| 【発明の名称】 |
前後輪駆動車両および車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】上地 健介
【氏名】大庭 秀洋
【氏名】星屋 一美
【氏名】遠藤 弘淳
【氏名】森沢 邦夫
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| 【要約】 |
【課題】トルク増幅状態でエンジンにより駆動されるモータジェネレータの回生により発生した発電エネルギが有効に利用されて燃費が向上する前後輪駆動車両の制御装置を提供する。
【解決手段】トルク増幅状態判定手段130により遊星歯車装置18によるエンジン14(第1原動機)のトルク増幅状態であると判定された場合には、エネルギ供給制御手段132により、エンジン10から発生させられ且つMG16により変換された電気エネルギがRMG70(第2原動機)に供給されてそのRMG70が作動させられるので、エンジン14から発生させられたエネルギが駆動力として有効に利用され、車両の燃費が向上する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前輪および後輪の一方が、遊星歯車装置により出力トルクが増幅されて伝達され得る第1原動機を駆動源とし、他方が第2原動機を駆動源とする形式の前後輪駆動車両の制御装置であって、前記第1原動機のトルク増幅状態か否かを判定するトルク増幅状態判定手段と、該トルク増幅状態判定手段により前記第1原動機のトルク増幅状態であると判定された場合には、前記第1原動機から発生させられるエネルギを前記第2原動機に供給して該第2原動機を作動させるエネルギ供給制御手段とを、含むことを特徴とする前後輪駆動車両の制御装置。 【請求項2】 前記第2原動機は電動機であり、前記第1原動機から発生させられるエネルギは該第1原動機により回転駆動される発電機から出力される電気エネルギであり、前記前後輪駆動車両にはその電気エネルギを蓄えるための蓄電装置が設けられており、前記エネルギ供給制御手段は、該蓄電装置の蓄電可能である場合には前記発電機から出力された電気エネルギを該蓄電装置に供給し、該蓄電装置の蓄電不能である場合には該発電機から出力された電気エネルギを前記第2原動機へ供給するものである請求項1の前後輪駆動車両の制御装置。 【請求項3】 遊星歯車装置により出力トルクが増幅されて伝達され得る第1原動機と、第2原動機とを駆動源とする形式の車両の制御装置であって、車両の走行状態或いは該車両が走行する路面状態に関連して前記第1原動機の回転速度を増大させる第1原動機出力トルク増大手段を含むことを特徴とする車両の制御装置。 【請求項4】 遊星歯車装置により出力トルクが増幅されて伝達され得る第1原動機と、第2原動機とを駆動源とする形式の車両の制御装置であって、前記出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時において、前記第2原動機を作動させる第2原動機作動制御手段を含むことを特徴とする車両の制御装置。 【請求項5】 前記遊星歯車装置を構成する3つの回転要素のうちの第1回転要素に前記第1原動機が連結され、第2回転要素にモータジェネレータが連結され、第3回転要素に変速機が連結されており、該モータジェネレータが反力を受けることにより該第1原動機の出力トルクを増幅して後段へ伝達するトルク増幅モードから、前記3つの回転要素が一体的に回転させられる直結状態の遊星歯車装置を介して該第1原動機の出力トルクが前記変速機に伝達される直結モードへ切り換えられるときに、前記第2原動機作動制御手段が前記第2原動機を作動させるものである請求項4の車両の制御装置。 【請求項6】 内燃機関およびモータジェネレータと、該内燃機関およびモータジェネレータの出力を合成して変速機へ伝達する遊星歯車装置とを備え、該内燃機関の出力トルクが遊星歯車装置により増幅されて伝達され得る形式の車両の制御装置であって、前記出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時において、その切換に伴う前記モータジェネレータの回転変化が緩やかに行われるように前記モータジェネレータを一時的に作動させるモータジェネレータ作動制御手段を含むことを特徴とする車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、前輪および後輪をそれぞれ駆動するために遊星歯車装置により出力トルクが増幅されて伝達され得る第1原動機および第2原動機を有する前後輪駆動車両、或いは内燃機関およびモータジェネレータの出力を合成して変速機へ伝達する遊星歯車装置とを備えたハイブリッド車両において、その第1原動機或いは第2原動機を制御する制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】遊星歯車装置のサンギヤとリングギヤとそれらサンギヤおよびリングギヤに常時かみ合うピニオンを自転可能且つ公転可能に支持するキャリヤとの3つの回転要素のうちの第1の回転要素にエンジン(原動機)を連結し、第2の回転要素にモータジェネレータを連結し、第3の回転要素に変速機を連結し、そのエンジンを駆動状態としつつモータジェネレータを回生状態すなわち反力発生状態とすることにより、エンジンの出力トルクを増幅させた状態すなわちトルク増幅モードで変速機へ伝達させる形式の動力合成分配装置すなわち所謂電気トルコン装置を備えた車両が知られている。たとえば、特開平9−193676号公報に記載された車両がそれである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の車両が記載された公報には、上記のような遊星歯車式の動力合成分配装置を有する駆動ユニットを前輪系および後輪系の一方を駆動するために用い、他方を別の原動機を用いて駆動する前後輪駆動車両、或いは上記遊星歯車式の動力合成分配装置を有するハイブリッド車両としての種々の改良の余地があった。たとえば、前記遊星歯車式の動力合成分配装置がトルク増幅モードで作動させられるとき、モータジェネレータの回生により発生した発電エネルギは蓄電装置内に蓄電されることが考えられるが、その蓄電装置の蓄電が制限される場合には、発電エネルギが有効に利用されないで熱放散などによって無駄に消費されるというおそれがあった。また、上記トルク増幅モードから他のモードへ切り換えられる場合において、切換ショックや一時的なトルク不足が発生するというおそれがあった。 【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、遊星歯車式の動力合成分配装置を有する駆動ユニットを前後輪の一方の駆動のために用いた前後輪駆動車両、或いは動力合成分配装置を有するハイブリッド車両の不都合を解消することにある。たとえば、遊星歯車式の動力合成分配装置がトルク増幅モードで作動させられるとき、モータジェネレータの回生により発生した発電エネルギが有効に利用されて燃費が向上する前後輪駆動車両の制御装置を提供することにある。或いは、遊星歯車式の動力合成分配装置がトルク増幅モードから他のモードへ切り換えられる場合において、切換ショックや一時的なトルク不足が発生することが抑制される前後輪駆動車両或いはハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための第1の手段】かかる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、前輪および後輪の一方が、遊星歯車装置により出力トルクが増幅されて伝達され得る第1原動機を駆動源とし、他方が第2原動機を駆動源とする形式の前後輪駆動車両の制御装置であって、(a) 前記第1原動機のトルク増幅状態か否かを判定するトルク増幅状態判定手段と、(b) そのトルク増幅状態判定手段により前記第1原動機のトルク増幅状態であると判定された場合には、前記第1原動機から発生させられるエネルギを前記第2原動機に供給して該第2原動機を作動させるエネルギ供給制御手段とを、含むことにある。 【0006】 【第1発明の効果】このようにすれば、トルク増幅状態判定手段により前記第1原動機のトルク増幅状態であると判定された場合には、エネルギ供給制御手段により、前記第1原動機から発生させられるエネルギが第2原動機に供給されてその第2原動機が作動させられるので、第1原動機から発生させられたエネルギが駆動力として有効に利用され、車両の燃費が向上する。 【0007】 【第1発明の他の態様】ここで、好適には、前記第1原動機は混合気の着火により作動させられる内燃機関であり、前記第2原動機は電気エネルギの供給により作動させられる電動機であり、上記第1原動機から発生させられるエネルギはその第1原動機により回転駆動される発電機から出力される電気エネルギであり、前記前後輪駆動車両にはその電気エネルギを蓄えるための蓄電装置が設けられており、前記エネルギ供給制御手段は、その蓄電装置の蓄電可能である場合には前記発電機から出力された電気エネルギをその蓄電装置に供給し、その蓄電装置の蓄電不能である場合には発電機から出力された電気エネルギを前記第2原動機へ供給するものである。このようにすれば、たとえ蓄電装置の蓄電が制限される場合でも、第1原動機から発生させられた電気エネルギが第2原動機へ供給されて車両の駆動力として有効に利用されるので、車両の燃費が向上する。 