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【発明の名称】 ハイブリッド車両のバッテリ制御装置
【発明者】 【氏名】木下 直樹

【氏名】渋谷 篤志

【氏名】川原田 信幸

【氏名】藤村 章

【要約】 【課題】バッテリの電圧特性の変化に応じて充放電量を制御して、バッテリの使用可能連続時間を改善することができるバッテリ制御装置を提供する。

【解決手段】車両の推進力を出力するエンジンと、エンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータと、モータに電力を供給すると共にモータを発電機として作動させ得られた電気エネルギーを充電するバッテリとを備えたハイブリッド車両のバッテリ制御装置であって、バッテリ制御装置は、バッテリにメモリ効果が生じたことを検出するメモリ効果検出手段と、メモリ効果の発生に応じてバッテリの残容量の使用許可領域を決定する使用許可領域決定手段と、バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段と、バッテリ残容量の使用許可領域内において充放電量を制御する充放電量制御手段とを備えたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の推進力を出力するエンジンと、エンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータと、該モータに電力を供給すると共に補助駆動力が必要ないときにモータを発電機として作動させ得られた電気エネルギーを充電するバッテリとを備えたハイブリッド車両のバッテリ制御装置であって、前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段と、前記バッテリにメモリ効果が生じたことを検出するメモリ効果検出手段と、メモリ効果の発生に応じて前記バッテリの残容量の使用許可領域を決定する使用許可領域決定手段と、前記バッテリ残容量の使用許可領域内において充放電量を制御する充放電量制御手段と、を備えたことを特徴とするバッテリ制御装置。
【請求項2】 前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの電圧を検出し、検出されたバッテリ電圧を所定の判定電圧と比較して、前記バッテリ残容量算出手段によって算出された残容量を所定値に修正する残容量修正手段を備え、前記使用許可領域決定手段は、メモリ効果の発生に応じて、前記バッテリ残容量を修正する時の前記判定電圧を変更することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ制御装置。
【請求項3】 前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの電圧を検出し、検出されたバッテリ電圧を所定の判定電圧と比較して、前記バッテリ残容量算出手段によって算出された残容量を所定値に修正する残容量修正手段を備え、前記使用許可領域決定手段は、メモリ効果の発生に応じて、前記バッテリ残容量を修正する時の残容量の前記所定値を変更することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ハイブリッド車両に搭載されるバッテリの制御を行うバッテリ制御装置に係るものであり、特に、ニッケル化合物を用いたバッテリの残容量に応じて充放電量を制御するバッテリ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、走行用の動力源としてエンジンの他にモータを備えたハイブリッド車両が知られている。ハイブリッド車両にはシリーズハイブリッド車とパラレルハイブリッド車がある。シリーズハイブリッド車はエンジンによって駆動される発電機の発電出力等を用いてモータを駆動し、モータによって車輪を駆動する車両である。したがって、エンジンと車輪が機械的に連結されていないため、エンジンを高燃費低エミッションの回転数領域にてほぼ一定回転で運転することができ、従来のエンジン車両に比べ良好な燃費及び低いエミッションを実現できる。
【0003】これに対しパラレルハイブリッド車は、エンジンに連結されたモータによってエンジンの駆動軸を駆動補助すると共に、このモータを発電機として使用して得られた電気エネルギーを蓄電装置に充電し、さらにこの発電された電気エネルギーは車両内の電装品にも用いられる。したがって、エンジンの運転負荷を軽減できるため、やはり従来のエンジン車に比べ良好な燃費及び低エミッションを実現できる。
【0004】上記パラレルハイブリッド車には、エンジンの出力軸にエンジンの出力を補助するモータが直結され、このモータが減速時等に発電機として機能してバッテリ等に蓄電をするタイプや、エンジンとモータのいずれか、あるいは、双方で駆動力を発生することができ発電機を別に備えたタイプのもの等がある。このようなハイブリッド車両にあっては、例えば、加速時においてはモータによってエンジンの出力を補助し、減速時においては減速回生によってバッテリ等への充電を行なう等様々な制御を行い、バッテリの電気エネルギー(以下、バッテリ残容量という)を確保して運転者の要求に対応できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ハイブリッド車両に用いられるバッテリには、正極にニッケル化合物が用いられていることが多い。ニッケル化合物を用いたバッテリは、充放電のサイクルを繰り返すことによって、バッテリ残容量に対する起電力値が変化するという現象(これをメモリ効果という)が発生する。このメモリ効果は、ニッケル化合物を用いたバッテリにおいて、完全放電に至る前に再度充電を行なったり、満充電に至る前に再度放電を行ったりする動作を繰り返すと発生しやすいという特徴を有している。
