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【発明の名称】 ハイブリッド自動車の制御装置
【発明者】 【氏名】玉川 裕

【氏名】青木 滋

【氏名】上田 和弘

【要約】 【課題】電気二重層コンデンサを過電圧の印加から確実に保護できるハイブリッド自動車の制御装置を提供する。

【解決手段】エンジンEと、クラッチ10と、駆動輪Wと、モータ19と、モータに電力を供給すると共にモータが発電する電力を充電する電気二重層コンデンサ21と、電気二重層コンデンサとモータとを接続・切断するスイッチ手段23と、電気二重層コンデンサの端子間電圧を検出する電圧検出手段22と、電圧検出手段によって検出された端子間電圧に応じてクラッチおよびスイッチ手段を制御する制御手段20とを有し、モータを回生ブレーキとして動作させているときに電気二重層コンデンサの端子間電圧が基準値を超えた場合に、制御手段は、スイッチ手段によって電気二重層コンデンサとモータとを切断し、かつクラッチを接続させるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車の推進力を出力するエンジンと、このエンジンの出力軸に連結され、動力を伝達する軸の入力側と出力側とを接続あるいは分離させる一対の係合要素を内蔵するクラッチと、このクラッチの出力側に連結された駆動輪と、この駆動輪に連結され、自動車の推進力を出力すると共に、回生ブレーキとして動作可能なモータと、このモータが推進力を出力する場合には、このモータに電力を供給すると共に、このモータを回生ブレーキとして動作させる場合には、このモータが発電する電力を充電する電気二重層コンデンサと、この電気二重層コンデンサと前記モータとを接続あるいは切断するスイッチ手段と、前記電気二重層コンデンサの端子間電圧を検出する電圧検出手段と、この電圧検出手段によって検出された端子間電圧に応じて、前記クラッチおよびスイッチ手段を制御する制御手段とを有し、前記モータを回生ブレーキとして動作させているときに、前記電圧検出手段によって検出される電気二重層コンデンサの端子間電圧が、あらかじめ設定された基準値を超えた場合に、前記制御手段は、前記スイッチ手段によって電気二重層コンデンサとモータとを切断し、かつ前記クラッチの係合要素を接続させることを特徴とするハイブリッド自動車の制御装置。
【請求項2】 前記電圧検出手段は、前記電気二重層コンデンサに内蔵された個々のセルの端子間電圧を検出することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パラレル式のハイブリッド自動車に関し、特に、モータの電源として電気二重層コンデンサを用い、かつ、モータの回生によって前記電気二重層コンデンサを充電し、自動車の制動力を得るハイブリッド自動車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、大気中への排気ガスの排出を抑えるために、電気自動車の開発が進められている。ところが、電気エネルギーによって動くモータのみを利用して、自動車を走行させる電気自動車は、電気エネルギーを蓄えておくバッテリーの容量によって、航続距離が制限されてしまう。逆に、十分な航続距離を得ようとすれば、膨大な量のバッテリーが必要となり、自動車の走行性能を著しく悪化させてしまう。
【0003】そこで、化石燃料を燃焼させてエンジンを駆動し、エンジンとモータとを併用することにより、モータの電源であるバッテリーを小型化して、航続距離と走行性能とを両立させたハイブリッド自動車の開発も進められている。
【0004】このハイブリッド自動車の一種であるパラレル式のハイブリッド自動車は、運転状態に応じて、モータによる駆動とエンジンによる駆動とを切り換えて走行を行うことにより、走行性能を維持しつつ、排気ガスの排出量を低減させ、かつ、燃費をも向上させている。
【0005】すなわち、パラレル式のハイブリッド自動車は、加速時や低速走行時など、エンジンによる駆動では効率が悪くなる走行条件では、モータがエンジンをアシストしたり、エンジンを停止してモータのみで走行したりして、エンジンを効率の良い領域だけで運転し、燃費を向上させる。
