| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】遠藤 弘淳
【氏名】大庭 秀洋
【氏名】星屋 一美
【氏名】梅山 光広
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| 【要約】 |
【課題】エンジンを動力源とする車両走行時にジェネレータを回転駆動してバッテリを充電するハイブリッド車両の制御装置において、燃費効率を更に向上させるとともに、運転者の要求パワー増大時に十分な駆動力が得られるようにする。
【解決手段】充電時には、無段変速機によりエンジン回転速度Neを燃費重視の第1エンジン運転ラインL1に沿って運転点Aから運転点Bまで変化させてエンジン出力を増大させるとともに、変速時の変速速度を通常よりも遅くする。運転者の要求パワーの増大時には、スロットル弁よりも応答性が優れた出力増大手段によってエンジントルクTeを速やかに増大させるとともに、無段変速機をダウンシフトしてエンジン回転速度Neをパワー重視の第2エンジン運転ラインL2に沿って上昇させる。また、モータジェネレータのエネルギー変換効率が所定値以上か否かを判断し、所定値以上の場合だけ充電を行うようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行用の動力源として燃料の燃焼で動力を発生するエンジンおよび電動モータを備えているとともに、該エンジンを動力源とする走行時にジェネレータを回転駆動してバッテリを充電するハイブリッド車両の制御装置において、前記ジェネレータによって前記バッテリを充電する際の充電量および該ジェネレータのエネルギー変換効率の少なくとも一方を考慮して、該充電を行うか否かを判断する充電機会選択手段を有することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項2】 前記充電量は、前記バッテリの蓄電量に基づいて設定されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項3】 走行用の動力源として燃料の燃焼で動力を発生するエンジンおよび電動モータを備えているとともに、少なくとも該エンジンで発生した動力は無段変速機を介して駆動輪に伝達される一方、該エンジンを動力源とする走行時にジェネレータを回転駆動してバッテリを充電するハイブリッド車両の制御装置において、前記バッテリの充電時には、前記無段変速機をダウンシフトしてエンジン回転速度を上昇させながらエンジン出力を増大させる充電時制御手段と、運転者の要求パワー増大時には、スロットル弁よりも応答性が優れた出力増大手段によりエンジントルクを増大させるとともに、前記無段変速機をダウンシフトしてエンジン回転速度を上昇させるパワー要求時制御手段と、を有することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 【請求項4】 前記充電時制御手段は、燃費を重視して予め設定された第1エンジン運転ライン上で前記エンジンを作動させるようになっており、前記パワー要求時制御手段は、前記第1エンジン運転ラインよりも高トルクの第2エンジン運転ライン上で前記エンジンを作動させるようになっている、ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両の制御装置。 【請求項5】 前記充電時制御手段による前記無段変速機のダウンシフト時の変速速度は通常の変速時の変速速度よりも遅いことを特徴とする請求項3または4に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド車両に係り、特に、エンジンを動力源とする車両走行時にジェネレータを回転駆動してバッテリを充電する技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】走行用の動力源として燃料の燃焼で動力を発生するエンジンおよび電動モータを備えているとともに、エンジンを動力源とする走行時にジェネレータを回転駆動してバッテリを充電するハイブリッド車両の制御装置が知られている。特開平9−98516号公報に記載の装置はその一例で、ジェネレータやバッテリのエネルギー変換効率を考慮し、燃料消費に関して最も効率良く充電できるようにエンジン出力を制御するようになっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように燃料消費に関して最も効率の良い状態でエンジン出力を制御しても、運転者の要求パワーや充電量の大きさによっては、必ずしも十分なエネルギー変換効率、燃費効率が得られない場合がある。