【0008】また、好適には、前記蓄電装置の充電或いは放電に用いることが可能な実際の電力見込み値である電力見込値を算出する電力見込値算出手段と、その蓄電装置の温度に基づいてその蓄電装置が受入れ可能な電気エネルギである受入れ量制限値を算出する受入れ量制限値算出手段と、前記第1原動機により回転駆動される発電機から出力される電気エネルギがその受入れ量制限値を上まわったか否かを判定する受け入れ量超過判定手段とを含み、その受け入れ量超過判定手段により受入れ量制限値を上まわったと判定された場合には、前記エネルギ供給制御手段は、発電機から出力された電気エネルギを前記第2原動機へ供給するものである。このようにすれば、蓄電装置の受入れ量がその受入れ量制限値を上まわったときに、第1原動機から発生させられた電気エネルギが第2原動機へ供給されて車両の駆動力として有効に利用されるので、車両の駆動力を確保することができ、且つ車両の燃費が向上する。 【0009】また、好適には、前記車両の走行状態或いはその車両が走行する路面状態などに関連してたとえば車速が得られないことに基づいて車両の駆動力不足を判定する駆動力不足判定手段と、その駆動力不足判定手段により駆動力不足が判定された場合には、前記第1原動機の回転速度を増大させる第1原動機出力トルク増大手段とをさらに含むものである。たとえば、最良燃費率曲線近傍の低回転の運転点をそのトルクに略維持しつつ高回転側に移動させてエンジン出力をアップさせる。通常、高車速走行、加速走行、登坂走行におけるトルク増幅モードすなわちETCモードでは、車速増加に伴って第1原動機により駆動される発電機(モータジェネレータ)の発電量が減少するが、上記のようにすれば、第1原動機により発生させられるエネルギが確保されて第2原動機による駆動力も得られるので、十分に駆動力のある走行性が得られる。 【0010】また、好適には、前記エネルギ供給制御手段が第1原動機により回転駆動される発電機から出力された電気エネルギを前記第2原動機へ供給する場合には、総駆動力すなわちドライバ要求トルクを維持するために、その第2原動機による駆動力増加に応じてその第1原動機の出力トルクを減少させる第1原動機出力トルク低減手段をさらに含むものである。このようにすれば、アクセルペダルの踏込量を減少操作すなわち戻し操作しなくても、上記第2原動機への電気エネルギの供給に関連した車両の駆動力増加が好適に抑制される。 【0011】また、好適には、上記第1原動機出力トルク低減手段は、アクセルペダル操作量および車速に基づいて決定される運転者要求トルクと車両の前輪および後輪の荷重分配比とに基づいて第1原動機出力トルクを算出し、第1原動機の出力トルクがその算出された第1原動機出力トルクとなるように出力トルクを減少させる。このようにすれば、総駆動力が運転者要求トルクに維持される。 【0012】 【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、遊星歯車装置により出力トルクが増幅されて伝達され得る第1原動機と、第2原動機とを駆動源とする形式の車両の制御装置であって、車両の走行状態或いはその車両が走行する路面状態に関連して前記第1原動機の回転速度を増大させる第1原動機出力トルク増大手段を含むものことにある。 【0013】 【第2発明の効果】このようにすれば、第1原動機出力トルク増大手段により、車両の走行状態或いはその車両が走行する路面状態に関連して前記第1原動機の回転速度が増大させられることから、第1原動機により発生させられるエネルギが確保されて第2原動機による駆動力も得られるので、車両の走行状態或いはその車両が走行する路面状態に関連して十分に駆動力のある走行性が得られる。 【0014】 【第2発明の他の態様】ここで、好適には、上記車両の走行状態或いはその車両が走行する路面状態などに関連してたとえば車速が得られないことに基づいて車両の駆動力不足を判定する駆動力不足判定手段がさらに含まれ、上記第1原動機出力トルク増大手段は、その駆動力不足判定手段により駆動力不足が判定された場合には、前記第1原動機の回転速度を増大させるものである。たとえば、最良燃費率曲線近傍の低回転の運転点をそのトルクに略維持しつつ高回転側に移動させてエンジン出力をアップさせる。通常、高車速走行、加速走行、登坂走行におけるトルク増幅モードすなわちETCモードでは、車速増加に伴って第1原動機により駆動される発電機(モータジェネレータ)の発電量が減少するが、上記のようにすれば、第1原動機により発生させられるエネルギが確保されて第2原動機による駆動力も得られるので、十分に駆動力のある走行性が得られる。 【0015】 【課題を解決するための第3の手段】また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、遊星歯車装置により出力トルクが増幅されて伝達され得る第1原動機と第2原動機とを駆動源とする形式の車両の制御装置であって、上記第1原動機の出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時において、第2原動機を作動させる第2原動機作動制御手段を含むことにある。 【0016】 【第3発明の効果】このようにすれば、第1原動機の出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時においては、第2原動機が作動させられることによりその切換に関連して発生する切換ショックや一時的なトルク不足が抑制される。 【0017】 【第3発明の他の態様】ここで、好適には、上記車両は、前輪および後輪の一方が、遊星歯車装置により出力トルクが増幅されて伝達され得る第1原動機を駆動源とし、他方が第2原動機を駆動源とする形式の前後輪駆動車両である。このようにすれば、前後輪駆動車両において、前輪および後輪の一方を駆動する第1原動機の出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時においては、他方の車輪を駆動する第2原動機が作動させられることによりその切換に関連して発生する切換ショックや一時的なトルク不足が抑制される。 【0018】また、好適には、前記遊星歯車装置を構成する3つの回転要素のうちの第1回転要素に前記第1原動機が連結され、第2回転要素にモータジェネレータが連結され、第3回転要素に変速機が連結されており、そのモータジェネレータが反力を発生させることにより第1原動機の出力トルクを増幅して後段へ伝達するトルク増幅モードから、上記3回転要素が一体的に回転させられる直結状態の遊星歯車装置を介して該第1原動機の出力トルクが前記変速機に伝達される直結モードへ切り換えられるときに、前記第2原動機作動制御手段が切換ショックや一時的なトルク不足を生じないように前記第2原動機を作動させるものである。このようにすれば、トルク増幅モードから直結モードへ切り換えられるときの切換ショックや一時的なトルク不足が好適に防止される。 【0019】また、好適には、前記車両は、内燃機関およびモータジェネレータと、それらの内燃機関およびモータジェネレータの出力を合成して変速機へ伝達する遊星歯車装置とを備え、その内燃機関の出力トルクが遊星歯車装置により増幅されて伝達され得るハイブリッド車両であり、その出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時において、その切換に伴う前記モータジェネレータの回転変化を緩やかに行うように前記モータジェネレータを一時的に作動させるモータジェネレータ作動制御手段をさらに含むものである。このようにすれば、上記出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時において、モータジェネレータの急速な回転変化に伴って発生するショックなどが好適に防止される。 【0020】 【課題を解決するための第4の手段】また、前記課題を解決するための第4発明の要旨とするところは、内燃機関およびモータジェネレータと、それら内燃機関およびモータジェネレータの出力を合成して変速機へ伝達する遊星歯車装置とを備え、その内燃機関の出力トルクが遊星歯車装置により増幅されて伝達され得る形式の車両の制御装置であって、前記出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時において、その切換に伴う前記モータジェネレータの回転変化を緩やかに行われるように前記モータジェネレータを一時的に作動させるモータジェネレータ作動制御手段を含むことにある。 【0021】 【第4発明の効果】このようにすれば、内燃機関の出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時においては、モータジェネレータ作動制御手段により、モータジェネレータの回転変化を緩やかに行われるようにそのモータジェネレータが一時的に作動されるので、モータジェネレータの急速な回転変化に伴って発生するショックなどが好適に防止される。 【0022】 【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。 【0023】図1は、本発明が適用された4輪駆動車両すなわち前後輪駆動車両の動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。この前後輪駆動車両は、前輪系を第1原動機を備えた第1駆動装置すなわち主駆動装置10にて駆動し、後輪系を第2原動機を備えた第2駆動装置すなわち副駆動装置12にて駆動する形式の車両である。 【0024】上記主駆動装置10は、空気および燃料の混合気が燃焼させられることにより作動させられる内燃機関であるエンジン14と、電気モータおよび発電機として選択的に機能するモータジェネレータ(以下、MGという)16と、ダブルピニオン型の遊星歯車装置18と、変速比が連続的に変化させられる無段変速機20とを同心に備えている。