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【発明の名称】 前後輪駆動車両およびその制御装置
【発明者】 【氏名】三上 強

【要約】 【課題】前輪を駆動する第1電動機および後輪を駆動する第2電動機のいずれかの作動が制限されたとしても、車両の駆動力配分が得られて走行安定性が保持される前後輪駆動車両およびその制御装置を提供する。

【解決手段】MG16(第1電動機)とRMG70(第2電動機)との熱定格の相互関係が特定の状態、たとえばMG16の熱定格がRMG70の熱定格よりも高くされたものであるため、前後輪駆動車両がその駆動力バランスを考慮したものとされることができ、走行安定性が保持されることができる。また、第2電動機作動制限手段136によるRMG70の作動制限時(駆動作動制限時或いは回生作動制限時)には、第1電動機作動増大手段138によりMG16の作動(駆動作動或いは回生作動)が増大させられる。また、第1電動機作動制限手段134によるMG16の作動制限時において、第2電動機出力低減手段140により前後輪の分配比を目標分配比とするためにRMG70の作動が低減されられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前輪を駆動するための第1電動機と、後輪を駆動するための第2電動機とを備えた前後輪駆動車両であって、前記第1電動機と前記第2電動機とにおいてそれらの熱定格の相互関係が特定の状態とされていることを特徴とする前後輪駆動車両。
【請求項2】 前記第1電動機の熱定格が前記第2電動機の熱定格よりも高くされたものである請求項1の前後輪駆動車両。
【請求項3】 前輪を駆動するための第1電動機と、後輪を駆動するための第2電動機とを備えた前後輪駆動車両の制御装置であって、前記第2電動機の作動制限時において前記第1電動機の作動を増大させる第1電動機作動増大手段を有することを特徴とする前後輪駆動車両の制御装置。
【請求項4】 前記第1電動機の熱定格が前記第2電動機の熱定格よりも高くされたものである請求項3の前後輪駆動車両の制御装置。
【請求項5】 前輪を駆動するための第1電動機と、後輪を駆動するための第2電動機とを備えた前後輪駆動車両の制御装置であって、前記第1電動機の作動制限時において、前後輪の駆動力または制動力の分配比を予め定められた目標分配比とするために前記第2電動機の作動を低減する第2電動機作動低減手段を有することを特徴とする前後輪駆動車両の制御装置。
【請求項6】 前記第1電動機の熱定格が前記第2電動機の熱定格よりも高くされたものである請求項5の前後輪駆動車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前輪および後輪の一方を駆動する第1電動機と、他方を駆動する第2電動機とを有する車両において、その第1電動機および第2電動機とそれを制御する制御装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】車輪を駆動するために複数の電動機を備える形式の4輪駆動車両が知られている。このような4輪駆動車両は、各電動機の温度が高くなるに伴って、その温度が高くなった電動機の駆動力を低減して電動機を保護するようにして4輪駆動車両の制御装置が提案されている。たとえば、特開平3−203502号公報に記載されたものがそれである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の4輪駆動車両の制御装置によれば、温度上昇による電動機出力の低減のために、車両全体としての駆動力配分を考慮していないため、電動機の出力が制限されると、駆動力配分のバランスがくずれて車両挙動すなわち走行安定性に影響が出るおそれがあった。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、前輪を駆動するための第1電動機および後輪を駆動するための第2電動機のいずれかの作動が制限されたとしても車両の駆動力配分が得られて走行安定性が保持される前後輪駆動車両およびその制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】かかる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、前輪を駆動するための第1電動機と、後輪を駆動するための第2電動機とを備えた前後輪駆動車両であって、前記第1電動機と前記第2電動機とにおいてそれらの熱定格の相互関係が特定の状態とされていることにある。
【0006】
【第1発明の効果】このようにすれば、第1電動機と第2電動機との熱定格の相互関係が特定の状態とされるため、前後輪駆動車両がその駆動力バランスを考慮したものとされることができ、走行安定性が保持されることができる。
【0007】
【第1発明の他の態様】ここで、好適には、前記第1電動機の熱定格が前記第2電動機の熱定格よりも高くされたものである。このようにすれば、後輪を駆動する第2電動機の熱定格が前輪を駆動する第1電動機の熱定格よりも低いため、後輪側の第2電動機の出力が先に制限されるが、後輪であるために比較的車両の安定性が保持される利点がある。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、前輪を駆動するための第1電動機と、後輪を駆動するための第2電動機とを備えた前後輪駆動車両の制御装置であって、その第2電動機の作動制限時において前記第1電動機の作動を増大させる第1電動機作動増大手段を有することにある。
【0009】
