| 【発明の名称】 |
ハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】水野 裕
【氏名】倉西 雅久
【氏名】斉藤 幹夫
【氏名】山田 稔明
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| 【要約】 |
【課題】燃料電池とバッテリの特性に基づいて効率よく電源を使い分けて負荷変動に対処し、安定した走行を確保するとともにバッテリの容量不足をなくし劣化を抑制するハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法を提供する。
【解決手段】移動駆動用の電動式動力源31と、この動力源の負荷に対応して電力を供給する電源として燃料電池70および二次電池60を備えたハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法において、変動する負荷aに対し、実質上変動の小さい所定レベルのベース負荷bに対応する電力を燃料電池70から供給し、変動負荷部分cに対応した電力を二次電池60から供給する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】移動駆動用の電動式動力源と、この動力源の負荷に対応して電力を供給する電源として燃料電池および二次電池を備えたハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法において、変動する負荷に対し、実質上変動の小さい所定レベルのベース負荷に対応する電力を燃料電池から供給し、変動負荷部分に対応した電力を二次電池から供給することを特徴とするハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法。 【請求項2】前記二次電池の容量に基づき、容量が所定量より少ない場合には前記ベース負荷を大きくし、容量が所定量より多い場合には前記ベース負荷を小さくすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法。 【請求項3】移動停止時に、前記燃料電池からの電力供給を続けることを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は車両や船舶等に適用されるハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法に関し、特に電源として燃料電池と二次電池とを備えたハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】車両の低公害化のために車両駆動用として電動モータを用い、その電源として1つは、負荷の変化に対して応答性よく電動モータに電力を供給可能で充電可能な鉛蓄電池等の二次電池(バッテリ)とし、他の1つは、補給が簡便な燃料を使用し且つ低公害性の燃料電池とし、これらの電池を組合せたハイブリッド方式の電動車両が研究開発されている。このようなハイブリッド駆動車両において、燃料電池として水素ガス貯蔵器中の水素ガスを燃料として使用するものや、メタノールやメタンあるいはブタン等を一次燃料とし、改質装置(リフォーマ)で生成する水素ガスを燃料として使用するものが考えられる。 【0003】このようなハイブリッド駆動車両においては、メインスイッチオンによる電源投入後、運転状態に応じて効率よく電力を供給して最適状態でモータを駆動制御するために車両コントローラが備る。また、モータ、燃料電池およびバッテリ等の各機器を構成するモジュールは、それぞれ車両の運転制御に必要なモジュールに対応したデータ、例えば温度や回転数あるいは電圧や電流等の状態を検出するためのセンサを有し、その検出出力に応じて車両コントローラが必要電力や走行可能距離等を演算し、バッテリの充放電や燃料電池の出力やモータの駆動制御等を行う。 【0004】このようなハイブリッド駆動車両において、特に電動二輪車等の小型車両においては、モータに対する負荷変動(アクセル操作による要求負荷や、路面の傾斜や凹凸による外部負荷の変化)が大きく、素速い応答性が求められる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、燃料電池は、水素ガス貯蔵器中の純水素を使う場合には、水素ガス流動の慣性に起因する応答遅れや水素ガス流動の短時間の変動において脈動が発生し、結果として出力の不安定が生じることがあり、また、改質水素を使用した場合には、改質器の応答性が悪いため、起動時や負荷急増時に燃料電池の出力をすぐには上げることができず、システムとして敏速な動力特性が得られない等の問題がある。 【0006】そこでバッテリとのハイブリッドシステムにより、この燃料電池の応答遅れ等に対処するために負荷急増時等にはバッテリにより電力を供給することが考えられるが、燃料電池の出力を上昇している間に、バッテリに対する負荷が過大となって、バッテリの容量が急速に低下し、必要な走行距離を確保できなかったり、バッテリの寿命を縮める等の問題を生じる。 【0007】本発明は上記の点を考慮したものであって、燃料電池とバッテリの特性に基づいて効率よく電源を使い分けて負荷変動に対処し、安定した走行を確保するとともにバッテリの容量不足をなくし劣化を抑制するハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法の提供を目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明では、移動駆動用の電動式動力源と、この動力源の負荷に対応して電力を供給する電源として燃料電池および二次電池を備えたハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法において、変動する負荷に対し、実質上変動負荷部分より小さい所定レベルのベース負荷に対応する電力を燃料電池から供給し、変動負荷部分に対応した電力を二次電池から供給することを特徴とするハイブリッド駆動式移動体の電源制御方法を提供する。 