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【発明の名称】 ハイブリッド車両の制御装置
【発明者】 【氏名】落合 志信

【氏名】鈴木 実

【要約】 【課題】モータ制御装置がパルス幅変調により駆動/回生量を受信する場合において、送信側の装置と受信側の制御装置間で送受信時の駆動/回生量の反転がなくなり、スムーズな駆動制御が実現できるようにする。

【解決手段】ハイブリッド車両は、燃焼エネルギーで作動するエンジン1と、電気エネルギーで作動するモータ2と、エンジン1を制御するエンジン制御装置4とモータ2を制御するモータ制御装置5を備える。エンジン制御装置4は、モータ制御装置5へモータ2を駆動あるいは回生制御する制御信号をパルス幅変調により送信する。モータ制御装置5は、パルス幅が予め設定された範囲であれば、駆動・回生制御量をゼロに設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、該エンジンの駆動力を補助あるいは回生するモータとを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、前記制御装置が、前記エンジンを制御するエンジン制御装置と、前記モータを制御するモータ制御装置と、前記エンジン制御装置と前記モータ制御装置の間でパルス幅変調信号を用いて信号を送受信する通信手段とを備え、前記エンジン制御装置が前記通信手段により該エンジン制御装置から前記モータ制御装置へモータを駆動あるいは回生制御する制御信号を送信し、前記モータ制御装置が前記制御信号に基づいて前記モータを制御するハイブリッド車両の制御装置において、前記モータ制御装置は、前記パルス幅変調の信号幅が、第1の範囲では前記モータを回生する回生領域としてパルス幅に応じて回生制御量を設定し、第2の範囲では前記モータ停止領域として駆動・回生制御量をゼロに設定し、第3の範囲では前記モータを駆動する駆動領域としてパルス幅に応じて駆動制御量を設定し、該設定された制御量に基づいて前記モータを制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関し、特に、エンジンを制御するエンジン制御装置とモータを制御するモータ制御装置との間の制御量の送受信に特徴を備えたハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両走行の推進力として、燃焼エネルギーで作動するエンジンの他に電気エネルギーで作動するモータを備えたハイブリッド車両が知られている。このハイブリッド車両の一種に、モータをエンジンの出力を補助する補助駆動源として使用するパラレルハイブリッド車がある。このパラレルハイブリッド車は、例えば、加速時においてはモータによってエンジンの出力を補助し、減速時においては減速回生によってバッテリ等への充電を行う等、様々な制御を行い、バッテリの残容量を確保しつつ運転者の要求を満足できるようになっている(例えば、特開平7−123509号公報)。ところで、このようなハイブリッド車両では、エンジンとモータとを駆動力として備えることから、エンジンおよびモータの制御が一般に複雑になる。そのため、1つの制御装置では駆動制御の処理の負荷が大きすぎることから、ハイブリッド車両は複数の制御装置を備え、駆動制御の負荷の分散を行っている。また、駆動制御は、それら複数の制御装置が協調して行うことにより実現される。そのため、制御装置間で、駆動制御に必要となる値の授受が通信により行われる。この制御装置間の通信手法としては、シリアル通信、パラレル通信、パルス幅変調通信等があるが、通信速度、情報量、回路のコスト等を考慮してパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)通信を用いることがある。ここで、パルス幅変調は、周期を一定にして、変調対象となる値に応じてパルスの「1」と「0」の割合を可変にすることで変調を行う。なお、パルス幅変調において、出力周期に占めるパルス幅はデューティ(Duty)と呼ばれる。また、駆動制御の負荷を分散するために設けられる制御装置としては、エンジンを制御するエンジン制御装置やモータを制御するモータ制御装置がある。そして、この2つの制御装置間において、エンジン制御装置からモータ制御装置へモータを駆動あるいは回生制御する制御信号(要求モータ出力)をパルス幅変調信号を用いて送信する場合がある。