| 【発明の名称】 |
リニアモータ式搬送装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】斉藤 洋一
【氏名】上松 辰哉
【氏名】蓑島 紀元
【氏名】林 裕人
【氏名】大立 泰治
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| 【要約】 |
【課題】高い停止位置決め精度を確保し、装置全体の構成が簡単なリニアモータ式搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送路1の移載ステーション4の付近の所定区間には、リニアリラクタンスモータ用のLRM固定子5が、搬送路1の他の区間には、リニア誘導モータ用のLIM固定子6が敷設されている。搬送車3は三相交流で駆動するリニア誘導モータの巻き方である分布巻で巻回したコイルを有する一次コアと、三相正弦波電流を制御する汎用インバータとを備えている。汎用インバータから一次コアへ電流が通電され、一次コアに磁界が発生し、搬送車3が駆動される。LRM固定子5が敷設された区間では、リニアリアクタンスモータとして作用するように、LIM固定子6が敷設された区間では、リニア誘導モータとして作用するように、搬送車3は汎用インバータの指令値を切り替える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 搬送路に沿って走行する搬送車に一次側可動子を備え、搬送路に二次側固定子を設けたリニアモータ式搬送装置において、前記搬送路の少なくとも前記搬送車の所定の停止位置に配置される二次側固定子として、当該範囲以外の搬送路における推力より大きな推力を発生可能な構造の固定子を配置し、前記搬送車には前記一次側可動子のコイルへの駆動電流を走行位置に対応して切換え制御する制御手段を備えたリニアモータ式搬送装置。 【請求項2】 前記一次側可動子のコイルは、三相リニア誘導モータの巻き方に巻回されており、前記大きな推力を発生可能な二次側固定子は強磁性体製の突極若しくは永久磁石製の突極が前記一次側可動子の磁極のピッチに対応した所定のピッチで突設され、その他の箇所に配置された二次側固定子はリニア誘導モータの二次導体を備えている請求項1に記載のリニアモータ式搬送装置。 【請求項3】 前記一次側可動子のコイルは、正弦波駆動可能なスイッチドリラクタンスリニアモータの巻き方に巻回されており、前記大きな推力を発生可能な二次側固定子は前記停止位置より広い範囲にわたって永久磁石が前記一次側可動子の磁極のピッチに対応した所定のピッチで突設され、その他の箇所に配置された二次側固定子は強磁性体製の突極を備えている請求項1に記載のリニアモータ式搬送装置。 【請求項4】 リニアモータの一次側固定子を搬送路に沿って所定間隔をおいて配置し、搬送路に沿って走行する搬送車に、バックヨークと二次導体を接合した構造とし、二次導体の表面にバックヨークが二次導体の幅方向の両端部と所定間隔をおいて推進方向と交差する方向に延びるように所定ピッチで露出するように形成された二次側可動子を備えたリニアモータ式搬送装置において、前記搬送路の少なくとも前記搬送車の所定停止位置に配置される前記一次側固定子のコイルを、正弦波駆動可能なスイッチドリラクタンスリニアモータの巻き方に巻回し、他の一次側固定子のコイルを三相リニア誘導モータの巻き方に巻回し、前記各一次側固定子のコイルに正弦波電流を通電する共通の励磁回路を設けたリニアモータ式搬送装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、リニアモータ式搬送装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】搬送装置が行う荷の搬送は、搬送装置を構成する搬送車が、他の箇所から荷の移載ステーションへ向けての走行、移載ステーションでの停止及び移載ステーションの装置との荷の移載の順に動作して行われる。搬送装置による荷の移載を円滑かつ確実に行うためには、搬送車の停止時の位置決め精度の向上が不可欠である。 【0003】リニア誘導モータは、他の方式のリニアモータに比べ、構造が単純でコストが安く、高速運転が可能である。しかし、誘導モータは応答性が低いため、停止位置決め精度の向上が困難である。よって、高い停止位置決め精度が求められる搬送装置では、リニア誘導モータを動力とすると十分な停止位置決め精度を得られない場合がある。また、リニア誘導モータに比べ、高い停止位置決め精度を得られるリニアパルスモータは、リニア誘導モータに比べるとコスト高で高速運転の実現が難しいため、離れた場所の搬送には不向きである。 