【第2発明の効果】このようにすれば、後輪を駆動するための第2電動機の作動制限時において、前輪を駆動する第1電動機の作動が増大させられるため、比較的車両の安定性を保ちつつ、車両の全駆動力或いは回生制動力が確保される。たとえば、第2電動機の出力制限時においては車両の全駆動力を変化させないように第1電動機の出力が増大させられ、第2電動機の回生制限時においては車両の全回生制動力を変化させないように第1電動機の回生が増大させられることにより、車両の安定性が保持されるとともに、車両の全駆動力或いは回生制動力が確保される。
【0010】
【第2発明の他の態様】ここで、好適には、前記第1電動機の熱定格が前記第2電動機の熱定格よりも高くされたものである。このようにすれば、後輪を駆動する第2電動機の熱定格が前輪を駆動する第1電動機の熱定格よりも低いため、後輪側の第2電動機の出力が先に制限されるが、後輪であるために比較的車両の安定性が保持される利点がある。
【0011】
【課題を解決するための第3の手段】また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、前輪を駆動するための第1電動機と、後輪を駆動するための第2電動機とを備えた前後輪駆動車両の制御装置であって、上記第1電動機の作動制限時において、前後輪の駆動力或いは制動力の分配比を予め定められた目標分配比とするために前記第2電動機の作動を低減する第2電動機出力低減手段を有することにある。
【0012】
【第3発明の効果】このようにすれば、前輪を駆動するための第1電動機の作動制限時において、後輪を駆動する第2電動機の作動が低減されることにより、前後輪の駆動力分配比または制動力分配比が予め定められた目標分配比とされるため、車両の安定性が確保される。たとえば、第1電動機の出力制限時においては後輪トルク分担比が維持されるようにまたはそれより前輪駆動側(FF側)となるように第2電動機の出力が低減させられ、また、第1電動機の回生制限時においても同様に第2電動機の回生が低減させられることにより、車両の安定性が保持されつつ、車両の全駆動力或いは回生制動力が確保される。
【0013】
【第3発明の他の態様】ここで、好適には、前記第1電動機の熱定格が前記第2電動機の熱定格よりも高くされたものである。このようにすれば、後輪を駆動する第2電動機の熱定格が前輪を駆動する第1電動機の熱定格よりも低いため、後輪側の第2電動機の出力が先に制限されるが、後輪であるために比較的車両の安定性が保持される利点がある。
【0014】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】図1は、本発明が適用された4輪駆動車両すなわち前後輪駆動車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。この前後輪駆動車両は、前輪系を第1原動機を備えた第1駆動装置すなわち主駆動装置10にて駆動し、後輪系を第2原動機を備えた第2駆動装置すなわち副駆動装置12にて駆動する形式の車両である。
【0016】上記主駆動装置10は、空気および燃料の混合気が燃焼させられることにより作動させられる内燃機関であるエンジン14と、電気モータおよび発電機として選択的に機能する第1電動機であるモータジェネレータ(以下、MGという)16と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置18と、変速比が連続的に変化させられる無段変速機20とを同心に備えている。上記エンジン14は第1原動機すなわち主原動機として機能している。上記エンジン14は、その吸気配管の吸入空気量を制御するスロットル弁の開度θTHを変化させるためにそのスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータ21を備えている。
【0017】上記遊星歯車装置18は、機械的に力を合成し或いは分配する合成分配機構であって、共通の軸心まわりに独立して回転可能に設けられた3つの回転要素、すなわち上記エンジン14にダンパ装置22を介して連結されたサンギヤ24と、第1クラッチC1を介して無段変速機20の入力軸26に連結され且つ上記MG16の出力軸が連結されたキャリヤ28と、第2クラッチC2を介して無段変速機20の入力軸26に連結され且つブレーキB1を介して非回転部材たとえばハウジング30に連結されるリングギヤ32とを備えている。上記キャリヤ28は、サンギヤ24およびリングギヤ32とかみ合い且つ相互にかみ合う1対のピニオン(遊星歯車)34および36を、それらの自転可能に支持している。上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、ブレーキB1は、いずれも互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータによって押圧されることにより係合させられたり、その押圧解除により解放されたりする油圧式摩擦係合装置である。
【0018】上記遊星歯車装置18とそのキャリヤ28に連結されたMG16は、エンジン14の作動状態すなわちサンギヤ24の回転状態においてMG16の発電量を逐次増加させることすなわちMG16の回転駆動トルクである反力が逐次大きくなるようにキャリヤ28に発生させられることにより、リングギヤ32の回転数を滑らかに増加させて車両の滑らかな発進加速を可能とする電気トルコン(ETC)装置を構成している。このとき、遊星歯車装置18のギヤ比ρ(サンギヤ24の歯数/リングギヤ32の歯数)がたとえば一般的な値である0.5とすると、リングギヤ32のトルク:キャリヤ28のトルク:サンギヤ24のトルク=1/ρ:(1−ρ)/ρ:1の関係から、エンジン14のトルクが1/ρ倍たとえば2倍に増幅されて無段変速機20へ伝達されるので、トルク増幅モードと称される。