この要求モータ出力値に対するパルス幅は、第1の領域がモータを回生する領域を示し、第2の領域がモータを駆動する領域を示す。そして、この第1の領域と第2の領域の接点(以下、”駆動/回生ゼロポイント”)がモータの駆動/回生量をゼロにするパルス幅となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、パルス幅変調による変調信号はパルス幅で示されるアナログ信号として送信されるため、通信誤差により、変調前の値とパルス幅変調された信号を復調した後の値とが一致しないことがある。通信誤差が生じる原因としては、送受信に使われる部品の精度、あるいは、パルス幅変調された信号を復調する際に平滑化回路によりパルス信号を平滑化した後にAD変換するため、等がある。そして、エンジン制御装置が、前述の要求モータ出力値をパルス幅変調により送信する際に前述の駆動/回生ゼロポイントに近い値を送信する場合、受信側のモータ制御装置が通信誤差により送信側と異なる要求モータ出力値として復調すると、スムーズな駆動制御を阻害する原因となる。なぜならば、モータ制御装置に対し駆動制御が要求されているのにモータ制御装置は回生制御と認識したり、逆にモータ制御装置に回生制御が要求されているのにモータ制御装置は駆動制御と認識したりし、その結果、モータの発生トルクが要求と逆方向となり、振動等により車両の運転が不安定になるからである。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、モータ制御装置がパルス幅変調により駆動/回生量を受信する場合において、送信側の装置と受信側の制御装置間で送受信時の駆動/回生量の反転がなくなり、スムーズな駆動制御が実現できるハイブリッド車両を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、エンジン(1)と、該エンジンの駆動力を補助あるいは回生するモータ(2)とを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、前記制御装置が、前記エンジンを制御するエンジン制御装置(4)と、前記モータを制御するモータ制御装置(5)と、前記エンジン制御装置と前記モータ制御装置の間でパルス幅変調信号を用いて信号を送受信する通信手段(実施の形態では、送信部42および受信部51)とを備え、前記エンジン制御装置が前記通信手段により該エンジン制御装置から前記モータ制御装置へモータを駆動あるいは回生制御する制御信号を送信し、前記モータ制御装置が前記制御信号に基づいて前記モータを制御するハイブリッド車両の制御装置において、前記モータ制御装置が、前記パルス幅変調の信号幅が、第1の範囲(実施の形態では、パルス幅10〜45%)では前記モータを回生する回生領域としてパルス幅に応じて回生制御量を設定し、第2の範囲(実施の形態では、パルス幅45〜55%[不感帯])では前記モータ停止領域として駆動・回生制御量をゼロに設定し、第3の範囲(実施の形態では、パルス幅55〜90%)では前記モータを駆動する駆動領域としてパルス幅に応じて駆動制御量を設定し、該設定された制御量に基づいて前記モータを制御する(実施の形態では、ステップS21,S22に相当)ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【0006】送信側のエンジン制御装置がパルス幅変調を用いて駆動/回生量がゼロとなる値を送信した場合、受信側のモータ制御装置は、パルス幅がモータ停止領域である第2の範囲として駆動・回生制御量をゼロに設定する。これにより、送信側の装置と受信側の駆動/回生量がゼロに近い値での駆動あるいは回生量の反転が生じなくなり、スムーズな駆動制御が行えるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両の制御装置を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態によるハイブリッド車両の一種であるパラレルハイブリッド車の全体構成を示すブロック図である。この図において、符号1は燃料の燃焼エネルギーで作動するエンジンであり、符号2はエンジンと併用して用いられ電気エネルギーで作動するモータである。エンジン1及びモータ2の両方の駆動力は、オートマチックトランスミッションあるいはマニュアルトランスミッションよりなるトランスミッション(図示せず)を介して駆動輪(図示せず)に伝達される。また、ハイブリッド車両の減速時には、駆動輪からモータ2に駆動力が伝達され、モータ2は発電機として機能する。モータ2は、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、別途説明を行うバッテリ3の充電等を行う。なお、駆動用のモータ2とは別に、バッテリ3の充電用の発電機を備える構成としてもよい。ここで、バッテリ3は、例えば、複数のセルを直列に接続したモジュールを1単位として、更に複数個のモジュールを直列に接続して、高圧系のバッテリとして構成される。符号19は、エンジン始動専用のスタータである。
