| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車両のバッテリ制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】木下 直樹
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| 【要約】 |
【課題】バッテリの温度に応じて充放電量を制御してバッテリの劣化を防止することができるバッテリ制御装置を提供する。
【解決手段】車両の推進力を出力するエンジンと、エンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータと、該モータに電力を供給すると共に補助駆動力が必要ないときにモータを発電機として作動させ得られた電気エネルギーを充電するバッテリとを備えたハイブリッド車両のバッテリ制御装置であって、前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段と、前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、前記バッテリ温度検出手段によって検出された前記バッテリの温度が所定温度以上である場合に、前記バッテリ残容量算出手段によって算出されたバッテリ残容量が第1の所定値になるまで放電のみを許可する充放電制御手段とを備えたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の推進力を出力するエンジンと、エンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータと、該モータに電力を供給すると共に補助駆動力が必要ないときにモータを発電機として作動させ得られた電気エネルギーを充電するバッテリとを備えたハイブリッド車両のバッテリ制御装置であって、前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段と、前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、前記バッテリ温度検出手段によって検出された前記バッテリの温度が所定温度以上である場合に、前記バッテリ残容量算出手段によって算出されたバッテリ残容量が第1の所定値になるまで放電のみを許可する充放電制御手段と、を備えたことを特徴とするバッテリ制御装置。 【請求項2】 前記充放電制御手段は、バッテリ残容量が第1の所定値になった後は、第1の所定値より大きい第2の所定値を超えない範囲で充電を許可することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ制御装置。 【請求項3】 前記バッテリ残容量算出手段は、前記バッテリの電圧がバッテリ下限電圧値であるか否かを検出し、バッテリ下限電圧値が検出された時点をバッテリ残容量のバッテリ使用許可下限値とすることを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリ制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ハイブリッド車両に搭載されるバッテリの制御を行うバッテリ制御装置に係るものであり、特に、バッテリの温度に応じて充放電量を制御するバッテリ制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から、走行用の動力源としてエンジンの他にモータを備えたハイブリッド車両が知られている。ハイブリッド車両にはシリーズハイブリッド車とパラレルハイブリッド車がある。シリーズハイブリッド車はエンジンによって駆動される発電機の発電出力等を用いてモータを駆動し、モータによって車輪を駆動する車両である。したがって、エンジンと車輪が機械的に連結されていないため、エンジンを高燃費低エミッションの回転数領域にてほぼ一定回転で運転することができ、従来のエンジン車両に比べ良好な燃費及び低いエミッションを実現できる。 【0003】これに対しパラレルハイブリッド車は、エンジンに連結されたモータによってエンジンの駆動軸を駆動補助すると共に、このモータを発電機として使用して得られた電気エネルギーを蓄電装置に充電し、さらにこの発電された電気エネルギーは車両内の電装品にも用いられる。したがって、エンジンと車輪が機械的に連結されているにも関わらず、エンジンの運転負荷を軽減できるため、やはり従来のエンジン車に比べ良好な燃費及び低エミッションを実現できる。 【0004】上記パラレルハイブリッド車には、エンジンの出力軸にエンジンの出力を補助するモータが直結され、このモータが減速時等に発電機として機能してバッテリ等に蓄電をするタイプや、エンジンとモータのいずれか、あるいは、双方で駆動力を発生することができ発電機を別に備えたタイプのもの等がある。