【0004】そこで、搬送車に一次コアを可動子として備え、搬送車の走行方向に沿って永久磁石を並べて形成した二次側固定子を搬送路全区間に備えた構成とし、リニア同期モータの作用により、搬送車を駆動するリニアモータ式搬送装置が知られている。 【0005】また、搬送車に二次側可動子を備え、搬送路に一次コアを固定子として備えた構成で、搬送車の停止位置である荷の移載ステーション付近の区間では高い停止位置決め精度を得られるリニアパルスモータの作用により搬送車を駆動し、搬送路の他の区間ではコストが安く、高速運転が可能なリニア誘導モータの作用により搬送車を駆動するリニアモータ式搬送装置が、例えば、特開昭59−31216に開示されている。 【0006】前記リニアモータ式搬送装置では、図9(a)に示すように、搬送車51が走行する搬送路52に沿って、所定間隔をおいて一次コアが設置されている。搬送路52には搬送車51の停止位置である移載ステーション53前に、リニアパルスモータの一次コア54が設けられ、搬送路52の移載ステーション53付近以外の区間には、リニア誘導モータの一次コア55が設けられている。 【0007】リニアパルスモータの一次コア54には、リニアパルスモータ用の制御装置56が接続され、リニア誘導モータの一次コア55には、リニア誘導モータ用の制御装置57が接続されている。 【0008】搬送車51は、バックヨーク58及び二次導体59が積層され、二次導体59の表面にバックヨーク58の突極58aが二次導体59の幅方向の両端部と所定間隔をおいて走行方向の直交方向に延びるように所定ピッチで露出するように形成された構造の二次側可動子60を備えている。 【0009】搬送車51が搬送路52の移載ステーション53付近の区間を走行するとき、リニアパルスモータ用の制御装置56の励磁回路は、一次コア54にパルス電流を通電する。一次コア54に生じる磁界により、搬送車51のバックヨーク58の突極58aは進行方向に吸引されて推力が発生し、搬送車51が走行する。 【0010】搬送車51が搬送路52上の移載ステーション53付近以外の区間を走行するとき、リニア誘導モータ用の制御装置57の励磁回路は、一次コア55に交流電流を通電する。一次コア55に生じる磁界により、搬送車51の二次導体59に渦電流が生じて進行方向に推力が発生し、搬送車51が走行する。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】前記二つの構成のうち、前者の永久磁石を並べて形成した二次側固定子を搬送路全区間に備えた構成では、搬送路全区間の二次側固定子に永久磁石を並べて形成するため、二次側固定子の製作コストが高くなり、しかも、永久磁石の極性を適切に配置しなければならないため、二次側固定子の敷設作業に多くの手間が必要である。 【0012】後者のリニアパルスモータの作用とリニア誘導モータの作用を組合せた構成では、前記リニアパルスモータ用の制御装置56の励磁回路は、一次コア54にパルス電流を通電し、前記リニア誘導モータ用の制御装置57の励磁回路は、一次コア55に交流電流を通電する。これら通電する電流波形が異なるため、2つの制御装置56、57の励磁回路を共通に構成することができず、搬送装置全体が複雑である。 【0013】また、リニアパルスモータはリニア誘導モータに比べ一次コアの磁極の間隔を狭く形成する必要があり、二次側固定子の突極も一次コアに対応して狭く形成しなければならないため、製作の手間が多く必要である。 【0014】さらに、リニアパルスモータは高速運転が難しく、移載ステーション付近では搬送車の走行速度の向上、延いては搬送能力の向上が困難となっていた。本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、高い停止位置決め精度を確保し、装置全体の構成が簡単なリニアモータ式搬送装置を提供することにある。 【0015】 【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、搬送路に沿って走行する搬送車に一次側可動子を備え、搬送路に二次側固定子を設けたリニアモータ式搬送装置において、前記搬送路の少なくとも前記搬送車の所定の停止位置に配置される二次側固定子として、当該範囲以外の搬送路における推力より大きな推力を発生可能な構造の固定子を配置し、前記搬送車には前記一次側可動子のコイルへの駆動電流を走行位置に対応して切換え制御する制御手段を備えた。 