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【発明の名称】 燃料電池を搭載した車両の補機駆動装置
【発明者】 【氏名】田端 淳

【要約】 【課題】補機駆動用に燃料電池を含む複数のエネルギ出力源を備える車両において、各エネルギ出力源の出力の適切な使い分けを行う。

【解決手段】車両にエンジン、燃料電池、バッテリをエネルギ出力源として搭載する。エンジンから出力される動力で補機を駆動可能とする。また、燃料電池およびバッテリの電力を用いてモータを駆動することによっても補機を駆動可能とする。かかる構成において、イグニッションスイッチがオンになっている場合はエンジン、燃料電池、バッテリの優先順位で補機を駆動する。その他の場合には燃料電池、バッテリの優先順位で補機を駆動する。こうすることで車両の運転効率および環境性の向上を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両に搭載された補機の駆動用に燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源の一部について出力可否を指定する選択手段と、該選択手段の操作状態に応じて予め設定された優先順位で、それぞれのエネルギ出力源を補機の駆動に供する状態で運転するエネルギ出力源制御手段とを備える補機駆動装置。
【請求項2】 請求項1記載の補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源制御手段は、前記選択手段が前記エネルギ出力源の出力を禁止する操作状態にある場合には、前記燃料電池を優先的に運転する手段である補機駆動装置。
【請求項3】 請求項1記載の補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源のうち燃料電池を除くものの少なくとも一部は、前記車両の移動に供されるエネルギをも出力するエネルギ出力源であり、前記選択手段が前記エネルギ出力源の出力を許可する操作状態にある場合には、前記燃料電池以外のエネルギ出力源の少なくとも一部を前記燃料電池よりも優先して運転する手段である補機駆動装置。
【請求項4】 車両に搭載された補機の駆動用に燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源の少なくとも一部は、前記車両の移動に供されるエネルギをも出力する移動エネルギ出力源であり、前記移動エネルギ出力源の少なくとも一部の運転可否を指定する選択手段と、該選択手段の操作状態に応じて予め設定された優先順位で、それぞれのエネルギ出力源を補機の駆動に供する状態で運転するエネルギ出力源制御手段とを備える補機駆動装置。
【請求項5】 請求項4記載の補機駆動装置であって、前記選択手段は、前記移動エネルギ出力源のうち燃料電池を除く一部のものについて運転可否を指定する選択手段であり、前記エネルギ出力源制御手段は、前記選択手段の操作状態が前記少なくとも一部のエネルギ出力源の運転を禁止する状態にある条件下では前記燃料電池を優先的に運転する手段である補機駆動装置。
【請求項6】 請求項5記載の補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源は、燃料電池、熱機関、蓄電手段であり、前記選択手段は前記熱機関の運転可否を指定する選択手段である補機駆動装置。
【請求項7】 請求項4記載の補機駆動装置であって、前記選択手段は、前記移動エネルギ出力源のうち燃料電池を除く一部のものについて運転可否を指定する選択手段であり、前記エネルギ出力源制御手段は、前記選択手段の操作状態が前記少なくとも一部のエネルギ出力源の運転を許可する状態にある条件下では前記燃料電池以外のエネルギ出力源の少なくとも一部を前記燃料電池よりも優先して補機の駆動に供する手段である補機駆動装置。
【請求項8】 請求項7記載の補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源は、燃料電池、熱機関、蓄電手段であり、前記選択手段は前記熱機関の運転可否を指定する選択手段であり、前記エネルギ出力源制御手段は、前記条件下では前記熱機関、燃料電池、蓄電手段の優先順位で補機の駆動に供する手段である補機駆動装置。
【請求項9】 車両に搭載された補機の駆動用に燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える補機駆動装置であって、前記補機は前記車両の空調装置を含み、前記エネルギ出力源を前記空調装置の駆動に使用する際の優先順位を、該車両の運転者が指示するための優先順位入力手段と、少なくとも前記空調装置については、該優先順位に従って前記エネルギ出力源を制御して前記補機を駆動する補機駆動制御手段とを備える補機駆動装置。
【請求項10】 請求項11記載の補機駆動装置であって、前記優先順位入力手段は、予め設定された複数の運転モードから任意の運転モードを選択することに前記優先順位を指示する手段であり、該運転モードには、少なくとも前記燃料電池の優先度が最も高くなる運転モードが含まれている補機駆動装置。
【請求項11】 請求項12記載の補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源には、少なくとも燃料電池と熱機関とが含まれ、前記補機駆動制御手段は、前記燃料電池の優先度が最も高くなる運転モードが選択されている場合には、該燃料電池の運転が不能となった後においても前記熱機関の運転を禁止する条件下で、前記エネルギ出力源の駆動を制御する手段である補機駆動装置。
【請求項12】 車両の移動および補機の駆動のために、燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える車両であって、前記エネルギ出力源のうち前記車両の移動に供されるエネルギをも出力する移動エネルギ出力源であり、前記移動エネルギ出力源の少なくとも一部の運転可否を指定する選択手段と、該選択手段の操作状態に応じて予め設定された優先順位で、それぞれのエネルギ出力源を補機の駆動に供する状態で運転する補機駆動制御手段とを備える車両。
【請求項13】 車両に搭載された補機の駆動用に燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える補機駆動装置であって、前記補機は前記車両の空調装置を含み、前記エネルギ出力源を制御して前記空調装置を駆動する前記補機駆動制御手段と、車内に外気を導入する開口部を開閉する開閉手段と、前記エネルギ出力源の全てが前記空調装置に要するエネルギを出力不能な状態にあるか否かを検出する手段と、該出力不能な状態が検出された場合には、前記開口部の開口状態を制御する開閉制御手段とを備える車両。
【請求項14】 車両に搭載された燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源の運転状態を制御する制御方法であって、(a) 前記車両の移動に供するエネルギと、前記車両に搭載された補機の駆動に供するエネルギの双方の出力に適用されるエネルギ出力源の少なくとも一部の運転可否を指定する選択手段の操作状態を検出する工程と、(b) 前記車両に搭載された補機の駆動に供するエネルギの出力に適用されるエネルギ出力源について、該補機の駆動に供するエネルギを出力するように該選択手段の操作状態に応じて予め設定された優先順位で各エネルギ出力源を運転する工程とを備える制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池のエネルギを少なくとも利用して車両の補機を駆動する駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両には空調装置やパワーステアリング装置などの補機が搭載されている。従来、これらの補機は、主としてエンジンの動力を利用して駆動されていた。補機の中には空調装置などエンジン停止中にも駆動することが望まれるものもある。これらについては、従来、バッテリを電源として駆動されていた。
【0003】一方、近年、電源の一つとして燃料電池を搭載した車両が提案されている。燃料電池とは、燃料として最終的に供給される水素の酸化により発電を行う装置をいい、高効率で発電できる特長がある。また、燃料電池から排出されるのは、水蒸気であり、有害な成分が含まれないため環境性に非常に優れるという利点もある。燃料電池は電動機と接続され、車両の走行に必要な動力を出力する用途に使用される他、補機を駆動する動力源としても活用される。燃料電池を用いて補機を駆動すれば、エンジンを停止している状態で補機を駆動する際の効率を向上することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、燃料電池は、昨今開発が行われている装置である。従って、燃料電池を含む複数のエネルギ出力源が車両に搭載されている場合に、各エネルギ出力源の有する特長を活かした運転を実現することが十分検討されていなかった。特に、燃料電池は電気的エネルギを出力する点で二次電池と共通するものの、二次電池と異なり不可逆的なエネルギ出力源である特徴がある。二次電池はハイブリッド車両の走行中においても充電によりエネルギ状態を回復することができるのに対し、燃料電池は燃料を外部から補給しないことには、発電能力を回復することができない。また、燃料電池は応答性が低いという特性も有している。