このようなハイブリッド車両にあっては、例えば、加速時においてはモータによってエンジンの出力を補助し、減速時においては減速回生によってバッテリ等への充電を行なう等様々な制御を行い、バッテリの電気エネルギー(以下、バッテリ残容量という)を確保して運転者の要求に対応できるようになっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、ハイブリッド車両に用いられるバッテリは、バッテリ自身の温度が上昇すると充電効率が急激に低下してしまう温度が存在する。この温度はバッテリの性能によって予め決まっている温度である。バッテリの温度がこの温度を超えている状態において充電を行っても熱に変換されるだけで、充電された電力をバッテリに蓄えることができない。 【0006】また、複数のモジュールからなるバッテリにおいては、このモジュール間に温度差があるとモジュール間の容量のばらつきが拡大する。特に、環境の温度の影響によってバッテリの温度が上昇する場合は、このモジュール間の温度のばらつきが発生しやすい。さらに、バッテリ温度が高温である場合には、バッテリ残容量の上限を検出するための電圧の変化が小さくなるため、バッテリ残容量の上限の検出が困難となる。このため、車両に搭載されるバッテリはバッテリ自身を冷却する機構が備えられ、充電効率が急激に低下してしまう温度以下にバッテリ温度が保たれるようになっていることが多い。 【0007】しかしながら、バッテリを冷却する機構は車両が運転中でなければ作動しないため、駐車されている場合は、バッテリ自身を冷却することができない。したがって、炎天下に置かれた車内に搭載されたバッテリは、車内の温度上昇と共に温度が上昇してしまう。この状態において、走行を開始して、バッテリ自身の冷却を行ってもバッテリ温度が低下するまで時間を要してしまう。バッテリの温度が低下するまでの間は、充電を行ってもその電力をバッテリに蓄えることができないため、バッテリ温度のさらなる上昇が発生するという問題がある。 【0008】また、バッテリを構成するモジュール間に温度のばらつきがある状態において、常温と同様に充放電を行うとバッテリ容量のばらつきが拡大してしまうという問題もある。さらに、バッテリ温度が高い状態において充電を行っても熱に変換されるだけでバッテリ電圧は上昇しないために、バッテリの残容量の上限を電圧変化で検出することが困難になり、結果的に過充電に至ってしまいバッテリを劣化させてしまうという問題もある。 【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、バッテリの温度に応じて充放電量を制御してバッテリの劣化を防止することができるバッテリ制御装置を提供するものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、車両の推進力を出力するエンジン(例えば、実施形態におけるエンジン1)と、エンジンの出力を補助する補助駆動力を発生するモータ(例えば、実施形態におけるモータ2)と、該モータに電力を供給すると共に補助駆動力が必要ないときにモータを発電機として作動させ得られた電気エネルギーを充電するバッテリ(例えば、実施形態におけるバッテリ8)とを備えたハイブリッド車両のバッテリ制御装置(例えば、実施形態におけるバッテリ制御装置9)であって、前記バッテリ制御装置は、前記バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段(例えば、実施形態におけるバッテリ残容量算出部91)と、前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段(例えば、実施形態における温度センサ)と、前記バッテリ温度検出手段によって検出された前記バッテリの温度が所定温度以上である(例えば、実施形態における充電効率が低下する温度)場合に(例えば、実施形態におけるステップS1、ステップS2)、前記バッテリ残容量算出手段によって算出されたバッテリ残容量が第1の所定値(例えば、実施形態におけるバッテリ使用許可下限値)になるまで(例えば、実施形態におけるステップS3)放電のみを許可する(例えば、実施形態におけるステップS2)充放電制御手段(例えば、実施形態における充放電制御部92)とを備えたことを特徴とする。 【0011】請求項1に記載の発明によれば、バッテリの残容量を算出するバッテリ残容量算出手段と、前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、前記バッテリ温度検出手段によって検出された前記バッテリの温度が該バッテリの充電効率が低下する温度である場合に充電を禁止して、前記バッテリ残容量算出手段によって算出されたバッテリ残容量がバッテリ使用許可下限値になるまで放電のみを許可する充放電制御手段とをバッテリ制御装置に備え、バッテリの温度が低下するまで充電することを禁止するようにしたため、バッテリの温度が高温である場合に充電効率低下によるさらなるバッテリ温度の上昇とバッテリの劣化を防止することができるという効果が得られる。 