トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 磁気浮上列車用荷重支持体の損傷評価方法
【発明者】 【氏名】五十嵐 基仁

【氏名】浅原 哲郎

【氏名】岩佐 正明

【氏名】青山 博

【氏名】服部 敏雄

【要約】 【課題】超電導磁石の荷重支持体にはFRPと金具(金属板)との接着構造が用いられる。この接着部は様々な負荷を受けるため走行中にはく離することが予想される。しかし、荷重支持体は真空容器に収納されているため取り出して超音波探傷器にかけることはできない。荷重支持体が真空容器に収納状態でFRPと金具の接着界面のはく離状態を定量的に評価する方法が必要である。

【解決手段】荷重支持体7は超電導コイルが収納されている内槽と外槽をつなぐ役目をしている。荷重支持体7は鼓状に成形されたFRP1を金属板金具2に埋込接着した構造になっている。FRP1と金具2の接着部3の近傍のFRPにひずみゲージ4、5を貼り付けておく。磁気浮上列車浮上時、推進時、励磁時の直流力により荷重支持体に発生するひずみを測定し、接着部のはく離発生およびはく離長さを評価する。同様な方法でFRP部の損傷も評価する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気浮上列車の超電導コイルを格納する内槽と、前記内槽の外側を真空状態に保つ外槽との間を締結し、FRP製筒状体の両端に金属板を接着した構造を有する荷重支持体の損傷を評価する方法であって、前記FRP製筒状体に配置したひずみゲージにより、前記磁気浮上列車の浮上時に前記FRP製筒状体に発生するひずみを検出して、前記FRP製筒状体の損傷を評価することを特徴とする磁気浮上列車用荷重支持体の損傷評価方法。
【請求項2】 磁気浮上列車の超電導コイルを格納する内槽と、前記内槽の外側を真空状態に保つ外槽との間を締結し、FRP製筒状体の両端に金属板を接着した構造を有する荷重支持体の損傷を評価する方法であって、前記FRP製筒状体に配置したひずみゲージにより、前記磁気浮上列車の推進時に前記FRP製筒状体に発生するひずみを検出して、前記FRP製筒状体の損傷を評価することを特徴とする磁気浮上列車用荷重支持体の損傷評価方法。
【請求項3】 磁気浮上列車の超電導コイルを格納する内槽と、前記内槽の外側を真空状態に保つ外槽との間を締結し、FRP製筒状体の両端に金属板を接着した構造を有する荷重支持体の損傷を評価する方法であって、前記FRP製筒状体に配置したひずみゲージにより、前記磁気浮上列車の励磁時に前記FRP製筒状体に発生するひずみを検出して、前記FRP製筒状体の損傷を評価することを特徴とする磁気浮上列車用荷重支持体の損傷評価方法。
【請求項4】 磁気浮上列車の超電導コイルを格納する内槽と、前記内槽の外側を真空状態に保つ外槽との間を締結し、FRP製筒状体の両端に金属板を接着した構造を有する荷重支持体の損傷を評価する方法であって、前記FRP製筒状体の前記金属板接着部近傍で、かつ鉛直方向の上部および下部に配置したひずみゲージにより、前記磁気浮上列車の浮上時に前記FRP製筒状体に発生するひずみを検出して、前記接着部のはく離発生およびはく離長さを評価することを特徴とする磁気浮上列車用荷重支持体の損傷評価方法。
【請求項5】 磁気浮上列車の超電導コイルを格納する内槽と、前記内槽の外側を真空状態に保つ外槽との間を締結し、FRP製筒状体の両端に金属板を接着した構造を有する荷重支持体の損傷を評価する方法であって、前記FRP製筒状体の前記金属板接着部近傍で、かつ進行方向の前部および後部に配置したひずみゲージにより、前記磁気浮上列車の推進時に前記FRP製筒状体に発生するひずみを検出して、前記接着部のはく離発生およびはく離長さを評価することを特徴とする磁気浮上列車用荷重支持体の損傷評価方法。
【請求項6】 磁気浮上列車の超電導コイルを格納する内槽と、前記内槽の外側を真空状態に保つ外槽との間を締結し、FRP製筒状体の両端に金属板を接着した構造を有する荷重支持体の損傷を評価する方法であって、前記FRP製筒状体の前記金属板接着部近傍で、かつ、少なくとも進行方向の前後部に配置したひずみゲージにより、前記磁気浮上列車の励磁時に前記FRP製筒状体に発生するひずみを検出して、前記接着部のはく離発生およびはく離長さを評価することを特徴とする磁気浮上列車用荷重支持体の損傷評価方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気浮上列車用荷重支持体の損傷評価方法に係り、特に、超電導コイルを支持している荷重支持体のFRPと金具接着面のはく離およびFRP部の損傷などの検査に好適な損傷評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】接着界面のはく離評価技術の従来の例としては超音波探傷がある。