【0019】また、上記無段変速機20は、入力軸26および出力軸38にそれぞれ設けられた有効径が可変の1対の可変プーリ40および42と、それら1対の可変プーリ40および42に巻き掛けられた無端環状の伝動ベルト44とを備えている。それら1対の可変プーリ40および42は、入力軸26および出力軸38にそれぞれ固定された固定回転体46および48と、その固定回転体46および48との間にV溝を形成するように入力軸26および出力軸38に対して軸心方向に移動可能且つ軸心まわりに相対回転不能に取付られた可動回転体50および52と、それら可動回転体50および52に推力を付与して可変プーリ40および42の掛かり径すなわち有効径を変化させることにより変速比γ(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を変更する1対の油圧シリンダ54および56とを備えている。
【0020】上記無段変速機20の出力軸38から出力されたトルクは、減速装置58、差動歯車装置60、および1対の車軸62、64を介して1対の前輪66、68へ伝達されるようになっている。本実施例では、前輪66、68の舵角を変更する操舵装置が省略されている。
【0021】前記副駆動装置12は、第2原動機すなわち第2電動機として機能するリヤモータジェネレータ(以下、RMGという)70を備え、そのRMG70から出力されたトルクは、減速装置72、差動歯車装置74、および1対の車軸76、78を介して1対の後輪80、82へ伝達されるようになっている。
【0022】第1電動機に対応するMG16と第2電動機に対応するRMG70とは、それらの熱定格の相互関係が特定の状態とされている。たとえば、MG16の熱定格はRMG70の熱定格よりも高く設定されている。MG16の熱定格がRMG70の熱定格よりも高いとは、前輪66、68のスリップを伴う登坂発進走行のような走行抵抗の大きな発進走行の繰り返しのように4輪駆動走行の中で最も車両の動力性能が要求される使用条件下において、RMG70の方がMG16よりも早く温度上昇し、熱による作動制限(使用停止を含む)を行う必要に迫られる関係を意味している。この熱定格の相互関係は、たとえば、MG16の連続定格がRMG70の連続定格よりも高く設定されていること、MG16の短時間定格がRMG70のそれと同じ長さの短時間定格よりも高く設定されていること、同じ定格であってもMG16の冷却性能すなわち電熱性或いは放熱性がRMG70の冷却性能よりも高く(優れている)なるように構成されていることなどによって通常は実現され、4輪駆動状態で最大動力性能が要求された運転状態において、MG16の温度上昇がRMG70よりも低くなるように設定されていることを意味している。
【0023】図2は、前記主駆動装置10の遊星歯車装置18を種々の作動モードに切り換えるための油圧制御回路の構成を簡単に示す図である。運転者によりP、R、N、D、Bの各レンジ位置へ操作されるシフトレバー90に機械的に連結されたマニアル弁92は、シャトル弁93を利用しつつ、シフトレバー90の操作に応答して、Dレンジ、Bレンジ、Rレンジにおいて第1クラッチC1の係合圧を調圧する第1調圧弁94へ図示しないオイルポンプから出力された元圧を供給し、Dレンジ、BレンジにおいてクラッチC2の係合圧を調圧する第2調圧弁95へ元圧を供給し、Nレンジ、Pレンジ、RレンジにおいてブレーキB1の係合圧を調圧する第3調圧弁96へ元圧を供給する。上記第2調圧弁95、第3調圧弁96は、ハイブリッド制御装置104によって駆動されるリニヤソレイド弁97からの出力信号に従って第2クラッチC2およびブレーキB1の係合圧を制御し、第1調圧弁94は、ハイブリッド制御装置104によってデューティー駆動される三方弁である電磁開閉弁98からの出力信号に従って第1クラッチC1の係合圧を制御する。
【0024】図3は、本実施例の前後輪駆動車両に設けられた制御装置の構成を説明する図である。エンジン制御装置100、変速制御装置102、ハイブリッド制御装置104、蓄電制御装置106、ブレーキ制御装置108は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、種々の制御を実行する。また、上記の制御装置は、相互に通信可能に接続されており、所定の制御装置から必要な信号が要求されると、他の制御装置からその所定の制御装置へ適宜送信されるようになっている。
【0025】エンジン制御装置100は、エンジン14のエンジン制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために図示しない燃料噴射弁を制御し、点火時期制御のために図示しないイグナイタを制御し、トラクション制御ではスリップ中の前輪66、68が路面をグリップするようにエンジン14の出力を一時的に低下させるためにスロットルアクチュエータ21を制御する。
【0026】上記変速制御装置102は、たとえば、無段変速機20の伝動ベルト44の張力が必要かつ十分な値となるように予め設定された関係から、実際の変速比γおよび伝達トルクすなわちエンジン14およびMG16の出力トルクに基づいて、ベルト張力圧を調圧する調圧弁を制御し、伝動ベルト44の張力を最適な値とするとともに、エンジン14が最小燃費率曲線或いは最適曲線に沿って作動するように予め記憶された関係から、実際の車速Vおよびエンジン負荷たとえばスロットル開度θとして表現されるスロットル弁開度θTH或いはアクセルペダル操作量ACCに基づいて目標変速比γm を決定し、実際の変速比γがその目標変速比γmと一致するように無段変速機20の変速比γを制御する。