【0006】加えて、自動車の制動時には、モータを発電機として動作させ、運動エネルギーを回収することにより、エネルギーの損失を防ぎ、さらに燃費を向上させる。すなわち、自動車の制動時には、自動車の運動エネルギーでモータを回転させ、回転するモータが発電する電力をバッテリーに充電し、制動によるエネルギーを回収する。
【0007】ところが、例えば、制動によるバッテリーへの充電が続き、充電量が許容される最大充電量を超え、バッテリーが過充電となると、バッテリーを劣化させる可能性がある。
【0008】これを防止するためには、バッテリーの充電量が最大充電量となった満充電時には、回生充電を中止しなければならない。ところが、自動車の制動中に回生充電を中止すると、自動車の制動力が失われ、ドライバビリティに違和感が生ずるのみならず、ブレーキをかける頻度が増すので、例えば、長い下り坂等でブレーキに大きな負担がかかることになる。
【0009】このような問題を回避するため、例えば、特開平10−23603号公報に開示されているように、バッテリーの残容量を算出し、この残容量が100%に達すると回生充電を禁止し、その代わりにエンジンと駆動輪とを接続し、エンジンブレーキを使用することによって制動力を得るという技術があった。
【0010】一方、ハイブリッド自動車に、バッテリーの代わりに電気二重層コンデンサを使用したいという要求がある。これは、電気二重層コンデンサは、バッテリーと比較して、単位時間当たりに取り出せるエネルギーの量、すなわち出力密度が高いからである。出力密度が高ければ、例えば、急加速に必要なピーク電力を取り出すことが可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、バッテリーの代わりに電気二重層コンデンサを使用すると、次のような問題がある。すなわち、電気二重層コンデンサは、耐電圧以上の電圧が端子間に印加されると性能劣化、絶縁劣化する可能性があるので、性能劣化、絶縁劣化からの保護のため、耐電圧以上の電圧が端子間に印加されないようにする必要がある。
【0012】ところが、従来のように、残容量に基づいて回生充電を制御すると、次のような問題がある。すなわち、電気二重層コンデンサにおいては、残容量と端子間電圧とは異なっている。これは、電気二重層コンデンサは、バッテリーと比較して内部抵抗が大きいので、例えば、回生充電を行い、電気二重層コンデンサに電流が流れ込んでいる状態では、内部抵抗による電圧が発生するので、残容量から換算した電圧値よりも高い電圧が端子間にかかっていることになる。
【0013】従って、残容量から換算した電圧値に基づいて、電気二重層コンデンサを性能劣化、絶縁劣化から保護することはできず、電気二重層コンデンサを性能劣化させたり、絶縁劣化させたりしてしまう可能性があるという問題がある。
【0014】本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、電気二重層コンデンサを性能劣化させたり、絶縁劣化させたりしてしまうことのないハイブリッド自動車の制御装置を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、自動車の推進力を出力するエンジン(実施形態ではエンジンE)と、このエンジンの出力軸に連結され、動力を伝達する軸の入力側と出力側とを接続あるいは分離させる一対の係合要素(実施形態では係合要素11、12)を内蔵するクラッチ(実施形態ではクラッチ10)と、このクラッチの出力側に連結された駆動輪(実施形態では駆動輪W)と、この駆動輪に連結され、自動車の推進力を出力すると共に、回生ブレーキとして動作可能なモータ(実施形態ではメインモータ19)と、このモータが推進力を出力する場合には、このモータに電力を供給すると共に、このモータを回生ブレーキとして動作させる場合には、このモータが発電する電力を充電する電気二重層コンデンサ(実施形態では電気二重