【0016】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記一次側可動子のコイルは、三相リニア誘導モータの巻き方に巻回されており、前記大きな推力を発生可能な二次側固定子は強磁性体製の突極若しくは永久磁石製の突極が前記一次側可動子の磁極のピッチに対応した所定のピッチで突設され、その他の箇所に配置された二次側固定子はリニア誘導モータの二次導体を備えている。 【0017】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記一次側可動子のコイルは、正弦波駆動可能なスイッチドリラクタンスリニアモータの巻き方に巻回されており、前記大きな推力を発生可能な二次側固定子は前記停止位置より広い範囲にわたって永久磁石が前記一次側可動子の磁極のピッチに対応した所定のピッチで突設され、その他の箇所に配置された二次側固定子は強磁性体製の突極を備えている。 【0018】請求項4に記載の発明は、リニアモータの一次側固定子を搬送路に沿って所定間隔をおいて配置し、搬送路に沿って走行する搬送車に、バックヨークと二次導体を接合した構造とし、二次導体の表面にバックヨークが二次導体の幅方向の両端部と所定間隔をおいて推進方向と交差する方向に延びるように所定ピッチで露出するように形成された二次側可動子を備えたリニアモータ式搬送装置において、前記搬送路の少なくとも前記搬送車の所定停止位置に配置される前記一次側固定子のコイルを、正弦波駆動可能なスイッチドリラクタンスリニアモータ(以下、SRリニアモータと称す)の巻き方に巻回し、他の一次側固定子のコイルを三相リニア誘導モータの巻き方に巻回し、前記各一次側固定子のコイルに正弦波電流を通電する共通の励磁回路を設けた。 【0019】従って、請求項1に記載の発明によれば、所定停止位置に大きな推力を発生可能な固定子を配置したことにより、所定停止位置での停止位置決め精度及び搬送車に作用する推力が向上する。 【0020】請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、同じリニア誘導モータ用の一次コア及び励磁回路により、搬送路の所定停止位置ではリニア同期モータ若しくはリニアリラクタンスモータとして作用し、搬送路の他の区間ではリニア誘導モータとして作用する。 【0021】請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、同じSRリニアモータ用の一次コア及び励磁回路により、搬送路の所定停止位置ではリニア同期モータとして作用し、搬送路の他の区間ではSRリニアモータとして作用する。 【0022】請求項4に記載の発明によれば、搬送車は所定停止位置に対応した箇所ではSRリニアモータにより駆動され、搬送路のその他の箇所ではリニア誘導モータにより駆動される。そして、方式が異なる前記各一次側固定子のコイルに共通の励磁回路により正弦波電流が通電されるように制御される。 【0023】 【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図4に従って説明する。 【0024】図1(a)は搬送装置の一部の平面図である。搬送路1(一部のみ図示)にはレール2が敷設され、レール2上を搬送車3が走行可能になっている。搬送路1の所定位置の脇には、移載ステーション4が設けられ、搬送車3と移載ステーション4との間で荷の移載が可能になっている。 【0025】移載ステーション4の付近の所定区間には、二次側固定子としてのリニアリラクタンスモータ用の固定子(以下、単にLRM固定子と称す)5が敷設されている。移載ステーション4付近の所定区間以外の区間には、二次側固定子としてのリニア誘導モータ用の固定子(以下、単にLIM固定子と称す)6が敷設されている。 【0026】図1(b)に示すように、LIM固定子6は、共に板材であるバックヨーク7及び二次導体8が積層構造に形成されている。本実施の形態ではバックヨーク7は鉄、二次導体8はアルミで形成されている。 【0027】図1(c)に示すように、LRM固定子5は、強磁性体で形成され、搬送車3の走行路面に対して直交する方向に延びる形状の突極5aが搬送車3の走行方向に沿って等間隔に並べて形成されている。本実施の形態ではLRM固定子5は鉄で形成されている。 【0028】図2は、搬送装置を構成する搬送車3の模式側面図である。搬送車3は前後一対のボギー台車9に車体10が支持され、各ボギー台車9には車輪11がそれぞれ左右一対装備されている。車輪11はレール2を転動可能になっている。搬送車3は、制御手段としての制御装置12及びロータリーエンコーダ(図示せず)を備え、2つのうち一方のボギー台車9の下面に、一次側可動子としての一次コア13を備えている。