例えば充電量がバッテリの蓄電量SOCなどに応じて定められ、その充電量に対応する発電電力でジェネレータが作動させられる場合は、充電量が小さいとジェネレータの回転速度やトルクが低くなるため、エネルギー変換効率が低下する。また、燃費効率が最も良くなるようにエンジン出力が制御されるため、運転者の要求パワーの増大時に必ずしも十分な駆動力が得られない可能性がある。なお、上記「充電量」は単位時間当りに充電する電気エネルギー量(電力;W)で、蓄電量SOCは電力量(Wh或いはAh)である。 【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、燃費効率を更に向上させるとともに、運転者の要求パワー増大時に十分な駆動力が得られるようにすることにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、第1発明は、走行用の動力源として燃料の燃焼で動力を発生するエンジンおよび電動モータを備えているとともに、そのエンジンを動力源とする走行時にジェネレータを回転駆動してバッテリを充電するハイブリッド車両の制御装置において、前記ジェネレータによって前記バッテリを充電する際の充電量およびそのジェネレータのエネルギー変換効率の少なくとも一方を考慮して、その充電を行うか否かを判断する充電機会選択手段を有することを特徴とする。 【0006】第2発明は、第1発明のハイブリッド車両の制御装置において、前記充電量は、前記バッテリの蓄電量に基づいて設定されるようになっていることを特徴とする。 【0007】第3発明は、走行用の動力源として燃料の燃焼で動力を発生するエンジンおよび電動モータを備えているとともに、少なくともそのエンジンで発生した動力は無段変速機を介して駆動輪に伝達される一方、そのエンジンを動力源とする走行時にジェネレータを回転駆動してバッテリを充電するハイブリッド車両の制御装置において、(a) 前記バッテリの充電時には、前記無段変速機をダウンシフトしてエンジン回転速度を上昇させながらエンジン出力を増大させる充電時制御手段と、(b) 運転者の要求パワー増大時には、スロットル弁よりも応答性が優れた出力増大手段によりエンジントルクを増大させるとともに、前記無段変速機をダウンシフトしてエンジン回転速度を上昇させるパワー要求時制御手段と、を有することを特徴とする。 【0008】第4発明は、第3発明のハイブリッド車両の制御装置において、(a) 前記充電時制御手段は、燃費を重視して予め設定された第1エンジン運転ライン上で前記エンジンを作動させるようになっており、(b) 前記パワー要求時制御手段は、前記第1エンジン運転ラインよりも高トルクの第2エンジン運転ライン上で前記エンジンを作動させるようになっている、ことを特徴とする。 【0009】第5発明は、第3発明または第4発明のハイブリッド車両の制御装置において、前記充電時制御手段による前記無段変速機のダウンシフト時の変速速度は通常の変速時の変速速度よりも遅いことを特徴とする。 【0010】 【発明の効果】第1発明、第2発明のハイブリッド車両の制御装置においては、ジェネレータによってバッテリを充電する際の充電量およびジェネレータのエネルギー変換効率の少なくとも一方を考慮して、その充電を行うか否かを判断する充電機会選択手段を有するため、ジェネレータのエネルギー変換効率が良い領域だけで充電が行われるようにすることにより、燃費効率を更に向上させることができる。また、エンジン回転速度が比較的高い領域で充電が行われるようになるため、アクセルOFF時に充電のためにエンジン回転速度が上昇することがないとともに、充電に伴うエンジン回転速度の変化割合が小さくなり、充電に起因して運転者に与える違和感が軽減される。 【0011】なお、上記充電量は、ジェネレータの発電電力すなわち回転速度×回生トルクに対応するため、充電量を所定値以上に制限することにより、ジェネレータのエネルギー変換効率が良くなる可能性が高くなるのである。 【0012】第3発明、第4発明では、バッテリの充電時には、無段変速機をダウンシフトしてエンジン回転速度を例えば燃費を重視した第1エンジン運転ラインに沿って上昇させながらエンジン出力を増大させるため、駆動力を低下させることなく優れた燃費効率で充電を行うことができる。また、運転者の要求パワー増大時には、出力増大手段によりエンジントルクを増大させるとともに、無段変速機をダウンシフトしてエンジン回転速度を上記第1エンジン運転ラインよりも高トルクの第2エンジン運転ラインに沿って上昇させるため、速やかに駆動トルクが増大させられてパワー不足が抑制される。 