【0005】従来の燃料電池を搭載した車両では、燃料電池を含む複数のエネルギ出力源をどのように活用すべきかという点について十分検討されてはいなかった。特に補機の駆動についてはほとんど検討がなされていなかった。車両に搭載されているエネルギ出力源は、少なくとも一部が補機の駆動と車両の走行に供されるのが通常である。補機を駆動する際の効率および環境性を向上するためには、車両の走行に供されるエネルギ出力源の運転状態をも考慮して、各エネルギ出力源の運転を制御する必要がある。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、燃料電池を搭載した車両の補機駆動装置において、各エネルギ出力源を適切に使い分け、補機駆動時の効率および環境性を向上する技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上述の課題を解決するために、本発明は次の構成を採った。本発明の第1の補機駆動装置は、車両に搭載された補機の駆動用に燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源の一部について出力可否を指定する選択手段と、該選択手段の操作状態に応じて予め設定された優先順位で、それぞれのエネルギ出力源を補機の駆動に供する状態で運転するエネルギ出力源制御手段とを備えることを要旨とする。選択手段としては、スイッチ、レバー、タッチパネルなど種々の機構を適用可能である。また、音声による指示に基づいて選択する機構を適用してもよい。
【0007】かかる補機駆動装置によれば、上記選択手段の操作状態に応じてエネルギ出力源の優先順位を切り替えて補機を駆動することができる。エネルギ出力源とは、機械的エネルギおよび電気的エネルギなど種々の形態でエネルギを出力する源を意味する。燃料電池は電気的エネルギを出力するエネルギ出力源に相当する。機械的エネルギを出力するエネルギ出力源としては、例えば熱機関が挙げられる。また、補機とは車両の動力系統には含まれないものの、車両の運転時に動作させる必要がある種々の機器をいう。例えば、いわゆるパワーステアリング装置や空調機器などが補機に相当する。
【0008】エネルギ出力源の一部についての出力可否は車両の走行可否と関連があるため、上記選択手段の操作状態に応じて補機駆動時にエネルギ出力源の優先順位を切り替えることにより、車両の移動に要するエネルギに応じて補機の駆動を柔軟に制御することができる。この結果、補機を駆動する際の効率および環境性を、車両の移動に要するエネルギに応じてそれぞれ向上することが可能となる。かかる選択手段としては、たとえばイグニッション選択手段などを適用することができる。
【0009】なお、ハイブリッドシステムにおいては、単位時間当たりのエネルギを考慮して運転の制御がなされることが多い。従って、本明細書において、エネルギという用語は、特に断らない限り、単位時間当たりのエネルギを意味するものとする。従って、本明細書では、エネルギは、原則として動力および電力と同義の用語である。
【0010】かかる補機駆動装置において、前記エネルギ出力源制御手段は、前記選択手段が前記エネルギ出力源の出力を禁止する操作状態にある場合には、前記燃料電池を優先的に運転する手段であるものとすることができる。既に述べた通り、燃料電池は運転効率および環境性の双方で優れたエネルギ出力源である。従って、上記構成の補機駆動装置によれば、移動に要するエネルギが要求されていない状況下において、補機駆動の効率および環境性を向上することができる。
【0011】また、前記エネルギ出力源のうち燃料電池を除くものの少なくとも一部は、前記車両の移動に供されるエネルギをも出力するエネルギ出力源であり、前記選択手段が前記エネルギ出力源の出力を許可する操作状態にある場合には、前記燃料電池以外のエネルギ出力源の少なくとも一部を前記燃料電池よりも優先して運転する手段であるものとすることもできる。
【0012】かかる状況下では、移動に要するエネルギ出力源を考慮して、補機を駆動するためのエネルギ出力源を選択することが望ましい。上記構成の補機駆動装置によれば、かかる状況下において、燃料電池を使用する優先順位を下げる。こうすることにより、例えば車両の移動のために運転されるエネルギ出力源からのエネルギを利用して補機を駆動することができ、燃料電池の使用を抑制することができる。この結果、FC燃料の消費を抑制することができる。FC燃料の消費を抑制することにより、車両の運転状態等が燃料電池を有効に活用できる状態にある場合に備えて燃料電池の発電能力を確保することができ、全体として運転効率、環境性を向上することができる。なお、上記構成の補機駆動装置は、燃料電池の優先順位を下げるものの、車両に搭載された複数のエネルギ出力源の中で優先順位を最も低くしたものには限られない。
【0013】本発明の補機駆動装置は、次の構成を採ることもできる。本発明の第2の駆動装置は、車両に搭載された補機の駆動用に燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える補機駆動装置であって、前記エネルギ出力源の少なくとも一部は、前記車両の移動に供されるエネルギをも出力する移動エネルギ出力源であり、前記移動エネルギ出力源の少なくとも一部の運転可否を指定する選択手段と、該選択手段の操作状態に応じて予め設定された優先順位で、それぞれのエネルギ出力源を補機の駆動に供する状態で運転するエネルギ出力源制御手段とを備える補機駆動装置であることを要旨とする。
【0014】上記選択手段はエネルギ出力源のうち補機の駆動と車両の移動の双方に供されるものの運転可否を指定するものであり、車両の移動にも密接に関与している。従って、この選択手段の操作状態に応じて補機駆動時にエネルギ出力源の優先順位を切り替えることにより、車両の移動に要するエネルギに応じて補機の駆動を柔軟に制御することができる。この結果、補機を駆動する際の効率および環境性を、車両の移動に要するエネルギに応じてそれぞれ向上することが可能となる。
【0015】本発明における上記選択手段について、移動エネルギ出力源の少なくとも一部の運転可否を指定するとは、あくまでも原則的な運転の可否を指定することを意味する。例えば、この選択手段をオフすることで、あるエネルギ出力源Aの運転の禁止が指定されている場合を考える。かかる場合において、その他のエネルギ出力源の全てが使用不能になった場合などには、選択手段がオフになっているにも関わらず上記エネルギ出力源Aの運転を行う制御を適用する可能性がある。かかる場合であっても、上記選択手段をオフにすることにより、エネルギ出力源Aの運転を原則として禁止していることに変わりない。本明細書における運転の可否の指定とは、このような制御を適用する場合も含んでおり、上述の通り、エネルギ出力源の原則的な運転可否を指定することを意味している。かかる選択手段としては、種々考えられるが、例えば、熱機関をエネルギ出力源として搭載している場合には、いわゆるイグニッション選択手段が上述の選択手段に相当する。
【0016】本発明の補機駆動装置において、前記選択手段は、前記移動エネルギ出力源のうち燃料電池を除く一部のものについて運転可否を指定する選択手段であり、前記エネルギ出力源制御手段は、前記選択手段の操作状態が前記少なくとも一部のエネルギ出力源の運転を禁止する状態にある条件下では前記燃料電池を優先的に運転する手段である補機駆動装置。
【0017】上述の条件が成立している場合には、車両の移動に供されるエネルギ出力源のうち上記選択手段に対応したものの運転が原則として禁止される。つまり、選択手段が上記状態にある場合には、車両を移動するためのエネルギの出力が要求されない可能性が高い状態に相当する。かかる状況下では、移動に要するエネルギ出力源を考慮することなく補機を駆動するためのエネルギ出力源を選択することができる。上記構成の補機駆動装置では、こうした状況に対応して燃料電池を優先して使用する。既に述べた通り、燃料電池は運転効率および環境性の双方で優れたエネルギ出力源である。従って、上記構成の補機駆動装置によれば、移動に要するエネルギが要求されていない状況下において、補機駆動の効率および環境性を向上することができる。
【0018】このように燃料電池を優先的に使用する補機駆動装置においては、前記エネルギ出力源は、燃料電池、熱機関、蓄電手段であり、前記選択手段は前記熱機関の運転可否を指定する選択手段であるものとすることができる。もちろん、かかる構成に限定されるものではない。
【0019】上記構成によれば、エネルギ出力源として燃料電池、熱機関、蓄電手段の3種類を備え、熱機関の運転が禁止されている場合には、燃料電池の運転を優先する。従って、かかる状況下では、燃料電池、蓄電手段の順に補機駆動に供されることになる。既に述べた通り、熱機関は原則的に運転が禁止されているに過ぎないから、例えば蓄電手段が使用不能になった場合などの条件下で熱機関を運転するものとしてもよい。なお、熱機関としては種々のエンジン、蓄電手段としては二次電池やキャパシタなどを適用することができる。また、こうした具体的な優先順位は、先に示した第1の駆動装置にも適用可能である。