制御装置12は、一次コア13に通電する三相正弦波電流を制御する汎用インバータを備えている。 【0029】図3及び図4に示すように、一次コア13は下方に向かって延びる形状の磁極14aを有するヨーク14及び磁極14aの周囲に三相交流で駆動するリニア誘導モータの巻き方である分布巻で巻回したコイル15を備えている。LRM固定子5及びLIM固定子6は、その突極5a及び二次導体8と一次コア13の磁極14aとが対向可能な配置になるように、敷設されている。また、本実施の形態では、一次コア13の磁極14aの極数とLRM固定子5の突極5aの数との比は3:4に設定されている。 【0030】次に、前記のように構成されたリニアモータ式搬送装置の作用を説明する。制御装置12は、ロータリーエンコーダにて原点からの距離を検知し、搬送車3の走行位置を検出する。制御装置12は搬送車3の位置に対応する二次側固定子の形式(LRM固定子5若しくはLIM固定子6)に応じて所定の推力が得られるように、汎用インバータの指令値を切り換える。 【0031】搬送車3が、LIM固定子6を敷設した区間上にあるとき、制御装置12から一次コア13のコイル15に通電されると、一次コア13には進行磁界が発生し、LIM固定子6の二次導体8の対応する箇所に渦電流が生じることにより、リニア誘導モータとして作用し、搬送車3に推力が働く。 【0032】搬送車3が、LRM固定子5を敷設した区間上にあるとき、制御装置12から一次コア13のコイル15に通電されると、一次コア13の磁極14aから対応するLRM固定子5の突極5aを順次変化する磁束が通過し、生じる吸引力が順次変化することにより、リニアリラクタンスモータとして作用し、搬送車3に推力が働く。 【0033】この実施の形態では、以下の効果を有する。 (1) 停止位置付近のLRM固定子5を敷設した区間では、搬送装置のリニアモータは同期モータであるリニアリラクタンスモータとして作用するため、リニア誘導モータ方式に比べ、動作精度の向上が可能である。よって、搬送車3の高い位置決め精度を得ることができる。 【0034】(2) 停止位置付近のLRM固定子5を敷設した区間では、搬送装置のリニアモータはリニアリラクタンスモータとして作用するため、リニア誘導モータとして作用する場合に比べ,強い推力を得ることができる。よって、コイル15に通電する電流が同じであっても、より急峻な加減速で搬送車3を運転することが可能であり、また、より重い荷を搬送することが可能である。 【0035】(3) 停止位置付近以外の区間では、LIM固定子6を搬送路1に敷設した。搬送路1の大部分を占める該区間に、安価に構成できるLIM固定子6を敷設したため、搬送装置全体のコストを低減できる。 【0036】(4) 搬送路1に二種類の二次側固定子が設けられ、搬送車3に搭載された一次コア13は一種類で、一次コア13のコイル15に通電する電流は搬送路1の全区間を通じて一種類の電流としたため、同じインバータを用いた励磁回路により駆動が可能である。よって、搬送車3は一つの一次コア13及び一つの励磁回路を備える構成とすることができ、取付けスペース及び製作コストの低減ができる。 【0037】(5) 搬送路1に敷設したLRM固定子5及びLIM固定子6には永久磁石を使用していない。よって、敷設の際に、磁極の極性を考慮する必要がないため、敷設作業が容易である。また、鉄粉や鉄屑及び鉄製小物などの磁性物の吸着が原因となる故障を回避でき、メンテナンス性も向上する。 【0038】(第2の実施の形態)次に本発明を具体化した第2の実施の形態を図5に従って説明する。この実施の形態では、搬送装置は停止位置付近の区間ではリニア同期モータとして作用し、その他の区間ではSRリニアモータとして作用して、搬送車を駆動する点が前記実施の形態と大きく異なっている。 【0039】この実施の形態の構成について、前記実施の形態と構成が異なる一次コア及び二次側固定子について述べる。なお、前記実施の形態と、同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。 【0040】図5(a)は、停止位置付近以外の区間での、搬送車の一次コアと固定子の模式側面図である。図5(b)は、停止位置付近の区間での搬送車の一次コアと固定子の模式側面図である。 【0041】図5(a)、(b)に示すように、本実施の形態の搬送車3が備える一次側可動子としての一次コア21は、下方に向かって延びる形状の磁極22aが形成されたヨーク22及び磁極22aの周囲にSRリニアモータの巻き方である集中巻で巻回したコイル23を備えている。 【0042】図5(a)に示すように、停止位置付近以外の区間には二次側固定子としてLRM固定子5を敷設する。