【0027】また、上記エンジン制御装置100および変速制御装置102は、たとえば図4に示す最良燃費運転線に沿ってエンジン14の作動点すなわち運転点が移動するように、たとえば上記スロットルアクチュエータ21や燃料噴射量を制御するとともに無段変速機20の変速比γを変更する。また、ハイブリッド制御装置104からの指令に応じて、上記エンジン14の出力トルクTE または回転数NEを変更するために上記スロットルアクチュエータ21や変速比γを変更し、エンジン14の運転点を移動させる。
【0028】上記ハイブリッド制御装置104は、電池などから成る蓄電装置112からMG16に供給される駆動電流或いはそのMG16から蓄電装置112へ出力される発電電流を制御するインバータ114を制御するためのMG制御装置116と、蓄電装置112からRMG70に供給される駆動電流或いはそのRMG70から蓄電装置112へ出力される発電電流を制御するインバータ118を制御するためのRMG制御装置120とを含み、シフトレバー90の操作位置PSH、スロットル(アクセル)開度θ(アクセルペダル122の操作量ACC)、車速V、蓄電装置112の蓄電量SOCに基づいて、たとえば図5に示す複数の運転モードのうちからいずれか1つの選択を行うとともに、スロットル開度θ、ブレーキペダル124の操作量BF に基づいて、MG16或いはRMG70の発電に必要なトルクにより制動力を発生させるトルク回生制動モード、或いはエンジン14の回転抵抗トルクにより制動力を発生させるエンジンブレーキモードを選択する。
【0029】シフトレバー90がBレンジ或いはDレンジへ操作された場合、たとえば比較的低負荷の発進或いは定速走行ではモータ走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられ且つ第2クラッチC2およびブレーキB1が共に解放されることにより、専らMG16により車両が駆動される。なお、このモータ走行モードにおいて、蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値を下回った不足状態となった場合や、駆動力をさらに必要とするためにエンジン14を始動させる場合には、上記ETCモード或いは直結モードへ切り換えられて、それまでの走行を維持しながらMG16或いはRMG70が駆動され、そのMG16或いはRMG70により蓄電装置112が充電される。
【0030】また、比較的中負荷走行または高負荷走行では直結モードが選択され、第1クラッチC1および第2クラッチC2が共に係合させられ且つブレーキB1が解放されることにより遊星歯車装置18が一体的に回転させられ、専らエンジン14によりまたはそのエンジン14およびMG16により車両が駆動されたり、或いは専らエンジン14により車両が駆動されると同時にMG16により蓄電装置112の充電が行われる。この直結モードでは、サンギヤ24の回転数即ちエンジン回転数NE (rpm )とキャリヤ部材28の回転数すなわちMG16の回転数NMG(rpm )とリングギヤ32の回転数即ち無段変速機20の入力軸26の回転速度NIN(rpm )とは同じ値であるから、二次元平面内において3本の回転数軸(縦軸)すなわちサンギヤ回転数軸S、リングギヤ回転数軸R、およびキャリヤ回転数軸Cと変速比軸(横軸)とから描かれる図6の共線図では、たとえば1点鎖線に示されるものとなる。なお、図6において、上記サンギヤ回転数軸Sとキャリヤ回転数軸Cとの間隔は1に対応し、リングギヤ回転数Rとキャリヤ回転数軸Cとの間隔はダブルピニオン型遊星歯車装置18のギヤ比ρに対応している。
【0031】また、たとえば発進加速走行では、ETCモードすなわちトルク増幅モードが選択され、第2クラッチC2が係合させられ且つ第1クラッチC1およびブレーキB1が共に解放された状態でMG16の発電量(回生量)すなわちそのMG16の反力(MG16を回転させる駆動トルク)が徐々に増加させられることにより、エンジン14が所定の回転数に維持された状態で車両が滑らかに零発進させられる。このようにエンジン14によって車両およびMG16が駆動される場合には、エンジン14のトルクが1/ρ倍たとえばρ=0.5とすると2倍に増幅されて無段変速機20へ伝達される。すなわち、MG16の回転数NMGが図6のA点(負の回転速度すなわち発電状態)である場合には、無段変速機20の入力軸回転数NINは零であるため車両は停止しているが、図6の破線に示すように、そのMG16の発電量が増加させられてその回転数NMGがその正側のB点へ変化させられることにともなって無段変速機20の入力軸回転数NINが増加させられて、車両が発進させられるのである。
【0032】シフトレバー90がNレンジ或いはPレンジへ操作された場合、基本的にはニュートラルモード1または2が選択され、第1クラッチC1、第2クラッチC2、およびブレーキB1が共に解放され、遊星歯車装置18において動力伝達経路が解放される。この状態において、蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値を下回った不足状態となった場合などにおいては、充電・エンジン始動モードとされ、ブレーキB1が係合させられた状態で、MG16によりエンジン14が始動させられる。シフトレバー90がRレンジへ操作された場合、たとえば軽負荷後進走行ではモータ走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられるとともに第2クラッチC2およびブレーキB1が共に解放されることにより、専らMG16により車両が後進走行させられる。しかし、たとえば中負荷或いは高負荷後進走行ではフリクション走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられ且つ第2クラッチC2が解放されるとともに、ブレーキB1がスリップ係合させられる。これにより、車両を後進させる駆動力としてMG16の出力トルクにエンジン14の出力トルクが加えられる。