【0012】請求項2に記載の発明は、前記充放電制御手段は、バッテリ残容量が第1の所定値(例えば、実施形態におけるバッテリ使用許可下限値)になった後は、第1の所定値より大きい第2の所定値(例えば、実施形態における充電許可制限値)を超えない範囲で充電を許可する(例えば、実施形態におけるステップS5、ステップS7)ことを特徴とする。 【0013】請求項2に記載の発明によれば、バッテリ残容量がバッテリ使用許可下限値になった後は、充電効率が低下する温度よりバッテリ温度が低くなるまで充電許可制限値を超える充電を禁止するようにしたため、バッテリ温度が高い状態においてはバッテリ残容量を低い値に制限し、バッテリが劣化しない範囲での充電を行うことでき、回生によって得られるエネルギーを効率良く蓄えることができるという効果を得ることができる。 【0014】請求項3に記載の発明は、前記バッテリ残容量算出手段は、前記バッテリの電圧がバッテリ下限電圧値であるか否かを検出(例えば、実施形態におけるステップS11、ステップS12)し、バッテリ下限電圧値が検出された時点をバッテリ残容量のバッテリ使用許可下限値とする(例えば、実施形態におけるステップS19)ことを特徴とする。 【0015】請求項3に記載の発明によれば、バッテリ下限電圧値が検出された時点をバッテリ残容量のバッテリ使用許可下限値とするようにしたため、充放電電流の積算によって発生する積算誤差をクリアすることができバッテリ使用許可下限値の精度を向上させることができるという効果が得られる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態によるハイブリッド車両のバッテリ制御装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の全体の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、内燃機関であり、以下の説明においては、エンジンと称し、図面においてもエンジンと図示する。符号2は、電動機であり、以下の説明においては、モータと称し、図面においてもモータと図示する。このモータ2は、車両の運転状態に応じてエンジン出力の補助を行なったり、車両の減速時においては回生作動を行うものである。符号3は、トランスミッションであり、マニュアルトランスミッションまたはオートマチックトランスミッションのいずれかである。また、トランスミッション3は、クラッチまたはトルクコンバータ、前進・後進切換機構、変速機構、ディファレンシャルギヤ等が含まれる。このトランスミッション3によってエンジン1及びモータ2の駆動力が駆動輪Wへ伝達される。 【0017】符号4は、モータ2の回転の制御を行うモータ制御装置である。符号5は、エンジン1の制御を行うエンジン制御装置である。符号6は、トランスミッション3の制御を行うトランスミッション制御装置である。符号7は、モータ制御装置4からの制御信号に基づいて、モータ2に対して電力の授受を行うパワードライブユニットである。符号8は、モータ2に電力を供給すると共に駆動力が必要ないときにモータ2の回生作動により発電された回生エネルギーを蓄電する高圧系バッテリであり、複数のモジュールが接続されて1つのバッテリを構成している。符号9は、バッテリ8の状況を管理すると共にバッテリ8の状況に応じて充放電量を制御するバッテリ制御装置である。符号10は、バッテリ8の電圧を降圧して出力するダウンバータである。符号11は、車両内において使用される電装品の電力を供給する12V系の補助バッテリである。この補助バッテリ11は、バッテリ8の電力がダウンバータ10を介して充電される。 【0018】次に、図2を参照して、図1に示すモータ制御装置4及びバッテリ制御装置9の構成を説明する。図2は、図1に示すモータ制御装置4及びバッテリ制御装置9の構成を示すブロック図である。この図において、符号41は、モータ2によって、エンジン1の補助駆動力の発生または回生作動の制御量が記憶されたアシスト・回生マップである。以下の説明において、エンジン1の駆動力を補助することをアシストするといい、モータ2の回生作動により発電された回生エネルギーを蓄電することを回生するという。このアシスト・回生マップは、エンジン1のスロットル開度とエンジン回転数に基づいて補助駆動力の発生または回生作動の制御量が定義されている。 【0019】符号42は、スロットル開度とエンジン回転数に基づいてアシスト・回生マップを参照して、アシスト量または回生量を決定して、モータ2及びパワードライブユニット7を制御するアシスト量・回生量制御部である。