図5(b)に示すように、停止位置付近の区間に敷設する二次側固定子としての永久磁石固定子(以下、単にPM固定子と称す)24には、搬送車3の走行路面に対して直交する方向に延びる形状の永久磁石で形成され、搬送車3の走行方向に沿って等間隔に並べて配置される突極24aが備えられている。このとき、永久磁石の突極24aはその並びの順に磁極(S極若しくはN極)が交互になるように形成されている。 【0043】LRM固定子5及びPM固定子24は、その突極5a、24aと一次コア21の磁極22aとが対向可能な配置になるように、敷設されている。また、本実施の形態では、一次コア21の磁極22aの極数とLRM固定子5及びPM固定子24の突極5a、24aの数との比は3:4に設定されている。搬送車3に備えられる制御手段としての制御装置12は、一次コア21のコイル23に通電し磁極22aを順次励磁するインバータを備えている。 【0044】次に、前記のように構成されたリニアモータ式搬送装置の作用を説明する。搬送車の制御装置12は、ベクトル制御にて、コイル23に通電する電流を制御する。 【0045】PM固定子24を敷設した区間での推力は次式にて表される。 推力 = K・iq・Λ0・sinφ (式1) Id = 0(K:モータによって決まる定数、Λ0:PM固定子の永久磁石によって決まる定数、φ:電流位相、iq:トルク電流) LRM固定子5を敷設した区間での推力は次式にて表される。 【0046】 推力 = K'・id'・iq'・sin 2φ (式2) (K':モータによって決まる定数、id':励磁電流) 制御装置12はロータリーエンコーダにて搬送車3の位置を検出し、対応する二次側固定子の形式(LRM固定子5若しくはPM固定子24)に応じて所定の推力が得られるように、インバータの上記式のId'及びIq、Iq'に係る指令値を切り換える。 【0047】LRM固定子5を敷設した区間上に搬送車3があるとき、制御装置12から一次コア21のコイル23に通電されると、一次コア21には順次変化する磁界が発生する。発生した磁界により、一次コア21の磁極22aから対応するLRM固定子5の突極5aを通過する磁束が順次変化し、生じる吸引力が順次変化することにより、SRリニアモータとして作用し、搬送車3に推力が働く。 【0048】PM固定子24を敷設した区間上に搬送車3があるとき、制御装置12から一次コア21のコイル23に通電されると、一次コア21には順次変化する磁界が発生する。発生した磁界と、PM固定子24の突極24aの磁界とが相互作用し、生じる吸引力及び反発力が順次変化することにより、リニア同期モータとして作用し、搬送車3に推力が働く。 【0049】この実施の形態では前記実施の形態の(4)と同様な効果を有するほかに次の効果を有する。 (6) 停止位置付近の所定区間では、一次コア21の磁界と永久磁石であるPM固定子24の突極24aの磁界の相互作用による吸引力及び反発力にて推力が発生するため、第1の実施の形態より、さらに強い推力が得られる。また、停止位置付近以外の区間では、SRリニアモータとして作用するため、第1の実施の形態のようにリニア誘導モータとして作用する場合に比べ、強い推力が得られる。よって、コイル23に通電する電流が同じであっても、さらに急峻な加減速で搬送車3を運転することが可能であり、また、さらに重い荷を搬送することが可能である。 【0050】(7) 停止位置付近以外の区間を同期モータであるSRリニアモータとして作用する構成にしたことにより、第1の実施の形態に比べ、停止位置付近以外の区間の制御をよりきめ細かく行える。よって、より適切な加減速度での走行を実現できるため、搬送時間の短縮及び荷崩れの低減が可能である。 【0051】(8) 搬送車3は一形式の一次コア21を備え、一次コア21のコイル23に通電する電流は搬送路1の全区間を通じて一種類の電流としたため、一形式の励磁回路により駆動が可能である。よって、搬送車3は一つの一次コア21及び一つの励磁回路を備える構成とすることができ、取付けスペース及び製作コストの低減ができる。 【0052】(9) 搬送路1の停止位置付近以外の区間に敷設するLRM固定子5の突極5aは磁化されていない磁性体で形成されている。よって、搬送路1の大部分を占める停止位置付近以外の区間では、鉄粉や鉄屑及び鉄製小物などの磁性物の吸着が原因となる故障の対策が不要であり、また、敷設時に極性を意識する必要がないため、敷設作業が容易である。 【0053】(第3の実施の形態)次に本発明を具体化した第3の実施の形態を図6及び図7に従って説明する。この実施の形態では、搬送車に二次側可動子を備え、搬送路に一次コアを備えている点が、前記両実施の形態と大きく異なっている。 