層コンデンサ21)と、この電気二重層コンデンサと前記モータとを接続あるいは切断するスイッチ手段(実施形態ではパワードライブユニット23)と、前記電気二重層コンデンサの端子間電圧(実施形態では端子間電圧Vtotal)を検出する電圧検出手段(実施形態では電圧センサ22)と、この電圧検出手段によって検出された端子間電圧に応じて、前記クラッチおよびスイッチ手段を制御する制御手段(実施形態では制御回路20)とを有し、前記モータを回生ブレーキとして動作させているときに、前記電圧検出手段によって検出される電気二重層コンデンサの端子間電圧が、あらかじめ設定された基準値を超えた場合に、前記制御手段は、前記スイッチ手段によって電気二重層コンデンサとモータとを切断し、かつ前記クラッチの係合要素を接続させることを特徴とするハイブリッド自動車の制御装置である。
【0016】上記構成によれば、電圧検出手段によって電気二重層コンデンサの端子間電圧が検出され、この検出値と、あらかじめ設定された、電気二重層コンデンサの耐電圧に対応する基準値とが制御手段において比較され、比較の結果、検出値が基準値を超えた場合には、スイッチ手段によって電気二重層コンデンサとモータとを切断し、電気二重層コンデンサへの充電を中止するので、電気二重層コンデンサの端子間に耐電圧以上の電圧が印加されることが防止される。また、同時に、クラッチの係合要素が接続され、エンジンブレーキがかかるので、上記電気二重層コンデンサへの充電の中止によって失われた制動力が補われる。
【0017】請求項2に記載の発明は、前記電圧検出手段は、前記電気二重層コンデンサに内蔵された個々のセル(実施形態ではセル211、212、…、21n)の端子間電圧(実施形態では端子間電圧V1、V2、…、Vn)を検出することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車の制御装置である。
【0018】上記構成によれば、電圧検出手段によって、電気二重層コンデンサに内蔵された各セルの端子間電圧が検出され、この検出結果に基づいて電気二重層コンデンサへの充電が制御されるので、各セル毎に容量や耐電圧がばらついても、全てのセルを、耐電圧以上の電圧が印加されることから保護することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態であるハイブリッド自動車の構成を図1を参照して説明する。図1には、ハイブリッド自動車の動力伝達系と、この動力伝達系を制御するための制御系とが示されている。
【0020】まず、動力伝達系の構成を説明する。エンジンEの出力軸は、サブモータ1を介してオイル・ポンプ2に連結されている。サブモータ1は、エンジンEの起動やアシスト等を行う。オイル・ポンプ2は、エンジンEの駆動力によって油圧を発生させ、油圧制御装置24を介して、CVT4の変速を行う。
【0021】エンジンEの出力軸は、さらに、自動車の前後進を切り替えるためのプラネタリー・ギア3に連結されている。このプラネタリー・ギア3は、図示していないセレクトレバーと機械的に連結されており、このセレクトレバーの操作により、自動車の前後進が切り替えられる。
【0022】プラネタリー・ギア3の出力軸は、無段変速を行うCVT4に内蔵された駆動側プーリ5に連結されている。CVT4は、前記駆動側プーリ5の他に、金属ベルト6、被動側プーリ7、側室8および9を内蔵している。駆動側プーリ5と被動側プーリ7とには、両プーリにまたがる共通の金属ベルト6が巻き付けられていて、両プーリ間で動力が伝達されるようになっている。
【0023】駆動側プーリ5および被動側プーリ7の側面には、それぞれ、各プーリへの金属ベルト6の巻き付き径を変化させるための側室8および9が設けられている。巻き付き径は、側室8および9に加えられる油圧によって、各プーリの幅が変化し、ベルトとプーリとの斜面接点が移動することによって変化する。側室8および9に加えられる油圧は、前記オイル・ポンプ2によって発生される。