【0006】しかしながら、ハイブリッド車両に用いられるバッテリにおいては、バッテリの長寿命化及び高効率化の観点からバッテリ残容量の中間領域において充放電が行われるように制御されているため、満充電または完全放電に至ることがなくメモリ効果を生じやすい。メモリ効果が発生すると、使用できるバッテリ残容量の範囲が狭くなり、エンジンの駆動力補助動作や減速回生によるバッテリへ充電動作の可能連続時間が短縮されてしまうという問題がある。さらに、メモリ効果が発生した状態においてバッテリ残容量の中間領域のみで充放電が行われると、さらなるメモリ効果が発生して使用できるバッテリ残容量の範囲はさらに狭くなり、悪循環に陥るという問題もある。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、バッテリの電圧特性の変化に応じて充放電量を制御して、バッテリの使用可能連続時間を改善することができるハイブリッド車両のバッテリ制御装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、車両の推進力を出力するエンジン(例えば、実施形態におけるエンジン1)と、エンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータ(例えば、実施形態におけるモータ2)と、該モータに電力を供給すると共に補助駆動力が必要ないときにモータを発電機として作動させ得られた電気エネルギーを充電するバッテリ(例えば、実施形態におけるバッテリ8)とを備えたハイブリッド車両のバッテリ制御装置(例えば、実施形態におけるバッテリ制御装置9)であって、前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段(例えば、実施形態におけるバッテリ残容量算出部91)と、前記バッテリにメモリ効果が生じたことを検出するメモリ効果検出手段(例えば、実施形態におけるメモリ効果検出部93)と、メモリ効果の発生に応じて前記バッテリの残容量の使用許可領域を決定する使用許可領域決定手段(例えば、実施形態における使用許可領域決定部94)と、前記バッテリ残容量の使用許可領域内において充放電量を制御する充放電量制御手段(例えば、実施形態における充放電制御部92)とを備えたことを特徴とする。
【0009】請求項1に記載した発明によれば、バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段と、バッテリにメモリ効果が生じたことを検出するメモリ効果検出手段と、メモリ効果の発生に応じてバッテリの残容量の使用許可領域を決定する使用許可領域決定手段と、バッテリ残容量の使用許可領域内において充放電量を制御する充放電量制御手段とを備えたため、メモリ効果によってバッテリの電圧特性が変化した場合であっても、バッテリ残容量の使用許可領域を拡大することができるので、バッテリの使用可能連続時間を改善することができるという効果が得られる。さらに使用許可領域を拡大することによって、満充電または完全放電の状態に近づけることが可能となるため、メモリ効果を解消することができるという効果も得られる。
【0010】請求項2に記載の発明は、前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの電圧を検出し、検出されたバッテリ電圧を所定の判定電圧と比較して、前記バッテリ残容量算出手段によって算出された残容量を所定値に修正する残容量修正手段(例えば、第1の実施例における残容量修正部91c)を備え、前記使用許可領域決定手段は、メモリ効果の発生に応じて、前記バッテリ残容量を修正する時の前記判定電圧を変更することを特徴とする。
【0011】請求項2に記載の発明によれば、メモリ効果の発生に応じて、バッテリ残容量を修正する時の前記判定電圧を変更するようにしたため、残容量の算出及び残容量の修正を行う処理をメモリ効果発生の有無に関係なく同じ処理によって行うことができるという効果が得られる。
【0012】請求項3に記載の発明は、前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの電圧を検出し、検出されたバッテリ電圧を所定の判定電圧と比較して、前記バッテリ残容量算出手段によって算出された残容量を所定値に修正する残容量修正手段(例えば、第2の実施例における残容量修正部91c)を備え、前記使用許可領域決定手段は、メモリ効果の発生に応じて、前記バッテリ残容量を修正する時の残容量の前記所定値を変更することを特徴とする。
【0013】請求項3に記載の発明によれば、メモリ効果の発生に応じて、バッテリ残容量を修正する時の残容量の所定値を変更するようにして、バッテリ温度、バッテリ電流及びバッテリ電圧とからなる判定電圧マップを複数記憶しておく必要がなくなるため、バッテリ制御装置内の記憶容量を小さい規模にすることができるという効果が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両のバッテリ制御装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の全体の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、内燃機関であり、以下の説明においては、エンジンと称し、図面においてもエンジンと図示する。符号2は、電動機であり、以下の説明においては、モータと称し、図面においてもモータと図示する。このモータ2は、車両の運転状態に応じてエンジン出力の補助を行なったり、車両の減速時においては回生作動を行うものである。符号3は、トランスミッションであり、マニュアルトランスミッションまたはオートマチックトランスミッションのいずれかである。また、トランスミッション3は、クラッチまたはトルクコンバータ、前進・後進切換機構、変速機構、ディファレンシャルギヤ等が含まれる。このトランスミッション3によってエンジン1及びモータ2の駆動力が駆動輪Wへ伝達される。