【0013】第5発明では、充電時制御手段によって無段変速機がダウンシフトされる際の変速速度が通常の変速時の変速速度よりも遅いため、ダウンシフトに伴って回転速度が上昇させられるエンジンのイナーシャによる駆動力変動が抑制されるとともに、エンジンの運転点を上記第1エンジン運転ラインに沿って高い精度で移動させることが可能で、燃費効率が一層向上する。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明は、パラレル型、シリーズ型、遊星歯車装置等の歯車式の合成分配装置を有するものなど、種々のハイブリッド車両に適用される。電動モータおよびジェネレータは別々に設けられても良いが、両者の機能を有する単一のモータジェネレータを用いることもできる。複数のモータジェネレータを備えているハイブリッド車両にも本発明は適用可能である。 【0015】また、本発明は、充電量がバッテリの蓄電量SOC等に応じて設定され、その充電量に対応する発電電力でジェネレータが作動させられる場合に好適に適用されるが、ジェネレータが他の発電要求に従って所定の発電電力で作動させられる場合にも適用され得る。ジェネレータは、エンジンに機械的に接続されて回転駆動されるものでも良いが、走行時の車輪の回転に伴って回転駆動されるものでも良い。 【0016】第1発明において、ジェネレータのエネルギー変換効率を考慮して充電の可否を判断する場合、必ずしもエネルギー変換効率を求める必要はなく、例えばエネルギー変換効率に基づいて効率良く充電できるジェネレータの運転許可領域(回転速度およびトルク)を設定しておき、充電時のジェネレータの運転点がその運転許可領域か否かによって充電の可否を判断するようにしても良い。更に、ジェネレータの運転点は、運転者の要求パワーおよび充電量に応じて概ね定まるため、その要求パワーや充電量を加算したトータル要求パワーが、ジェネレータのエネルギー変換効率を考慮して定められた所定値以上か否かによって充電の可否を判断する場合も本発明に含まれる。 【0017】また、充電の可否判断では、車速やアクセル操作量、ブレーキのON、OFFなどの種々の運転パラメータを充電許可条件に加えることが可能である。 【0018】また、充電時に運転者が減速要求(要求パワー≦0、またはアクセルOFF、ブレーキONなど)した時には、本制御の充電は中止され、エンジンの作動は停止させられる。そして、バッテリへの充電は、ジェネレータの回生制御によって行われるようになる。 【0019】第3発明のスロットル弁よりも応答性が優れた出力増大手段としては、例えば可変バルブタイミング機構(VVT)、D4リーンバーン、パワー増量、ターボチャージャーなどが用いられる。また、必要に応じて電動モータでトルクアシストを行い、加速レスポンスを更に向上させることもできる。 【0020】第4発明の第2エンジン運転ラインは、1本でも良いが、運転者の要求パワー増大量等に応じて適宜選択される複数のエンジン運転ラインを設定することもできる。 【0021】第5発明で変速速度を遅くする手段としては、例えば入力軸回転速度の目標値をなまし処理したり、充電量の変化率に上限を設けて充電量を徐変したりすることなどが考えられる。 【0022】また、本発明は、例えば(a) 燃料の燃焼で動力を発生するエンジンと、(b) 電動モータおよびジェネレータとして機能するモータジェネレータと、(c) 前記エンジン、前記モータジェネレータ、および出力部材に連結されて、それ等の間で力を合成、分配する遊星歯車装置等の歯車式の合成分配装置と、(d) 前記出力部材と駆動輪との間に設けられた無段変速機と、を有するハイブリッド車両の制御装置に好適に適用される。合成分配装置は、例えば第1回転要素がエンジンに連結され、第2回転要素がモータジェネレータに連結されるとともに第1クラッチを介して出力部材に連結され、第3回転要素が第2クラッチを介して出力部材に連結されるとともにブレーキを介してケースに固定される、ように構成される。 【0023】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明が適用されたハイブリッド駆動装置10を説明する概略構成図で、図2は変速機12を含む骨子図であり、このハイブリッド駆動装置10は、燃料の燃焼で動力を発生するエンジン14、電動モータおよびジェネレータとして用いられるモータジェネレータ16、およびダブルピニオン型の遊星歯車装置18を備えて構成されている。遊星歯車装置18のサンギヤ18sにはエンジン14が連結され、キャリア18cにはモータジェネレータ16が連結され、リングギヤ18rは第1ブレーキB1を介してケース20に連結されるようになっている。また、キャリア18cは第1クラッチC1を介して変速機12の入力軸22に連結され、リングギヤ18rは第2クラッチC2を介して入力軸22に連結されるようになっている。