その一例として、溶接構造シンポジウム95の講演論文集の195〜198頁に「高速超音波検査装置の開発と接合部への適用」がある。これは接着界面のはく離に関して、超音波探傷により短時間にはく離部分を検出できるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】超電導磁石の荷重支持体にはFRPと金具の接着構造が用いられている。この接着部は、様々な負荷を受けるため、走行中に接着部がはく離することが予想される。そこで、接着部のはく離発生およびはく離長さを定量的に評価する必要がある。また、FRP部の損傷を評価する必要がある。
【0004】しかし、荷重支持体は真空容器に収納されているため、取り出して超音波探傷器にかけることはできない。荷重支持体が真空容器に収納されている状態で、FRPと金具の接着界面のはく離状態を、定量的に評価する方法が必要である。そこで、荷重やひずみなどをモニターし、その値をもとに損傷を評価する必要がある。
【0005】また、磁気浮上列車用荷重支持体は強磁場中で使用されるため、ひずみゲージなどの電気信号には高調波のノイズが発生してしまう。そのため、直流力などの高調波の影響を受けない力をもとに、接着部のはく離を評価する必要がある。
【0006】そこで、本発明の目的は、浮上力、推進力、励磁力等の直流力をもとにして、ひずみゲージを用いることにより、荷重支持体接着部のはく離発生およびはく離長さを定量的に評価しようとするものである。また、同様な方法を用いてFRP部の損傷を評価しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、磁気浮上列車用荷重支持体において、荷重支持体のFRP部にひずみゲージを配置することにより、FRP部自体の損傷を評価しようとするものである。また、FRP製筒状体を金属板状金具に接着する接着部近傍にひずみゲージを設置することにより、接着部のはく離発生およびはく離長さを定量的に評価しようとするものである。
【0008】すなわち、FRP製筒状体の接着部近傍の所定位置にひずみゲージを適宜貼り付け、検出したひずみに基づいて、磁気浮上列車の浮上時、推進時、励磁時等の直流力をもとに、接着部のはく離発生およびはく離長さを評価する。また、同様の方法を用いてFRP部自体の損傷も評価される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1および図2は、本発明の一実施形態を示し、図1は荷重支持体にひずみゲージを貼り付けた図、図2は磁気浮上列車の超電導磁石の構造を示す図である。
【0010】これらの図に示すように、荷重支持体7は、超電導コイル9が収納される極低温の内槽6と、その周りを真空状態に保つ外槽8とをつなぐ役目をしている。この荷重支持体7の構造は、両端の直径よりも中央部の直径が小さいFRP製円筒(以下FRP1ともいう)の端部を、金属板金具2に埋め込んで接着結合する構造となっている。
【0011】このような磁気浮上列車用の超電導磁石において、FRP1の両端の金属板2との接着部3の近傍に、ひずみゲージ4、5を貼り付ける。荷重支持体の接着部3は様々な負荷を受けるため、接着部がはく離することが予想される。接着部の応力集中は極めて小さい領域であるので、できるだけ接着部に近い位置にひずみゲージを貼った方がよい。荷重支持体の接着部は、室温側(外槽)と低温側(内槽)があるため、両方にひずみゲージを貼っておく。このひずみゲージ4、5は、なるべくゲージ長さの短いものを用いた方がよい。
【0012】超電導磁石の構造を図2に示す。荷重支持体7は極低温の内槽6と室温の外槽8をつなぐものである。外槽8が台車10に結合されている。荷重支持体7は内槽左右中央部の上下に2個取り付けられている。ここで、ひずみゲージは、室温側と低温側にそれぞれに配置し、それぞれ鉛直方向の上下部、すなわち、12時の位置と6時の位置に合計4枚貼っておく。
【0013】次に、室温側のひずみゲージについて、接着部のはく離評価方法を説明する。磁気浮上列車が車輪走行から浮上走行に移ったとき、浮上力は、図示したように、上下方向に働く。荷重支持体7は内槽6を外槽8から片持ち梁の形で支えているため、12時の位置のひずみゲージ4は圧縮、6時の位置のひずみゲージ5には引張りのひずみが発生する。