【0033】また、前記ハイブリッド制御装置104は、前輪66、68の駆動力に従った車両の発進時或いは急加速時において、車両の駆動力を一時的に高めるために、所定の駆動力配分比に従ってRMG70を作動させ、後輪80、82からも駆動力を発生させる高μ路アシスト制御や、凍結路、圧雪路のような低摩擦係数路(低μ路)における発進走行時において、車両の発進能力を高めるために、RMG70により後輪80、82を駆動すると同時に、たとえば無段変速機20の変速比γを低くさせて前輪66、68の駆動力を低下させる低μ路アシスト制御を実行する。
【0034】蓄電制御装置106は、電池、コンデンサなどの蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値SOCD を下回った場合には、MG16或いはRMG70により発電された電気エネルギで蓄電装置112を充電あるいは蓄電するが、蓄電量SOCが予め設定された上限値SOCU を上まわった場合には、そのMG16或いはRMG70からの電気エネルギで充電することを禁止する。また、上記蓄電に際して、蓄電装置112の温度TB の関数である電力或いは電気エネルギの受入制限値WINと持出制限値WOUT との間の範囲を、実際の電力見込み値Pb 〔=発電電力PMG+消費電力PRMG (負)〕が越えた場合には、その受入れ或いは持ち出しを禁止する。
【0035】ブレーキ制御装置108は、たとえばTRC制御、ABS制御、VSC制御などを実行し、低μ路などにおける発進走行時、制動時、旋回時の車両の安定性を高めたり或いは牽引力を高めるために、油圧ブレーキ制御回路を介して各車輪66、68、80、82に設けられたホイールブレーキ66WB、68WB、80WB、82WBを制御する。たとえば、TRC制御では、各車輪に設けられた回転センサからの信号に基づいて、車輪車速(車輪回転速度に基づいて換算される車体速度)たとえば右前輪車輪車速VFR、左前輪車輪車速VFL、右後輪車輪車速VRR、左後輪車輪車速VRL、前輪車速〔=(VFR+VFL)/2〕、後輪車速〔=(VRR+VRL)/2〕、および車体車速(VFR、VFL、VRR、VRLのうちの最も遅い速度)を算出する一方で、たとえば主駆動輪である前輪車速と非駆動輪である後輪車速との差であるスリップ速度ΔVが予め設定された制御開始判断基準値ΔV1 を越えると、前輪にスリップ判定をし、且つスリップ率RS 〔=(ΔV/VF )×100%〕が予め設定された目標スリップ率RS1内に入るようにスロットルアクチュエータ21、MG16の出力トルクを低下させると同時にホイールブレーキ66WB、68WBなどを用いて前輪66、68の駆動力を低下させる。また、ABS制御では、制動時において、各車輪のスリップ率が所定の目標スリップ率範囲内になるように、ホイールブレーキ66WB、68WB、80WB、82WBを用いて前輪66、68、後輪80、82の制動力を維持し、車両の方向安定性を高める。また、VSC制御では、車両の旋回走行時において、図示しない舵角センサからの舵角、ヨーレートセンサからのヨーレート、2軸Gセンサからの前後左右加速度などに基づいて車両のオーバステア傾向或いはアンダステア傾向を判定し、そのオーバステア或いはアンダステアを抑制するように、ホイールブレーキ66WB、68WB、80WB、82WBのいずれか、およびスロットルアクチュエータ21やRMG70を制御する。
【0036】図7は、上記ハイブリッド制御装置104などの制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図7において、第1電動機作動制御手段130は、4輪駆動状態では、運転者要求トルクTdrv のうちの前輪荷重分担比である前輪トルク分担比(1−Ktr)に相当する前輪駆動トルクを算出し、その前輪駆動トルクが前輪66、68から出力されるようにMG16を制御する。たとえば直結モードにおいてエンジン14とMG16とが同時に作動する場合には、そのエンジン14の出力と併せて上記前輪トルクとなるようにMG16を制御する。また、第1電動機作動制御手段130は、制動時においても、ブレーキペダル124の操作量や惰行走行時の車速変化量などに基づいて決まる要求制動トルクのうちの前輪トルク分担比(1−Ktr)に相当する前輪回生トルクを算出し、その前輪回生トルクが前輪66、68から出力されるようにMG16を制御する。
【0037】第2電動機作動制御手段132は、4輪駆動状態では、運転者要求トルクTdrv のうちの後輪荷重分担比である後荷重トルク分担比Ktrに相当する後輪駆動トルクを算出し、その後輪駆動トルクが後輪80、82から出力されるようにRMG70を制御する。また、第2電動機作動制御手段132は、制動時においても、ブレーキペダル124の操作量や惰行走行時の車速変化量などに基づいて決まる要求制動トルクのうちの後輪トルク分担比Ktrに相当する後輪回生トルクを算出し、その後輪回生トルクが後輪80、82から出力されるようにRMG70を制御する。なお、上記運転者要求トルクTdrv は、たとえば図10に示す予め記憶された関係から実際の車速Vおよびスロットル開度θに基づいて決定される。また、上記前輪荷重分担比(1−Ktr)および後輪トルク分担比Ktrは、目標値でもあり、静的な前後輪荷重分担比(一定値)、或いは車両の前後加速度(前後G)を加味した動的な前後輪荷重分担比(前後Gの関数)に基づいて決定される。