【0008】符号4はエンジン制御装置であり、エンジン回転数、車速等を所定期間毎にモニタしており、これらの結果からモータ回生や、アシスト、減速などのモードを判断する。また、エンジン制御装置4は、同時に前述したモードに対応して、アシスト/回生量の決定を行い、これらモードやアシスト/回生量に関する情報等をモータ制御装置5に出力する。モータ制御装置5は、上述したような情報をエンジン制御装置4から受け取ると、この指示通りにモータ2を駆動/回生させるパワードライブユニット(以下”PDU”と略記)7等の制御を行う。符号6はバッテリ制御装置であり、バッテリ3のSOC(残容量)の算出を行う。また、バッテリ制御装置6は、バッテリ3の保護のために、バッテリ3の温度が所定値以下となるようにバッテリ3の近傍に設置されたファン35の制御等も行う。ここで、エンジン制御装置4、モータ制御装置5、バッテリ制御装置6と複数の制御装置が備えられているのは、駆動制御における負荷の分散をするためである。そして、エンジン制御装置4とモータ制御装置5とバッテリ制御装置6とが、駆動制御を分担し、協調しながら駆動制御を行う。なお、エンジン制御装置4、モータ制御装置5、バッテリ制御装置6は、CPU(中央演算装置)およびメモリにより構成され、制御装置の機能を実現するためのプログラムを実行することによりその機能を実現させる。
【0009】符号7はPDUであり、スイッチング素子が2つ直列接続されたものが3つ並列接続されて構成されている。このPDU7内部のスイッチング素子は、モータ制御装置5によってオン、オフされ、これによりバッテリ3からPDU7に供給されている高圧系のDC分が三相線を介してモータ2に供給される。また、符号9は各種補機類を駆動するための12ボルトバッテリであり、この12Vバッテリ9はバッテリ3にコンバータ8を介して接続されている。コンバータ8は、バッテリ3からの電圧を降圧して12Vバッテリ9に供給する。符号10はプリチャージコンタクタ、符号11はメインコンタクタであり、バッテリ3とPDU7は、これらのコンタクタを介して接続される。プリチャージコンタクタ10、及びメインコンタクタ11はモータ制御装置5によってオン、オフ制御が行われる。
【0010】符号12はモータ2の位置及び回転数を計算するセンサであり、符号13は三相線に流れている電流Iu、Iv、Iwを検出する電流センサである。これらセンサ12,13の検出値は、モータ制御装置5に入力される。
【0011】符号14はPDU7入力部の電圧Vpduを検出する電圧センサであり、符号15はPDU7に入力される電流Ipduを検出する電流センサである。符号16は、バッテリ3側の電圧を検出する電圧センサである。上述した電圧および電流センサ(14〜16)によって検出された電圧値及び電流値はモータ制御装置5へ入力される。符号17は、コンタクタを介してバッテリ3側を流れる電流を検出するバッテリ3側の電流センサであり、検出された電流値はバッテリ制御装置6に入力される。上述したように、各センサ14〜16は、コンタクタ10、11を介して、バッテリ3側の電圧及び電流と、コンタクタを介してPDU7側の電圧及び電流を検出している。また、電流センサ15で検出される電流は、コンバータ8に流れている電流分を差し引いた値となる。
【0012】次に上述した構成からなるハイブリッド車両の制御装置の動作を簡単に説明する。先ず、バッテリ制御装置6がバッテリ3側における入出電流25,電圧29等の値よりの残容量を算出し、その値をモータ制御装置5へ出力する。モータ制御装置5は、受け取った残容量をエンジン制御装置4へ出力する。エンジン制御装置5は、残容量、エンジン回転数、スロットル開度、エンジントルク、モータの実モータ出力等によりモード(アシスト、回生、始動、減速等)と、モータ2における必要モータ出力を決定し、モードと要求モータ出力をモータ制御装置5へ出力する。