遊星歯車装置18は歯車式の合成分配装置に相当し、サンギヤ18sは第1回転要素、キャリア18cは第2回転要素、リングギヤ18rは第3回転要素に相当する。また、変速機12の入力軸22は出力部材に相当する。 【0024】上記クラッチC1、C2および第1ブレーキB1は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる湿式多板式の油圧式摩擦係合装置で、油圧制御回路24から供給される作動油によって摩擦係合させられるようになっている。図3は、油圧制御回路24の要部を示す図で、電動ポンプを含む電動式油圧発生装置26で発生させられた元圧PCが、マニュアルバルブ28を介してシフトレバー30(図1参照)の操作レンジに応じて各クラッチC1、C2、ブレーキB1へ供給されるようになっている。シフトレバー30は、運転者によって操作されるシフト操作部材で、本実施例では「B」、「D」、「N」、「R」、「P」の5つのレンジに選択操作されるようになっており、マニュアルバルブ28はケーブルやリンク等を介してシフトレバー30に連結され、そのシフトレバー30の操作に従って機械的に切り換えられるようになっている。 【0025】「B」レンジは、前進走行時に変速機12のダウンシフトなどにより比較的大きな動力源ブレーキが発生させられる操作レンジで、「D」レンジは前進走行する操作レンジであり、これ等の操作レンジでは出力ポート28aからクラッチC1およびC2へ元圧PCが供給される。第1クラッチC1へは、シャトル弁31を介して元圧PCが供給されるようになっている。「N」レンジは動力源からの動力伝達を遮断する操作レンジで、「R」レンジは後進走行する操作レンジで、「P」レンジは動力源からの動力伝達を遮断するとともに図示しないパーキングロック装置により機械的に駆動輪の回転を阻止する操作レンジであり、これ等の操作レンジでは出力ポート28bから第1ブレーキB1へ元圧PCが供給される。出力ポート28bから出力された元圧PCは戻しポート28cへも入力され、上記「R」レンジでは、その戻しポート28cから出力ポート28dを経てシャトル弁31から第1クラッチC1へ元圧PCが供給されるようになっている。 【0026】クラッチC1、C2、およびブレーキB1には、それぞれコントロール弁32、34、36が設けられ、それ等の油圧PC1、PC2、PB1が制御されるようになっている。クラッチC1の油圧PC1についてはON−OFF弁38によって調圧され、クラッチC2およびブレーキB1についてはリニアソレノイド弁40によって調圧されるようになっている。 【0027】そして、上記クラッチC1、C2、およびブレーキB1の作動状態に応じて、図4に示す各走行モードが成立させられる。すなわち、「B」レンジまたは「D」レンジでは、「ETCモード」、「直結モード」、「モータ走行モード(前進)」の何れかが成立させられ、「ETCモード」では、第2クラッチC2を係合するとともに第1クラッチC1および第1ブレーキB1を開放した状態で、エンジン14およびモータジェネレータ16を共に作動させて車両を前進走行させる。「直結モード」では、クラッチC1、C2を係合するとともに第1ブレーキB1を開放した状態で、エンジン14を作動させて車両を前進走行させる。また、「モータ走行モード(前進)」では、第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2および第1ブレーキB1を開放した状態で、モータジェネレータ16を作動させて車両を前進走行させる。「ETCモード」は電気トルコンモードでエンジン・モータ走行モードに相当し、「直結モード」はエンジン直結モードに相当する。 【0028】図5は、上記前進モードにおける遊星歯車装置18の作動状態を示す共線図で、「S」はサンギヤ18s、「R」はリングギヤ18r、「C」はキャリア18cを表しているとともに、それ等の間隔はギヤ比ρ(=サンギヤ18sの歯数/リングギヤ18rの歯数)によって定まる。具体的には、「S」と「C」の間隔を1とすると、「R」と「C」の間隔がρになり、本実施例ではρが0.6程度である。また、(a) のETCモードにおけるトルク比は、エンジントルクTe:CVT入力軸トルクTin:モータトルクTm=ρ:1:1−ρであり、モータトルクTmはエンジントルクTeより小さくて済むとともに、定常状態ではそれ等のモータトルクTmおよびエンジントルクTeを加算したトルクがCVT入力軸トルクTinになる。CVTは無段変速機の意味であり、本実施例では変速機12としてベルト式無段変速機が設けられている。 【0029】図4に戻って、「N」レンジまたは「P」レンジでは、「ニュートラル」または「充電・Eng始動モード」の何れかが成立させられ、「ニュートラル」ではクラッチC1、C2および第1ブレーキB1の何れも開放する。