【0009】この構成によれば、所定レベルの負荷をベース負荷として常に燃料電池で負担させ、このベース負荷を越える変動負荷を二次電池(バッテリ)で負担させることにより、一定のあるいは運転モードに応じて緩慢に変化するベース負荷について常に安定して燃料電池から電力が供給され、これを越える細かい変動負荷部分についてバッテリから電力が供給されるため、バッテリの負担が少なくなり、バッテリ容量の急激な低下やバッテリの劣化を抑制し、負荷全体を燃料電池とバッテリで効率よく分担して安定した走行を確保することができる。 【0010】好ましい構成例では、前記二次電池の容量に基づき、容量が所定量より少ない場合には前記ベース負荷を大きくし、容量が所定量より多い場合には前記ベース負荷を小さくすることを特徴としている。 【0011】この構成によれば、二次電池(バッテリ)の充電残量を計測し、その容量に応じて、バッテリ容量が所定の値より少ないときにはベース負荷を上げて燃料電池による電力供給量を負荷以上に大きくしてバッテリを充電し、バッテリ容量が所定の値より多くなったときには、ベース負荷を下げて燃料電池による電力供給量を少なくしてバッテリの負担分を増加させることによりバッテリから放電してバッテリを適正容量に保つことができる。 【0012】さらに好ましい構成例では、移動停止時に、前記燃料電池からの電力供給を続けることを特徴としている。 【0013】この構成によれば、移動体が一時的に走行を停止しているときに、燃料電池の発電作用を続けることにより、バッテリを充電することができ、走行開始した後の安定した運転が確保される。 【0014】 【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るハイブリッド駆動車両の全体構成図である。この実施形態のハイブリッド駆動車両1は、自動二輪車に適用されている。ハイブリッド駆動車両1には、ハイブリッド駆動装置2が備えられている。ハイブリッド駆動装置2は、電動モータユニット3、変速機4、車両コントローラ5、バッテリユニット6及び燃料電池ユニット7を有している。 【0015】主に燃料電池と改質装置からなる燃料電池サブユニット7aは、シート8の後方で駆動輪9の上方位置に配置されている。シート8の前方で、操向輪11を操向するフロントフォーク12との間には、メタノールタンク13が配置されている。メタノールタンク13には、燃料注入キャップ14が設けられている。 【0016】燃料電池サブユニット7aの燃料電池とバッテリユニット6のバッテリとによるハイブリッド式により電動モータユニット3の電動モータを駆動し、駆動輪9を回転させる。 【0017】なお、図1において図中13の位置に主に燃料電池本体と改質装置からなる燃料電池サブユニットを配置し、図中7の位置にメタノールタンクを配置してもよい。 【0018】図2(A)はハイブリッド駆動式の自動二輪車の別の形状例の図であり、同図(B)はその燃料電池用の水素供給装置の構成図である。このハイブリッド駆動車両1は、シート8の下部に車両コントローラ5およびバッテリユニット6を有し、車両コントローラ5の下部に電動モータユニット3が備り、その前方に主に燃料電池からなる燃料電池サブユニット7bが設けられる。シート8の後方の荷台上に、燃料電池サブユニット7bに電力発生用の水素を供給するための水素供給装置15が備る。 【0019】水素供給装置15は、図2(B)に示すように、メタノールタンク13とともに水素ボンベ16を備え、燃焼用空気を供給するファン17およびバーナー18を有し、後述のように、一次燃料を加熱して気化させ触媒を通して水素を得る改質器19を備えている。 【0020】図3は、本発明に係るハイブリッド駆動車両に搭載される動力伝達系、制御系の全体システムの概略構成図である。このハイブリッド駆動車両1には、メインスイッチSW1、シート8、スタンド20、フットレスト21、アクセルグリップ22、ブレーキ23、表示装置24、灯火器やウインカ等のランプユニット25、ユーザ入力装置26、不揮発性メモリ27、タイマ28が備えられ、さらに電動モータユニット3、変速機4、車両コントローラ5、バッテリユニット6及び燃料電池ユニット7が備えられている。 【0021】メインスイッチSW1からON/OFF信号が車両コントローラ5へ送られ、電動車両が駆動される。またシート8、スタンド20、フットレスト21およびブレーキ23には、それぞれセンサS1〜S4が設けられ、これらのセンサS1〜S4からON/OFF信号が車両コントローラ5へ送られ、それぞれの動作状態が検知される。 【0022】アクセルグリップ22は、出力設定手段を構成し、このアクセルグリップ22にはアクセル開度センサS5が設けられ、運転者のグリップ操作によりアクセル開度センサS5からアクセル開度信号が車両コントローラ5へ送られる。アクセル開度に応じて電動モータの制御が行われる。車両コントローラ5は、アクセルグリップ22により構成される出力設定手段の出力設定値に基づき電動モータの出力を制御する制御手段を構成する。 【0023】ユーザ入力装置26から運転者は、種々のデータを車両コントローラ5へ入力でき、例えば車両の運転特性を変更することができる。また不揮発性メモリ27およびタイマ28と車両コントローラ5との間でデータ授受が行われ、車両運転停止時にそのときの運転状態情報を不揮発性メモリ27に記憶し、運転開始時に記憶されている運転状態情報を車両コントローラ5が読み込み制御する。 【0024】表示装置24は、車両コントローラ5から表示ON/OFF信号により駆動され、表示装置24には電動車両の運転状態が表示される。灯火器やウインカ等のランプユニット25は、DC/DC変換器25a、灯火器やウインカ等のランプ25bから構成される。車両コントローラ5からの起動ON/OFF信号によりDC/DC変換器25aを駆動してランプ25bを点灯する。 【0025】電動モータユニット3には、モータドライバ30、駆動輪9に連結される電動モータ31、エンコーダ32、回生電流センサS11および回生エネルギ制御手段33が備えられている。車両コントローラ5からのデューティ信号によりモータドライバ30が電動モータ31を制御し、この電動モータ31の出力により駆動輪9が駆動される。電動モータ31の磁極位置及び回転数をエンコーダ32が検出する。エンコーダ32からモータ回転数情報がモータドライバ30内のメモリに格納され必要に応じて車両コントローラ5へ送られる。電動モータ31の出力を変速機4により変速して駆動輪9を駆動し、変速機4は車両コントローラ5からの変速命令信号により制御される。