【0013】モータ制御装置5は、エンジン制御装置4からモード及び要求モータ出力を受け取ると、アシスト及び減速時において、PDU7の入力側の電力(図1の電圧センサ14、及び電流センサ15側)が、エンジン制御装置5から受け取った要求モータ出力になるようにフィードバックを行い、トルクを算出する。一方、モータ制御装置5は、クルーズ時において、バッテリ3の電力値(図1の電圧センサ16、及び電流センサ17側)が要求モータ出力になるようにフィードバックを行いトルクを算出する。このようにトルクが算出されると、モータ制御装置5は算出したトルクに従ってPDU7を制御する。また、モータ制御装置5は、始動時において、PDU7を制御することにより、モータ2によるエンジン始動制御を行う。また、モータ制御装置5は実モータ出力をエンジン制御装置4へ出力する。エンジン制御装置4、モータ制御装置5、バッテリ制御装置6は、上述した処理を所定のタイミングで随時行うことにより、エンジン1、モータ2、バッテリ3の制御を行い、ハイブリッド車両を駆動させる。
【0014】次に、エンジン制御装置4およびモータ制御装置5において、送受信する値をパルス幅変調により行う際に関連する構成および動作を説明する。なお、本実施の形態では、エンジン制御装置4からモータ制御装置5への”要求モータ出力値”、および、モータ制御装置5からエンジン制御装置4への”実モータ出力値”を例として示し、以下、これらの値を、エンジン制御装置4およびモータ制御装置5間でパルス幅変調を用いた送受信をする場合を説明する。
【0015】図2は、エンジン制御装置4およびモータ制御装置5への入出力信号およびパルス幅変調に関連する構成をより詳細に示した図である。また、図2は、モータ2に対する要求モータ出力値、モータ2における実モータ出力値をパルス幅変調を用いて送受信する場合におけるエンジン制御装置4とモータ制御装置5の構成を中心に示している。なお、図2において、図1に示す信号に対応する信号には同一符号を付している。また、図2において、図1に示す信号に対応する信号(X)をより詳細に示した信号は、信号(X)に対し他の符号をファイフン(−)で接続した符号により示している。
【0016】図2より、エンジン制御装置5は、要求出力算出部41、送信部42、受信部40,45、エンジン制御部48を備える。受信部40は、モータ制御装置5を介してバッテリ制御装置6からアナログ値として送られるバッテリ残容量(SOC)を受信・復調し、デジタル値として出力する。要求出力算出部41は、エンジン回転数、アクセルペダルの状態、バッテリ残容量等の入力値に基づき、走行モードの決定を行う。また、要求出力算出部41は、決定されたモードに基づきモータ2への要求モータ出力値を算出する。
【0017】送信部42は、要求出力算出部41により算出された要求モータ出力値のパルス幅変調を行い、モータ制御装置5に対しパルス幅変調された信号を送信する。また、送信部42は、パルス幅決定部43とパルス発生部44とにより構成される。ここで、パルス幅決定部43は、要求出力算出部41で算出された要求モータ出力値をパルス幅変調する際のパルス幅(デューティ:Duty)を求める。この際、パルス幅決定部43は、駆動/回生量ゼロの場合、この値に対して予め設定されたパルス幅の範囲の中央値とするパルス幅の決定を行う。パルス発生部44は、パルス幅決定部43で決定されたパルス幅を所定周期で形成し、出力する。
【0018】受信部45は、モータ制御装置5からパルス幅変調して送られてくる実モータ出力値の受信・復調処理を行う。また、受信部45は、AD変換部46と復調部47とにより構成される。ここで、AD変換部46は、パルス幅変調された信号をCR回路等の平滑回路で平滑化した後、この信号をAD変換する。復調部47は、AD変換部46でデジタル化されたパルス幅より別途説明する図4の特性に基づいて、パルス幅に対応した実モータ出力値を求める。この際、復調部47は、パルス幅が予め設定されたパルス幅の範囲であれば、駆動/回生量ゼロとする復調処理を行う。エンジン制御部48は、要求出力算出部41の算出結果や受信部45で復調された実モータ出力値を用いて、エンジンに要求されるトルクを決定する。また、エンジン制御部48は、決定されたトルクとなるようにエンジンの駆動制御を行う。