【0015】符号4は、モータ2の回転の制御を行うモータ制御装置である。符号5は、エンジン1の制御を行うエンジン制御装置である。符号6は、トランスミッション3の制御を行うトランスミッション制御装置である。符号7は、モータ制御装置4からの制御信号に基づいて、モータ2に対して電力の授受を行うパワードライブユニットである。符号8は、モータ2に電力を供給すると共に駆動力が必要ないときにモータ2の回生作動により発電された回生エネルギーを蓄電する高圧系バッテリであり、複数のバッテリモジュールが接続されて1つのバッテリを構成している。符号9は、バッテリ8の状況を管理すると共にバッテリ8の状況に応じて充放電量を制御するバッテリ制御装置である。符号10は、バッテリ8の電圧を降圧して出力するダウンバータである。符号11は、車両内において使用される電装品の電力を供給する12V系の補助バッテリである。この補助バッテリ11は、バッテリ8の電力がダウンバータ10を介して充電される。なお、エンジン1には図示しないスロットル開度センサ及びエンジン回転数センサが備えられており、これらのセンサの出力は、モータ制御装置4へ入力される。また、バッテリ8には図示しない電圧センサ、電流センサ及び温度センサが備えられており、これらのセンサの出力は、バッテリ制御装置9へ入力される。
【0016】<第1の実施例>次に、第1の実施例におけるモータ制御装置4及びバッテリ制御装置9の構成を説明する。図2は、図1に示すモータ制御装置4及びバッテリ制御装置9の構成を示すブロック図である。この図において、符号41は、モータ2によって、エンジン1の補助駆動力の発生または回生作動の制御量が記憶されたアシスト・回生マップである。以下の説明において、エンジン1の駆動力を補助することをアシストするといい、モータ2の回生作動により発電された回生エネルギーを蓄電することを回生するという。このアシスト・回生マップは、エンジン1のスロットル開度とエンジン回転数に基づいて補助駆動力の発生または回生作動の制御量が定義されている。
【0017】符号42は、スロットル開度とエンジン回転数に基づいてアシスト・回生マップ41を参照して、アシスト量または回生量を決定して、モータ2及びパワードライブユニット7を制御するアシスト量・回生量制御部である。
【0018】符号91は、バッテリ8のバッテリ残容量を算出するバッテリ残容量算出部であり、判定電圧マップ91a、判定電圧設定部91b、残容量修正部91c及び電流積算部91dからなる。電流積算部91dは、バッテリ8に備えられた電流センサによって検出された充放電電流を積算してバッテリ残容量を算出する。また、残容量修正部91cは、バッテリ8に備えられた電圧センサによって検出されたバッテリ電圧が判定電圧であるか否を判定してその判定結果に基づいて、電流積算部91cにおいて算出されたバッテリ残容量の修正(リセット)を行う。バッテリ残容量の修正(リセット)は、充放電電流の積算誤差をなくすために行うものである。この判定電圧は、判定電圧設定部91bによって設定されるしきい値である。判定電圧設定部91bはバッテリ8に備えられた温度センサと電流センサの出力に基づいて、判定電圧マップ91aを参照して、判定電圧を設定して残容量修正部91cへ通知する。判定電圧マップ91aは、メモリ効果が発生していない場合に参照するマップとメモリ効果が発生した場合に参照するマップの2つのマップが備えられている。
【0019】符号92は、アシスト量・回生量制御42に対して、バッテリ残容量算出部91によって算出されたバッテリ残容量から充放電可能量を決定して、アシストまたは回生を許可する充放電制御部である。符号93は、残容量修正部91b及び電流積算部91cの出力に基づいて、バッテリ8においてメモリ効果が発生しているか否かを検出するメモリ効果検出部である。符号94は、メモリ効果検出部93の検出結果に応じて、バッテリ8の使用許可領域を決定する使用許可領域決定部である。
【0020】ここで、バッテリ8の残容量について説明する。バッテリ8の残容量は、バッテリ制御装置9内において、バッテリの電圧、充放電の電流、バッテリの温度などを参照して算出される値である。バッテリ制御装置9は、この残容量の値に基づいて、バッテリ8の充放電量を制御する。この残容量により、バッテリ8の制御を充電禁止領域、放電禁止領域及び使用許可領域の3つの領域に分けている。
【0021】充電禁止領域は、これ以上充電を行うと過充電になる可能性がある領域であり、例えば、残容量が80〜100%の領域である。放電禁止領域は、これ以上放電を行うと過放電になってしまう領域であり、例えば、残容量が0〜20%の領域である。使用許可領域は、放電と充電を共に許可されている領域であり、残容量が20〜80%の領域である。バッテリ制御装置9は、バッテリ残容量が常にこの使用許可領域になるように充電量及び放電量を制御する。
【0022】これらの領域の境界値は、使用するバッテリの性能によって決まる値である。バッテリ電圧とバッテリ残容量の間には相関関係があり、バッテリ残容量が大きいほどバッテリ電圧も高くなる。バッテリ残容量が中程度(約20%〜80%)の時はこの間の残容量の変化に対してバッテリ電圧の変化は小さいが、バッテリ残容量が所定値(約80%)を超えるとバッテリ電圧の上昇が顕著になり、また、残容量が所定値(約20%)以下になるとバッテリ電圧の低下が顕著になる。よって、図2に示す残容量修正部91cはバッテリ電圧の上昇/低下が顕著になる現象を検出することでバッテリの残容量を推定することができる。