上記エンジン14は第1原動機すなわち主原動機として機能している。上記エンジン14は、その吸気配管の吸入空気量を制御するスロットル弁の開度θTHを変化させるためにそのスロットル弁を駆動するスロットルアクチュエータ21を備えている。 【0025】上記遊星歯車装置18は、機械的に力を合成し或いは分配する合成分配機構であって、共通の軸心まわりに独立して回転可能に設けられた3つの回転要素、すなわち上記エンジン14にダンパ装置22を介して連結されたサンギヤ24と、第1クラッチC1を介して無段変速機20の入力軸26に連結され且つ上記MG16の出力軸が連結されたキャリヤ28と、第2クラッチC2を介して無段変速機20の入力軸26に連結され且つブレーキB1を介して非回転部材たとえばハウジング30に連結されるリングギヤ32とを備えている。上記キャリヤ28は、サンギヤ24およびリングギヤ32とかみ合い且つ相互にかみ合う1対のピニオン(遊星歯車)34および36を、それらの自転可能に支持している。上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、ブレーキB1は、いずれも互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータによって押圧されることにより係合させられたり、その押圧解除により解放されたりする油圧式摩擦係合装置である。 【0026】上記遊星歯車装置18とそのキャリヤ28に連結されたMG16は、エンジン14の作動状態すなわちサンギヤ24の回転状態においてMG16の発電量を制御することすなわちMG16の回転駆動トルクである反力が逐次大きくなるようにキャリヤ28に発生させられることにより、リングギヤ32の回転数を滑らかに増加させて車両の滑らかな発進加速を可能とする電気トルコン(ETC)装置を構成している。このとき、遊星歯車装置18のギヤ比ρ(サンギヤ24の歯数/リングギヤ32の歯数)がたとえば一般的な値である0.5とすると、リングギヤ32のトルク:キャリヤ28のトルク:サンギヤ24のトルク=1/ρ:(1−ρ)/ρ:1の関係から、エンジン14のトルクが1/ρ倍たとえば2倍に増幅されて無段変速機20へ伝達されるので、トルク増幅モードと称される。 【0027】また、上記無段変速機20は、入力軸26および出力軸38にそれぞれ設けられた有効径が可変の1対の可変プーリ40および42と、それら1対の可変プーリ40および42に巻き掛けられた無端環状の伝動ベルト44とを備えている。それら1対の可変プーリ40および42は、入力軸26および出力軸38にそれぞれ固定された固定回転体46および48と、その固定回転体46および48との間にV溝を形成するように入力軸26および出力軸38に対して軸心方向に移動可能且つ軸心まわりに相対回転不能に取付られた可動回転体50および52と、それら可動回転体50および52に推力を付与して可変プーリ40および42の掛かり径すなわち有効径を変化させることにより変速比γ(=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を変更する1対の油圧シリンダ54および56とを備えている。 【0028】上記無段変速機20の出力軸38から出力されたトルクは、減速装置58、差動歯車装置60、および1対の車軸62、64を介して1対の前輪66、68へ伝達されるようになっている。なお、本実施例では、前輪66、68の舵角を変更する操舵装置が省略されている。 【0029】前記副駆動装置12は、第2原動機すなわち副原動機として機能するリヤモータジェネレータ(以下、RMGという)70を備え、そのRMG70から出力されたトルクは、減速装置72、差動歯車装置74、および1対の車軸76、78を介して1対の後輪80、82へ伝達されるようになっている。 【0030】図2は、前記主駆動装置10の遊星歯車装置18を種々の作動モードに切り換えるための油圧制御回路の構成を簡単に示す図である。運転者によりP、R、N、D、Bの各レンジ位置へ操作されるシフトレバー90に機械的に連結されたマニアル弁92は、シャトル弁93を利用しつつ、シフトレバー90の操作に応答して、Dレンジ、Bレンジ、Rレンジにおいて第1クラッチC1の係合圧を調圧する第1調圧弁94へ図示しないオイルポンプから出力された元圧を供給し、Dレンジ、BレンジにおいてクラッチC2の係合圧を調圧する第2調圧弁95へ元圧を供給し、Nレンジ、Pレンジ、RレンジにおいてブレーキB1の係合圧を調圧する第3調圧弁96へ元圧を供給する。上記第2調圧弁95、第3調圧弁96は、ハイブリッド制御装置104によって駆動されるリニヤソレイド弁97からの出力信号に従って第2クラッチC2およびブレーキB1の係合圧を制御し、第1調圧弁94は、ハイブリッド制御装置104によってデューティー駆動される三方弁である電磁開閉弁98からの出力信号に従って第1クラッチC1の係合圧を制御する。 【0031】図3は、本実施例の前後輪駆動車両に設けられた制御装置の構成を説明する図である。エンジン制御装置100、変速制御装置102、ハイブリッド制御装置104、蓄電制御装置106、ブレーキ制御装置108は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、種々の制御を実行する。また、上記の制御装置は、相互に通信可能に接続されており、所定の制御装置から必要な信号が要求されると、他の制御装置からその所定の制御装置へ適宜送信されるようになっている。 【0032】エンジン制御装置100は、エンジン14のエンジン制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御のために図示しない燃料噴射弁を制御し、点火時期制御のために図示しないイグナイタを制御し、トラクション制御ではスリップ中の前輪66、68が路面をグリップするようにエンジン14の出力を一時的に低下させるためにスロットルアクチュエータ21を制御する。 【0033】上記変速制御装置102は、たとえば、無段変速機20の伝動ベルト44の張力が必要かつ十分な値となるように予め設定された関係から、実際の変速比γおよび伝達トルクすなわちエンジン14およびMG16の出力トルクに基づいて、ベルト張力圧を調圧する調圧弁を制御し、伝動ベルト44の張力を最適な値とするとともに、エンジン14が最小燃費率曲線或いは最適曲線に沿って作動するように予め記憶された関係から、実際の車速Vおよびエンジン負荷たとえばスロットル開度θとして表現されるスロットル弁開度θTH或いはアクセルペダル操作量ACCに基づいて目標変速比γm を決定し、実際の変速比γがその目標変速比γmと一致するように無段変速機20の変速比γを制御する。 【0034】また、上記エンジン制御装置100および変速制御装置102は、たとえば図4に示す最良燃費運転線に沿ってエンジン14の作動点すなわち運転点が移動するように、たとえば上記スロットルアクチュエータ21や燃料噴射量を制御するとともに無段変速機20の変速比γを変更する。また、ハイブリッド制御装置104からの指令に応じて、上記エンジン14の出力トルクTE または回転数NEを変更するために上記スロットルアクチュエータ21や変速比γを変更し、エンジン14の運転点を移動させる。 【0035】上記ハイブリッド制御装置104は、電池などから成る蓄電装置112からMG16に供給される駆動電流或いはそのMG16から蓄電装置112へ出力される発電電流を制御するインバータ114を制御するための第1MG制御装置116と、蓄電装置112からRMG70に供給される駆動電流或いはそのRMG70から蓄電装置112へ出力される発電電流を制御するインバータ118を制御するための第2MG制御装置120とを含み、シフトレバー90の操作位置PSH、スロットル(アクセル)開度θ(アクセルペダル122の操作量ACC)、車速V、蓄電装置112の蓄電量SOCに基づいて、たとえば図5に示す複数の運転モードのうちからいずれか1つの選択を行うとともに、スロットル開度θ、ブレーキペダル124の操作量BF に基づいて、MG16或いはRMG70の発電に必要なトルクにより制動力を発生させるトルク回生制動モード、或いはエンジン14の回転抵抗トルクにより制動力を発生させるエンジンブレーキモードを選択する。 【0036】シフトレバー90がBレンジ或いはDレンジへ操作された場合、たとえば比較的低負荷の発進或いは定速走行ではモータ走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられ且つ第2クラッチC2およびブレーキB1が共に解放されることにより、専らMG16により車両が駆動される。なお、このモータ走行モードにおいて、蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値を下回った不足状態となった場合や、駆動力をさらに必要とするためにエンジン14を始動させる場合には、上記ETCモード或いは直結モードへ切り換えられて、それまでの走行を維持しながらMG16或いはRMG70が駆動され、そのMG16或いはRMG70により蓄電装置112が充電される。 【0037】また、比較的中負荷走行または高負荷走行では直結モードが選択され、第1クラッチC1および第2クラッチC2が共に係合させられ且つブレーキB1が解放されることにより遊星歯車装置18が一体的に回転させられ、専らエンジン14によりまたはそのエンジン14およびMG16により車両が駆動されたり、或いは専らエンジン14により車両が駆動されると同時にMG16により蓄電装置112の充電が行われる。