【0054】図7に示すように、搬送路31(一部のみ図示)にはレール32が敷設され、レール32上を搬送車33が走行可能になっている。搬送車33の停止位置である移載ステーション4付近の所定区間には、一次側固定子としての、SRリニアモータ用の一次コア(以下、単にSRLM一次コアと称す)34が設置されている。その他の区間には、所定間隔をおいて、一次側固定子としてのリニア誘導モータ用の一次コア(以下、単にLIM一次コアと称す)35が設置されている。 【0055】図6(a)、(b)に示すように、搬送車33は車輪36を対にして備え、対の車輪36の間に、バックヨーク37と二次導体38が積層されて、従来技術の二次側可動子60と同様の構造に形成された二次側可動子39を、バックヨーク37の突極37aを下方に向けて備えている。本実施の形態では、バックヨーク37は鉄、二次導体38はアルミで形成されている。 【0056】図8(a)に示すように、SRLM一次コア34は、上方に向かって延びる形状の磁極40aが形成されたヨーク40及び磁極40aの周囲にSRリニアモータの巻き方である集中巻で巻回したコイル41を備えている。本実施の形態では、SRLM一次コア34の磁極40aの極数と、搬送車33の二次側可動子39のバックヨーク37の突極37aの数との比が3:4になるように設定されている。 【0057】図8(b)に示すように、LIM一次コア35は上方に向かって延びる形状の磁極42aが形成されたヨーク42及び磁極42aの周囲に三相交流で駆動するリニア誘導モータの巻き方である分布巻で巻回したコイル43を備えている。 【0058】SRLM一次コア34及びLIM一次コア35は、制御装置44の共通の励磁回路に接続されている。搬送路31の所定の箇所、少なくとも移載ステーション前近傍及び各一次コア設置区間の搬送車33の進入箇所には、搬送車33の車輪36が遮光することにより搬送車33の位置を検知する光センサ(図示せず)が備えられ、検知した信号は制御装置44に入力される。制御装置44は、三相正弦波電流を制御する汎用インバータを備えている。 【0059】次に、前記のように構成されたリニアモータ式搬送装置の作用を説明する。制御装置44は搬送車33の位置を搬送路31の光センサにて検知し、搬送車33の位置に対応する一次側固定子の形式(SRLM一次コア34若しくはLIM一次コア35)に応じて、通電する電流を制御する汎用インバータの指令値を、所定の推力が得られるように切り換える。 【0060】搬送車33がLIM一次コア35を設けた箇所にあるとき、該当のLIM一次コア35のコイル43に通電すると、LIM一次コア35及び搬送車33の二次側可動子39がリニア誘導モータとして作用して、搬送車33に推力が働く。 【0061】搬送車33がSRLM一次コア34を設けた箇所にあるとき、該当のSRLM一次コア34のコイル41に通電すると、SRLM一次コア34及び二次側可動子39のバックヨーク37がSRリニアモータとして作用して、搬送車33に推力が働く。 【0062】この実施の形態では第1の実施の形態の(1)、(2)と同様な効果を有するほかに次の効果を有する。 (10) SRLM一次コア34とLIM一次コア35のどちらも三相正弦波電流を通電する構成としたため、形式の異なる一次コアに対して、同じインバータを用いた励磁回路により駆動が可能である。よって、地上に設置する励磁回路を共通のものを用いることができ、設置スペース及び搬送装置全体のコストを低減できる。 【0063】(11) 一次コア(SRLM一次コア34及びLIM一次コア35)を搬送路31に設けたため、一次コアに通電する電力を搬送車33に給電する必要がない。 【0064】なお、実施の形態は前記に限定されるものでなく、例えば、次のように具体化してもよい。 ○ 第1の実施の形態の構成を、搬送車3の停止位置である移載ステーション4付近の所定区間には、第2の実施の形態のPM固定子24を敷設した構成にしてもよい。この場合、突極が永久磁石であるため、LRM固定子5を敷設したときよりも、さらに強い推力を得ることができる。 【0065】○ 第1の実施の形態の構成を、LIM固定子6は、二次導体8の幅方向の両端部と所定間隔をおいて推進方向に対して交差する方向に延びるように所定ピッチで、二次導体8を貫通する孔若しくは二次導体8の表面に溝が形成された構成にしてもよい。この場合、二次導体8はラダー構造をなすことにより、推力に大きく寄与する推力方向に直交する方向の渦電流成分がより多く二次導体8に生じるため、一次コア13のコイル15に通電する電流が同じであっても、より強い推力を得ることができる。 