| 【発明の名称】 |
悪天候に対応した産業用車両の走行駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】檜垣 正美
【氏名】正野 信夫
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、スリップにより走行停止となることを回避でき、また運転者の疲労を軽減できる、悪天候に対応した走行車両の走行駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の作業の駆動源となるエンジンに連結された発電機より給電される後輪駆動用モータ1と、雪や雨のときの走行モードを設定する雪道用モードスイッチ20と、アクセルペダルの踏み込み角度により入力された車両の走行速度指令値に応じて、さらにスイッチ20により雪道モードが設定されたときモータ1の回転数の変化量を制限してモータ1の回転数指令値を求める制御装置6と、このモータ1の回転数指令値に応じてモータ1の速度制御を実行するインバータ3を備える。この構成によれば、モータ1の回転数の変化が制限されることにより、車両の瞬時の加速を防止でき、後輪2のスリップを防止できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の作業の駆動源となるエンジンと、前記エンジンに連結された発電機より給電される走行用電動モータを備えた、前記複数の作業を実行可能な産業用車両の走行駆動装置であって、前記車両の走行速度指令値を入力するアクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーと、悪天候時の走行モードを設定するモード設定スイッチと、前記アクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーにより入力された車両の走行速度指令値に応じて、前記モータの回転数を設定し、このモータの回転数の設定値に応じてモータの速度制御を実行する制御手段を備え、前記制御手段は、前記モード設定スイッチにより悪天候時の走行モードを確認すると、前記モータの回転数の変化量を一定値以内に制限することを特徴とする悪天候に対応した産業用車両の走行駆動装置。 【請求項2】 制御手段は、モード設定スイッチにより悪天候時の走行モードを確認すると、車輪の回転数毎に滑りやすい路面とタイヤの摩擦抵抗からタイヤがスリップしないトルクを算出して形成したトルクカーブにしたがってモータのトルクを制限することを特徴とする請求項1記載の悪天候に対応した産業用車両の走行駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、悪天候に対応した産業用車両の走行駆動装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、産業用車両(たとえばコンテナキャリア、大型コントローラなど)では、通常乾燥路面において車両を運転する場合、アクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーの操作により簡単に車両の速度を制御できる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、雨や雪などの悪天候により路面の摩擦抵抗が低下した場合、アクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーの操作に注意しないと車輪がスリップして走行できなくなるという問題が発生し、さらにアクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーの操作に注意しなければならないことから、運転者が疲労し、作業効率が悪くなるという問題が発生する。 【0004】そこで、本発明は、スリップにより走行停止となることを回避でき、また運転者の疲労を軽減できる、悪天候に対応した走行車両の走行駆動装置を提供することを目的としたものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、複数の作業の駆動源となるエンジンと、前記エンジンに連結された発電機より給電される走行用電動モータを備えた、前記複数の作業を実行可能な産業用車両の走行駆動装置であって、前記車両の走行速度指令値を入力するアクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーと、悪天候時の走行モードを設定するモード設定スイッチと、前記アクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーにより入力された車両の走行速度指令値に応じて、前記モータの回転数を設定し、このモータの回転数の設定値に応じてモータの速度制御を実行する制御手段を備え、前記制御手段は、前記モード設定スイッチにより悪天候時の走行モードを確認すると、前記モータの回転数の変化量を一定値以内に制限することを特徴とするものである。 