【0024】CVT4に内蔵された被動側プーリ7は、クラッチ10に内蔵された係合要素11に連結されている。クラッチ10には、前記係合要素11と共に、この係合要素11と対をなす係合要素12と、これらの係合要素11および12を結合あるいは分離させるクラッチ制御用アクチュエータ13とが内蔵されている。
【0025】クラッチ10に内蔵された係合要素12は、最終減速機14およびギア15と連結されている。最終減速機14は、デファレンシャル・ギア16と噛み合わされている。デファレンシャル・ギア16は、車軸17を介して、自動車の駆動輪Wと連結されている。
【0026】前記ギア15は、ギア18と噛み合わされていて、このギア18は、メインモータ19の回転軸に連結されている。
【0027】次に、制御系の構成を説明する。制御回路20は、前記メインモータ19の電源である電気二重層コンデンサ21に設けられた電圧センサ22と、前記メインモータ19を制御するためのパワードライブユニット23と、前記クラッチ10に内蔵されたクラッチ制御用アクチュエータ13と、前記CVT4に内蔵された側室8および9に加えられる油圧を制御する油圧制御装置24とに接続されている。
【0028】電気二重層コンデンサ21は、パワードライブユニット23を介してメインモータ19と接続されている。また、電気二重層コンデンサ21の端子間には、電圧センサ22が設けられている。
【0029】電気二重層コンデンサ21と、電圧センサ22との詳細な構成を図2に示す。電気二重層コンデンサ21は、複数のセル211、212、213、…、21nが積層された構造となっている。また、電圧センサ22は、電気二重層コンデンサ21全体の端子間電圧Vtotalを検出するための電圧センサ22tと、各セル211、212、213、…、21nの端子間電圧V1、V2、V3、…、Vnを検出するための電圧センサ221、222、223、…、22nとを内蔵している。
【0030】次に、本実施形態の動作を図1を参照して説明する。まず、制御系の動作を説明する。始めに、エンジンEの駆動力で自動車を走行させる場合について説明する。エンジンEの駆動力は、サブモータ1を介して、オイル・ポンプ2およびプラネタリー・ギア3を駆動する。オイル・ポンプ2は、油圧を発生し、この油圧を、油圧制御装置24を介して、CVT4に内蔵された側室8および9に伝達する。プラネタリー・ギア3は、図示していないセレクトレバーの操作により、軸の回転方向を切り替え、自動車の前後進を切り替える。
【0031】プラネタリー・ギア3の出力軸の回転は、CVT4に内蔵された駆動側プーリ5に伝達され、駆動側プーリ5の回転は、金属ベルト6を介して被動側プーリ7に伝達される。駆動側プーリ5と被動側プーリ7との回転数比は、両プーリへの金属ベルト6の巻き付き径によって決まり、この巻き付き径は、両プーリの側室8および9による押し付け力によって両プーリの幅が変化し、ベルトとプーリとの斜面接点が移動することによって変化する。側室8および9による押し付け力は、オイル・ポンプ2による油圧によって発生され、発生された油圧は、オイル・ポンプ2と、側室8および9との間に設けられた油圧制御装置24によって制御される。
【0032】CVT4に内蔵された被動側プーリ7は、クラッチ10に内蔵された係合要素11に回転を伝達する。係合要素11と12とは、クラッチ制御用アクチュエータ13によって、結合あるいは分離させられ、結合されれば回転が伝達され、分離されれば伝達されない。
【0033】係合要素11と12とが結合された場合には、係合要素11の回転が係合要素12に伝達され、この係合要素12の回転が、最終減速機14およびギア15に伝達される。
【0034】ギア15の回転は、このギア15と噛み合っているギア18に伝達され、ギア18の回転によって、メインモータ19の回転軸が回転させられる。このとき、メインモータ19の回転で発電を行い、このモータの電源である電気二重層コンデンサ21を充電するモードとなっていた場合には、メインモータ19の回転軸が回転させられることにより、発電が行われ、発電された電力が、パワードライブユニット23を経由して、電気二重層コンデンサ21に充電される。