「充電・Eng始動モード」では、クラッチC1、C2を開放するとともに第1ブレーキB1を係合し、モータジェネレータ16を逆回転させてエンジン14を始動したり、エンジン14により遊星歯車装置18を介してモータジェネレータ16を回転駆動するとともにモータジェネレータ16を回生制御して発電し、バッテリ42(図1参照)を充電したりする。 【0030】「R」レンジでは、「モータ走行モード(後進)」または「フリクション走行モード」が成立させられ、「モータ走行モード(後進)」では、第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2および第1ブレーキB1を開放した状態で、モータジェネレータ16を逆方向へ回転駆動してキャリア18c更には入力軸22を逆回転させることにより車両を後進走行させる。「フリクション走行モード」は、上記「モータ走行モード(後進)」での後進走行時にアシスト要求が出た場合に実行されるもので、エンジン14を始動してサンギヤ18sを正方向へ回転させるとともに、そのサンギヤ18sの回転に伴ってリングギヤ18rが正方向へ回転させられている状態で、第1ブレーキB1をスリップ係合させてそのリングギヤ18rの回転を制限することにより、キャリア18cに逆方向の回転力を作用させて後進走行をアシストするものである。 【0031】前記変速機12はベルト式無段変速機で、その出力軸44からカウンタ歯車46を経て差動装置48のリングギヤ50に動力が伝達され、その差動装置48により左右の駆動輪52に動力が分配される。 【0032】本実施例のハイブリッド駆動装置10は、図1に示すHVECU60によって制御されるようになっている。HVECU60は、CPU、RAM、ROM等を備えていて、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行することにより、電子スロットルECU62、エンジンECU64、M/GECU66、T/MECU68、前記油圧制御回路24のON−OFF弁38、リニアソレノイド弁40、エンジン14のスタータ70などを制御する。電子スロットルECU62はエンジン14の電子スロットル弁72を開閉制御するもので、エンジンECU64はエンジン14の燃料噴射量や可変バルブタイミング機構、点火時期などによりエンジン出力を制御するもので、M/GECU66はインバータ74を介してモータジェネレータ16の力行トルクや回生制動トルク等を制御するもので、T/MECU68は変速機12の変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout )やベルト張力などを制御するものである。エンジンECU64はまた、可変バルブタイミング機構(VVT)やD4リーンバーン、パワー増量、ターボチャージャーなどから成る出力増大手段90を制御することにより、電子スロットル弁72よりも速やかにエンジン出力を増大させることができる。前記油圧制御回路24は、変速機12の変速比γやベルト張力を制御するための回路を備えている。スタータ70は電動モータで、モータ軸に設けられたピニオンをエンジン14のフライホイール等に設けられたリングギヤに噛み合わせてエンジン14をクランキングするものである。 【0033】上記HVECU60には、アクセル操作量センサ76からアクセル操作部材としてのアクセルペダル78の操作量θacを表す信号が供給されるとともに、シフトポジションセンサ80からシフトレバー30の操作レンジ(シフトポジション)を表す信号が供給される。また、エンジン回転速度センサ82、モータ回転速度センサ84、入力軸回転速度センサ86、出力軸回転速度センサ88から、それぞれエンジン回転速度(回転数)Ne、モータ回転速度(回転数)Nm、入力軸回転速度(入力軸22の回転速度)Nin、出力軸回転速度(出力軸44の回転速度)Nout を表す信号がそれぞれ供給される。出力軸回転速度Nout は車速Vに対応する。この他、バッテリ42の蓄電量SOCなど、運転状態を表す種々の信号が供給されるようになっている。蓄電量SOCは単にバッテリ電圧であっても良いが、充放電量を逐次積算して求めるようにしても良い。バッテリ42は蓄電装置に相当する。 【0034】そして、かかるHVECU60は、基本的に図6に示す各機能を備えていて、前記図4の走行モードを実施するようになっている。