この直結モードでは、サンギヤ24の回転数即ちエンジン回転数NE (rpm )とキャリヤ部材28の回転数すなわちMG16の回転数NMG(rpm )とリングギヤ32の回転数即ち無段変速機20の入力軸26の回転速度NIN(rpm )とは同じ値であるから、二次元平面内において3本の回転数軸(縦軸)すなわちサンギヤ回転数軸S、リングギヤ回転数R、およびキャリヤ回転数軸Cと変速比軸(横軸)とから描かれる図6の共線図では、たとえば1点鎖線に示されるものとなる。なお、図6において、上記サンギヤ回転数軸Sとキャリヤ回転数軸Cとの間隔は1に対応し、リングギヤ回転数Rとキャリヤ回転数軸Cとの間隔はダブルピニオン型遊星歯車装置18のギヤ比ρに対応している。 【0038】また、たとえば発進加速走行では、ETCモードすなわちトルク増幅モードが選択され、第2クラッチC2が係合させられ且つ第1クラッチC1およびブレーキB1が共に解放された状態でMG16の発電量(回生量)すなわちそのMG16の反力(MG16を回転させる駆動トルク)が徐々に増加させられることにより、エンジン14が所定の回転数に維持された状態で車両が滑らかに零発進させられる。このようにエンジン14によって車両およびMG16が駆動される場合には、エンジン14のトルクが1/ρ倍たとえばρ=0.5とすると2倍に増幅されて無段変速機20へ伝達される。すなわち、MG16の回転数NMGが図6のA点(負の回転速度すなわち発電状態)である場合には、無段変速機20の入力軸回転数NINは零であるため車両は停止しているが、図6の破線に示すように、そのMG16の発電量が増加させられてその回転数NMGがその正側のB点へ変化させられることにともなって無段変速機20の入力軸回転数NINが増加させられて、車両が発進させられるのである。 【0039】シフトレバー90がNレンジ或いはPレンジへ操作された場合、基本的にはニュートラルモード1または2が選択され、第1クラッチC1、第2クラッチC2、およびブレーキB1が共に解放され、遊星歯車装置18において動力伝達経路が解放される。この状態において、蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値を下回った不足状態となった場合などにおいては、充電・エンジン始動モードとされ、ブレーキB1が係合させられた状態で、MG16によりエンジン14が始動させられる。シフトレバー90がRレンジへ操作された場合、たとえば軽負荷後進走行ではモータ走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられるとともに第2クラッチC2およびブレーキB1が共に解放されることにより、専らMG16により車両が後進走行させられる。しかし、たとえば中負荷或いは高負荷後進走行ではフリクション走行モードが選択され、第1クラッチC1が係合させられ且つ第2クラッチC2が解放されるとともに、ブレーキB1がスリップ係合させられる。これにより、車両を後進させる駆動力としてMG16の出力トルクにエンジン14の出力トルクが加えられる。 【0040】また、前記ハイブリッド制御装置104は、前輪66、68の駆動力に従った車両の発進時或いは急加速時において、車両の駆動力を一時的に高めるために、所定の駆動力配分比に従ってRMG70を作動させ、後輪80、82からも駆動力を発生させる高μ路アシスト制御や、凍結路、圧雪路のような低摩擦係数路(低μ路)における発進走行時において、車両の発進能力を高めるために、RMG70により後輪80、82を駆動すると同時に、たとえば無段変速機20の変速比γを低くさせて前輪66、68の駆動力を低下させる低μ路アシスト制御を実行する。 【0041】蓄電制御装置106は、電池、コンデンサなどの蓄電装置112の蓄電量SOCが予め設定された下限値SOCD を下回った場合には、MG16或いはRMG70により発電された電気エネルギで蓄電装置112を充電あるいは蓄電するが、蓄電量SOCが予め設定された上限値SOCU を上まわった場合には、そのMG16或いはRMG70からの電気エネルギで充電することを禁止する。また、上記蓄電に際して、蓄電装置112の温度TB の関数である電力或いは電気エネルギの受入制限値WINと持出制限値WOUT との間の範囲を、実際のバッテリ電力見込値Pb 〔=発電電力PMG+消費電力PRMG (負)〕が越えた場合には、その受入れ或いは持ち出しを禁止する。 【0042】ブレーキ制御装置108は、たとえばTRC制御、ABS制御、VSC制御などを実行し、低μ路などにおける発進走行時、制動時、旋回時の車両の安定性を高めたり或いは牽引力を高めるために、油圧ブレーキ制御回路を介して各車輪66、68、80、82に設けられたホイールブレーキ66WB、68WB、80WB、82WBを制御する。たとえば、TRC制御では、各車輪に設けられた回転センサからの信号に基づいて、車輪車速(車輪回転速度に基づいて換算される車体速度)たとえば右前輪車輪車速VFR、左前輪車輪車速VFL、右後輪車輪車速VRR、左後輪車輪車速VRL、前輪車速〔=(VFR+VFL)/2〕、後輪車速〔=(VRR+VRL)/2〕、および車体車速(VFR、VFL、VRR、VRLのうちの最も遅い速度)を算出する一方で、たとえば主駆動輪である前輪車速と非駆動輪である後輪車速との差であるスリップ速度ΔVが予め設定された制御開始判断基準値ΔV1 を越えると、前輪にスリップ判定をし、且つスリップ率RS 〔=(ΔV/VF )×100%〕が予め設定された目標スリップ率RS1内に入るようにMG16の出力トルクを低下させると同時にスロットルアクチュエータ21、ホイールブレーキ66WB、68WBなどを用いて前輪66、68の駆動力を低下させる。またABS制御では、制動操作時において、各車輪のスリップ率が所定の目標スリップ範囲内になるようにホイールブレーキ66WB、68WB、80WB、82WBを用いて前輪66、68、後輪80、82の制動力を維持し、車両の方向安定性を高める。また、VSC制御では、車両の旋回走行時において、図示しない舵角センサからの舵角、ヨーレートセンサからのヨーレート、2軸Gセンサからの前後左右加速度などに基づいて車両のオーバステア傾向或いはアンダーステア傾向を判定し、そのオーバーステア或いはアンダーステアを抑制するように、ホイールブレーキ66、68、80、82のいずれか、およびスロットルアクチュエータ21を制御する。 【0043】図7は、上記ハイブリッド制御装置104などの制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図7において、トルク増幅状態判定手段130は、第1原動機に対応するエンジン14の出力トルクが増幅されて無段変速機20へ伝達されている状態、すなわち前記ETCモードで車両が駆動されている状態か否かを、ハイブリッド制御装置104の信号に基づいて判定する。エネルギ供給制御手段132は、そのトルク増幅状態判定手段130によりエンジン14の出力トルクが増幅されて無段変速機20へ伝達されているトルク増幅状態であると判定された場合には、そのエンジン14から発生させられるエネルギを第2原動機に対応するRMG70へ供給してそのRMG70を作動させる。すなわち、エンジン14の出力エネルギの一部がそれにより駆動されるMG16により電気エネルギに変換され、その電気エネルギがRMG70に供給されて後輪80、82が駆動される。 【0044】上記エネルギ供給制御手段132は、蓄電装置112が蓄電可能状態である場合には上記MG16(発電機)から出力された電気エネルギをその蓄電装置112に供給するが、その蓄電装置112の蓄電が不能状態である場合にはMG16から出力された電気エネルギをRMG70へ供給するようになっている。すなわち、蓄電装置112の充電に用いることが可能な実際の電力見込み値であるバッテリ電力見込値Pb たとえばエンジン14により回転駆動されるMG16から出力される電力PMGからRMG70の消費電力PRMG を差し引いた値(PRMG <0とすると、PMG+PRMG )を逐次算出する電力見込値算出手段134と、蓄電装置112の温度TB に基づいてその蓄電装置112が受入れ可能な電気エネルギである受入れ量制限値WINを逐次算出する受入れ量制限値算出手段135と、上記バッテリ電力見込値Pb が上記受入れ量制限値WINを上まわったか否かを判定する受け入れ量超過判定手段136とが設けられており、その受け入れ量超過判定手段136により上記バッテリ電力見込値Pb が受入れ量制限値WINを上まわったと判定された場合において、上記エネルギ供給制御手段132は、MG16から出力された電気エネルギをRMG70へ供給するのである。 【0045】すなわち、上記エネルギ供給制御手段132は、エンジン14により回転駆動されるMG16から出力された電気エネルギを前記RMG70へ供給する場合には、そのときの総駆動力すなわちドライバ要求トルクTdrv を維持するために、そのRMG70による後輪80、82の駆動力増加に応じてエンジン14の出力トルクを減少させるものであり、そのための第1原動機出力トルク低減手段138を含むものである。この第1原動機出力トルク低減手段138は、たとえば、スロットル開度θ(アクセルペダル122の操作量ACC)および車速Vに基づいて決定される運転者要求トルクTdrv と車両の前後輪間の荷重分配比たとえばリヤ荷重分配比Ktrとに基づいてエンジン出力トルクTE を算出し、実際のエンジン14の出力トルクがその算出された出力トルクTE となるようにそれまでより出力トルクを減少させる。