【0020】本発明の補機駆動装置において、前記選択手段は、前記移動エネルギ出力源のうち燃料電池を除く一部のものについて運転可否を指定する選択手段であり、前記エネルギ出力源制御手段は、前記選択手段の操作状態が前記少なくとも一部のエネルギ出力源の運転を許可する状態にある条件下では前記燃料電池以外のエネルギ出力源の少なくとも一部を前記燃料電池よりも優先して補機の駆動に供する手段であるものとすることができる。
【0021】先に上記選択手段に対応したエネルギ出力源の運転が禁止されている場合について説明した。逆に、このエネルギ出力源の運転が許可されている状態にある場合には、車両を移動するためのエネルギの出力が要求されている可能性が高い状態に相当する。上記構成の補機駆動装置によれば、かかる状況下で、燃料電池を使用する優先順位を下げることにより、燃料電池の使用を抑制することができ、車両の運転効率、環境性を向上することができる。なお、上記構成の補機駆動装置は、燃料電池の優先順位を下げるものの、車両に搭載された複数のエネルギ出力源の中で優先順位を最も低くしたものには限られない。
【0022】このように燃料電池の優先順位を下げて使用する補機駆動装置においては、前記エネルギ出力源は、燃料電池、熱機関、蓄電手段であり、前記選択手段は前記熱機関の運転可否を指定する選択手段であり、前記エネルギ出力源制御手段は、前記条件下では前記熱機関、燃料電池、蓄電手段の優先順位で補機の駆動に供する手段であるものとすることができる。
【0023】燃料電池、熱機関、蓄電手段の3種類をエネルギ出力源として備える車両においては、熱機関が車両の移動中に主として使用されることが多い。従って、移動のための出力が要求される状況下では、熱機関を優先的に使用して補機を駆動することによりFC燃料の消費および蓄電手段の電力低減を抑制することができる。また、蓄電手段よりも燃料電池を優先することにより熱機関を補機の駆動に使用しない場合における効率および環境性を向上することができる。なお、上記構成においては、熱機関、蓄電手段、燃料電池の優先順位を取ることも可能である。また、こうした具体的な優先順位は、先に示した第1の駆動装置にも適用可能である。
【0024】また、本発明は第1の補機駆動装置と主要部を同一にする発明として、次の態様で構成することもできる。本発明の第3の補機駆動装置は、車両に搭載された補機の駆動用に燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える補機駆動装置であって、前記補機は前記車両の空調装置を含み、前記エネルギ出力源を前記空調装置の駆動に使用する際の優先順位を、該車両の運転者が指示するための優先順位入力手段と、少なくとも前記空調装置については、該優先順位に従って前記エネルギ出力源を制御して前記補機を駆動する補機駆動制御手段とを備えることを要旨とする。空調装置には、冷房および暖房の双方が含まれる。
【0025】かかる補機駆動装置によれば、空調装置を駆動する際に使用するエネルギ出力源を、各エネルギ出力源の状態や車両が置かれている環境を考慮して、柔軟に使い分けることができる。例えば、停車中など静粛性が求められる場合には、燃料電池の優先度を高くすることにより、静粛性を破ることなく空調装置を駆動することができる。暖房を行う場合には、燃料電池の熱を利用することにより空調効率を向上することができる利点もある。この場合、燃料電池で得られた電力は空調以外の用途に使用可能であるから、エネルギを無駄なく使用することができる。燃料電池はエネルギの出力効率が高いエネルギ出力源として知られているから、冷房を行う場合の効率も向上することができる。燃料電池を優先すれば、空調装置を駆動する際の環境性も向上することができる。一方、燃料電池用のFC燃料が残り少ない場合には、その優先順位を低くすることにより、FC燃料の無駄な消費を避けることもできる。このように優先順位を任意に設定可能とすることにより、空調の快適性を確保しつつ、エネルギ出力源を柔軟に使い分けることができる。
【0026】第3の補機駆動装置において、前記優先順位入力手段は、予め設定された複数の運転モードから任意の運転モードを選択することに前記優先順位を指示する手段であり、該運転モードには、少なくとも前記燃料電池の優先度が最も高くなる運転モードが含まれているものとすることができる。
【0027】こうすれば、予め設定された運転モードから選択することにより、容易に優先順位を指定することができる。また、燃料電池を最優先する運転モードを含めておけば、静粛性、環境性、空調時の効率面で非常に有用性が高い。
【0028】上述の運転モードを備える補機駆動装置では、前記エネルギ出力源には、少なくとも燃料電池と熱機関とが含まれ、前記補機駆動制御手段は、前記燃料電池の優先度が最も高くなる運転モードが選択されている場合には、該燃料電池の運転が不能となった後においても前記熱機関の運転を禁止する条件下で、前記エネルギ出力源の駆動を制御する手段であるものとすることもできる。
【0029】燃料電池の優先使用が要求される時は、静粛性、環境性が求められる場合が多い。従って、かかる運転モードでは、熱機関の運転を禁止するものとしておけば、空調の快適性を犠牲にすることがあるものの、空調時の静粛性、環境性を確保することができる。運転者が、熱機関による空調装置の駆動を望む場合には、改めて熱機関を優先した運転モードを指定すれば済むため、不快な状態を運転者に必要以上に強いることもない。このように上述の制御によれば、静粛性、環境性が燃料電池よりも劣る熱機関が急に運転を開始することを回避できる。
【0030】本発明は、上述した補機駆動装置と主要部を同一にする種々の構成を取ることができ、例えば、以下に示す車両として構成することができる。即ち、本発明の車両は、車両の移動および補機の駆動のために、燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える車両であって、前記エネルギ出力源のうち前記車両の移動に供されるエネルギをも出力する移動エネルギ出力源であり、前記移動エネルギ出力源の少なくとも一部の運転可否を指定する選択手段と、該選択手段の操作状態に応じて予め設定された優先順位で、それぞれのエネルギ出力源を補機の駆動に供する状態で運転する補機駆動制御手段とを備える車両である。かかる車両によれば、先に補機駆動装置で説明したのと同様の作用により、エネルギ出力源の適切な使い分けを実現することができる。もちろん、車両として構成する場合も補機駆動装置で説明した種々の付加的要素をも考慮することができる。
【0031】本発明は、車両に搭載された補機の駆動用に燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源を備える補機駆動装置であって、前記補機は前記車両の空調装置を含み、前記エネルギ出力源を制御して前記空調装置を駆動する前記補機駆動制御手段と、車内に外気を導入する開口部を開閉する開閉手段と、前記エネルギ出力源の全てが前記冷房装置に要するエネルギを出力不能な状態にあるか否かを検出する手段と、該出力不能な状態が検出された場合には、前記開口部の開口状態を制御する開閉制御手段とを備える車両として構成することもできる。
【0032】かかる車両は、具体的な態様の一つとして空調装置に本発明を適用した場合に相当する。上記構成によれば、既に説明した通り、車両の移動に供されるエネルギ出力源を考慮しつつエネルギ出力源を適切に使い分けて空調装置を駆動することができる。また、上記構成によれば、全てのエネルギ出力源が空調装置の駆動に供することができなくなった場合には、開口部を開くことにより、車両の温度上昇を抑制することができる。なお、ここで空調装置とは冷房装置およびファンなど暖房装置以外の装置を意味する。
【0033】開口部の開閉はいずれか適用可能なエネルギ出力源を用いて行う。この際のエネルギ出力源は先に説明した優先順位に関わらず選択することができる。一般には冷房装置の駆動に要するエネルギ量よりも開口部の開閉に要するエネルギは低いため、空調装置を駆動不能になった場合でも開口部の開閉は可能である。開口部としては、例えば、車両の窓が挙げられる。また、上記制御に適用する外気導入口を設けるものとしてもよい。当然、上記制御においては空調装置を駆動不能になった直後に開口部を開閉するものとしてもよいし、空調装置を駆動不能になった後、車内の温度が所定以上に上昇した場合に開口部を開閉するものとしてもよい。
【0034】また、本発明は、以下に示すエネルギ出力源の制御方法として構成することもできる。即ち、本発明の制御方法は、車両に搭載された燃料電池を含む2種類以上のエネルギ出力源の運転状態を制御する制御方法であって、(a) 前記車両の移動に供するエネルギと、前記車両に搭載された補機の駆動に供するエネルギの双方の出力に適用されるエネルギ出力源の少なくとも一部の運転可否を指定する選択手段の操作状態を検出する工程と、(b) 前記車両に搭載された補機の駆動に供するエネルギの出力に適用されるエネルギ出力源について、該補機の駆動に供するエネルギを出力するように該選択手段の操作状態に応じて予め設定された優先順位で各エネルギ出力源を運転する工程とを備える制御方法である。