電動モータ31にはモータ電圧センサまたはモータ電流センサS7が設けられ、このモータ電圧またはモータ電流の情報はモータドライバ内のメモリに格納され必要に応じて車両コントローラ5へ送られる。 【0026】バッテリユニット6には、バッテリ60、バッテリコントローラ61及びバッテリリレー62が備えられる。燃料電池ユニット7には、発電手段を構成する燃料電池70、燃料電池コントローラ71、逆流防止素子72および燃料電池リレー73が備えられる。燃料電池70の出力電流をバッテリ60に供給可能とする第1の電力供給路L1と、バッテリ60からの出力電流を電動モータ31に供給可能とする第2の電力供給路L2とが備えられ、電力調整部80を介して電力が供給される。 【0027】バッテリコントローラ61には、バッテリ60の充電状態を検知する検知手段が備えられ、この検知手段は、バッテリ温度センサS12、バッテリ電圧センサS13、バッテリ電流センサS14から構成され、これらの情報は、バッテリコントローラ61内のメモリに格納され必要に応じて車両コントローラ5へ入力される。バッテリリレー62は、車両コントローラ5からのON/OFF信号により作動して第2の電力供給路L2からの電力供給を制御する。 【0028】燃料電池コントローラ71へ車両コントローラ5から通信データが送られ、これにより燃料電池コントローラ71が燃料電池70を制御する。燃料電池コントローラ71には、燃料電池70の状態を検知する検知手段が備えられる。この検知手段は、各種温度センサS21、燃料電池電圧センサS22、燃料電池電流センサS23から構成され、これらの情報はこの燃料電池コントローラ71内のメモリに格納され必要に応じて車両コントローラ5へ入力される。整流ダイオード(逆流防止素子)72を介して燃料電池コントローラに接続された燃料電池リレー73は、車両コントローラ5からのON/OFF信号により作動して第1の電力供給路L1から電力供給を制御する。 【0029】図4は、本発明の実施の形態に係る燃料電池ユニットの要部構成図である。この実施形態の燃料電池ユニット7は、メタノールタンク102、改質装置(リフォーマ)103、シフトコンバータ104、選択酸化反応器105、燃料電池(セル)70、水分回収熱交換器107、水タンク108及び燃料電池コントローラ71、バルブ、ポンプ、ファン等の各機器およびセンサから構成されている。燃料電池コントローラ71は、バルブ、ポンプ、ファン等の各機器及びセンサと接続されている。改質装置103、シフトコンバータ104、選択酸化反応器105、燃料電池70の各部には温度センサTr,Tb,Ts,Tp,Tcが備えられ、これらの温度検出により各部が燃料電池コントローラ71(図3)によって適正温度に制御される。 【0030】改質装置(リフォーマ)103には、加熱器(バーナー)110、蒸発器111、触媒層112が備えられている。加熱器110には、温度センサTbの温度検出によりバーナーポンプ113が駆動されてメタノールタンク102からメタノールが供給され、またバーナーファン114の駆動で空気が供給され、これらの燃焼作用により蒸発器111を加熱する。なお、図中二重丸は空気取入れ口を示す。蒸発器111には、メタノールポンプ115の駆動でメタノールタンク102から供給されるメタノールと、水ポンプ116の駆動で水タンク108から供給される水が混合して供給される。加熱器110により蒸発器111を加熱してメタノールと水の混合燃料を気化し、この蒸発器111で気化した混合燃料を触媒層112に供給する。 【0031】バーナー110にはさらに燃料電池(セル)70からの剰余(またはバイパスした)水素ガスが配管201を通して供給され燃焼する。このバーナー110の燃焼熱により、メタノールと水からなる一次燃料(原料)を気化させるとともに触媒層112を加熱して触媒層112を触媒反応に必要な反応温度に維持する。燃焼ガスおよび反応に寄与しなかった空気は排気通路202を通して外部に排出される。 【0032】触媒層112は例えばCu系の触媒からなり、約300℃の触媒反応温度でメタノールと水の混合気を、以下のように、水素と二酸化炭素に分解する。 【0033】CH3OH+H2O→3H2 +CO2この触媒層112において、微量(約1%)の一酸化炭素が発生する。 【0034】CH3OH→2H2 +COこのCOはセル70内で触媒に吸着して起電力反応を低下させるため、後段側のシフトコンバータ104および選択酸化反応器105においてその濃度を低下させセル70内での濃度を100ppm〜数10ppm程度にする。 【0035】シフトコンバータ104内では、反応温度が約200℃程度で、分解ガス中の一酸化炭素を余剰水蒸気による以下の反応、すなわちCO+H2O→H2 +CO2の化学反応によりCOからCO2に変換させ濃度を約0.1%程度まで低下させる。 【0036】これをさらに選択酸化反応器105内において、白金系触媒を用いて約120℃の触媒反応温度で2CO+O2→2CO2の酸化反応によりCOからCO2に化学変化させ、濃度をさらにその1/10あるいはそれ以下にする。これによりセル70内でのCO濃度を数10ppm程度に低下させることができる。 【0037】前記改質装置103により、原料を改質して前述のように水素を製造し、得られた水素をシフトコンバータ104、選択酸化反応器105を介して燃料電池70に供給する。改質装置103とシフトコンバータ104との間には、脈動や圧力変動を吸収するためのバッファタンク117および切換弁117a,117bが設けられ、これらの切換弁117a,117bの作動で水素が改質装置103の加熱器110に戻される。シフトコンバータ104は温度センサTsの温度検出により冷却用空気ファン118で冷却される。冷却空気は排気通路203を通して外部に排出される。 【0038】シフトコンバータ104と選択酸化反応器105との間には、バッファタンク124及び切換弁124a,124bが設けられ、これらの切換弁の作動で水素が改質装置の加熱器110に戻される。 【0039】シフトコンバータ104から送られる水素に、反応用空気ポンプ119の駆動で供給される空気を混合して選択酸化反応器105に供給する。選択酸化反応器105は温度センサTpの温度検出により冷却用空気ファン120で冷却される。冷却空気は排気通路204を通して外部に排出される。 