図6のETCモード制御手段100は「ETCモード」を実施するもので、直結モード制御手段102は「直結モード」を実施するもので、モータ前進手段104は「モータ走行モード(前進)」を実施するもので、充電制御手段106は「充電・Eng始動モード」を実施するもので、モータ後進手段108は「モータ走行モード(後進)」を実施するもので、エンジンアシスト後進手段110は「フリクション走行モード」を実施するものであり、ETCモード制御手段100および直結モード制御手段102はエンジン前進手段112を構成している。また、モード判定手段114は、アクセル操作量θacや車速V(出力軸回転速度Nout )、蓄電量SOC、シフトレバー30のシフトポジション等に基づいて走行モードを判定し、その判定した走行モードで運転が行われるように上記各手段を切り換える。 【0035】上記直結モード制御手段102による「直結モード」では、蓄電量SOCが所定の下限値を下回った時などにモータジェネレータ16を回生制御して、バッテリ42を充電するようになっている。すなわち、本実施例では直結モード制御手段102を中心として車両走行時に充電を行う際の制御装置が構成されている。図7は、充電制御を行うか否かを判断する際の作動を説明するフローチャートで、直結モード制御手段102により、所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。 【0036】図7のステップS1では、運転者の要求パワーPdrv を、アクセル操作量θacや車速V、アクセル操作量θacの変化速度などに基づいて、予め定められた演算式やデータマップなどから算出する。ステップS2では、充電量Pchg をバッテリ42の蓄電量SOCに応じて、予め定められた演算式やデータマップなどから算出する。図8は、充電量Pchg を求めるデータマップの一例で、蓄電量SOCが予め定められた目標値SOCtgより大きい場合は充電量Pchg は設定されず、モータジェネレータ16の回生制御は行われないが、目標値SOCtg以下になると所定の充電量Pchg が設定される。その場合に、従来は点線で示すように充電量Pchg が0から徐々に増加していたが、本実施例のモータジェネレータ16は充電量Pchg に相当する発電電力で回生制御が行われるため、充電量Pchg が小さいとモータジェネレータ16のエネルギー変換効率ηchg が低下する。このため、本実施例では実線で示すように、エネルギー変換効率ηchg を考慮して所定値α以上の範囲で設定されるようになっている。 【0037】ステップS3では、上記要求パワーPdrv と充電量Pchg とを加算してトータル要求パワーPtotal を算出する。ステップS4では、そのトータル要求パワーPtotal が得られるエンジン目標回転速度Ne* を、例えば図11に示す燃費重視の第1エンジン運転ラインL1上から求める。図11について具体的に説明すると、充電を開始する前の要求パワーPdrv (=Ptoral)がW1の場合、その時のエンジン14の運転点はA点であるが、その状態で充電量Pchg で充電を行う場合に、トータル要求パワーPtotal =Pdrv +Pchg がW2になると、エンジン14の運転点は等パワーラインW2と第1エンジン運転ラインL1との交点Cになり、その運転点Cにおけるエンジン回転速度Neが目標回転速度Ne* になるのである。第1エンジン運転ラインL1は、エンジン出力(パワー)を変更しながら等パワーライン上で燃費効率最大のエンジン回転速度Neを求めたもので、予めデータマップとして記憶されている。 【0038】ステップS5では、上記目標回転速度Ne* および充電量Pchg に基づいて、例えば図9に示すように予め設定されたモータジェネレータ16のエネルギー変換効率マップ上に、モータジェネレータ16の運転点を設定し、その時のエネルギー変換効率ηchg を算出する。本実施例では、エンジン14の目標回転速度Ne* がモータジェネレータ16の回転速度Nmと一致するとともに、充電量Pchg をモータ回転速度Nmで割算すればモータ回生トルクが求まるため、それ等のモータ回転速度Nmおよびモータ回生トルクを図9のマップ上にプロットすることにより、エネルギー変換効率ηchg が求められる。 【0039】ステップS6では、上記ステップS5で求めたエネルギー変換効率ηchg が予め設定された所定値(例えば一定値)以上か否かを判断し、所定値以上の場合はステップS7で充電許可判定を行う。これにより、エンジン14の運転点が第1エンジン運転ラインL1上を前記運転点Aから運転点Cへ移動するように、ベルト式無段変速機12の変速制御およびエンジン14の出力増大制御が行われる一方、モータジェネレータ16が充電量Pchg で発電するように回生制御される。