【0006】上記構成によれば、アクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーにより車両の走行速度指令値が入力され、この指令値に応じてモータの回転数が設定され、この設定値に基づいてモータの速度制御が実行される。またモード設定スイッチにより悪天候時の走行モードが確認されると、前記モータの回転数の変化量が一定値以内に制限され、すなわち車両の走行速度の加減速が制限され、車両の瞬時の加速が防止される。よって、悪天候時の車輪のスリップが回避され、スリップにより走行停止となることが回避される。 【0007】また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明であって、制御手段は、モード設定スイッチにより悪天候時の走行モードを確認すると、車輪の回転数毎に滑りやすい路面とタイヤの摩擦抵抗からタイヤがスリップしないトルクを算出して形成したトルクカーブにしたがってモータのトルクを制限することを特徴とするものである。 【0008】上記構成によれば、悪天候時の走行モード時には、車輪の回転数毎に滑りやすい路面とタイヤの摩擦抵抗からタイヤがスリップしないトルクを算出して形成したトルクカーブによりトルク制限値が求められ、このトルク制限値によりモータのトルクが制限される。よって、悪天候時のアクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーの操作に注意する必要がなくなり、運転者の疲労が軽減される。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態における産業用車両の走行駆動装置のブロック図である。図1に示す産業用車両の走行駆動装置は、ディーゼルエンジンの駆動により発電機を駆動し、この発電機が発生する電力を使用して、車輪に連結された電動モータを駆動することにより車両を走行させる、ディーゼル−エレキ方式と称される走行駆動装置である。 【0010】図1において、1は左右の各後輪2の軸にその回転軸が連結された誘導モータ(走行用電動モータの一例)であり、電磁ブレーキ(図示せず)が付設されている。またこれら各モータ1をそれぞれ駆動するインバータ(走行駆動手段の一例)3が設けられ、それぞれ2台のインバータ3に、モータ1の回生制動エネルギーを消費する制動用抵抗器4が接続され、さらにモータ1に設けられた回転数検出器5により検出されたモータ回転数の信号がインバータ3へフィードバックされている。 【0011】各インバータ3は、制御装置6よりモータ1の回転数指令値とトルク制限値(詳細は後述する)を入力し、入力したモータ1の回転数指令値にしたがって、上記回転数検出器5により検出されたモータ回転数をフィードバックしながら、モータ1の速度制御を行い、そのとき入力したトルク制限値によりモータ1のトルクを制限する。 【0012】また図1において、11はディーゼルエンジン(複数の作業の駆動源となるエンジンの一例)であり、このエンジン11の回転軸に発電機12、車両に装備されたバケットやフォークやクランプなど油圧により駆動される荷役装置7へ圧油を供給する油圧ポンプ13などの各軸が連結されており、エンジン11が回転することにより、発電機12において発電され、油圧ポンプ13より荷役装置7へ圧油が供給される。またディーゼルエンジン11は、高速の一定回転数(油圧ポンプ13を駆動する最低回転数以上;たとえば、1800rpm)で回転される。 【0013】また、上記発電機12は、発電機電圧調整器(AVR)14により発電電圧が一定になるように界磁電流が制御されており、この発電機12において発電された電力は、コンダクタ15を介して2台のインバータ3およびモータ1へ給電され、さらに制御装置6と車両の運転席に設けられた操作盤16やモニタ装置17の電源として給電されている。また図1において、18はエンジン11と発電機12と制御装置6の始動用のバッテリである。 【0014】またアクセルペダル(あるいはアクセルレバー)の操作角度(踏み込み角度)が、角度検出器19により検出され、操作角度(たとえば10〜50°)の検出信号が制御装置6へ出力されている。また操作盤16には、雪や雨などにより路面の摩擦抵抗が低下したとき(悪天候時)に運転者によりオン操作される雪道モード用スイッチ(モード設定スイッチの一例)20が設けられており、このスイッチ20の操作信号が制御装置6へ入力されている。制御装置6は、この雪道モード用スイッチ20の操作信号がオフのとき通常走行モードと判断し、オンのとき雪道モード(悪天候走行モードの一例)と判断する。 【0015】制御装置6は、入力したアクセルペダルの踏み込み量に相当するアクセルペダルの操作角度(たとえば10〜50°)と雪道モード用スイッチ20の操作信号に応じて、モータ1の回転数の指令値とトルクの制限値を演算し、この演算したモータ1の回転数指令値とトルク制限値を各インバータ3へ出力している。