【0040】選択酸化反応器105と燃料電池70との間には、バッファタンク121および切換弁121a,121bが設けられ、これらの切換弁の作動で水素が改質装置103の加熱器110に戻される。 【0041】前述のシフトコンバータ104に対する切換弁117a,117b、選択酸化反応器105に対する切換弁124a,124bおよび燃料電池70に対する切換弁121a,121bの流量調整により、燃料電池70に供給される水素の量が調整され、出力を調整することができる。この場合、酸素は過剰に供給されているため、水素の量により出力が制御される。 【0042】このような出力の調整は、前述の燃料電池ユニット7のセンサS21〜23のデータおよび他の各種センサからの運転状態の検出データに基づき、車両コントローラ5が必要出力を演算し、これに基づいて切換弁動作後のセル内の水素量が実際に変化するまでの時間遅れ等を考慮して各切換弁の流量を車両コントローラ5または燃料電池コントローラ71が演算し、これに基づいて各切換弁のON/OFF制御あるいは開度制御を燃料電池コントローラ71が行う。この場合、メタノール等の一次燃料の供給量を多くすることにより気化する水素量を増やして出力を高めることができるが、この場合には、発電に寄与する水素量の増加までに時間遅れが発生する。このような時間遅れはバッテリからの電力によりカバーされる。 【0043】燃料電池70には、冷却加湿ポンプ122の駆動で水タンク108から水が供給され、また温度センサTcの温度検出により加圧空気ポンプ123の駆動で水分回収熱交換器107から空気が供給され、これらの水、空気および水素から燃料電池70で以下のように発電を行う。 【0044】燃料電池70は、冷却および加湿用の水通路205が形成されたセル膜(図示しない)の両面側に例えば白金系の多孔質触媒層(図示しない)を設けて電極を形成したものである。一方の電極には、水素通路206を通して選択酸化反応器105から水素が供給され、他方の電極には酸素通路207を通して酸素(空気)が供給される。水素側電極の水素通路206からセル膜を通して水素イオンが酸素側電極に移動し、酸素と結合して水が形成される。この水素イオン(+)の移動に伴う電子(−)の移動により電極間に電流が流れ、発電がなされる。 【0045】この発電反応は発熱反応であり、これを冷却するため及び水素イオンを円滑に酸素電極側に移動させるために、水タンク108からポンプ122により両電極間のセル膜の水通路205に水が供給される。水通路205を通過して高温となった水は熱交換器107で空気と熱交換され水タンク108に戻る。水タンク108には放熱フィン208が設けられ水を冷却する。209はオーバーフロー管である。 【0046】熱交換器107には空気が導入される。この空気は高温の水と熱交換され高温空気となって空気ポンプ123により酸素通路207に供給される。このような高温空気を送り込むことにより、水素イオンとの結合反応が促進され効率よく起電力反応が行われる。このため、この熱交換器107への空気取入れ口(図中二重丸で示す)は、前述の高温触媒反応を起こす選択酸化反応器105あるいは触媒層112の近傍に設けることが望ましい。 【0047】酸素通路207を通過して水素イオンと結合した空気中の酸素は水となって水タンク108に回収される。残りの空気(酸素および窒素)は排気通路210を通して外部に排出される。 【0048】このように燃料電池70で用いられた水および発電により生成した水は、水分回収熱交換器107で冷却空気との間で熱交換され水タンク108に戻される。また、燃料電池70で発電のために用いられた水素の余剰分は、バルブ211および配管201を通して、改質装置103の加熱器110に戻される。 【0049】前述のように、燃料電池ユニット7では、加熱器110によって蒸発器111を加熱し、この蒸発器111で気化した原料を触媒層112に供給するようにした改質装置103により、原料を改質して水素を製造し、得られた水素をシフトコンバータ104および選択酸化反応器105を介して燃料電池70に供給して発電を行う。この場合、選択酸化反応器105から得られた水素を前述の図2(B)に示すように、一旦水素ボンベ16に貯蔵してもよい。 【0050】このような燃料電池70の出力は、前述の図3に示したように、逆流防止素子72および燃料電池リレー73を介して電力調整部80に接続され、この電力調整部80はバッテリ60と電動モータ31とに接続される。 【0051】なお、上記各実施の形態においては、メタノールを原料として水素ガスを生成する改質装置103、シフトコンバータ104、選択酸化反応器105等を前提としたが、原料としてガソリン、メタン、あるいはブタンのうちいずれかをタンク内に収容し、これらの原料に対応した触媒を搭載する改質装置103、シフトコンバータ104、選択酸化反応器105等を使用して燃料電池70に使用する水素ガスを生成するようにしてもよい。また、燃料電池ユニット7を、主に燃料電池と水素ガス貯蔵合金を収容する水素ガスボンベから構成するとともに、この水素ガスボンベを燃料電池ユニット7に交換可能に装着するようにしてもよい。この場合、水素ガスボンベには、工場等で工業的に生成生産される純度の高い水素ガスが工場等で充填される。 【0052】図5は、本発明に係るハイブリッド駆動車両の電源制御系のブロック構成図である。車両コントローラ5は、双方向通信ライン220,221,222を介してそれぞれ電動モータユニット3、バッテリユニット6および燃料電池ユニット7に接続される。燃料電池ユニット7は、(+)側電流ライン223aおよび(−)側電流ライン223bを介して電動モータユニット3に接続される。(+)側電流ライン223a上にはスイッチ225が設けられる。このスイッチ225は、車両コントローラ5によりON/OFF駆動される。 【0053】バッテリユニット6は、(+)側電流ライン224aおよび(−)側電流ライン224bからそれぞれに直結される(+)側電流ライン223aおよび(−)側電流ライン223bを介して電動モータユニット3に接続される。(+)側電流ライン224a上にはスイッチ226が設けられる。このスイッチ226は、車両コントローラ5によりON/OFF駆動される。 【0054】電動モータユニット3は、電動モータ31(図3)とともにモータドライバ30およびエンコーダやセンサ等をモジュールとして一体化したものである。