【0019】モータ制御装置5は、受信部50,51、PDU制御部54、送信部55を備える。受信部50は、バッテリ制御装置6からアナログ値として送られるバッテリ残容量(SOC)を受信・復調し、デジタル値として出力する。受信部51は、エンジン制御装置4からパルス幅変調して送られてくる要求モータ出力値の受信・復調処理を行う。また、受信部52は、AD変換部52と復調部53とにより構成される。なお、AD変換部52および復調部53は、それぞれ、エンジン制御装置4におけるAD変換部46および復調部47と同様の処理を行う。PDU制御部54は、PDU7の入力側の電力値あるいはバッテリ3の電力値が要求モータ出力値となるようにPDU7を制御する。また、PDU制御部54は、PDU7の入力側の電力値より実モータ出力値を算出する。送信部55は、PDU制御部54により算出された実モータ出力値をパルス幅変調し、エンジン制御装置4に対しパルス幅変調された信号を送信する。また、送信部55は、パルス幅決定部56とパルス発生部57とにより構成される。なお、パルス幅決定部56およびパルス発生部57は、エンジン制御装置4におけるパルス幅決定部43およびパルス発生部44と同様の処理を行う。
【0020】次に、パルス幅変調を用いた要求モータ出力値,実モータ出力値の送受信動作を中心に、エンジン制御装置4、モータ制御装置5の動作を図3を用いて説明する。なお、図3(a)は、エンジン制御装置4の制御動作を、図3(b)はモータ制御装置5の制御動作を示している。図3に示す動作は、エンジン1の始動完了とともに開始し、イグニッションスイッチが”OFF”されるまで、図3に示す各ステップが所定周期で繰り返し行われる。
【0021】エンジン制御装置4は、エンジン制御装置4へ入力されるセンサ検出値をセンシングし、所定のメモリにセットする(ステップS11)。エンジン制御装置4に入力されるセンサ検出値としては、アクセルペダルの状態や車速等の信号33、エンジンからのエンジン回転数,エンジン温度等の信号34−1、モータ制御装置5を介してバッテリ制御装置6から送られるバッテリの残容量、などである。なお、バッテリの残容量は、パルス幅変調されたアナログ信号として送られる。そのため、受信部40は、入力信号のパルス幅に対するアナログ−デジタル変換を行い、図6に示す関係を示したテーブルないしは変換式を用いて、パルス幅から残容量を得る復調処理をする。また、受信部40は、変調結果を所定のメモリに格納する。
【0022】要求出力算出部41は、エンジン制御装置5に入力されるエンジン回転数、アクセルペダルの状態、車速、バッテリ3の残容量等に基づき、走行モード(アシスト,回生,減速等)の決定を行う。また、要求出力算出部41は、決定されたモードに基づきモータ2への要求モータ出力値を算出する(ステップS12)。すなわち、要求出力算出部41は、エンジン回転数、アクセルペダルの状態、バッテリ3の残容量等を格納したメモリを参照することでこれらの値を得る。さらに、要求出力算出部41は、エンジン制御装置4内の各種ステータスを示すフラグの値を参照して、走行モードの決定を行う。また、要求出力算出部41は、モードに応じて要求される駆動力を算出し、エンジン1およびモータ2への駆動力の配分を決定する。要求出力算出部41は、エンジンに要求される駆動力および要求モータ出力値を所定のメモリにセットする。
【0023】送信部42は、所定のメモリにセットされた要求モータ出力値をパルス幅変調し、所定周期で信号32−1を送信する(ステップS13)。ここで、要求モータ出力値とパルス幅の関係を図4を用いて説明する。なお、本実施の形態において、要求出力算出部41は、モータ2への要求モータ出力値を電力[kW]で算出し、その変動範囲は+10[kW]〜−10[kW]とする。また、要求モータ出力は、駆動/回生量ゼロに対し、値が正の場合にはモータの駆動電力を、値が負の場合にはモータの回生電力を示す。よって、この値を用いた制御を行うモータ制御装置5は、駆動/回生量ゼロを境に、正の値ならばモータの駆動制御を、負の値ならばモータの回生制御を行う。すなわち、モータ制御装置5は、値ゼロを境に制御の方向性を反転させる。図4に示すように、要求モータ出力値が−10[kW]以上0[kW]未満(回生量)に対しパルス幅10〜45%がリニアに設定され、要求モータ出力値が0[kW]より大きく+10[kW]以下(駆動量)に対しパルス幅55〜90%がリニアに設定されている。そして、要求モータ出力値ゼロ(駆動/回生量ゼロ)に対しては、パルス幅が所定の範囲(45%〜55%:以下”不感帯”と呼ぶ)で設定さている。この不感帯は、送信側となるエンジン制御装置4の送信部42の部品精度や送信部42内のパルス発生部44の分解能により決定されるパルス幅の精度、および、受信側となるモータ制御装置5の受信部51の部品精度や受信部51内のAD変換部52の分解能により決定される復調精度に基づき設定される。図4では、精度±2%に対し安全率を1.5とし、±5%の幅を持たせている。