【0035】かかる制御方法によれば、先に補機駆動装置で説明したのと同様の作用により、補機を駆動する際の効率および環境性を向上することができる。なお、上記構成は、補機駆動装置にエネルギを出力するエネルギ出力源の制御方法として示したが、補機駆動装置自体の制御方法として構成することもできることはいうまでもない。また、上記制御方法においても、先に補機駆動装置で示した種々の付加的要素を考慮することができることも当然である。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、ハイブリッド車両に適用した場合の実施例に基づいて説明する。
(1)装置の構成:図1は実施例としてのハイブリッド車両の概略構成図である。本実施例のハイブリッド車両の動力源は、エンジン10とモータ20である。図示する通り、本実施例のハイブリッド車両の動力系統は、上流側からエンジン10、入力クラッチ18、モータ20、トルクコンバータ30、および変速機100を直列に結合した構成を有している。即ち、エンジン10のクランクシャフト12は、入力クラッチ18を介してモータ20に結合されている。入力クラッチ18をオン・オフすることにより、エンジン10からの動力の伝達を断続することができる。モータ20の回転軸13は、また、トルクコンバータ30にも結合されている。トルクコンバータの出力軸14は変速機100に結合されている。変速機100の出力軸15はディファレンシャルギヤ16を介して車軸17に結合されている。以下、それぞれの構成要素について順に説明する。
【0037】エンジン10は通常のガソリンエンジンである。但し、エンジン10は、ガソリンと空気の混合気をシリンダに吸い込むための吸気バルブ、および燃焼後の排気をシリンダから排出するための排気バルブの開閉タイミングを、ピストンの上下運動に対して相対的に調整可能な機構を有している(以下、この機構をVVT機構と呼ぶ)。VVT機構の構成については、周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。エンジン10は、ピストンの上下運動に対して各バルブが遅れて閉じるように開閉タイミングを調整することにより、いわゆるポンピングロスを低減することができる。この結果、エンジン10をモータリングする際にモータ20から出力すべきトルクを低減させることもできる。ガソリンを燃焼して動力を出力する際には、VVT機構は、エンジン10の回転数に応じて最も燃焼効率の良いタイミングで各バルブが開閉するように制御される。
【0038】モータ20は、三相の同期モータであり、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ22と、回転磁界を形成するための三相コイルが巻回されたステータ24とを備える。モータ20はロータ22に備えられた永久磁石による磁界とステータ24の三相コイルによって形成される磁界との相互作用により回転駆動する。また、ロータ22が外力によって回転させられる場合には、これらの磁界の相互作用により三相コイルの両端に起電力を生じさせる。なお、モータ20には、ロータ22とステータ24との間の磁束密度が円周方向に正弦分布する正弦波着磁モータを適用することも可能であるが、本実施例では、比較的大きなトルクを出力可能な非正弦波着磁モータを適用した。
【0039】モータ20の電源としては、バッテリ50と燃料電池システム60とが備えられている。但し、主電源は燃料電池システム60である。バッテリ50は燃料電池システム60が故障した場合や十分な電力を出力することができない過渡的な運転状態にある場合などに、これを補完するようモータ20に電力を供給する電源として使用される。バッテリ50の電力は、主としてハイブリッド車両の制御を行う制御ユニット70や、照明装置などの電力機器に主として供給される。
【0040】モータ20と各電源との間には、接続状態を切り替えるための切替スイッチ84が設けられている。切替スイッチ84は、バッテリ50,燃料電池システム60,モータ20の3者間の接続状態を任意に切り替えることができる。ステータ24は切替スイッチ84および駆動回路51を介してバッテリ50に電気的に接続される。また、切替スイッチ84および駆動回路52を介して燃料電池システム60に接続される。駆動回路51,52は、それぞれトランジスタインバータで構成されており、モータ20の三相それぞれに対して、ソース側とシンク側の2つを一組としてトランジスタが複数備えられている。これらの駆動回路51,52は、制御ユニット70と電気的に接続されている。制御ユニット70が駆動回路51,52の各トランジスタのオン・オフの時間をPWM制御するとバッテリ50および燃料電池システム60を電源とする擬似三相交流がステータ24の三相コイルに流れ、回転磁界が形成される。モータ20は、かかる回転磁界の作用によって、先に説明した通り電動機または発電機として機能する。
【0041】図2は燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。燃料電池システム60は、メタノールを貯蔵するメタノールタンク61、水を貯蔵する水タンク62、燃焼ガスを発生するバーナ63、空気の圧縮を行なう圧縮機64、バーナ63と圧縮機64とを併設した蒸発器65、改質反応により燃料ガスを生成する改質器66、燃料ガス中の一酸化炭素(CO)濃度を低減するCO低減部67、電気化学反応により起電力を得る燃料電池60Aを主な構成要素とする。これらの各部の動作は、制御ユニット70により制御される。
【0042】燃料電池60Aは、固体高分子電解質型の燃料電池であり、電解質膜、カソード、アノード、およびセパレータとから構成されるセルを複数積層して構成されている。電解質膜は、例えばフッ素系樹脂などの固体高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。カソードおよびアノードは、共に炭素繊維を織成したカーボンクロスにより形成されている。セパレータは、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンなどガス不透過の導電性部材により形成されている。カソードおよびアノードとの間に燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する。
【0043】燃料電池システム60の各構成要素は次の通り接続されている。メタノールタンク61は配管で蒸発器65に接続されている。配管の途中に設けられたポンプP2は、流量を調整しつつ、原燃料であるメタノールを蒸発器65に供給する。水タンク62も同様に配管で蒸発器65に接続されている。配管の途中に設けられたポンプP3は、流量を調整しつつ、水を蒸発器65に供給する。メタノールの配管と、水の配管とは、それぞれポンプP2,P3の下流側で一つの配管に合流し、蒸発器65に接続される。
【0044】蒸発器65は、供給されたメタノールと水とを気化させる。蒸発器65には、バーナ63と圧縮機64とが併設されている。蒸発器65は、バーナ63から供給される燃焼ガスによってメタノールと水とを沸騰、気化させる。バーナ63の燃料は、メタノールである。メタノールタンク61は、蒸発器65に加えてバーナ63にも配管で接続されている。メタノールは、この配管の途中に設けられたポンプP1により、バーナ63に供給される。バーナ63には、また、燃料電池60Aでの電気化学反応で消費されずに残った燃料排ガスも供給される。バーナ63は、メタノールと燃料排ガスのうち、後者を主として燃焼させる。バーナ63の燃焼温度はセンサT1の出力に基づいて制御されており、約800℃から1000℃に保たれる。バーナ63の燃焼ガスは、蒸発器65に移送される際にタービンを回転させ、圧縮機64を駆動する。圧縮機64は、燃料電池システム60の外部から空気を取り込んでこれを圧縮し、この圧縮空気を燃料電池60Aの陽極側に供給する。
【0045】蒸発器65と改質器66とは配管で接続されている。蒸発器65で得られた原燃料ガス、即ちメタノールと水蒸気の混合ガスは、改質器66に搬送される。改質器66は、供給されたメタノールと水とからなる原燃料ガスを改質して水素リッチな燃料ガスを生成する。なお、蒸発器65から改質器66への搬送配管の途中には、温度センサT2が設けられており、この温度が通常約250℃の所定値になるようにバーナ63に供給するメタノール量が制御される。なお、改質器66における改質反応では酸素が関与する。この改質反応に必要な酸素を供給するために、改質器66には外部から空気を供給するためのブロワ68が併設されている。
【0046】改質器66とCO低減部67とは配管で接続されている。改質器66で得られた水素リッチな燃料ガスは、CO低減部67に供給される。改質器66での反応課程において、通常は燃料ガスに一酸化炭素(CO)が一定量含まれる。CO低減部67は、この燃料ガス中の一酸化炭素濃度を低減させる。固体高分子型の燃料電池では、燃料ガス中に含まれる一酸化炭素が、アノードにおける反応を阻害して燃料電池の性能を低下させてしまうからである。CO低減部67は、燃料ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素へと酸化することにより、一酸化炭素濃度を低減させる。
【0047】CO低減部67と燃料電池60Aのアノードとは配管で接続されている。一酸化炭素濃度が下げられた燃料ガスは、燃料電池60Aの陰極側における電池反応に供される。また、先に説明した通り、燃料電池60Aのカソード側には圧縮された空気を送り込むための配管が接続されている。この空気は、酸化ガスとして燃料電池60Aの陽極側における電池反応に供される。