すなわち、たとえば2輪駆動状態では、エンジン14の出力トルクは専らドライバ要求トルクTdrv に相当する値(Tdrv ×ρ)であったが、4輪駆動状態が開始されると、(1−Ktr)ρ×Tdrv とされ、RMG70の出力トルク分すなわち荷重分配比分だけ減少させられるのである。 【0046】また、駆動力不足判定手段140は、車両の走行状態或いはその車両が走行する路面状態などに関連してたとえば車速V或いは加速αが得られないこと、たとえば予め定められたスロットル開度θに対応する基準車速V1 或いは基準加速α1 よりも実際値が低い場合は、車両の駆動力不足と判定する。第1原動機回転数増大手段142は、その駆動力不足判定手段140により駆動力不足が判定された場合には、エンジン14の回転速度NE を増大させ、たとえば図4の実線に示す最良燃費率曲線近傍の低回転の運転点を破線に示すようにそのトルクに略維持しつつ高回転側に移動させてエンジン出力をアップさせる。通常、トルク増幅モードすなわちETCモードでは、車速Vの増加に伴ってエンジン14により駆動されるMG16の発電量が減少するが、上記のようにエンジン回転数NE が増加させられられることによりMG16から出力される電気エネルギが確保されてRMG70による駆動力も維持される。 【0047】走行モード切換判定手段144は、車両の走行モードの切換、たとえば直結モードからETCモード(トルク増幅モード)への切換や、ETCモードから直結モードへの切換が行われることを、たとえばハイブリッド制御装置104の信号に基づいて判定する。第2原動機作動制御手段146は、走行モード切換判定手段144により走行モードの切換が判定された場合には、その走行モードの切換時において、その走行モードの切換に起因する遊星歯車装置18の回転要素の回転或いはトルク変動や車両の駆動力変化を抑制するようにRMG70を作動させる。たとえば、ETCモードから直結モードへの切換によりトルク増幅作用が無くなるとともにエンジン回転数NE が低下させられることから、そのETCモードから直結モードへの切換期間では、図8の下段の破線に示すように、よく知られた自動変速機(A/T)におけるダウンシフトのトルク相およびイナーシャ相と同様にして、駆動力は切換期間の開始当初は過渡的に低下させられた後に増加させられ、切換期間が終了すると急激に階段状に低下させられる。このため、上記第2原動機作動制御手段146は、図8の上段に示すように、上記切換期間の開始時点すなわち第1クラッチC1の係合開始時点t0 から終了時点t1 までの区間においてトルク補正制御を実行し、終了直前の時点t2 から所定時間を経過した時点t3 までの区間においてアシスト制御を実行する。このトルク補正制御では、当初のトルク相に相当する区間内では過渡的な駆動力低下を補うようにRMG70が力行(車両を駆動)させられ、それに続くイナーシャ相に相当する区間内では過渡的な駆動力上昇を相殺するようにRMG70が回生させられて、車両の駆動力が図8の下段の実線に示すように平坦とされる。また、上記アシスト制御では、切換期間の終了に伴う急激な駆動力低下時にRMG70から車両の駆動力が付加され、緩やかにそれが減少させられて、車両の駆動力が図8の下段の実線に示すように、滑らかに低下させられる。 【0048】モータジェネレータ作動制御手段148は、前記走行モード切換判定手段144により走行モードの切換が判定された場合には、その切換に伴うMG16の回転変化が緩やかに行われるようにそのMG16を一時的に作動させる。たとえば、直結モードからETCモードへ切り換えられる場合には、それまでエンジン回転速度NE と同じ回転数で回転させられていたMG16が急激に逆転され、そのMG16の回転数NMGの急変に起因するトルク変動すなわち駆動力変動が発生していた。また、ETCモードから直結モードへ切り換えられる場合には、それまで逆転されていたMG16が急激にエンジン回転速度NE とされるため、そのMG16の回転数NMGの急変に起因するトルク変動すなわち駆動力変動が発生していた。しかし、上記モータジェネレータ作動制御手段148により、たとえば直結モードからETCモードへ切り換えられる場合には、MG16が当初はエンジン回転速度NE と同様の回転速度で回転するように駆動されてから徐々にその回転速度が減少させられ、また、ETCモードから直結モードへ切り換えられる場合には、それまでの逆転回転数付近で回転するように駆動されてから徐々にエンジン回転速度NE に向かって上昇させられることにより、上記のトルク変動が好適に防止されているのである。 【0049】図9乃至図12、図15乃至図16、図17乃至図19は、前記ハイブリッド制御装置104などの制御作動の要部を説明するフローチャートであって、図9乃至図12はトルク増幅モードでの走行時においてMG16から回生により発生した電気エネルギをRMG70へ供給してそれを作動させるトルク増幅モード時の後輪制御ルーチンを、図15乃至図16はRMG70によるアシスト制御ルーチンを、図17乃至図19はモード切換時のRMG70のアシスト制御ルーチンを示している。 【0050】図9のトルク増幅モード時の後輪制御ルーチンにおいて、前記トルク増幅状態判定手段130に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1では、車両の走行モードとしてエンジン10の出力トルクが増幅して無段変速機20の入力軸26へ伝達されるトルク増幅モードすなわちETCモードが選択されているか否かが判断される。このSA1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合はエンジン10の出力エネルギの一部を用いて後輪80、82を駆動させるためのSA2以下が実行される。 【0051】先ず、SA2では、ドライバ要求トルクTdrv がたとえば図13に示す予め設定された関係から実際の車速V(km/h)とアクセルペダル122の操作量ACC(%)すなわちアクセル開度とに基づいて算出される。続くSA3では、車両がFF駆動状態すなわち前輪66、68の駆動により走行している状態であるか否か、すなわちRMG70が作動させられていない走行状態であるか否かが判断される。当初は、上記SA3の判断が肯定されるので、この前輪駆動走行状態において上記ドライバ要求トルクTdrv を発生させるためのエンジン14の出力トルクTE 、MG16の出力トルクTMG、RMG70の出力トルクTRMG が算出され、それらの算出されたトルクを実際に発生させるための指令値(駆動信号)がそれぞれ出力される。図10はその一例であり、SA41では、ドライバ要求トルクTdrv および遊星歯車装置18のギヤ比ρに基づいてエンジン14の出力トルクTE (=Tdrv ×ρ)が算出され、SA42では、ドライバ要求トルクTdrv および遊星歯車装置18のギヤ比ρに基づいてMG16の出力トルクTMG〔=Tdrv ×(1−ρ)〕が算出され、SA43では、RMG70の出力トルクTRMG が零値に設定される。 【0052】次いで、前記電力見込値算出手段134に対応するSA5では、たとえば図11に示すルーチンに従い、蓄電装置112の充電或いは放電に用いることが可能な実際の電力見込値であるバッテリ電力見込値Pb が算出される。すなわち、図11のSA51では、MG16の実際の駆動電流に対応する出力トルクTMGと回転速度NMGに基づいてMG16のモータパワーすなわち出力PMG(=NMG×TMG+MG16の損失、単位:ワット)が算出され、SA52では、RMG70の実際の駆動電流に対応する出力トルクTRMG と回転速度NRMG に基づいてRMG70のモータパワーすなわち出力PRMG (=NRMG ×TRMG +RMG70の損失、単位:ワット)が算出され、SA53では、エンジン14により回転駆動されるMG16から出力される発電電力PMGからRMG70の消費電力PRMG を差し引いた値(PRMG <0とすると、PMG+PRMG )がバッテリ電力見込値Pb として決定される。 【0053】前記受入制限値算出手段135に対応するSA6では、蓄電装置112を構成するバッテリが損なわれることを防止するために或いはその寿命を確保するために予め設定された関係から、実際の蓄電装置112の温度TB などに基づいてその蓄電装置112が受入れ可能な電気エネルギである受入れ量制限値WINが算出される。次いで、前記受入れ量超過判定手段136に対応するSA7では、蓄電装置112の充電が可能であるか否か、すなわち充電残量SOCがその上限値SOCU を越えているか否か、越えていない場合には、上記算出されたバッテリ電力見込値Pb が上記受入れ量制限値WINよりも大きいか否かすなわち受入れ量制限値WINを越えたか否かが判断される。このSA7の判断が否定される場合は蓄電装置112の充電が可能な状態であるので、蓄電装置112の充電を優先させるために本ルーチンが終了させられる。しかし、上記SA7の判断が肯定される場合は、SA8において、MG16から出力される発電電力PMGの一部若しくは全部がRMG70に供給されてそのRMG70が作動させられる4輪(前後輪)駆動状態とされる。 【0054】そして、第1原動機出力トルク低減手段138に対応するSA9では、上記4輪駆動走行において、前記ドライバ要求トルクTdrv を発生させるためのエンジン14の出力トルクTE 、MG16の出力トルクTMG、RMG70の出力トルクTRMG が算出され、それらの算出されたトルクを実際に発生させるための指令値(駆動信号)がそれぞれ出力される。