このような電動モータユニット3は、一体部材として車両に着脱可能である。したがって、双方向通信ライン220および電流ライン223a,223b,224a,224bはそれぞれカプラ(図示しない)を介して電動モータユニット3と車両コントローラ5の間を接続している。 【0055】電動モータユニット3の運転状態、例えば回転数、スロットル開度、走行速度、要求負荷、温度、シフト位置等の検出データは、車両コントローラ5に送られ、車両コントローラ5内のメモリに常時書換えられて格納される。 【0056】バッテリユニット6は、前述の図3に示したようにバッテリ60とともに、バッテリコントローラ61やセンサS12〜14およびリレー62等をモジュールとして一体化したものである。このバッテリユニット6は、一体部材として車両に着脱可能である。したがって、双方向通信ライン221や電流ライン224a,224bはカプラ(図示しない)を介してこのバッテリユニット6のバッテリコントローラ61に接続される。 【0057】このバッテリコントローラ61はメモリを有し、このバッテリユニットの温度、電圧、電流等の状態データおよびバッテリ60の残量データを検出して常時書換えながら格納する。これにより、運転中に車両コントローラとの間で双方向通信によりデータの授受を行って必要な電力を供給するとともに、バッテリ60を交換した場合に、直ちにその残量を車両コントローラ側で確認することができ、走行可能距離等の演算処理を行うことができる。 【0058】燃料電池ユニット7は、前述の燃料電池70やリフォーマ等とともに、燃料電池コントローラ71およびセンサS21〜23(図3)やリレー73等をモジュールとして一体化したものである。この燃料電池ユニット7は、一体部材として車両に着脱可能である。したがって、双方向通信ライン222や電流ライン223a,223bはカプラ(図示しない)を介してこの燃料電池ユニット7の燃料電池コントローラ71に接続される。 【0059】燃料電池コントローラ71はメモリを有し、この燃料電池ユニット7の温度、電圧、電流等の状態データおよび燃料電池の容量データ(具体的にはメタノールタンクの残量)等の検出データを常時書換えながら格納する。これにより、運転中に車両コントローラとの間で双方向通信によりデータの授受を行って必要な電力を供給するとともに、走行可能距離等の演算処理を行うことができる。 【0060】なお、図5の実施形態では、ハイブリッド駆動車両を構成する2つの電力供給源として燃料電池およびバッテリを用いたが、2つの燃料電池あるいは2つのバッテリ(二次電池)を用いてもよく、またエンジン式発電機やキャパシタを用いることもできる。また、本発明は車両以外にも船舶その他の装置に適用可能でありる。 【0061】図6は、本発明に係るハイブリッド駆動車両の制御系のデータ通信の説明図である。車両コントローラ5は、電動モータユニット3(エンコーダ32およびその他のセンサ群)、バッテリコントローラ61および燃料電池コントローラ71の各々に対し、各コントローラのメモリに蓄積されている各種データの要求信号を発信する。このデータ要求に対し、電動モータユニット3のセンサ群及び各コントローラ61,71から車両コントローラ5に対し必要なデータを返信する。データの内容としては、温度、電圧、電流、エラー情報、容量等の状態情報、要求出力等の制御情報などが送受信される。 【0062】この場合、車両コントローラ5は、電動モータユニット3のセンサ群及び各コントローラ61,71からのデータに基づいて各ユニットに対する最適な駆動量を演算し、この駆動量のデータを運転指令データとしてモータドライバ30および各コントローラ61,71に送信して、電動モータユニット3、バッテリユニット6および燃料電池ユニット7を駆動制御することができる。 【0063】図7および図8は、車両コントローラ5により実施される制御のフローチャートである。各ステップの動作は以下のとおりである。 【0064】a1:各種フラグやモータデューティデータ等が所定の初期値に設定される。 a2:不揮発性メモリ27から電動車両の過去の運転情報を読み込む。 a3:プログラム実行、メインスイッチの動作チェック及びタイマ信号の有無チェック等のみに必要な微弱電流がシステムを流れる状態、すなわち小電力状態で待機する。 a4:バッテリ側のCPUで動作されるタイマが所定の時間、例えば1時間毎に出力するタイマ信号か、車体に取付けられるメインスイッチのON動作信号のいずれかが有るか判断する。 【0065】a5:外部信号(前記a4のタイマ信号またはメインスイッチ信号)があれば前述のa3の小電力状態を解除する。 a6:外部信号の種類を判別し、メインスイッチON有りならばステップa11へ、タイマ信号有りならばステップa7へ進む。 a7:バッテリコントローラ61内のRAM中に書込まれた電池容量データを確認する。 a8:a7の電池容量データに基づき二次電池に充電が必要かどうかを判別する。 a9:充電が不要の場合、この電池からの放電量を計算する。 【0066】a10:バッテリコントローラ61内のRAM中の電池容量データを書換える。 a11:次に乗車する予定の書込みデータが有ればそれを取込む。 a12:各センサによる各検知信号を取込む。運転者の燃料電池強制OFF動作信号も有れば取込む。 a13:a12で取込んだ二次電池の電圧、電流および温度の各検知信号のデータを入力する。 a14:入力されたデータに基づき補正等を行って二次電池容量を計算する。 a15:バッテリ側の温度検出データおよび容量データに基づき、マップあるいは計算式により、燃料電池の発電量指令値を計算する。 a16:燃料電池に発電停止指令または発電量指令値を送信する。 【0067】a17:燃料電池からデータを受信する。このデータは、燃料電池の運転状態(発電量、温度、出力電圧・電流等)のデータおよび燃料電池の運転状態に異常が検知されたとき「1」が立つ異常フラグのデータである。 a18:メインスイッチがONかOFFかを判別する。 a19:乗車状態か下車状態かを判別する。シートスイッチのON検知情報またはスタンドスイッチのON検知情報のいずれかがあるとき乗車と判断する。 a20:燃料電池の異常フラグが1か0により燃料電池の異常を判別する。 【0068】a21:燃料電池が異常なしのとき、リレーをONにする。 a22:二次電池の異常時に「1」が立つ二次電池の異常フラグが1か0かをチェックして二次電池の異常を判別する。 