【0035】また、メインモータ19による充電が行われないモードとなっていた場合には、メインモータ19の回転軸は回転させられるが、このモータから電力が取り出されることはなく、モータは単に空転する。
【0036】前記最終減速機14の回転は、デファレンシャル・ギア16および車軸17を介して、自動車の駆動輪Wに伝達される。以上の動作によって、エンジンEによって駆動輪Wが駆動され、自動車が走行する。
【0037】次に、メインモータ19の駆動力で自動車を走行させる場合の動作を説明する。電気二重層コンデンサ21は、パワードライブユニット23を介して、メインモータ19に電力を供給する。供給された電力によって、メインモータ19は、その回転軸から駆動力を発生し、この駆動力による回転軸の回転がギア18に伝達される。ギア18の回転は、このギア18と噛み合っているギア15に伝達され、さらに、ギア15の回転は、このギア15と軸が連結している最終減速機14に伝達される。
【0038】ここで、メインモータ19の駆動力で自動車を走行させる場合、すなわちモータ走行の場合には、クラッチ10が切られている。すなわち、クラッチ10に内蔵された係合要素11と12とが分離されていて、両係合要素間で回転は伝達されない。従って、最終減速機14の回転の伝達は、クラッチ10で切断され、CVT4に伝達されることはない。
【0039】従って、最終減速機14の回転は、デファレンシャル・ギア16のみに伝達され、伝達された回転は、車軸17を介して駆動輪Wに伝達される。以上の動作によって、メインモータ19によって駆動輪Wが駆動され、自動車が走行する。
【0040】次に、エンジンEを負荷として制動力を得る、すなわちエンジンブレーキをかける場合の動作を説明する。この場合の回転力の伝達は、前述した、エンジンEの駆動力で駆動輪Wを回転させ、自動車を走行させる場合の逆をたどる。すなわち、駆動輪Wの回転が、車軸17、デファレンシャル・ギア16、最終減速機14を介して、クラッチ10に伝達される。
【0041】ここで、エンジンブレーキをかける場合には、クラッチ10を接続する。すなわち、クラッチ10に内蔵された、クラッチ制御アクチュエータ13を動作させ、係合要素12と11とを接続させる。すると、最終減速機14から伝達された回転が、クラッチ10を経由して、CVT4に内蔵された被動側プーリ7に伝達される。
【0042】被動側プーリ7の回転は、金属ベルト6を介して、駆動側プーリ5に伝達され、この駆動側プーリ5の回転は、軸が連結されたプラネタリー・ギア3に伝達される。プラネタリー・ギア3の回転は、オイル・ポンプ2、サブモータ1を介して、エンジンEに伝達される。エンジンE内の負荷により、制動力が発生され、エンジンブレーキがかけられる。
【0043】次に、メインモータ19を負荷として制動力を得る、すなわちモータによる回生制動の動作を説明する。この場合の回転力の伝達は、前述した、メインモータ19の駆動力で駆動輪Wを回転させ、自動車を走行させる場合の逆をたどる。すなわち、駆動輪Wの回転が、車軸17、デファレンシャル・ギア16、最終減速機14を介して、ギア15に伝達される。
【0044】ここで、モータによる回生制動を行う場合には、クラッチ10を切り、最終減速機14の回転力は、全てギア15に伝達される。ギア15の回転は、ギア18に伝達され、ギア18は、メインモータ19の回転軸を回転させる。
【0045】メインモータ19は、回転軸を外力で回転させられることによって、発電機として動作する。ここで、モータによる回生制動を行う場合には、パワードライブユニット23は、メインモータ19と、電気二重層コンデンサ21とを接続する状態とされている。従って、メインモータ19で発電された電力は、パワードライブユニット23を経由して、電気二重層コンデンサ21に送られ、ここに充電される。このように、メインモータ19から電力が取り出されることによって、メインモータ19は負荷を発生し、これが制動力となり、モータによる回生制動が行われる。