【0023】また、図2に示す電流積算部91dは、使用許可領域の間の残容量の変化に対してバッテリ8の電圧変化は小さいため、使用許可領域の間は、バッテリ8の充電量及び放電量の積算によって、バッテリ残容量を算出する。ただし、電流の積算によって算出する手法は、電流検出の検出誤差も積算されてしまうために、使用許可領域の上下限値が検出されず、常に使用許可領域内で使用された場合のバッテリ残容量の算出は誤差が大きくなる。このため、残容量修正部91cは、電流積算部91dによって算出されたバッテリ残容量を、修正値によってリセットすることで充放電電流の積算誤差による残容量の検出誤差を吸収する。この積算誤差のリセットは、バッテリ電圧の上昇/低下が顕著になる現象を検出した時点において、バッテリ残容量を所定値(ここでは、20%または80%)に置き換えることによって行われる。
【0024】また、バッテリ残容量算出部91には、バッテリ残容量が所定値になる時のバッテリ電圧の上限値及び下限値を、バッテリ温度とバッテリ充放電電流からなる判定電圧マップ91aに記憶している。判定電圧設定部91bは、現時点のバッテリ温度とバッテリ充放電電流に基づいて、この判定電圧マップ91aを参照して、バッテリ残容量が所定値になるときのバッテリ電圧を得る。この得られたバッテリ電圧を残容量修正部91cへ通知して、バッテリ残容量の置き換えが行われる。
【0025】次に、図3を参照して、バッテリ8の残容量を算出する動作を説明する。図3は、図2に示すバッテリ残容量算出部91がバッテリ残容量を算出する動作を示すフローチャートである。まず、残容量修正部91cは、バッテリ8の電圧を検出する(ステップS31)。この電圧検出は、図示しない電圧センサの出力が用いられる。
【0026】次に、残容量修正部91cは、検出した電圧値がバッテリ下限電圧値より低い値であるか否かを判定する(ステップS32)。ここでいうバッテリ下限電圧値とは、判定電圧設定部91bから通知される値で、判定電圧設定部91bがバッテリ温度とバッテリ充放電電流からなる電圧判定マップ91aを参照して得られた電圧値であり、バッテリ残容量が所定の下限値になるときのバッテリ電圧値である。
【0027】この判定の結果、検出した電圧値がバッテリ下限電圧値より高い値であれば、残容量修正部91cは、検出した電圧値がバッテリ上限電圧値より高い値であるか否かを判定する(ステップS33)。ここでいうバッテリ上限電圧値とは、前述したバッテリ温度とバッテリ充放電電流からなる判定電圧マップ91aを参照して得られる電圧値であり、バッテリ残容量が所定の上限値になるときのバッテリ電圧値である。
【0028】この判定の結果、検出した電圧値がバッテリ上限電圧値より低い値であれば、電流積算部91dは、充放電電流を検出する(ステップS34)。この充放電電流検出は、電流センサの出力が用いられ、充電の電流量と放電の電流量を区別して検出される。
【0029】次に、電流積算部91dは、ステップS34において検出された充放電電流値を積算する(ステップS35)。この積算は、充電量と放電量を区別して積算し、バッテリ8に対する放電時は検出された放電電流を減算し、充電時は、検出された充電電流に所定の充電効率(例えば、0.95)を乗算した値を加算する。
【0030】次に、電流積算部91dは、充放電電流の積算値とバッテリ残容量の初期値とから現時点のバッテリ残容量を算出する(ステップS36)。ここでいうバッテリ残容量の初期値とは、電流積算部91d内部に記憶されており、図3の処理によってその都度更新されるバッテリ残容量である。また、この初期値は、車両のイグニッションスイッチをOFFにしても電流積算部91d内部に記憶されており、イグニッションスイッチをONにした時点で、記憶されている初期値のバッテリ残容量が読み出される。
【0031】一方、ステップS32において、バッテリ電圧がバッテリ下限電圧値より低い場合、残容量修正部91cは、現時点のバッテリ残容量を使用許可下限値に置き換える(ステップS39)ように電流積算部91dへ通知する。ここでいう使用許可下限値とは、前述した使用許可領域の下限値の残容量のことであり、ここでは、このバッテリ残容量の使用許可下限値を20%とする。これによって、電流積算部91dにおいて、バッテリ残容量は使用許可領域の下限値に置き換えられ、充放電電流の積算値はリセットされる。
【0032】また、ステップS33において、バッテリ電圧がバッテリ上限電圧値より高い場合、残容量修正部91cは、現時点のバッテリ残容量を使用許可上限値に置き換える(ステップS38)ように電流積算部91dへ通知する。ここでいう使用許可上限値とは、前述した使用許可領域の上限値の残容量のことであり、ここでは、このバッテリ残容量の使用許可上限値を80%とする。これによって、電流積算部91dにおいて、バッテリ残容量は、使用許可領域の上限値に置き換えられ、充放電電流の積算値はリセットされる。
【0033】次に、電流積算部91dは、ステップS36、S38、S39において算出または置き換えられたバッテリ残容量を充放電制御部92に対して出力する(ステップS37)。バッテリ残容量算出部91は、図3に示すステップS31〜S39の処理を一定間隔の時間で繰り返し実行する。ここでいう一定間隔とは、バッテリ電圧の検出する動作及び充放電電流を検出して積算する動作に要する時間から決定される時間である。
【0034】このように、バッテリ8の残容量は、バッテリ残容量算出部91において、バッテリ8の電圧検出または充放電の電流の積算によって算出または置き換えられ、その結果が充放電制御部92に対して出力される。このとき出力されるバッテリ残容量は20〜80%の値が出力される。充放電制御部92は、バッテリ残容量算出部91から出力されたバッテリ残容量を読み取り、このバッテリ残容量に基づいて充放電量の制御を行なう。