a23:二次電池が異常なしのとき、リレーをONにする。 a24:燃料電池が異常のとき、リレーをOFFにする。 a25:二次電池が異常のとき、リレーをOFFにする。 a26:乗車していないとき、燃料電池および二次電池のリレーをともにOFFにする。 【0069】a27:異常の内容をメータパネル中のディスプレイに表示する。 a28:モータの電流値を入力する。なお、モータはメインスイッチOFF状態での燃料電池による充電時には、モータ電流値が0とされる。 a29:モータ電流指令値を入力する。このモータ電流指令値は、スロットルレバーのスロットル角度が大きい程値が大きくなる。 a30:モータのデューティ値を出力する。このデューティ値は、モータ駆動のための指令値であり、モータ電流指令値の関数で、定性的にはモータ電流指令値が大きい程値が大きい。 a31:メインスイッチがONかOFFかを判別する。 a32:充電動作中か充電停止中かを判別する。充電停止されるのは、満充電のときと、バッテリ側あるいは燃料電池側に異常があってリレーがOFFされているときである。 a33:バッテリ容量を不揮発性メモリに書込む。このデータは、前述のステップa2で読み込まれる。 a34:バッテリがONかOFFかを判別する。バッテリが接続中(ON)であれば、メインスイッチOFFで車両が放置されている状態でもプログラムを継続動作し、バッテリの容量管理および燃料電池による充電管理を実施する。 【0070】図9は燃料電池の動作制御のフローチャートである。各ステップの動作は以下のとおりである。 b1:各種フラグ等が所定の初期値に設定される。 b2:プログラム実行、メインスイッチの動作チェック及びタイマ信号の有無チェック等のみに必要な微弱電流がシステムを流れる状態、すなわち小電力状態で待機する。 b3:車両コントローラからの燃料電池を起動するための外部からの起動信号があるか否かを判別する。 【0071】b4:外部信号があれば、前述のa3の小電力状態を解除する。 b5:燃料電池の起動処理(ウォームアップ)を行う。これは主として改質装置からの水素ガス供給を可能にするための動作である。 b6:燃料電池が電力供給可能状態になったかどうかを判別する。 b7:運転者に対し燃料電池が待機状態であることをディスプレイに表示する。 b8:燃料電池の各部の温度センサTr,Ts,Tp,Tcからの検出温度情報を入力する。 b9:各部の温度が適正範囲に入るように各部を制御する。 b10:電動車両から発電準備を続けるかしないかの指令データを受信する。 b11:受信データから発電準備継続かどうかを判別する。継続であればステップb6に戻り待機状態を維持する。受信データが途絶したとき又は発電停止指令を受けたときはステップb21に進む。 【0072】b12:電動車両から発電するかしないかの指令データを受信する。 b13:受信データから、そのデータが発電停止か、データ途絶またはノイズによる受信異常か、または発電指令および発電量のデータかを判別する。 b14:受信異常または燃料電池異常状態の継続時間を計測する。 b15:発電指令を受けた場合に、ファン118,119(図4、図9)による冷却風を制御する。 b16:燃料電池による発電を行う。 b17:燃料電池の温度センサS21、電圧センサS22、電流センサS23からの各検出信号を読み込む。b18:読み込んだ各検出信号に基づき燃料電池の異常を判別する。 【0073】b19:異常状態が所定のタイムリミット値(例えば2秒)を越えたかどうかを判別する。 b20:異常状態がタイムリミット値を越えたら異常表示を行う。 b21:燃料電池の駆動を停止してクールダウン処理を行う。 b22:バッテリをOFFにするか否かを判別する。OFFであればバッテリの接続を遮断して運転を停止する。バッテリONであればステップb2に戻り、バッテリをOFFにするまでフローを繰り返す。 【0074】図10は、本発明の実施の形態に係る電動車両の電源制御方法における電源負担割合を説明するグラフである。 【0075】図は電動二輪車のモータに対する負荷変動パターンを示す。一般に負荷といわれるものには、運転者がアクセルグリップ22により入力する要求負荷(例えば、アクセル位置を増加させることで、加速したい或いは上り坂で速度を維持したいという意志、すなわち運転者が電動モータの出力に要求するもの)と、空気抵抗、路面の凹凸あるいは上り下りの傾斜等により電動モータに外部から作用する外部負荷とがある。ここでいう負荷とは電動モータが発揮すべき出力であり、この発揮すべき出力は、外部負荷に均衡すべきものであるとともに、要求負荷に対応して増減すべきものである。二輪車のように車両重量が軽量のものでは路面の凹凸により外部負荷が変動しやすく、車両重量が軽量なため電動モータの出力変化に対応して速度が変化しやすく、運転者が加減速を楽しむ場合には要求負荷が変動しやすい。 【0076】図中、aは実際の負荷変動全体を示し、bは負荷変動のうち変動する負荷部分cより低い負荷レベルの部分、すなわち実質上変動しない部分の負荷(本発明でいうベース負荷)を示す。本発明では、このベース負荷bに対応した電力を燃料電池から供給し、このベース負荷を越えた変動部分cの負荷に対応した電力をバッテリから供給する。負荷変動cは時間に対し細かく変動するのに対し、ベース負荷bはほぼ一定のレベルを保たれた時間が継続し変化は緩やかである。この燃料電池の出力の目標値となるベース負荷bは負荷レベルに応じて設定する。例えば、変動する負荷レベルの平均値に対する所定の割合として設定する。運転モード等に応じてこのベース負荷の割合を定めてもよい。 【0077】このように、運転状態に応じて時間に対し一定の又は緩やかに変化するベース負荷bを燃料電池で負担し、このベース負荷を越えて細かく変化する負荷変動部分cをバッテリで負担することにより、時間的に長い時間内でゆっくり変化する負荷変動に対し応答性の緩慢な燃料電池が十分に追従し、細かい変化部分のみをバッテリが確実に追従することができ、両方の電源の特性を十分に生かした運転制御が可能になり負荷応答性が向上する。この場合、バッテリは全体の負荷aのうちベース負荷bを除いた変動負荷部分cのみを負担するため、バッテリの負担が軽減され急激な負荷がかからなくなり、急激な容量の減少がなくなる。これにより、走行中の容量不足が起こらなくなって走行距離が確保され、またバッテリの劣化が抑制され寿命が長くなる。 