエネルギーが得られる。
【0040】次に、各コア(または、受電ユニット)により得られたエネルギーから移動体が使用するための電圧を生成する電源回路について説明する。図8(a) は、電源回路の基本構成を示す図である。なお、図8(a) 、および後に示す図8(b) 、図9(a) 、図9(b) においては、図5に示した移動体20に搭載される電源回路を想定する。
【0041】基本構成においては、2つのコア(実際には、コアのコイル)が直列に接続されている。コア21aおよび21bは、それぞれ、給電線に流れる交流電流に同期した交流電圧を生成する。
【0042】複数のダイオードを含む整流回路は、直列に接続されているコアの出力を整流する。そして、整流回路の出力は、平滑コンデンサにより平滑化される。これにより、DC電圧が生成される。このDC電圧は、必要に応じてDC/DCコンバータにより所定の電圧に変換された後に、負荷(移動体20の走行用モータを含む)に供給される。
【0043】この構成は、コア21aおよび21bが同一の給電線に対向している場合は有効であるが、一方のコアが給電線に対向しない状態では、出力電圧が1/2になってしまう。
【0044】図8(b) は、個別整流直列接続構成の電源回路を示す図である。この構成においては、各コア毎に整流回路が設けられ、各整流回路が互いに直列に接続されている。そして、直列に接続された整流回路の出力が平滑コンデンサにより平滑化される。この構成は、コア21aおよび21bが互いに異なる給電線に対向している場合であっても有効であるが、一方のコアが給電線に対向しない状態では、出力電圧が1/2になってしまう。
【0045】図9(a) は、個別整流並列接続構成の電源回路を示す図である。この構成においては、各コア毎に整流回路が設けられ、各整流回路が互いに並列に接続されている。この構成では、コア21aおよび21bのうちの一方が給電線に対向していない状態であっても、それら2つのコアが共に給電線に対向しているときと同じ出力電圧が得られる。
【0046】図9(b) は、倍電圧構成の電源回路を示す図である。この構成では、直列に接続された2つの平滑コンデンサC1 およびC2 が設けられている。そして、これらの平滑コンデンサC1 およびC2 は、各コア21aおよび21bから出力される交流電圧により交互に充電される。たとえば、コア21aに注目した場合、ノードaの電位がノードbの電位よりも高いときは、平滑コンデンサC1 が充電され、ノードbの電位がノードaの電位よりも高いときには、平滑コンデンサC2が充電される。この動作は、コア21bについても同じである。したがって、この構成では、図9(a) に示した個別整流並列接続構成と同様に、コア21aおよび21bのうちの一方が給電線に対向していない状態であっても、それら2つのコアが共に給電線に対向しているときと同じ出力電圧が得られる。
【0047】移動体20に搭載すべき電源回路は、特に限定されるものではない。ただし、コア21aおよび21bのうちの一方が給電線に対向しない状態となった場合においても出力電圧が低下しないようにするためには、図9(a) または図9(b) に示す構成が望ましい。すなわち、図9(a) または図9(b) に示す電源回路を使用する場合には、たとえば、図6(b) 〜図6(e) に示す状態においても、通常時と同じ電圧が得られる。
【0048】なお、図9(a) または図9(b) に示す構成のように、複数のコアが並列に接続されるときは、それらのコアの容量を予めアンバランス(非対象)に設計しておくことが望ましい場合がある。これは、以下の理由による。すなわち、各コアの容量を設計通りに正確に実現することは困難である。このため、並列に接続される複数のコアの容量を互いに同じにしようとしても、実際には、それらの容量は互いに異なったものになってしまう。ここで、コアの容量が異なると、それに伴って発熱量などが変化するので、一般に、コアおよびその周辺の回路は、電気的および熱的にマージンを持った設計がされる。したがって、複数のコアの容量を互いに同じにしようとすると、各コア毎に同等のマージンを確保しなければならず、構成が冗長になってしまう。
【0049】複数のコアの容量を予めアンバランスにしておけば、一部のコアに対してはより大きなマージンを持たせる必要があるが、他のコアに対してはマージンを少なくできる。このため、構成が冗長ではなくなる。なお、コアの容量は、例えば、コイルの巻き数などにより調整する。
【0050】図10および図11は、それぞれ、4個のコアを備える移動体に設けられる電源回路を示す図であり、図10は並列構成での電源回路あり、図11は倍電圧方式の電源回路である。これらの電源回路は、例えば、図1に示した移動体10に搭載される。なお、これらの電源回路の動作は、基本的に、図9(a) および図9(b) に示した電源回路の動作と同じである。
【0051】図1などに示した移動体10は、2つの受電ユニット11、13を備え、それら各受電ユニットがそれぞれ2つのコアを含む構成であるが、本発明は、各受電ユニットがそれぞれ1つのコアを備える構成も含む。この場合、電源回路は、図9(a) または図9(b) に示した構成を採用する。
【0052】なお、上記実施例では、給電線は、給電線敷設部材に敷設されているが、本発明は、この構成に限定されるものではない。すなわち、例えば、移動体を案内するための案内レールに給電線を敷設してもよいし、或いは、レールを設けることなく、所定間隔ことに給電線を床から所定の高さに保持するような構成であってもよい。
【0053】また、上記実施例では、ある1本の経路上に補助給電エリアを設けるシステムを示したが、本発明は、その構成に限定されるものではない。すなわち、たとえば、図12に示すように、移動体の経路の切替えポイントにおいて本発明のコンセプトを導入することもできる。
【0054】図12において、移動体30は、コア31a〜31dを備え、レール32aまたは32bに沿って走行する。コア31a〜31dは、基本的に、図1に示したコア12a、12b、14a、14bと同じである。給電線33a〜33dは、それぞれ交流が与えられている。
【0055】移動体30は、エリアAにおいては、コア31aおよび31bを利用して給電線33aからエネルギーを受け取る。また、移動体30がエリアAからエリアBへ移動する場合には、移動体30は、それらのエリアの境界付近では、コア31cおよび31dを利用して給電線33dからエネルギーを受け取り、その後、エリアBにおいて、コア31aおよび31bを利用して給電線33bからエネルギーを受け取る。一方、移動体30がエリアAからエリアDへ移動する場合には、移動体30は、それらのエリアの境界付近では、コア31bを利用して給電線33aからエネルギーを受け取ると共に、コア31cを利用して給電線33bからエネルギーを受け取る。その後、移動体30は、エリアBにおいて、コア31cおよび31dを利用して給電線33bからエネルギーを受け取る。
【0056】
【発明の効果】移動体が走行する経路中に補助給電エリアを設け、その補助給電エリアでは通常給電エリアにおいて給電線が設けられている位置と異なる位置に給電線が設けられるので、移動体が給電線からエネルギーの供給を受けられなくなる状況を回避しながら、人などがその移動体の移動経路を横切ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
【出願日】 平成11年10月13日(1999.10.13)
【代理人】 【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
【公開番号】 特開2001−119806(P2001−119806A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−290529