【0048】以上の構成を有する燃料電池システム60は、メタノールと水を用いた化学反応によって電力を供給することができる。本実施例では、メタノールタンク61,水タンク62内のメタノールおよび水の残量に応じて、燃料電池の運転状態を制御する。かかる制御を実現するため、それぞれのタンクには、容量センサ61a、62aが設けられている。なお、本実施例では、メタノールおよび水を用いる燃料電池システム60を搭載しているが、燃料電池システム60は、これに限定されず、ガソリン・天然ガス改質や、純水素を用いるもの等、種々の構成を適用することができる。
【0049】なお、以下の説明では燃料電池システム60をまとめて燃料電池60と称するものとする。また、燃料電池での発電に使用されるメタノールおよび水を総称してFC燃料と呼ぶものとする。両者の容量は常に同一とは限らない。以下の説明においてFC燃料量というときは、燃料電池での発電に制約を与える側の容量を意味するものとする。つまり、メタノールおよび水のうち、発電を継続した場合に先に不足する側の容量を意味するものとする。
【0050】トルクコンバータ30は、流体を利用した周知の動力伝達機構である。トルクコンバータ30の入力軸、即ちモータ20の出力軸13と、トルクコンバータ30の出力軸14とは機械的に結合されてはおらず、互いに滑りをもった状態で回転可能である。また、トルクコンバータ30には、両回転軸の滑りが生じないよう、所定の条件下で両者を結合するロックアップクラッチも設けられている。ロックアップクラッチのオン・オフは制御ユニット70により制御される。
【0051】変速機100は、内部に複数のギヤ、クラッチ、ワンウェイクラッチ、ブレーキ等を備え、変速比を切り替えることによってトルクコンバータ30の出力軸14のトルクおよび回転数を変換して出力軸15に伝達可能な機構である。本実施例では前進5段、後進1段の変速段を実現可能な変速機を適用した。変速機100の変速段は、制御ユニット70が車速等に応じて設定する。運転者は、車内に備えられたシフトレバーを手動で操作し、シフトポジションを選択することによって、使用される変速段の範囲を変更することが可能である。
【0052】本実施例のハイブリッド車両では、エンジン10などのエネルギ出力源から出力される動力は、補機の駆動にも用いられる。図1に示す通り、エンジン10には補機駆動装置82が結合されている。図3は補機を駆動するための動力系統の構成を示す説明図である。エンジン10などの動力を利用して駆動されるものが補機駆動装置82に含まれる。車両には種々の補機が搭載されているが、ここではエアコンのコンプレッサ82aやパワーステアリング用の油圧ポンプ82bを例示した。補機駆動装置82は、具体的にはエンジン10のクランクシャフトに補機クラッチ19を介して設けられたプーリにベルトを介して結合されており、クランクシャフトの回転動力によって駆動される。エアコン用のコンプレッサ82aは車両の運転席に設けられた冷房スイッチ85がオンになっている場合に運転される。図示する通り、制御ユニット70が冷房スイッチ85のオン・オフを検出し、その結果に応じてコンプレッサ82aの運転を制御するのである。
【0053】補機駆動装置82には、また、補機駆動用モータ80も結合されている。補機駆動用モータ80は、切替スイッチ83を介して燃料電池60およびバッテリ50に接続されている。補機駆動用モータ80は、モータ20と同様の構成を有しており、エンジン10の動力によって運転され、発電を行うことができる。補機駆動用モータ80で発電された電力はバッテリ50に充電することができる。また、補機駆動用モータ80は、バッテリ50および燃料電池60から電力の供給を受けて力行することもできる。本実施例のハイブリッド車両は、後述する通り、所定の条件下では、エンジン10の運転が停止される。補機駆動用モータ80を力行すれば、エンジン10が停止している時でも補機駆動装置82を駆動することができる。もちろん、エンジン10が停止している場合に、入力クラッチ18をオフにして、モータ20の動力で補機駆動装置82を駆動するものとしてもよい。補機駆動用モータ80で補機を駆動する際には、負担を軽減するために、エンジン10と補機駆動装置82との間の補機クラッチ19を解放する。
【0054】図3には併せて窓を開閉するためのウィンドモータ90を示した。ウィンドモータ90は窓91を開閉するための直流モータであり、バッテリ50を電源として駆動する。その動作は制御ユニット70により制御される。なお、本明細書では、エンジン10の動力をも利用可能な器機を補機と呼ぶ。ウィンドモータ90は直接的にはエンジン10の動力を利用不能であるため、厳密には補機に含まない。図3に併せて変速機100の油圧を発生させるAT電動オイルポンプ102を示した。このポンプ102もバッテリ50により駆動され、エンジン10の動力を利用不能である点でウィンドモータ90と共通する。
【0055】本実施例のハイブリッド車両には、図1に示す通りイグニッションスイッチ88が設けられている。イグニッションスイッチ88はオフ、オン、アクセサリの3段階の位置に操作することができる。イグニッションスイッチ88がオフになっているときは、エネルギ出力源、即ちエンジン10、燃料電池60、バッテリ50からはエネルギが出力されず、補機を含め図1〜3で示した各要素は作動しない状態となる。イグニッションスイッチ88をオンにすると、エネルギ出力源の運転が行われる。但し、ハイブリッド車両では、後述する通り、必ずしもエンジン10の始動が必要とは限らないため、イグニッションスイッチ88をオンにすることはエンジン10および燃料電池60の運転が許可された状態に相当する。イグニッションスイッチ88をオフにアクセサリにすると、エンジン10の運転が禁止される。但し、電源、即ち燃料電池60とバッテリ50の使用は可能である。
【0056】本実施例のハイブリッド車両では、エンジン10、モータ20、トルクコンバータ30、変速機100、補機駆動用モータ80等の運転を制御ユニット70が制御している(図1参照)。制御ユニット70は、内部にCPU、RAM,ROM等を備えるワンチップ・マイクロコンピュータであり、ROMに記録されたプログラムに従い、CPUが後述する種々の制御処理を行う。制御ユニット70には、かかる制御を実現するために種々の入出力信号が接続されている。図4は制御ユニット70に対する入出力信号の結線を示す説明図である。図中の左側に制御ユニット70に入力される信号を示し、右側に制御ユニット70から出力される信号を示す。
【0057】制御ユニット70に入力される信号は、種々のスイッチおよびセンサからの信号である。かかる信号には、例えば、ガソリン残量、FC燃料残量、燃料電池温度、エンジン10の回転数、エンジン10の水温、イグニッションスイッチ、バッテリ残容量SOC、バッテリ温度、車速、トルクコンバータ30の油温、シフトポジション、サイドブレーキのオン・オフ、フットブレーキの踏み込み量、エンジン10の排気を浄化する触媒の温度、アクセル開度、冷房スイッチ85のオン・オフ、車内温度などがある。制御ユニット70には、その他にも多くの信号が入力されているが、ここでは図示を省略した。
【0058】制御ユニット70から出力される信号は、エンジン10,モータ20,トルクコバータ30,変速機100等を制御するための信号である。かかる信号には、例えば、エンジン10の点火時期を制御する点火信号、燃料噴射を制御する燃料噴射信号、補機駆動用モータ80の運転を制御する補機駆動用モータ制御信号、モータ20の運転を制御するモータ制御信号、変速機100の変速段を切り替える変速機制御信号、入力クラッチ18及び補機クラッチ19の制御信号、エアコンコンプレッサや油圧ポンプの制御信号などの補機を制御する信号、ウィンドモータ90の制御信号、モータ20の電源の切替スイッチ84の制御信号、補機駆動用モータ80の電源の切替スイッチ83の制御信号、燃料電池システム60の制御信号などがある。制御ユニット70からは、その他にも多くの信号が出力されているが、ここでは図示を省略した。
【0059】(2)一般的動作:次に、本実施例のハイブリッド車両の一般的動作について説明する。先に図1で説明した通り、本実施例のハイブリッド車両は動力源としてエンジン10とモータ20とを備える。制御ユニット70は、車両の走行状態、即ち車速およびトルクに応じて両者を使い分けて走行する。両者の使い分けは予めマップとして設定され、制御ユニット70内のROMに記憶されている。
【0060】図5は車両の走行状態と動力源との関係を示す説明図である。図中の領域MGはモータ20を動力源として走行する領域である。領域MGの外側の領域は、エンジン10を動力源として走行する領域である。以下、前者をEV走行と呼び、後者をエンジン走行と呼ぶものとする。図1の構成によれば、エンジン10とモータ20の双方を動力源として走行することも可能ではあるが、本実施例では、かかる走行領域は設けていない。