【0038】上記MG16およびRMG70は、そのコイルを絶縁する材料の絶縁性能を確保するなどのために、その温度TMGおよびTRMG によって使用が制限されるものであり、たとえば図8に示す出力トルク領域内で作動させられる必要がある。MG16の温度TMGまたはRMG70の温度TRMG がTa 度である場合は、図8のT=Ta に示される最大トルク線の内側の領域内すなわち出力制限値と回生制限値との範囲内で作動させられればよいが、Tc 度である場合は、図8のT=Tcに示される最大トルク線の内側の小さな領域内で作動させられねばならないのである。また、前記蓄電装置112は、その電解質の劣化、内部損傷、或いは寿命の低下を防止するなどのために、その温度TB によってその持出電力或いは受入電力が制限されるものであり、たとえば図9に示すような、持出制限値WOUT と受入制限値WINとの間の範囲内で使用される必要がある。
【0039】このため、第1電動機作動制限手段134は、たとえば図8の関係からMG16の温度TMGで決まる出力制限値或いは回生制限値や、たとえば図9の関係から蓄電装置112の温度TB で決まる持出制限値WOUT および受入制限値WINに基づいて、MG16の駆動作動或いは回生作動を制限する。同様に、第2電動機作動制限手段136は、たとえば図8の関係からRMG70の温度TRMG で決まる出力制限値或いは回生制限値や、たとえば図9の関係から蓄電装置112の温度TB で決まる持出制限値WOUT 或いは受入制限値WINに基づいて、RMG70の駆動作動或いは回生作動を制限する。
【0040】第1電動機作動増大手段138は、上記第2電動機作動制限手段136によってRMG70の駆動作動或いは回生作動が制限された場合は、車両全体の駆動力或いは回生制動力を維持するためにすなわち変化させないために、その制限に相当する分だけMG16の駆動出力或いは回生出力を増大させる。また、第2電動機作動低減手段140は、前記第1電動機作動制限手段134によってMG16の駆動作動或いは回生作動が制限された場合は、車両の前後輪のトルク分担率を維持するためにすなわち前後輪の駆動力配分比或いは制動力配分比を予め定めらえた目標配分比とするために、その制限に相当する分だけRMG70の駆動出力或いは回生出力を低減させる。
【0041】図11は、前記ハイブリッド制御装置104の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、エンジン14およびMG16を用いた直結走行モードにおける前後輪トルク分配制御ルーチンを示している。図11において、SA1の前処理では、図9の関係から蓄電装置112の実際の温度TB に基づいて受入制限値WIN、持出制限値WOUT が算出され、図8の関係からMG16の温度TMGに基づいて温度制限済のMG16の最大許容トルクTMGmax および最小許容トルクTMGmin が算出され、図8の関係からRMG70の温度TRMG に基づいて温度制限済のRMG70の最大許容トルクTRMGmaxおよび最小許容トルクTRMGminが算出され、図示しない回転センサからの信号に基づいて、MG16の回転速度NMG、RMG70の回転速度NRMG 、および無段変速機20の入力軸回転速度NINが算出され、たとえば図10に示す関係から実際の車速Vおよびスロットル開度θに基づいて運転者要求トルクTdrv が算出され、その運転者要求トルクTdrv 、補機駆動トルク、必要充電トルクなどに基づいて必要エンジン出力PV が算出される。ここで、上記運転者要求トルクTdrv や後述の出力或いは出力トルクは、回生制動力或いはトルクを表す負の値をも含むものであり、それらの増加或いは減少という表現はそれらの絶対値に基づいている。
【0042】続いて、SA2では、エンジン14に出力させるトルクの指令値を算出するために、図12のエンジン指令トルク算出ルーチンが実行される。すなわち、SA21では、上記必要エンジン出力PV およびエンジン回転速度NE に基づいて、エンジン14に出力させるためのエンジン出力トルク基本値TEbase (=PV /NE )が算出される。次いで、SA22では、そのエンジン出力トルク基本値TEbase に対してエンジン14の仕様に関連する上限値TEmaxおよび下限値「0」の制限が加えられ(0≦TEbase ≦TEmax)、制限済の値がエンジン出力トルク指令値TE とされる。エンジン14は、その出力トルクがそのエンジン出力トルク指令値TE となるように制御される。
【0043】続くSA3では、たとえば図13に示すリヤモータトルク仮決定ルーチンが実行されることにより、RMG70の出力トルク仮決定値TRMGtmpが算出される。すなわち、図13のSA31では、持出制限値WOUT に基づいてRMG70の出力トルクの上限値TRMGmaxp が算出される。すなわち、数式2および3からPRMG が求められ、これがRMG70の最大出力PRMGmaxp とされる。次いで、このPRMGmaxp とRMG70の回転速度NRMG から数式4を満足するTRMG が求められ、これがRMG70の最大出力トルクTRMGmaxp とされる。数式3において、EFMGはMG16の効率、EFCVT は無段変速機20の効率、EFRMG はRMG70の効率である。数式4において、PRMGloss (NRMG ,TRMG )はRMG70のパワー損失である。
【0044】
(数式2)
MG+PRMG =WOUT (数式3)
〔(PMG×EFMG+NE ×TEbase )×EFCVT 〕:(PRMG ×EFRMG
=(1−Ktr):Ktr(数式4)
RMG ×TRMG +PRMGloss (NRMG ,TRMG )=PRMGmaxp 【0045】SA32では、受入制限値WINに基づいてRMG70の出力トルクの下限値TRMGminp が算出される。すなわち、数式5および6からPRMG が求められ、これがRMG70の最小出力PRMGminp とされる。次いで、このPRMGminp とRMG70の回転速度NRMG から数式7を満足するTRMG が求められ、これがRMG70の最小出力トルクTRMGminp とされる。