符号91は、バッテリ8のバッテリ残容量を算出するバッテリ残容量算出部である。このバッテリ残容量算出部91は、バッテリ8に備えられた電流センサによって検出された充放電電流を積算してバッテリ残容量を算出する。また、バッテリ残容量算出部91は、バッテリ8に備えられた電圧センサによって検出されたバッテリ電圧により、充放電電流の積算によって算出されたバッテリ残容量の修正(リセット)を行う。バッテリ残容量の修正(リセット)は、充放電電流の積算誤差をなくすために行うものである。符号92は、バッテリ8の温度とバッテリ残容量とから充放電可能量を決定してアシスト量・回生量制御部42へ通知する充放電制御部である。 【0020】なお、エンジン1には図示しないスロットル開度センサ及びエンジン回転数センサが備えられており、これらのセンサの出力は、モータ制御装置4へ入力される。また、バッテリ8には図示しない電圧センサ、電流センサ及び温度センサが備えられており、これらのセンサの出力は、バッテリ制御装置9へ入力される。 【0021】ここで、バッテリ8の残容量について説明する。バッテリ8の残容量は、バッテリ制御装置9内において、バッテリの電圧、充放電の電流、バッテリの温度などを参照して算出される値である。バッテリ制御装置9は、この残容量の値に基づいて、バッテリ8の充放電量を制御する。この残容量により、バッテリの制御を充電禁止領域、放電禁止領域及び使用許可領域の3つの領域に分けている。 【0022】充電禁止領域は、これ以上充電を行うと過充電になる可能性がある領域であり、例えば、残容量が80〜100%の領域である。放電禁止領域は、これ以上放電を行うと過放電になり容量が全くなくなってしまう領域であり、例えば、残容量が0〜20%の領域である。使用許可領域は、放電と充電を共に許可されている領域であり、残容量が20〜80%の領域である。バッテリ制御装置9は、バッテリ残容量が常にこの使用許可領域になるように充電量及び放電量を制御する。 【0023】これらの領域の境界値は、使用するバッテリの性能によって決まる値である。バッテリ電圧とバッテリ残容量の間には相関関係があり、バッテリ残容量が大きいほどバッテリ電圧も高くなる。バッテリ残容量が中程度(約20%〜80%)の時はこの間の残容量の変化に対してバッテリ電圧の変化は小さいが、バッテリ残容量が所定値(約80%)を超えるとバッテリ電圧の上昇が顕著になり、また、残容量が所定値(約20%)以下になるとバッテリ電圧の低下が顕著になる。よって、バッテリ電圧の上昇/低下が顕著になる現象を検出することでバッテリの残容量を推定できる。 【0024】また、使用許可領域の間の残容量の変化に対してバッテリ8の電圧変化は小さいため、使用許可領域の間は、バッテリ8の充電量及び放電量の積算によって、バッテリ残容量を算出している。ただし、電流の積算によって算出する手法は、電流検出の検出誤差も積算されてしまうために、使用許可領域の上下限値が検出されず、常に使用許可領域内で使用された場合のバッテリ残容量の算出は誤差が大きくなる。このため、電流積算によって算出されたバッテリ残容量は、修正値によってリセットすることで充放電電流の積算誤差による残容量の検出誤差を吸収する。この積算誤差のリセットは、バッテリ電圧の上昇/低下が顕著になる現象を検出した時点において、バッテリ残容量を所定値(ここでは、20%または80%)に置き換えることによって行われる。 【0025】また、バッテリ残容量算出部91には、バッテリ残容量が所定値になる時のバッテリ電圧の上限値及び下限値を、バッテリ温度とバッテリ充放電電流からなる図示しない3次元マップに記憶している。バッテリ残容量算出部91は、現時点のバッテリ温度とバッテリ充放電電流に基づいて、この3次元マップを参照して、バッテリ残容量が所定値なるときのバッテリ電圧を得る。この得られたバッテリ電圧に基づいて、バッテリ残容量の置き換えが行われる。 【0026】次に、図4を参照して、バッテリ8の残容量を算出する動作を説明する。図4は、図2に示すバッテリ残容量算出部91の動作を示すフローチャートである。まず、バッテリ残容量算出部91は、バッテリ8の電圧を検出する(ステップS11)。この電圧検出は、図示しない電圧センサの出力が用いられる。 【0027】次に、バッテリ残容量算出部91は、検出した電圧値がバッテリ下限電圧値より低い値であるか否かを判定する(ステップS12)。ここでいうバッテリ下限電圧値とは、前述したバッテリ温度とバッテリ充放電電流からなる3次元マップを参照して得られる電圧値であり、バッテリ残容量が所定の下限値になるときのバッテリ電圧値である。 【0028】この判定の結果、検出した電圧値がバッテリ下限電圧値より高い値であれば、バッテリ残容量算出部91は、検出した電圧値がバッテリ上限電圧値より高い値であるか否かを判定する(ステップS13)。