【0066】○ 第1の実施の形態の構成を、LIM固定子6は、第3の実施の形態の二次側可動子39と同様の構造に形成してもよい。この場合、二次側固定子を通過する磁束が多くなるため、より多くの渦電流が二次導体8に生じ、一次コア13のコイル15に通電する電流が同じであっても、より強い推力を得ることができる。 【0067】○ 第1の実施の形態の構成を、LRM固定子5は、第3の実施の形態の二次側可動子39と同様の構造に形成してもよい。この場合、LRM固定子5を敷設した移載ステーション4に搬送車3が停止する場合は、リニアリラクタンスモータとして作用するように一次コア13のコイル15に通電することにより高い停止精度を得ることができる。同移載ステーション4に搬送車3が停止せず通過する場合は、停止位置付近以外の区間と同様に、リニア誘導モータとして作用するように一次コア13のコイル15に通電すればよく、より簡易な手順にて制御することができる。 【0068】○ 第1の実施の形態の構成を、二次側固定子(LRM固定子5、LIM固定子6)は、搬送路全区間にわたって、第3の実施の形態の二次側可動子39と同様の構造に形成してもよい。この場合、搬送路1の全区間の任意の箇所で、制御装置12の励磁回路の指令値を切換えることにより、リニアリラクタンスモータとして作用して搬送車3を駆動し、高い停止位置決め精度を得ることができるため、移載ステーション4の追加及び位置変更に伴う搬送車3の停止位置の追加及び位置変更に容易に対応できる。 【0069】○ 一次コアの磁極の極数とLRM固定子及びPM固定子の突極の数との比は、3:4に限らず、同数比にならない比であれば、搬送ピッチや必要な停止位置決め精度に応じて、変更して設定してもよい。 【0070】○ LRM固定子5、LIM固定子6のバックヨーク7及び二次側可動子39のバックヨーク37は鉄以外に、例えばニッケルやフェライト、ステンレス鋼などの磁性金属や磁性材若しくは合金を用いてもよい。 【0071】○ LIM固定子6の二次導体8及び二次側可動子39の二次導体38はアルミ以外に、例えば銅や真鍮などの非磁性金属若しくは合金を用いてもよい。 ○ 二次側可動子39は、バックヨーク37の突極37aが走行方向の直交方向に延びる形状に限らず、突極37aが走行方向と直交方向に対してスキュー角だけ傾いて延びる形状に形成してもよい。 【0072】前記実施の形態から把握され、特許請求の範囲に記載されていない技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。 (1) 請求項2に記載の発明において、前記大きな推力を発生可能な二次側固定子は強磁性体製の突極を備えている。この場合、鉄粉や鉄屑などの磁性粉塵の吸着がないため、故障が低減し、メンテナンス性も向上できる。また、クリーンルーム内に設置する搬送装置に適している。 【0073】 【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、搬送車の停止位置での高い停止位置決め精度及び強い推力を得ることができる。 【0074】請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、一次コアを搬送車に備えたことにより、給電の必要がない二次側を搬送路に敷設するため、二次側固定子の敷設作業が容易であり、搬送装置据付け工事の工期短縮及びコスト低減が可能である。 【0075】請求項2及び請求項3に記載の発明によれば、作用するモータ方式の異なる区間を通じて、一形式の一次コアを用いることが可能となり、一次コアの搬送車への取付けスペース及び製作コストを低減できる。 【0076】請求項2〜請求項4に記載の発明によれば、作用するモータ方式の異なる区間を通じて、一形式の励磁回路を用いることが可能となり、励磁回路の設置スペース及び製作コストを低減できる。 【0077】請求項4に記載の発明によれば、一次コアを搬送路に設けたため、一次コアに通電する電力を搬送車に給電する必要がなく、搬送車の構成を簡素にすることが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成11年10月5日(1999.10.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−112119(P2001−112119A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−284813 |
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