【0035】ここで、図10を参照して、ニッケル化合物が用いられたバッテリにおけるメモリ効果発生による使用許可領域の変化について簡単に説明する。図10は、ニッケル化合物が用いられたバッテリのメモリ効果発生前と発生後の電圧特性の変化を示す説明図である。図10において、X軸は、バッテリ残容量を表し、Y軸はバッテリ電圧を表している。また、実線はメモリ効果発生前の電圧特性を示し、破線はメモリ効果発生後の電圧特性を示している。この図の特性(メモリ効果発生前の特性)を利用して、使用許可領域が20%から80%になるようにバッテリ下限電圧値およびバッテリ上限電圧値が図2に示す判定電圧マップ91aに設定されている。
【0036】これに対して、メモリ効果が発生した後のバッテリは、バッテリ残容量が小さい時と大きい時の電圧の差が大きくなるのが特徴である。したがって、バッテリ残容量は、メモリ効果が発生していない場合に設定されたバッテリ下限電圧値が検出された時点で図9の符号Aで示す値となり、同様にバッテリ上限電圧値が検出された時点で図9の符号Bで示す値となる。したがって使用許可領域はA〜Bの範囲となり、メモリ効果が発生していない通常のバッテリに比べて使用許可領域が低下する。そして、図9に示す符号A〜Bの間を使用許可領域としてこの範囲を超えないように充放電を繰り返すと、さらなるメモリ効果が発生して、使用許可領域はさらに狭くなるという特徴を有している。ただし、ニッケル化合物を用いたバッテリにおいて発生したメモリ効果は、充電側で発生したものについては満充電をすることによって解消することができ、放電側で発生したものについては完全放電することによって解消することができる。
【0037】次に、図4を参照して、図2に示すメモリ効果検出部93がバッテリ8においてメモリ効果が発生しているか否かを検出する動作を説明する。図4は、メモリ効果検出部93がメモリ効果を検出する動作を示すフローチャートである。この図に示す処理は、図3に示す処理と同時に並行して処理される。
【0038】まず、メモリ効果検出部93は、残容量修正部91cにおいて、バッテリ残容量の修正(リセット)が行われたかを判定する(ステップS1)。この判定の結果、バッテリ残容量の修正が行われなければ、再びステップS1を実行する。一方、判定の結果、バッテリ残容量の上限値の修正が行われた場合は、ステップS7へ進む。また、バッテリ残容量の下限値の修正が行われた場合、メモリ効果検出部93は、内部のタイマをリセットする(ステップS2)。
【0039】次に、メモリ効果検出部93は、バッテリ残容量の変化量を求めるための変数をリセットする(ステップS3)。このリセット動作は、この時点の充放電電流積算値を電流積算部91dから読み込み、その値をリセット値とする。すなわち、この時点は、バッテリ残容量の下限値の修正が行われた時点であるので、電流積算部91dの出力値は、残容量修正部91cによって20%になるように修正されているはずであるので、リセット値は20%となる。
【0040】次に、メモリ効果検出部93は、電流積算部91dから現時点のバッテリ残容量を読み込み、この残容量とリセット値とからバッテリ残容量の変化量を算出する(ステップS4)。ここでいう変化量とは、現時点のバッテリ残容量がリセット値(ここでは20%となる)に対してどれだけ増減したか(ここでは、どれだけ増加したか)を示す値である。したがって、現時点のバッテリ残容量からリセット値を減算した値がバッテリ残容量の変化量である。
【0041】次に、メモリ効果検出部93は、残容量修正部91cにおいて、バッテリ残容量の修正(リセット)が行われたかを判定する(ステップS5)。この判定の結果、バッテリ残容量の修正が行われていなければ、ステップS4に戻り、残容量の変化量を新たに算出し、バッテリ残容量の下限値の修正が再び行われた場合、ステップS2に戻る。
【0042】一方、バッテリ残容量の上限値の修正が行われた場合、メモリ効果検出部93は、内部のタイマを参照して、ステップS2においてタイマリセットを行ってから現時点までの経過時間が所定時間以内であるかを判定する(ステップS6)。ここでいう所定時間とは、バッテリ残容量を充放電電流の積算によって算出した場合の積算誤差が予め見込んだ誤差の範囲になる時間であり、ここでは、この所定時間を120分とする。
【0043】この判定の結果、所定時間(120分)以内であれば、ステップS12へ進む。一方、所定時間(120分)を超えていた場合、メモリ効果検出部93は、ステップS4において算出されたバッテリ残容量の変化量の精度が低いと判断し、内部のタイマをリセットする(ステップS7)。
【0044】次に、メモリ効果検出部93は、バッテリ残容量の変化量を求めるための変数を再度リセットする(ステップS8)。この時点は、バッテリ残容量の上限値の修正が行われた時点であるので、電流積算部91dの出力値は、残容量修正部91cによって80%になるように修正されているはずであるので、リセット値は80%となる。
【0045】次に、メモリ効果検出部93は、電流積算部91dから現時点のバッテリ残容量を読み込み、この残容量とリセット値とからバッテリ残容量の変化量を算出する(ステップS9)。この変化量は、前述したように現時点のバッテリ残容量がリセット値(ここでは80%となる)に対してどれだけ増減したか(ここでは、どれだけ減少したか)を示す値である。したがって、リセット値から現時点のバッテリ残容量を減算した値がバッテリ残容量の変化量である。
【0046】次に、メモリ効果検出部93は、残容量修正部91cにおいて、バッテリ残容量の修正(リセット)が行われたかを判定する(ステップS10)。この判定の結果、バッテリ残容量の修正が行われていなければ、ステップS9に戻り、残容量の変化量を新たに算出し、バッテリ残容量の上限値の修正が再び行われた場合、ステップS7に戻る。