【0014】図3および図4は、ひずみの時間変化を示した図である。12時の位置のひずみゲージは図3、6時の位置のひじみゲージには、図4のようなひずみ変化が生じる。このひずみを測定する場合は、高調波成分をカットするために、5Hz程度のローパスフィルターを通したほうがよい。この図3および図4の浮上時のひずみは、車体重量に比例して発生する。そのため、乗客数等が変化した場合でも重量により換算可能である。
【0015】次に、図5を用いて接着部のはく離発生評価方法を説明する。まず、図3、図4の初期浮上時のひずみεLを測定しておく。その後、走行時の浮上時毎にひずみεNを測定する。車体重量が異なる場合には、同じ車体重量になるようにする。そして、εNとεLの値を比較する。εNとεLの値が同じであれば、はく離発生なし。εNとεLの値が異なればはく離発生である。
【0016】次いで、図6を用いてはく離長さの測定方法を説明する。ひずみゲージ4、5は接着部3の極近傍に貼ってあるため、応力集中をおこす。この接着部がはく離を受けると、ひずみゲージが応力集中部より離れるため、図6に示すように、はく離長さとともにひずみは小さくなる。
【0017】この関係は、あらかじめ解析および実験により求めておく。はく離発生のときと同様に、浮上時のひずみを図3、図4のように測定する。このひずみを図6の値と比較することにより、はく離長さを求めることができる。
【0018】図7を用いて他の実施形態について説明する。本実施形態は、磁気浮上列車浮上時のひずみをもとに、FRP部の損傷を評価する方法である。図7に示すように、ひずみゲージをFRP部の鉛直方向の12時と6時の位置に貼っておく。このときは、12時と6時の線上であれば、ひずみゲージを貼る枚数は何枚でもよい。また、室温側、低温側の両方に貼ってよい。
【0019】この場合、接着部の応力集中がないだけで、図1の例と同様に、室温側12時の位置では圧縮、6時の位置では引張り力が作用する。FRP部の損傷は図1の例と同様に、以下の手順で評価する。
【0020】初期浮上時のひずみεLを測定しておく。その後、走行時の浮上時毎にひずみεNを測定する。車体重量が異なる場合には同じ車体重量になるようにする。そして、εNとεLの値を比較する。εNとεLの値が同じであればFRP部の損傷なし。εNとεLの値が異なればFRP部に損傷ありである。
【0021】図8および図9を用いて他の実施形態を説明する。本例は、推進力をもとに接着部のはく離を評価する方法である。図8は超電導磁石の水平断面図である。荷重支持体7の接着部近傍の応力集中を受ける箇所で、列車進行方向前後部である3時と9時の位置に、ひずみゲージを貼付しておく。ひずみゲージは室温側と低温側の両方に貼っておく。
【0022】図8のように推進力が働いたとすると、ひずみゲージ4は圧縮、ひずみゲージ5は引張り力を受ける。このうち、引張り力を受けるひずみゲージ5の時間変化は図9のようになる。
【0023】磁気浮上列車が加速時に引張りひずみをうけた後、等速運転している間はひずみは零になる。その後、減速時には逆方向に力が働くため、圧縮ひずみを受ける。このひずみは加速度に比例する値である。このひずみεNを測定し、図5の手順で接着部のはく離を評価することができる。同様に、FRP部の損傷についても評価することができる。
【0024】図10および図11を用いて、さらに他の実施形態を説明する。本例は励磁力をもとに接着部のはく離を評価する方法である。超電導磁石外槽内には、4個の超電導コイルが列車進行方向に並置して収納されている。この4個のコイルがS極、N極、S極、N極の順番になるように励磁される。このとき、S極とN極間には吸引力が働くので、室温側ひずみゲージ4には圧縮、ひずみゲージ5は引張り力になる。
【0025】ひずみゲージ5の時間変化は図11のようになる。励磁状態の間は引張りひずみが作用し、消磁するとひずみは零になる。このひずみεNを測定し、図5と同様の手順で接着部のはく離を評価することができる。同様に、FRP部の損傷についても評価することができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、磁気浮上列車において、荷重支持体のFRPと金具の接着面のはく離発生、およびはく離長さを求めることができる。また、FRP部の損傷を評価することができる。
【出願人】 【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成11年10月7日(1999.10.7)
【代理人】 【識別番号】100066979
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜沼 辰之
【公開番号】 特開2001−112120(P2001−112120A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−286625