また制御装置6より、エンジン11のアクセルアクチュエータ11Aへ起動/停止信号が出力され、AVR14へ制御開始信号が出力される。 【0016】上記制御装置6について図2のブロック図を参照しながら詳細に説明する。図2において、21は、入力したアクセルペダルの操作角度(たとえば10〜50°)に比例してモータ1の回転数設定値を求める回転数設定手段であり、この求められたモータ1の回転数設定値は加減速制限手段22へ出力され、加減速制限手段22によりモータ1の回転数設定値の変化量が制限され、回転数指令値として各インバータ3へ出力され、また第1トルク制限手段24と第2トルク制限手段25へ出力される。 【0017】また23は、雪道モード用スイッチ20の操作信号がオンのとき、すなわち雪道モードのとき励磁されるリレイ(RY)であり、このリレイ23の動作接点により切り換えられて前記加減速制限手段22へ回転数設定値の変化量の制限値(リミット値)α,β(α≫β>0)が入力されている。前記制限値(リミット値)αは、モータ1自体の急激な回転変動による損傷を防止する通常走行モード時の制限値、制限値(リミット値)βは、車両が瞬時に加速することを防止するための雪道モード時の制限値である。 【0018】上記加減速制限手段22の構成の一例を図3に示す。加減速制限手段22は、入力である回転数設定値と出力である回転数指令値の偏差を演算する減算器31と、この減算器31の出力(偏差)を上限値と下限値間に制限する上下限リミッタ32と、この上下限リミッタ32により上下限が制限された偏差を積分する積分器33から構成されており、上記制限値(リミット値)α,βが上下限リミッタ32の上下限値(±α,±β)として入力されている。この構成により、アクセルペダルの踏み込みにより回転数設定値が大きく変動しても上下限リミッタ32により、回転数指令値(出力)との偏差は、制限値(リミット値)±αまたは±βに制限されることから、積分器33の出力の変動、すなわち回転数指令値の変化量は制限値(リミット値)±αまたは±βに抑えられる。 【0019】また上記第1トルク制限手段24には、図4に実線で示す、トルコン/トランスミッション方式の車両の各速度段のトルクカーブ(トルク/回転数制御曲線)を一つのトルクカーブとした第1トルクカーブ(通常走行モードのトルクカーブ)が予め設定されており、図4に示すように、加減速制限手段22より入力したモータ1の回転数指令値によって第1トルクカーブによりトルク制限値を求めて出力する。 【0020】また上記第2トルク制限手段25には、図4に破線で示す、第1トルクカーブよりさらにトルクを制限した第2トルクカーブが予め設定されており、加減速制限手段22より入力したモータ1の回転数指令値によって第2トルクカーブによりトルク制限値を求めて出力する。第2トルクカーブは、後輪2の回転数毎に、滑りやすい路面と夏に車輪に装着する普通タイヤの摩擦抵抗からタイヤがスリップしないトルクを算出して形成している。 【0021】上記第1トルク制限手段24により求められたモータ1のトルク制限値と、第2トルク制限手段25により求められたモータ1のトルク制限値は、リレイ23の動作接点により切り換えられて各インバータ3へ出力される。通常走行モードのときは、第1トルク制限手段24により求められたモータ1のトルク制限値が、雪道モードのときは第2トルク制限手段25により求められたモータ1のトルク制限値が出力される。 【0022】なお、特許請求の範囲における制御手段は、上記制御装置6とインバータ3により構成される。上記構成による作用を説明する。制御装置6によりエンジン11のアクセルアクチュエータ11Aへ起動信号が出力され、さらにAVR14へ制御開始信号が出力されると、エンジン11は高速の一定回転数で回転され、これにより油圧ポンプ13が駆動され、発電機12において発電が開始され、操作盤16やモニタ装置17へ給電される。またAVR14により発電電圧は一定に制御される。また発電機12の界磁電流は立ち上げ時はバッテリ18より供給され、立ち上げ後は自己の発電電流より供給される。 [通常走行モード]まず、運転者により選択操作される雪道モード用スイッチ20がオフのとき、すなわち通常走行モードのときについて説明する。このとき、制限値(リミット値)αが加減速制限手段22の上下限リミッタ32の上下限値(±α)として入力され、また第1トルク制限手段24により求められたモータ1のトルク制限値がインバータ3へ出力される。 【0023】上記初期状態において、アクセルペダルが踏み込まれ、その操作角度が角度検出器19により検出され、制御装置6へ入力されると、操作角度に相当するモータ1の回転数指令値が、その変化量が上下限値(±α)内に制限されて求められ、各インバータ3へ出力される。またこの求めたモータ1の回転数指令値に応じて第1トルク制限手段24によりトルク制限値が求められ、各インバータ3へ出力される。 