たとえば図12はその一例であり、SA91では、ドライバ要求トルクTdrv 、遊星歯車装置18のギヤ比ρ、およびリヤ荷重配分比Ktrに基づいてエンジン14の出力トルクTE 〔=Tdrv ×ρ×(1−Ktr)〕が算出され、SA92では、ドライバ要求トルクTdrv 、遊星歯車装置18のギヤ比ρ、およびリヤ荷重配分比Ktrに基づいてMG16の出力トルクTMG〔=Tdrv ×(1−ρ)×(1−Ktr)〕が算出され、SA93では、ドライバ要求トルクTdrv およびリヤ荷重配分比Ktrに基づいてRMG70の出力トルクTRMG 〔=Tdrv ×Ktr〕が算出される。図14の共線図はこの状態を示している。すなわち、車両の駆動力すなわちドライバ要求トルクTdrv が維持されるように、4輪駆動状態となるとそれまでの2輪状態よりもエンジン14の出力が低減され、同時にMG16の発電量を減らしつつRMG70の電力消費量が増大させられ、結果として受入れ量制限値WIN内で蓄電装置112を用いることができて、蓄電装置112の受入制限値WINが守られるようになっているのである。本実施例では、上記SA6、SA7、およびSA8が、蓄電装置112の蓄電が不能状態である場合にはMG16から出力された電気エネルギをRMG70へ供給するエネルギ供給制御手段132に対応している。 【0055】図15および図16のRMG70によるアシスト制御ルーチンにおいて、SB1では、車速Vが予め設定された判断基準値VX1以下であるか否かが判断される。このSB1の判断が否定された場合は通常直結モードで走行するための制御が実行されるが、肯定された場合は、SB2において今回のアクセル開度θtx+1が前回のアクセル開度θtxよりも大きいか否かが判断される。すなわち、アクセルペダル122の踏込操作が行われたか否かが判断される。このSB2の判断が否定される場合は本ルーチンが最初から再び実行されるが、肯定される場合はSB3において、駆動力が得られるETCモードが設定される。 【0056】SB4では、蓄電装置112の蓄電量SOCが所定の下限値SOCD を下まわるか否かが判断される。このSB4の判断が肯定される場合すなわち充電が必要な状態と判定される場合は、SB5において、MG16からRMG70への電気エネルギの直接供給が開始されることにより通常アシスト制御が開始され、前述のSA9と同様に、前後輪にはその荷重配分に応じた駆動トルクが発生させられる。次いで、SB6では、車速変化量ΔVが所定の判定値ΔV2 を越えたか否かすなわち車輪のスリップが発生したか否かが判定される。このSB6の判断が肯定された場合は、SB7において車速Vが増加したか否かが、今回の車速Vtx+1が前回の車速Vtxよりも大きいことに基づいて判断される。 【0057】このSB7の判断が肯定された場合は車両が走りだしたことを示し、低μ路用アシスト制御が不要である場合であるので本ルーチンが終了させられるが、SB7の判断が否定された場合は、SB8において、低μ路用アシスト制御が開始される。この低μ路用アシスト制御は所定以上のスリップがあり且つ車速上昇がない場合に開始されるものであり、この低μ路用アシスト制御では、エンジン14の出力抑制や無段変速機20の変速比γの低下により前輪66、68の駆動力が抑制されてスリップが防止されると同時に、RMG70により後輪80、82の駆動力がスリップ限界まで高められる。次いで、前記駆動力不足判定手段140に対応するSB9において、車両の駆動力不足であるか否かが車速Vが所定の判定値V1 よりも大きくない(V>V1 であること)ことに基づいて判断される。このSB9の判断が否定された場合は、車速Vが上昇せず駆動力不足である状態であるから、前記第1原動機回転数増大手段142に対応するSB10においてエンジン回転数補正制御が開始される。このエンジン回転数補正制御は、車速増加に伴い前輪側への出力が増加し後輪への配分出力が低下して車速Vが所定値V1 を越えない場合に開始されるものであり、このエンジン回転数補正制御では、図4の破線に示すようにエンジン14の運転点が移動させられることにより、前輪駆動力すなわちエンジン出力トルクが維持されつつエンジン回転速度NE が増加させられる。 【0058】上記SB10の実行によって駆動力不足が解消されることによりSB9の判断が肯定されると、SB11においてスロットル開度θが全閉(略0%)状態であるか否かが判断される。このSB11の判断が否定される場合はSB12においてスリップΔVが所定値ΔV1 よりも低くなったか否かが判断される。このSB12の判断が否定される場合は本ルーチンが当初のステップから繰り返し実行される。この繰り返しのうち、車速Vが所定車速に到達してスロットル開度θが全閉とされるか、或いはスリップΔVが所定値ΔV1 よりも低くなった場合は、上記SB11およびSB12の判断のいずれかが肯定されるので、SB13においてエンジン14の運転点が通常の位置すなわち最良燃費率線上の位置に戻された後、前記SB4以下が実行される。 【0059】上記のSB4以下の実行において、SB6の判断が否定される場合、すなわちスリップΔVが所定値ΔV2 よりも低くなった場合、すなわち車輪のスリップが少なくなった場合は、SB14においてスロットル開度θが所定値θ1 よりも大きいか否かが判断され、このSB14の判断が肯定される場合は、SB15においてスロットル開度変化率dθ/dtが所定値dθ1 /dtよりも大きいか否かが判断される。上記SB14およびSB15の判断のいずれかが否定された場合は前記SB13以下が実行されるが、SB14およびSB15の判断が共に肯定される場合は、SB16の高μ路アシスト制御が実行される。この高μ路アシスト制御では、図4の1点鎖線に示すように各アクセル開度θにおけるトルク値でエンジン回転数NE の上昇制御が実行されて、ETCモード期間の拡大および車速Vの増加が行われるとともに、前輪駆動力増大に対応してRMG70への発電電力が確保され後輪駆動力も増大させられる。これにより、加速操作時の車両の加速の伸びが増加させられる。 【0060】上記SB4の判断が否定される場合、すなわち蓄電装置112の充電残量SOCが所定値SOCD 以上である場合は、SB17において、重量配分比に対応する駆動力配分比となるように蓄電装置112から電気エネルギがRMG70へ供給されることにより、4輪駆動状態とされた後、図16のSC5以下が実行される。このSC5では、SB17と同様にして蓄電装置112から電気エネルギがRMG70へ供給される。次いで、SC6では、車速変化量ΔVが所定の判定値ΔV2 を越えたか否かすなわち車輪のスリップが発生したか否かが判定される。このSC6の判断が肯定された場合は、SC7において車速Vが増加したか否かが、今回の車速Vtx+1が前回の車速Vtxよりも大きいことに基づいて判断される。このSC7の判断が否定される場合は、SC8において低μ路用アシスト制御がSB8と同様に開始された後、SC4以下が繰り返し実行される。 【0061】上記SC4以下が繰り返し実行されるうち、車速Vが増加してSC7の判断が肯定されると、SC9においてスロットル開度θが全閉(略0%)状態であるか否かが判断される。このSC9の判断が否定される場合はSC10においてスリップΔVが所定値ΔV1 よりも低くなったか否かが判断される。このSC10の判断が否定される場合は本ルーチンが当初のステップから繰り返し実行される。当初のステップSC1乃至SC4は前記SB1乃至B4と同様である。この繰り返しのうち、車速Vが所定車速に到達してスロットル開度θが全閉とされるか、或いはスリップΔVが所定値ΔV1 よりも低くなった場合は、上記SC9およびSC10の判断のいずれかが肯定されるので、SC4以下が実行される。 【0062】上記SC6の判断が否定される場合、すなわちスリップが小さい場合は、SC11においてスロットル開度θが所定値θ1 よりも大きいか否かが判断され、このSC11の判断が肯定される場合は、SC12においてスロットル開度変化率dθ/dtが所定値dθ1 /dtよりも大きいか否かが判断される。上記SC11およびSC12の判断のいずれかが否定された場合は前記SC4以下が実行されるが、SC11およびSC12の判断が共に肯定される場合は、SC13において前記SB16と同様の高μ路用アシスト制御が実行された後、SC4以下が繰り返し実行される。また、前記SC4の判断が肯定される場合は、SC14においてMG16により発電された電気エネルギがRMG70へ供給されることにより4輪駆動が行われ、図15の基本アシスト制御ルーチンが実行される。 【0063】図17は直結モードからETCモードへの切換時におけるRMG70のアシスト制御ルーチンである。図17のSD1では、直結モードであるか否かが判断される。このSD1の判断が否定される場合はETCモード制御が実行されるが、肯定される場合は、SD2において車速Vが予め設定された所定車速Va 以下であるか否かが判断される。このSD2の判断が否定される場合は通常直結モード制御が実行されるが、肯定される場合は、SD3において、スロットル開度θが予め設定された所定値θa よりも大きいか否かが判断される。このSD3の判断が否定される場合は通常直結モード制御が実行されるが、肯定される場合は、SD4においてETCモードが設定される。すなわち、直結モードでの走行中において車速Vが所定車速Va 以下でスロットル開度θが所定開度θa よりも大である場合に加速であると判断されてETCモードが設定される。このため、上記SD1乃至SD4が前記走行モード切換判定手段144に対応している。 【0064】続くSD5では、第1クラッチC1の解放制御が開始される。この直結モードからETCモードへの切換開始により、図20に示すように、MG16の回転速度NMGがC点からD点へ向かって変化させられる。