【0078】図11は本発明に係る電源制御方法のフローチャートであり、図12はそのバッテリ容量変化を示すグラフである。バッテリ容量は、充電量が少な過ぎると出力が不足して走行距離が確保されなくなるとともに劣化が促進する。また充電量が多過ぎるとモータからの回生電流による過充電や過大電流によってバッテリが劣化する。したがって、バッテリ容量を常に適正な容量レベルに保つことが望ましい。 【0079】本実施形態では、図11に示すように、まずバッテリ容量を検出する(ステップc1)。このバッテリ容量が警告下限値より大きいか小さいかを判別する(ステップc2)。この警告下限値は例えば最大容量の50%とする。バッテリ容量がこの警告下限値(50%)以下であれば(図12のB点)、燃料電池の出力を高める指令を発する(ステップc3)。ここでLED等により警告表示を行ってもよい。燃料電池の出力が高められると、バッテリの負担が軽減し、燃料電池の出力増加分の一部によりバッテリが充電されバッテリ容量が増加する。 【0080】ステップc3でバッテリ容量が警告下限値より大きい場合には、ステップc4でこのバッテリ容量が警告上限値より大きいか小さいかが判別される。この警告上限値は例えば最大容量の70%とする。バッテリ容量がこの警告上限値より大きければ(図12のA点)、燃料電池の出力を低下させる指令を発する(ステップc5)。ここでLED等により警告表示を行ってもよい。燃料電池の出力が小さくなると、バッテリの負担分が増加し、バッテリからの放電量が多くなってバッテリ容量が減少する。 【0081】バッテリ容量が警告上限値および警告下限値の間にあれば、前述の図7、図8の車両の運転制御プログラムのフローチャートに従って通常の運転制御が行われる。 【0082】このようにバッテリの充電量を警告上限値(70%)および警告下限値(50%)と比較して制御することにより、常にバッテリ容量を使用限界の上限値(例えば80%)と下限値(例えば40%)との間に維持することができ、バッテリの劣化が抑制される。 【0083】図13は、本発明の電源制御方法におけるバッテリ容量変化を示すグラフである。時間T1でバッテリ容量が上限値を越えると、燃料電池の出力を落とす。これにより、バッテリからの放電量が増加して時間T2で容量が上限値まで低下する。ここで燃料電池の出力を再び増加させて元に戻す。この状態で通常運転を続け、時間T3でバッテリ容量が下限値以下に低下したら、燃料電池の出力を増加させる。これによりバッテリからの放電が停止して充電が行われる。時間T4でバッテリ充電量が所定のレベルに達したら、再び燃料電池の出力を元に戻して通常の運転制御プログラムにしたがって、バッテリとともにハイブリッド運転を行う。 【0084】図14は、本発明の別の実施の形態の負荷変動パターンのグラフである。この実施形態は、電動モータによる動力補助自転車に本発明を適用した例である。この電動モータによる動力補助自転車とは、ペダルに作用する人力(出力)をチェーン等の動力伝達装置で車輪に伝達可能とするとともに、電動モータの出力を動力伝達装置のいずれかの箇所で人力と合体させて車輪に伝達可能とするものであり、電動モータの出力はペダルに作用する踏力に所定の正の係数を乗じたものとされる。すなわち、電動モータが発揮すべき出力(=負荷)は、踏力と相関するものであり変動するものである。体重を利用するペダル漕ぎにおいては、最大の踏力は体重により規制されてしまうとともに、踏力の変動する波動における各波の底値(最小の踏力)は0に近いものとなるため、図14に示す負荷変動パターンのようになる。 【0085】前述の図10の例と同様に、一定のベース負荷bを燃料電池が負担し、これを越える変動部分cをバッテリが負担する。このベース負荷bは、予め分っている通常の電動補助自転車の平均負荷レベルの出力に基づいて運転モードに応じて設定しておく。この電動補助自転車の車両コントローラは、学習機能をもち、メインスイッチONによる走行動作ごとに、前回の走行データから平均負荷レベルを算出して走行ごとにベース負荷bの値を修正して設定してもよい。 【0086】本実施形態では、運転中の信号待ち等の短時間の停車時(図の時間T)に、燃料電池を停止させずに発電を続け、これによりバッテリを充電する。ただし、バッテリ容量が所定の上限値以下の場合である。このように短時間の停車時に燃料電池を停止させずに運転することで、再起動時のウォームアップの時間が不要となり、燃料電池の安定した出力が得られる。 【0087】なお、ベース負荷bとは、変動する負荷波動の山を結ぶ包絡線(最大負荷線)とする場合には、バッテリは常時充電され、最大負荷線と負荷波動の底を結ぶ包絡線(最小負荷線)との中間線とする場合には、バッテリの充放電が均衡する。ベース負荷bはできる限り一定とするのが望ましく、一定とできない場合であっても、微分値の絶対値が変動する負荷の微分値の絶対値より小さく、即ち、|db/dt|<|dc/dt|=|da/dt|のように設定する。例えば、少なくとも負荷変動の周波数より大きい波とされる。 【0088】これにより、バッテリより応答性の小さい燃料電池ユニットであっても、追従して発電できる。変動する負荷波動がベース負荷bより大きくなる部分ではバッテリの放電が行われ、小さくなる部分ではバッテリの充電が行われる。 【0089】また、このベース負荷bは、二次電池の容量に基づき、容量が所定値より少ない場合には、上記中間線より大きくし、さらには最大負荷線より大きくしてもよい。同様に、二次電池の容量に基づき、容量が所定値より大きい場合には、上記中間線より小さくし、さらには最小負荷線より小さくしてもよい。 【0090】図15は、一時停止を判断してバッテリを充電する発電制御のサブルーチンのフローチャートである。 【0091】まず、ステップd1で、スタンド20(図3)のメインスタンドスイッチ(センサS2)のON/OFFを判別する。スタンド使用中(ON)であれば、運転停止中と判断し、次回運転のための待機モードにしたがって発電量の計算を行う(ステップd7)。スタンドが使用されていなければ(OFF)、シート8の着座スイッチ(センサS1)のON/OFFを判別する(ステップd2)。着座していなければ(OFF)、運転停止中と判断し、次回運転のための待機モードにしたがって発電量の計算を行う(ステップd7)。 