【0046】次に、制御系の動作を説明する。制御回路20は、油圧制御装置24を制御し、オイル・ポンプ2が発生し、CVT4に内蔵された側室8および9に加えられる油圧を制御する。油圧の制御によって、駆動側プーリ5および被動側プーリ7の幅が変化し、金属ベルト6とプーリ5、7との斜面接点が移動し、変速が行われる。
【0047】また、制御装置20は、クラッチ10に内蔵されたクラッチ制御アクチュエータ13を制御し、クラッチ10の接続あるいは切断を行う。すなわち、クラッチ制御アクチュエータ13は、やはりクラッチ10に内蔵された係合要素11および12を、接続あるいは分離させる。
【0048】さらに、制御装置20は、パワードライブユニット23を制御し、メインモータ19と、このメインモータ19の電源である電気二重層コンデンサ21との接続・切断を制御する。すなわち、パワードライブユニット23は、電気二重層コンデンサ21からメインモータ19へ電力を供給し、自動車をモータ走行させる場合や、メインモータ19による回生制動を行うため、メインモータ19によって発電された電力を電気二重層コンデンサへ充電する場合には、電気二重層コンデンサ21とメインモータ19とを接続する。また、エンジンのみによる走行や、エンジンブレーキのみによる制動を行う場合には、電気二重層コンデンサ21とメインモータ19とを切断する。
【0049】また、制御回路20は、電気二重層コンデンサ21の端子間に接続された電圧センサ22の出力を入力する。すなわち、制御回路20は、電圧センサ22によって検出された、電気二重層コンデンサ21の端子間電圧の測定値を入力する。
【0050】モータによる回生制動時に、例えば、電気二重層コンデンサ21への充電が続き、電気二重層コンデンサ21の端子間電圧が耐電圧以上になった場合には、制御回路20は、パワードライブユニット23を制御し、メインモータ19と電気二重層コンデンサ21とを切断し、電気二重層コンデンサ21への充電を中止させる。
【0051】すなわち、制御回路20には、あらかじめ、電気二重層コンデンサ21の耐電圧に相当する基準値が記憶されている。そして、制御回路20は、記憶されていた基準値と、電圧センサ22から送られる、電気二重層コンデンサ21の端子間電圧の測定値とを比較し、両者が等しくなった場合には、パワードライブユニット23を制御し、メインモータ19と電気二重層コンデンサ21とを切断する。
【0052】これにより、電気二重層コンデンサ21への充電が中止され、電気二重層コンデンサ21の端子間電圧が耐電圧以上になることが防止される。ただし、同時に、メインモータ19から電力が取り出されなくなるので、メインモータ19の負荷が無くなり、自動車の制動力が失われる。
【0053】このとき、同時に、制御回路20は、クラッチ10に内蔵されたクラッチ制御アクチュエータ13を制御し、クラッチ10を接続させる。すると、駆動輪Wから、車軸17、デファレンシャル・ギア16を介して、最終減速機14に伝達された回転力は、クラッチ10を介してCVT4へ伝達され、さらに、プラネタリー・ギア3、オイル・ポンプ2、サブモータ1を介して、エンジンEに伝達される。これにより、エンジンEの負荷による制動力が発生し、エンジンブレーキがかかり、自動車の制動力が補われる。
【0054】上記の、電気二重層コンデンサ21の端子間電圧を測定する動作を、図3に示す過電圧検出のフローチャートを参照して詳細に説明する。図3は、電気二重層コンデンサ21の端子間に接続された電圧センサ22によって検出された電圧に基づいて、制御回路20内に記憶されている過電圧フラグを操作する動作を示すフローチャートである。なお、以下の文中におけるS1等の符号は、フローチャート中のステップを表している。
【0055】まず、制御回路20内の変数”Cell”が0とされる(S1)。変数”Cell”の値は、図2に示した、電気二重層コンデンサ21に内蔵されたセルと対応付けられていて、例えば、Cell=1の場合には、セル211が端子間電圧測定対象として選択されたことを意味し、Cell=2の場合には、セル212が選択されたことを意味する。ただし、上記のCell=0は、端子間電圧測定対象として、電気二重層コンデンサ21全体が選択されたことを意味する。