【0024】各インバータ3は、入力した回転数指令値となるように、回転数検出器5により検出されたモータ回転数をフィードバックしながらモータ1の速度制御を行う。これにより車両の走行速度が制御される。このとき、トルク制限値により各モータ回転数におけるトルクが制限され、負荷によってはトルクカーブに沿って加減速される。また必要な電力はAVR14により界磁電流を調整することにより得られ、発電機12より供給される。 [雪道モード]次に、運転者により操作される雪道モード用スイッチ20がオンのとき、すなわち雪道モードのときについて説明する。このとき、制限値(リミット値)βが加減速制限手段22の上下限リミッタ32の上下限値(±β)として入力され、また第2トルク制限手段25により求められたモータ1のトルク制限値がインバータ3へ出力される。 【0025】上記初期状態において、アクセルペダルが踏み込まれ、その操作角度が角度検出器19により検出され、制御装置6へ入力されると、操作角度に相当するモータ1の回転数指令値が、その変化量が上下限値(±β)内に制限されて求められ、各インバータ3へ出力される。またこの求めたモータ1の回転数指令値に応じて第2トルク制限手段25によりトルク制限値が求められ、各インバータ3へ出力される。 【0026】各インバータ3の動作は、通常走行モード時と同じである。この雪道モードでは、回転数指令値の変化量が上下限値(±β)に制限されることにより、通常走行モードのときより、アクセルペダルの踏み込み量によるモータ1の回転数の変動が抑えられ、すなわち加減速時間が長くなり、アクセルペダルを踏み込んでも瞬時に加速しなくなる。よって、車両が瞬時に加速することを防止することができ、タイヤのスリップを防止できる。 【0027】また雪道モードでは、トルク制限値が、上記第2トルクカーブによって制限することにより、タイヤのスリップを防止できるとともに、アクセルペダルあるいはこのアクセルペタルに相当するレバーの操作に注意する必要がなくなり、運転者の疲労を軽減することができる。このように、ディーゼル−エレキ方式の走行車両において、アクセルペダルの踏み込み量に応じてモータ1の回転数が設定され、さらに雪道モード用スイッチ20の操作に応じてモータ回転数の変化量が制限され、制御装置6およびインバータ3によりモータ1が速度制御されることにより、雨や雪の日のように路面の摩擦抵抗が低下した場合に(悪天候時に)、後輪2がスリップすることを防止でき、スリップにより走行停止となることを回避できる。 【0028】またモータ1の回転数によりトルクが制限されることにより、トルクカーブに沿って加減速され(負荷にもよる)、通常走行モード時には、一般のトルコン/トランスミッション方式の車両の性能に近い性能を得ることができ、雪道モード時には、タイヤのスリップを防止できるとともに、アクセルペダルの踏み方に注意する必要がなくなり、運転者の疲労を軽減することができ、作業効率を改善することができる。 【0029】なお、本実施の形態では、制御装置6に加減速制限手段22と第1,第2トルク制限手段24,25を設けているが、これら手段22,24,25の機能をインバータ3に持たせることもできる。このとき、制御装置6からインバータ3へ、回転数設定手段21により求められたモータ1の回転数設定値と、リレイ23の動作接点による通常モードあるいは雪道モードのモード信号が出力される。この構成によっても、同様に悪天候時に、スリップにより走行停止となることを回避でき、運転者の疲労を軽減することができ、作業効率を改善することができる。 【0030】また、本実施の形態では、エンジンをディーゼルエンジンとしているが、ガソリンエンジンとしても良いことはいうまでもない。 【0031】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、悪天候時にも車輪のスリップを防止でき、走行停止となることを回避できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003241 【氏名又は名称】ティー・シー・エム株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月8日(1999.10.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068087 【弁理士】 【氏名又は名称】森本 義弘
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| 【公開番号】 |
特開2001−112106(P2001−112106A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−287451 |
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