【0047】一方、バッテリ残容量の下限値の修正が行われた場合、メモリ効果検出部93は、内部のタイマを参照して、ステップS8においてタイマリセットを行ってから現時点までの経過時間が所定時間以内であるかを判定する(ステップS11)。ここでいう所定時間とは、前述した積算誤差が予め見込んだ誤差の範囲になる時間であり、ここでは、この所定時間を120分とする。
【0048】この判定の結果、所定時間(120分)以内であれば、ステップS12へ進む。一方、所定時間(120分)を超えていた場合、メモリ効果検出部93は、ステップS9において算出されたバッテリ残容量の変化量の精度が低いと判断し、内部のタイマをリセットする(ステップS2)。
【0049】次に、メモリ効果検出部93は、現時点におけるバッテリ残容量の変化量が所定値(ここでは30%)より小さいかを判定する(ステップS12)。この時点は、バッテリ残容量の上限値(または下限値)の修正が行われてから、下限値(または上限値)の修正が行われるまでの間のバッテリ残容量の変化量が算出されている。例えば、メモリ効果が発生していない場合において、バッテリ残容量の下限値が20%であり、上限値が80%であったとすると、積算誤差を無視すれば、この変化量は60%になるはずである。したがって、この変化量が60%より低い値である場合は、メモリ効果が発生することにより減少した可能性が高い。この特性を利用して、メモリ効果発生の判定を行う。
【0050】この判定の結果、バッテリ残容量の変化量が所定値より小さい値である場合、メモリ効果検出部93は、メモリ効果が発生していると判断して、使用許可領域決定部94に対して、メモリ効果が発生していることと、バッテリ残容量の変化量を通知する(ステップS13)。一方、バッテリ残容量の変化量が所定値より大きい値である場合、メモリ効果検出部93は、メモリ効果は発生していないと判断して、使用許可領域決定部94に対して、メモリ効果は発生していないことを通知する(ステップS14)。
【0051】このように、バッテリ上限電圧値とバッテリ下限電圧値が検出された間の電流積算値により求めたバッテリ残容量の変化量が、メモリ効果が発生していない場合に比べて小さいか否かによってメモリ効果の発生を検出することができる。
【0052】次に、図2に示す使用許可領域決定部94がメモリ効果が発生しているか否かに基づいてバッテリ残容量の使用許可領域を決定する動作を説明する。まず、使用許可領域決定部94は、メモリ効果検出部93からメモリ効果が発生しているか否かの検出結果を読み込む。そして、メモリ効果が発生している場合、使用許可領域決定部94は、判定電圧設定部91bに対して、メモリ効果が発生した場合に使用する判定電圧マップを参照するように指示を出す。この判定電圧マップ91aは、バッテリ温度とバッテリ電流に基づいて、バッテリ残容量の修正を行うか否かを判定する電圧が定義されたマップである。
【0053】また、メモリ効果が発生した場合に参照される判定電圧マップは、メモリ効果が発生していない場合に参照される判定電圧マップと比較して、バッテリ上限電圧値とバッテリ下限電圧値との電圧差が大きくなるように定義されている。すなわち、バッテリ下限電圧は、メモリ効果が発生していない時の電圧より低い電圧値(図10の符号Cで示す電圧値)が定義され、バッテリ上限電圧値は、メモリ効果が発生していない時の電圧より高い電圧値(図10の符号Dで示す電圧値)が定義されている。このようにすることで、使用許可領域をメモリ効果が発生していない場合と同じ範囲とすることができる。
【0054】このようにして、メモリ効果が発生した場合に判定電圧マップを切り換えることによって、図3のステップS32、S33において比較される上下限値が変更されるため、メモリ効果が発生した場合であっても、バッテリ残容量の使用許可領域が狭くなることを防止することができる。これは、結果的にエンジンの駆動力補助動作や減速回生によるバッテリへ充電動作の可能連続時間が短縮されてしまうことを防止することができる。
【0055】なお、図2に示す2つの判定電圧マップ91aは、メモリ効果が発生したか否かによって判定電圧マップを切り換えるようにしたが、さらに3つ以上の判定マップを備え、バッテリ残容量の変化量に応じて、これらの判定電圧マップを使用許可領域決定部94が選択して、これに基づいて判定電圧設定部91bが設定する判定電圧を変化させるようにしてもよい。このとき、図4のステップS12に示すバッテリ残容量の変化量のしきい値(図4においては30%)をメモリ効果が発生していない場合の値(例えば、60%)に近づけるように設定する。このようにすることによって、使用許可領域をさらに最適化することができる。
【0056】また、判定電圧マップ91aはメモリ効果が発生していない場合のマップのみにして、メモリ効果が発生した場合に、マップを参照して得られた判定電圧に一定の係数を乗じて、これを判定電圧に用いるようにしてもよい。このとき、バッテリ上限電圧値は高い値になるように、そして、バッテリ下限電圧値は低い値になるように係数を乗じるようにする。このようにすることによって、判定電圧マップを1つにすることができるので、バッテリ残容量算出部91内の記憶容量を少なくすることができ、判定電圧の設定処理も簡単にすることができる。
【0057】<第2の実施例>次に、図5、6、7を参照して、第2の実施例におけるバッテリ制御装置9を説明する。図5は、図1に示すモータ制御装置4及びバッテリ制御装置9の構成を示すブロック図である。図5に示すバッテリ制御装置9が図2に示すバッテリ制御装置9と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。この図に示す装置が図2に示す装置と異なる点は、残容量修正値マップ94aを新たに設け、使用許可領域決定部94bにバッテリ電圧を入力するようにして、使用許可領域決定部94bの出力先を残容量修正部91cとしたことである。また、図6は、図5に示すバッテリ残容量算出部91の動作を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートが図3に示すフローチャートと異なる点は、新たにステップS30を設けた点である。また、図7は、図5に示す使用許可領域決定部94bの動作を示すフローチャートである。