【0046】
(数式5)
MG+PRMG =WIN(数式6)
〔(PMG×EFMG+NE ×TEbase )×EFCVT 〕:(PRMG ×EFRMG
=(1−Ktr):Ktr(数式7)
RMG ×TRMG +PRMGloss (NRMG ,TRMG )=PRMGminp 【0047】続いて、前記第2電動機作動制御手段132に対応するSA33では、RMG70の出力トルク基本値TRMGbase を、数式8から算出する。この出力トルク基本値TRMGbase は、RMG70から出力される基本トルクであり、原則的にはこの値が出力されるようにRMG70が駆動されるが、実際には、後述の上下限ガード処理後の値が出力されるようにRMG70が駆動される。数式8において、GRRは副駆動装置12(減速装置72)の減速比である。
【0048】
(数式8)TRMGbase =Tdrv ×Ktr/GRR【0049】そして、前記第2電動機作動制限手段136に対応するSA34では、上記出力トルク基本値TRMGbase に対して、蓄電装置112に由来する制限およびRMG70の温度に由来する制限を行うための、上記TRMGmaxp およびTRMGminp 、前記TRMGmaxおよびTRMGminによる上下限ガード処理が数式9および数式10に従って実行され、上下限ガード処理後の値がRMG70の出力トルク仮決定値TRMGtmpとして決定される。
【0050】
(数式9)TRMGminp ≦TRMGbase ≦TRMGmaxp(数式10)TRMGmin≦TRMGbase ≦TRMGmax【0051】図11に戻って、SA4では、たとえば図14に示すフロントモータトルク仮決定ルーチンが実行されることにより、MG16の出力トルク仮決定値TMGtmpが算出される。すなわち、図14のSA41では、持出制限値WOUT に基づいてMG16の出力トルクの上限値TMGmax が算出される。すなわち、数式11から上記RMG70の出力トルク仮決定値TRMGtmpに基づいてRMG70の出力PRMG が算出され、そのRMG70の出力PRMG からMG16の最大出力PMG(=WOUT −PRMG )が算出され、数式12からそのMG16の最大出力PMG(=WOUT −PRMG )に基づいてMG16の最大出力トルクTMGが求められ、これがTMGmaxpとされる。また、RMG70の出力PRMG からMG16の最小出力PMG(=WIN−PRMG )が算出され、数式12からそのMG16の最小出力PMG(=WIN−PRMG )に基づいてMG16の最小出力トルクTMGが求められ、これがTMGminpとされる。数式12において、PMGloss(NMG,TMG)はMG16の損失である。
【0052】(数式11)PRMG =NRMG ×TRMGtmp+PRMGloss (NRMG ,TRMG
(数式12)NMG ×TMG+PMGloss(NMG,TMG)=PMG【0053】次いで、前記第1電動機作動制御手段130に対応するSA42では、MG16の出力トルク基本値TMGbaseを、数式13から運転者要求トルクTdrv およびRMG70の出力トルク仮決定値TRMGtmp、エンジン出力トルク基本値TEbaseに基づいて算出し、その出力トルク基本値TMGbaseがMG16から出力されるように指令する。数式13において、GRFは主駆動装置(遊星歯車装置18および無段変速機20)の減速比である。数式13では、運転者要求トルクTdrv からRMG70の出力トルク仮決定値TRMGtmpに減速比GRRを差し引いた値に基づいてMG16の出力トルク基本値TMGbaseが算出されているので、たとえばSA34においてRMG70の出力トルクが制限されたときは、その分だけMG16の出力トルク基本値TMGbaseが増加させられて、車両の合計駆動力或いは回生制動力が一定に保持されるようになっている。したがって、本実施例では、このSA42は、前記第1電動機作動増大手段138にも対応している。
【0054】(数式13)TMGbase=(Tdrv −TRMGtmp×GRR)/GRF−TEbase 【0055】続いて、前記第1電動機作動制限手段134に対応するSA43では、上記出力トルク基本値TMGbaseに対して、蓄電装置112に由来する制限およびMG16の温度に由来する制限を行うための、上記TMGmaxpおよびTMGminp、前記TMGmax およびTMGmin による上下限ガード処理が数式14および数式15に従って実行され、上下限ガード処理後の値がMG16の出力トルク仮決定値TMGtmp として決定される。
【0056】
(数式14)TMGminp≦TMGbase≦TMGmaxp(数式15)TMGmin ≦TMGbase≦TMGmax【0057】図11に戻って、SA5では、前輪(車軸)の仮トルクTftmpが数式16から算出され、後輪(車軸)の仮トルクTrtmpが数式17から算出される。
【0058】(数式16)Tftmp=(TMG+TEbase )×(NIN/NOUT )×EFCVT ×GRF(数式17)Trtmp=TRMGtmp×GRR【0059】次に、SA6において、上記後輪の仮トルク|Trtmp|が、前輪の仮トルクTftmpと後輪の仮トルクTrtmpとの合計値|Tftmp+Trtmp|に後輪トルク分配比Ktrを掛けた値以下であるか否か、すなわち、合計値|Tftmp+Trtmp|に対する後輪の仮トルク|Trtmp|の割合(|Trtmp|/|Tftmp+Trtmp|)が後輪トルク分配比Ktr以下であるか否かが判断される。このSA6の判断が肯定される場合は、SA7において、上記後輪の仮トルクTRMGtmpがRMG70の出力トルクTRMG として決定される。