なお、エンジン運転点が図11において点線矢印で示すようにA点からC点へ移行する際のモータジェネレータ16の回生制御は、例えば時々刻々のベルト式無段変速機12の変速比γから要求パワーPdrv を満たすための必要エンジントルクTdrv を求め、現在の実際のエンジントルクTeから必要エンジントルクTdrv を引き算した余分トルク(Te−Tdrv )が回生トルクとなるように制御される。 【0040】一方、ステップS5で求めたエネルギー変換効率ηchg が予め設定された所定値より小さい場合は、ステップS8で充電不許可判定を行う。これにより、モータジェネレータ16による充電が中止され、エンジン14は、運転者の要求パワーPdrv に対応する運転点Aで作動させられる。 【0041】ここで、本実施例ではモータジェネレータ16によってバッテリ42を充電する際に、そのモータジェネレータ16のエネルギー変換効率ηchg が所定値以上か否かを判断し、所定値以上の場合だけ充電が行われるため、燃費効率が向上する。また、このようにエネルギー変換効率ηchg に基づいて充電が制限されると、エンジン回転速度Neが比較的高い領域で充電が行われるようになるため、アクセルOFF時に充電のためにエンジン回転速度Neが上昇することがないとともに、充電に伴うエンジン回転速度Neの変化割合が小さくなり、充電に起因して運転者に与える違和感が軽減される。 【0042】前記直結モード制御手段102による一連の信号処理のうち、図7のステップS6、S7、S8を実行する部分は充電機会選択手段として機能している。 【0043】なお、上記実施例では、充電量Pchg が所定値α以上の範囲で設定されるため、充電量Pchg をパラメータとして充電の可否を判定する必要はないが、例えば図8において点線で示すように充電量Pchg が0から徐々に増大させられる場合は、充電量Pchg が所定値(例えばα)以上か否かによって充電の許可、不許可の判定を行うようにすることもできる。 【0044】図10は、同じく前記直結モード制御手段102によって実行される制御の一部で、ステップR1〜R4は前記図7のステップS1〜S4と同じである。ステップR5では、目標回転速度Ne* が現在のエンジン回転速度Neよりも大きいか否かを判断し、アクセルペダル78の踏み増し操作や充電要求などによって目標回転速度Ne* が高くなり、Ne* >Neになった場合はステップR6以下を実行する。 【0045】ステップR6では、エンジン回転速度Neが目標回転速度Ne* になるようにベルト式無段変速機12をダウンシフトさせるダウンシフト指令をT/MECU68に出力し、ステップR7では、充電のための変速要求か否かを、例えば充電量Pchg の有無等によって判断する。そして、充電のための変速要求の場合は、ステップR9において、前記ベルト式無段変速機12の変速速度を通常よりも遅くするとともに、電子スロットル弁72の開制御等による通常のエンジン出力増大制御を行う。すなわち、例えば前記図11において、エンジン14の運転点が第1エンジン運転ラインL1上を前記運転点Aから運転点Cへ移動するように、ベルト式無段変速機12の変速制御およびエンジン14の出力増大制御が行われるのである。ベルト式無段変速機12の変速速度の低下は、例えば入力軸回転速度Ninの目標値をなまし処理したり、充電量Pchg の変化率に上限を設けて充電量Pchg を徐変したりすることによって行われる。 【0046】上記ステップR9では、同時にモータジェネレータ16の回生制御を開始する。エンジン運転点が図11において点線矢印で示すようにA点からC点へ移行する際のモータジェネレータ16の回生制御は、前記実施例と同様に例えば時々刻々のベルト式無段変速機12の変速比γから要求パワーPdrv を満たすための必要エンジントルクTdrv を求め、現在の実際のエンジントルクTeから必要エンジントルクTdrv を引き算した余分トルク(Te−Tdrv )が回生トルクとなるように制御される。これにより、変速中においても運転者の要求パワーPdrv に応じた駆動力が必ず確保される。エンジン運転点がC点に達した後は、充電量Pchg に相当する発電電力となるように、モータ回転速度Nmに応じて回生トルクを制御すれば良い。 【0047】上記ステップR7の判断がNOの場合、すなわち充電のための変速要求でない場合には、ステップR8で運転者の要求パワーPdrv の増大による変速要求か否かを、例えばアクセル操作量θacやその変化量Δθacが所定値以上か否か、或いは要求パワーPdrv の変化量ΔPdrv が所定値以上か否か、等によって判断する。そして、要求パワーPdrv の増大による変速要求の場合は、ステップR10において、前記ベルト式無段変速機12を通常の変速速度でダウンシフトさせるとともに、前記出力増大手段90によってエンジン出力を速やかに増大させる。