【0056】次に、電気二重層コンデンサ21の端子間電圧が、電圧センサ22によって測定される。すなわち、直前のステップであるS1で、Cell=0とされ、電気二重層コンデンサ21全体が測定対象として選択されているので、電気二重層コンデンサ21全体の端子間電圧Vtotalが、電圧センサ22に内蔵された電圧センサ22tによって測定される。
【0057】電圧センサ22tによって測定された測定値Vtotalは、制御回路20へ送られ、ここで、あらかじめこの制御回路20内に記憶されていた基準値と比較される(S2)。この場合の基準値は、電気二重層コンデンサ21全体の端子間の耐電圧に対応する値である。比較の結果、測定値Vtotal≧基準値であればS8へ跳び、そうでなければ次のステップS3へ進む。
【0058】S3では、変数”Cell”の値に1が加えられる。すなわち、前のステップS1でCell=0とされていたので、1が加えられると、Cell=1となる。これは、前述したように、電気二重層コンデンサ21に内蔵されたセル211が、端子間電圧測定対象として選択されたことを意味する。
【0059】次に、電気二重層コンデンサ21に内蔵された各セル211〜21nの端子間電圧を測定するループS4〜S6が開始される。まず、ステップS3でCell=1とされていたので、セル211の端子間電圧V1が、電圧センサ221によって測定される。この測定値は制御回路20に送られ、ここで基準値と比較される(S4)。この場合の基準値は、セル211の耐電圧に対応する基準値である。比較の結果、測定値V1≧基準値であればS8へ跳び、そうでなければ次のステップS5へ進む。
【0060】S5では、変数”Cell”の値に1が加えられる。その結果、変数”Cell”の値は2となる。
【0061】次のステップS6では、変数”Cell”の値が、電気二重層コンデンサ21に内蔵されたセルの総数nと比較され、Cell>nであればさらに次のステップS7へ進み、そうでなければS4に戻り、ループS4〜S6を繰り返す。現時点では、S5でCell=2とされており、この値はセルの総数nより小さいので、S4へ戻る。
【0062】S4では、今度は、Cell=2なので、セル212の端子間電圧V2が、電圧センサ222によって測定され、この測定値が制御回路20に送られ、ここで基準値と比較される。この場合の基準値は、セル212の耐電圧に対応する基準値である。比較の結果、測定値V2≧基準値であればS8へ跳び、そうでなければ次のステップS5へ進む。
【0063】S5では、変数”Cell”の値に1が加えられる。その結果、今度は変数”Cell”の値は3となる。
【0064】次のステップS6では、変数”Cell”の値がセルの総数nと比較され、Cell>nであれば次のステップS9へ進み、そうでなければS4に戻り、ループS4〜S6が繰り返される。
【0065】以上の動作により、各セルの端子間に耐電圧以上の電圧が印加されていなければ、ループS4〜S6が繰り返され、変数”Cell”の値が、n+1となったところでループから抜け、次のステップS7へ進む。
【0066】なお、各セル毎に耐電圧がばらついていても、各セル毎の耐電圧に対応した基準値が、制御回路20内に記憶されているので、どのセルの端子間電圧が耐電圧以上になっても、これを検出することができ、S7へ進み、後述する過電圧フラグが1とされる。
【0067】S7では、過電圧フラグが0とされる。この過電圧フラグの状態は、後述する別のフロー中で検出され、電気二重層コンデンサ21への充電の制御等に用いられる。
【0068】S2あるいはS4で耐電圧以上の電圧が検出された場合には、S8へ跳び、このS8で、過電圧フラグが1とされ、その後、次のステップS9へ進む。
【0069】次のステップS9では、自動車がモータ走行中であるか否か、すなわち電気二重層コンデンサ21が放電中であるか否かが検出され、放電中であればS7へ進んで過電圧フラグを0に戻し、そうでなければ過電圧フラグは1のままでフローを終了させる。