【0024】パルス幅決定部43は、要求モータ出力に対するパルス幅が図4に示す関係となる変換テーブル、あるいは、変換式を備え、これらを用いて要求モータ出力からパルス幅を決定する。なお、パルス幅決定部43は、要求モータ出力値が駆動/回生量ゼロの場合、パルス幅を不感帯(45%〜55%)の中央値50%に変換する。このため、変換テーブルあるいは変換式は、要求モータ出力値が駆動/回生量ゼロの場合、パルス幅を不感帯(45%〜55%)の中央値50%となるように設定さている。パルス幅決定部43は、求めたパルス幅をパルス発生部44へ出力する。パルス発生部44は、パルス幅に関するデジタル値の入力があると、その値を内部レジスタにセットする。また、パルス発生部44は、所定周期(例えば500[μs])毎に、レジスタにセットされた値のパルス幅を有するアナログ信号を生成し出力する。
【0025】モータ制御装置5において、受信部51は、パルス幅変調された要求モータ出力値を受信・復調する(ステップS21)。すなわち、受信部51内のAD変換部52は、入力パルス信号をRC回路等の平滑化回路で平滑化し、入力信号の周期に占める所定電圧以上のパルス幅の比率(Duty)をデジタル値にし、復調部53に出力する。AD変換部52は、上記動作を変調周期に合わせて行う。復調部53は、パルス幅に対する要求モータ出力値が図4に示す関係となる変換テーブル、あるいは、変換式を備え、これらを用いてパルス幅を要求モータ出力に復調する。なお、復調部53は、パルス幅が不感帯(45%〜55%)の範囲の場合、要求モータ出力値として駆動/回生量ゼロに復調する。そのため、変換テーブルあるいは変換式は、パルス幅が不感帯の範囲の場合、要求モータ出力値が駆動/回生量ゼロとなるように設定されている。復調部53は、復調した要求モータ出力値を所定のメモリにセットする。これにより、パルス幅10%〜45%ではモータ2を回生する回生領域としてパルス幅に応じた回生制御量が設定され、パルス幅55%〜90%ではモータ2を駆動する駆動領域としてパルス幅に応じて駆動制御量が設定される。そして、パルス幅45%〜55%ではモータ停止領域として駆動・回生制御量がゼロに設定される。図4の特性に示すようにパルス幅は、10%〜90%の範囲で通信するようになっている。そこで、復調部53は、精度を考慮し、パルス幅が95%以上あるいは5%以下の場合、通信線の断線等による通信異常があったもと判断する処理も行う。なお、複雑な制御を行うPDU制御部54の動作周期に比べ、受信部51の変調周期の方が一般に短いことから、復調部53は、所定個数の復調結果の平均値あるいは中央値を要求モータ出力値として所定のメモリにセットするようにしてもよい。
【0026】PDU制御部54は、PDU7の入力側の電力値あるいはバッテリ3の電力値が要求トルク出力値となるようにPDU7を制御する(ステップS22)。すなわち、PDU制御部54は、所定のメモリを参照することで要求モータ出力値を得る。そして、PDU制御部54は、要求モータ出力値がゼロの場合、モータ2が駆動制御量および回生制御量がともにゼロとなるようPDU7へ制御信号23を出力する。また、要求モータ出力値が正の値の場合、PDU制御部54は、PDU7側に設けられた電圧センサ14および電流センサ15からの計測値より現在の駆動電力を求め、この駆動電力が要求モータ出力値となるようPDU7に対するフィードバック制御を行う。要求モータ出力値が負の値の場合、PDU制御部54は、バッテリ3側に設けられた電圧センサ16および電流センサ17からの計測値より現在の回生電力を求め、この回生電力が要求モータ出力となるようPDU7に対するフィードバック制御を行う。すなわち、PDU制御部54は、駆動/回生量ゼロを境に制御の方向性を反転させる。なお、PDU7に対する制御において、PDU制御部54は、受信部50で受信したバッテリ3の残容量を考慮した要求モータ出力値の修正処理も同時に行う。また、PDU制御部54は、PDU7の入力側の電力値より実モータ出力を算出する。この際、駆動時における実モータ出力値は正の値、回生時における実モータ出力値は負の値として算出される。そして、モータ2に対する駆動/回生が行われない場合の実モータ出力値はゼロとなる。PDU制御部54は、算出した実モータ出力値を所定のメモリにセットする。なお、図6の特性に示すようにパルス幅は、10%〜90%の範囲で通信するようになっている。そこで、受信部50は、精度を考慮し、パルス幅が95%以上あるいは5%以下の場合、通信線の断線等による通信異常があったもと判断する処理も行う。