すなわち、前記図11において実線矢印で示すように、エンジン14の運転点を第1エンジン運転ラインL1上のA点から、第1エンジン運転ラインL1よりも高トルクの第2エンジン運転ラインL2へ向かって速やか増大させながら、トータル要求パワーPtotal (=Pdrv )と第2エンジン運転ラインL2との交点である運転点Bへ移動するようにベルト式無段変速機12をダウンシフトさせるのである。ベルト式無段変速機12の変速は応答遅れがあるため、先ず出力増大手段90によってエンジントルクTeが増加させられ、そのトルク増加および変速制御に伴ってエンジン回転速度Neが略第2エンジン運転ラインL2に沿って上昇させられる。第2エンジン運転ラインL2は、第1エンジン運転ラインL1に所定トルクを加算したもので、所定トルクは一定値であっても良いが、要求パワーPdrv やその増加量などをパラメータとして設定されるようにしても良い。なお、図11では運転点Bが前記運転点Cと同じ等パワーラインW2上に示されているが、これは図を簡略化するためで、それ等の運転点B、Cはそれぞれトータル要求パワーPtotal に応じて適宜定められる。 【0048】上記ステップR10では、必要に応じてモータジェネレータ16を力行制御してトルクアシストを行うようにすることもできる。また、要求パワーPdrv が所定値以下になったり、アクセル操作量θacが減少したり、加速要求発生後所定時間経過したりした場合など、運転者の加速要求が無くなったと判断できる場合には、エンジン14の運転点を燃費重視の第1エンジン運転ラインL1上へ移動させるとともに、出力増大手段90を通常の制御に戻す。 【0049】前記ステップR8の判断がNOの場合、すなわちアクセル操作量θacの僅かな変化等によるダウンシフトの場合は、ステップR11において、ベルト式無段変速機12を通常の変速速度でダウンシフトさせるとともに、電子スロットル弁72の開制御等による通常のエンジン出力増大制御を行う。これにより、例えば図11のエンジン運転点Aは、燃費重視の第1エンジン運転ラインL1上を僅かに移動させられる。 【0050】一方、前記ステップR5の判断がNOの場合、すなわち運転者の加速要求が無くなったり充電が終了したりしてトータル要求パワーPtotal が減少し、目標回転速度Ne* が低下してNe* ≦Neになった場合は、ステップR12を実行する。ステップR12では、エンジン回転速度Neが目標回転速度Ne* になるようにベルト式無段変速機12をアップシフトさせるアップシフト指令をT/MECU68に出力するとともに、電子スロットル弁72の閉じ制御などでエンジン出力を低下させる。これにより、エンジン回転速度Neが第1エンシン運転ラインL1に沿って低下させられる。 【0051】ここで、本制御では、バッテリ42の充電時には、ベルト式無段変速機12をダウンシフトしてエンジン回転速度Neを燃費重視の第1エンジン運転ラインL1に沿って上昇させながらエンジン出力を増大させるため、駆動力を低下させることなく優れた燃費効率で充電を行うことができる。 【0052】また、上記充電開始時にベルト式無段変速機12をダウンシフトする際の変速速度が通常の変速時の変速速度よりも遅いため、ダウンシフトに伴ってエンジン回転速度Neが上昇させられるエンジン14のイナーシャによる駆動力変動が抑制されるとともに、エンジン14の運転点を第1エンジン運転ラインL1に沿って高い精度で移動させることが可能で、燃費効率が一層向上する。 【0053】一方、運転者の要求パワーPdrv の増大時には、出力増大手段90によりエンジントルクTeを速やかに増大させるとともに、ベルト式無段変速機12をダウンシフトしてエンジン回転速度Neをパワー重視の第2エンジン運転ラインL2に沿って上昇させるため、速やかに駆動トルクが増大させられてパワー不足が抑制される。 【0054】前記直結モード制御手段102による一連の信号処理のうち、図10のステップR9を実行する部分は充電時制御手段として機能しており、ステップR10を実行する部分はパワー要求時制御手段として機能している。 【0055】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月8日(1999.10.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085361 【弁理士】 【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−112115(P2001−112115A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−287934 |
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