【0058】次に、図5、6、7を参照して、第2の実施例におけるバッテリ制御装置9の動作を説明する。初めに、図6を参照して、バッテリ残容量算出部91の動作を説明する。まず、残容量修正部91cは、電圧判定を行うか否かを判定する(ステップS30)。この判定は、使用許可領域決定部94bからの判定を行うか否かの指示に基づいて判定される。この判定の結果、図6に示すステップS30において、使用許可領域決定部94bから電圧判定を行わないようにする指示が出ていれば、残容量修正部91cは、ステップS31、S32、S33をスキップして、充放電電流の積算によってのみバッテリ残容量を算出し、バッテリ残容量の修正は行わない。
【0059】ステップS31、S32、S33をスキップして、バッテリ電圧によるバッテリ残容量の修正(リセット)を行わない場合、バッテリ残容量算出部91は充放電電流の積算によってのみバッテリ残容量の管理が行われる。また、図6に示すステップS38において置き換えられる上限値は、後述する処理によって決められる値であり、メモリ効果発生の有無に応じて80%〜70%の間で変化し、ステップS39において置き換えられる下限値は、後述する処理によって決められる値であり、メモリ効果発生の有無に応じて20%〜30%の間で変化する。なお、図6に示すステップS31〜S39の処理動作については、図3において説明した動作と同一であるのでここでは説明を省略する。
【0060】次に、図5、7を参照して、使用許可領域決定部94bの動作を説明する。図5に示すメモリ効果検出部93の動作は、図4に示すフローチャートと同一であるため、ここでは、メモリ効果の発生を検出する動作の説明を省略する。まず、使用許可領域決定部94bは、メモリ効果検出部93から出力された検出結果と、バッテリ残容量の変化量を読み取る(ステップS20)。
【0061】次に、使用許可領域決定部94bは、残容量修正値マップ94aを参照して、ステップS20において読み取ったバッテリ残容量の変化量に対応するバッテリ残容量の修正値を得る(ステップS21)。ここで参照される残容量修正値マップ94aを図8、9に示す。図8に示すマップは、バッテリ電圧下限値の検出からバッテリ電圧上限値の検出までの間に電流値積算によって算出されたバッテリ残容量の変化量と、バッテリ電圧上限値が検出された場合のバッテリ残容量の修正値の関係が定義されている。
【0062】このマップを参照して、バッテリ残容量の上限の修正値を80〜70%の範囲で置き換えを行う。この値は、図6に示すステップS38において用いられる値である。例えば、バッテリ残容量の変化量が15%であった場合は、バッテリ電圧上限値が検出された時点で、バッテリ残容量を70%に置き換え、この値が電流積算部91dへ出力され、電流積算によるバッテリ残容量が修正される。これによって、通常の処理においてはバッテリ残容量が80%となるところを70%となるようにしたため、充放電制御部92は、使用許可領域の上限値まで10%残っていると判断して、この10%分について充電を許可する。
【0063】一方、図9に示すマップは、バッテリ電圧上限値の検出からバッテリ電圧下限値の検出までの間に電流値積算によって算出されたバッテリ残容量の変化量と、バッテリ電圧下限値が検出された場合のバッテリ残容量の修正値の関係が定義されている。
【0064】このマップを参照して、バッテリ残容量の下限の修正値を20〜30%の範囲で置き換えを行う。この値は、図6に示すステップS39において用いられる値である。例えば、バッテリ残容量の変化量が20%であった場合は、バッテリ電圧下限値が検出された時点で、バッテリ残容量を30%に置き換え、この値が電流積算部91dへ出力され、電流積算によるバッテリ残容量が修正される。これによって、通常の処理においてはバッテリ残容量が20%となるところを30%となるようにしたため、充放電制御部91は、使用許可領域の下限値まで10%残っていると判断して、この10%分について放電を許可する。
【0065】次に、使用許可領域決定部94bはステップS21において得られた残容量修正値を残容量修正部91cに対して出力する(ステップS22)。これによって、残容量修正部91cは、バッテリ残容量の使用許可上限値または使用許可下限値を、使用許可領域決定部94bから出力された残容量修正値に修正して、この修正値を電流積算部91dへ通知する。電流積算部91dは、これを受けて、電流積算値を修正する。この時点で、電流積算部91dから出力されるバッテリ残容量は、使用許可領域決定部94dから通知された残容量修正値となる。これによって、使用許可領域は、10%分増加するため、使用許可領域を拡大するとともに、満充電または完全放電状態へ近づくため、メモリ効果を解消することができる。
【0066】次に、使用許可領域決定部94bは、内部のタイマをリセット(ステップS23)し、残容量修正部91cに対して、電圧判定を行わないように指示する。これによって、バッテリ残容量算出部91は、図6に示すステップS31、S32、S33をスキップして、電流積算によってのみバッテリ残容量を算出するようになる。