【0092】着座していれば(ON)、フットレスト21に左右の足が所定時間以上載せているか否かを判別する(ステップd3)。これは左右のフットレストスイッチ(センサS3)のON/OFF状態で判別する。左右の足が所定時間以上フットレストに載せられていれば、走行中と判断して、通常の走行発電モードにしたがって発電量を計算する(ステップd6)。 【0093】着座状態でフットレストに足が載せられていない場合(ステップd3でNoの場合)には、エンコーダ32からの信号によりモータ31の回転数が所定時間以上ゼロ(または所定回転数以下)かどうかを判別する(ステップd4)。所定回転数以上であれば、走行中(フットレストから一時的に足を離して運転している状態)と判断し、通常の走行発電モードにしたがって発電量を計算する(ステップd6)。 【0094】ステップd4でモータ回転数が所定時間ゼロ(または所定回転数以下)であれば、一時停止と判断して、一時停止の発電モードにしたがって発電量を計算する(ステップd5)。 【0095】図16は、一時停止中におけるバッテリ容量の変化を示すグラフである。時間T5で車両の一時停止状態が検出され、充電を開始する。一時停止の間にバッテリ容量が徐々に増加し、時間T6で発進する。発進後バッテリ容量は徐々に低下する。なお、発進に際しての負荷の急増に対処するため燃料電池の出力が増加されている。 【0096】図17は、本発明の別の実施の形態のフローチャートである。この実施形態は、前回の走行状況を記憶する手段を有し、その平均の出力電流を算出し、それに基づいて燃料電池の出力を制御する電源制御方法である。 【0097】各ステップの動作は以下のとおりである。 ステップe1:メインスイッチのON/OFFが判別され、ONのときにのみ以下のフローが実行される。ここで、前述の図6で説明したように、車両コントローラ5は、バッテリコントローラ61および燃料電池コントローラ71との間で各種データの送受信を行う。 【0098】ステップe2:運転開始時点からの走行距離のデータを取り出す。この走行距離データは、車軸に設けた距離センサによる検出データをバッテリコントローラまたは燃料電池コントローラのRAMあるいは車両コントローラに備えたRAMに書込み、これを読み出すものである。 【0099】ステップe3:運転開始時点からのメタノール燃料の使用量データ(メタノールタンクの現在の残量と運転開始時の残量との差)と走行距離データとに基づいて燃料消費率を算出する。この燃料消費率は燃料電池による走行可能距離の演算に用いられる。 【0100】ステップe4:バッテリの容量低下データ(現在のバッテリ容量と運転開始時の容量との差)と走行距離データとに基づいてバッテリの容量消費率を算出する。この容量消費率はバッテリによる走行可能距離の演算に用いられる。 【0101】別の方法として、燃料消費量とバッテリ消費量とを含めた車両全体の容量消費量のデータを取得し、この容量消費量と走行距離データに基づいて車両の容量消費率を算出し、これに基づいて走行可能距離を演算してもよい。 【0102】例えば、電力供給器(燃料電池)の消費率が100cc/Ahで、車両全体の容量消費率が2.0km/Ahとすると、燃料残量が3000ccでバッテリ残量が5.0A/hの場合、走行可能距離は(3000/100+5.0)*2.0=70kmとなる。 【0103】ステップe5:タンク内のメタノール燃料の量が所定の設定値以下かどうかを判別する。 ステップe6:メタノール燃料の量が所定の設定値より多ければ燃料表示パネルに通常の残量表示を行う。 ステップe7:メタノール燃料の量が所定の設定値以下の場合、バッテリ残量が所定の設定値以下かどうかを判別する。バッテリ残量が所定の設定値より多ければ上記メタノール燃料とともに上記ステップe6で通常のバッテリ残量表示を行う。 【0104】ステップe8:メタノール燃料およびバッテリ残量がともに所定の設定値以下の場合、表示パネルに警告表示を行う。 【0105】ステップe9:メインスイッチのON/OFFを判別する。ONであれば、ステップe2に戻りフローを繰り返す。OFFであればステップe10に進む。 【0106】ステップe10:メインスイッチがOFFになった状態で、平均電流を算出する。これは、燃料電池コントローラ71のメモリに格納された燃料電池の電流センサS23の検出データを読み出し、そのデータに基づいて、メインスイッチON時点から今までの平均電流を演算することができる。 【0107】ステップe11:演算した平均電流値を不揮発性メモリに格納する。この平均電流値に基づいて、次回メインスイッチがONにされたときに、燃料電池の出力を設定する(例えば初期値や前述のベース負荷の設定値など)。 【0108】 【発明の効果】以上説明したように、本発明では、所定レベルの負荷をベース負荷として常に燃料電池で負担させ、このベース負荷を越える変動負荷を二次電池で負担させることにより、時間に対し一定のあるいは運転モードに応じて緩慢に変化するベース負荷について常に安定して燃料電池から電力が供給され、これを越える細かい変動負荷部分についてバッテリから電力が供給されるため、バッテリの負担が少なくなり、バッテリ容量の急激な低下やバッテリの劣化を抑制し、負荷全体を燃料電池とバッテリで効率よく分担して安定した走行を確保することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000010076 【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月21日(1999.9.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100284 【弁理士】 【氏名又は名称】荒井 潤
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| 【公開番号】 |
特開2001−95107(P2001−95107A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月6日(2001.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−267319 |
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