ここでいうバッテリ上限電圧値とは、前述したバッテリ温度とバッテリ充放電電流からなる3次元マップを参照して得られる電圧値であり、バッテリ残容量が所定の上限値になるときのバッテリ電圧値である。 【0029】この判定の結果、検出した電圧値がバッテリ上限電圧値より低い値であれば、バッテリ残容量算出部91は、充放電電流を検出する(ステップS14)。この充放電電流検出は、電流センサの出力が用いられ、充電の電流量と放電の電流量を区別して検出される。 【0030】次に、バッテリ残容量算出部91は、ステップS14において検出された充放電電流値を積算する(ステップS15)。この積算は、充電量と放電量を区別して積算し、バッテリ8に対する放電時は検出された放電電流を減算し、充電時は、検出された充電電流に所定の充電効率(例えば、0.95)を乗算した値を加算する。 【0031】次に、バッテリ残容量算出部91は、充放電電流の積算値とバッテリ残容量の初期値とから現時点のバッテリ残容量を算出する(ステップS16)。ここでいうバッテリ残容量の初期値とは、バッテリ残容量算出部91内部に記憶されており、図4の処理によってその都度更新されるバッテリ残容量である。また、この初期値は、車両のイグニッションスイッチをOFFにしてもバッテリ残容量算出部91内部に記憶されており、イグニッションスイッチをONにした時点で、記憶されている初期値のバッテリ残容量が読み出される。 【0032】一方、ステップS12において、バッテリ電圧がバッテリ下限電圧値より低い場合、バッテリ残容量算出部91は、現時点のバッテリ残容量を使用許可下限値に置き換える(ステップS19)。ここでいう使用許可下限値とは、前述した使用許可領域の下限値の残容量のことであり、ここでは、このバッテリ残容量の使用許可下限値を20%とする。これによって、バッテリ残容量は、使用許可領域の下限値に置き換えられ、充放電電流の積算値はリセットされる。 【0033】また、ステップS13において、バッテリ電圧がバッテリ上限電圧値より高い場合、バッテリ残容量算出部91は、現時点のバッテリ残容量を使用許可上限値に置き換える(ステップS18)。ここでいう使用許可上限値とは、前述した使用許可領域の上限値の残容量のことであり、ここでは、このバッテリ残容量の使用許可上限値を80%とする。これによって、バッテリ残容量は、使用許可領域の上限値に置き換えられ、充放電電流の積算値はリセットされる。 【0034】次に、バッテリ残容量算出部91は、ステップS16、S18、S19において算出または置き換えられたバッテリ残容量を充放電制御部92に対して出力する(ステップS17)。バッテリ残容量算出部91は、図4に示すステップS11〜S19の処理を一定間隔の時間で繰り返し実行する。ここでいう一定間隔とは、バッテリ電圧の検出する動作及び充放電電流を検出して積算する動作に要する時間から決定される時間である。 【0035】このように、バッテリ8の残容量は、バッテリ残容量算出部91において、バッテリ8の電圧検出または充放電の電流の積算によって算出または置き換えられ、その結果が充放電制御部92に対して出力される。このとき出力されるバッテリ残容量は20〜80%の値が出力される。充放電制御部92は、バッテリ残容量算出部91から出力されたバッテリ残容量を読み取り、このバッテリ残容量に基づいて充放電量の制御が行われる。 【0036】次に、図3を参照して、図2に示すバッテリ制御装置9の動作を説明する。図3は、バッテリ制御装置9が充放電量を制御する動作を示すフローチャートである。まず、充放電制御部92は、図示しない温度センサの出力に基づいてバッテリ8の温度が、所定の温度Tb1(例えば、50[℃])より高い温度であるか否かを判定する(ステップS1)。 【0037】図5に、バッテリ8の充電効率特性を示す。図5において、X軸は、バッテリ8を構成するモジュールの表面の温度を表し、Y軸はバッテリ8の充電効率を表している。ここで、充電効率とは、バッテリに対して充電しようとした電気量と実際に蓄えられた電気量との比であり、充電効率が80[%]とは、充電しようとした電気量のうち20[%]の電気量がバッテリから発する熱に変換されたことを意味する。図5に示すように、バッテリ8の充電効率は、バッテリ8の表面温度が50[℃]を超えた時点で急激に低下する。ここでは、この温度Tb1を50[℃]とするが、この値は、車両に搭載されるバッテリの性能から決まる値であるので、その値に基づいて、所定温度Tb1を決定すればよい。 【0038】ステップS1において、バッテリ温度が規定温度Tb1を超えていない場合、充放電制御部92は、アシスト量・回生量制御部42に対して通常の充放電制御を行うように指示を出す。これによって、アシスト量・回生量制御部42はアシスト・回生マップを参照して、通常のアシスト及び回生に伴う充放電制御を実施する(ステップS10)。