次いで、前記モータジェネレータ作動制御手段148に対応するSD6では、そのときの車速Vを維持しつつ第1クラッチC1の解放トルク特性を見ながらMG16に第1クラッチC1の分担トルク分を出力させる。すなわち、当初は遊星歯車装置18の3回転要素があたかも直結されたかの如く一体的に回転させられるようにMG16が回転駆動され、その後には緩やかに或いは徐々にMG14の回転が低下させられるようにMG16が駆動制御されるMG直結動作力行制御が実行される。次いで、SD7では、反力を発生させる回生状態となるまでMG14の回転をD点へ向かって逆転させるMG逆転回生制御が実行される。 【0065】次いで、SD8では、MG16の回転速度NMGが予め設定された第1目標回転速度N1 (図20のD点に対応する負の値)より高いか否かが判断される。この第1目標回転速度N1 は、そのときの車速VでETCモード(トルク増幅モード)を成立させるための回転速度である。当初はSD8の判断が肯定されるので、第2原動機作動制御手段146に対応するSD9において、上記MG16の反力が過渡的に出されないことによって車両全体の駆動力が低下しないようにRMG70を駆動するRMG70の力行制御が行われる。しかし、SD8の判断が否定されると、実質的にETCモードが成立させられた状態であるので、SD10において、RMG70を用いた通常の4輪駆動制御が行われ、後輪80、82が荷重配分比に対応した駆動力を発生するようにRMG70が力行させられる。 【0066】図18は、ETCモードから直結モードへの切換時におけるRMG70のアシスト制御ルーチンである。図18のSE1では、ETCモードであるか否かが判断される。このSE1の判断が否定される場合は直結モード制御が続行されるが、肯定される場合は、SE2において車速Vが予め設定された所定車速Va 以下であるか否かが判断される。このSE2の判断が肯定される場合はETCモード制御が実行されるが、否定される場合は、SE3において、スロットル開度θが予め設定された所定値θa よりも大きいか否かが判断される。このSE3の判断が肯定される場合はETCモード制御が実行されるが、否定される場合は、SE4において直結モードが設定される。すなわち、ETCモードでの走行中において車速Vが所定車速Va を上まわり、スロットル開度θが所定開度θa 以下である場合には定常走行であると判断されて直結モードが設定される。このため、上記SE1乃至SE4が前記走行モード切換判定手段144に対応している。 【0067】続いて、前記モータジェネレータ作動制御手段148に対応するSE5では、MG16をそれまでの回生動作から力行動作へ切り換えて遊星歯車装置18の3回転要素があたかも直結されたかの如く一体的に回転させられる状態となるまでMG16を力行させる力行動作制御が実行される。SE6では、その過渡期間において、MG16の回転速度NMGが予め設定された第2目標回転速度N2 (図20のC点に対応する正の値)より低いか否かが判断される。この第2目標回転速度N2 は、そのときの車速Vで直結モードを成立させるための回転速度である。当初はSE6の判断が肯定されるので、SE7において、上記MG16の回転変化中の過渡期間において車両全体の駆動力が低下しないようにRMG70を駆動するRMG70の力行制御が行われる。しかし、遊星歯車装置18の3回転要素の回転があたかも直結状態となってSE6の判断が肯定されると、SE8において、第1クラッチC1の係合を行うC1係合制御が開始される。これにより、このETCモードから直結モードへの切換開始により、図20に示すように、MG16の回転速度NMGがD点からC点へ向かって変化させられる。 【0068】次いで、SE9において、第1クラッチC1の係合開始からの経過時間TELが予め設定された変速時間(ギヤ比変更時間)すなわち回転過渡時間t1 より小さいか否かすなわち経過時間TELが回転過渡時間t1 に到達していないか否かが判断される。当初はそのSE9の判断が肯定されるので、SE10において、回転変動を平坦化するためにRMG70を作動させることによりトルク変動分を補正するための補正アシスト力を発生させる補正アシスト制御が実施される。図8のt0 乃至t1 区間はこの状態を示している。この補正アシスト制御では、第1クラッチC1の係合過程で発生するトルク相ではRMG70から駆動力が発生させられ、それに続くイナーシャ相ではRMG70により回転抵抗力が発生させられることにより、実際の車両の駆動力が平坦化される。 【0069】次いで、SE11において、第1クラッチC1の係合開始からの経過時間TELが予め設定されたアシスト制御開始時間t2 と予め設定されたアシスト制御終了時間t3 との間であるか否かが判断される。上記アシスト制御開始時間t2 は回転過渡時間t1 よりも短く設定されており、t2 <t1 <t3 の関係にある。当初は上記SE11の判断が否定されるので、SE13において経過時間TELがアシスト制御終了時間t3 を越えたか否かが判断される。当初はこのSE13の判断も否定されるので、SE9以下が繰り返し実行される。 【0070】上記経過時間TELがアシスト制御開始時間t2 に到達して上記SB11の判断が肯定されると、SB12において、ETCモードから直結モードへの切換に起因する変速比の変化による駆動力の急減を緩和するためにRMG70を駆動するアシスト制御が実行される。図8のt2 乃至t3 区間はこの状態を示している。本実施例では、上記SE9乃至SE13が前記第2原動機作動制御手段146に対応している。 【0071】そして、上記アシスト制御が実行されるうち、経過時間TELがアシスト制御終了時間t3 を越えると、SE14において、RMG70を用いて荷重配分に応じた駆動力で後輪80、82を駆動する通常の4輪駆動制御、またはMG16により前輪をアシストするMG力行制御が実行される。 【0072】図19は、坂路停止時におけるRMG70のアシスト制御ルーチンである。図19のSF1では、坂路であるか否かが、たとえば車両の加速力が基準加速力よりも下回ったか否かに基づいて判断される。このSF1の判断が否定される場合は図17の制御が実行されるが、肯定される場合は、SF2において直結モードであるか否かが判断される。このSF2の判断が否定される場合はETCモード制御が実行されるが、肯定される場合は、SF3において、車両の停止中であるか否かがたとえば車速Vに基づいて判断される。このSF3の判断が否定される場合は図17の制御が実行されるが、肯定される場合は、SF4において、ETCモードへの切換に先立って、ETCモードにおける値以上の駆動トルクをRMG70により後輪80、82から発生させるためのRMG力行制御が実行される。次いで、SF5では、スロットル開度θが所定開度θa よりも大きいか否かが判断される。このSF5の判断が否定された場合は図17の制御が実行されるが、肯定される場合は、SF6において、ETCモードが設定される。すなわち、直結モードでの走行中において車両が停止された場合にスロットル開度θが所定開度θa よりも大である場合に加速であると判断されてETCモードが設定される。このため、上記SF1乃至SF6が前記走行モード切換判定手段144に対応している。 【0073】続くSF7では、第1クラッチC1の解放制御が開始される。次いで、前記モータジェネレータ作動制御手段148に対応するSF8では、当初は遊星歯車装置18の3回転要素があたかも直結されたかの如く一体的に回転させられるようにMG16が回転駆動され、その後には緩やかに或いは徐々にMG16の回転が低下させられるようにMG16が駆動制御されるMG直結動作力行制御が実行される。SF9では、反力を発生させる回生状態となるまでMG16の回転を逆転させるMG逆転回生制御が実行される。 【0074】次いで、SF10では、MG14の回転速度NMGが予め設定された第1目標回転速度N1 (図20のD点に対応する負の値)より高いか否かが判断される。この第1目標回転速度N1 は、そのときの車速VでETCモード(トルク増幅モード)を成立させるための回転速度である。当初はSF10の判断が肯定されるので、第2原動機作動制御手段146に対応するSF11において、上記MG14の反力が過渡的に出されないことによって車両全体の駆動力が低下しないようにRMG70を駆動するRMG70の力行制御が行われる。しかし、SF10の判断が否定されると、実質的にETCモードが成立させられた状態であるので、SF12において、RMG70を用いた通常の4輪駆動制御が行われ、後輪80、82が荷重配分比に対応した駆動力を発生するようにRMG70が力行させられる。 【0075】上述のように、本実施例によれば、トルク増幅状態判定手段130(SA1)により遊星歯車装置18によるエンジン14(第1原動機)のトルク増幅状態であると判定された場合には、エネルギ供給制御手段132(SA6、SA7、SA8)により、エンジン10から発生させられ且つMG16により変換された電気エネルギがRMG70(第2原動機)に供給されてそのRMG70が作動させられるので、エンジン14から発生させられたエネルギが駆動力として有効に利用され、車両の駆動力を確保することができ、且つ車両の燃費が向上する。 【0076】また、本実施例では、エネルギ供給制御手段132(SA6、SA7、SA8)は、蓄電装置112の蓄電可能である場合にはMG16(発電機)から出力された電気エネルギをその蓄電装置112に供給し、その蓄電装置112の蓄電不能である場合にはMG16から出力された電気エネルギをRMG70へ供給するものであることから、たとえ蓄電装置112の蓄電が制限される場合でも、エンジン14から発生させられた電気エネルギがRMG70へ供給されて車両の駆動力として有効に利用されるので、車両の駆動力を確保することができ、且つ車両の燃費が向上する。