【0027】送信部55は、所定のメモリにセットされた実モータ出力値をパルス幅変調し、所定周期で信号32−2を送信する(ステップS23)。ここで、実モータ出力値とパルス幅の関係を図5を用いて説明する。なお、本実施の形態において、PDU制御部54は、モータ2の実モータ出力値をトルク[kgfm]で算出し、その変動範囲は+10[kgfm]〜−10[kgfm]とする。また、この値を用いた制御を行うエンジン制御装置5は、アイドリング状態において、実モータトルクがゼロにおいて、エンジン出力が所定のトルク値となるように制御し、正の値ならばエンジントルクを減らす制御を、負の値ならばエンジントルクを増やす制御を行う。すなわち、エンジン制御装置4は、実モータ出力値ゼロを境に制御の方向性を反転させる。図4と同様に、図5には、実モータ出力値が−10[kgfm」以上0[kgfm]未満(回生トルク)に対しパルス幅10〜45%がリニアに設定され、実モータ出力値が0[kW]より大きく+10[kW]以下(駆動トルク)に対しパルス幅55〜90%がリニアに設定されている。そして、実モータ出力値ゼロに対しては、パルス幅が所定の範囲(45%〜55%:同様に”不感帯”と呼ぶ)で設定さている。この不感帯は、図4で説明したと同様に送信部55で生成されるパルス幅の精度、受信部45の復調精度に基づき設定される。また、エンジン制御装置4内の送信部42と比較すると、モータ制御装置5内の送信部55は、変調対象となる値が異なり、変調対象となる値と変調後のパルス幅との関係が異なるのみであることからその説明を省略する。
【0028】エンジン制御装置5において、受信部45は、パルス幅変調された実モータ出力値を受信・復調する(ステップS14)。モータ制御装置5内の受信部51と比較すると、エンジン制御部4内の受信部45は、復調対象となる値が異なり、パルス幅と復調対象となる値との関係が異なるのみであることからその説明を省略する。
【0029】エンジン制御部48は、要求出力算出部41で算出された要求モータ出力値と受信部45で復調された実モータ出力値とを比較することにより、要求されたモータ出力値でモータ2が駆動/回生されているかチェックを行う。また、エンジン制御部48は、要求出力算出部41で算出されたエンジントルクがエンジンから出力されるようエンジンの駆動制御を行う(ステップS15)。なお、エンジン制御部48は、アイドリング状態において、実モータ出力値がゼロの際、エンジン出力が所定のトルク(所定の回転数)となるようにエンジンを制御する。また、エンジン制御部48は、実モータ出力値が正の値ならばエンジントルクを減らすためにエンジンに供給されるエアの量を減らす制御信号34−2を出力し、負の値ならばエンジントルクを増やすためにエンジンに供給されるエアの量を増やす制御信号34−2を出力する。
【0030】以上のように、エンジン制御装置4およびモータ制御装置5は、要求モータ出力値、実モータ出力値をパルス幅変調し、送受信する処理を含む制御処理を行う。以上説明したように、エンジン制御装置4は、算出された要求モータ出力値における駆動/回生量ゼロを、この値に対し予め設定さた不感帯の中央値とするパルス幅変調を行う。また、モータ制御装置5は、受信したパルス幅が予め設定された不感帯の範囲であれば要求モータ出力値ゼロとする復調処理を行う。これにより、エンジン制御装置4がパルス幅変調を用いて駆動/回生量ゼロをモータ制御装置5に出力した場合、モータ制御装置5では、駆動/回生量ゼロとして復調できる。さらに、エンジン制御装置4がパルス幅変調を用いて駆動/回生量付近の値をモータ制御装置5に出力した場合、モータ制御装置5では、駆動/回生量が反転することなく復調できる。よって、モータ制御装置5およびエンジン制御装置4間で、駆動/回生量ゼロおよびこの近傍の値の符号に関する認識のずれがなくなる。仮に、エンジン制御4が駆動/回生量ゼロを連続して送信したにもかかわらず、モータ制御装置5が誤差によりゼロ以外の値、例えば正負が交互に変化する値として復調したとする。この場合、モータ制御装置5は、モータ2を順次駆動/回生するよう制御信号を出力する。よって、モータ2によるトルクのかかる方向が、順次反転する。そのため、エンジン1とモータ2との合成トルクが周期的に変化し、ハイブリッド車両の走行時においては、その走行がスムーズでなくなる。これに対し、本実施の形態のハイブリッド車両では、エンジン制御装置4およびモータ制御装置5間で、駆動/回生量ゼロに関する認識のずれがなくなる。よって、エンジン1とモータ2との合成トルクに周期的な変化がなくなり、ハイブリッド車両の走行時においては、その走行がスムーズとなる。