ここでいう通常の充放電制御とは、バッテリ残容量を20〜80%の範囲内において、アシスト/回生マップに応じた制御を実行することであり、バッテリ残容量が20%以下ではアシストを禁止し、80%以上では回生を禁止することである。 【0039】一方、バッテリ温度が規定温度Tb1を超えている場合、充放電制御部92は、アシスト量・回生量制御部42に対して現状のバッテリ残容量が減少するように充放電量が制限されるように指示を出す(ステップS2)。この充放電量の制限とは、回生すること、すなわち充電することを禁止することである。したがって、アシスト量・回生量制御部42は、パワードライブユニット7及びモータ2に対してアシストすることのみの制御を行う。 【0040】次に、充放電制御部92は、バッテリ残容量算出部91において算出されたバッテリ8の残容量をバッテリ残容量算出部91から取得して、このバッテリ残容量と予め充放電制御装置92内に保持されているバッテリ残容量使用許可下限値と比較を行う(ステップS3)。ここでいうバッテリ残容量使用許可下限値とは、前述した使用許可領域の下限値のことであり、ここでは、このバッテリ残容量使用許可下限値を20%とする。 【0041】この比較の結果、現時点のバッテリ残容量が20%以下でなければステップS2へ戻り、20%以下になるまで処理を繰り返す。この処理によって、強制的にバッテリ残容量を使用許可下限値にして、充放電電流値積算による積算誤差をリセットする。一方、バッテリ残容量が20%以下である場合、充放電制御部92は、内部のタイマをリセットする(ステップS4)。 【0042】次に、充放電制御部92は、バッテリ残容量の範囲を制限して充放電の電流を制御する(ステップS5)。ここでいう制限とは、前述した使用許可領域の上限値を、この使用許可領域の上限値より低い値の制限値に置き換え、この制限値を超えない範囲で充放電を許可することである。この制限値の検出は、バッテリ電圧では検出できないため、充放電電流の積算値によって検出して管理される。この制限値は、バッテリ温度が高温である場合でも充電効率が低下しないバッテリ残容量の上限値である。ここでは、この制限値をバッテリ残容量が35%とし、充電許可制限値と称する。図6にバッテリ温度が25、40、45、50、55[℃]である場合の充電効率を示す。図6において、X軸は充電しようとした充電量、Y軸は実際にバッテリに蓄えられた量である。 【0043】図6に示すように、バッテリ残容量が35%までの範囲内であれば、バッテリ温度が高温であっても充電効率は低下しないことが分かる。したがって、バッテリ温度が低くなるまで、バッテリ残容量が35%を超えないように充電を行えば、バッテリ温度を上昇させることなく効率良く充電を行うことができる。また、使用許可領域の上限値に対応するバッテリ上限電圧値の検出が困難になる状況の発生を防止することができる。ただし制限値(この例では35%)は、使用するバッテリの性能によって決まる値であるため、車両に搭載されるバッテリの性能に基づいてこの制限値を決定すればよい。 【0044】次に、充放電制御部92は、バッテリ残容量算出部91において算出されたバッテリ8の残容量をバッテリ残容量算出部91から取得して、このバッテリ残容量と予め充放電制御装置92内に保持されているバッテリ残容量使用許可下限値と比較を行う(ステップS6)。この比較の結果、バッテリ残容量が20%以下であれば、ステップS4へ戻り再び内部のタイマをリセットする。 【0045】一方、ステップS6において、バッテリ残容量が20%以下でない場合、充放電制御部92は、図示しない温度センサの出力に基づいてバッテリ8の温度が、予め決められた温度(Tb2)より低い温度であるか否かを判定する(ステップS7)。ここでは、この温度Tb2を48[℃]とする。この判定の結果、バッテリ温度が温度Tb2(48[℃])より低い温度であれば、ステップS10へ進み、通常の充放電制御が行われ、処理が終了する。 【0046】一方、ステップS7において、バッテリ温度が温度Tb2(48[℃])より高い温度であれば、充放電制御部92は、内部のタイマの経過時間を取得して(ステップS8)、この経過時間が予め決められた規定時間を超えたか否かを判定する(ステップS9)。この結果、規定時間を超えていなければステップS5に戻り、規定時間を超えるまで同じ処理を繰り返す。ここでいう規定時間とは、電流積算によって算出されるバッテリ残容量の誤差が、予め見込んだ積算誤差の範囲を超えることのない積算処理時間のことである。 【0047】ステップS9において、内部のタイマの経過時間が規定時間を超えた場合は、ステップS2へ戻り前述した処理を繰り返す。このステップS9の判定処理は、これ以上、電流積算によるバッテリ残容量の算出を継続すると積算値の誤差が大きくなるため、バッテリ残容量を強制的に使用許可領域の下限値になるようにするための処理である。 