【0061】図示する通り、本実施例のハイブリッド車両は、イグニッションスイッチ88がオンの状態で走行を開始すると、まずEV走行で発進する。かかる領域では、入力クラッチ18をオフにして走行する。EV走行により発進した車両が図5のマップにおける領域MGと領域EGの境界近傍の走行状態に達した時点で、制御ユニット70は、入力クラッチ18をオンにするとともに、エンジン10を始動する。入力クラッチ18をオンにすると、エンジン10はモータ20により回転させられる。制御ユニット70は、エンジン10の回転数が所定値まで増加したタイミングで燃料を噴射し点火する。こうしてエンジン10が始動して以後、領域EG内ではエンジン10のみを動力源として走行する。かかる領域での走行が開始されると、制御ユニット70は駆動回路51,52のトランジスタを全てシャットダウンする。この結果、モータ20は単に空回りした状態となる。
【0062】制御ユニット70は、このように車両の走行状態に応じて動力源を切り替える制御を行うとともに、変速機100の変速段を切り替える処理も行う。変速段の切り替えは動力源の切り替えと同様、車両の走行状態に予め設定されたマップに基づいてなされる。マップは、シフトポジションによっても相違する。図5にはDポジション、4ポジション、3ポジションに相当するマップを示した。このマップに示す通り、制御ユニット70は、車速が増すにつれて変速比が小さくなるように変速段の切り替えを実行する。
【0063】(3)空調制御処理:本実施例のハイブリッド車両は、走行中および停車中に図3で示した種々の補機等を駆動する。これらの制御は制御ユニット70が所定の制御処理ルーチンを実行することにより行っている。以下、補機駆動制御処理の一例として本実施例の冷房制御について説明する。
【0064】図6は冷房制御処理ルーチンのフローチャートである。車両が作動状態にある場合、換言すればイグニッションスイッチ88がオンまたはアクセサリの状態にある場合に実行される処理である。イグニッションスイッチ88がオフの状態にある場合には車両全体の作動が停止しているため、冷房制御処理も実行されない。この処理が開始されると、CPUは種々のセンサおよびスイッチの信号を入力する(ステップS10)。ここでは、図4で示した種々のセンサからの入力がなされるが、特に、イグニッションスイッチ88、冷房スイッチ85、車内温度、バッテリ残容量SOC、燃料電池用の残燃料量FCLなどが以後の処理に関与する。
【0065】次に、CPUは冷房スイッチ85がオンであるか否かを判定する(ステップS20)。冷房スイッチ85がオンでない場合には、冷房制御処理を実行する必要性がないため、何も処理を行うことなく、この制御処理ルーチンを終了する。
【0066】冷房スイッチ85がオンである場合には、次にイグニッションスイッチ88がオンであるか否かを判定する(ステップS30)。イグニッションスイッチ88がオンでない場合、即ちアクセサリの状態にある場合には、エンジン10の運転が禁止されている状態に相当する。駐車中に冷房したい場合などに相当する。イグニッションスイッチ88がオンである場合にはエンジン10の運転が許可された状態に相当する。前者の処理について説明した後、後者の処理について説明する。
【0067】イグニッションスイッチ88がオンでない場合、エンジン10の運転が許可されていないため、CPUは燃料電池60、バッテリ50の優先順位で電源を使い分けてコンプレッサ82aを駆動する処理を行う。かかる処理を実現するため、CPUはFC燃料の残量FCLが所定の値FL以上であるか否かを判定する(ステップS40)。燃料電池60によるエアコンのコンプレッサ82aの駆動可否を判定するのである。FC燃料が所定の値FL以上である場合には、燃料電池60の発電能力に余裕があると判定し、燃料電池60を電源としてコンプレッサ82aを駆動する処理を行う(ステップS50)。
【0068】このように上述の所定の値FLは、燃料電池60によるコンプレッサ82aの駆動可否の判断基準となる値であり、任意の値に設定可能である。FLを値0に設定すれば、FC燃料を完全に消費するまで燃料電池60を利用することになる。一般に冷房は車内の温度を快適に保つために運転者が任意に操作するものであるため、エネルギの使途としては車両の走行よりも重要性が低い。本実施例では、かかる観点から値FLは所定の正値とし、FC燃料に十分余裕がある場合にのみコンプレッサ82aの駆動に燃料電池60が使われるよう設定した。
【0069】ステップS40において、FC燃料が所定の値FLに満たない場合には、燃料電池60でのコンプレッサ82aの駆動を回避し、バッテリ50による駆動可否の判断に移行する。CPUはバッテリ50の残容量SOCが所定の値LO以上であるか否かを判定する(ステップS60)。残容量SOCがLO以上である場合には、バッテリ50の電力に余裕があると判断し、CPUはバッテリ50を電源としてコンプレッサ82aを駆動する(ステップS70)。残容量SOCが値LOに満たない場合には、バッテリ50の電力に余裕がないものと判断する。この処理は、イグニッションスイッチ88がオンでない状態で行われているため、エンジン10の運転は原則として禁止されているため、CPUはコンプレッサ82aの運転停止、即ち冷房の停止を行う(ステップS80)。
【0070】上述の値LOはバッテリ50によるコンプレッサ82aの運転の可否判断の基準となる値であり、任意に設定可能である。本実施例では燃料電池60で適用された基準値FLと同様の観点から、所定の正値に設定した。なお、上記処理においてバッテリ50の残容量SOCが所定値LOに満たない場合に直ちに冷房を停止するのではなく、運転者にエンジン10の運転の可否を求めるものとしてもよい。この上で、運転者がイグニッションスイッチ88を操作等してエンジン10の運転を許可すれば、エンジン10を運転してコンプレッサ82aを駆動することができる。
【0071】CPUはステップS80において冷房を停止した後、車内の室温が所定の値Thi以上であるか否かを判定する(ステップS90)。温度Thiは車両の乗員が不快に感じ始める程度の温度であり、以下の基準等に基づいて予め設定されている。温度Thiは、例えば、予め所定の一定値に設定しておくものとしてもよいし、冷房の設定温度に対する相対的な値で設定するものとしてもよいし、外気温との偏差で設定するものとしてもよい。その他種々の設定方法を適用することができる。
【0072】室温が温度Thi以上である場合には、乗員が不快に感じると判断されるため、CPUはウィンドモータ90を制御して窓を解放する処理を行う(ステップS100)。併せて、運転者に対し、燃料電池60およびバッテリ50の出力低下を報知する(ステップS100)。報知は種々の方法により行うことができるが、車外から認知可能な方法を採ることが望ましい。ステップS100は停車中に行われる処理であるため、運転者が車外にいる可能性もあるからである。かかる報知手段としては例えば、クラクションを鳴らしたり、ライトを点灯するなどの手段が考えられる。
【0073】なお、窓を開放する処理は、必ずしも行う必要はなく、省略するものとしてもよい。また、冷房を停止した場合には、室内温度に関わらず窓を解放するものとしてもよい。
【0074】ステップS30においてイグニッションスイッチ88がオンと判定された場合の処理について説明する。この場合は、エンジン10の運転が許可されているため、エンジン10、燃料電池60、バッテリ50の優先順位でエネルギ出力源を使い分け、コンプレッサ82aを駆動する処理を実行する。かかる処理を実現するため、CPUはまずエンジン10が運転中であるか否かを判定する(ステップS110)。エンジン10が運転中である場合には、その動力でコンプレッサ82aを駆動すればよいため、それ以上の処理を行うことなく冷房制御処理を終了する。
【0075】エンジン10が運転中でない場合には、FC燃料の残容量FCLが所定の値FL以上であるか否かを判定する(ステップS120)。燃料電池60によるエアコンのコンプレッサ82aの駆動可否を判定するのである。FC燃料が所定の値FL以上である場合には、燃料電池60の発電能力に余裕があると判定し、燃料電池60を電源としてコンプレッサ82aを駆動する処理を行う(ステップS130)。所定の値FLはステップS40と同じ値を用いた。もちろん、異なる値を用いることも可能である。
【0076】FC燃料が所定の値FLに満たない場合には、燃料電池60でのコンプレッサ82aの駆動を回避し、バッテリ50による駆動可否の判断に移行する。CPUはバッテリ50の残容量SOCが所定の値LO以上であるか否かを判定する(ステップS140)。残容量SOCがLO以上である場合には、バッテリ50の電力に余裕があると判断し、CPUはバッテリ50を電源としてコンプレッサ82aを駆動する(ステップS150)。判断基準となる値LOはステップS60と同じ値を用いた。もちろん、異なる値を用いることも可能である。
【0077】バッテリ50の残容量SOCが所定の値LOに満たない場合は、エンジン10を始動する(ステップS160)。イグニッションスイッチ88がオンになっている場合には、エンジン10の運転が許可されているため、エンジン10の動力でコンプレッサ82aを駆動するのである。イグニッションスイッチ88がオンになっている場合、通常、車両は走行中にある。従って、ステップS160の処理が行われるのは、車両の走行状態が図5に示した領域MGにおいてモータ20を動力源として走行している状態、または信号待ちなどで車両が停車している状態にある場合である。