【0067】次に、使用許可領域決定部94bは、バッテリ電圧が過放電電圧より低い値であるか否かを判定する(ステップS25)。この過放電電圧とは、バッテリ下限電圧値より低い値であり、バッテリ8の放電可能な限界値である。この判定の結果、過放電電圧より低い電圧である場合、使用許可領域決定部94bは、残容量修正部91cに対して、電圧判定の再開と残容量修正値をリセットするように指示を出す(ステップS28)。これによって、残容量修正部91cは、電圧判定を再開して、さらにステップS38、S39においてバッテリ残容量の修正する場合の値を通常の値に戻す。このようにすることによって、電流積算部91dから出力されるバッテリ残容量は使用許可下限値が20%となり、使用許可上限値が80%となる。
【0068】次に、過放電電圧より高い電圧であった場合、使用許可領域決定部94bは、残容量の修正から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS26)。この所定時間の測定は、ステップS23においてリセットされたタイマの時間が用いられる。この判定の結果、所定時間経過していれば、ステップS28へ進む。
【0069】ここでいう所定時間とは、バッテリ電圧上下限値が検出された時のバッテリ残容量の上下限値の修正値を変更することによって、通常より10%分使用許可領域を増加させて充放電を繰り返した場合、バッテリ電圧の判定が行われず、充放電電流の積算にのみによって上下限の管理が行われるため、積算誤差が大きくなり誤って過充電または過放電に至ってしまうこと防止するための時間であり、ここではこの所定時間を30分とする。
【0070】次に、所定時間を経過していない場合、使用許可領域決定部94bは、電流積算部91dの出力するバッテリ残容量を参照して、その値が、使用許可領域の上限値より大きい値であるかまたは下限値より小さい値であるかを判定する(ステップS27)。この判定の結果、使用許可領域外であればステップS28へ進む。一方、使用許可領域内であれば、ステップS25へ戻り、ステップS25〜S27の判定処理を繰り返す。なお、図5に示す残容量修正値マップ94aの一例を図8、9に示したが、これらは必ず備えられている必要はなく、メモリ効果発生の有無に応じて、所定の1つの値に修正するようにしてもよい。例えば、バッテリ残容量の変化量が30%未満であった場合にバッテリ残容量上限値の修正値を無条件に70%とする。このようにすることによって残容量修正値マップ94aを備えなくとも残容量の修正値を変更することができ、バッテリ制御装置9の構成を簡単にすることができる。
【0071】このように、充放電電流値の積算値の誤差が大きくならない間において、バッテリ上限電圧値とバッテリ下限電圧値とが検出された時点でのバッテリ残容量の変化量が予め見込んだ量より小さい場合に、バッテリ8においてメモリ効果が発生したと判断し、バッテリ残容量を修正(リセット)する時の値を、バッテリ残容量の変化量に応じて変更するようにしたため、バッテリ残容量の使用許可領域を拡大することができる。これによって、エンジンの駆動力補助動作や減速回生によるバッテリへ充電動作の可能連続時間を延長することができる。また、メモリ効果が発生した場合において使用許可領域を拡大することによって、満充電状態や完全放電状態に近づけることができるため、バッテリ8において発生したメモリ効果を解消することができる。
【0072】また、新品のバッテリを使用していくと、メモリ効果が発生する可能性が高くなるため、メモリ効果発生の有無をバッテリの使用時間、車両の走行時間、充放電電流の積算量、車両の走行距離等の条件に応じて判定するようにして、これらの条件が成立した時点で、前述した残容量修正値の変更処理や残容量判定電圧の変更処理を行うようにしてもよい。さらに、残容量修正値の変更処理や残容量判定電圧の変更処理を行い、使用許可領域を拡大して走行することによってメモリ効果が解消するはずであるため、バッテリの使用時間、車両の走行時間、充放電電流の積算量、車両の走行距離等の条件に応じて、メモリ効果が解消したことを判定するようにしてもよい。このようにすることによって、図3に示すメモリ効果検出処理を簡単にすることができる。
【0073】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段と、バッテリにメモリ効果が生じたことを検出するメモリ効果検出手段と、メモリ効果の発生に応じてバッテリの残容量の使用許可領域を決定する使用許可領域決定手段と、バッテリ残容量の使用許可領域内において充放電量を制御する充放電量制御手段とを備えたため、メモリ効果によってバッテリの電圧特性が変化した場合であっても、バッテリ残容量の使用許可領域を拡大することができるので、バッテリの使用可能連続時間を改善することができるという効果が得られる。さらに使用許可領域を拡大することによって、満充電または完全放電の状態に近づけることが可能となるため、メモリ効果を解消することができるという効果も得られる。
【0074】また、請求項2に記載の発明によれば、メモリ効果の発生に応じて、バッテリ残容量を修正する時の前記判定電圧を変更するようにしたため、残容量の算出及び残容量の修正を行う処理をメモリ効果発生の有無に関係なく同じ処理によって行うことができるという効果が得られる。
【0075】また、請求項3に記載の発明によれば、メモリ効果の発生に応じて、バッテリ残容量を修正する時の残容量の所定値を変更するようにして、バッテリ温度、バッテリ電流及びバッテリ電圧とからなる判定電圧マップを複数記憶しておく必要がなくなるため、バッテリ制御装置内の記憶容量を小さい規模にすることができるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年8月31日(1999.8.31)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外7名)
【公開番号】 特開2001−69608(P2001−69608A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−246744