【0031】同様に、モータ制御装置5は、求められた実モータ出力値ゼロを、この値に対し予め設定さた不感帯の中央値とするパルス幅変調を行う。一方、エンジン制御装置4は受信したパルス幅が予め設定された不感帯の範囲であれば実モータ出力値ゼロとする復調処理を行う。これにより、モータ制御装置5がパルス幅変調を用いて実モータ出力値ゼロをエンジン制御装置4に出力した場合、エンジン制御装置4では、実モータ出力値ゼロとして復調できる。さらに、モータ制御装置5がパルス幅変調を用いて実モータ出力値ゼロ付近の値をエンジン制御装置4に出力した場合、エンジン制御装置4では、実モータ出力値の符号を反転することなく復調できる。よって、モータ制御装置5およびエンジン制御装置4間で、実モータ出力値ゼロおよびこの近傍の値の符号に関する認識のずれがなくなる。仮に、モータ制御5が実モータ出力値ゼロを連続して送信したにもかかわらず、エンジン制御装置4が誤差によりゼロ以外の値、例えば正負が交互に変化する値として復調したとする。この場合、エンジン制御装置5は、アイドリング状態において、エンジン1のトルク(回転数)を周期的にさせるような制御信号を出力する。そのため、アイドリング時におけるエンジン回転数の安定性が悪くなる。これに対し、本実施の形態のハイブリッド車両では、エンジン制御装置4およびモータ制御装置5間で、実モータ出力値ゼロに関する認識のずれがなくなることから、アイドリング時におけるエンジン回転数の安定性が良くなる。
【0032】なお、本実施の形態では、本発明の適用されるハイブリッド車として、図1にエンジン1とモータ2の出力を合成したり配分したりするタイプのパラレルハイブリッド車を示した。このようなパラレルハイブリッド車では、エンジン1とモータ2との駆動が密接であることから、特に本発明の駆動/回生量ゼロを考慮した通信により良好な駆動制御を得られるが、この種のハイブリッド車に限定されるものではない。例えば、本発明は、クラッチにより動力伝達を接続、遮断するタイプのハイブリッド車両等、種々のタイプのハイブリッド車において適用され得る。
【0033】また、本発明において、要求モータ出力の単位は電力[KW]で、実モータ出力の単位はトルク[kgfm]として示したが、これに限定されるものではない。例えば、要求モータ出力の単位がトルクであってもよく、また、実モータ出力の単位は電力であってもよい。また、本実施の形態において、図4,図5に示すように、不感帯以外の送受信される値とパルス幅の関係は、リニアに変化するものとして示しているが、これに限定されるものではなく、受信側の制御装置の制御特定を考慮した非リニアな設定を行ってもよい。
【0034】以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるハイブリッド車両によれば、下記の効果を得ることができる。本発明によれば、エンジン制御装置は、駆動/回生量ゼロの場合、この値に対し予め設定さた範囲(不感帯)のパルス幅とするパルス幅変調を行い送信する。受信側のモータ制御装置は、受信したパルス幅が、不感帯の範囲であれば駆動/回生量ゼロとする復調処理を行う。これにより、送信側の装置がパルス幅変調を用いて駆動/回生量ゼロあるいはこの近傍の値を送信した場合、受信側の制御装置は、駆動/回生量ゼロは駆動/回生量ゼロに、この近傍の値は符号を誤ることなく復調できる。よって、スムーズな駆動制御が行えるようになる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年8月24日(1999.8.24)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外7名)
【公開番号】 特開2001−69606(P2001−69606A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−237629