【0070】次に、図4のフローチャートを参照し、上記の過電圧フラグに基づいて回生およびクラッチを制御するフローの動作を説明する。なお、以下の文中におけるS11等の符号は、フローチャート中のステップを表している。
【0071】まず、過電圧フラグの状態が調べられ(S11)、過電圧フラグが1であればS12へ進み、過電圧フラグが0であればS13へ進む。
【0072】過電圧フラグが1であれば、S12へ進み、電気二重層コンデンサ21への回生充電が中止され、かつ、クラッチ10が接続され、エンジンブレーキがかけられる。
【0073】過電圧フラグが0であれば、S13へ進み、通常の制御が続行される。すなわち、電気二重層コンデンサ21への回生充電中であれば、この動作が続行され、さらなる制動力が必要であれば、クラッチの断続制御が行われる。また、モータによる走行中であれば、クラッチ10は切断された状態が続行され、エンジンによる走行中であれば、クラッチ10は接続された状態が続行される。
【0074】以上の動作により、電気二重層コンデンサ21全体の端子間電圧Vtotalと、電気二重層コンデンサ21に内蔵された各セル211、212、…、21nの端子間電圧V1、V2、…、Vnとのうちのいずれかが、あらかじめ制御回路20に記憶されていた、各端子間の耐電圧に対応した基準値以上になった場合には、電気二重層コンデンサ21への回生充電が中止され、コンデンサが保護される。
【0075】なお、上記の実施形態では、電気二重層コンデンサ21の端子間電圧が、耐電圧に対応した基準値以上になった場合に、回生充電を中止しているが、前記基準値を耐電圧に達する以前、すなわち耐電圧より小さい値に設定し、端子間電圧がこの基準値以上になった場合に、回生充電の量を減少させることにより、端子間電圧が耐電圧を超えないようにすることも可能である。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、モータを回生ブレーキとして動作させているときに、電圧検出手段によって検出される電気二重層コンデンサの端子間電圧が、あらかじめ設定された、電気二重層コンデンサの耐電圧に対応する基準値を超えた場合に、制御手段が、スイッチ手段によって電気二重層コンデンサとモータとを切断するので、電気二重層コンデンサへの回生充電が中止される。
【0077】従って、電気二重層コンデンサの残容量や、充電電流等と、電気二重層コンデンサの内部抵抗分とによって発生する電圧に関わらず、電気二重層コンデンサの端子間電圧が耐電圧を超えた場合には、電気二重層コンデンサへの回生充電が中止され、電気二重層コンデンサが、過電圧の印加から確実に保護される。
【0078】また、端子間電圧を正確に検出できるので、電気二重層コンデンサの耐電圧ぎりぎりの領域まで使用できる。従って、実質的に、電気二重層コンデンサに貯蔵できるエネルギーの量を増やすことができる。一般に、電気二重層コンデンサは、バッテリーと比較すると、貯蔵できるエネルギーの容量が少ないので、前記のような効果は有効である。
【0079】さらに、電気二重層コンデンサへの回生充電を中止すると同時に、クラッチの係合要素を接続させるので、回生充電の中止によって失われた制動力が、エンジンブレーキによって補われるので、ドライバビリディが低下することがない。
【0080】また、電圧検出手段が、電気二重層コンデンサに内蔵された個々のセルの端子間電圧を検出し、これらの検出結果を、各セルの耐電圧に対応する基準値と比較し、この比較結果に基づいて、制御手段が、電気二重層コンデンサへの回生充電を制御すれば、セル毎に、容量や耐電圧がばらついたとしても、全てのセルを、過電圧の印加から確実に保護できる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年9月7日(1999.9.7)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外5名)
【公開番号】 特開2001−78307(P2001−78307A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−253654