【0060】しかし、上記SA6の判断が否定される場合は、SA8において、RMG70の出力トルクが再計算された後、上記SA7が実行される。このSA8では、たとえば図15に示すリヤモータ出力トルク再計算ルーチンが実行される。図15のSA81では、数式18から前輪仮トルクTftmpと前輪トルク配分比(1−Ktr)および後輪トルク配分比Ktrの割合〔Ktr/(1−Ktr)〕とに基づいて後輪のトルクTrtmpが算出され、SA82では、数式19からその後輪のトルクTrtmpと副駆動装置12の減速比GRRとに基づいてRMG70の仮出力トルク値TRMGtmpが算出される。ここで、たとえば、前記SA43によりMR16の出力トルクが制限されたために、前輪の仮トルクTftmpと後輪の仮トルクTrtmpとの合計値|Tftmp+Trtmp|に対する後輪の仮トルク|Trtmp|の割合(|Trtmp|/|Tftmp+Trtmp|)が後輪トルク分配比Ktrを上まわった場合には、上記数式18によって、前輪仮トルクTftmpおよび後輪仮トルクTrtmpの分配比(Trtmp/Tftmp)が予め定められた目標分配比である前輪トルク配分比(1−Ktr)および後輪トルク配分比Ktrの分配比〔Ktr/(1−Ktr)〕となるように、すなわち実際の前後輪の駆動力配分比或いは回生制動力配分比が目標分配比〔Ktr/(1−Ktr)〕となるように後輪仮トルクTrtmpが上記MG16の出力トルクの制限量に対応して低減されるので、上記SA8は前記第2電動機作動低減手段140に対応している。
【0061】(数式18)Trtmp=Tftmp×〔Ktr/(1−Ktr)〕
(数式19)TRMGtmp=Trtmp×GRR【0062】上述のように、本実施例によれば、MG16(第1電動機)とRMG70(第2電動機)との熱定格の相互関係が特定の状態とされるため、前後輪駆動車両がその駆動力バランスを考慮したものとされることができ、走行安定性が保持されることができる。
【0063】また、本実施例によれば、MG16(第1電動機)の熱定格がRMG70(第2電動機)の熱定格よりも高くされたものであることから、後輪80、82を駆動するRMG70の熱定格が前輪66、68を駆動するMG16の熱定格よりも低く、後輪側のRMG70の出力が先に制限されるが、後輪80、82であるために比較的車両の安定性が保持される利点がある。
【0064】また、本実施例によれば、第2電動機作動制限手段136(SA34)によるRMG70の作動制限時(駆動作動制限時或いは回生作動制限時)において、第1電動機作動増大手段138(SA42)によりMG16の作動(駆動作動或いは回生作動)が増大させられるため、比較的車両の安定性を保ちつつ、車両の全駆動力或いは回生制動力が確保される。たとえば、RMG70の出力制限時においては運転者要求トルクTdrv に対応する車両の全駆動力を変化させないようにMG16の出力が増大させられ、RMG70の回生制限時においては車両の全回生制動トルクを変化させないようにMG16の回生が増大させられることにより、車両の安定性が保持されつつ、車両の全駆動力或いは回生制動力が確保される。
【0065】また、本実施例によれば、第1電動機作動制限手段134(SA43) によるMG16の作動制限時において、第2電動機出力低減手段140(SA8)により前後輪の分配比を目標分配比とするためにすなわち後輪80、82のトルク分配比をKtrとするためにRMG70の作動が低減させられるため、車両の安定性が確保される。たとえば、MG16の出力制限時においては前後輪のトルク分担比すなわち後輪トルク分担比Ktrが維持されるように、またはそれよりも前輪駆動(FF)となるようにRMG70の出力が低減させられ、また、MG16の回生制限時においても同様にRMG70の回生が低減させられることにより、車両の安定性が保持されつつ、車両の全駆動力或いは回生制動力が確保される。
【0066】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は他の態様においても適用される。
【0067】たとえば、前述の実施例の4輪駆動車両では、空気および燃料の混合気が燃焼させられることにより作動させられる内燃機関であるエンジン14と、電気モータおよび発電機として選択的に機能するモータジェネレータ(以下、MGという)16と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置18と、変速比が連続的に変化させられる無段変速機20とを同心に備えた主駆動装置10により主駆動輪である前輪66、68が駆動されていたが、専らモータ(電動機)、或いは専らMG16により前輪66、68が駆動される4輪駆動車両であってもよい。
【0068】また、前述の実施例の車両では、前輪66、68が主駆動装置10により駆動され、後輪80、82が副駆動装置12により駆動される4輪駆動車両であったが、逆に、前輪66、68が副駆動装置12により駆動され、後輪80、82が主駆動装置10により駆動される4輪駆動車両であってもよい。
【0069】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年10月8日(1999.10.8)
【代理人】 【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
【公開番号】 特開2001−112114(P2001−112114A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−287932