すなわち、遊星歯車装置18がトルク増幅モードで作動させられるとき、MG16の回生により発生した発電エネルギを蓄電装置112内に蓄電することが考えられるが、その蓄電装置112の蓄電が制限される場合には、発電エネルギが有効に利用されないで熱放散などによって無駄に消費されるだけでなく、場合によっては蓄電装置(バッテリ)112を劣化させるおそれもあった。これを防止するためには、MG16の発電エネルギを抑制する必要があるが、トルク増幅モードにおいては発電エネルギと遊星歯車装置18を介して駆動される前輪66、68の駆動力とが比例する(トルク増幅モードではエンジン14の出力トルクが一定の比率で無段変速機20と発電するためのMG16とに分配され、たとえば発電トルクを半分にすれば無段変速機20へ入力されるトルクも半分となる)ために、蓄電装置112を劣化を防止しようとすれば、結果として駆動力を低下させてしまうことになってしまうのである。本実施例によれば、このような発電エネルギの無駄な消費、蓄電装置112の劣化、駆動力の低下を抑制し、車両の燃費を向上させることができるのである。 【0077】また、本実施例では、蓄電装置112の充電或いは放電に用いることが可能な実際の電力見込み値であるバッテリ電力見込値Pb (PRMG <0とすると、PMG+PRMG )をMG16の発電電力PMGおよびRMG70の消費電力PRMG (負の値)に基づいて逐次算出する電力見込値算出手段134(SA5)と、蓄電装置112の温度TB に基づいてその蓄電装置112が受入れ可能な電気エネルギである受入れ量制限値WINを逐次算出する受入れ量制限値算出手段135(SA6)と、上記バッテリ電力見込値Pb が上記受入れ量制限値WINを上まわったか否かを判定する受入れ量超過判定手段136(SA7)とが設けられており、その受け入れ量超過判定手段136により上記バッテリ電力見込値Pb が受入れ量制限値WINを上まわったと判定された場合において、上記エネルギ供給制御手段132は、MG16から出力された電気エネルギをRMG70へ供給するものであることから、蓄電装置112が損なわれることがなく、しかも、エンジン14から発生させられた電気エネルギがRMG70へ供給されて車両の駆動力として有効に利用されるので、車両の駆動力を確保することができ、且つ車両の燃費が向上する。 【0078】また、本実施例では、車両の走行状態或いはその車両が走行する路面状態などに関連して、たとえば車速Vが得られないことに基づいて車両の駆動力不足を判定する駆動力不足判定手段140(SB9)と、その駆動力不足判定手段140により駆動力不足が判定された場合には、エンジン14の回転速度を増大させる第1原動機回転数増大手段142(SB10)とをさらに含むものである。通常、高車速走行、加速走行、登坂走行におけるトルク増幅モードすなわちETCモードでは、車速増加に伴ってエンジン14により駆動されるMG16の発電量が減少するが、本実施例によれば、エンジン14により発生させられるエネルギすなわちMG16の発電量が確保されてRMG70による駆動力も得られるので、十分に駆動力のある走行性が得られる。上記第1原動機回転数増大手段142は、図4の最良燃費率曲線近傍の低回転とされているエンジン14の運転点を、そのトルクに略維持しつつ高回転側に移動させてエンジン出力をアップさせる。 【0079】また、本実施例では、エネルギ供給制御手段132がエンジン14により回転駆動されるMR16から出力された電気エネルギをRMG70へ供給する場合には、そのときの総駆動力すなわちドライバ要求トルクTdrv を維持するために、RMG70による駆動力増加に応じてエンジン14の出力トルクを前輪駆動状態に比較して減少させる第1原動機出力トルク低減手段138(SA9)をさらに含むものであるので、アクセルペダル122の踏込量を減少操作すなわち戻し操作しなくても、上記RMG70への電気エネルギの供給に関連した車両の駆動力増加が好適に抑制される。 【0080】また、本実施例では、上記第1原動機出力トルク低減手段138は、スロットル開度θ(アクセルペダル操作量)および車速Vに基づいて決定される運転者要求トルクTdrv と車両の前輪および後輪の荷重分配比すなわち前輪荷重分配比(1−Ktr)とに基づいてエンジン出力トルクTE を算出し、実際のエンジン14の出力トルクがその算出されたエンジン出力トルクTE となるように出力トルクを減少させるので、総駆動力が運転者要求トルクに維持される。 【0081】また、本実施例によれば、エンジン14の出力トルクが増幅されて伝達される状態すなわちETCモードとその他の状態たとえば直結モードとの間の切換時においては、その切換に関連して発生する切換ショックや一時的なトルク不足が抑制されるように、RMG70が作動させられて後輪80、82が駆動されるので、車両の運転性が一層高められる。 【0082】また、本実施例の車両は、前輪66、68が遊星歯車装置18により出力トルクが増幅されて伝達され得るエンジン14を駆動源とし、後輪80、82がRMG70を駆動源とする形式の前後輪駆動車両であることから、前後輪駆動車両において、前輪66、68を駆動するエンジン14の出力トルクが増幅されて伝達されるETCモード状態とその他の直結モード状態との切換時においては、後輪80、82を駆動するRMG70が作動させられることによりその切換に関連して発生する切換ショックや一時的なトルク不足が抑制される。 【0083】また、本実施例では、遊星歯車装置18を構成する3つの回転要素のうちのサンギヤ24にエンジン14が直接に連結され、キャリヤ28にMG16が直接に連結され、リングギヤ32に第2クラッチC2を介して無段変速機20の入力軸26が連結されており、そのMG16が反力を発生させることによりエンジン14の出力トルクを増幅して後段へ伝達するETCモード(トルク増幅モード)から、上記3回転要素が一体的に回転させられる直結状態の遊星歯車装置18を介してエンジン14の出力トルクが無段変速機20に伝達される直結モードへ切り換えられるときに、第2原動機作動制御手段146(SD9、SE9乃至SE13、SF11)が切換ショックや一時的なトルク不足を生じないようにRMG70を作動させるので、トルク増幅モードから直結モードへ切り換えられるときの切換ショックや一時的なトルク不足が好適に防止される。 【0084】また、本実施例の車両は、エンジン14およびMG16の出力を合成して無段変速機20へ伝達する遊星歯車装置18を備え、そのエンジン14の出力トルクが遊星歯車装置18により増幅されて伝達され得るハイブリッド車両であり、その出力トルクが増幅されて伝達される状態(ETCモード)とその他の状態(直結モード)との切換時において、その切換に伴うMG16の回転変化が緩やかに行われるようにそのMG16を一時的に作動させるモータジェネレータ作動制御手段148(SD6、SE5、SF8)をさらに含むものであるので、上記出力トルクが増幅されて伝達される状態とその他の状態との切換時において、MG16の急速な回転変化に伴って発生するショックなどが好適に防止される。 【0085】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は他の態様においても適用される。 【0086】たとえば、前述の実施例の前後輪駆動車両は、前輪66、68をエンジン14およびMG16を備えた主駆動装置10が駆動し、後輪80、82をRMG70を備えた副駆動装置12が駆動する形式であったが、後輪80、82を主駆動装置10が駆動し、前輪66、68を副駆動装置12が駆動する形式であってもよい。また、主駆動装置10内の無段変速機20の出力軸38上に副駆動装置12に相当する2つ目のモータジェネレータを設けた車両、すなわち前輪66、68を駆動する2つのモータジェネレータを備えたFF車両や、前輪66、68に至る動力伝達経路のどこかに2つ目のモータジェネレータを設けた車両であってもよい。 【0087】また、前述の実施例の車両は、エンジン14の出力エネルギがMG16により電気エネルギに変換され、後輪80、82を駆動するRMG70がその電気エネルギにより作動させられていたが、エンジン14の出力エネルギが油圧ポンプにより油圧エネルギに変換され、後輪80、82を駆動する油圧モータがその油圧エネルギにより作動させられる形式の車両であっても差し支えない。 【0088】また、前述の実施例では、エンジン14の出力トルクを増幅するために遊星歯車装置18が用いられていたが、他の形式のトルク増幅機構が用いられていてもよい。 【0089】また、前述の実施例の走行モード切換の説明では、ETCモードと直結モードとの間の切換が説明されていたが、ETCモードとモータ走行モードとの間の切換であってもよい。 【0090】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月8日(1999.10.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085361 【弁理士】 【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−112113(P2001−112113A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−287666 |
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