【0078】以上で説明したハイブリッド車両によれば、イグニッションスイッチ88のオン・オフによってエネルギ出力源をコンプレッサ82aの駆動に供する優先順位を切り替える。イグニッションスイッチ88がオンでない場合には、走行のための動力が要求されていない状態に相当する。上記実施例では、かかる場合に燃料電池60を優先的に使用することにより、コンプレッサ82aを運転する際の効率および環境性を向上することができる。一方、イグニッションスイッチ88がオンの場合には、走行のための動力が要求されている状態に相当する。上記実施例では、かかる場合にはエンジン10を優先して使用する。つまり、車両の走行に主として使用されるエネルギ出力源を優先して使用する。こうすることにより、FC燃料の過度の消費を抑制することができ、燃料電池60をより有効性が高い場面で活用することができる。このようにイグニッションスイッチ88の操作状態に応じてエネルギ出力源の優先順位を切り替えることにより、コンプレッサ82aの駆動時に限らず全体として、それぞれ車両の効率および環境性を向上することができる。
【0079】また、上記ハイブリッド車両によれば、イグニッションスイッチ88がオンでない場合において、燃料電池60、バッテリ50を使用不能である場合には、窓を開放し、車内の換気が可能となる。また、これを外部から認知可能な方法で運転者に報知すると、運転者は燃料電池60、バッテリ50の電力低下を容易に知ることもできる。なお、上記実施例では、イグニッションスイッチ88の操作状態に応じて補機等の制御を行う場合を例示したが、必ずしもスイッチ88の操作状態に限定されるものではなく、例えばイグニッションスイッチ88をオン・オフするためのキーが挿入されているか否かを検出して制御するものとしてもよい。また、イグニッションスイッチ88以外に制御に関与する固有のスイッチを設けるものとしてもよい。この場合、エンジンなど一部のエネルギ出力源の運転可否を特定するスイッチとしてもよいし、シフトレバーがパーキングポジションにあるか否かに応じてオン・オフするスイッチ、サイドブレーキなど車両の走行可否を指定するスイッチを用いるものとしてもよい。
【0080】以上の説明では、エアコンのコンプレッサ82aを駆動する制御処理を例示した。本発明は、かかる制御処理に限らず、補機を駆動する種々の制御処理に適用することができる。例えば、上記制御処理中のコンプレッサ82aに代えて、油圧ポンプ82bを駆動するものとしてもよい。
【0081】(4)第2実施例:図7は第2実施例としてのハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。第2実施例のハイブリッド車両は、第1実施例とほぼ同じ構成を有している。第2実施例では、FC専用スイッチ88Aを備える点で第1実施例と相違する。FC専用スイッチ88Aは、押しボタン式のスイッチであり、補機、特に空調装置を駆動する際に使用する動力源の優先順位を指定するスイッチである。FC専用スイッチ88Aは、車内で運転者が操作可能な任意の部位に設けることができるが、第2実施例では操作性を考慮して、シフトレバー横に設けた。
【0082】第2実施例におけるFC専用スイッチ88Aの機能は、次の通りである。FC専用スイッチ88Aがオフ、即ち、押し込まれていない状態にあるときは、エンジン10も運転した状態で空調器機が駆動される。第2実施例では、暖房時には、燃料電池60とエンジン10とを駆動し、その熱で暖房を行う。換言すれば、燃料電池60とエンジン10とを同等の優先順位で使用して暖房を行うことになる。冷房時には、エンジン10のみを運転して、その動力でコンプレッサを駆動する。換言すれば、燃料電池60よりもエンジン10を優先的に使用して暖房を行うことになる。
【0083】FC専用スイッチ88Aがオン、即ち、押し込まれた状態にあるときは、暖房、冷房ともに燃料電池60のみを利用して空調機器が駆動される。換言すれば、燃料電池60を最優先して冷房を行うことになる。エンジン10の運転を禁止した状態で冷房を行う態様と言い換えることもできる。FC専用スイッチ88Aは、このように空調機器を運転するエネルギ源を運転者が使い分けるためのスイッチである。
【0084】図8は、第2実施例のハイブリッド車両における暖房機構の概略構成を示す説明図である。エンジン10および燃料電池60で発生する熱を冷媒、具体的には冷却水で室内ヒータ300まで運搬することにより、室内の暖房を行う機構を適用した。エンジン10の冷却水と燃料電池60の冷却水を個別に室内ヒータ300まで運搬する機構として構成することも可能ではあるが、第2実施例では、一つの系統で冷却水を運搬する機構を適用した。こうすることにより、暖房機構の小型化を図ることができる利点がある。なお、第1実施例でも同様の機構が備えられている。
【0085】図8に示す通り、暖房機構は、エンジン10、燃料電池60、室内ヒータ300を通って冷却水を環流させる流路303、その流路303内に冷却水を流す動力源となるポンプ301、流量を調整するためのバルブ302A、302B,302Cから構成されている。流路303は、エンジン10、燃料電池60、室内ヒータ300を環流する流路と、室内ヒータ300をバイパスして燃料電池60およびエンジン10との間を流れる流路とで構成される。バルブ302A、302B,302Cを全て閉状態とすれば、冷却水は流れない。バルブ302A、302Cを開,302Bを閉とすれば、冷却水はエンジン10から燃料電池60、室内ヒータ300を通って図中に矢印で示す方向に環流する。全バブルを開にすれば、バイパス流路にも冷却水が流れるため、室内ヒータ300に流れる冷却水の量を低減させることができる。
【0086】第2実施例のハイブリッド車両では、FC専用スイッチ88Aの状態に応じて燃料電池60,エンジン10の運転状態を切り替えて、暖房を行う。かかる制御について説明する。なお、この制御は、第1実施例と同様、制御ユニット70が実行する。
【0087】図9は、暖房制御処理ルーチンのフローチャートである。この処理では、まず信号を入力し(ステップS200)、暖房要求がなされているか否かを判断する(ステップS202)。信号には、暖房スイッチ、FC専用スイッチ88Aの状態などが含まれる。その他、制御処理に必要な種々のセンサ信号、例えば、FC燃料の残量や値量電池60の温度状態なども併せて入力される。
【0088】暖房要求がなされていない場合には、何ら処理を行うことなく暖房制御処理ルーチンを終了する。ここで、暖房要求の有無は、暖房スイッチの状態に基づいて判断される。暖房スイッチがオフの場合には、暖房要求がなされていないものと判断される。運転者が希望する目標室内温度を入力するようにして、現在の室内温度との比較に基づき、「目標室内温度>室内温度」の場合に暖房要求がなされているものと判断する構成を適用することもできる。
【0089】暖房要求がなされている時には、FC専用スイッチ88Aのオン・オフおよび燃料電池60が発電可能な状態にあるか否かによってエネルギ源を使い分けて暖房を行う。先に説明した通り、FC専用スイッチ88Aがオフである場合には(ステップS204)、燃料電池60とエンジン10とを用いて暖房を行う。従って、燃料電池60、エンジン10を予め設定された状態で共に運転しつつ(ステップS216)、暖房機構の全バルブ302A〜302Cを開にして(ステップS218)、冷却水を流す。バルブ302Bを開にしてバイパス流路にも冷却水を流すのは、エンジン10および燃料電池60の双方を運転している場合には、両者の熱によって冷却水が非常に高温になり、これらを全て室内ヒータ300に流すと、室内の温度が過度に高くなる可能性があるからである。運転者が目標室内温度を指定可能な構成となっている場合には、この目標室内温度に応じてバルブ302Bの開度を制御する態様を採ることも可能である。
【0090】ここでは、燃料電池60、エンジン10の運転を予め設定された状態で運転する場合を例示したが、運転者が指示した目標室内温度、車速などのパラメータに応じて運転状態を制御するものとしてもよい。所定のパラメータと燃料電池60、エンジン10の運転状態とを対応づけるテーブルを用意しておくことにより、かかる制御は比較的容易に実現することができる。このように開ループ制御する態様の他、目標室内温度となるよう、燃料電池60、エンジン10の運転状態、およびバルブの開度をフィードバック制御する態様を採ることも可能である。
【0091】ステップS204において、FC専用スイッチ88Aがオンであると判断された場合において、燃料電池60が発電可能な状態にある場合には(ステップS206)、燃料電池60を用いた暖房を行う。即ち、燃料電池60を予め設定された状態で運転するとともに(ステップS208)、バルブ302A,302Cを開、バルブ302B閉に制御する(ステップS210)。こうすることにより、冷却水はバイパス流路を通らずに、燃料電池60、室内ヒータ300およびエンジン10を環流する。冷却水は、燃料電池60の運転時の熱によって加熱されるため、この熱を利用して室内の暖房を行うことができる。バルブ302Bを閉じるのは、燃料電池60の熱を効率的に室内ヒータ300に運搬するためである。燃料電池60で発電された電力は暖房に使用しない。他に電力を利用して運転すべき器機に供給されたり、バッテリ50の充電に使用されたりする。燃料電池60の運転制御およびバルブの開閉制御については、ステップS216,S218と同様、種々の態様での制御が考えられる。