【0048】このように、ステップS5においては、バッテリ残容量を所定の範囲(ここでは、20〜35%)に制限して充放電を許可するが、バッテリ残容量が35%になったことは充放電電流の積算によってのみ検出可能であるため、一旦バッテリ残容量が20%になるまで強制的に放電をさせて、充放電電流積算値の誤差をリセットさせる。このようにすることによって、充放電電流積算値の誤差が大きくなることによって、誤って制限値(ここでは35%)を超える充電が行われることを防止することができる。 【0049】なお、バッテリ制御装置9は、図3に示すステップS1〜S10の処理を繰り返し実行する。また、図3に示すステップS5において、充放電の電流を制御する場合のバッテリ残容量の範囲を、図7に示すマップを参照して決定するようにしてもよい。図7に示すマップは、使用許可領域上限値を制限する充電許可制限値(前述した処理においてはバッテリ残容量35%)をバッテリ温度毎に定義したものである。このマップは、バッテリ温度が低くなるにしたがって、充電許可制限値が高くなるように定義されている。さらにこのマップは、使用許可領域の下限値の制限を行う制限値が定義されていてもよい。 【0050】なお、ステップS2において充放電量を制限する場合に、全く充電を禁止するのではなく、アシストを行うことによって消費した電力より小さい電力の充電を許可するようにして、ゆっくりしたペースでバッテリ残容量が下限値になるまで充放電量を制御するようにしてもよい。または、車両に搭載された電装品(ランプ類等)によって補助バッテリ11から消費される電流はダウンバータ10を介してバッテリ8から持ち去られるため、その消費電流を超えない範囲でモータ2を回生させてもよい。 【0051】このように、バッテリが高温であっても、バッテリ残容量が低い範囲内に限定して充放電を行うようにして、充電効率が低い状態において充電を行わないようにしたため、バッテリの発熱を抑制することができる。また、バッテリを構成するモジュール間の容量ばらつきが拡大することも防止することができる。 【0052】また、バッテリが高温であることを検出した時点で、強制的に使用許可領域の下限値になるまで放電のみを許可することにより、算出されるバッテリ残容量の誤差をクリアすることができる。 【0053】さらに、バッテリ温度が高温である場合に使用許可領域の上限値を制限することによって、バッテリ電圧によって検出が困難となる使用許可領域の上限値を使用しないようにしたため、誤って過充電をしてしまうことを防止することができる。 【0054】 【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、バッテリの残容量を放電電流の積算によって算出して出力するバッテリ残容量算出手段と、前記バッテリの温度を検出して出力するバッテリ温度検出手段と、前記バッテリ温度検出手段によって検出された前記バッテリの温度が該バッテリの充電効率が低下する温度である場合に充電を禁止して、前記バッテリ残容量算出手段によって算出されたバッテリ残容量がバッテリ使用許可下限値になるまで放電のみを許可する充放電制御手段とをバッテリ制御装置に備え、バッテリの温度が低下するまで充電することを禁止するようにしたため、バッテリの温度が高温である場合に充電効率低下によるさらなるバッテリ温度の上昇とバッテリの劣化を防止することができるという効果が得られる。 【0055】また、請求項2に記載の発明によれば、バッテリ残容量がバッテリ使用許可下限値になった後は、充電効率が低下する温度よりバッテリ温度が低くなるまで充電許可制限値を超える充電を禁止するようにしたため、バッテリ温度が高い状態においてはバッテリ残容量を低い値に制限することができ、バッテリが劣化しない範囲での充電を行うことでき、回生によって得られるエネルギーを効率良く蓄えることができるという効果を得ることができる。 【0056】また、請求項3に記載の発明によれば、バッテリ下限電圧値が検出された時点をバッテリ残容量のバッテリ使用許可下限値とするようにしたため、充放電電流の積算によって発生する積算誤差をクリアすることができバッテリ使用許可下限値の精度を向上させることができるという効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月27日(1999.8.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武 (外7名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−69602(P2001−69602A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−242354 |
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