【0092】ステップS206において、FC燃料が残り少ない、または燃料電池60の温度が発電可能な範囲に入っていないなどの理由により、燃料電池60は発電不能であると判断された場合には、暖房不可の表示を行う(ステップS212)。本実施例では、計器メータが配列された部位、いわゆるインパネと呼ばれる部位に、かかる表示を行うためのインジケータを設けた。FC専用スイッチ88Aがオンとなっているので、燃料電池60が運転不能な場合でもエンジン10を用いた暖房は行わない。なお、これと併せて全バルブを閉じる制御を行う(ステップS214)。こうすることにより、低温の冷却水が循環して、室内の温度を低下させることを少しでも回避できる。なお、ステップS212,S214の処理により暖房不可とされた場合でも、FC専用スイッチ88Aをオフにすれば、エンジン10を利用した暖房が行われることはいうまでもない。
【0093】以上で説明した第2実施例のハイブリッド車両によれば、FC専用スイッチ88Aにより、燃料電池60、エンジン10を運転者の意図に沿って使い分けて暖房を行うことができる。燃料電池60はエンジン10に比べて、静粛性、環境性、エネルギの出力効率が優れているため、FC専用スイッチ88Aをオンにしておけば、かかる利点を活かした暖房をすることができる。
【0094】FC専用スイッチ88Aがオンとなっているときは、エンジン10の運転が開始されることはないから、特に静粛性、環境性が要求される場所において、安心して暖房をすることができる利点もある。また、こうした使い分けをFC専用スイッチ88Aの単純な操作で実現することができるため、車両の利便性を向上することができる。
【0095】第2実施例では、暖房時の燃料電池60、エンジン10の使い分けを指示する機構としてFC専用スイッチ88Aを例示した。燃料電池60、エンジン10の使い分けを更に柔軟に指示可能な機構を設けるものとしてもよい。ここでは燃料電池60が発電可能な状態にある限り、暖房に使用される場合を例示したが、燃料電池60の運転を禁止するスイッチを設けることも可能である。
【0096】第2実施例では、停車中における暖房制御を例示したが、走行中に適用することも可能である。この場合には、FCスイッチ88Aのオン・オフに関わらず走行に使用される動力源を優先的に使用して暖房を行う態様、FCスイッチ88Aのオン・オフが走行に使用される動力源の優先順位にも影響を与える態様のいずれを採るものとしてもよい。
【0097】次に、第2実施例における冷房処理について説明する。図10は、冷房制御処理ルーチンのフローチャートである。この処理では、まず信号入力が行われ(ステップS300)、冷房要求がなさているか否かが判断される(ステップS302)。冷房要求の判断方法は暖房制御処理と同様である。冷房要求がなされていない場合には、何ら制御を行うことなく冷房制御処理ルーチンを終了する。
【0098】冷房要求がなされている場合には燃料電池60が発電可能であるか否か、FC専用スイッチ88Aがのオン・オフに応じて燃料電池60、エンジン10を使い分けて冷房用のコンプレッサを駆動する。
【0099】冷房時は、燃料電池60が発電可能な状態にある限り、FC専用スイッチ88Aの状態に関わらず燃料電池60の電力でコンプレッサを駆動する。即ち、燃料電池60を所定の状態で運転し(ステップS316)、その電力で補機駆動用のモータ80を運転してコンプレッサを回転させる。エンジン10よりも燃料電池60を用いてコンプレッサを駆動する方が、冷房時の静粛性、環境性、エネルギ効率を向上することができるからである。暖房制御と同様、FC専用スイッチ88Aのオンとなっている場合には、燃料電池60の動力でコンプレッサを駆動し、オフとなっている場合には、燃料電池60とエンジン10とを用いてコンプレッサを駆動するものとしてもよい。なお、燃料電池60の運転制御については、暖房制御時と同様、種々の態様が考えられる。
【0100】ステップS304において、燃料電池60が発電不能な状態にあると判断された場合には、FC専用スイッチ88Aのオン・オフに応じて制御内容を切り替える。FC専用スイッチ88Aがオンとなっている場合には(ステップS306)、暖房制御処理と同様、エンジン10の運転が禁止される。従って、燃料電池60が運転不能な状況下では、冷房不可の表示を行い(ステップS312)、コンプレッサの運転を停止する(ステップS314)。冷房不可の表示は、暖房時と同様、インパネと呼ばれる部位に設けられたインジケータによって行われる。暖房不可を表示するインジケータと共通としても構わない。
【0101】FC専用スイッチ88Aがオフである場合には(ステップS306)、エンジン10の動力を利用して冷房が行われる。即ち、エンジン10を所定の運転状態で駆動するとともに(ステップS308)、その動力でコンプレッサを駆動する(ステップS310)。エンジン10の運転制御については、暖房制御処理と同様、種々の態様を適用可能である。
【0102】以上で説明して冷房制御処理によれば、暖房制御処理と同様、運転者の意図に沿って、燃料電池60とエンジ10とを柔軟に使い分けて冷房を行うことができる。燃料電池60が優先的に使用されるため、暖房制御処理と同様、静粛性、環境性、エネルギ効率に優れた冷房を実現することが可能である。特に、FC専用スイッチ88Aをオンにしておけば、急にエンジン10が始動されることを回避できるため、高い静粛性、環境性が要求される場所において安心して冷房を行うことができる利点がある。
【0103】(5)変形例:以上では図1に示した構成のハイブリッド車両への適用を例示した。本発明はかかる構成のみならず種々の構成の車両に適用することができる。上記実施例では、車両に搭載されているエネルギ出力源の全てが走行と補機駆動の双方に利用可能な構成を例示した。即ち、上述の例では、エンジン10はその動力を車軸17に伝達することができる他、補機駆動装置82へも伝達することができる。燃料電池60およびバッテリ50の電力をモータ20に供給すれば、車両を走行することができ、モータ80に供給すれば、補機の駆動をすることもできる。これに対し、一部のエネルギ出力源が補機駆動にのみ適用可能な構成を採用するものとしてもよい。例えば、燃料電池60およびバッテリ50のいずれか一方をモータ20の電源から除去するものとしてもよい。
【0104】また、本発明は必ずしもハイブリッド車両である必要もない。つまり、図1の構成においてモータ20を削除するものとしてもよい。かかる場合には、燃料電池60およびバッテリ50はモータ80の電源として補機の駆動に使用される。本発明は図6に示したのと同様の制御処理により、かかる構成にも適用可能である。
【0105】上述の実施例ではエンジン10の動力を車軸17に伝達可能なハイブリッド車両、即ちパラレルハイブリッド車両を例示した。本発明はいわゆるシリーズハイブリッド車両に適用することも可能である。図11はシリーズハイブリッド車両の構成を示す説明図である。なお、電力および動力の伝達経路を示し、切替スイッチ、クラッチ等の例示は省略した。エネルギ出力源としてエンジン10、燃料電池60,バッテリ50を備える点は実施例と同様である。この構成では、車軸17Aに動力を出力できるのはモータ20Aのみである。エンジン10は発電機Gで発電し、その電力をモータ20Aに供給することにより車両を走行することができる。モータ20Aはまた燃料電池60およびバッテリ50をも電源として力行することができる。また、エンジン10の動力により補機駆動装置82が駆動でき、燃料電池60およびバッテリ50の電力でモータ80Aを駆動することにより、補機駆動装置82を駆動することができる。かかる構成の車両においても走行に主として使用されるエネルギ出力源がエンジン10であることに相違はないため、上述の制御処理と同様の処理によって本発明を適用し、エネルギ出力源の使い分けを実現することができる。
【0106】以上で説明した種々の実施例では、バッテリ50を備える場合を例示した。本発明の適用に際しては、必ずしもバッテリ50を搭載する必要はない。各実施例からバッテリ50を省略した構成を適用するものとしてもよい。また、バッテリ50に代えてキャパシタなど別の蓄電手段を用いることもできる。
【0107】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施例のハイブリッド車両ではガソリンエンジンを用いたが、ディーゼルエンジンその他の熱機関を用いることができる。本実施例では、モータとして全て三相同期モータを適用したが、誘導モータその他の交流モータおよび直流モータを用いるものとしてもよい。本実施例では、種々の制御処理をCPUがソフトウェアを実行することにより実現しているが、かかる制御処理をハード的に実現することもできる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成12年1月28日(2000.1.28)
【代理人】 【識別番号】100096817
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 孝雄 (外3名)
【公開番号】 特開2001−78311(P2001−78311A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願2000−19491(P2000−19491)